-異界黙示録伝《炎の書》その2-魔沙羅 萌(4/2-21:14)No.2005
 ┗Re:異界黙示録伝《炎の書》その2-松原ぼたん(4/3-07:41)No.2013


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2005異界黙示録伝《炎の書》その2魔沙羅 萌 4/2-21:14

炎の鳥は闇を精霊界に向かって飛んで暗いた。
彼の心の中にある疑問を解くために、自分の上司のために、何より、尊敬する火の神のためにだ。
あの日……そう、はじめてあの方が破壊者を見つけた時から我が道が変わってきたのだな……。
炎の鳥は精霊界へと舞い下りようとしていた。


悲愴


「ねえ、アグニさん、いいんですか?勝手に城を脱出して?」
アメリアさんは心配そうに聞いてくる。
「いいの。今までだって、城にいる日の方が少なかったもん。まあ、みんな、私のこと必死こいて捜してるかもしれないけど、あそこはおおむね平和だから」
「ほ、本当にいいのかな」
「いいの、いいの。」
まあ、留守は弟に任せてあるけど。
「ねえ、アメリアさん、これから、涙の国に入るけど気をつけてね。ここでは哀しみの精霊にとらわれた、哀れな死霊も少なくないからね。とりつかれないようにね」
「……スゴイ国なんですね……なんだかかわいそうです」
「同情とかしちゃだめだよ。心の弱いところに彼らは取り付くから、気を強く持ってね」
そう、昔の私の様にね。
私は心の中でそう呟いた。
こうみえても私だって100は生きている。
まあ、50年ほど前に母親が死んでしまってそれ以来、私があの天空楼閣をおさめてたんだけど、私の母親、初代、アルフ=ハイムの女王、「炎 火天」は死ぬ前に私にこういった。
『涙の国だけには行かないと約束して。あそこは魔族の管轄下にあったところ。いくら炎を受け継いだあなただって魔神にはかなわないから……。』
一応母は3000年前に起こった第2次聖魔戦争の当事者であり、勇者として戦いに出た一人だ。神族代表として。
そう、母も私も精霊でもエルフでもない。四大元素の神の一人として精霊界をおさめるものだ。
そんな私がここにはじめてきたのが3年前。アルフ=ハイムに一人(?)の魔神が入ってきた時だった。そいつは私にこういった。
『アルフ=ハイムの偉大なる王女、アグニよ。貴女に頼みたいことがある。恩名において、涙の国を救っていただきたい。我等が郷里は今、偉大なる、魔界の王により、またも侵略をうけている。どうかいま一度そなたの心身に宿りし偉大なる炎の力をお借りしたい』
私は一瞬躊躇ってから答えた。もちろんイエスと。
理由は簡単。私に宿る、炎の正義がそうさせたのだ。
きっと母だったら仲間を呼ぶまで待てと言ったのだろうが、私ときたら、城を飛び出していってしまったのだ。魔神と共に。
その時だった。リナンや萌たちとあったのは。彼女たちは精神不安定状態だった私にこういった。
『ここは涙の国よ。変に心を乱したら、死霊にのっとられてしまうわ。あたし達も手伝ってあげるから、一緒にがんばろ』
まあ、彼女たちのおかげで魔界の王に炎の鉄槌をかましてやれたんだけど………
「どうしたんですか、アグニさん?考えこんじゃって」
「何でもないわ、アメリアさん。昔のことを思い出してただけよ」
そう、昔のことを………。


フェニックスはうまくやれているのだろうか?
魔王は闇の中、一人物思いにふけっていた。
しかしあの復活と再生をつかさどる魔神がこんなにも簡単に我に従うとはな。
まあ良いだろう。火の神がそれで葬れるというのならな。
魔王は不気味に笑い声を上げていた。勝利を確信した声で。

〔続く〕

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2013Re:異界黙示録伝《炎の書》その2松原ぼたん E-mail 4/3-07:41
記事番号2005へのコメント
 面白かったです。

>「いいの。今までだって、城にいる日の方が少なかったもん。まあ、みんな、私のこと必死こいて捜してるかもしれないけど、あそこはおおむね平和だから」
 うーん、大ざっぱ。
>「同情とかしちゃだめだよ。心の弱いところに彼らは取り付くから、気を強く持ってね」
 アメリアには難しそう。
>フェニックスはうまくやれているのだろうか?
> 魔王は闇の中、一人物思いにふけっていた。
>しかしあの復活と再生をつかさどる魔神がこんなにも簡単に我に従うとはな。
>まあ良いだろう。火の神がそれで葬れるというのならな。
> 魔王は不気味に笑い声を上げていた。勝利を確信した声で。
 なんか・・・・状況まずくない?

 本当に面白かったです。
 ではまた、ご縁がありましたなら。