◆−夢夜−諏訪凛然 (2002/8/10 11:15:37) No.21379
21379 | 夢夜 | 諏訪凛然 | 2002/8/10 11:15:37 |
小説を書いてみましたので載せさせていただきます。かなり中途半端なので面白くはないと思いますが、感想などありましたらレスをください。 ********************************************************************* 「夢夜」 その夜はとても不思議だった。月明かりが妙にまぶしく感じられた夜だった。私は生まれてずっと都会暮らしだったが、ネオンの明かりがまぶしいと思ったことはない。それなのに……。 この日、私は父の運転する車に揺られ、母の田舎へ来たのだった。母の田舎は鳥取で、車で4時間ほどかかった。途中、休憩も何度かしたがそれでも長時間車に乗っているというのは疲れる。私も心底疲労していた。 母の実家に着くと祖父母が温かく迎えてくれたのを覚えている。祖父母の家は和風の家で、風がよく通る縁側はとても気持ちがよかった。私はまだ夕方であるにもかかわらず、いつのまにか眠っていた。 夕食に時間だと起こされたのは夜の7時を過ぎたころだっただろうか。未だに残る疲労感からかあまり食は進まず、少しの食事をとるとまた眠りについた。 深い眠りから目覚めたのは真夜中だった寝付けないので縁側から庭の様子を眺めてみた。満月は眩い光を放ち、蛍たちはきらきらと美しい模様を描く。私はそれに連れられ外へ、そして近くの公園の噴水へと歩いていた。そこには月明かりの元で花たちと踊る少女の姿があった。自分より年下のようだった。私が眺めているとそれに気づいたようで、私の元へとやってきた。 「こんな時間になにしとるん?」 少女は私に尋ねた。私としてもその質問は彼女に問いたいところなのだが、まずは彼女の問いに答えることにした。 「ちょっと寝付けなくてね。することもないから散歩をしてるんだ。で、君は?」 「あたしは……あたし、体弱いんよ。お昼には外に出られんから夜、こうして遊んどるんよ。」 彼女は言った。 「ねぇ、せっかくじゃから友達にならん?今夜だけでいいから。」 「……いいよ。僕は洋輔(ようすけ)、君は?」 「あたし、美歩(みほ)よろしく。」 私たちは月明かりの元、戯れていた。その時間は本当に楽しかった。このままずっと、太陽なんか昇らなければ・・・そう思ったほどに……。 しかし運命というものは残酷なものだった。太陽は再び顔を見せ、僕らは別れのときを迎えた。美歩も私もそれぞれの居場所へと帰った。私は外出していたことがばれないよう、ひっそりと床についた。 目がさめたのは朝の8時をとうに過ぎたころだった。私は朝食をとるとすぐに昨夜の公園の噴水へといってみようと思った。しかし外に出ても公園なんかはどこにもない。えんえんと田畑が続いているだけだった。信じたくはないが昨晩のことは夢だったのだろうと思わざるをえなかった。 |