◆−偽りのロマネスク(前編)−CANARU (2002/8/24 19:20:08) No.21530 ┗偽りのロマネスク(後編)−CANARU (2002/8/24 19:22:51) No.21531 ┣こちらでははじめましてv−らん (2002/8/25 11:21:20) No.21540 ┃┗早速ありがとうです〜♪−CANARU (2002/8/25 21:14:26) No.21549 ┗ここではお久しぶりです♪−P.I (2002/8/25 21:08:30) No.21548 ┗お久しぶり投稿でした〜♪−CANARU (2002/8/25 21:18:34) No.21550
21530 | 偽りのロマネスク(前編) | CANARU | 2002/8/24 19:20:08 |
お久しぶりの投稿です〜(汗)すっかり存在を忘れ去られたCANARUと申します(汗) 今回は氷栗優さんの漫画「仮面のロマネスク」をCANARU自己流&ガウリナ変換したお話です(ちなみに大本原作は読んだこと無いのですが・・ラクロ原作「危険な関係」という話だそうです) タイトルも自己流のストーリー展開を踏まえて少々パロですが(汗) もうプチ悪女リナ・・性悪ガウリイになってしまいましたあ・・・(汗) では・・お暇があったら読んでやってください〜〜♪ ************************** 「その噂・・・本当なのか・・・??」 「おいおいゼル〜〜・・・。久々に会った友人に対して開口一番にそれかよ?」 彼・・爵位を持つ高位貴族・・・ガウリイの返答にゼルは溜息を付かずにはいられない気持ちになった。 「・・・何時もの事とは言え・・・しょっちゅうどこかに出歩いているのはお前のほうだ。一向にコンタクトは受け付けず・・気ままに現れては消える。まあ・・・そのことに関するお前の素行は今更どうこう言うつもりは無いが・・・噂は本当なのか・・・。 其の事を第一に俺はお前に尋ねたいんだ!!」 「・・・・真坂。一方的に彼女がそ〜思ってるだけだぞ?あくまで俺は・・」 「・・・名うての誑しが何を言うか・・・。ま、お前が今更そんな事を憚る人間じゃない事は知っているので一応信用はしてやるが・・・」 「・・・酷ェ言い方だな・・・・・」 「事実を本人を目の前にしながらも的確に告げているまでの事だ!!兎に角!!その噂・・お前の言う事が本当なら。何でさっさと打ち消さないんだ・・・?」 「ん〜?それも作戦のうちだからな〜〜〜・・・」 「・・・・何を企んでいるかは知らないが・・一応警告はしたぞ?決闘沙汰になろうがなるまいが・・・俺の知った事ではないからな・・・・」 「あ〜〜。わかったるって。最悪・・スイス傭兵ドモに混じってでも・・革命を唱えるr連中とまみえるくらいの覚悟はある・・・。そうだな・・・・。地獄の底から蘇ってでもだ・・・。国王の為に・・ま、それはお前もそ〜だろう?ゼルよお〜〜?」 ニヤリと人の悪い薄気味の悪い笑みを浮かべるガウリイに・・・。 「・・・・本気で一回死んで来い!!!!」 さしものゼルも少し怒ったように怒鳴りつけながら背を向けるのであった・・・・。 「へ〜いへいへい。分りましたよ。って訳でゼル、また今夜の夜会でな・・・」 と、ガウリイのこの一言を聞くにいたり・・・立ち去りかけていた足をふっとゼルは止めた。 「夜会に・・だと?確かに主催はアメリア・・ブルボン家の姫君筋に当たるあの方の宴だが・・・お前が参加するとは珍しいな・・・??」 「今更だろ?アメリアの為なら・・・革命勢力と戦う。そう決めてるお前が!今更彼女を姫君扱いするとはな〜〜〜?」 ニヤニヤ笑うガウリイに・・・。 「まだ其の事をからかうか!お前は!兎に角・・なんで夜会嫌いで有名なお前が・・そこそこガブリエフ家と個人的付き合いがあるアメリアの主催とは言え・・参加するとは珍しいと俺は言ってるんだ!!!」 「いや〜。別。深い意味は・・・多分無い。ロワールの古城に暫く行くんだ。俺の祖母メリルーン伯爵夫人に伯母上も居るからな。ま、秋の夜長の退屈しのぎにパリから退去って訳だ!」 「・・・・・多分・・・とは何だ・・・多分とは・・・。それに・・今はまだ六月だぞ?何が秋の夜長だ!!」 とこっとん嫌な予感は拭い去れない・・絶対に何か魂胆がある。 アメリアには悪いが今日の宴には悪い面子がそろいすぎだ・・・・・。 ゼルは冷や汗を浮かべながら欠席をしようかするまいか・・・必至に天秤にかけるのであった。 「・・・ガーヴ将軍にシェーラ嬢・・・インバース家のあの令嬢に・・それに思いを寄せている男爵家の息子ジェイド・・・そしてラーダ家の問題の令嬢に・・・このガウリイときたもんだ・・・。血の雨が降ることは必至だな・・・」 冷や汗を隠せない自分をもはや恨むでもなく。 ゼルは意気揚揚と去っていくガウリイの背中を何処となく醒めた気持ちで見送る事しか既に出来ない精神状態に追い込まれてしまったいたのであった。 「やれやれ・・・アメリアに何と報告すべきか・・・???」 一人ゴチてみても一向に打開策は思い当たらず埒もあかない・・・・・。 それに、アメリアにこの緊急事態を伝えたところでも。 「ああ〜〜〜なんて素敵にロマンチックな展開なのでしょううう〜〜〜〜〜!」 と、うっとりされるのが関の山であった・・・・。 「そ〜いや・・・ガウリイの確か。俺の別の意味で頭を抱えているインバース家の令嬢と知り合いだったよな・・・??ま、ガーヴ将軍との因縁は言うまでもなく・・ついでにえいばラーダ嬢とも何事も起こらなければいいんだが・・・」 ふうっと重々しい溜息をつきながら。 ゼルはアメリアに遭う支度をすべく、さっさと家路に着くことを仕方なしに決心するのであった。 得は既に六月・・・何か恐ろしいモノを秘めた季節がついにやってくる事など知らず。 「良いから逃げろ!!!!」 ざわざわ・・・・ざわざわざわざわざわ・・・・・・・・!!! 先ほどまでは間違いなく自分は平穏な眠りを貪っていたはずなのだが・・・?? 道中何度か顔をあわせた護衛兵・・・名前を確か・・・いや、思い出せない。 それに今はのんびりとそんなことを考えている時ではないではないか??? ナヴァールから自分たちの殿様がこの国・・・フランスのヴァロア家の王女様と結婚するというのでリナ達は喜び勇んで同行したのだが・・・。 どうして自分たちは突如としてこの国の国民・・いや・・・それだけじゃない! 全権を握り締めている国王の背後に控える皇太后の軍勢に虐殺されなければいけないんだろうか・・・・??? 血が・・・・・・・刃が・・阿鼻叫喚の声があたりから聞こえてくる。 「殿様・・アンリ様は!!?それに・・みんな・・・」 突如宿舎に乱入し、眠っていたリナを叩き起こしたのは幸いな事に敵ではなかった。 そう・・幾度か顔を見かけた金髪、碧眼の護衛の兵士・・恐らくナヴァール国王の騎士であろうか・・・??? まず脳裏にひらめいたことは「助かったの?」という疑問符だった。 しかし。周囲の惨状を眠りから醒めた脳みそで冷静に吟味するにいたって・・・。 決して自分は危険の渦中から去ったわけで無い事も容易に理解が出来た。 有無を言わせないまま金髪の衛兵はリナを抱きかかえて扉を蹴破り・・そしていまだ狂乱の果てない市街に血路を開くべく飛び出していった!! 「・・・幸い王は無事だが・・・この地区の宿舎に居た随行員で無事だったのは・・多分お前さんと俺だけだろ・・・・」 運良くリナは屋敷の中でも死角になった日当たりの悪い最悪の部屋をくじ引きで負けて宛がわれていたのが皮肉な事に幸いしたらしかった。 「これは・・・一体どういうことなの・・・???」 「・・・ハメられたんだよ。このまま王ヴァロア王家の連中は・・俺達を全員殺戮するつもりらしい。ついでに言えば・・俺達ナヴァール王家に組するこの国の反対勢力である国民たちもだ・・・・!!!!」 「そんな!!!!!!!」 逃げた・・・ただひたすら・・・・そして・・・・・。 「・・・・またこの夢・・・・」 寝ぼける頭を抱えながらリナは邪魔なカーテンを寝転んだまま開け放った。 そう、何度夢に見ても結末は同じ・・・・。 自分を守ってくれたあの金髪の兵士は・・・転んだリナを狙った刃から彼女を庇い・・・「・・・・私のせい・・・なの・・・???」 夢とは言え・・思い出したくも無い光景・・・。 あれは恐らく、このフランスで数世紀前に起こった「サン・バルテルミーの虐殺」の光景にまずもって間違いは無いだろう。 しかし・・・なんで自分がそれに巻き込まれ・・・・・・・???? 「馬鹿馬鹿しいわ・・・・・」 そう。今、外で掲げられる市民たちの起した革命をスローガンにした運動と同じくらい。それは浮世離れした妄想にしか他ならないのであった・・・・。 それよりももっとほかの事を考えたほうが賢明とはいわないか??? ふっと溜息を付きながらリナは自分の思考をシャットダウンする事に成功した。 「今日はアメリアのところの夜会だったわね・・・・」 思い出すように呟きつつリナは面倒くさそうに起き上がった。 ま、ゼルと一緒に居るところをからかってやるのも面白いし・・・それに・・・。 「そ〜〜よね・・・まあ、あんな奴には本気であたし無関心だったんだけど・・・。 プライドくらいはあるもんね〜〜〜・・・絶対に復讐してやらなくちゃ気がすまないわよ!」 先ほどまでの呆けたような表情は何処に行ってしまったのであろうか??? 不意にリナは何かを思い出したかのようにキっと眦を吊り上げた。 そのまま衣装の収納されている棚から適当なドレスを無頓着に選んで机の上に放り出し・・(後で召使を呼んで着付けを手伝って貰うためであるのだが・・・)・・・。 更にはそれ以上の慎重さでガサガサととっておきの靴を選びはじめる。 「・・・リナさま・・・そのお靴は・・・」 何時の間にか現れた小間使いが少し困ったように彼女に声をかけるのだが。 「平気よ!まあ・・滅多にはかないけど・・このヒール、なかなかの物でしょう?足首にサポートつけて履けば問題は無いわ。ど〜せ見えるものでもあるまいし・・」 「・・・左様ですか・・・・」 極悪な笑みを浮かべつつリナはそう指図するに留まるのであった。 ざわざわ・・・ざわざざ・・・・・・・。 「そりゃ〜〜もう、お前!決まっているだろう!結婚をするとなれば家柄!それにつつましさは絶対条件だろう?しかも俺の相手・・今度婚約が決まったグラウ伯爵家のシェーラ姫はまだ教育課程を終えたばかりの令嬢と言うじゃね〜〜かあ〜?」 がははははっと・・・お世辞にも柄が良いとはいえないが・・・。 歴戦の勇者として中々に知れ渡った軍人のそれの声が会場一面に響き渡る。 「そうですかねえ〜〜・・・ガーヴ将軍・・。ま、僕としても持参金・・と言うものは美味しいとは思いますが・・・」 「何を言うか〜?ゼロスよ!!!ま、お前も年齢を重ねればわかるだろうが・・・」 「そ〜ゆ〜モンですかねえ・・。まあ、僕としては・・。インバース家の令嬢のような方に惹かれるものはありますがね〜〜?」 チラリっと・・・後方のあらぬ方向を見遣りながらゼロス。 「何言ってるゼロス!あの姫は身持ちの固さでも有名だぜ〜?」 「そうですか・・・ランツさん?あ、噂をすれば・・ですよ・・・??」 下らない会話に(最も自分が一番最初に浮かれたために持ちかけてしまったのだが)浮かれ騒ぐ若者二人を尻目に・・・。 カツカツカツっとヒールを蹴り上げながら此方に近づいて来る女の足音にさしもの歴戦の将軍・・・ガーヴもゾっとする物を感じずにはいられなかった・・。 「こんばんは・・・カオス伯爵家のガーヴ様」 ニッコリと・・優しげにガーヴを見上げ微笑んできたその女こそ・・・・。 先ほどから若造二人が噂をしていた人物・・インバース家のリナ、その人であった。 「何でも〜〜〜・・・ご婚約が決定したとか!しかも相手は貴方のお好みの若いブルジョワ上がりの資産家貴族令嬢!黒髪の若々しい乙女だとかあ〜!ホント!おめでたい事ですわね!!!」 がっつううううう〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜んんん!!!!!! 言うと同時にリナは・・見事にガーヴの足を踏みつけてやるのであった・・・。 「・・・何踊ってるんでしょうね〜?ガーヴ将軍様は・・・?」 「・・・喜びすぎて気がフレたんじゃね〜〜か・・・???」 何が起こったかわからない若造二人はいたって暢気だったりするのだが・・・。 「ふん!!!!!」 無論、その二人にも通り過ぎたリナの不機嫌の理由など分かるはずもないのであった・・。しかし・・・そんな彼女の行動をまるで見透かしたかのように・・・。 くすくす・・・くすくすくす・・・・。 突如、後方から何者かの笑い声が聞こえてきたのはその時であった。 そして・・その声の主は誰であるのか・・リナには嫌というほど分かりきっていた。 あえて振り向くまでも無い事。いや・・むしろ振り向いたら何をからかわれるか。 「何の御用?それに。アメリアが主催とは言え・・アンタが夜会に来るなんて珍しいじゃないの?ガウリイ=ガブリエフ?」 決して彼のほうを振り向いたりはしない。 が、そんなリナの剣呑な態度と言葉にすらまったく気を悪くした風でもなく・・。 「悪い、悪い!いや・・・お前さんでも昔の婚約者には未練があるって見えてさあ〜」 嫌味か・・・それとも悪気無しにか???? 放たれたガウリイの言葉に一気に頭に血が上ったリナは思わずキっと彼のほうを振り返りながらこう絶叫する! 「家同士の勝手な決まりでよ!あんなオッサン!ハッキリ言ってどうでもいいけど・・あたしを侮辱したことが許せなかっただけよ!!それに・・あの時あたし・・いえ・・正確に言えば『インバース家』と婚約しておきながら!あのオッサンは当時のアンタの恋人にを奪った奴でしょう!!!」 「・・・あ〜。アン時は二人してしてやられたよなあ〜〜〜・・・」 至って暢気に言ってのけるガウリイにリナの怒りは少しは殺がれたが・・・。 「ま、ど〜せアンタはあの時からゲームだったんでしょうけど。稀代の誑し!」 脱力しつつ・・まじまじとガウリイの顔を見遣った。 そう・・・変わらない・・あのサン・バルテルミーの夜と代わらない・・姿。 今でこそ血に染まっては居ないがその髪は・・・・・・・・・。 アタシガコロシタ・・・アシデマトイニナッテ・・・・???? そんな思いが不意に胸を過ぎるがあえてリナはそれを無視し、ガウリイを睨み付けた。 「俺をそんな風に思ってるのか〜?折角人がロワールに行く前に・・アメリアやゼル。それにお前さんに挨拶しようと思ってたのにな〜〜?」 尚も暢気に誤魔化そうとするガウリイにリナの苛立ちはますます倍増した。 「知ってるのよ?ラーダ家の令嬢・・シルフィール姫!アンタの今度の目的は彼女なんですって・・・???」 遠巻きにも分る美しい黒い髪の女性・・・・・。 「さ〜な・・・ま、噂にはなってるけど?」 「・・・彼女。身持ちの固さなら有名だけど?」 「・・・お前ほどでもないだろ?まあ・・そうでなくっちゃ・・・・」 と、ここに至って何かを言おうとしたガウリイの腕をリナはむんずっと掴みかかり。 「そうよ!アンタの腕を見込んで!!頼みたい事があるのよ!!!」 「お・・・おいおいおい〜〜〜〜!!」 彼の抗議はお構い無しにリナはさっさとガウリイを引きずって庭に出て行ってしまうのであった。 「・・・って・・つまりは・・。お前さん・・俺にガーヴの奴の婚約者・・グラウ家のシェーラ姫に言寄れ・・って言うわけか〜?」 ボリボリっと気の無さそうに髪を掻き揚げながらリナの要求に情けない返答をするガウリイ。 「え〜〜え。そうよ!二人してあの馬鹿将軍に一泡ふかせてやろうと思わない?」 尚も真摯な瞳でガウリイに詰め寄ってくるリナに彼は・・と言うと・・。 「あのな〜。俺は今・・身持ちの固いじゃじゃ馬に手一杯なんだぞ〜?ンな正真正銘のガキになんぞ時間を裂いてられるかよ〜〜〜??」 「・・・・・・・何も分っていない馬鹿に復讐してやるのよ・・・ね、協力してくれるわよね〜?ガウリイ!!!」 ・・・・自分でも何を言っているのか・・リナには分からなかった。 ただ、本の数秒前に・・僅かに垣間見た黒い髪の・・シェーラという少女。 ・・・胸がズキズキしてイライラせずには居られない・・・・。 それに、もうこんなガウリイの顔はあの夢と重なるので見たくは無かった。 「協力してやってもいいが・・一個条件があるな〜?」 暫く黙り込んでいたと思ったガウリイが不意になんともいえない口調でリナに・・恐らく打診だろう・・をしてきたのはそんな考えが頭を過ぎった後だった。 ふっと我に帰ったリナは・・・・。 「何よ?高い物は駄目だからね?」 僅かに眉をしかめつつそう答えたのだが・・ガウリイは一向に気にした様子すらなく。 「・・・決まってるだろ・・リナ・・お前なんてどうだ・・・?」 むぎゅ!!!!!!!!!!!!!!!!! 「・・・か・ん・が・え・て・お・く・わ!!!」 「・・・・・・・・・・・・・・・・はい・・・・・・・・」 思いっきりリナに足を踏みつけられ・・情け無い声でガウリイは答えるのに精一杯なのであった・・・・・。 「兎に角。ジョークはさて置き。お互い『噂』は命取りだろ?じゃ。俺は戻るからな?」 先ほどまでの情けない困惑した風袋は何処へやら。 言うだけ言ってさっさと元板屋敷のほうに戻って行くガウリイ。 「・・・何よ・・逃げだけは上手って・・そうでもないみたいね・・・」 確かに・・お互い噂は避けなければならないし・・・・。 苦笑しつつリナは(既にガウリイは敏感に察知していたらしいのだが)此方のほうにやってきた気配に向かって視線を投げかける。 「リナさま・・リナ伯爵令嬢!心配をしていたのですよ!!あのガウリイ殿は・・・」 「大丈夫よ。名うての誑しだけど・・一寸商売上の商談をしていただけ。それにあたしとあの人は・・ま、天敵みたいなものだし。何も無いわ」 苦笑しながらリナは駆け寄ってきた人物・・・微かに自分に心を寄せているであろう・・少年・・ジェイドに向かって軽く返答をしたのであった。 見遣ればガウリイの近くにはあの黒髪のラーダ家の令嬢・・・。 シルフィールがそれとなく近づいてきたのが遠目でもよく理解できた。 ・・・・あっちもあっちの事で到底あたしの要求なんか聞けそうな状態じゃないみたいよねえ・・・・??? それにガウリイは・・・・。 もうあたしと関わらないほうが幸せになれるのかもしれないし・・・。 軽い胸の痛みを感じながらもリナは無理やり現実に意識を向けさせることに成功した。 ふっと軽く溜息をつきながらリナはまじまじとジェイドに目をやった。 「ねえ。ジェイド・・一つあたしのお願い・・・聞いてくれないかしらね・・??」 ふっと手をとり握手をするように畳み掛けるリナに・・・。 「ええ・・勿論です・・リナ嬢・・貴方の頼みであれば・・」 恍惚としたようにジェイドはリナの顔を見遣るのであった・・・。 「シェーラ、シェーラ!!!」 不意に聞こえてきた女・・従姉にして彼女の後見人であるマゼンダ伯爵夫人の声が聞こえてきたのは意に添わないが・・婚約を聞かされていたその時であった。 「マゼンダ御姉様・・・一体どうしたんですか?」 「インバースの令嬢・・リナさまが貴方にピアノの先生を紹介してくださるのですって!」ふっとシェーラが其方の方向を見遣れば・・・。 自分よりか少し年上であろうが・・威厳を兼ね備えた若い女性と・・・。 黒い髪の・・恐らくこの女性と同い年くらいと思われる少年と青年の中間の男がそこに立っていた。 「噂にたがわない可愛らしい方ですね。しかも・・かの勇将のガーヴ将軍とのご婚約がなされたとか・・おめでとうございます・・」 何処となく・・感情の欠如した声でリナは言ったと思うが・・・。 まあ、社交辞令など大概こんな物だ。気にする人間などいないだろう。 それに・・・シェーラとしてもリナの存在は眼中に殆ど無い事は明らかな事実だ。 実際の彼女の瞳は・・そう。黒髪の青年・・ジェイドに釘付けではないか・・・。 「何をボケっとしているの?ジェイド。此方がシェーラさん。グラウ家のお姫様よ・・そして。此方がディルス家のジェイド男爵・・・」 ニッコリと微笑を取り繕いながらリナはシェーラとマゼンダに向かい紹介をした。 「・・・ジェイド・・・男爵さま・・・???」 僅かに頬を赤らめながら・・・・そしてジェイドと共にピアノに向かうシェーラをリナはやけに醒めた気持ちで見遣ったのであった・・・。 |
21531 | 偽りのロマネスク(後編) | CANARU | 2002/8/24 19:22:51 |
記事番号21530へのコメント 「で。あの約束はどうなったのかしら?ジェイド・・」 あの夜会から数日もしないある日の午後・・・・。 何処に行くともなく連れ立って歩いていたリナとジェイドがパリ市内の公園に行き着いたその時であった。 今まで黙りこくってはいたが・・・「成果」を彼に問いただすべくリナが口を開いたのは。 「・・・僕には出来ません・・。あんな美しく清らかな方を・・・。よもや名誉を汚して貶める事なんて・・。インバース令嬢・・貴方が何をお考えかは存じませんが・・」 そう言うだけ言ってそそくさと・・辛そうに走り去ってしまうジェイド・・。 「悪かったわね・・・純粋なんかじゃなくって・・・」 その後姿を無感動に見送りながらリナは誰にともなく愚痴る事しか出来ないのであった。と、まるで彼女が一人になる隙を見透かしたかのようにその人物は現れた。 「・・・リナさまではありませんか・・・??」 不意に後ろに現れた女の声を誰かと思いながらも振り返ったリナが見たモノは・・。 「まあ・・マゼンダ様ですか・・・。まったく・・パリは暑くて仕方がありませんね」 あのシェーラの後見人である女か・・・・。 とりあえず当り障りの無い会話でその場を適当にリナはやり過ごそうとする。 「ええ。まったく・・私もラーダ嬢・・シルフィールさまのように・・・。ロワールの古城にでも遊びに行きたいものですわ・・・」 「・・・ロワール・・・ですか・・・??」 「ええ。何しろ休養でラーダ家のシルフィール様は昨夜お出かけになったとか・・」 ・・・確かガウリイはあの城に居る祖母や叔母たちに会いに行く・・などと行っていたが? ・・・・何よ・・結局はしつっこく彼女の後を追っかけまわしてるって訳・・・?? 確かにガウリイは彼女と一緒に居たほうが幸せになれるかもしれない・・・。 そんな考えはあの夢の中で・・いっつもリナの中で巣食っていることであった。 無論自分が何故こんなにイライラするのかもわからない。 ガウリイのゲームは何時もののこと・・・けど・・・・。 妙にシルフィール・・そしてシェーラ・・この二つの名前には苛立つものがあった。 最も・・前者に対しては完全に八つ当たり名なだけ・・と自覚はしているのだが。 「あの・・・リナさま・・・??」 さしものマゼンダもリナの表情に尋常ならざるものを感じたようであった。 「・・マゼンダさま・・確か貴方は・・シルフィールさまのお友達でしたよね? 大変ですわ・・・あの方は・・・・・現在ガブリエフ家のあの男がロワールに滞在している事はご存知ですよね・・・???」 ・・・遊びなら・・さっさと終わりにしなさいよね・・・ガウリイ!!! 「あの・・・ガウリイさま・・・」 先ほど、祖母や叔母に呼び出されてこっぴどく怒られたものだ。 無論・・密告者に対する制裁を加えるべく・・と言う事は考えるには考えたのだが。 どちらにせよこの作戦を実行にすべく、今まで陰口にも耐えた自分ではないか・・。 今更どうこう喚きたてるのも多少大人気ないような気がするのだが・・・。 「密告者はマゼンダ・・・あのシェーラの従姉か・・・」 ブツブツと呟きながらパリに戻るべく支度を始めようとしたとの時であった。 不意にガウリイに向かって声を掛けてきた人物は他でもない・・・・。 「・・やあ・・シルフィール・・・・」 内心の驚きを押し隠しながらも彼女にガウリイは声をかけた。 「あ・・あの・・私・・・信じていますから・・絶対に。貴方は噂に聞くようなお方ではない・・そう・・・」 言うだけ言って彼女は吹っ切れたかのように大急ぎで階段を駆け下りガウリイの視線の届かないところへと姿を消してしまうのであった。 「ったく・・・。何処をど〜すればそうなるんだか・・・・」 半ば自嘲気味にガウリイはそう言うのが精一杯なのであった・・・。 まあ、大方叔母や祖母への密告の内容は見当がつく。 「シルフィール譲にはガウリイに気をつけるように通達しろ」・・とでも言うようなたぐいのものであろうが・・・・・。 行く分も立たないうちにガウリイは出発し・・・。 「聞いたわよ?惨めな失恋の噂。もう有名よ〜?」 くすくす・・・くすくすくすくす・・・・。 パリに到着し、出会い頭にリナの口から開口一番に発せられた物はおよそ昔の彼女からは考えられないような種類の言葉であった。 「まあ・・・最上の展開を望んでいるんでね・・多少の痛手・・自分自身にしても・・他人を利用する事も厭わないさ・・」 「・・そう?今回はどうも・・執着の度合いが違うみたいだけど?」 「焼餅?」 「馬鹿?」 たわいも無い言い合いなのだが・・ふっとガウリイは真顔に戻りリナに向かって言う。 「けどな・・俺は今までなんだって利用してこの地位までの上がってきた。人を騙すなんて・・今更でもないだろう?」 「・・・そりゃま。確かにそうかもしれないけれどもね・・・・」 「けれども。絶対的なものを持ったとたんに人間なんて弱くなるだろ?俺は・・それが怖いのかもしれないな・・他人に話したことなんか無かったんだが・・・」 「そりゃ。あたしたちが似たもの同士だから・・そう言う事でしょうね・・」 ガウリイの言葉をリナは軽く交かわす事にとりあえずは留まった。 「ねえ、改めて言うわ。あのガーヴ・・それに貴方の恋路を邪魔したマゼンダに仕返しをしてみようと思わない?あのシェーラ・・彼女を使って・・」 何故であろう・・あのシェーラの笑顔を思い出すとイライラする・・・。 そう・・・それは自分には決して許されなかったものだから・・なのだろうか? 「気が進まないなあ・・。それに・・彼女はジェイドにぞっこんだろ?彼に頼んだろどうなんだ・・・??」 それこそどうでもいい・・と言わんばかりにかわすガウリイに・・・。 「貴方じゃなくちゃ駄目なのよ!!!!」 訳も分らずに・・・もう狂気としかいえないように絶叫をしていた。 「何故・・・」 「・・・・・わからないわ・・・・・・・・」 ムカムカする・・純情すぎて・・?いや・・それだけではないだろう。 「ま、俺も協力だけはするさ・・・」 事も無げに言い放ってガウリイはその場から去っていてしまうのであった・・・。 そうよ・・・何故私は・・・・・。 暗い神経の中・・リナは垣間見たような気がした。 あのサン・バルテルミーの気の狂いそうな夜に・・・・・・。 血に染まった自分の足元・・倒れて動かないガウリイ・・・そして・・・。 手には凶刃を手にしたあの少女・・虐殺の軍勢にあった女兵士・・シェーラの姿を。 ガウリイが自分を庇い・・倒れた事はもはや疑いの無い事実であった・・・。 そして・・その下手人が・・今とは服装や表情こそ違えども・・誰であるのかハッキリと。 気がついたときにはリナは自室に戻りペンを紙の上に走らせていた・・・・。 「シェーラ!!」 何処からとなく聞こえてくる声にシェーラはぱっと視線を走らせた。 「まあ・・・ジェイドさま!!!」 明るい声にそっと手渡される贈り物の感覚にシェーラは夢見心地になった。 と・・・その時であった・・・。 「・・・なんて言う事を・・・婚約中の身なのよ?貴方は!シェーラ!!!ああ・・インバース様が教えてくださらなかったら・・・・」 彼女が次の瞬間垣間見た物は・・・・。 「お・・・お義理姉様・・・・・・???」 後見人たる従姉、マゼンダの蒼白となった顔であった。 「シェーラ!貴方は暫くパリを離れなければならないわ!!!さ・・ロワールへ行きましょう!!!!」 言うが早いがむんずとシェーラに掴みかかり、否応無しにジェイドから引き離していくマゼンダ! 「いや!!いやよ!!!離して!!ジェイドさま!ジェイドさまああああ!!!」 辺りにはただ・・・シェーラの悲痛な叫びだけが木霊するのであった・・・。 「もう二度とジェイド伯爵とは会ってはなりませんよ!!」 そんな光景を目の当たりにしながらもジェイドには何もすることは出来なかった。 ただずるずると項垂れ・・そして苦しむ顔を隠すかのようにその場に屈みこんでしまった。 「・・一体全体如何したんだ・・・???」 まるで彼が一人になった隙を見計らうかのように聞こえてきた男の声。 ハっとしたようにジェイドは顔を其方の方向に向ける。 「・・・もう。良いんです・・。所詮あの方は許婚のいる方・・・・・」 尚も打ちひしがれたジェイドの様子にガウリイは軽く・・嘆息した。 「ま、手紙でも書いたらどうだ〜?俺が届けてやるよ。幸い・・彼女の向かった先は俺の祖母と叔母の家なんでね・・後で届けるくらいの事はしてやれるはずだぜ?」 ニッコリと微笑みながらそう告げるガウリイに・・・。 ジェイドはまるで縋りつくかのような視線を送り頭を垂れるのであった。 そう・・・なんと言う嫌なめぐり合わせなのか・・・。 あのシェーラが行った先はロワールの屋敷・・・・・・・。 シルフィールの居る・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 何をする訳でもないガウリイは木陰によりかかっていた。 途中で捕まえた馬車にリナに宛てて書いた手紙を出来るだけ早く届けるように伝言して・・適当な金子を与えて・・・・。 無論ジェイドの手紙もたくらみを含みつつ・・シェーラに渡しにいかねばならない使命も充分に自覚はしていたのだが。 あえてここ、ロワールに来た途端何もする気がなくなってしまった。それだけだ。 さあああああああああああああああああ・・・・・・・・・。 吹き抜ける風に塗れながら何者かが近づいてきた気配をガウリイは敏感に感じ取った。 「・・・手紙は貰ったわ・・・。ちゃっかりシルフィールと一緒にいるシェーラをオトそうという魂胆なのね?ま。アンタの手に掛かれば100%成功・・だ、とは思いたいけれども・・・・」 現れたのは言うまでも無い。 こんな物騒な会話をガウリイに持ちかける人物はリナ以外今のところは思い当たらなかったのだからだ。 が、その少々棘のある口調は気に障るものがあった。 「・・・随分と・・・信用が無い様子だが???まあ、こっちが約束を遂行したらリナ。お前さんも約束を果たしてくれるはずだが・・・?」 「・・・何のこと?元々この辺りにはあたしの領地があるの。その視察がてらにここに着ただけ・・・って・・・離しなさいよ!!!」 突如としてガウリイに掴まれた腕を意地でも振り払おうと躍起になるリナ。 「・・・言っただろ・・・。成功したら・・今度はお前さんを俺の報酬にしてくれるって・・」 「・・・・何のことよ!それ以上近づいたら怪我をするわよ!!!」 突如として頭に上った血・・それにガウリイの言葉にリナは我慢なら無い物を覚えずにはいられなかった! ガリっと手にしていた護身用の尖った鞘でガウリイの腕を思い切り切りつける。 「 ・・・・・・・・つ・・・・・」 その反動で彼の腕が離れた隙を見計らい・・じゃっと抜き放った宝剣をリナは彼の鼻先に突きつけてやるのであった!! 「・・貴方ともあろう人が・・一つ誤算を犯した・・。そう。確かのシェーラも貴方に掛かれば陥落は疑いの無い事・・シルフィール姫もこれまた然りよ・・。けどね・・名うての貴方でも一つだけ誤算を犯した・・そう。貴方はね・・かのラーダ家に本気になってしまったと言う事よ!!!」 睨みつけるように言ってくるリナの言葉にガウリイの思考はただ真っ白になるだけだった。 ・・・・まるで分らない・・この痛みは何だろうか?このガウリイともあろう者が? 気がついたときには既にガウリイはリナの手を再び捕らえて絶叫していた。 「・・・・・・・違う!!!違うんだ・・リナ・・・・!万が一俺が本気で誰かを愛してしまったとすれば・・・他でもない・・リナ・・お前ただ一人だ!!!!」 自分でも訳の分らないうちにガウリイはひつら絶叫していた。 「・・・馬鹿にないで!貴方ねえ・・あたしの勘は当たるのよ!そう・・其処まで言うのなら・・・・貴方は自分自身を傷つける覚悟があるっての!!?それができたら・・・そうね。貴方の言うとおりにあたしはしてあげるわ・・・・・!!!!!」 そう・・・自分自身を傷つける人間が何処に居る???ましてや・・。 ましてやガウリイは・・・自分と居る事によってまた傷ついてしまわねばならないかもしれないのだから・・・・。 ならば・・せめて他の人間の傍でも・・そう・・幸せであったほしい・・・。 辛うじてリナが自分に言い聞かせるのは其の事だけなのであった・・・・。 「・・・貴方の名声は・・もうお終いよ・・・」 リナは搾り出すようにガウリイに向かって言い捨てその場を去っていったのだった。 「まあ・・ガウリイさま・・どうなさいました・・・そのようなお顔色をなさいまして・・・・」 けたたましく門が開け放たれた後・・・。 まるで顔色を悪くしたガウリイがロワールの屋敷の庭に流れ込むようにしてやってきた。 丁度庭を散策していたシルフィールはそんな彼に偶然鉢合わせするような形で出会ったのだが・・・・・。 ・・・自分を傷つけられるか・・だと・・・。 そんなの・・既にこのシルフィールとの噂が立った時点でそのつもりだった・・。 そう、きっとリナも・・・今回ばかりはやきもきして気が付いてくれるかも。 世間に何と言われようが・・・一向にガウリイは構わなかったのだが・・・。 「リナ・・そしてシルフィール・・二人を傷つけたヤキが回ったようだな・・」 決して目の前の黒髪の美女には気付かれないようそっとうめいた。 「・・あまり・・馴れ馴れしくしないでくれないか・・・・」 何処となく・・泣きたい気持ちを堪えながら演じる芝居は・・・。 そこはかとなく・・彼に暗い影を与えていることは紛れも無い事実であった・・・。 「・・・ガウリイさま・・・???」 明らかにこれは何時ものガウリイではない・・その事実に彼女も気がついたのだろう。 オドオドとしながら彼のほうに手を出しだしてくるが・・・。 流石に弾く事は出来なかった・・が、ガウリイは冷たくその手の軌道から身体を外すようによろめきながら・・最後通達のように彼女に告げたのだった。 「ああ・・俺は噂にあったような人間だ・・君は結局・・・俺の計画の一端にしか過ぎなかったんだ・・・分るよな・・・??」 驚愕に見開かれる瞳・・・・だが・・彼女は静かに告げたのだった・・・。 「分っていました・・・。わたくしの夢だと・・・ガウリイさま・・・貴方はシェーラさんのことに私を利用なさったのでづね・・けれども所詮それも『遊び』・・最終的には目が醒めてくださる・・・そう信じていました・・。恨んではいませんわ・・・」 はかない・・笑顔・・そして・・リナ、目の前にいる彼女に対する罪悪感。 それと同時に襲い来る億劫さ・・・・・・・・。 「ああ・・そうだ・・・すまなかったな・・・・・」 真実を話すのを面倒に思ったガウリイはシルフィールの言葉に素直に頷いてしまった。 そして・・・その気配が辺りをウロついていた事も分ってはいたのだが・・・。 やっとの事で気力を振り絞り・・門の外から自分の馬車を待たせた場所でガウリイが見たその存在は・・・・・・・・。 「・・・・ジェイドか・・・・・・・・」 苦笑が唇からもれた。 それは、自分に対する自嘲か・・この青年の余りにも真っ直ぐすぎる気持ちに直面してしまったためか。 既にそれすらガウリイは理解できない状態に陥っていた。 いや、ある意味で自分はこの青年以上に不器用かも知れない。 そうだな・・・リナに・・さっさと気持ちを告げていればこんな事にはならなかったものに・・・。 生まれたときから・・誰かに対する愛情の方法など忘れ去っていたためだろう・・・。 「もう一度リナに・・あの少女に会いたい・・・」 そうはずっと思っていたのだが・・・・・彼女に逃げられたら??? その恐れのみにずっと突っ走っていた付け・・としか言いようが無いのだろうな。 自分の考えにのみ浸るガウリイを現実に引き戻すように冷たいジェイドの声があたりに響き渡った。 「ガウリイ殿・・貴方に決闘を申し込みます!!」 「・・・・受けて立とう・・・・・・・」 「6シス、7セット、8ユィット、9ヌフ、10ディス・・・・・・・」 刻々と刻まれるカウント・・・・・・・そして・・・・・・・・・・・。 「バスティーユが陥落したぞ!!!!」 「国王をパリに引き戻せ!!ヴェルサイユを包囲しろ!!!!」 辺り一面にがなり立てる様な革命の声が響き渡っていた・・・・・・。 「・・・あの決闘からどうなったか分らないわ・・・ねえ・・・ガウリイ・・生きているの・・それとも・・・・???」 また。最終的には自分はガウリイを傷つけてしまったのだおうか??? あの夢の繰り返し、悪夢の惨劇・・良かれとして思った決断が・・・。 暗い思いを抱えながら再びリナが窓のを外を見やったその時だった!!! 「り・・・リナさんん!お化けですううううう!!!!!」 既に亡命の準備が整ったと思っていたアメリアの場違いなほど怯えた声が聞こえてきた。 と・・・その本当に一瞬の後・・だった・・・・。 「失礼な・・俺はお化けじゃないぞ〜・ったく・・アメリア。変な騒ぎを起さないでくれよ!」 口ではそうとは言いながら・・何処となく楽しげな声が聞こえたのは・・・。 ふっと・・涙に濡れた目を隠そうともせずリナは思いっきり其方を見遣る。 「・・・がう・・・りい・・・???」 口から出たのは・・もう二度と遭えないとばかり思った人物の名前・・・。 「おい・・こら!抱きつくな!いででででで!まだ怪我完治してないんだぞ・・?」 「・・あ、ごめんなさい・・けど・・貴方・・・」 泣きながら言ってくるリナにガウリイは包帯で巻かれた腕を見せながら軽く肩を竦めつつ・・・。 「あ〜。あのボーヤ・・剣術の腕は最悪だ・・・。ま、程ほどで上手く負けてやったつもりだが・・それに。シルフィール嬢の新しい恋の噂を聞いたんでね。口やかましい野次馬として・・・・それに・・この国の危機に瀕した貴族として・・」 「・・地獄の底から蘇ってきた・・っての・・??」 まだ泣きそうな気持ちを堪えつつリナは何とかガウリイにそう尋ねた。 「まあ。な、もう二度と同じようなことは繰り返さないからな・・・・・」 多分・・あの惨劇の過去の夜の事をいっていうのであろうか・・・??? ガウリイの言葉にリナはさらにこみ上げて来る物を吐き出すかのように・・・。 「ガウリイ・・・あの・・・あたし・・・・・」 そう言うリナの言葉を封じるかのようにガウリイは素早い身振りで・・・。 「待て、リナ、似合わない。お互いにな・・・」 くすくすくすくすくくす・・・・・・・・。 「そうね・・・。あたしはこれから亡命する・・貴方は・・・・・」 「言っただろ。戦うが・・何度でも地獄の底から蘇ってくる。それだけだ・・・」 全てが終わり・・・。 二人が本当に再会するときはもうすぐの時のことなのであった・・・・。 ************************* な・・何とかガウリナ・・ハッピーエンドにこぎつけました(汗) ともあれ・・シルフィールにも最終的に幸せになってもらえて一安心 しています・・。 とりあえず前世・・シェーラちゃんは悪人でした(汗) ではあ〜〜〜! |
21540 | こちらでははじめましてv | らん URL | 2002/8/25 11:21:20 |
記事番号21531へのコメント CANARUさんは No.21531「偽りのロマネスク(後編)」で書きました。 こんにちはvCANARUさんは♪ こちらでははじめましてです!!らんです。 相変わらず、歴史物は素敵です>< しかもガウリナ大好き人間である私のオアシスですvvv もう、どきどきして続きを読んでおりましたv ちゃんとハッピーエンドになるかどうか・・・・(どきどき) でも最後はちゃんとハッピーエンドになったのでよかったですvv それと、シルフィールも幸せになって安心ですvお疲れ様でしたv それは、これにて失礼いたします。 |
21549 | 早速ありがとうです〜♪ | CANARU | 2002/8/25 21:14:26 |
記事番号21540へのコメント >こんにちはvCANARUさんは♪ >こちらでははじめましてです!!らんです。 どうも〜〜!! 私も此方では始めましてのCANARUです〜〜!! 早速コメントありがとうございました!! (本当に久々投稿でしたので〜・汗) >相変わらず、歴史物は素敵です>< >しかもガウリナ大好き人間である私のオアシスですvvv >もう、どきどきして続きを読んでおりましたv >ちゃんとハッピーエンドになるかどうか・・・・(どきどき) はい〜〜!! 原作漫画を片手に小説かきながら・・・。 書いている本人も「ああ・・続き・・どうしよう・・汗)と、 ヒヤヒヤしながら書いた話でしたが・・・。 無事にハッピーエンドに終わらせることが出来たときは本気で安心 してしまいましたあ(汗) もっと修行せねばです〜! >でも最後はちゃんとハッピーエンドになったのでよかったですvv >それと、シルフィールも幸せになって安心ですvお疲れ様でしたv >それは、これにて失礼いたします。 ありがとうございます〜〜!! また私もHPの方に遊びに行かせていただきますね! |
21548 | ここではお久しぶりです♪ | P.I | 2002/8/25 21:08:30 |
記事番号21531へのコメント CANARUさん、こんばんは! ここにカキコするのもお互い久しぶりですね〜。いやいや懐かしい♪ 清らかな令嬢シェーラに純情青年ジェイド・・・・シャドウ・シェーラ&ジェイドですか!?まさかこのキャスティングで来るとは〜(爆笑) なんかガウリナよりこっちの二人のほうが印象強烈でした(^0^) しかしガーヴ将軍は誑しガウより強敵のはず! この二人がハッピーエンドになるためには、革命のどさくさに紛れて駆け落ちでもするしかありませんね!(笑)頑張れジェイド!男は甲斐性だ!!(違) HPの方でもまた遊んでくださいね! それではまた〜☆ |
21550 | お久しぶり投稿でした〜♪ | CANARU | 2002/8/25 21:18:34 |
記事番号21548へのコメント >CANARUさん、こんばんは! >ここにカキコするのもお互い久しぶりですね〜。いやいや懐かしい♪ はい〜〜! 早速コメントありがとうございます〜〜!! また時間が出来たら此方にも投稿をたくらんでいるこのごろ・・。 これからもよろしくお願いします〜♪ >清らかな令嬢シェーラに純情青年ジェイド・・・・シャドウ・シェーラ&ジェイドですか!?まさかこのキャスティングで来るとは〜(爆笑) はい〜〜! 漫画「仮面のロマネスク」を片手に・・・。 「ああ・・キャスティングどうしよう・・。シェーラちゃんは前世悪役だったと言うことで・・・(汗)ダンスニーは・・・(汗)」と。 お風呂で熟考(?)を重ねた挙句ジェイドくんになってしまいましたあ〜! やっぱりシャドウはお約束ですね! >なんかガウリナよりこっちの二人のほうが印象強烈でした(^0^) >しかしガーヴ将軍は誑しガウより強敵のはず! ですです〜〜!! ああ・・性悪ガウリイ・・書いていてこっちまで冷や汗ものでした! >この二人がハッピーエンドになるためには、革命のどさくさに紛れて駆け落ちでもするしかありませんね!(笑)頑張れジェイド!男は甲斐性だ!!(違) うう〜〜みゅ・・・。 その辺りも一寸妄想すると面白そうです〜〜!! やっぱりガーヴ・・「してやられる」姿を見てみたいですし!! >HPの方でもまた遊んでくださいね! >それではまた〜☆ はい〜〜!! 此方こそよろしくお願いします〜〜! ではでっは! |