◆−ある宿から事は始まった 3 (四人組)−萌芽 (2002/8/26 16:00:19) No.21558


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21558ある宿から事は始まった 3 (四人組)萌芽 E-mail 2002/8/26 16:00:19


はい、長らくお待たせしました!「ある宿から〜3」です。
(陰の声)誰も待っていなかったんじゃないか?
いやだな〜、そんなことあるわけ・・・ありそうだけど・・・。
まあ、これで完結のつもりです。では、どうぞ!

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「アメリア〜、まだ着かないの〜?」
彼女の部屋を飛び出して、早数分が過ぎている。
横に目をやると、ガウリイのいるはずの部屋がまだ続く。
なんちゅー広さなんじゃ、ここは!
え〜っと、キッチンあって家族風呂くらいのバスタブあって洗面所あってリビングルームあってイグサっていうので編んだタタミの部屋あって空のクローゼットあって寝室はダブルベットあってベランダあって鏡台あって結構貴重な魔道書の本部屋あって…ああ、もう言い切れん!普通はドアから奥の方に続くのに、横の方にず〜〜っと伸びているのよ!!。
…確かゼルが泊まってる部屋、1番端っこだったな〜。
って、なんであの部屋だけ、ドアが端の方にあんのよ!!
「ストップ、ストップ!!ハァアァ〜…、ちょっと休ませてよ…。」
「何を言っているんですか!?
 今、私の正義の心が訴えています。悪の道に進まんとしている者を救え、と!!」
ダン
近くの台―花瓶を置くか何かだろうーに飛び乗り、うずくまる彼女。
ぶるっ
わずかに自身が震えるのは、あたしの気のせいだろうか…。

「………ふっ…。」

ふ?

「ふっふっふっふっふ……。」

ぞくぅぅぅ
今度の震えは気のせいではなかった。
うずくまっている彼女は、顔だけを上げ、天井を見ている。
本人は、夜空の星にでも見えているのだろうか…。

「燃えます……。」

は?

「燃えてきます…。」

何が?と聞くことはしなかった。いや、出来なかった。
アメリアの瞳は、マンガでよくある『燃える瞳』のようだったから。

「…燃えます、燃えてきます。私の中に潜む正義の心が、紅蓮の炎のように…。」

そう言うなり、すくっと立ち上がり…
――あ
ごすん
――ぶない
どたっ

――単純な事。
まず、高さがおよそ3.5mほどある天井。
次に、そこからぶら下がっている、照明用のランプ。釣り下がっているタイプで、1mくらいのところに底(結構でかくて、硬そう)がある。天井の真ん中にシャンデリア…までとはいかない照明が、横は2m弱、縦は1mほどある。
そして、彼女が飛び乗った台。あたしの胸のところだから、120cmぐらいだ。
最後に、アメリアの身長。この前、服を新しく買うときに測ったのは確か、160cmあるかないかぐらいだった。

――さて問題。
35cmの容器に、12cmくらいある木を入れる。
容器の端から、10cmの糸をつけたおもりを引っ掛ける。
木の上に、16cmの人形を乗せるとどうなる?

――答えは簡単。
人形の頭の部分におもりがぶつかってしまう。

――つまり、
アメリアが立った事で、ランプの底がアメリアの頭もとい額に当たったのだ。

まったく、少しは周りを見なさいってー…


すくっ
パンパンパン
すたすたすたすたすたすたすた
…………………


…って、もう復活してるし!!
ああ、アメリア。お願いだから、もう少しゆっくり復活して…。
なんか、彼女の後姿が思い出したくもない奴とかぶってる〜…。




ここはゼルの部屋。
――展開早って思うかもしれないけど、文句は作者に言って…。
んで、な・ぜ・か・ガウリイもいんのよね〜。
まあ、ここはあたしがお願いして(お願いよ、お願い!)事情を説明してもらった。

「で、はっきりきっぱり話してもらいましょーか?」
「なにを?」
すぱああああぁぁぁぁん

乙女の必需品、スリッパでクラゲの後頭部を撃つ。
うん、音が良い!腕が上がったか?

「こんのクラゲがああぁぁ!!
 あんた、ここ最近、ゼルの部屋に行ってたそうじゃない!その理由よ、理由!!」

…………………………………………

「…旦那、分かるか?」
「いんや、全然。」
すぱあああああぁぁぁぁぁん

「リ、リナ、落ち着け。冗談だって。」
あんたの冗談は、冗談に聞こえん。

「んで、何の話だ?」
すぱぱああああぁぁぁぁん

をう!いつかは試そうと思った、往復スリッパが成功した。よし、クラゲ撃退法のリストに書いておかなければ。
しばらく頭から煙が出ていたが、ムクッと復活した。頭の上の4つの膨らみは無視しておこう。
そして一言。


「マッサージだ。」


「「………はい?」」


「マッサージ。」


「「………も、もう一度言って(下さい)。」」


「いやだから、マッサージの練習。」
「で、俺がその練習台。」
さっきまで呆れ返っていたゼルも言う。


「「マ、マッサージの練習(ですか)……。」」


あたしとアメリアが、フシュ〜と音の通り、風船の空気が抜けたように力が抜け…
ちゃいかん!

「な・ん・で・そんなことになったのよ!!」
「なんでだっけ?」
「………旦那。」
すぱぱぱぱああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁんんんんん

を〜、今度は往復スリッパ2連発の成功だ。今度ボケたら、上下左右も試しちゃおうvv

「9、10ヵ月前くらいにセイルーンに行ったろ?」
ガウリイにこれ以上話させると時間の無駄だと悟り、ゼルにお・ね・が・いvvして説明を求めた。
「アメリアとリナが城下町に買い物している間、ガウリイが昼寝中のフィル殿下にマッサージを突如始めたんだ。」
……相変わらず怖いもの知らずなクラゲだな〜。いや、なにも分からないからクラゲか…。

アメリア前に
『父さん、もの凄く寝起き悪くて、寝ぼけて王宮の柱を壊しちゃった事があるんですよ。全く、お茶目ですよね〜。アハハハハ〜。』
って、言ってたしな〜。お茶目や笑いで済ませられることはどうかと思うが。
まぁ、ガウリイに話したとしても、ものの何日かで忘れそうだけど…。

「それが妙に気に入っちゃっらしく、『次来た時もしてくれ。』って言ったらしいんだ。」
「らしい?一緒にいたんじゃないの?」
「ちょうど図書館に居たんだ。まだ合成獣(キメラ)だったからな。
 で、例外に漏れなくすっかり忘れていて。」
「(今サラリと少し酷い事言った…。)」
「その2ヵ月後くらいかな?野宿のときに、『そういや俺、盗賊のお頭みたいな顔の王子さんと約束してたんだ。』って急に言い出したんだ。」
「(いやあああぁぁぁっっっ!それだけは言わないで〜!!)」
心の中で、フィル王位第一継承者の顔が…;;
「んでその時、『ゼル、マッサージ教えてくれ!ついでに練習台になってくれ!リナはあーだけど痛みに弱いし、アメリアは大丈夫そうだけどやっぱ女の子だし。お前なら、岩だし。』って言われたんだ。正直、ムカッて来たがな。」
そりゃ来るわな。選ばれた理由が「岩だから」ってね。…それにしても、
ガウリイ〜vv「あーだけど」ってどういう意味かしらね〜vv……まぁ、痛みに対する耐え性が無いのは事実だけど…。
「一応、レゾの手伝いしてたから、ある程度のツボは知っていた。まず俺が旦那にして真似する様にしたんが…。いかんせん旦那は加減を知らん。」

「そんな事無いぞ!あの王子…え〜っとなんだっけ?」
ミミズのようにニュッと復活した。…ただ単に話が分からんで、適当に言って出てきたんじゃなかろうか…。
「フィル。」

「そうそう、フィル王…」
すぱあああぁぁぁん

「王位第一継承者!いい加減覚えなさい!!」

「ふっ、リナ。俺に覚えろといって、覚えた事があるか?」
「威張るな〜!!」
すぱぱぱぱああああぁぁぁぁんんんん

ふっ、スリッパ奥義上下左右(頭→あご→左→右)が決まった。今度は姉ちゃんが使ってた鉄板仕込みを使ってみようかな〜♪

「……続けていいか?」
はうっ!いい汗をかいて満足してたら、本題を忘れてしまった!…などと顔に出してはいけない。そ知らぬ顔で、
「どうぞ(はぁと)(汗)」
「それから1週間位続いたんだが、疲れたといってやめたら、忘れた。」
すぱああぁぁん
まだ気絶しているガウリイの頭の上にもう一発。
「リ、リナ!それ以上しちゃいますと、本格的にダメになっちゃいますよ、ガウリイさん。」
今の今まで、「マッサージ、マッサージ、ガウリイさん、ずるい、私も、ゼルガディスさん、ずるい、私も、マッサージ…」などと言っていたが、何回も鳴り響くスリッパとクラゲの頭の音で戻ってきたらしい。
「んで忘れた後、どうなったの?」
「ふう…。それで1週間前、部屋の中で旦那が『リナとの食事で疲れた。やっぱ、リナは張り合いがあっていいな!』って言い始めた。まあ、愚痴というかノロケというか。」
「だああああぁぁぁぁ〜〜〜!!!(//////)次、次っ!!!」
「あぁ、うるさい。で、そこで俺が何ヶ月か前のようにし始めたら。」
「思い出したっていう訳だ!いや〜、ひょんなことで思い出すもんなんだな〜。」
「ああああぁぁぁ〜〜もおおぉぉぉ〜〜。こんのく・ら・げが〜〜〜!!」
「リナ、体力のムダだ。」
「そうですよ、リナ。ここ防音ですけど、スリッパの音って結構響いているみたいですから。」

ブチッ

「炸弾陣(ディル・ブランド)!!!」


どかーーーーん


「わっ!リナ、ストップ!!」←ガウリイ

「炎の矢(フレア・アロー)最大出力!!!」

「リナ、部屋が〜…、ホテルが〜…。」←アメリア

「雷撃破(ディグ・ボルト)!!!」

「氷の矢(フリーズ・アロー)!!!」←ゼルガディス

「地撃(ダグ)……。」


ゼルの放った氷の矢(フリーズ・アロー)に直撃を喰らい、そのまま意識は堕ちていった。

翌日、目が覚めると一面、木だった。
「おはよう、リナ。」
真横にガウリイ。
「ここは?」
「昨日、ホテルから見えていた森林ですよ。」
枕元(木の根っこ)にアメリア。
「ホテル…。
 あ〜〜〜!ホテル!!ねえねえ、アメリア!やっぱりお金払わなくちゃいけないの?いやけどあれは、ガウリイとゼルの人騒がせのせいでしょ?それに、セイルーンのだからそっちでツケてくれるわよね、ね?あれは不可抗力なんだからね!クラゲボケのせいなんだからね!」
「やぁぁめぇぇてぇぇくぅぅだぁぁさぁぁいぃぃぃぃ…。」
あ、しまった。つい、というか目の前にあったんで、あたしは寝たまま、彼女は下向きで「襟首掴んでガックンガックン」しちゃった。
ま♪これも不可抗力♪ってことで♪
「けほっ…けほっけほっ。えっと、ホテルの弁償は無しです。」
らっきぃ♪
けどあたしは、次の言葉で固まってしまった。

「ゼルガディスさんが、直してくれました。」

へっ??
直したって…。
ゼルが、あの工事のおっちゃんみたいな格好して、釘とトンカチでトントントントン……。

――トントントントン♪釘とトンカチ〜で、トントントントン♪朝から晩まで〜、トントントントン♪トントントントン…

って、現実逃避してる場合じゃなかった!!
「どうやって?ねえ、どうやって?」
「前にお前さんたちも見たろう。」
声は上から。って、ああ、上の枝にいたのね。
「ゼルガディスさん、そこに居たんですか?どうして、すぐ出てきてくれないんですか?出てきてくれれば、感謝の意を込めて、『人生って素晴らしい!』と『我ら正義の四人組☆』、あと新曲の『悪を滅ぼせ、正義の民よ!』を歌うのに〜…。」
それは、ゼルでなくとも出てきたくないぞ…。
「リナ、ゼル凄いんだぜ!え〜っと、ほら前に赤だらけの男。え〜っと、なんつったけ?」
「赤法師レゾ。」
「そうそう、そいつ。そのレゾが宿の部屋を直したのと、おんなじようにしたんだ。」
へ〜、にゃるほど〜。とすれば。
「ゼル。」
「なんだ?」
慌てず騒がず。

「見せろ。」

「嫌だと言ったら?」
「この森燃やしてでも、見てやる。」
ちょっときついかな〜という冗談に三者三様の反応を見せる。で、当の本人は観念したらしく魔法球(マジック・オーブ)を取り出し、混沌の言葉(カオス・ワーズ)を紡ぎだす。

「この身に流れる紅き血よ
 球(オーブ)に宿る紅き者よ
 我、ここに願う
 混沌に落とされし紅き者の力を呼び戻さん
 過ぎ去りし時を呼び戻し今帰らん
 正しく流れ
 あるべき姿に」

魔法球(マジック・オーブ)が血を注がれたかのように紅く染まる。
ふむ、どっかで聞いたことがあると思ったら、赤眼の魔王(ルビーアイ)の事件でか〜。

「これで満足か?」
「うん、満足♪ってことで…。」
「で?」
「それ(マジック・オーブ)頂戴♪」
こういうときは相手と目を合わせ、視線をはずさない。
「……別に構わんが?」
「をっしゃ!!」
これで、いくらぶっ壊しても弁償代はチャラ♪らっきぃ♪♪
「さ、休養もすんだことですし、出発しましょー!!」

「「おーーー!!!」」


ゼルが後ろの方で何か言ったようだが、気にしない。こちとら、腹二文目くらいなんじゃ。

さあ、出発。上手い飯屋へ!


「確かレゾの研究記録には、血の繋がっていない者は使えないんじゃなかったかな?」


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