◆−どうもお久しぶりです。−棒太郎 (2002/6/11 01:49:07) No.20999
20999 | どうもお久しぶりです。 | 棒太郎 | 2002/6/11 01:49:07 |
こんにちわ。 かなり忘れられていると思いますが、以前投稿した話の続き?にあたるようなものです。 前の話は過去ログを参照してください。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『彼方の血脈』 窓の外に映るのは満天の星空。 その天の宝石の海に一筋の光が流れ落ちた。 窓辺に置かれた安楽椅子に腰掛け、夜空を見つめていた女性は、それを見るとひとつ息をつき、大きく膨らんでいる自分のお腹を撫でた。 「ふふ、あなたもお姉ちゃんと似たような大変な運命の流れの中にいるわね。」 自分のお腹の中にあるもうひとつの生命にむかって囁きかける。 「まあ、これもインバースの血脈の性かしらね。でも大丈夫よ。あなたもルナも、運命なんかに翻弄されないような力を私がつけてあげる。」 楽しそうににこやかな笑みを浮かべる。 「十三代目『ドクトル・ファウスト』と『リア=マルガレーテ=インバース』の名にかけてね。」 とある晴れた日の昼下がり。 ゼフィーリアにその名を知らぬ者はいないと言われる「インバース商会」の主は懐かしい波動を感じた。 「あらあら、あの子が帰ってくるのね。随分と立派になったわねぇ。」 しみじみと呟くとティーカップをもう二つ取り出す。 「さてさてあの子もだいぶ力をつけたみたいだし、ひとつ成長振りを見せてもらおうかしら?」 そう言い、亜麻色の髪をかきあげながら、フィルア=インバースは楽しげに笑っていた。 だが不意にフィルアは眉をしかめた。 忌々しげな感情が顔に表れている。 「・・・・・・・黄金竜の馬鹿たちまで来てるってーの?ふぅん・・・」 剣呑な光が瞳に宿る。 「どうやらあの子が帰ってくるまでにゴミ掃除をしとかないといけないようね・・・」 すっと椅子から立ち上がると、そのままかき消すようにフィルアの姿は消えた。 黄金竜たちは驚きと戸惑いを同時に抱いていた。 自分たちの目の前にいきなり一人の人間が現れたからだ。 それも魔族でもなんでもなく本当にただの人間だったからだ。 そんな黄金竜たちをよそにフィルアはざっと睨みつける。 「ふ〜〜〜ん・・・・・あんたたち火竜王のとこのもんね。」 流暢な竜語で話し掛けるフィルア。 「貴様・・・・・何者だ・・・・・」 黄金竜の一匹がようやく口を開いた。 「ただの掃除人よ。黄金竜っていうゴミのね。」 「なっ、なんだと!!」 黄金竜たちに殺気と怒気が走る。 「あんたたちの目的はリナ=インバースの抹殺―でしょう?たかが魔王の欠片イッコ、あの子のなかにあるってだけでこの騒ぎ。まったくちゃんちゃらおかしいわね。」 フィルアの顔に嘲りの笑みが浮かぶ。 「人間ひとりにこれほどの数の竜。火竜王も地に落ちたわねぇ。」 「貴様!!それ以上の侮辱は許さんぞ!!」 「それにねぇ、自分の娘が殺されそうなのを黙ってみてる母親がいると思う?」 そう言い終わるや否や、彼女の右手に一振りの刀が現れた。 そして刀身を鞘に収めたまま構えるや、次の瞬間には黄金竜の間を通り抜けていた。 シュッ チャキン 風を切る音と何かを収める音が聞こえたとき、数匹の黄金竜が身を二つに分け、血飛沫をあげて倒れた。 「神に会えば神を斬り、魔に会えば魔を斬る・・・・・この修羅の剣、知らなかったかしら?」 「ぐっ・・・おのれ!!」 不敵に笑うフィルアに向かって黄金竜たちは次々にレーザー・ブレスを放つ。 幾つもの光が彼女を貫いた、と思われたが、 「ぬるいわねぇ。」 黄金竜の放ったレーザー・ブレスはなんと、彼女がひらけてみせた上着の内側に吸い込まれていった。 そこには幾万、幾億もの星がまたたく闇の宇宙が広がっていた。 「それじゃぁ、おやすみ。」 そう言うと圧倒的な魔力が彼女に集中していく。 「超重爆裂烈光<ギガ・フレア>!!」 強大な力の光弾が黄金竜を飲み込んだ ズゴォォォォォォォォン 肉片一つ残さず光の爆裂は黄金竜を消滅させた。 「『ドクトル・ファウスト』と『リア=マルガレーテ=インバース』。インバースの名を聞いたとき、この二つの名を知っておくべきだったわね。」 インバース家に代々伝わる二人の先祖の名。 それぞれ魔術と剣を極めた者のみに名乗ることの許された名である。 「十三代目『ドクトル・ファウスト』、そして『リア=マルガレーテ=インバース』を甘く見ないことね。」 そして彼女はその名をふたつ、受け継ぐ者であった。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 前回に続きまたまた暴走。 あの二人の子孫の話です。 こんな滅茶苦茶でいいのかな〜? まあ、こんなんでよければ続きます。 |