◆−goldfish−潮北 かずら (2002/9/14 01:06:08) No.21833 ┗Re:goldfish−ドラマ・スライム (2002/9/14 10:56:14) No.21839 ┗Re:goldfish−潮北 かずら (2002/9/17 00:14:15) No.21995
21833 | goldfish | 潮北 かずら | 2002/9/14 01:06:08 |
こんにちわ。 久々の投稿なんですが……。 なんとなく思い出したので書きました。 一応、ゼロリナだと思います。というか、他に誰も出ていないんですが……(爆) 読んでいただけましたら、幸いです。 ######################## 〜goldfish〜 別に何がどうというわけはなかった。いつの間にか、彼女の部屋に行くことは、当たり前の日課のようになっていたのだ。 見上げる宿屋の一角に、一つだけ残された明かり。リナは、今日は部屋にているようだ。もっとも、明かりがついていても、起きているとも居るとも限らないのだが……。なにしろ、盗賊のうわさを聞けば、疲れていようと、何所に居ようと、探し出してお宝を持って帰るのがリナのひとつの特徴だった。だから、部屋の明かりは本人在中の証にはならないのだ。 リナの旅の連れたちが眠ったのを確かめて、神官服の男、ゼロスはいつもの様に部屋の隅に降り立った。 幸い、今日は部屋に居たようだ。 「リナさん」 声をかけても、返事は無い。彼女はテーブルの上に置かれた金魚鉢をジッと見つめていた。鉢の中には水草と、赤い小さな金魚が一匹だけ。 「面白いですか? 金魚を見るのが」 気づいていても無反応なリナに、ゼロスは後ろか抱きつき、再びそう声をかけた。リナは剣もマントも外している。しかも、パジャマ姿でいるところを見ると、本当に今日は寝るようだ。 「ええ、楽しいわよ」 ようやくリナはゼロスを見た。 「へぇ。僕はてっきり、リナさんは大きくて食べられる魚が好きなのだとばかり思っていましたよ」 ゼロスがそう言うと、リナの形のよい眉が、片方だけ跳ね上がる。 「どういう意味よ」 「そのままです」 「別にいいでしょ!」 どうやら本当に怒ってしまったようだ。フンッとばかりに、回された手の甲を抓って解くと、リナはテーブルに肘を着いて、再び水槽へと目を戻してしまう。 「まぁ、それはそうですけど……。好きなんですか? 小さくて無力な小魚が」 甲を摩りながらゼロスはまた、リナにそう聞いた。だが、今度は、ゼロスでさえ予想もしなかった答えが、リナの口からもたらされた。 「好きよ。だって、あたしよりも強いしね、この金魚」 彼は珍しく、困惑の色を浮かべた。 「強い? 金魚がですか?」 ゼロスは頭をひねる。 金魚が強い? しかも、リナさんよりも!? その様子を、チラッと振り向いて目にしたリナは、クスリッと笑って言った。 「ねぇ、ゼロス。魚って熱湯の中でも生きていられるって、知らなかった?」 「へ? そうなんですか?」 こめかみに人差し指を添えて、ゼロスはさらに頭をひねった。 「それって、煮魚になりませんか?」 リナはくすくすと笑う。きっと、今のゼロスの頭の中には、ブクブク、ブクブクと沸騰している金魚蜂の中を、何事も無いような様子で泳ぐ金魚の図が、出来上がっているに違いない。それを思うと、実におかしかった。 「少しずつ水温を上げていくの。少しずつ、ゆっくりと、魚にも気付かれないようにね。そうすると、百度の熱湯の中でも、魚は死なないで生き続けるのよ」 金魚鉢を持ち上げ、ゼロスは覗き込む。 「……本当に? それで生きるのですか?」 「本当よ」 「試してみていいですか?」 「ダメ!」 リナは慌てて金魚鉢をひったくる。ゼロスは魔族。彼なら本当にやりかねない。 「可哀想でしょうがっ!」 「可哀想って……リナさんが言ったことじゃないですか」 「だからって、何も試さなくてもいいじゃないのよ。それとも何? あたしの言うことは、試さないと信じられないわけ?」 「……いえ。……そういうわけでは……」 ゼロスはぶつぶつとなにやら呟いている。やはり腑に落ちない様子だ。だが、その姿を見ると、リナの怒る気はどこかへ消え、再び笑いがこみ上げてくるのだった。 「ったく……。順応よ、順応力」 リナはウィンクをしてそう答えた。 「順応力、ですか……」 「そ。極寒の地で生きてる動物もいれば、火山の中で生きてる生き物もいるでしょう。どんな所ででも、生きて行こうとする意志と力。全ての生き物が持っている、非力じゃないっていう証よ」 再び金魚蜂をテーブルに置いて眺める。嬉しそうに。 「ですが。熱湯の中で生ることが出来ても、今、その水を掃いたら、中の金魚は、生きては行けないと思いますよ」 「確かにね。でも――」 リナは一度目を閉じる。そして、再びまぶたを開いた其処には、先ほどまでの笑っているリナの姿は無かった。 「生きようとする意思はなくならないわ。それが、生命の不思議……。生きる者の強さよ」 ただ、ただ。優しく力強い紅の瞳が、輝いていた。 生きる者の強さ。 ゼロスにはその辺りは良く解らなかった。もしも今、リナを殺そうと思い、実行したとして、果たして彼女に生き残る術があるだろうか? 確かに、リナはタダで殺されるような人間ではない。たとえ地面に放り出され、泥にまみれて跳ねる金魚のような抵抗しか出来ないとしても、悟って死んでゆくような人間ではないだろう。 だが――。 どんな抵抗をされても、ゼロスには、彼女を殺せる自信がある。魔族にとって人間は、どうやっても非力な生き物でしかないのだ。 けれども……。 ゼロスはふっとため息をついた。 「何、ため息なんかついてんのよ」 不思議そうにリナが聞いてくる。 「いえね、順応力とは面白いものだなって、そう思っただけですよ」 彼はいつもの表情で、そう答えるにとどまった。 けれども……。 いつしか彼女の元に足繁く通うことに慣れてしまった自分がいる。 ――生死の瀬戸際で、金魚が熱湯の中でも生きられるように、僕もまた、この環境にいつしか慣れてしまったのかもしれない……。 言えませんよね、こんなこと……。 ##################### かずら(以後かず):いかがでしたでしょうか? リナ:ちょっと。なんなのよ、この話は…… ゼロス(以後ゼロ):……これって、僕も金魚と同じって事ですか!? (ちょっと怒) 作者:いや、あの……。始めに思い出したのは蛙での事でした。 リナ:……カエル…… かず:でも、いくらなんでも、夜中に一人で蛙見てるリナってのも、 なんだか……ねぇ……(^^;) ゼロ:絵になりませんね……。 かず:で、金魚になったんですが……。 ゼロ:まぁ、蛙よりはマシかも知れませんが、どっちも変わりませんね。 どうします? リナさん。 リナ:んなもん、言うまでも無いでしょう。 かず:ちょ…っ!ちょっとまって、話せば……っ! リナ:フリーズアロー!! (カキッ! 一瞬にして氷付けの完成) ゼロ:しっかりかたまりましたね。 リナ:ゼロス、これ、異空間に捨ててきて。 ゼロ:分りました。ドザエモンにしてきます。 ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。 というわけですので、かずらの事は、さらりと忘れてやってくだ さい。(^^) 本当にありがとうございました。 |
21839 | Re:goldfish | ドラマ・スライム | 2002/9/14 10:56:14 |
記事番号21833へのコメント 潮北 かずらさんは No.21833「goldfish」で書きました。 > >こんにちわ。 >久々の投稿なんですが……。 > >なんとなく思い出したので書きました。 >一応、ゼロリナだと思います。というか、他に誰も出ていないんですが……(爆) > >読んでいただけましたら、幸いです。 幸いにも読みました・・・ > >######################## > > >〜goldfish〜 > > 別に何がどうというわけはなかった。いつの間にか、彼女の部屋に行くことは、当たり前の日課のようになっていたのだ。 > 見上げる宿屋の一角に、一つだけ残された明かり。リナは、今日は部屋にているようだ。もっとも、明かりがついていても、起きているとも居るとも限らないのだが……。なにしろ、盗賊のうわさを聞けば、疲れていようと、何所に居ようと、探し出してお宝を持って帰るのがリナのひとつの特徴だった。だから、部屋の明かりは本人在中の証にはならないのだ。 > リナの旅の連れたちが眠ったのを確かめて、神官服の男、ゼロスはいつもの様に部屋の隅に降り立った。 > 幸い、今日は部屋に居たようだ。 >「リナさん」 > 声をかけても、返事は無い。彼女はテーブルの上に置かれた金魚鉢をジッと見つめていた。鉢の中には水草と、赤い小さな金魚が一匹だけ。 >「面白いですか? 金魚を見るのが」 食べてたんじゃ無いんだ > 気づいていても無反応なリナに、ゼロスは後ろか抱きつき、再びそう声をかけた。リナは剣もマントも外している。しかも、パジャマ姿でいるところを見ると、本当に今日は寝るようだ。 >「ええ、楽しいわよ」 > ようやくリナはゼロスを見た。 >「へぇ。僕はてっきり、リナさんは大きくて食べられる魚が好きなのだとばかり思っていましたよ」 僕は小さくても食べると思ってましたよ。 > ゼロスがそう言うと、リナの形のよい眉が、片方だけ跳ね上がる。 >「どういう意味よ」 >「そのままです」 >「別にいいでしょ!」 > どうやら本当に怒ってしまったようだ。フンッとばかりに、回された手の甲を抓って解くと、リナはテーブルに肘を着いて、再び水槽へと目を戻してしまう。 >「まぁ、それはそうですけど……。好きなんですか? 小さくて無力な小魚が」 > 甲を摩りながらゼロスはまた、リナにそう聞いた。だが、今度は、ゼロスでさえ予想もしなかった答えが、リナの口からもたらされた。 >「好きよ。だって、あたしよりも強いしね、この金魚」 > 彼は珍しく、困惑の色を浮かべた。 >「強い? 金魚がですか?」 > ゼロスは頭をひねる。 > 金魚が強い? しかも、リナさんよりも!? > その様子を、チラッと振り向いて目にしたリナは、クスリッと笑って言った。 >「ねぇ、ゼロス。魚って熱湯の中でも生きていられるって、知らなかった?」 >「へ? そうなんですか?」 > こめかみに人差し指を添えて、ゼロスはさらに頭をひねった。 >「それって、煮魚になりませんか?」 > リナはくすくすと笑う。きっと、今のゼロスの頭の中には、ブクブク、ブクブクと沸騰している金魚蜂の中を、何事も無いような様子で泳ぐ金魚の図が、出来上がっているに違いない。それを思うと、実におかしかった。 >「少しずつ水温を上げていくの。少しずつ、ゆっくりと、魚にも気付かれないようにね。そうすると、百度の熱湯の中でも、魚は死なないで生き続けるのよ」 > 金魚鉢を持ち上げ、ゼロスは覗き込む。 >「……本当に? それで生きるのですか?」 >「本当よ」 >「試してみていいですか?」 ……ゼロス君 残酷!! >「ダメ!」 > リナは慌てて金魚鉢をひったくる。ゼロスは魔族。彼なら本当にやりかねない。 >「可哀想でしょうがっ!」 ラギアソーンはやるだろうか・・・ >「可哀想って……リナさんが言ったことじゃないですか」 >「だからって、何も試さなくてもいいじゃないのよ。それとも何? あたしの言うことは、試さないと信じられないわけ?」 >「……いえ。……そういうわけでは……」 > ゼロスはぶつぶつとなにやら呟いている。やはり腑に落ちない様子だ。だが、その姿を見ると、リナの怒る気はどこかへ消え、再び笑いがこみ上げてくるのだった。 >「ったく……。順応よ、順応力」 > リナはウィンクをしてそう答えた。 >「順応力、ですか……」 >「そ。極寒の地で生きてる動物もいれば、火山の中で生きてる生き物もいるでしょう。どんな所ででも、生きて行こうとする意志と力。全ての生き物が持っている、非力じゃないっていう証よ」 > 再び金魚蜂をテーブルに置いて眺める。嬉しそうに。 >「ですが。熱湯の中で生ることが出来ても、今、その水を掃いたら、中の金魚は、生きては行けないと思いますよ」 >「確かにね。でも――」 > リナは一度目を閉じる。そして、再びまぶたを開いた其処には、先ほどまでの笑っているリナの姿は無かった。 >「生きようとする意思はなくならないわ。それが、生命の不思議……。生きる者の強さよ」 > ただ、ただ。優しく力強い紅の瞳が、輝いていた。 ・・・リナがこんな事を・・・ > > 生きる者の強さ。 >ゼロスにはその辺りは良く解らなかった。もしも今、リナを殺そうと思い、実行したとして、果たして彼女に生き残る術があるだろうか? > 確かに、リナはタダで殺されるような人間ではない。たとえ地面に放り出され、泥にまみれて跳ねる金魚のような抵抗しか出来ないとしても、悟って死んでゆくような人間ではないだろう。 > だが――。 > どんな抵抗をされても、ゼロスには、彼女を殺せる自信がある。魔族にとって人間は、どうやっても非力な生き物でしかないのだ。 > けれども……。 > > ゼロスはふっとため息をついた。 >「何、ため息なんかついてんのよ」 > 不思議そうにリナが聞いてくる。 >「いえね、順応力とは面白いものだなって、そう思っただけですよ」 > 彼はいつもの表情で、そう答えるにとどまった。 > > > > けれども……。 > いつしか彼女の元に足繁く通うことに慣れてしまった自分がいる。 > ――生死の瀬戸際で、金魚が熱湯の中でも生きられるように、僕もまた、この環境にいつしか慣れてしまったのかもしれない……。 > 言えませんよね、こんなこと……。 > > >##################### > > >かずら(以後かず):いかがでしたでしょうか? >リナ:ちょっと。なんなのよ、この話は…… いいお話ですけど・・・ >ゼロス(以後ゼロ):……これって、僕も金魚と同じって事ですか!? > (ちょっと怒) >作者:いや、あの……。始めに思い出したのは蛙での事でした。 …カ・・エ・・ル? >リナ:……カエル…… >かず:でも、いくらなんでも、夜中に一人で蛙見てるリナってのも、 > なんだか……ねぇ……(^^;) >ゼロ:絵になりませんね……。 >かず:で、金魚になったんですが……。 >ゼロ:まぁ、蛙よりはマシかも知れませんが、どっちも変わりませんね。 > どうします? リナさん。 >リナ:んなもん、言うまでも無いでしょう。 >かず:ちょ…っ!ちょっとまって、話せば……っ! >リナ:フリーズアロー!! >(カキッ! 一瞬にして氷付けの完成) >ゼロ:しっかりかたまりましたね。 >リナ:ゼロス、これ、異空間に捨ててきて。 >ゼロ:分りました。ドザエモンにしてきます。 > ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。 > というわけですので、かずらの事は、さらりと忘れてやってくだ > さい。(^^) 忘れませんので僕の書いたの読んでください〜 > > >本当にありがとうございました。 > |
21995 | Re:goldfish | 潮北 かずら | 2002/9/17 00:14:15 |
記事番号21839へのコメント はじめまして、ドラマ・スライムさん。 >>読んでいただけましたら、幸いです。 >幸いにも読みました・・・ ありがとうございます。 こんな拙い物を……。(^^;) >> 声をかけても、返事は無い。彼女はテーブルの上に置かれた金魚鉢をジッと見つめていた。鉢の中には水草と、赤い小さな金魚が一匹だけ。 >>「面白いですか? 金魚を見るのが」 >食べてたんじゃ無いんだ はっはっはっは……(^^;) まぁ、いくらなんでも、踊食いさせるわけにはいきませんので、今回は、見てるだけです。(苦笑) >>「へぇ。僕はてっきり、リナさんは大きくて食べられる魚が好きなのだとばかり思っていましたよ」 >僕は小さくても食べると思ってましたよ。 切り身よりも全食の方が体にいいといいますし、実際、リナは魚丸々食べたりとし ているようですから、小さくても食べるでしょうね。彼女なら……。(^^;) ただ。一応、背景は宿屋の一室ですから、下におりれば何か食べ物はあると思いま すし、リナ自身も、携帯食料の一つや二つ、持っているでしょうから、今回は食べ ません。 >>「試してみていいですか?」 >……ゼロス君 残酷!! でも、ゼロスだったら言い出しかねないと思いませんか?そう思うのは私だけ? >>「可哀想でしょうがっ!」 >ラギアソーンはやるだろうか・・・ ……おや? ……この名前、どっかで…… >>「生きようとする意思はなくならないわ。それが、生命の不思議……。生きる者の強さよ」 >> ただ、ただ。優しく力強い紅の瞳が、輝いていた。 >・・・リナがこんな事を・・・ はっはっは。言わせてしまいましたわ。(爆) >>リナ:ちょっと。なんなのよ、この話は…… >いいお話ですけど・・・ そう言って頂けると嬉しいです。 >>作者:いや、あの……。始めに思い出したのは蛙での事でした。 >…カ・・エ・・ル? カエルも、ゆっくりと水温を上げてやると、熱湯の中でも、しばらくは生きます。 (いきなり熱湯の中に入れると、逃げますけどね。)ただし、茹で蛙にもなります ので、生き続ける事は無いです。 ちなみに、カエルは頭を切断しても、脊椎反射でしばらくは動けるんですよ。 どんな生き物のでも、肉体って、すごいですね……。 >> というわけですので、かずらの事は、さらりと忘れてやってくだ >> さい。(^^) >忘れませんので僕の書いたの読んでください〜 はい。了解しました。読ませていただきます。 今回はありがとうございました。 |