◆−転生話番外1:いつもにこにこ獣神官vその実不幸の宅配便!−東琥珀 (2002/6/18 18:01:06) No.21032


トップに戻る
21032転生話番外1:いつもにこにこ獣神官vその実不幸の宅配便!東琥珀 2002/6/18 18:01:06


作:なんかもう第二部開始とかできそうな勢いで話思いつく………
冥:いいんじゃないの………?もう………

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

「♪」
ゼロスは、いつもと変わらない笑みを浮かべていた。
………表面上は。
………少し彼の心の内を覗いてみよう。
「(ぷっ…くくくっ…あの冥王様が………)」
………どーやら冥王が人間に転生し、しかも『あの』リナ=インバースの息子になってしまったことは、
もう既に魔族内での公然の秘密のようだ。
ゼロスも先日その話を聞き、今から『リナさんの息子さんを一目見に』行く途中である。
「(確かこの町でしたね…リナさん達の住んでいる所は)」
ゼフィーリアから少し離れた所にある小さな町。
ふわり、とリナ達一家の住んでいる家の前に降り立つ。
「…う゛っ!?」
思わず数歩よろけるゼロス。
今で感じたこともないような良質の(ゼロスにとっては『悪質』だが)生の感情があふれ出ているのだ。
ちょっぴりよろよろしながら庭の方へと回るゼロス。
そこにいたのは。
「あははははは、こいつぅ」
「ガウリイってば、ホントくらげなんだからぁ」
「あー、パパってばそれ僕のぬいぐるみだよぉ」
「きゃっ、きゃっ♪」
やたら幸せそうな顔でこづきあっているリナとガウリイ。
ガウリイの持っているテディベアをにこにこ笑いながら取り返そうとしている少年。
少年の左腕にしっかりしがみついている二、三歳の女の子。
『今日びチープなホームドラマでもこんな家族いねーよ』な一家。
どうやらガウリイからぬいぐるみを取り返そうとしている…八歳前後の少年が冥王の転生体のようだが…
「あはははは、パパぁv早く返してってばぁ」
「…………………………………」
一番最良の選択が『見なかったことにする』なのを感じつつ、
前世の冥王に与えられた苦難に対する怨みから見なかったことにするのが悔しいゼロス。
じりじり家族に近づいていく。
何故『じりじり』なのかと言うと、生の感情がバリアの役目をして、ちょっとずつしか近づけないのだ。
「あらー?」
リナが、ぬいぐるみの額に何か落書きがあるのに気が付いた。
「もぉ、フィリーったら………こんな所に落書きしてーvダメじゃ無いのv」
リナの台詞に思わず硬直するゼロス。
「(リナさんじゃ…無い…リナさんじゃ………これは…)」
まぁ、確かに。
ゼロスの記憶の中にいるリナなら、少年に一発二発のビンタかまして、
『物は大切にせんかぁぁぁっっっ!!!!』とか怒鳴るだろぅが。
結婚生活は女を変える。(笑)
「洗うの大変なのよー?もぅ、フィリーってばおちゃめなんだからぁ」
『お茶目』ですませるな。母親。
「うふふふーvごめんね、ママぁっ☆」
「……………」
さらに硬直するゼロス。
「(冥王様が…あの冥王様が、『ごめんね、ママぁっ☆』……)」
いろいろと考えて混乱していると。
「あー、この汚れはもう落ちないわね………」
「もう新しいの買うか」
「ホント?やったv」
ぴょんぴょこ飛び跳ねる少年。
「じゃ、もうそれいらないよね」
にっこり笑い………
パチン!
少年が指を鳴らすのと同時に。
鈍い音を立てて、ぬいぐるみが虚空へと溶け消える。
「………………………………………………」
口をあんぐり開けるゼロス。
「まぁvフィリーってば新しい技を身につけたのねv」
「さすがオレの息子だv」
「あたしの息子でもあるんだからねv」
「おにーたんすごーいっv」
「ゴミも出さないから、自然にも優しいわねv」
…………………………………………………………………………………………
気付けっ!誰か気付けっ!ちょっとは怪しめ頼むから!
心の中で頭を抱えるゼロス。
「次はうさぎさんのぬいぐるみがいいなー」
「よしよーし」
「ジェラルはいるかさんがいいー」
「ジェラルはこの前買ってもらっただろー」
「やーだ、ほしいのーっ」
…………………………………………………………………………………………
平和な家族の声を聞きながら。
思いっきり脱力し、精神世界へと帰っていくゼロス。
冥王や、その妹に転生した某高位魔族が、自分が魔族だったことを覚えているかは定かではない。


めでたいんだかめでたくないんだか。


言い訳あんど言い逃れ。

作:フィリーの妹の名は『ジェラルディーン』といいます。
冥:長ッ!!
  なんでっ!?
作:人名辞典ぱらぱらめくって一番最初に出た名前。
冥:ぅヲイ。
作:そんなもんよ。私のネーミングセンスなんて。(苦笑)
冥:……………………………………………
作:とりあえず次回予告どうぞ。
冥:次回の転生話はー…
  『転生話番外2:行け行け魅惑のあとがき女vやったね我らの女神様!』
  ………………………………です。多分。(長いなまた………)
作:乞わないご期待それではまたっ!!


                                               幕。