◆−お久しぶりで御座います。 〜rainy season(ガウリナ)−花姫 (2002/6/2 22:24:17) No.20963
 ┗はじめまして−のの (2002/6/12 07:08:35) No.21001
  ┗初めまして、有難うございました♪−花姫 (2002/6/13 22:29:33) No.21009


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20963お久しぶりで御座います。 〜rainy season(ガウリナ)花姫 E-mail 2002/6/2 22:24:17


お久しぶりで御座います。・・・とは言ったものの初めまして、の方がいいでしょうか。花姫と申します。
ふと気がつけば前回の投稿から半年近くたっておりました(汗)
時々読みには来ていたのですが、それだけで。書きもせずレスもせず・・・。

ガウリナ短編です。
甘いようなそうでないような・・・・。シリアスではありません。ガウリイさんの一人称です。
短いですがどうぞお付き合いくださいませ。

*****************


rainy season
























雨が。


































一つ一つのほんの数滴の水が寄り集まって、音を立てている。












ざぁざぁと。













静かなようで、ひどく耳に残る音。

人の声も聞きにくい、聞こえない。






















落ち着かない。




湿気を吸った重々しい空気のせいだろうか。



























「ったくいつになったら止むのよこの雨は」









テーブルの向かいに腰掛けたリナが今日もまた不機嫌そうにグラスを傾けている。



雨に足止めをくらって、すでに3日。
この町に着いた時は暑くて干からびそうな程だったというのに、翌日から降り出した雨で、河の氾濫土砂崩れ。
どうせ急ぐ用もないし―――と、思っていればこのザマだ。
結局今日も雨足に多少の変化はあったものの、太陽は顔を見せぬまま夜が来た。






「しょうがないだろ。そういう季節なんだ」
「・・・・じゃあ、あんたはこのまま梅雨が終わるまでここにいることになったとしても文句無いっての?」



じろり、とこちらを睨みつけてくる。


出かけることもできずにストレスが溜まっているだろうとリナを酒場に誘ったのだが、良かったのか悪かったのか。
さっきからイライラの赴くままに八つ当たってくれている。
まぁ、酒の入った赤ら顔で何を言われても気にならないし、ストレス発散になっているならそれでいいのだが。





「そこまではごめんだ―――けど、どうせ何か次の町に目的がある訳でもないんだし」
「だからってこの町にいてもなんっっにも面白いことないじゃないっ!!」





グラスをテーブルになかば叩きつけつつ、リナは大きなため息をつく。



「退屈だわ」
「何もできんからな」
「いい加減この雨なんとかしなさいよガウリイっ!!」
「それを俺に言うのは無茶だと思うぞ・・・・・・」




大体、それならお前さんなんで魔法でも何でも使ってここを出ようとしないんだ?





言ったらリナはぷいと横を向いて、使いたくても使えないのよとこぼした。



「そりゃあまた、狙ったように来たもんだな」
「悪かったわね」
「悪くは無いさ。 あ、じゃあイライラの原因もひょっとしてそれか?」
「・・・・女は大変なのよ。 それをまったく幾日も幾日もざーざーとっっ!!
 これじゃあストレスが溜まってくばかりじゃないっ!!」






持て余した感情をぶつけるように、リナは飲み、食べ、喋る。

俺はとりあえず聞き役に徹することにして、二杯目に口をつけた。



「良かったんじゃないか? “あの日”の上暑い中延々歩くよりは」
「・・・・・・その方がましよ。 
 ―――それに、雨続きってほんっと嫌だわ」
「嫌いか? 雨」
「少しならいいのよ。けど」












続くのは嫌。


することがないもの。












すねたように、リナは言う。










「退屈だから、ってことか?」



子供だなとからかってやろうとしたが、真剣そうなリナに口をつぐんだ。 グラスを置く。
リナの視線は、両手で弄ぶグラスに注がれている。







「部屋に中でもできることって限られてくるじゃない。 今は特に、目的も仕事もないし。
 そうするとどうしても、何か考えちゃうのよ」



顔は赤みを帯びているのに、口調に酔いは感じられない。



「普段は意識の向かない、どうでもいいようなことがひっきりなしに浮かんできて。
 ほんとにどうでもいい、些細な不安だったりとか、思い出す必要もないくらい、ちっちゃな言葉だったりとか」
「不安?」
「・・・・不安よ。らしくないってのはわかってるけどね」












止まない不安。


誰にでもあるだろう、不安。


まるでこの水の重みが、空気だけじゃなく気持ちにまで入り込んでしまったように。


考えたくない方向へ、方向へ。


一日中薄暗いままの天気と、耳に残る雨の音。


ふと気がつけば、どうしようもない不安に苛まれている。







誰にでもあるだろう。



こんな、雨の続く季節には。













「・・・・・らしくないな」
「だからわかってるって言ったでしょ。らしくないわよ。
 うじうじ悩むのなんて性に合わないのに、いつもはぱっと出るはずの結論が出ないから余計イライラすんのよ。
やめようとしても、気持ちがまぎれそうなことなんて、ないし・・・・・」



はぁ、とリナが息を吐いて。



それからしばらく2人して何もせずにただぼんやりしていた。

思い思いに、グラスを傾ける俺たち。





・・・正直何と言っていいかわからなかった。
することもなくベットに横になってリナはどうしてるだろう、なんて。
どうせ部屋で暴れてるんだろうななんて思っていたそのすぐ隣の部屋で、リナは1人、考えて――――悩んで、いたのだろうか?








「・・・・・・ガウリイはどうなのよ」



ぽつり、と問われた声に、どこともなく向けていた視線を戻す。



「あんたは、そういうのないわけ?」
「・・・・・・あるよ」
「・・・クラゲでもやっぱ悩むのねー」
「俺はリナの悩んでる姿のがよっぽど珍しいけどな」
「失礼よ。年頃の乙女に向かって」
「お互い様だろ」


言って、そういえば思春期ごろの年齢なのだろうかとマジに思ってしまう。

・・・・いかん。今はそんなことを考えてる場合じゃ・・・・






しかし、よくわからん奴だ。

先程の真剣さはどこへやら、今は口元に笑みさえ浮かべいたずらっぽくリナは聞いてくる。





「じゃさ、どんなこと考えてんの?」
「俺がか?」
「そーよ。 どうせ夕飯のことーとかそんなんじゃない―――」
「リナのこと、かな」


ぐ、と言葉を詰まらせるリナ。


「・・・・他は?」
「お前さんと会う前のことなんかを考えてることもあるが・・・・・・大抵はリナのことだな。
 今何してるか、とか。今日もおかしい所はないな、とか」
「・・・・・エロクラゲ」
「なんでだよ・・・・・・・・」
「脳みそふやけてるくせに」


クラゲならクラゲらしく何も考えずに漂ってなさいよ、とかなんとかよくわからんことを呟いて、リナは席を立った。



「もういいのか?」
「眠くなったし。 あ、ガウリイはそのまま飲んでていーからね」


言い終わる前に席を立った俺にリナは少しむっとする。


「別にいいってば。あたし酔ってないし、1人で帰れるわよ」
「魔法使えないんだろ? 1人で帰すわけにはいかないさ」
「・・・・・過保護ねー」
「・・・・それに」





リナは雨の日、悩んじまうんだろ?

だったら、話し相手ぐらいにはなってやれるから。

傍にいてやるぐらいはできるから。








―――赤みを増した顔でうつむいて、代金を置くやいなや足早に店を飛び出すリナ。
追って俺も外へ出ると、雨は降っているか降っていないか程度の霧雨になっていた。




「・・・・・・・傍に、いてくれるわけ?」
「あぁ」
「いつまで?」
「ずっと。 ・・・そうだな、今日は一緒に寝るか?」
「馬鹿」


軽く俺の腹を小突いて、リナは夜の街へ駆け出した。











「言ったからには、ちゃんといてよね――」




5歩ぐらい離れた所で、振り返ったリナが、叫ぶ。


「わかったよ。・・・・・けどリナ、近所迷惑だぞでかい声で騒ぐのは」
「誰も聞いてなんかないわよ」


言いながらも立ち止まったリナの肩を、そっと俺は抱いて。






「これで、雨の日でもやることができただろ?」
「何よ」
「俺と喋ること」
「いつも喋ってんじゃない」
「でもま、雨の音ばっか聞いてるよりはいいだろ」
「・・・・・・・・・・まぁね」







悩んでもいいから。


せめて一緒に悩ませて欲しい。



考えるななんて、そんなことは言わないから。


せめてもっと楽しい事をいつも、考えていて欲しい。






自分が傍にいて変わることなんてないかも知れないけど。



イライラしたり腹を立てる相手が、リナ自身じゃなければそれでいい。


















雨が。








ざぁざぁと降る雨が。








空から降る、雫が、雫が。








不安を、安心できない想いを煽るじめついた空気が。














――いつまで君といられるだろう?











こんな気のめいる季節が。


場所によっては、カラりと晴れた良い天気なのだという。


人生を、新しく始める季節なのだという。













――いつまでも君といたい。













「なぁ、リナ」





「何? まだ何かあんの?」













「来年は梅雨のない方へ行こうな」







「・・・・・うん」





******************
最後までお付き合い頂き有難う御座います♪
梅雨ですよね・・・・こんな暑さの後にはあのじめついた季節ですよね・・・。
雨好き、もしくは梅雨大好きという方ごめんなさい。
何が言いたかったのかわかりにくいんですが、とにかく「明日への不安はあるけれど、それでも来年もまた君といられたらいいな」という感じで・・・・。

これからは投稿小説1やお絵かき掲示板の方に出没していくと思いますので、皆様よろしくお願い致します。
それでは。


花姫拝。

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21001はじめましてのの 2002/6/12 07:08:35
記事番号20963へのコメント

はじめまして。
ぶらりと書き殴りさんに来たらガウリナ小説が投稿されていたので、速攻読ませていただきました。
はい、ただのガウリナ好きです。(笑)

長雨にめげてるリナさんに、妙に感情移入してしまいました。
ガウリイさんの気遣いが、なんていうか、
倒れた人の手を引っ張ったり励ますんじゃなくて、立ち上がるまでそばで待つような、
そんな感じの優しさが見えてとても良かったです。

花姫さんがまた投稿されるのを楽しみにしています。
それでは。

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21009初めまして、有難うございました♪花姫 2002/6/13 22:29:33
記事番号21001へのコメント

レス有難う御座います。花姫です♪


ののさんは No.21001「はじめまして」で書きました。
>
>はじめまして。
>ぶらりと書き殴りさんに来たらガウリナ小説が投稿されていたので、速攻読ませていただきました。
有難う御座います〜。

>はい、ただのガウリナ好きです。(笑)
ど、同士ですねっ!? 嬉しいですv

>長雨にめげてるリナさんに、妙に感情移入してしまいました。
>ガウリイさんの気遣いが、なんていうか、
>倒れた人の手を引っ張ったり励ますんじゃなくて、立ち上がるまでそばで待つような、
>そんな感じの優しさが見えてとても良かったです。
リナさんはじっとしてるのが苦手みたいなイメージがありまして・・・。雨とかあまり好きではないんじゃないかと。
ガウリイさんはまさにそんなイメージですね。
うまく伝わったようで一安心です(苦笑)

>花姫さんがまた投稿されるのを楽しみにしています。
>それでは。
ぁああ有難う御座いますっ!!
こういうお言葉をかけて頂けるととても励みになります。
浮かれてばかりいないで早く次の話を書かなければ・・・・。
書くのも打つのも遅いですが、精一杯頑張りますね。


それでは・・・

花姫拝