◆−戦争7〜身を守るための戦い〜−春祭あられ (2002/8/26 02:46:27) No.21555 ┗Re:戦争7〜身を守るための戦い〜−藤原清貫 (2002/8/26 19:51:04) No.21562 ┗お待たせしてすいません。−春祭あられ (2002/8/27 01:33:26) No.21567
21555 | 戦争7〜身を守るための戦い〜 | 春祭あられ E-mail URL | 2002/8/26 02:46:27 |
お久しぶりの人、初めましてな人、春祭あられです。 旅に出ていたので、更新が遅れました。 この7で、一部完です。生々しい戦争の話は8以降から。 1〜6を見ていない人はどうぞ過去ログからご覧下さい。 □■□■□■□ 屋上に、舞華の姿があった。 風に髪がなびいて、ボサボサの状態になっているが気にする様子もなくたっている。 その向かいには、自嘲気味に壁にもたれかかっている甲斐田が居た。 携帯電話を片手に、悲しく笑っている。 「悪いな。赤崎に最後の忠告してやったんだけど・・・・・・受け入れてもらえなかったよ。俺たちの反抗なんてへでもないとでも思ってんのかなあいつは」 「・・・・・・佐々木さんに聞きました。この学校に存在する三つの派閥のこと。その派閥ができた理由。分からないことは3つです」 「なにがわからない?」 「一つ目、何故赤崎がいじめを始め出したのか。 二つ目、何故今まで甲斐田さんが“闇”じゃなかったのか。 三つ目、最初の被害者、西田香織さんの生死について」 甲斐田は少し考え込んでから、携帯をポケットにしまうとぺったりとあぐらをかいて座った。 「長い話になるから、舞華も座れよ」 おもむろに肯いて、彼女もその場に座った。 その様子をどこか遠い目で見ながら、ゆっくりと一息ついた。まるで何かを覚悟するかのように。 「俺のことについては、佐々木とか、他の連中からはまだ聞いてないんだな?」 「はい。皆さん甲斐田さん自身に聞いた方がいいって」 「そう・・・・・・香織は、一応死んだ」 「・・・・・・。」 悲しそうに舞華が目を伏せた。 「ってことになってるが、本当はまだギリギリ生きてる」 ぱっと、目が見開かれた。 「意識不明の重態のままだ。どうしてこうなったかは聞いたか?」 「いえ。ただ、話の中に亡くなった高瀬会長の名前があったから。もう一方はどうしたんだろうって・・・・・・」 「・・・・・・自殺」 「・・・・・・え?」 てっきり赤崎の攻撃によってそうなったのかと思っていたのに。 自殺。自らを殺す。 「トラックの目の前に出て行って轢かれたんだと。周りの証言からも自殺に間違いないそうだ」 「負けたんですか、いじめに。二人とも」 「香織は負けたんだ。耐えられなくて、終わりにしたくて。高瀬の場合は・・・・・・自殺扱いになってるが」 「殺されたんですね?」 ためらいもなく言われる言葉に、甲斐田は苦虫を噛み潰したような顔で肯いた。 「丁度そこだ。フェンスが新しくなってるところがあるだろ?あそこのフェンスが壊れてて、そこから突き落とされたんだ」 それは赤崎が一人で高瀬に対峙して突き落としたのか、それとも数人が束になって突き落としたのかは今となってはわからない。 死人にくちなしだ。今更どうすることもできない。 舞華は静かに合掌し、死者を悼んだ。 高瀬はまだ一度も話したことは無かったが、時折朝礼の時に見せる生徒会長としての眼差し、話し方は責任感のある、とても頼りがいのある好少年だった。 「高瀬は、本当にいい奴だったよ。でも、俺も殺したも同然だ」 「何故?だって貴方は・・・・・・」 「俺が何故“闇”に入らなかったと思う?何故皆、俺に直接聞いた方が良いと言ったか分かるか?俺は、赤崎そのものなんだ。赤崎と同類なんだよ。俺の本当の名前は、赤崎俊だから」 ピッ。 携帯の電源を消して、赤崎は壁にもたれかかった。 その目に生気が無い。 “西田は死んだ” そう言われたのがかなりこたえた。 今でも彼女が忘れられない。 しかし、これとそれは関係が無い。関係が無いのだと思っている。 「いいよ俊。いじめなんてもう止めてやろうじゃねーか」 無感情に呟く。そしてその唇の端をにやりと上げた。 「そん代わりといっちゃあなんだけど・・・・・・今度の標的(獲物)はお前だ」 整った容姿に映える珊瑚の唇。妖艶に笑う姿は、狂った美しさを伴っていた。 一部完 □■□■□■□ 8以降はまだ書いてる最中です。 もうしばらくお待ちください。 では、また皆様に会えることを祈って。 春祭あられ |
21562 | Re:戦争7〜身を守るための戦い〜 | 藤原清貫 | 2002/8/26 19:51:04 |
記事番号21555へのコメント 春祭あられさんは No.21555「戦争7〜身を守るための戦い〜」で書きました。 > >お久しぶりの人、初めましてな人、春祭あられです。 >旅に出ていたので、更新が遅れました。 >この7で、一部完です。生々しい戦争の話は8以降から。 >1〜6を見ていない人はどうぞ過去ログからご覧下さい。 こんばんは。どうもお久し振りです。あられさん。 北陸の旅は楽しめたでしょうか?そして、加賀百万石博は見れたのでしょうか?←そっちが狙い(爆)。 長旅、どうもお疲れ様でした。 続きのお話ですね。ずっと待っていたのです。 ・・・むぅ。全然関係ない話なんですけど、いつの間にか呼び方が「春祭さん」から「あられさん」に変わってると気が付いた自分。やっぱり馴れ馴れしいでしょうか? >□■□■□■□ > > > >屋上に、舞華の姿があった。 >風に髪がなびいて、ボサボサの状態になっているが気にする様子もなくたっている。 >その向かいには、自嘲気味に壁にもたれかかっている甲斐田が居た。 >携帯電話を片手に、悲しく笑っている。 >「悪いな。赤崎に最後の忠告してやったんだけど・・・・・・受け入れてもらえなかったよ。俺たちの反抗なんてへでもないとでも思ってんのかなあいつは」 前回で性同一性障害だと発覚した赤崎さん。 実は私も、あの回の「金八先生」は見ていたのです。ですから、性同一性障害者が実社会で生きていく上でのさまざまな障害は、多少なりとも知ってるつもりです。 甲斐田――いや、「赤碕」俊君を「裏切り者」としか見れない頑なな思いが、彼女(彼?)を頑迷にしてしまっているのでしょうか・・・・・? >「・・・・・・佐々木さんに聞きました。この学校に存在する三つの派閥のこと。その派閥ができた理由。分からないことは3つです」 >「なにがわからない?」 >「一つ目、何故赤崎がいじめを始め出したのか。 う〜ん、それは私もとてみ気になっているのです・・・。 >二つ目、何故今まで甲斐田さんが“闇”じゃなかったのか。 かと言って、「輝」でもありませんしね。 >三つ目、最初の被害者、西田香織さんの生死について」 それも謎ですよね・・・。 >甲斐田は少し考え込んでから、携帯をポケットにしまうとぺったりとあぐらをかいて座った。 >「長い話になるから、舞華も座れよ」 >おもむろに肯いて、彼女もその場に座った。 >その様子をどこか遠い目で見ながら、ゆっくりと一息ついた。まるで何かを覚悟するかのように。 >「俺のことについては、佐々木とか、他の連中からはまだ聞いてないんだな?」 >「はい。皆さん甲斐田さん自身に聞いた方がいいって」 >「そう・・・・・・香織は、一応死んだ」 >「・・・・・・。」 >悲しそうに舞華が目を伏せた。 >「ってことになってるが、本当はまだギリギリ生きてる」 >ぱっと、目が見開かれた。 >「意識不明の重態のままだ。どうしてこうなったかは聞いたか?」 >「いえ。ただ、話の中に亡くなった高瀬会長の名前があったから。もう一方はどうしたんだろうって・・・・・・」 >「・・・・・・自殺」 >「・・・・・・え?」 >てっきり赤崎の攻撃によってそうなったのかと思っていたのに。 >自殺。自らを殺す。 うみゅ。シュールな言葉ですよね・・・。 >「トラックの目の前に出て行って轢かれたんだと。周りの証言からも自殺に間違いないそうだ」 >「負けたんですか、いじめに。二人とも」 いじめに負けるのは確かによくないことですけど、赤碕さんはどうしてそこまで追い詰めてしまったのか。 自分の心の痛みがわかるのなら、相手がどんなに辛い思いをしているかもわかると思うのですが・・・。 >「香織は負けたんだ。耐えられなくて、終わりにしたくて。高瀬の場合は・・・・・・自殺扱いになってるが」 >「殺されたんですね?」 >ためらいもなく言われる言葉に、甲斐田は苦虫を噛み潰したような顔で肯いた。 >「丁度そこだ。フェンスが新しくなってるところがあるだろ?あそこのフェンスが壊れてて、そこから突き落とされたんだ」 >それは赤崎が一人で高瀬に対峙して突き落としたのか、それとも数人が束になって突き落としたのかは今となってはわからない。 >死人にくちなしだ。今更どうすることもできない。 何時の時代も、歴史は勝者が作る。いい意味でも悪い意味でも。 敗者は歴史上から抹殺され、あるいは勝者中心に作った歴史観により貶められる。 「死人に口なし」とは、本当によく言ったものですよね・・・。 戦に敗れれば全てを失う。財産も、友人も、家族も、そして名誉も。自分の死後もそれは続く・・・。 >舞華は静かに合掌し、死者を悼んだ。 >高瀬はまだ一度も話したことは無かったが、時折朝礼の時に見せる生徒会長としての眼差し、話し方は責任感のある、とても頼りがいのある好少年だった。 >「高瀬は、本当にいい奴だったよ。でも、俺も殺したも同然だ」 >「何故?だって貴方は・・・・・・」 >「俺が何故“闇”に入らなかったと思う?何故皆、俺に直接聞いた方が良いと言ったか分かるか?俺は、赤崎そのものなんだ。赤崎と同類なんだよ。俺の本当の名前は、赤崎俊だから」 告白するには、かなりの勇気が要ったことでしょうね・・・。 予想はしていても、実際言葉に出すと、やっぱり痛いですよね・・・。 >ピッ。 >携帯の電源を消して、赤崎は壁にもたれかかった。 >その目に生気が無い。 >“西田は死んだ” >そう言われたのがかなりこたえた。 >今でも彼女が忘れられない。 >しかし、これとそれは関係が無い。関係が無いのだと思っている。 >「いいよ俊。いじめなんてもう止めてやろうじゃねーか」 >無感情に呟く。そしてその唇の端をにやりと上げた。 >「そん代わりといっちゃあなんだけど・・・・・・今度の標的(獲物)はお前だ」 >整った容姿に映える珊瑚の唇。妖艶に笑う姿は、狂った美しさを伴っていた。 > > > >一部完 > > > >□■□■□■□ > > >8以降はまだ書いてる最中です。 >もうしばらくお待ちください。 >では、また皆様に会えることを祈って。 > 春祭あられ ますます狂気ぶりに拍車がかかる赤碕さん。もはや誰も彼女を止められないのか?自分自身も含めて。 そして、生まれる新たな疑問。すなわち、甲斐田さんが「赤碕」の苗字を持っているのは何故なのか? そして、舞華さんたちはどうやって赤碕さんたちに立ち向かっていくのか。 今後の展開に期待して、お待ちしたいと思います。 ではでは、またです〜。 |
21567 | お待たせしてすいません。 | 春祭あられ E-mail URL | 2002/8/27 01:33:26 |
記事番号21562へのコメント > こんばんは。どうもお久し振りです。あられさん。 > 北陸の旅は楽しめたでしょうか?そして、加賀百万石博は見れたのでしょうか?←そっちが狙い(爆)。 こんばんは。旅は楽しかったです。 金沢はですね、さすが某テレビ番組。 お盆を避けて見に行ったのに、見事に人でいっぱいでしたよ。(汗) 結局、見れなかったんですけど。残念。 > 長旅、どうもお疲れ様でした。 > 続きのお話ですね。ずっと待っていたのです。 ごめんなさい。お待たせして。(滝汗) > ・・・むぅ。全然関係ない話なんですけど、いつの間にか呼び方が「春祭さん」から「あられさん」に変わってると気が付いた自分。やっぱり馴れ馴れしいでしょうか? いや、別に良いですよ。結構下の名前で読んでくれる人多いですしね。 >>「悪いな。赤崎に最後の忠告してやったんだけど・・・・・・受け入れてもらえなかったよ。俺たちの反抗なんてへでもないとでも思ってんのかなあいつは」 > > 前回で性同一性障害だと発覚した赤崎さん。 > 実は私も、あの回の「金八先生」は見ていたのです。ですから、性同一性障害者が実社会で生きていく上でのさまざまな障害は、多少なりとも知ってるつもりです。 > 甲斐田――いや、「赤碕」俊君を「裏切り者」としか見れない頑なな思いが、彼女(彼?)を頑迷にしてしまっているのでしょうか・・・・・? うーん、どうなんでしょうね。 この先の展開にも関わりそうだからコメントは控えておく。(笑) >>「一つ目、何故赤崎がいじめを始め出したのか。 > う〜ん、それは私もとてみ気になっているのです・・・。 >>二つ目、何故今まで甲斐田さんが“闇”じゃなかったのか。 > かと言って、「輝」でもありませんしね。 >>三つ目、最初の被害者、西田香織さんの生死について」 > それも謎ですよね・・・。 そういえば、彼女の死についてあんま触れてませんでしたね。前回の会話に出てきたくらいで。 >>「トラックの目の前に出て行って轢かれたんだと。周りの証言からも自殺に間違いないそうだ」 >>「負けたんですか、いじめに。二人とも」 > > いじめに負けるのは確かによくないことですけど、赤碕さんはどうしてそこまで追い詰めてしまったのか。 > 自分の心の痛みがわかるのなら、相手がどんなに辛い思いをしているかもわかると思うのですが・・・。 そこが、赤崎の赤崎である理由なんだと思います。 自分の存在を示すには、相手を思いやるだけではどうにもならないんです。彼女の場合。 >>それは赤崎が一人で高瀬に対峙して突き落としたのか、それとも数人が束になって突き落としたのかは今となってはわからない。 >>死人にくちなしだ。今更どうすることもできない。 > > 何時の時代も、歴史は勝者が作る。いい意味でも悪い意味でも。 > 敗者は歴史上から抹殺され、あるいは勝者中心に作った歴史観により貶められる。 > 「死人に口なし」とは、本当によく言ったものですよね・・・。 > 戦に敗れれば全てを失う。財産も、友人も、家族も、そして名誉も。自分の死後もそれは続く・・・。 うむ。世に残らなければ、結局はいないのと同じ扱いだ。 可哀想ですよね。 >>「俺が何故“闇”に入らなかったと思う?何故皆、俺に直接聞いた方が良いと言ったか分かるか?俺は、赤崎そのものなんだ。赤崎と同類なんだよ。俺の本当の名前は、赤崎俊だから」 > > 告白するには、かなりの勇気が要ったことでしょうね・・・。 > 予想はしていても、実際言葉に出すと、やっぱり痛いですよね・・・。 彼自身、いじめに合った子に話すのはかなり迷ったでしょうね。 でも、自分を知ってもらうためには話すのが一番でしょう、やはり。 >>8以降はまだ書いてる最中です。 >>もうしばらくお待ちください。 >>では、また皆様に会えることを祈って。 >> 春祭あられ > > ますます狂気ぶりに拍車がかかる赤碕さん。もはや誰も彼女を止められないのか?自分自身も含めて。 > そして、生まれる新たな疑問。すなわち、甲斐田さんが「赤碕」の苗字を持っているのは何故なのか? それはのちのち書くつもりです。それまで夜も眠れぬほど悩んでおいてください。(笑) > そして、舞華さんたちはどうやって赤碕さんたちに立ち向かっていくのか。 > 今後の展開に期待して、お待ちしたいと思います。 > ではでは、またです〜。 レス有難うございました! 8以降はちょっと貯めてから、一気に出せれば出していこうと思ってます。 あと、本当に生々しくするのかとか、戦争の方法とかいろいろ悩むところもあるから。 頑張ります。 では。 |