◆−逢瀬の夜はかくも早し〜十二国記アニメ化記念!!(遅っ)〜−春祭あられ (2002/5/12 01:19:34) No.20793 ┣きゃー、きゃーッ!!(喜−れーな (2002/5/12 23:46:35) No.20811 ┃┗仲間見っけ♪−春祭あられ (2002/5/20 16:26:48) No.20899 ┗夢の蓬莱、夢の十二国、悲しみの人々−春祭あられ (2002/5/20 16:13:03) No.20898 ┗六太くんだぁっvv−れーな (2002/5/26 00:44:54) No.20930 ┗泰麒LOVEですv −春祭あられ (2002/5/26 01:52:57) No.20931
20793 | 逢瀬の夜はかくも早し〜十二国記アニメ化記念!!(遅っ)〜 | 春祭あられ E-mail | 2002/5/12 01:19:34 |
こんばんは。春祭あられです。 お絵かき掲示板で予告した通り、十二国記のお話を書かせていただきます。 (未熟者の私にとって、ちょいと手ごわかったです) それで、まずは十二国記を知らない人にちょっとしたご案内を。 とある世界には十二国の国がある世界があり、その世界では日本を蓬莱と、中国を崑崙と呼んでいます。 しかし、この世界と日本や中国があるこちらの世界は実際には繋がっていなくて、繋がっているのは時に起こる「蝕(しょく)」という現象のときのみです。 蝕によって蓬莱に流された子供を「胎果(たいか)」といいます。 この十二国の世界では一国に一人王がいて、一匹麒麟がいます。麒麟は天命に従い王を選び、選ばれた王は死ぬまで国を治めていくのです。 この物語は、蓬莱に住んでいた中嶋陽子と言う少女の物語。 ある日、慶と呼ばれる十二国のうちの一国の麒麟が陽子の前に現れて、彼女を王にしました。 王になる資格をもつのはその国に生まれた者のみでしたが、陽子は胎果だったのです。 そして、違う世界につれてこられ戸惑いながらも陽子は国を治めていきました。 一方変わって戴の国の麒麟も胎果でした。 戴の国ではちょっとした謀反があって、戴の麒麟―――泰麒は蓬莱に逃げ込み、帰れなくなっていた所を陽子(他多数)に助け出してもらったのでした。 実際の原作ではここまでしか話は出ていません。 私のこれからのお話は、この戴の謀反が収まり、無事国が落ち着いたことを前提に作っております。 平にご容赦下さい。 逢瀬の夜はかくも早し 陽子が書卓(つくえ)に向かい書簡を読み上げていると、窓辺に鳥が止まった。 ―――青鳥だ。 青鳥はその種類により所有する国が違うため、一目でそれが何処の国の青鳥なのかが分かる。そのため、一目その鳥を見て陽子は我が目を疑った。 かつて復興に力を貸し、近日無事王朝を再建した国。“戴” 頭を撫でると、その青鳥は凛とした男の声で用件を伝えた。 述べられた内容に多少驚きはしたが、嬉しさについ顔を綻ばせるのだった。 「景麒(けいき)、聞いたか?戴の使節として泰台輔(たいたいほ)が来られるそうだ」 隣にいる仏性面の顔を覗き込むと、わずかに複雑そうな顔をする。 「何故主上は私にお聞きになられるのか。共にここで聞いておりましたので、存じ上げております」 「そうだな。ただ、お前が泰麒には妙に優しかったと聞いたから。さらには弟のように思っていたとも。だから反応を楽しみにしていたのだが」 「何処でそんなことをお聞きになったのやら。私はそんな風に泰台輔に接したことは一度も有りません」 さらに困ったような、それでも嬉しそうな、なんとも形容のつかない顔をした景麒を見て陽子は声を上げて笑った。 「泰台輔、お久しぶりです。お元気そうで何よりです」 玉座から見た泰麒は本当に元気そうであった。戴が復興する前、泰麒を蓬莱から連れ帰ってきた時の土色の顔ではなく、緊張しているせいかほのかに桃色に頬を染め上げている。 「いえ、景王(けいおう)も元気そうで何よりです。その節は大変お世話になりました。今回は、その礼にきた次第にございます」 「そんな気を使われなくとも良かったのに。まだ戴も完全には落ち着いていないというのに来て頂けて本当に嬉しく思っている。慶と戴は虚海(きょかい)で隔たれている分さぞお疲れだろう。正史の方々もゆっくりと休まれるといい」 陽子が笑うと、泰麒も「有難うございます」と言ってにっこりと微笑んだ。 その姿があの愛らしかった幼い頃の面影と重なる。複雑な思いはしたものの、この成長に景麒は嬉しく思った。 その夜。泰麒の滞在する客間の扉が叩かれた。 月が現れるほどの宵に、さらには宮殿内を自由に歩ける者など数が知れている。しかし、その多数に心当たりがあったため、泰麒は訝しげに首を傾げた。 あまり用心無しに扉を開けてはならないかもしれない。 その昔、以前ここを訪れたときに泰麒は目の前で陽子が謀反者らに襲われたことがある。今回と同じように宮殿にて。もう良くは覚えてはいないが、確か客間であったと思う。 「どなたでしょう」 戴でも襲われたことがあった。あれはもう本当に昔。まだ幼かった頃。 信じていた阿選(あせん)が刃を上げた。 もう二度と用心を怠ったりはしてはいけないのだと言うことは学習済みである。 そのために不信気な態度が声にも現れてしまったのだろうか。扉の向こうから苦笑したような声が返された。 「私だ―――あ、いや、中嶋陽子です。入ってもよろしいだろうか」 「景王?すみません、無礼を。どうぞお入りください」 扉を慌てて開けると、その先には赤い髪の凛々しい女王が笑っている。 「謝らなくてもいい。無礼は私のほうだから。こんな夜中に失礼する」 「気にしないで下さい。こうして訪ねてくださるだけで僕は嬉しいです」 「話をしようかと思って。ええと、高里要(たかざとかなめ)くんでしたよね」 陽子に椅子を勧めながら泰麒は久しぶりに聞いたその名前に苦笑した。 「はい。そのために驍宗(ぎょうそう:戴の王様、泰王)様には蒿里(こうり)という字(あざな)をいただきました。景王の字は確か赤子(せきし)と」 その名に、今度は陽子のほうが苦笑した。 「ああ、まあ。だけど、高里君にはどちらかと言うと陽子と呼んでもらいたい。いつまでも景王だとか、主上だとか、その赤子だとかで呼ばれると落ち着かないんだ。何のために平伏を廃したと思っているんだか。・・・・・・まだ慣れぬ私は変だろうか?」 「いえ、多分それが胎果としての普通の反応なのでしょう。僕は蓬莱での生活がちょっと嫌だった。だからこうなったんでしょうね。変なのは僕のほうだ」 お互い目が合うと、理由もなく笑った。 泰麒も陽子も胎果だった。共に同じ時期を蓬莱で過ごし、こうやって話をしていてほっとするのは、陽子はもちろんのこと、泰麒自身も嫌いだとは言いつつも蓬莱を懐かしんでいる証左だった。 「そういえば、僕、以前蓬莱で景王―――じゃなくて、陽子さんに似た人に会った事があるんです。貴女を見ているとそれを思い出す」 「私に?まあ、あちらにいた時期は大体同じだから分かるけど、住んでいたところが違っただろう?」 その言葉に泰麒は大きくうなずく。 確かに泰麒が住んでいたところはいわば田舎であったし、陽子の住んでいたところは都会だった。しかも関西と関東という違いさえ出ている。 「あれは僕が修学旅行に東京に出てきた時の事でした」 泰麒―――要は班行動だと学校の先生に散々言われていたにもかかわらず、皆からはぐれ、一人で東京の町を歩いていた。だが、それは班員達が故意にした行為でもあった。 そんなことにも気付かず、要はひたすら自分を罵り、罪悪感に肩を落として歩き続けていたのだった。 そんな時、前を見ていないと言う不注意の所為でとある女性に真正面から衝突してしまった。 「あ、あ、すいません!!」 そしてまたしても不幸なことに、鞄の中身を全てぶちまけてしまった。 女は少し驚いたように声を上げたが、その場に座り込み要の荷物を一緒に拾い上げだしてくれた。 「大丈夫?ぶつかってごめんなさい」 優しい声は、明らかに要に非が合ったにもかかわらず自分に非があったかのように謝っていた。 「僕がいけなかったんです。すいません。それに荷物まで」 「ううん。別にいいの。―――それより、中学生?」 「え?あ、はい。修学旅行で」 「そう。東京は人込みが多くて見るところなんかないでしょう?」 苦笑したように女が言う。 「そんなことないです。こんなに人がいっぱいなのは初めて見ました」 「そう、そうね。人がいっぱいなのが嬉しい時もあるのよね。・・・はい。これで最後」 「有難うございます」 「それじゃあ気をつけてね。さようなら」 少し悲しそうに微笑んで、女は去っていった。 その後姿を見ながらいい人だな、と要は思った。今まで自分と話す者達は恨みや軽蔑こもった目でしか話さなかったためだ。 「赤い髪の女性ってのも初めて見た」 髪を染めているのは不良だけではないというのを、新たに認識したのだった。 「その女性がとても陽子さんに似ているんです。赤い髪はもちろん陽子さんの方が鮮やかだし、顔もまったく違うけど、その―――」 「私だ」 「え?」 驚いたように、唖然としながら陽子が言った。 「その女は確かに私だ。なんだ、そうか、会ってたんじゃないか。要と私は蓬莱でも」 「彼女が、陽子さん?本当に?」 泰麒には俄かには信じられなかった。そんな偶然が起こり得るのだろうか。 「ああ。そのことなら覚えている。何故だか忘れられなかったんだ。ひょっとしたら胎果同士という勘がはたらいたのかもな」 「そんな。僕達がめぐり会っていたなんて。凄いな、偶然というのは」 「天意だったのかもしれない」 「そう、天は蓬莱でもはたらいていたのかもしれない」 なんて素晴らしいことなのだろうか。 その夜、月が沈むまで二人は語り合った。 内容は蓬莱の話しではない。慶の政情、戴の政情、慶の現状、戴の現状。 さらには景麒の話しまでもした。 逢山での景麒の様子には納得しつつも陽子には俄かには信じられない態度ばかりだった。 こうして、二人の夜は過ぎていった。つまりは慶と戴の親交の夜は各国に平等にして過ぎていった。 楽しい夜は、あっという間なのだ。 短くてわけもわからないが、とにかくこれにて終了。 お疲れ様でした。 ではまた会えることを祈って。 春祭あられ |
20811 | きゃー、きゃーッ!!(喜 | れーな E-mail | 2002/5/12 23:46:35 |
記事番号20793へのコメント きゃぁきゃぁきゃぁ十二国記ですのね――――ッッ!?(>▽< あ、いや。とんだ失礼を。少々舞い上がり過ぎてしまいました。 こんばんわ、れーなと申します。はじめましてかと思います・・・が、違ったらゴメンナサイです(汗 何しろレスつけるのは本気で久しぶりで、失礼ながら何方と面識があったのやら、乏しい記憶力では覚えられておりません・・・(失礼過ぎ・・・ こんなんですが、以後宜しくして下されば嬉しいです〜 十二国記は、実は最近ハマったばかりなのです〜v昨日ようやく全巻集め終わったところでしてvお陰で金は底をつきましたがv(涙 アニメは見たことないのですけど・・・、面白いですか?? 凄いですね〜十二国記のお話ってなかなか書き難そうなのに。 なんてゆーか、あの独特な雰囲気?を出すのが難しそうで。それに言葉使いとか・・・お上手で尊敬です〜 泰麒(変換大変です・・・)が出てくるお話なのですね〜。 原作では戴国、どーなったのか書かれてなくて、ひっじょーに気になってるんですが(笑) しかし陽子と泰麒が十二国側に来る前に会っていたとは・・・なかなか美味しいですねvv(馬鹿者 まぁ冗談(冗談?)はともかく。天意って時々ウザかったり(をい)しますけど、こーゆーのがあったりすると結構素敵ですね♪ なんか感想になってないよ―な気もします・・・すみません。 ではでは。最初から最後まで支離滅裂ですが、この辺で失礼をば。 |
20899 | 仲間見っけ♪ | 春祭あられ E-mail | 2002/5/20 16:26:48 |
記事番号20811へのコメント れーなさんは No.20811「きゃー、きゃーッ!!(喜」で書きました。 はじめまして、れーなさん。今回レスを有難うございました。 そしてものすごく遅くなってごめんなさい。(滝汗) >きゃぁきゃぁきゃぁ十二国記ですのね――――ッッ!?(>▽< 十二国記です!!私も大好きなのです!! >あ、いや。とんだ失礼を。少々舞い上がり過ぎてしまいました。 >こんばんわ、れーなと申します。はじめましてかと思います・・・が、違ったらゴメンナサイです(汗 はじめまして!大丈夫です。本当にはじめましてなのです。 >何しろレスつけるのは本気で久しぶりで、失礼ながら何方と面識があったのやら、乏しい記憶力では覚えられておりません・・・(失礼過ぎ・・・ >こんなんですが、以後宜しくして下されば嬉しいです〜 はい!よろしくなのです! 不束者の春祭ですけれども、こんな私でよろしかったらこちらこそ宜しくお願いします。 >十二国記は、実は最近ハマったばかりなのです〜v昨日ようやく全巻集め終わったところでしてvお陰で金は底をつきましたがv(涙 おお!実を言うと私もなのです!私も最近読み終わりました! そして、自分では一巻も持っていません!全部友人に借りました!!(偉そうにするなよ、そんなことで) >アニメは見たことないのですけど・・・、面白いですか?? まだ月の影影の海なので、陽子さんがじめじめしすぎなのと、オリキャラが二人出てます。 しかも陽子さんの学校が共学になってて、同じ学年の女の子と男の子が二人一緒に十二国に来ちゃいました。 どないするつもりなんだろう?? >凄いですね〜十二国記のお話ってなかなか書き難そうなのに。 むずいです。それに失敗しましたし・・・・・・(涙) >なんてゆーか、あの独特な雰囲気?を出すのが難しそうで。それに言葉使いとか・・・お上手で尊敬です〜 いやあ、そんな・・・・・・(照) 有難うございます。嬉しいです。 >泰麒(変換大変です・・・)が出てくるお話なのですね〜。 >原作では戴国、どーなったのか書かれてなくて、ひっじょーに気になってるんですが(笑) 私も気になりまくりです。 何であそこまで長々とやったのに、結局泰王が見つからずに終わるのですか?!的な感情が・・・・・・ 早く続きが出ないかなぁ・・・楽しみだなぁ・・・ >しかし陽子と泰麒が十二国側に来る前に会っていたとは・・・なかなか美味しいですねvv(馬鹿者 ですよね♪ 美味しい展開だ♪ >まぁ冗談(冗談?)はともかく。天意って時々ウザかったり(をい)しますけど、こーゆーのがあったりすると結構素敵ですね♪ 確かに、戴の事件では天意は果てしなく邪魔でしたね。あれのせいで何にも助けること出来なかったし。 でも、天意があるから十二国は国の領土が変わらず、植民地もなく暮らせるのですけどねぇ・・・大変だ。 >なんか感想になってないよ―な気もします・・・すみません。 いえいえ。こうやってレスくれるだけでとても有り難いのです! >ではでは。最初から最後まで支離滅裂ですが、この辺で失礼をば。 本当に有難うございました! これからも十二国について語らっていきましょう!(笑) では、また会えることを祈って。 春祭あられ |
20898 | 夢の蓬莱、夢の十二国、悲しみの人々 | 春祭あられ E-mail | 2002/5/20 16:13:03 |
記事番号20793へのコメント はふん。またしても十二国記を書いてしまった春祭です。 今回は、我が友に何か延麒の出てくる小説を書いてくれとせがまれましたので、泣く泣く頑張って書きました。 相変わらず難しい! しかも、今回は何も資料無しに書いたものだから本来の小野さんの書き方がいまいち分かりませんでした! さらに自分風にすればいいものの結局は中途半端に・・・・・・ それでも良いと言う方は、どうぞお読みください。 夢の蓬莱、夢の十二国、悲しみの人々 あれがもう7年以上も前の事だと思うと、六太は笑いたくなった。実際笑えるほどの余裕はなかった。身体全体が疲れ果てている。 狂おしいほどに押し寄せてくる睡魔に身を預け、目を閉じれば、あのときの蓬莱の様子が浮かんでくる。 六太はそのまま夢に落ちた。 もう死んでいるかもしれない幼い泰麒を捜していた。 一向につかめない麒麟の気配に、六太は焦っていた。また、あきらめてきてもいた。 改めてあたりを見回して、思う。 ここはずいぶんと変わった。 まず、飢えた民が見られない。昔はあちらこちらにいた浮浪の民は裏通りの、しかも片隅でしか見られず、腹の満たされた人々が溢れている。 幸せなことだと思う。 未だ雁(えん)では難民を加え、食事をまともに取れない民が大勢いる。それでも雁は豊かな国だと言われているのだ。それだけ他国はなお悪い。 北の国になればなるほど冬を越せない民が出てくる。 幸福なる夢の国、蓬莱。 そう呼ばれる所以はここにあるということなのだろうか。 だが六太は麒麟ゆえ、感じる。皆、幸福ではない。行くる人々の顔には悲壮を浮かべ疲れを浮かべ、強いて言えば浮浪の民と何ら変わらない。 その苦痛の叫びに六太は目を閉じた。 麒麟の胎果が蓬莱で長く生きられない所以も、またここに一つあるのだろう。 自分の生を受けた、あの戦国の世より幾分ましであったとしても。 人込みでの長居はもうこれ以上できない。 六太は大きく踵を返し、その場を離れた。 一度大通りから外れれば極端なほどに人影は消え、しばらく進めば目前に据え広がる海原が現れる。 そういえば尚隆と初めて会ったのも海であった、と、六太は否応無しに思い出した。あの頃の人々の苦痛も、また凄まじいものであった。 六太の目が海岸のある一角に止まった。紅い花を手に少女が佇んでいた。 よくよく見ると、その花は彼岸花であり、その一輪を少女が持つには不応相過ぎる。 「おい」 六太は気付いたら言葉をかけていた。その違和感は声をかけるのに十分な存在を誇示していた。 「おまえここでなにしてるんだ?」 少女の目が六太を映す。その様子が、酷く煩わしそうだ。 「海を、見ているのよ」 影を落としているようにも見える顔をしながら、その口から軽やかな鈴の音のような声で少女は答えた。 相変わらず、煩わしそうに六太を見ながら、少女は首を傾げた。 「お前も不思議な髪をしているのね。その金髪に和の顔は似合わない。それとも人間ではないのかな?」 「何故、そんなことを言う?」 知らず知らずのうちに六太はうろたえていた。今の自分は、その昔この蓬莱で過ごしてきた時と同じ姿をしているのだ。もちろん金髪ではありえない。 あまつさえ、人間でないことなど、見破られるはずがない。 少しではあるが、わずかに後ずさりした。 「私のいとこにもいる。あいつはまだ鋼色だ。まともな姿に見えるが光沢が違う。人間ではないのに周りの大人は信じない」 「鋼・・・・・・黒麒麟?」 「そう、ちょうどお前の黒い姿のようだ。額に、物の見事な角が生えている」 六太は何もかも見透かされたような気がした。実際見透かされていた。 しかしこれが真実であるのならば、この少女の親類が麒麟であり、尚且つ泰麒であることは否めない。確実な情報を手に入れたのだ。 「そいつは今、何処にいるんだ?」 「悲しみの中。紅い彼岸花の中に身を潜め、自分が何で悪いのかを探している。彼は悪くない。少なくとも私はそう思っている。だが、周りの大人は信じない。私の言葉も、彼の言葉も」 自傷するかのように薄く笑う少女を愕然とした面持ちで見た。 彼女の心は辛すぎた。六太には、これも辛い。慈悲深いと自分で思ったことはなかったが、それでも気にかけてしまう。 「むこうに。私が案内しよう。所詮はもう、自由の身だ」 はっと、気付いた。 少女の生気がしない。しかし死臭もしない。だが、六太は幽体の存在は信じない。それでも、信じずにはいられない状況でもあった。 少女が笑って歩き出す。 その後を六太は暗い面持ちでついていった。 ついたところはこの現代においてはいわゆる普通だと言える一軒家であった。 六太にとっては、贅沢な家だ。自分が生きたあの戦国の世で、ここまでの家は地位の高い貴族や商家しかもてなかった。 そのために、六太は実の親に捨てられたのだ。 その家の中からは確かに麒麟の気配があった。間違いない。泰麒がこの中にいる。 「要があなたの探している人なのね」 少女は言った。 「ああ。そのために俺はここにきた」 六太はもう否定しなかった。隠さなきゃいけないことではない、信じてくれるなら下手な嘘はつかぬほうがやりやすい。 「あの子を連れて行くの?」 それについては首を横に振る。 「俺は探しにきただけだ。迎えに来るのはたぶん逢山の仙女だろう」 「私もそこにいけるかしら」 「それは無理だ。只人は蝕に通ることはできても無事でいられる確証がない。向こうへ行けば、こちらに帰ってくることは一生できない。おまけにお前はもう死人(しびと)だ」 少女は悲しげに笑うと、仕方ないわね。といって承諾した。 彼女は六太の言うように死人であった。昨年の世において不慮の死を遂げているのだと自分で言っていた。 「確認も出来た。そろそろ帰らんと尚隆がまた遊び呆けてるかもしんねーな」 「それはだれ?」 「俺が選んだ王様。いずれあの国を滅ぼすだろう」 彼を選んだときに思ったことを、六太は未だに感じている。 「破滅の王を貴方はわざわざ選んだわけだ」 「天命に逆らうことは出来ない。天命に従って王を選ぶのが俺たち麒麟だ。選択権はまったくを持って存在してないんだよ」 「それでも、楽しそうね。そこは」 見た目の年齢に似合わないほどの貫禄ある声で少女は呟いた。少し間を置いてから六太は小さく肯いた。 「楽しいと言えばそうかもしれないが、それは人生観にもよるだろうな。少なくとも、尚隆は苦すらも楽しんでいる。それが俺にも伝わるんだ」 「ならあの子がそういう王様を選んでくれますように、孤独の悲しみをもう味あわなくてもすむように。私は祈るわ」 少女が言ったとき、年の頃十くらいの男児が家に帰ってきた。その少年が、麒麟の軌跡をはっきりと紡いでいる。彼なのだとはっきりと悟っていた。 少女もその少年を見ていた。優しい、哀れみの目で見ていた。 「さて、私は貴方の名前を聞いてなかったわ」 「俺こそ聞いてねえよ、お前の名前なんか」 お互い目を合わせて笑う。 「高里遙(たかさとはるか)よ」 「六太だ。苗字なんて偉いもんは持ってないんだ」 飄々としたその言い方に、遙はさも安心したかのような顔を見せ、光の粒子となって消えていった。 遙の正体が何であるかはもう六太には分からない、しかし気にすることもなかった。 遙は遙だと思うだけだ。 「良い王かどうかは、天命次第なんだけどなぁ」 「六太、六太。大丈夫か?」 目を開けると、まず始めに男の顔が見えた。六太のよく見知った顔であるそれは延王尚隆だった。 隣には赤い髪の女も見える。慶東国女王、陽子だ。 床で眠りに落ちたところまでは覚えていたが、今は天蓋の中にいた。きっと尚隆が運び出してくれたのだろう。 「おう、眠ったおかげでちょっと気分は良くなったぜ」 「それは良かった。六太、向こうの様子を教えてもらえないか?」 陽子の瞳を見ながら六太はいつも思うことを今回も思った。 陽子の瞳はだいぶ変わった。力強く、責任感があり、頼れる。今も真摯な瞳で蓬莱のことを、泰麒のことについて悩んでいる。瞳は心を表すものだ。 昔は違った。はじめてあった時、力強さはそこそこあったものの、儚げな物があった。それは今夢に見ていた少女に、遙に似た物があり重ね合わせるのは容易だった。 どこか共通するところがこの二人にはあった。 「泰麒は未だ見つからない。でもあの街にいるのは間違いない、必ず見つけるさ」 でないと遙に辛い目にあわせるなと叱られそうだ、という言葉を六太は苦笑しながら飲み込んだ。 終了。 ちーん。 なんかぱっとしない終わりかただなぁ・・・なんて突っ込みはあえてナッシング! では、また皆様に会えることを祈って。 春祭あられ |
20930 | 六太くんだぁっvv | れーな E-mail | 2002/5/26 00:44:54 |
記事番号20898へのコメント こんばんわ!れーな@テスト中でっす☆ コメント書くのこーんなに遅くなってしまいました・・・。 てか、もーすぐツリー落ちちゃうじゃん(汗 何はともあれ十二国記第2弾ですね〜♪ くふふふふv顔がにやける・・・(怪しいってば 今回は六太くんが出てるのですねーv 高里遥さんがいい味出してます・・・v なんか、儚げな感じ。死人だからでしょーか。 六太くんはなんか、もー原作とそっくりとゆーか。惚れます・・・(をい 春祭さんて、もしかして泰麒好きですか?? いや、前作にも出てきていたので・・・。あたし的には、ちっさい時の可愛らしかった彼が好きです〜(^^ あぁでも一番はやっぱり陽子ですv ・・・て。読み返してみれば書いてる事やっぱり滅茶苦茶だ死(−△−;; ごめんなさい感想書くのは苦手なあたしです(汗々 ではではー。中途半端な長さですが。(爆 |
20931 | 泰麒LOVEですv | 春祭あられ E-mail | 2002/5/26 01:52:57 |
記事番号20930へのコメント れーなさんは No.20930「六太くんだぁっvv」で書きました。 > >こんばんわ!れーな@テスト中でっす☆ こんばんは!またまたレス有難うございますなのです! >コメント書くのこーんなに遅くなってしまいました・・・。 >てか、もーすぐツリー落ちちゃうじゃん(汗 いえ、くれるだけで、本当に嬉しいです!普段あんまり来ないので・・・ >何はともあれ十二国記第2弾ですね〜♪ >くふふふふv顔がにやける・・・(怪しいってば 二弾。頼まれて書いたのですが、テストが近かった所為もあってだいぶ焦ったのを覚えています。 でも、やはり十二国記仲間を見ると、私も顔がにやけるのです。うふふふ >今回は六太くんが出てるのですねーv はい。それがリク内容でしたので。 頑張りました(泣) >高里遥さんがいい味出してます・・・v >なんか、儚げな感じ。死人だからでしょーか。 最初はあんな女の子じゃなかったんですよ。死んでなかったし。 でも何時の間にか、気付いたら死んでて、尚且つ正体知ってるしぃーっ的な展開が・・・ しかし私でも不思議なのだが、何故麒麟だって分かったんだ??(おい、作者だろ?しかもオリキャラだろ?!) >六太くんはなんか、もー原作とそっくりとゆーか。惚れます・・・(をい うわ、有難うございますv 私も六太すきですv >春祭さんて、もしかして泰麒好きですか?? 大好きです。 >いや、前作にも出てきていたので・・・。あたし的には、ちっさい時の可愛らしかった彼が好きです〜(^^ 私も幼かった頃の愛くるしい泰麒が大好きです。 成長したときのことなど想像すると涙が出てきます。 どうして幼いままじゃないの?! >あぁでも一番はやっぱり陽子ですv かっこいいですもんねぇ。 私の友も、陽子好きです。 ちなみに私の父親にしたい人NO.1は延王こと尚隆ですv >・・・て。読み返してみれば書いてる事やっぱり滅茶苦茶だ死(−△−;; >ごめんなさい感想書くのは苦手なあたしです(汗々 私も感想は苦手なので、その気持ちわかります! 大丈夫ですよ。私も言ってること支離滅裂ですから! >ではではー。中途半端な長さですが。(爆 ではまたー。今度十二国のお話で大きな花を咲かせたいものです(笑) 春祭あられ |