-異界黙示録伝《炎の書》その3-魔沙羅 萌(4/3-21:44)No.2022
 ┣Re:異界黙示録伝《炎の書》その3-松原ぼたん(4/3-23:34)No.2026
 ┗Re:異界黙示録伝《炎の書》その3-さぼてん(4/6-08:33)No.2080


トップに戻る
2022異界黙示録伝《炎の書》その3魔沙羅 萌 4/3-21:44

ソレは一人の青年と出会っていた。
青年はソレを見て疑いはしたが、泣き付いてくるソレを断りきれなかった。
だが、ソレは、確信していた。
青年が炎と出会うことを………。


死の舞踏


「ねえアグニさん、本当にここから魔界に行けるんですか?」
アメリアさんの不安そうな声が聞こえる。
「心配しないでね、アメリアさん。魔界に一番近いとこよ。ここは。でも、先に神星界によるわ。みんなが心配だから。多分リナさんとガウリイさんもリナンちゃんと一緒に来ると思うわ」
「遭難ですか。……ゼルガディスさん、大丈夫かなあ」
アメリアさんがボソッと呟いた。
「大丈夫よ。きっとこっちに来てるわ……って言ってる側からほら、あそこにいるわよ。ゼルガディスさん」
「え?」
そう、確かに言ってる側からゼルガディス=グレイワーズは顔をだしてきた。
見たことのない少年を連れて。
「ゼ、ゼルガディスさん?!こっちに来てたんですか?」
アメリアさんは驚いた顔をゼルガディスさんを見た。
無論、ゼルガディスさんも驚いた顔でアメリアさんを見ている。
「ア、アメリアこそ……ところでここは何処だ?その娘は誰だ?」
どうやらゼルガディスさんは事態を理解しきってないらしい。
「私はアグニ=カテン=アルフ=ハイムです、ゼルガディスさん。アグニと呼んで下さい。一応すっごく簡単に説明します。でないと疲れますから。ここは『リラ』の精霊界。あなたがたがここに来た理由はよく知らないけど、スィーフィード世界は壊れちゃいました。私とアメリアさんは、それを起こした原因に炎の鉄槌をかまし、世界が元どおりになるように改心させにいく途中です。ところでこの子は?」
いっきに説明した私の言葉に呆然とした感じのゼルガディスさんはややあってやっと言葉を紡ぎだしてくれた。
「……俺達の世界が壊れた……?……なおるのならそれでいいが、しかし何だな、アメリアが二人いるように思えてしまうのはちょっとな……。アグニ、この少年のことを聞いたが俺にもよく分からん。迷子らしいのだが、口がきけないらしくてな」
ゼルガディスさんはそういってお手上げだというように手を肩のあたりであげてみせた。
「ゼルガディスさん!それならその子のお家を捜してあげましょう!いいですよね、アグニさん?」
「もちろんです!それではゼルガディスさんとアメリアさんは住人(?)に聞いてきて下さい!私は精霊たちに聞いてきます」
アメリアさんとゼルガディスさんはそれぞれ聞き込みを開始していた。
私もその子を連れて、精霊たちに聞き込みをはじめていた。


「み、みつかりません」
アメリアさんが肩で息をしながら私にそういってきた。
あれから1時間、聞き込みを続けたのだが、アメリアさんもゼルガディスさんも何一つ手掛かりを見つけられなかったのだ。
私はと言うと……。
「二人とも、よく聞いて、答えはでているの。私は、風の精霊シルフィード、水の精霊ニンフとオンダン、火の精霊サラマンドラ、それから大地の精霊グノームに話を聞いたわ。ところがその精霊たちすべてがこう答えたわ。『それはこの地に住まいし者』と。私は思い当たる者があるわ。魔神フェニックス!どおりでしゃべらないはずよね。だってヒトの姿をとる時は声を出すとまわりの者が死んじゃうものね。あなたの大好きな国のヒトが!」
『な?!』
突然だった!少年はヒトの形から大きな炎の鳥に変わったのだ!
「久し振りだね、プリンセス・アグニ。いや、火の神アグニと言うべきかな。あの時は本当にお世話になったよ」
その炎の鳥の紡ぎ出す声はどう考えても10歳前後の少年の声に聞こえた。
「ようこそ、僕の死の舞踏会へ」

〔続く〕

トップに戻る
2026Re:異界黙示録伝《炎の書》その3松原ぼたん E-mail 4/3-23:34
記事番号2022へのコメント
 面白かったです。

>アメリアさんは驚いた顔をゼルガディスさんを見た。
 喜ぶより先に驚きますよね。
>「ようこそ、僕の死の舞踏会へ」
 物騒な事を・・・・。

 本当に面白かったです。
 ではまた、ご縁がありましたなら。

トップに戻る
2080Re:異界黙示録伝《炎の書》その3さぼてん 4/6-08:33
記事番号2022へのコメント
魔沙羅萌さんおひさしぶりですさぼてんです。

>「大丈夫よ。きっとこっちに来てるわ……って言ってる側からほら、あそこにいるわよ。ゼルガディスさん」
>「え?」
> そう、確かに言ってる側からゼルガディス=グレイワーズは顔をだしてきた。
なんというタイミングのよさっ

>「私はアグニ=カテン=アルフ=ハイムです、ゼルガディスさん。アグニと呼んで下さい。一応すっごく簡単に説明します。でないと疲れますから。ここは『リラ』の精霊界。あなたがたがここに来た理由はよく知らないけど、スィーフィード世界は壊れちゃいました。私とアメリアさんは、それを起こした原因に炎の鉄槌をかまし、世界が元どおりになるように改心させにいく途中です。ところでこの子は?」
> いっきに説明した私の言葉に呆然とした感じのゼルガディスさんはややあってやっと言葉を紡ぎだしてくれた。
ほんとに、簡単な説明ですね。

>「二人とも、よく聞いて、答えはでているの。私は、風の精霊シルフィード、水の精霊ニンフとオンダン、火の精霊サラマンドラ、それから大地の精霊グノームに話を聞いたわ。ところがその精霊たちすべてがこう答えたわ。『それはこの地に住まいし者』と。私は思い当たる者があるわ。魔神フェニックス!どおりでしゃべらないはずよね。だってヒトの姿をとる時は声を出すとまわりの者が死んじゃうものね。あなたの大好きな国のヒトが!」
>『な?!』
> 突然だった!少年はヒトの形から大きな炎の鳥に変わったのだ!
>「久し振りだね、プリンセス・アグニ。いや、火の神アグニと言うべきかな。あの時は本当にお世話になったよ」
>その炎の鳥の紡ぎ出す声はどう考えても10歳前後の少年の声に聞こえた。
>「ようこそ、僕の死の舞踏会へ」
何か180度変わったって感じだぁっこれからどうなるんだろう。