◆−半年以上ぶりの投稿です−Tsubasa (2002/7/4 22:54:15) No.21141 ┗復讐者−Tsubasa (2002/7/4 23:13:54) No.21143 ┗ひょーう。−椋 蒜悸 (2002/7/11 16:25:52) No.21174 ┗Re:ひょーう。−Tsubasa (2002/7/11 23:44:15) No.21185
21141 | 半年以上ぶりの投稿です | Tsubasa | 2002/7/4 22:54:15 |
皆さんこんにちわ。もしくはこんばんは。 この名前での投稿は初めてになる、モアイっぽい大学生のTsubasaです。 さーていつになるのでしょうか、前回投稿は。たしか、正月前だったと記憶してます。 今回の話は、前回「とーゆ」と言う名前だった頃に投稿したものを、某友人に「情景描写があまい」と言われたため、その点を加筆修正したものです。さしずめ「Ver2.0」ってとこでしょうか? 因みに、本文の最後にある「EDBGM(エンディングテーマ)」は無断使用ですのであしからず。 それでは、駄文ですがお付き合い頂ければ幸いです。 |
21143 | 復讐者 | Tsubasa | 2002/7/4 23:13:54 |
記事番号21141へのコメント 復讐者 アメリア=ウィル=テスラ=セイルーン、崩御。 アメリアが……死んだ。暗殺だったらしい。 ゼルガディスがそれを知ったのは、大粒の雨が降りしきる墓地でリナ=インバースに殴られてからだった。 「なんで一緒にいてあげなかったのよ!? 3年もあの娘を放っておいて! アメリアはこの3年、どんな気持ちでゼルを待っていたと思うの!?」 彼女の悲痛な叫びが、ズシリと重い。 涙なのか、雨なのか、その判断はつかないが、リナはその瞳を濡らし、雨のせい で額に張り付いた前髪をかきあげることもせず、再び拳を振りかぶる。 ゼルガディスは、覚悟を決めて歯を食いしばる。 しかし、ゼルガディスの頬を狙った拳は、ガウリイ=ガブリエフに阻止された。 「やめないか、リナ。ゼルガディスを殴っても、アメリアは、もう……」 最後のほうは、声がかすれていた。 リナは、やり場を無くした拳をギュッと握り締め、足早にその場を歩き去った。 「おい!リナ待てよ!」 ガウリイは、駆け出そうと半身を踏み出し、踏みとどまる。 「ゼルガディス。キメラじゃない俺が言ってもキレイ事にしかならんだろうが言わせてくれ。 元の人間の身体に戻るというのは、そんなに大事なことなのか?アメリアに寂しい思いをさせてでも、アメリアを犠牲にしてでも優先させるべきことなのか? 俺は、違うと思うぞ」 そう告げて、ガウリイもリナを追ってその場を走り去った。 カチリ。 彼の中で確かに、何かが外れる音がした。 4人で行動していた時、いや、アメリアと一緒だった時、アメリアを近くに感じていた時には決して外れることのなかった、なにか決定的なもの。それが外れた。 「犯人を、知りたいですか?」 相変わらず癪に障る笑顔で、好青年の格好をしたそれは言ってきた。 「失せろゼロス。今は貴様の冗談に付き合ってやる気分じゃない」 「それは……ご挨拶ですねぇ。僕は親切でいっているのですよ」 屈託のない笑顔。それだから非常に疑わしい。 ゼルガディスは、獣神官の胸倉を掴み、険悪な表情を隠しもせずに告げる。 「貴様、まさか現場を見ていたわけじゃないだろうな?」 「だったらどうだと言うのです?」 澄ましたような、拗ねたような。ゼロスはそんな声で告げてくる。 ゼルガディスは、掴んでいたゼロスを突き飛ばし、バランスを崩してたたらを踏んでいた彼に向かって、 「はぁっ!」 気合一閃、バスターソードの抜刀術で斬り付ける。 刃は、ゼロスの右の横腹から左の肩口にかけて大きな傷を残したが、その傷口は黒いノイズが見え隠れしているだけだ。 「冗談ですよ。僕は犯人を見ていません。それに、仮に見ていたとして、どうだというのですか? まさか“なぜ助けなかった?”とか言うつもりですか? 自分は放っておいて、ずいぶんとわがままな言い分ですね?」 ゼロスは、クツクツと苦笑を交えながらそう言ってくる。 ゼルガディスは何も言わず、振り抜いたままになっていたバスターソードを両手で握り、左半身を前に出して大上段に構え、再びゼロスにめがけて振りおろす。 しかし今度は、ゼロスがすいと身を後ろに引いて刃をかわす。 ゼルガディスは、右半身を半歩踏み込んで手首を返して斬り上げる。 再び、刃がゼロスに吸い込ませる寸前、ゼロスの姿がゆらりと揺れ、空間から姿を消す。 「逃げられたか……」 別に本気で斬り捨てるつもりはなかった。 魔力を通していない、ただの金属の塊に過ぎない彼のバスターソードでは、純粋な魔族にダメージを与えることはできない。 ゼルガディスは、舌打ちをしてから納刀する。 「もし、犯人に興味があるなら……」 唐突に聞こえてきた獣神官の声は、背後――耳元から聞こえてきた。 ゼルガディスは拳を握り、獣神官の顔面に裏拳を叩きつけようと振り返る。 「明日のこの時間、もう一度ここに来てください。 その時にお教えしますよ」 しかし、振り抜いた拳はむなしく空を切った。 昨日から降り出した雨は、夜が明けて幾分弱くなってはきているもののまだ止む気配は見せず、相変らずしとしとと大地を濡らしている。 墓地の入り口の傍にある大木。その木の下で、ゼルガディスは雨をしのぎながら眼下に広がる都市を、ぼんやりと見つめていた。時折煌めく稲妻が、その都市を青白く照らし出す。 城を中心に五妄星の形にかたどられた白魔術都市、聖王都セイルーン。 (今さらこの街を眺めて、今さらこの街に帰って、いったい何があるというのか……) 今さら……今さら……今さら…… そう。全てが今さら。全てが遅すぎた。 力を欲しキメラにされ、身体を失い、今さら後悔し、今さらこの身体を呪っている。 拒絶されることを恐れ、自ら全てを拒絶し、孤立する。それをクールな生き方だと思い込んでいた、と今さら思い知る。 それでも自分を、ありのままの自分を受け入れてくれた仲間たち。 飾り気のない、純粋な笑顔を向けてくれた少女。 彼女を見ているときだけ、妙に心が和む自分に気付いた。すこしづつ、彼女を見ている時間が増えた。彼女を見ているときだけ、表情が緩む。自分の中で、何かが変わる気がした。変われる気がした。 その彼女も、今はもういない。失ったのか……捨てたのか…… 失った過去。捨て去った過去。思い知った現在。今さらの現在。無くした未来。まだ見ぬ未来。 (今さら、許しを請うなどと……) 今さら………… 「ここにいたのですか。 てっきり、アメリアさんの墓前にいるものと思ってまいしたが…… その様子だと、まだ墓前に立ってないのでしょう?冥福を祈って差し上げたらどうです?」 雨音にかき消されることのない声で唐突にそう告げてきた獣神官は、宙から降り立ちいつもの笑みを向けてくる。 (今さら、こんな奴に頼っている。今さら……) 「今さら……どのツラ下げて、アメリアの墓前に立てる?」 ちらり。と、視線だけを獣神官に向ける。 雨に打たれても濡れない服。重くならない髪。雨粒は、その表面を流れる。 やはり人外の者か……と、今さら思い知る。 獣神官は、肩をすくめて、 「ま、ぼくにはどうでもいいことですけどね。 それより、約束のモノです」 言って、大きめの、ファイリングされた数枚の紙を渡してくる。 『アメリア=ウィル=テスラ=セイルーン暗殺に関する最終報告書』 そう題されたファイルを受け取り、ゼルガディスは表紙をめくる。 「犯人は、『流血の旅団』を名乗る傭兵団です。名称くらいは聞いたことはあるでしょう?中小の国家の国軍に匹敵する軍事力を持ち、一人一人の戦闘能力もゼルガ ディスさんに勝るとも劣らない傭兵団で……」 「それで?」 ゼルガディスは、要点だけを話せ。と、視線で要求し続きを促す。 「そんなに急かさないでくださいよ。」 「あいにく俺は、貴様ほど長生きはできないんでな」 「そんなに慌てて犯人を知って、どうします?復讐でもしますか?」 薄ら笑いさえ浮かべて、ゼロスはそう言ってくる。 今さら復讐など、無価値だ。何も産みはしない。今さら、アメリアは戻ってはこない。 「貴様には関係のない話だ」 ゼルガディスは極力無感情を装い、冷たく言い返す。 「アメリアさんは、それを望んでいるのでしょうか?」 「くどいぞゼロス。貴様には関係のない話だといったろう!?」 アメリアは、復讐を望んだりしない。そんな女でないことは充分に承知しているつもりだ。おそらく彼女は…… 「おそらくアメリアさんは、あなたの平穏な生活を望んでいるのではないですか? せめてもの罪の意識があるのなら……」 (今さら、平穏な生活など……!) ガツッ。 最後まで台詞を言わせず、ゴーレムの拳がゼロスの頬を打つ。 ゼルガディスは、そのままゼロスの腹部に第二撃を突き上げる。 当然何のダメージも受けず、獣神官は続けてくる。 「あるのなら、彼女の意思に沿って生きるのが本当ではないのですか?」 「魔族の貴様が道徳の指南か?随分と偉くなったものだな」 ゼルガディスはゼロスを突き飛ばし、落としたファイルを拾い上げる。 「これは、俺の気分の問題だ。貴様には関係ない。 ファイルのことは、まあ、礼は言わないでおく。どうせ貴様のことだ。何か裏があるのだろう?」 そう言い残し、ゼルガディスは背を向け歩み去る。 流血の旅団団長、ダニエル=イコライザ。アメリア暗殺の実行犯。現在は、ギルギア王国という、ここ数年セイルーン聖王国と政治的、経済的、軍事的に対立を深めてきた国に正規軍として迎えられている。 「犯人に復讐するということは、一国家に喧嘩を売ることと同義なのですよ。 それでも、あなたは躊躇わないでしょう。それがどうした、とでも言って。 あの4人の中で、あなたは一番の激情家ですね。その本性は滅多に表に出しませんが。 あなたの迷いや憤り、とっても美味しいですよ。もうしばらく、楽しめそうですね」 ギルギア王国とセイルーン聖王国には国力に差がある。そのため戦争になるなら国力で劣るため、それが低下する前に決着をつけたいギルギア側が早々に仕掛けてくるだろう、と言うのが大方の見方だ。 案の定、ギルギアはここ最近やたらと野盗やら傭兵やらを集め出した。鮮血の旅団もその一つで、ギルギア国内は傭兵や軍人で溢れかえっている。 城内の、軍人や傭兵が利用客のほとんどを占める酒場。 ゼルガディスは、傭兵希望者を装ってここまで入り込んだ。状況が状況なので、ガラの悪い連中も目に付く。 (なるほど。この国が近々セイルーンに宣戦布告をするらしいという噂は、ただの噂ではないというわけか) フードとマスクを外し、ザッと店内を見渡す。時間もだいぶ遅いせいか、思ったほど混んではいない。 (そのほうが好都合か) 少し奥のほう。入り口からでは少々見難いところに、目当ての男を見つける。 ツカツカと歩み寄り、取り巻きを押し退け、男の前に立つ。 蛇のような男。ファイルに添付されていた似顔絵から受けた印象は間違いではないと確信する。 「ダニエル=イコライザだな」 殺気を抑えようともせず、ゼルガディスは言い放つ。 酒宴を邪魔されて機嫌を損ねた男――ダニエルは、不機嫌極まりない声で告げてくる。 「そうだが、何のようだ?」 取り巻きが抜刀し、ゼルガディスを囲む。 「雰囲気からして、復讐か?」 クツクツと笑いながら、つま先から頭の先まで一通りゼルガディスを観察して、 ダニエルは続ける。 「腕に多少の覚えがあるらしいが、いい気になるなよキメラ野郎!」 言って、ダニエルが持っていたワイングラスを握力で潰したとき、けたたましい轟音が連続して響く。 「なんだ?」 「おい!燃えているぞ」 外から、そんな声が聞こえてくる。 「……っ。貴様がやったのか」 ダニエルが腰を浮かせ、冷笑を浮かべているゼルガディスに視線を向ける。 「兵舎の連中が駆けつけてきたら、さすがに不利なんでな。少々、駒を削らせてもらった」ゼルガディスは、ズラリとバスターソードを抜き、言い放つ。 「ダニエル=イコライザ。お前を、殺す」 彼は、火事によって発生した上昇気流に髪をなびかせ、ペロリ、と唇を舐める。 「ご馳走様でした。ゼルガディスさん」 END EDBGM:キレイな愛じゃなくても/B’z ******************************* ここまで読んでくれた方、こんなダークな話に付き合ってくれて本当にありがとうございます。 コンセプトはゼロス君のお食事です。……いや、冗談。 加筆修正しているにも関わらず、話の流れどころか台詞回しまで全く一緒と言うのはどういうことだろうとは思う。 半年前の文章を読み返して色々と思うことがある。 まずは、この話のテーマ曲に「キレイな愛じゃなくても」は場違いのような気がする。どっちかってーと、ビートルズの「イエスタデイ」の方がいいんじゃなかろうか?ま、どっちも無断使用に変わりはないんだが。 次に、もともとゼロアメのつもりで書いていたのだが、アメリアってばセリフどころか物語り開始時点ですでに死んでるし。そんなわけでゼルゼロになり、ついにはゼロスのほうに比重が傾いたような気が……まあ、いいけど。 ああ、本気で駄文っぽくなってきたのでこのへんでさよなら。 読んでくれた方、本当にありがとう。そして、次回作も(あれば)よろしく。 |
21174 | ひょーう。 | 椋 蒜悸 | 2002/7/11 16:25:52 |
記事番号21143へのコメント お久しぶりです、こんにちはっ。 タイトルの方は…まあ、気にしないでやって下さい。 Tsubasaさんの小説を読むのは初めてですが…ですよね?(訊くな) うにゃ、ドッキドキです。 こう、読んでると心臓が口から出てきそうな…というのは冗談ですが、ちりちりとした緊迫感が素敵です。 駄文、とか仰ってましたけど、そんな事全然無いですよ〜 情景描写もすごくお上手で、蒜悸なんか足下にも… 落ち込んできたんでもう止めます(待て) と言うわけで、次回作も頑張って下さい!(ヲイ) そう言えば、蒜悸の知人に「ダニエル」というのがいました。 …いや、まあ関係ないですけどね。 ファミリーネームも違いますし。 それでは。 椋蒜悸 |
21185 | Re:ひょーう。 | Tsubasa | 2002/7/11 23:44:15 |
記事番号21174へのコメント こんばんは。 >Tsubasaさんの小説を読むのは初めてですが…ですよね?(訊くな) はい。初めて読んでもらいました。つーか初投稿みたいなもんです。 >こう、読んでると心臓が口から出てきそうな…というのは冗談ですが、ちりちりとした緊迫感が素敵です。 >駄文、とか仰ってましたけど、そんな事全然無いですよ〜 >情景描写もすごくお上手で、蒜悸なんか足下にも… うお。そう言ってもらえると加筆修正したかいがあったと言うものです。うれしいです。ありがとう。 >と言うわけで、次回作も頑張って下さい!(ヲイ) はい。がんばります。完成がいつになるかは誰も知らない。作者も知らない(←をい)ですが、出来たらまた投稿するのでよろしくです。 >そう言えば、蒜悸の知人に「ダニエル」というのがいました。 >…いや、まあ関係ないですけどね。 関係ないダニエルねたといえば、キティちゃんの友達もダニエル君だった気が…… >ファミリーネームも違いますし。 家名のイコライザはたしが、音楽関係の機械の名前かPCの専門用語だったと思います。意味は全く無いです。あえて言うなら語呂が良かった。 因みにこのダニエル君、次回作にも登場の予定です。いや、同一人物じゃなくて。 名前を考えるのが苦手なんで使い回しているだけです。世はリサイクルの時代ですから。 ではでは。読んでくれてほんとにありがとうございました。 |