◆−『スレイヤーズリサーチ200X』 予告−Dirac (2002/3/13 19:07:32) No.20298
 ┣File No.1 本編15巻の金髪と黒髪の魔族の正体を探れ!!−Dirac (2002/3/13 19:18:37) No.20299
 ┃┣お・・・面白すぎてお腹が・・・・(爆笑中)−宝 智香 (2002/3/14 02:07:12) No.20304
 ┃┃┗Re:お・・・面白すぎてお腹が・・・・(爆笑中)−Dirac (2002/3/19 18:25:11) No.20342
 ┃┗Re:もしかして−リトラ (2002/3/30 14:04:54) NEW No.20439
 ┃ ┗Re:もしかして−Dirac (2002/3/31 23:26:42) NEW No.20460
 ┣File No.2 ゼロスが嘘をつかない理由を明らかにせよ!!−Dirac (2002/3/19 16:58:21) No.20341
 ┃┗だ、第2段ですね〜〜〜〜(>▽<)/−宝 智香 (2002/3/26 02:32:01) No.20403
 ┃ ┗Re:だ、第2段ですね〜〜〜〜(>▽<)/−Dirac (2002/3/27 18:51:46) No.20421
 ┣File No.3 ナーガの知名度が上がらない理由を明らかにせよ!!−Dirac (2002/3/27 17:19:08) No.20419
 ┗File No.4 ソフトかつ紳士的に滅びを撒く方法を見つけよ!!−Dirac (2002/3/31 22:53:59) NEW No.20459


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20298『スレイヤーズリサーチ200X』 予告Dirac 2002/3/13 19:07:32



 どうも、新米投稿者のDiracです。
 連載シリーズ『スレイヤーズリサーチ200X』の紹介をいたします。
 お分かりの方もいらっしゃると思いますが、某TV局の『特命リサーチ200X』のパロディです。ここでは、スレイヤーズについて、個人的に不思議に思ったことや疑問に思ったことを解明し、発表していきます。
 しかし、現在わたしの手元に資料があまりありません。スレイヤーズに関する詳細な資料があるHPをご存知の方、どうかお教え下さい。

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20299File No.1 本編15巻の金髪と黒髪の魔族の正体を探れ!!Dirac 2002/3/13 19:18:37
記事番号20298へのコメント

 
 本編15巻『デモン・スレイヤーズ』に登場した、リナとガウリイをルーク=シャブラニグドゥ(以下ルーク)のもとへ送った二人の魔族は、獣王ゼラス=メタリオムと海王ダルフィンということになっている。どちらがどちらかははっきりと書かれていなかったが、イメージから、金髪がゼラス、黒髪がダルフィンというのが通説である。
 これ以降、ゼラスとダルフィンの人間バージョンは15巻163ページのイラストの姿として定着した。しかし、よく考えてみると、あの二人がゼラスとダルフィンであるという根拠は、あのミルさんの発言のみなのである。ミルさんと言えばジョーク。…………まさか、あれはミルさんの冗談!?
 もしそうだとすれば、今までの魔族観を根底から覆す一大事である。果たしてあの魔族は本当にゼラスとダルフィンなのか? 違うとすれば一体何物なのか? 早速この謎に迫ってみたい。


 魔族A、Bの実力


 結論が出るまで、金髪と黒髪の魔族をそれぞれ魔族A、Bとして扱う。魔族A、Bについて確かなことは以下の3点である。

 事実1:魔族A、Bは対等の地位。
 事実2:魔族A、Bはルーク派。
 事実3:魔族Bは空間干渉を使う。

 事実1は二人の会話での言葉遣いからわかる。あくまで状況証拠だが、今まで上司に無礼な口のきき方をした魔族はいなかったので、おそらく間違いないだろう。事実2、3は言うまでもないだろう。ここで手がかりになりそうなのは事実3である。空間干渉から魔族Bの実力が分かりそうだ。
 空間干渉には以前にも登場した。本編4巻『聖王都動乱』ではカンヅェルが使っていた。この時リナは歪められた空間に囚われたが、鳩を召喚し、本来の空間とつながりを持たせることにより脱出した。これの原理の説明はやや正確さに欠けるが、とにかく、空間干渉はかなり不安定であることは確かである。にもかかわらず、魔族Bの場合は、ミルさんとメフィ二人がかりの妨害で、空間干渉の進行が少し遅れた程度である。したがって、魔族Bは並外れた力の持ち主と言うことになる。おお! ということは、魔族Bがダルフィンでもちっともおかしくはないではないか!
 と思ったら、魔族Aの存在があった。15巻では「力を使っているのはBのみ」となっているが、これはあくまでリナの判断であり正しいとは限らない。また、力を増幅させるしかけがあったのかもしれない。もしかしたら、どこかに別の魔族が潜んでいたかもしれない。残念ながら、これらの存在の有無を決定づける手がかりは見当たらない。となると、魔族Bの強さがいまいちはっきりしないなぁ。


 どちらの派閥?


 視点を変えて、15巻の魔族サイドの状況から検証してみよう。15巻での魔族の状況を簡潔にまとめると、以下の通りになる。

 ルークがシャブラニグドゥの欠片の一つとして覚醒。リナ、ガウリイとの戦いを望む。
                     ↓
 北の魔王がこれを拒み、配下にリナ、ガウリイの抹殺を命じる。
                     ↓
 トップの意見が分かれ、配下混乱。ルーク派と北の魔王派に分裂。ゼロスは中立。

 ここで注目すべきなのは、ゼロスが中立の立場を取ったことだ。魔族の命令系統が成り立っているのは中級以下、カンヅェルクラスまでであり、当然、ゼロスは直属の上司ゼラスの命令に忠実である。ということは、ゼラスは中立の立場を取ったと考えるべきではないだろうか。
 いや待て。ゼラスはルーク派についたが、ゼロスには自主的に行動するように命令したとも考えられる。お役所仕事のゼロスのことだから、上司からそんな命令をされれば、何も仕事をしなくてすむ「中立」の立場を取るだろう。
 しかしここで重大な問題が。ゼロスの行動を追っていくと、どうも彼が純粋に中立でいたとは思えない。我関せずを決め込むのなら、ルビアの家の温室での戦いも黙ってみているだけのはずである。それに、ルークと戦わなくてはならなくなったときのリナたちの反応に興味があったのなら、ゼロスはルーク派に入るべきではないだろうか。それとも目的は別にあったのだろうか? いずれにしてもゼロス、遊んでないで仕事しろ!(人間側としてはちゃんと仕事してもらっても困るが……)


 動けない


 そう言えば、15巻以前も魔族は結構ピンチだった。フィブリゾが滅び(一応ガーヴも)グラウシェラーが弱体化したため、ゼラス、ダルフィンは、今まで以上に神封じの結界及び外の世界にいる神族への牽制に力を注がねばならない。下手に動けば神族の進攻を許してしまう。ただでさえ魔族内部が混乱している上に、神族が攻めてきたとなっては、魔族はひとたまりもないだろう。ゼラス、ダルフィンらはこの混乱を早急に帰結しようとするだろう。
 魔族は実際に二つの勢力に分かれていたので、ルークと北の魔王の命令の優先度は同等と考えられる。となれば、彼女らはこの混乱状態をいち早く収拾するために、二人とも意見を合わせて同じ派閥に入り(もちろんグラウシェラーも)、敵対勢力(おそらく元ガーヴ、フィブリゾの部下、または命令系統がしっかりしていない中級未満の魔族)を迅速に鎮圧しようとするだろう。だが、先ほど述べたように、ゼラスとダルフィンには結界の維持や神族の監視という重要な任務がある。彼女らがどちらの派閥に加わろうと、実際に活動するのは彼女らの部下であると考えた方が自然である。したがって、リナたちのお出迎えをしたのは最高位でも神官、将軍クラスの魔族という結論に達する。ということは、やはりあれはミルさんの冗談だったのか!!


 ポーカーフェイス


 おいおい、なんかミルさんの冗談説が現実味を帯びてきたぞ! しかし、前項で明らかになったのは、ゼラスとダルフィンは自ら出向く確立は低いということだ。魔族A、Bが100%ゼラス、ダルフィンでないという決定的な証拠はない。また、ミルさんが勘違いしていたのかもしれない。そこで事の発端となったミルさんの発言時の様子をチェックしてみよう。
 問題の発言時でのミルさんの様子は、『さらりとこともなげに』『さも当然といった口調の』『微動だにせず無表情で淡々と』と表現されている。そして、ジョークを飛ばす時、ミルさんは大抵真顔である。これってギャグをやる時のミルさんと変わらないんじゃないか!? いや、これはただ単に真面目にしゃべっていただけかもしれない。真面目な顔してジョークを言うからといって、嘘つきっぽい仕草で真面目な話をするとは限らない。と言うより、真剣に語っていたと考えた方が自然だ。
 しかし、本編十三巻『降魔への道標』で、グラウシェラーが本性を現した時、ミルさんはかなり怯えていたのに対し、魔族A、Bと対峙したときのミルさんは、驚いてはいたがあまりビビっていなかった気がする。もし魔族A、Bがゼラスとダルフィンだと気づいたのなら、グラウシェラー一人の二倍恐怖するんじゃないか? あまり怖がってなかったとなれば、ミルさんは魔族A、Bがゼラスとダルフィンではないということを知っていたということになる。やはり確信犯か!!
 ならば、なぜミルさんは「冗談だ」と言わなかったのだろうか? リナたちのリアクションが想像以上で言うに言えなくなってしまったのか? それとも、ウケないことを察知してそういうことにしておいたのか? 真実はミルさんしか知らない。


 Life goes on


 今回の検証結果から判断する限りでは、やはりあれはミルさんの冗談だったようである。そして、この結果もあまり拒否反応もなく受け入れることができてしまうのもまた事実である。
 彼をここまで駆り立てるものは一体何なのであろうか。それはやはり、“ゆかいなミルさん”という異名を背負い、一時代を築いてきた誇りではないだろうか。自分の天職とまで思っていたギャグを、「生存不可能」とリナに一刀両断され、無残にも彼のアイデンティティはズタボロにされてしまった。自分のギャグが人間に受け入れられない原因を、竜族と人間の価値観の違いで片付けるのはたやすいことである。しかし、ミルさんはそんな生き方に甘んじていたくはないのだろう。さらに上を目指し、種族を超えた笑いを追究する。竜族の長寿はそのためにあるのかもしれない。
 しかし、時と場合は選んでほしい。果たして、SP9巻『イリーズの旅路』のコッフェルさんを思い出してしまったのは、わたしだけだろうか。










 軽いノリで検証してみたら、こんな結果になっちゃいました。自分で結論を導いておいて、なんか怖くなっちゃった……(汗)。もちろん意見、反論、苦情は受け付けます。
 それと、『スレイヤーズリサーチ200X』ってタイトルなのに、エージェントがまったく出てこないばかりか、書き方が『空○科学読本』みたいになってしまいました。『特命リサーチ200X』通りの形式にしようと、わざわざ録画までしたにもかかわらず、結局挫折してしまいました。不徳のいたすところです。本物を忠実に再現していると期待された方、まことに申し訳ございません。反省。

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20304お・・・面白すぎてお腹が・・・・(爆笑中)宝 智香 E-mail 2002/3/14 02:07:12
記事番号20299へのコメント

はじめまして。宝 智香と申します。
タイトルに興味をそそられ、速攻で読ませていただいたのですが、はっきり言って近所迷惑をはばからず爆笑しそうになるのをこらえるのがやっとでした。
特に「ゆかいなミルさん云々」のくだりはもう!!!(><)/
でも、「考えてみるとそうかも・・・」と納得させられる点もかなりあったりして。
真実は本人(?)たちと作者様のみぞ知る・・といったところでしょうか。
う〜ん・・アニメと原作とはまた別物なのでしょうが、確かにアニメOPなどでかいまみる獣王ゼラス(だと思われる)とはかなりイメージが違っていたような?!
なんか考えはじめると、本当に「冗談だ」とか言われてもぜんぜん違和感なくなってきて怖いんですけど(^^;)
読んでて(読んだ後も)本当に楽しかったです。

・・・・・ところで、Dirac様・・・・
タイトルに「No.1」とありますよね??
これは第2段があると考えてもよろしいんでしょうか?!!
もしそうでしたらか〜な〜り、楽しみなのですけど・・(^^)

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20342Re:お・・・面白すぎてお腹が・・・・(爆笑中)Dirac 2002/3/19 18:25:11
記事番号20304へのコメント

宝 智香さんは No.20304「お・・・面白すぎてお腹が・・・・(爆笑中)」で書きました。
>
>はじめまして。宝 智香と申します。
>タイトルに興味をそそられ、速攻で読ませていただいたのですが、はっきり言って近所迷惑をはばからず爆笑しそうになるのをこらえるのがやっとでした。

 はじめまして宝 智香さん。ご感想ありがとうございます。
 このような評価をいただき、まことに感激です。
 実を言うと、最初は真面目に検証するつもりだったんですけど。
 ……冗談です。(←くだらねぇよ! By田中裕二)

>特に「ゆかいなミルさん云々」のくだりはもう!!!(><)/
>でも、「考えてみるとそうかも・・・」と納得させられる点もかなりあったりして。
>真実は本人(?)たちと作者様のみぞ知る・・といったところでしょうか。
>う〜ん・・アニメと原作とはまた別物なのでしょうが、確かにアニメOPなどでかいまみる獣王ゼラス(だと思われる)とはかなりイメージが違っていたような?!
>なんか考えはじめると、本当に「冗談だ」とか言われてもぜんぜん違和感なくなってきて怖いんですけど(^^;)
>読んでて(読んだ後も)本当に楽しかったです。

 最初は軽い気持ちで書いたんですが、投稿した後、「なんちうモノを書いてしまったんだ!!」と恐怖に打ち震えていました。
 ただ、タイトルは「本編十五巻の金髪と黒髪の魔族の正体を探れ!!」なのに、結局金髪と黒髪の魔族の正体は不明のままだったりして……。わたし自身どーでもよくなっていることは事実!
 まあ、スレイヤーズですから。(笑)

>
>・・・・・ところで、Dirac様・・・・
>タイトルに「No.1」とありますよね??
>これは第2段があると考えてもよろしいんでしょうか?!!
>もしそうでしたらか〜な〜り、楽しみなのですけど・・(^^)

 先ほど【File No.2 ゼロスが嘘をつかない理由を明らかにせよ!!】を発表しました。
 ちなみに、現在研究中のテーマは、

 ナーガの生態は?
 本当に滅んだ魔族は?
 魔族の社会制度は?
 ウィニーはその後「小粋でアドリブのきくゾンビ」を作れるのか?
 マーティーは「グランシード手芸同好会」のメンバー?
 動物保護団体は人望で動物を操れるか?
 ガーヴはリナをまたぐのか?
 何故大臣は頻繁に事件を起こすのか?
 もし「第四回スレイヤーズ人気投票」が開催されたら、結果はどうなる?

です。7割挫折の予定。(こらこら)


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20439Re:もしかしてリトラ 2002/3/30 14:04:54
記事番号20299へのコメント

もしかして、ミルさん(ミルカズィアさん)が、海王、獣王(かもしんない)魔族を見て怯えなかったのかと考えた結果。
【海王と獣王に敵意が無かったからではないのか?覇王が出てきて戦った時はむこうが敵意丸出し、
(自分達が殺される様な状況)だったからではないのかと思います。】(超私的意見です)

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20460Re:もしかしてDirac 2002/3/31 23:26:42
記事番号20439へのコメント

リトラさんは No.20439「Re:もしかして」で書きました。
>
>もしかして、ミルさん(ミルカズィアさん)が、海王、獣王(かもしんない)魔族を見て怯えなかったのかと考えた結果。
>【海王と獣王に敵意が無かったからではないのか?覇王が出てきて戦った時はむこうが敵意丸出し、
>(自分達が殺される様な状況)だったからではないのかと思います。】(超私的意見です)

 初めまして、リトラさん。貴重なご意見ありがとうございます。
 そのへんは微妙です。後で発見したんですが、ガウリイがフィブリゾに連れ去られた時もミルさんは一歩も動けませんでした(本編8巻 29ページ参照)。フィブリゾはこの時敵意をむき出しにしていたのかどうかはっきりしません。もしフィブリゾが敵意を見せていなかったのなら、ミルさんは敵意関係なしに、相手の正体で怖がるということが言えるのですが。
 ぶっちゃけたこと言っちゃいますと、話がリナの一人称で語られているため、ミルさんの心理もリナの主観で描かれているのであって、実際どうかはわからないんですよね。なので、都合のよい解釈をしちゃいました。申し訳ございません。
 大丈夫かとは思いますが、このシリーズは半分ギャグでやってるので、くれぐれも真に受けないで下さい

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20341File No.2 ゼロスが嘘をつかない理由を明らかにせよ!!Dirac 2002/3/19 16:58:21
記事番号20298へのコメント


 獣神官ゼロスと言えば、「それは秘密です」の名言と巧みな言いまわしを思い出すだろう。「僕は冥王様から計画の目的は聞かされてないんです」とか「心臓は動いてません」など、嘘は言わないが紛らわしい表現で誤解させるのは、彼の十八番と言ってもいい。
 しかし、別にインディアンでもあるまいし、わざわざそんなややこしい言い方をしなくても、「計画の内容は知りません」「死んでいます」と、普通に嘘をついてもよかったんじゃないか? 嘘をつきすぎると、次第にボロがでてわが身を破滅させるとはよく言うが、ゼロス流の正直さの方がよっぽど複雑で、嘘をつくより格段にボロが出やすいと思うのだが。それとも、ゼロスには嘘をつけない理由があったのだろうか?


 ゼロス、ウソつかない


 冒頭でも述べたが、ゼロスは本当に嘘をつかない。例えば、本編5巻『白銀の魔獣』で、魔血玉をめぐってのリナとの交渉(?)で、「550で売って!」とせがむリナに「550万なら」と言ってしまい、550万以上の魔法の道具と物々交換を要求されてしまった。結果、ゼロスは素直にリナの要求を飲んだのだ。この時ゼロスはまだリナを異界黙示録へ連れて行く任務を受けていない。つまり、リナに魔血玉を差し出すことに合理性がなかったのだ。嘘をつかないために、上司の部下S(なんのこっちゃ)から譲り受けた品まで渡す。何故そこまでして……。さらに、同巻で、単独行動をするつもりであったのにもかかわらず、再開の約束を守るためにリナたちのところへ来たりもしていた。この約束を破ってしまえば、嘘をついたことになってしまう。だから約束を守ったのだろう。
 と思って微細にゼロスの発言をチェックすると、「これは怪しくねーか?」といったセリフがあった。本編6巻『ヴェゼンディの闇』257ページで、ズーマ=セイグラムとの決闘を終え、ゼルに「今回一体何やってたんだ?」と問われ、「いきなりデーモンたちのしっぽにはたかれて、しげみの中で気を失ってました」と彼は答えた。一人で竜族を壊滅寸前まで追い込んだ獣神官ともあろうものが、人間にパシリ同然に扱われるレッサー・デーモンごときに、しっぽではたかれたくらいで気絶するだろうか? さらに、本編7巻『魔竜王の挑戦』126ページで、ゼロスがミルさんと知り合いだったことが判明し、ガウリイが「実際は年齢いくつなんだ?」と尋ねられ、「レディに齢を聞くのは失礼ですよ」と答えていた。ゼロスって女なのか? そもそも魔族に性別ってあるのか?
 だが、これらの発言にはゼロス特有の巧みさがないし、リナたちを欺こうとする意図も見えない。つまり、本気で人を騙そうとする嘘ではないということである。ただ、どうせなら、必殺の「それは秘密です」を繰り出してほしかった。


 魔族、ウソつかない


 前項において、ゼロスが本気の嘘をつかないことが判明した。ならば、他の魔族ではどうだろうか? 1巻から15巻までの魔族のセリフを調べ上げ、欺くつもりの嘘ではないかという発言を探してみた。すると、次のようなセリフが見つかった。

@1巻『スレイヤーズ』231ページ レゾ=シャブラニグドゥのセリフ
 「光の力に闇の力が上乗せできるものか」
A9巻『ベゼルドの妖剣』146ページ シェーラのセリフ
 「……あの剣は……世にあってはならないものだ………父が、酔った時には必ず、口ぐせのようにそう言ってました」
B13巻『降魔への道標』209ページ グラウシェラーのセリフ
 「意味? まさか――あれを、何かの策だとでも思っていたのか? ならば少々考えすぎだな。我々はただ単に――食事をとっていたにすぎんのだぞ?」

 まず@について考えてみよう。ここで注意してもらいたいのは、第一に、シャブラニグドゥにレゾが混じっていたということだ。第二に、光の剣(正式名称ゴルンノヴァ)≠光の力であるということだ。もともと、光の剣はダーク・スター五つの武器の一つであるし、本編8巻『死霊都市の王』では、冥王フィブリゾが柄から数十本の黒い触手のようなものを出現させたことからもわかる。@は、中途半端魔族が一般論を何の脈絡もなく述べたに過ぎないということだ。ただ、フィブリゾの言う通り、光の剣が人間より魔族に近いものであり、光の剣に対する魔族の干渉力が人間のそれをはるかに超えるのならば、何故あの時シャブラニグドゥが光の剣に干渉しなかったのだろうか? さらに、何故親切にもゴルンノヴァのことをわざわざ「光の剣」と表現したのだろうか? 魔王って意外と律儀なのかも……。
 次にAだが、気になったのは『父』という部分だ。シェーラの父といえば覇王グラウシェラーのことであろうが、グラウシェラーがシェーラにわざわざそんなことを言うだろうか? というより酔っ払う魔族がいるのだろうか? ……ん? 待てよ? 一言に『親』と言っても、生みの親と育ての親があるではないか! シェーラがしばらく住んでいた(活動拠点にしていた)村の村人の証言では、しばらくの間シェーラはグレンと暮らしていたらしい。なら、グレンがシェーラの育ての親であったと言えなくもない。よって、Aも嘘とは言えないということになる。しかし、ゼロスは少なくとも1012歳以上である。おそらくシェーラもそのくらいの年齢であろう。スレイヤーズの世界では、人間の寿命は魔道を駆使しても数百年だという。親よりはるかに年上で子供といえるのだろうか……。
 Bは、明らかに本編15巻『デモン・スレイヤーズ!』のルーク=シャブラニグドゥの発言に反する。あの場面で彼が嘘をつくわけがない。やはりこれは嘘か。と思ってセリフの前後を読んでみると、Bはリナの「城を閉鎖するよう命じた意味は何?」の問いに対して答えたものであり、その後、「デーモンを暴れさせているのも『お食事』か?」というルークの発言に対し、「その意味もあるが、何より我は闘いを望んでいる」と言っていた。城の閉鎖は食事のみのためにしたことであるが、デーモンを各地で発生させたのは魔王覚醒を狙ったものであると考えれば、先ほどのルーク=シャブラニグドゥの発言とも矛盾しない。これで、嘘ではないかと思われた魔族のセリフも、すべて嘘とは言えなくなってしまった。


 ウソつきは魔族の終わり


 どうやら、ゼロスだけでなく魔族全員が他人を騙す嘘はつかないようだが、一体何故だろうか? それは魔族の倫理にあるのではないだろうか。

『存在は無数の矛盾を生む。けれど無は無以外のなにものでもない。矛盾を内包した存在よりも、完全なる秩序に満ちた無を選んだ。それが魔族』(本編8巻159〜160ページのフィブリゾのセリフより抜粋)

 つまり、魔族にとって矛盾は禁忌なのである。嘘は真実ではないため矛盾を生んでしまう。究極の「真」を目指す魔族が自ら「偽」を生むわけにはいかない。自分の存在意義を否定すると同時に魔族共通の理念も裏切るからだ。魔族にとってこれは死刑宣告も同然である。嘘が許されるのは相手が嘘だと分かるレベルまで。となると、魔族は下手にガウリイと会話できないなあ。……そう言えば、ゼロスが「レディに齢を聞くのは失礼ですよ」と言った相手はそのガウリイ。まさかガウリイの賢さを試したのかゼロス!? 君はなんという恐るべき行為をするんだ!! それは勇気ではなく無謀というんだ!!
 しかし、ゼロスの『人を欺く正直』だって十分矛盾を生むんじゃないか!? 「相手が勝手に勘違いしただけであり、矛盾を生んだのはわたしでない」などという言い訳はまかり通らない。嘘だろうと、誤解を招く言い方だろうと、演技であろうと、欺くことによって混乱が起こり、矛盾が生じてしまう。欺こうという意図があれば、その時点で魔族正義に反する。だとすると魔族は矛盾撒きまくりじゃないか! 一体何度魔族が人間を罠にハメたことか!!
 ただ、『人を欺く嘘』が『人を欺く正直』よりダメージが大きいとなれば納得できる。魔族精神に反することをしなくてはならなくなったとき、よりダメージが小さい方を選ぶのは当然である。ゼロスは「魔族は最近景気が悪い」と嘆いていたが、調子こいて『人を欺く正直』を連打したツケが今ごろやってきたからかもしれない。まるでおやぢの筋肉痛。まあ、千年以上生きてるやつもいるし、無理もないか。……もしかして戦力外通告されてる魔族とか、定年退職した魔族も多いかも。


 4/1に気をつけろ!!


 ゼロスが嘘をつかない理由を探っていたら、意外にも魔族にも定年や解雇があるのかという新たな疑問に直面してしまったが、それは今回の主旨をあまりにもを逸脱してしまうので、それを明らかにするのは次の機会に譲ろう。とにかく、魔族は矛盾がないことを目標としているため、嘘をついて人を欺くことは魔族にとって致命傷になりうるということである。だからこそゼロスはあんな面倒な言いまわしをしていたのだ。
 3月も半ばを過ぎ、4月1日が近づいている。4月1日はエイプリル・フール。この日はウソをついてもいい日となっているが、暴走は禁物である。ぜひとも生魔族をこの目で見たいという危篤な、もとい、奇特な方はともかく、そうでない方が、エイプリル・フールだからといって「Lはブサイクだ」などと言おうものなら、瞬時に魔族総攻撃! スコップで済むと思うな! 屍肉呪法(ラウグヌト・ルシャヴナ)やられた上に保険金かけられて大阪湾の底深くに沈められる!!
 人間、正直が一番である。










 魔族の雇用が新たな謎となるとは……。ゼロスが嘘つかない理由よりそっちの方がビックリ(笑)。
 ひょっとして、セイグラムとかラギアソーンとか、人間と契約している魔族って、シャブラニグドゥの配下を引退して第二の人生(?)を歩んでいるのかも……。
 世間は外務省の問題で持ちきりです。発端となった『圧力問題』の真相もまだ明らかになっていません。嘘の証言をした議員は直ちに真実を話してほしいものです。渋っていると魔族の標的になってしまいます。すでに魔族が潜んでいるかもしれません。あ、そう言えば外務省って『伏魔殿』でしたっけ。
 お後がよろしいようで。

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20403だ、第2段ですね〜〜〜〜(>▽<)/宝 智香 E-mail 2002/3/26 02:32:01
記事番号20341へのコメント

こんにちはorこんばんは、Dirac様。
前回に引き続き今回も速攻で読ませていただきました、宝 智香です。

今回は、「ゼロスが嘘をつかない理由」ということで、スレイヤーズファンなら興味をひかれずにはいられないお題だと思ったのですが、まず「インディアンでもあるまいし」というところで笑いの発作に耐え、「ゼロス、ウソつかない」のところで、堪え切れずに吹き出しました(^^;)
でも本当に読むたびに、「スレイヤーズ」の小説をよく読んでいらっしゃるな〜と感心を通り越して尊敬すら感じます。
しかもDirac様の書かれる文章は、私の笑いのツボを凄まじく的確についてくるのです・・・!(><。)
「魔族にとっての矛盾・・」のくだりを真剣に読んでると、「ゼロスはガウリイの知能を試したのか?」という話題に切り替わり、ここで私は笑いの発作をやり過ごすため1、2分は読みつづけることが困難になります。
ていうか確かに、「嘘が許されるのは相手が嘘だとわかるレベルまで」なら、ゼロスの相手をガウリイ専門にすればいいかもしれませんね。
アメリアの生の賛歌攻撃よりよっぽど効きそうですし、気付いたら自滅してたりして(笑)
そして「ゼロスの嘘」から始まった話題が、何故か最後には「魔族の雇用問題」になっているに至っては、もう見事としか言いようがないです・・(;▽;)
見事といえば、最後のオチにも笑いました。
「山田くん、座布団3枚持ってきなさい」という感じです。笑○よりよっぽど面白いです(誉め言葉になってないような・・(汗))

ところで、前回のコメントに丁寧なレス、ありがとうございました。
最後に書かれていたお題候補(?)、できることなら全部見てみたいですのですが、特に題だけでも爆笑したのが、「ガーヴはリナをまたぐのか?」ですvv
となると、フィリアもまたぐんでしょうか?そーすると最長老様も・・(汗)
7割方挫折ということは3割は書かれるんですか、ならひょっとして第3段も・・・・?!!!と、期待が高まったところで今回はこのへんにしておきます。
長々とすみません(^^;)今回も本当に楽しく読ませていただきました。
それでは、失礼します。

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20421Re:だ、第2段ですね〜〜〜〜(>▽<)/Dirac 2002/3/27 18:51:46
記事番号20403へのコメント

宝 智香さんは No.20403「だ、第2段ですね〜〜〜〜(>▽<)/」で書きました。
>
>こんにちはorこんばんは、Dirac様。
>前回に引き続き今回も速攻で読ませていただきました、宝 智香です。

 再び拙作にご感想をお寄せいただき、ありがとうございます。

>
>今回は、「ゼロスが嘘をつかない理由」ということで、スレイヤーズファンなら興味をひかれずにはいられないお題だと思ったのですが、まず「インディアンでもあるまいし」というところで笑いの発作に耐え、「ゼロス、ウソつかない」のところで、堪え切れずに吹き出しました(^^;)
>でも本当に読むたびに、「スレイヤーズ」の小説をよく読んでいらっしゃるな〜と感心を通り越して尊敬すら感じます。

 六、七年ほど前は特に読みふけってました。浪人生の頃も、数少ない休憩時間を費やして読んでました。
 思い出があるのは本編十四巻。これが発売された時期は、ちょうど志望校を決めたとき。「さあ、やるぞ!」と意気込んでた時にあの展開。しかも、あとがきで次の本編が最終回であることが判明。……ニ時間ほど立ち直れませんでした。
 ちなみに、志望校には落ちました(涙)。


>しかもDirac様の書かれる文章は、私の笑いのツボを凄まじく的確についてくるのです・・・!(><。)
>「魔族にとっての矛盾・・」のくだりを真剣に読んでると、「ゼロスはガウリイの知能を試したのか?」という話題に切り替わり、ここで私は笑いの発作をやり過ごすため1、2分は読みつづけることが困難になります。
>ていうか確かに、「嘘が許されるのは相手が嘘だとわかるレベルまで」なら、ゼロスの相手をガウリイ専門にすればいいかもしれませんね。
>アメリアの生の賛歌攻撃よりよっぽど効きそうですし、気付いたら自滅してたりして(笑)

 全人類がガウリイ化すれば、確実に魔族を滅ぼせるでしょう。
 リナは、L様に関する知識が魔族たちへの切り札になると考えていましたが、こっちの方が有効でしょう。どうせギガ・スレイブの呪文も記憶から消え失せてるから、フィブリゾも計画を断念するでしょうし、ガーヴもリナを抹殺しようとは考えないでしょう。まさに一石三鳥!

>そして「ゼロスの嘘」から始まった話題が、何故か最後には「魔族の雇用問題」になっているに至っては、もう見事としか言いようがないです・・(;▽;)

 まだウラはとれてませんが、最近魔族がかかえる新たな問題を発見しました。実は、これは人間側にも言えることです。もしかしたら、日本もこの問題に直面するかもしれません。

>見事といえば、最後のオチにも笑いました。
>「山田くん、座布団3枚持ってきなさい」という感じです。笑○よりよっぽど面白いです(誉め言葉になってないような・・(汗))
>
>ところで、前回のコメントに丁寧なレス、ありがとうございました。
>最後に書かれていたお題候補(?)、できることなら全部見てみたいですのですが、特に題だけでも爆笑したのが、「ガーヴはリナをまたぐのか?」ですvv
>となると、フィリアもまたぐんでしょうか?そーすると最長老様も・・(汗)
>7割方挫折ということは3割は書かれるんですか、ならひょっとして第3段も・・・・?!!!と、期待が高まったところで今回はこのへんにしておきます。
>長々とすみません(^^;)今回も本当に楽しく読ませていただきました。
>それでは、失礼します。
>

 No.3は【ナーガの知名度が上がらない理由を明らかにせよ!!】です。最初の予定は【ナーガの生態を解明せよ!!】だったのですが、いまひとつだったので変更しました。
 今回は前二作よりシビアな展開になっています。某国の意外な素顔にいろいろ考えさせられました。


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20419File No.3 ナーガの知名度が上がらない理由を明らかにせよ!!Dirac 2002/3/27 17:19:08
記事番号20298へのコメント


 皆さんはナーガにどのようなイメージをお持ちだろうか。おそらく、『高笑い』『暴走』『不死身』『絶対的自信』『情報通』『芸達者』といった言葉を連想するだろう。彼女の類いまれなるファンタジーとカリスマは、多くの人を魅了して止まない。
 しかし、かなり知名度が高いリナとよく行動をともにし、リナをはるかに超える惨劇を巻き起こし、いつもあの格好で高笑いをしているわりには、彼女はあまり有名になっていない。これほど目立つことをしていれば、ナーガはリナの知名度を軽く超えるはずだ。果たして、彼女が有名にならない理由とは?


 ナーガの犯罪歴


 本題に入る前にナーガの前科を確認しておこう。彼女の前科のうち、特に被害が大きかったものは次の通りである。(SP1巻〜SP18巻まで)

 前科1:石竜でタイレル・シティを壊滅させた(SP2巻 74ページ)
 前科2:大臣の反乱鎮圧の際に混乱を引き起こし、反乱軍に勘違いされた(SP6巻 112ページ)
 前科3:雷撃竜【プラズマ・ドラゴン】を暴走させた(SP7巻 75ページ)
 前科4:レオーネ伯爵の屋敷を崩壊させた(SP8巻 75ページ)
 前科5:ローザに人質にされた村人をふっ飛ばした(SP10巻 103ページ)
 前科6:魔王竜【ディモス・ドラゴン】を暴走させた(SP10巻 198ページ)
 前科7:造反容疑のかかったカイラスに味方した(SP11巻 93ページ)
 前科8:タチアナとマーティーの抗争に加わり、リーシャルの町クレーター化に関わった(SP15巻 216ページ でりしゃす1巻 108ページ)
 前科9:領主アランタイズ所有のオリハルコン鉱脈を破壊した(SP18巻 251ページ)

 被害が中程度以下だった犯罪及び未遂も含めると、それだけでレポートが終わってしまいかねないので割愛した。この中でモミけしやゴマかしができたと思われるもの、被害者側が告訴しなかったと思われるものは、前科1、3、4、5、6、7である。残りの前科2、8、9だけでも十分指名手配がかかる。あんな格好していれば目撃情報も手に入りやすいから、容易に彼女の居場所を突き止められるはず。実際、リナは簡単にナーガを見つけていた。だが、一向に役人や賞金稼ぎがやってくる気配はない。それどころか、前科8のケースでは、ナーガはすでに警備兵に取り押さえられたとしか考えられない。関わりあいにならないほうがいいと判断し、釈放を選択したのか? それはそれで正解だが。


 噂は体を表す


 前項で紹介した前科は、どれもリナと一緒に行動していた時に犯した犯罪であるという共通点がある。ということは、ナーガの惨事はリナが引き起こしたものとして世間に広まっているのではないだろうか。彼女の初犯がいつかは不明だが、少なくとも前科2の時点で、リナ=インバースの名は天下に轟いている。これなら、ナーガの惨事がリナの仕業になってもおかしくはない。
 当初はリナのライバルを自称したいたが、今や金魚のフンである。金魚のフン故にぞんざいに扱われ、噂が広まるうちにリナとナーガが混同され、いつの間にかナーガがリナだと思われたのだろう。あの格好で高笑いを上げながら無差別に破壊活動を行うのだ。噂でしかリナを知らない人間があの二人を見たら、ナーガをリナと思っても不思議ではない。うむ、至極まっとうな説だ。
 だが、この理論はSP11巻によって打ち砕かれてしまった。SP11巻86ページによると、リナは“平面胸”とも呼ばれているらしい。ナーガにこんなあだ名がつくはずない!! いいセンいったと思ったけれど、どうやらリナとナーガを間違えたわけではなさそうだ。


 人材の宝庫


 ナーガと実際に有名人になった人間を比較して考察してみよう。スレイヤーズの世界で、名の知れている人物を何人か挙げてみた。

 リナ=インバース―盗賊団を次々と壊滅させ、大物魔族を次々と倒す。L様の魔法の使い手。
 ゼルガディス―レゾの配下として悪事に手を染める。レゾに合成獣【キメラ】にされた。
 レゾ―近代五大賢者の一人。シャブラニグドゥの欠片。
 ズーマ―“暗殺者の中の暗殺者”の異名を持つ。実はヴェゼンディの大商人ラドック。
 レイ=マグナス―竜破斬【ドラグ・スレイブ】などを開発した魔道士。
 ルオ=グラオン―近代五大賢者の一人。白魔術の研究をしていた。
 シャーザード=ルガンディ―現在の魔法の道具【マジック・アイテム】の半数を発明した。
 マリウス=リンドバーグ―裸一貫から身を起こした、沿岸諸国随一の大商人。

 彼らに共通するものでナーガにないものは、ズバリ『実績』である。ゼルガディスやズーマは、あまり誉められる実績ではないが、優秀であるということは噂に広まるだろう。それに比べて、ナーガは人知を超えた生態だが何一つ実績がない。スレイヤーズの世界では、人柄よりも実績がモノをいうのだろうか。SP5巻のレイリーによると、スレイヤーズの世界は資本主義社会らしいし、あの世界でも物質的発展が絶対なのかなぁ。科学万能主義に走った我々と同じ道を歩んでほしくは……。まさか、滅びの砂漠はそれが原因で!? ……いかん、一瞬『自然保護団体』を応援しちゃった。
 考えてみれば、ナーガ以外にもレミーやジョセフィーヌさんなど、あの世界にはかなり突然変異した人々が跋扈しているではないか。今までわたしはナーガを『特別な存在』と考えていたが、それは我々の常識を基準に判断したものだった。あの世界では、彼女はどこにでもいるちょっとヘンな人なのだ。フィリアは「魔法が発展したのは神封じの結界の中だけ」と言っていた。実際、ナチスなどに迫害を受けていたユダヤ人の中には、相対論のアインシュタインや精神分析のフロイトなど、偉大な人物が多くいた。やっぱり、環境が厳しいと逸材が生まれやすいのかなぁ。
 でも、ナーガを初めて目の当たりにした人のほとんどが、恐怖に打ち震えていたような気が……。


 マキャヴェリに学ぶ


 煮詰まったわたしに光明を与えてくれたのは、なんと『ナーガ・アメリア姉妹説』であった。現王エルドランが崩御するか王位を退くことになれば、王位を継ぐのはフィルさんである。SPの段階では、第三王位継承者ランディは、フィルさん暗殺を企てたために王位にはつけないだろうから、フィルさんの後を継げるのは、ナーガ、アメリア、クリストファ、アルフレッドの四人である。
 セイルーンの世襲制度がはっきりしないが、ナーガが後継者になると仮定しよう。ナーガが女王になった後に彼女の実態が明らかになれば、これは前代未聞のスキャンダルである。国際世論の反発は免れない。最悪の場合、ナーガ即位はセイルーンの宣戦布告の予兆と周辺諸国に勘違いされ、国際紛争にまで発展してしまうかもしれない。こうなると魔族の思うツボ。何もしなくても降魔戦争再現の舞台が勝手に整ってしまう。この事態は何としても防がねばならない。未然に防ぐ手は一つ、真実を闇に葬り去ること。ナーガの数々の惨事は、セイルーンの特殊機関が全力で揉み消していると考えられる。また、ナーガが特殊機関の諜報部隊と連絡を取り合っていたと考えれば、彼女が裏事情に詳しいことも説明できるし、セイルーン王族の働きかけがあったのなら、前科8のケースでナーガが釈放されたのも納得がいく。
 セイルーンにこんな裏の顔があったとは。イメージと違うなぁ。ガーヴ一派の陰謀とも思ったが、SP8巻の『超巨大あとがき』によると、ガーヴ一派がセイルーンに介入したのは本編3巻あたりだという。ということは、やはりセイルーン王族の暗躍か。白魔術都市のわりにはずいぶん腹黒い。
 必要悪という言葉がある。ルネサンスが盛んだった頃、イタリアのマキャヴェリは、『君主論』で権謀術数を肯定し、近代政治学の礎を築いた。やはり、正義だけでは統治は不可能なのか。


 長くねーな、この国も


 だが、この理論は『ナーガ=グレイシア』が正しくなければ成立しない。果たして本当にナーガとアメリアは姉妹なのだろうか? 禁断の謎とも言える『ナーガ・アメリア姉妹説』に挑んでみたが、残念ながら、わたしの力量不足のために謎の核心に迫ることはできなかった。今回は『ナーガ・アメリア姉妹説』を仮定した上での結論ということでご容赦いただきたい。
 しかし、秘密が守られたままナーガが即位しても、お先真っ暗ではないか? 何てったってデラザック・シティ乗合馬車組合を10日で経営破綻させたのだ。彼女が王女になれば、おそらくセイルーンも1月経たずに財政崩壊。セイルーン市民は路頭に迷い、世界経済へのダメージも免れない。だからといって、アメリアが女王になっても、魔族に無謀なケンカを売ったディルスの二の舞になりそうだし、そもそも次の王がフィルさんで大丈夫だろうか?
 セイルーンお家騒動の張本人であったアルフレッドは、「僕こそがこの国の王にふさわしい」と言っていた。リナはそれを「三流以下の悪役」と斬って捨てたが、セイルーンの行く末を誰よりも案じた故の決断だったのかもしれない。










 さぼてん&まりもさんの小説『打たれ強さと高笑いのひみつ』によると、ナーガの打たれ強さと高笑いは、アメリアのヒーローごっこの悪役をやっていたためだとか。あのコスチュームなんかそのまんまだし、『ナーガ・アメリア姉妹説』の根拠としても説得力あるなぁ。アレが母の形見っていうことは、最初は母親がヒーローごっこの悪役をやってたんだけど、母の死後、ナーガが継いだということか。父フィルさんの盗賊のような顔も悪役の雰囲気作りのためかも。ああ、なんと美しい家族愛!! ……まさか、セイルーンのお家騒動ってアメリアのヒーローごっこ!?

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20459File No.4 ソフトかつ紳士的に滅びを撒く方法を見つけよ!!Dirac 2002/3/31 22:53:59
記事番号20298へのコメント


 魔族の未来は暗い。栄えある魔族第1号のゾロムはすでに過去の遺物となり、第1回人気投票では15位と健闘を見せたカンヅェルも今は風化しつつある。第二回人気投票では、魔族にマイナス票が滝のようになだれ込み、締め切り直前で初登場にもかかわらず、ラージャートはマイナス3ポイントでワーストとなっていた。名前しか出てない蒼穹の王【カオティック・ブルー】や白霧【デス・フォッグ】に到っては、その存在すら疑問視する声が上がっている。
 そんな状況に危機感を覚えたL様が、魔族のイメージチェンジを目的に、「もっとソフトかつ紳士的に滅びを撒くのよっ!」と命令していた。ムチャな注文と思ったが、その方法は至ってシンプルであった。


 異界黙示録【クレアバイブル】フル活用


 魔族が手を下さなくても、人間が勝手に自滅することは多々ある。500年ほど前、栄華を極めたレティディウス公国の王が莫大な報奨金をかけて『不死』を求めた結果、国の内外は荒れに荒れ、約2年後に王は斬首され国は滅びた。また、異界黙示録の写本が本物かどうか確認するため、試作品(ザナッファー)を写本通り製造したら、それが暴走しサイラーグが壊滅した。
 どうやら、人間は自分たちの領域を超えた力の誘惑に弱いらしい。魔道士内で、ただ単に『写本』と言う場合、それは異界黙示録の写本を指すのが普通だという。「ここに写本があるぞぉ」と公言すれば、多くの魔道士が寄ってくる。無論、その写本が異界黙示録の写本だと全面的に信じることはないだろう。書かれている内容が本当かどうか、実験するはずだ。皆さんもうお気づきだろう。写本と思われるものにとんでもないものが記載されていれば、サイラーグ崩壊が再現されるのだ。
 だが、この『ニセモノを世に広め、実験失敗によって人間を破滅させる』という作戦は、やっていること自体は以前よりソフトかつ紳士的だが、それによって引き起こされる結果は決してソフトかつ紳士的ではない。これはどう考えるべきか。……えーい、大丈夫だ! 『もっと』ソフトかつ紳士的に滅びを撒けばいいんだから、方法が以前よりソフトかつ紳士的ならそれでいいのだ。都合のいい解釈だとは言うなかれ。論理学的には(たぶん)間違っていない!!
 だからといって、先ほどのスタンスを取るのは早計だ。魔族は他人を欺くとダメージを食らってしまう(File No.2参照)という制約がある。ダメージを軽減するためには、人間たちにニセモノを流布させるのではなく、写本らしいものをさりげなく遺跡にそっと忍ばせ、人間が見つけてくれるまで待とう。直接的には欺いてはいないから、ダメージは比較的少ないはずだ。しかし本物の写本が広まっては困る。ゼロスには引き続き写本処分に従事してもらい、竜たちの峰【ドラゴンズ・ピーク】を占拠して本物の異界黙示録も手中に収めよう。異界黙示録へ続く道は竜たちの峰だけじゃないらしいから、他の入り口も制圧して、異界黙示録を人間から完全にシャットアウトしよう。いや、いっそのこと異界黙示録を跡形もなく消滅させ……いかん! 武力でもって事を進めたら『ソフトかつ紳士的』ではなくなってしまうではないか!


 コペルニクス的転回


 自然環境は、生産者(食べられる生物)が下部に、消費者(食べる生物)が上部に位置する、ピラミッド型の生態系によって平衡を保っている。生産者が増えれば消費者がその数を減らし、生産者が減れば消費者も自ずと減っていく。こうした自然の巧妙な食物連鎖によって、生産者と消費者の比率は一定となり、生態系の形は維持される。だが、この作用にも限界はある。どこかで食物連鎖が切れてしまえば、ピラミッドはたちまちその形を変え、新たな設計図を作る前に全壊してしまうことすらある。
 人間は、生態系ピラミッドの頂点にいるといってもよい。この人間の数が自然の個体数平衡作用の限界を超えるほど増えてしまったらどうなるであろうか。答えは簡単。ピラミッドはその重さに耐えきれず、即座に崩落してしまう。だが、人間はそれほど愚かではない。『一人っ子政策』などの人口抑制政策を実施するだろう。同じ悩みを抱える国がお互いに協力し合い、人類はより強固な友愛で結ばれるかもしれない。しかし、もし、魔族がひそかに出産を奨励する国や宗教が創立したらどうなるだろうか。
 許容量をオーバーしてしまえば食糧が不足してしまう。貴重な栄養源を獲得するために、殺戮が起こるのは必至だ。人々の心は荒廃し、続発する負の感情が魔族の糧となる。臨界点に近づく前に個体数削減を実施するとしても、一体誰を『削減』すればいいのかという答えのない問題に直面してしまう。極悪人が処分されればまだしも、罪もない一般市民が対象となった場合、その理不尽な死に遺族は殺意を覚える。個体数調節を繰り返していけば憎悪は波紋のように広がり、やはり魔族の力となる。
 今まで、魔族は滅ぼすことばかり考えていたが、やり方を180度変えて、人間を大量生産する戦術に転換してはどうだろうか。増やしつづければあとは勝手に滅びるだけだし、魔族のエネルギー源の増加にもなる。なおかつ、命を慈しむのは人間道徳の観点から見ても間違っていないのだから、ソフトかつ紳士的である。
 ただ、命を粗末にする人間を育ててしまったら、人口を減らしてしまいかねない。人口爆発を目論むなら、生産した人間は命を尊ぶ人格者でなくてはならない。そのような人間を育て上げるには、清く正しい環境と道徳重視の教育が必要だ。だが、それは魔族にとっては極めて劣悪な職場である。過労死続出は火を見るより明らかだ! たちまち労働争議が勃発し、計画続行は不可能となる。


 ソフトかつ紳士的滅亡計画、完成


 ソフトかつ紳士的に滅びを撒く前に、自分たちが自滅してしまっては意味がない。生態系ピラミッドのターゲットを頂上から土台に変更しよう。最下層に位置するのは植物だ。植物が死滅すれば、それを食べる草食動物が絶滅し、さらにそれを食べる肉食動物も絶滅する。このようにして、生態系ピラミッドは下から上へ順次消えてゆく。
 つまり、植物を根絶やしにすればいいのだ。人間と違い、植物は反撃手段も防御手段も退避手段もないため、人間を相手にするよりはるかに楽であり、滅びを撒く手段としてもなかなか実質的だ。ソフトかつ紳士的で、今までより簡単な手段となれば、まさに一石二鳥ではないか!
 もし、木々を切り倒し野山を焼き払うのが「ハードだ」とか「野蛮だ」とか文句をつけられるのなら、少し面倒だが、自然分解されない廃棄物を不法投棄し、環境を悪化させればいい。ここで気をつけなければならないのは、近くに人間が飲む水源がある場合、汚染をそこまで及ぼしてはいけないということだ。飲み水を汚染し、人間を無差別に毒殺しようとしたと誤解される恐れがある。それでも、ゴミ捨て作戦が「非紳士的」という評価を下される可能性がある。ならば、人手は足らず時間もかかるだろうが、世界中の種子や球根を発芽前に全て回収するのはどうだろうか。そうすれば、植物は子孫を残せず、やがて絶滅していく。この方法だと、全く破壊活動をしないのだから、ソフトかつ紳士的という条件も見事にクリアしている。
 File No.3で、わたしは『自然保護団体』を応援するのを恥じてしまったが、それこそ恥ずべき行為であった。彼らは実に正しいことをしていたのだ。魔族が照準を人間から草木に変えてしまっては終わりだ。事態は急を要する。そんなときに他人の善意なんてあてにできない。少々過激な戦法をとったのもやむを得ないだろう。さあ、みんな! 今日から浄結水【アクア・クリエイト】の特訓だ!! どうせならこの際神聖樹【フラグーン】を植えよう!!


 意味ないじゃん


 わたしが最後に発案した『ソフトかつ紳士的に滅びを撒く方法』は、思ったより有効な作戦となった。これならL様もご満足なさるであろう。魔族の将来に光あれ!
 待てよ? ゼロスやフィブリゾなら似合うかもしれないが、魔族が種集めしている姿なんてショボいことこの上ない。こんなことしたら魔族の人気が下がるのではないか? 『ソフトかつ紳士的に滅びを撒く方法』を熟考してきたのは、魔族人気上昇のためだったはず。果てしなく手間と時間をかけておきながら、不人気をさらに悪化させてどうする!? 手段のために目的を見失っているではないか!!
 そもそも、魔族に人気がないのは過去の話である。第三回人気投票では、ゼロスはリナを押さえて一位に輝き、(厳密に魔族に分類していいのかどうかは議論の余地があるが)L様は三位になられ、部下Sも同情票で十位だ。さらにシェーラ、ガーヴ、フィブリゾ、ゼラス=メタリオムも二十位以内に入り、ベスト20の30%を魔族が占めていた。最近の魔族の躍進は目を見張るものがある。時代は変わったのだ。もう魔族であるということだけで白い目を向けられる世の中ではない。
 おまけに、SP8巻の『超巨大あとがき』の最後で、L様はソフト路線を中止なされ、作者をお沈めになされたではないか!? わたしが考案した『ソフトかつ紳士的に滅びを撒く』方法を実行に移したところで、何の意味もない。一体わたしは何処へ行こうとしてたのだろうか!?
 ……ま、いいか。今回のテーマはあくまで『ソフトかつ紳士的に滅びを撒く方法』であって、『魔族の人気を上げる方法』じゃないもん。









 今回、当初のアイデアが少なかった(『ソフトかつ紳士的滅亡計画、完成』の部分だけ)せいもあって、書くのがやたら大変でした。わたし自身、書いていて妙な違和感を感じました。回を重ねるごとにレポートが粗雑なっていく気がするのはわたしだけでしょうか……。
 さて、このシリーズも4回目を迎えましたが、『特命リサーチ200X』に合わせて、タイトルを命令形にするのがいい加減ヤになってきた今日この頃です。それと、テーマが魔族ネタに偏っていることにも悩んでいます。魔族以外にも小ネタは結構あるのですが、点と点に線を引けないのが現状でして。
 ちなみに、次も魔族ネタの予定……。