◆−my state of mind<2>−春祭あられ (2002/6/2 01:52:52) No.20959
20959 | my state of mind<2> | 春祭あられ E-mail | 2002/6/2 01:52:52 |
恐れ以外の何かを、この者達は向けてきてくれるとは分かっていたけど。―――それがこんな遊びをしなくても、だけど。 不安に思う時だって確かにあったのだ。 My state of mind その日半日でもラズ少女と話をしたりして、彼女が大変器量良しであることが十分窺えた。 リナ達には、性格に一癖難癖ある者達にしかあったことがないといっても過言じゃない環境にいたこともあり、かなり安堵していた。 の矢先だったのに。 やはり彼女には一癖どころか難癖以上の物が合ったことが、翌朝発覚したのだった。 朝一番に起きたのはゼルガディスだった。 目を開けると、そこにラズがいない。 不思議に思ったが、昨日の事もありそう遠くへはいっていないだろうと彼は判断した。 実際、彼女は確かに遠くへはいっていなかった。いたのは近くの小川。 そこで顔を洗っていた。 「早いな。よく眠れたか?」 旅に慣れていない者が、野宿でよく眠れないことは十分承知していた。だからこその労いの言葉。 「よく眠れるわけないじゃない。ま、やったことなかったから新鮮ではあったけど?」 肩をすくめて言うその姿は、確かに姿形はラズその者でも雰囲気、オーラがまるで違っていた。 別人に会ったような、そんな錯覚に陥る。 だがこういう状況に慣れてしまった不幸なゼルガディスは、何事もなく受け止めてしまった。 「まあ、野宿は慣れないうちは痛くて眠れない物だしな。今日の夕方あたりに町につく。そしたらそこで・・・そうだな、しばらくは教会にでも世話になってるといい」 教会を通じて孤児院に入れてもらえたりするのだから。 旅の多い、さらに魔族に狙われやすい自分達一行に記憶喪失の、しかもか弱そうな少女を共に連れて行くことはなんともはばかれるというのが全員一致の(そうでない者も約一名いたが)意見だった。 「何バカな事言ってるの?そんな事しないわよ。あんた達についていかなきゃこれは意味がないのよ」 「・・・・・・?何を言っているんだ?」 「あー、後で話すから。朝食なんかと同じ時に。OK?」 「お、おーけい」 ノリというのは何処にでもあるものだ。軽く言われればゼルガディスもそのノリで軽く返してしまった。 返事に満足したのか、ラズはにっこりと笑うとその場から去っていった。 去りざまに「あー、鮎の塩焼きが食べたーいわー」という言葉にはっとする。 明らかにラズの性格から考えられる言葉ではないのではないか?今までの軽いノリも、リナに似たところがあって気付かなかったが・・・・・・ ―――気付くの遅すぎ。 何かが変だと思いつつも、結局は顔をしっかりと洗ってからゼルガディスはラズの後を追いかけていった。 「あ、おはようございます、ゼルガディスさん」 もう全員起き出していて、さらには朝食の準備までしっかりと整っていた。 しかもラズの姿もきっちりある。 「遅かったわねー。何やってたのよ30分も」 ラズが呆れたように呟いた。 「そーよ。川でラズに会ったって言うじゃない。水浴びでもしてたわけでもあるまいし」 「ラズを探してたんだよ」 「あたしならここにまっすぐ帰ってきたわよ?その後お腹がすいたから皆をたたき起こして回ったんだけど」 やはり思う。何かが違うぞ彼女の性格は昨日と!! 昨日は夕食のときに「食べ物を分けてくださって本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。有難うございます」と言って何度も何度も頭を下げていたというのに! 「何でそんなに性格が豹変してるんだ?!」 「ま、今皆そろってるし。話してもいっかなー」 ぽりぽりと頭を掻く彼女に、皆の好奇心の目は向いた。 そういえば。 はたとリナが気付いた。ラズの瞳の色が昨日と違っている。 髪の毛と同じだった銅色の瞳は、金を帯びた色に変わっているではないか。 「あ、リナったら気付いた?さっすがよね。一番に気付くのリナだと思ってたわv 」 まるで心を読んだかのようにラズが答えた。 「さーて、皆してあたしの事をラズって呼ぶけど、正確にはあたしはエルザよ」 パンパンと尻をはたきながら立ち上がり、堂々と胸を張る。 いかにも偉そうで、自身たっぷりだった。 「ラズじゃなくて、エルザ?どっちが本当なんですか?」 「んー?今はエルザ。“今”はね。・・・・・・いいかげん気がつかない?」 「おお!わかった!」 急に声を上げたガウリィに全員が目を向ける。 ラズ―――エルザもまさかガウリィがわかったと声を上げるとは思ってもみなかったのだろう。 ちょっと目を大きくしてから面白そうに笑う。 「あらガウリィ。その頭にはまだまだ固形の物が残っていたようね。良かったわね、完璧ヨーグルトになってなくて」 「おうよ!お前実は双子ちゃんだろ!だってよく似てるもんなー」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・あほ。昨日いたのはラズ一人だったでしょうが。どうやったら双子がそこにいることになんのよ」 ごづっ・・・・・・と音がしてガウリィが沈んだ。 エルザの放った蹴りが、見事にヒットしたのである。 悶絶しているガウリィを呆れたように見てからリナは聞いた。 「まって、確か事例を聞いたことがあるわ。多重人格症・・・・・・一人の人間の中に多数の人格が存在するって・・・まさかそれ?」 「おい、何だその多重人格症ってのは?!そんなのがありえるのか?!」 「ゼルはあんまし聞いたことないかもしれないけど、アメリアあたり孤児院で聞いたことあるんじゃない?」 話を振ると、彼女は切なそうに肯いた。 「はい」 「そーいうこと。当たりよ。あたしの中には複数の人格がいて、それの主人格が誰だかあんた達に見つけて欲しいわけ」 「主人格が分からない?」 普通、主人格ははっきりしていることが多い。というより、主人格がはっきりしていない症例は今のところなかった。 リナとアメリアが不思議そうにすると、エルザは手のひらをはたはたと振ってまるで他人事のように、世間話のように話す。 「そーなのよ。この間全人格の記憶が吹っ飛んじゃってさ、誰が誰なんだかさっぱり分からないわけ。中には名前のわからないくらい重症な子だっていんのよ。で、あんた達の旅についていって、あんた達に主人格を見つけて欲しいのよ」 「待て、何故俺たちの旅についてくる必要がある?悪いが俺らはしょっちゅう魔族に狙われている。身の保証はないぞ?」 「断る権利は初めからないわ。それに、身の安全だったらこっちもある程度戦闘慣れしてる人格があるから大丈夫。伊達に18年も生きちゃあいないわよ」 「断る権利がないってどういうことよ」 あまりに一方的な展開に、リナのこめかみに血管が。 「そのまんまの意味。ま、後々わかると思うけど・・・・・・とりあえずヒントとしては、これが運命だと思ってあきらめることね?かしら」 にっこりと笑うエルザ。はっきりといって、この女は間違いなく悪女の部類だ。 リナは、珍しく温厚に事を進めようと、怒りを無理に抑えていて、顔が赤くなっていたりする。 「あんた、まさかとは思うけど記憶あるんじゃないでしょうねぇ・・・・・・」 「さあ?」 「さあってっ?!」 「じゃ、よろしくねv 」 にっこりと笑ったきり、エルザはその場に倒れ伏した。 目を硬く閉じ、寝息のような物をたて、不自然にも地面に横たわっている。 「ちょっと、エルザ?!」 波乱な朝から始まる波乱な旅―――――――――今始まる。 エルザ。 年齢およそ18歳。 彼女に記憶があるのかどうかは不明。 ◇◆◇◆◇◆◇ こんばんは。春祭です。 妙な小説の第二段をお届けにまいりました。 この間中間テストがやっと終わって、さあ頑張るぞ!と思っていた矢先に英検が・・・・・・ しかもレベルが手の届かないところを受験することになったのでやばい感じです。 またまた勉強シーズン(?)到来!! 誰か助けてプリーズ。 私の身代わりになって!! できれば、小説を書く身代わりじゃなくて、英検を代わりに受けてくれる、しかも頭のいい身代わりが欲しいなぁ。(話し良すぎ) なんだかんだで、この小説、早くも最初に想像していた私の思惑から外れてきました。(早すぎ) 行き当たりばったりでかいてるから、最後がどうなるのかもう分かりません。(笑) どうしましょ。 だからもうハラハラですよ、書いてて。 とりあえず、頑張っていこうとは思いますけど。 読んでくださってる方々、これからも宜しくお願いします! また皆様に会えることを祈って。 春祭あられ |