◆−おつかい(一)−星空 (2002/9/28 20:54:45) No.22291 ┣Re:おつかい(一)−ドラマ・スライム (2002/9/28 21:36:30) No.22293 ┣Re:おつかい(一)−闇竜翔 (2002/9/28 21:54:56) No.22295 ┣おつかい(二)−星空 (2002/9/29 21:13:08) No.22308 ┃┗Re:おつかい(二)−ドラマ・スライム (2002/9/29 21:45:45) No.22310 ┣おつかい(三)−星空 (2002/9/30 22:45:54) No.22329 ┃┗Re:おつかい(三)−ドラマ・スライム (2002/10/2 19:11:15) NEW No.22354 ┗おつかい(四)−星空 (2002/10/5 16:18:08) NEW No.22453 ┗Re:おつかい(四)−ドラマ・スライム (2002/10/5 16:31:02) NEW No.22454
22291 | おつかい(一) | 星空 | 2002/9/28 20:54:45 |
「初投稿です」を読んでくださった方、ありがとうございました。 コピーレゾ君のおつかいの話を書こうと思いますので、よろしくお願いします。 おつかい(一) 「それでは、おばあさま。行ってまいります。」 サイラーグ・シティのとある家。 そこでは、祖父母をはじめとする家族全員が、一人の少年の出発を見送ろうと、門に集まっていた。 少年が「おばあさま」と呼んだのは、サイラーグの巫女を務め、崩壊した街の再興に力を尽くした女性、シルフィールである。 彼女は、街の最高実力者として君臨しているが、外見は、銀髪の貴婦人であった。 隣にいるのは、夫である人で、こちらも、銀髪の老人となっていた。 「ちゃんと頼まれたことをしてくるのよ。お前は、とろいからね。」と言ったのは、シルフィールの娘で、少年の養母である女性。 養父と少年の姉と妹も、うんうんと頷いていた。 何しろ彼は、神聖樹(フラグーン)から生まれた子どもとして有名だったが、それ以上に、のんびりしてお人よしでとろくさいことでご近所に知られていた。 以前近所の子どもと遊びに行った時、お菓子を買おうとして、お金を持っていないことを店の人が知ったとき、「お金って何?」と聞き返したというエピソードがある。 その時は、他の子が立て替えてくれたので、帰った後、両親に正直に全てを話したら、母親は青くなり、「お金とは何か」を教えた。 母親が教えてくれたおかげで、物を買うにはお金が要ることを少年は理解したが、他にも似たような事があったので、両親は何かを頼む時失敗しやしないかと、はらはらしていた。 今回のおつかいは、今まで頼んだことよりも、難しかったので、両親は耳にたこができるほど、少年に、しつこく頼んだことの内容や、注意などを繰り返し言い聞かせた。 「いいこと。怪しい人には付いていくんじゃないわよ。あと、寄り道はしないように。」 「わかってるよ。姉さん。昨日もそれ言ってただろ。忘れるはず無いじゃないか。」 「お前だから心配なのよ。」 むっとしたが、心配しているのは確かだし、それに、口では勝てないとわかっているので、頷いた。 「お兄様。頑張ってね。これ、お守りよ。」 「ありがとう。」 妹が笑顔と一緒に手渡した、(お守り)を見て、少年の顔は引き攣った。 それは、黒一色に統一した小さな袋で、中には「呪いの方法」「呪い返し」といった怪しげな品物が入っていた。 「どうしたの?」 笑顔で聞いてくる妹。何故か怖いものに見えて、少年は心の中で涙した。 「あ、ありがとう。大事にするよ。」 (お守り)を懐にしまい、少年は、祖母を見た。 「気をつけて行きなさい。道中、怪我や事故に遭ったりしないように、祈っていますからね。」 「はい。」 大きな門を押して、一歩足を踏み出す。 振り返ると、家族皆が手を振っている。 頷き、今度は振り返らずに歩いた。 家族の暖かい視線に見送られて、こうして、少年は旅立った。 |
22293 | Re:おつかい(一) | ドラマ・スライム | 2002/9/28 21:36:30 |
記事番号22291へのコメント 星空さんは No.22291「おつかい(一)」で書きました。 > >「初投稿です」を読んでくださった方、ありがとうございました。 >コピーレゾ君のおつかいの話を書こうと思いますので、よろしくお願いします。 > > おつかい(一) > >「それでは、おばあさま。行ってまいります。」 >サイラーグ・シティのとある家。 >そこでは、祖父母をはじめとする家族全員が、一人の少年の出発を見送ろうと、門に集まっていた。 >少年が「おばあさま」と呼んだのは、サイラーグの巫女を務め、崩壊した街の再興に力を尽くした女性、シルフィールである。 かなり未来と言うことですか。 >彼女は、街の最高実力者として君臨しているが、外見は、銀髪の貴婦人であった。 >隣にいるのは、夫である人で、こちらも、銀髪の老人となっていた。 >「ちゃんと頼まれたことをしてくるのよ。お前は、とろいからね。」と言ったのは、シルフィールの娘で、少年の養母である女性。 >養父と少年の姉と妹も、うんうんと頷いていた。 >何しろ彼は、神聖樹(フラグーン)から生まれた子どもとして有名だったが、それ以上に、のんびりしてお人よしでとろくさいことでご近所に知られていた。 >以前近所の子どもと遊びに行った時、お菓子を買おうとして、お金を持っていないことを店の人が知ったとき、「お金って何?」と聞き返したというエピソードがある。 凄い >その時は、他の子が立て替えてくれたので、帰った後、両親に正直に全てを話したら、母親は青くなり、「お金とは何か」を教えた。 >母親が教えてくれたおかげで、物を買うにはお金が要ることを少年は理解したが、他にも似たような事があったので、両親は何かを頼む時失敗しやしないかと、はらはらしていた。 >今回のおつかいは、今まで頼んだことよりも、難しかったので、両親は耳にたこができるほど、少年に、しつこく頼んだことの内容や、注意などを繰り返し言い聞かせた。 >「いいこと。怪しい人には付いていくんじゃないわよ。あと、寄り道はしないように。」 >「わかってるよ。姉さん。昨日もそれ言ってただろ。忘れるはず無いじゃないか。」 >「お前だから心配なのよ。」 >むっとしたが、心配しているのは確かだし、それに、口では勝てないとわかっているので、頷いた。 >「お兄様。頑張ってね。これ、お守りよ。」 >「ありがとう。」 >妹が笑顔と一緒に手渡した、(お守り)を見て、少年の顔は引き攣った。 >それは、黒一色に統一した小さな袋で、中には「呪いの方法」「呪い返し」といった怪しげな品物が入っていた。 >「どうしたの?」 >笑顔で聞いてくる妹。何故か怖いものに見えて、少年は心の中で涙した。 >「あ、ありがとう。大事にするよ。」 >(お守り)を懐にしまい、少年は、祖母を見た。 >「気をつけて行きなさい。道中、怪我や事故に遭ったりしないように、祈っていますからね。」 >「はい。」 >大きな門を押して、一歩足を踏み出す。 >振り返ると、家族皆が手を振っている。 >頷き、今度は振り返らずに歩いた。 >家族の暖かい視線に見送られて、こうして、少年は旅立った。 これがコピーレゾ? > > それでは〜 |
22295 | Re:おつかい(一) | 闇竜翔 | 2002/9/28 21:54:56 |
記事番号22291へのコメント 星空さんは No.22291「おつかい(一)」で書きました。 > 闇:二作目ですか・・・・はやいですね〜 >「初投稿です」を読んでくださった方、ありがとうございました。 >コピーレゾ君のおつかいの話を書こうと思いますので、よろしくお願いします。 > > おつかい(一) > >「それでは、おばあさま。行ってまいります。」 >サイラーグ・シティのとある家。 >そこでは、祖父母をはじめとする家族全員が、一人の少年の出発を見送ろうと、門に集まっていた。 >少年が「おばあさま」と呼んだのは、サイラーグの巫女を務め、崩壊した街の再興に力を尽くした女性、シルフィールである。 >彼女は、街の最高実力者として君臨しているが、外見は、銀髪の貴婦人であった。 >隣にいるのは、夫である人で、こちらも、銀髪の老人となっていた。 闇:何十年か後ですか・・・・ >「ちゃんと頼まれたことをしてくるのよ。お前は、とろいからね。」と言ったのは、シルフィールの娘で、少年の養母である女性。 >養父と少年の姉と妹も、うんうんと頷いていた。 >何しろ彼は、神聖樹(フラグーン)から生まれた子どもとして有名だったが、それ以上に、のんびりしてお人よしでとろくさいことでご近所に知られていた。 >以前近所の子どもと遊びに行った時、お菓子を買おうとして、お金を持っていないことを店の人が知ったとき、「お金って何?」と聞き返したというエピソードがある。 闇:(爆笑) L:(笑い過ぎ) ファ:(爆笑) >その時は、他の子が立て替えてくれたので、帰った後、両親に正直に全てを話したら、母親は青くなり、「お金とは何か」を教えた。 >母親が教えてくれたおかげで、物を買うにはお金が要ることを少年は理解したが、他にも似たような事があったので、両親は何かを頼む時失敗しやしないかと、はらはらしていた。 >今回のおつかいは、今まで頼んだことよりも、難しかったので、両親は耳にたこができるほど、少年に、しつこく頼んだことの内容や、注意などを繰り返し言い聞かせた。 >「いいこと。怪しい人には付いていくんじゃないわよ。あと、寄り道はしないように。」 >「わかってるよ。姉さん。昨日もそれ言ってただろ。忘れるはず無いじゃないか。」 >「お前だから心配なのよ。」 闇:はははは・・・・凄くトロイですね〜 >むっとしたが、心配しているのは確かだし、それに、口では勝てないとわかっているので、頷いた。 >「お兄様。頑張ってね。これ、お守りよ。」 >「ありがとう。」 >妹が笑顔と一緒に手渡した、(お守り)を見て、少年の顔は引き攣った。 >それは、黒一色に統一した小さな袋で、中には「呪いの方法」「呪い返し」といった怪しげな品物が入っていた。 闇:お守りか!?ホントに!? >「どうしたの?」 >笑顔で聞いてくる妹。何故か怖いものに見えて、少年は心の中で涙した。 >「あ、ありがとう。大事にするよ。」 >(お守り)を懐にしまい、少年は、祖母を見た。 >「気をつけて行きなさい。道中、怪我や事故に遭ったりしないように、祈っていますからね。」 >「はい。」 >大きな門を押して、一歩足を踏み出す。 >振り返ると、家族皆が手を振っている。 >頷き、今度は振り返らずに歩いた。 >家族の暖かい視線に見送られて、こうして、少年は旅立った。 > > 闇:いや〜楽しみですね〜 ファ:面白そうだね・・・・ 闇:続き待ってます(まて)それでは・・・・ 闇&ファ:さようなら〜 |
22308 | おつかい(二) | 星空 | 2002/9/29 21:13:08 |
記事番号22291へのコメント おつかい(二) 少年、本名・レイシャスはサイラーグの街で、屋台を営業しているおじさんから、北の方向を教えてもらい、そのとおりに進んだ。「おつかい」の依頼を遂行するには、北へ行けばいいと両親から言われていたのである。 北へ北へとまっすぐ突き進む。道があろうと無かろうと、かまわずに、まっすぐ突き進む。 人が利用する道ではなくて、道も無い森の中などを進んでいた。 地図を渡されてはいたが、彼は、地図の見方がわからなかった。 それゆえ、一週間後には、人がめったに入らない、樹海と呼ばれる魔の森に入っていた。 ここには、狼や熊といった猛獣がうろうろしているのと、磁石を使っても自分がいる場所がわからないということで、地元の人間や猟師などは、決して入らなかった。 もし、彼が地図をきちんと読んで、地元の人から、この森のことを知っていたら、入らなかっただろう。 そうとも知らず、彼は突き進んでいた。 草を踏みしめ、横たわっている枯れ木を飛び越え、小さな沼も飛び越えて。 お腹が空けば、木になっている実をもぎ取って食べるか、兎などの小動物を仕留めて、焼いて食べるかしてしのいでいた。 夜は、焚き火を焚いて、その横になるというなんともサバイバルな旅になった。 魔法は危険だからと祖母は教えることを反対し、代わりに「文」の道で有名になるように、学問を自ら教え込んだ。 魔法を操り、小さな光などを出して喜んでいる姉を見て、がっかりしているレイシャスに、サイラーグであった野良デーモンとの戦いに参加した祖父と養父が、武術を教え込んだので、体は頑丈にできていた。 飲み込みが早い彼を見て、「筋がいい」「素質がある」と二人は喜んだ。 しかし、いくら体が頑丈だからといって、こうも歩き尽くめでは、さすがに疲れる。 いつ、狼や熊などが襲ってくるかわからぬ緊張の中で寝ていたので、眠りは浅く、足の裏は豆がつぶれて血まみれ、ふくらはぎは、ぱんぱんに張っていた。 疲れが限界に達していた彼は、ある日、歩いている途中で倒れた。 草の上に臥して、静かに深く眠っている彼に、気づいたものがいた。 それは、彼に近寄ったが、彼は起きなかった。 |
22310 | Re:おつかい(二) | ドラマ・スライム | 2002/9/29 21:45:45 |
記事番号22308へのコメント 星空さんは No.22308「おつかい(二)」で書きました。 > > おつかい(二) > >少年、本名・レイシャスはサイラーグの街で、屋台を営業しているおじさんから、北の方向を教えてもらい、そのとおりに進んだ。「おつかい」の依頼を遂行するには、北へ行けばいいと両親から言われていたのである。 北とかって分かるものでしょうか? >北へ北へとまっすぐ突き進む。道があろうと無かろうと、かまわずに、まっすぐ突き進む。 >人が利用する道ではなくて、道も無い森の中などを進んでいた。 をひをひ >地図を渡されてはいたが、彼は、地図の見方がわからなかった。 >それゆえ、一週間後には、人がめったに入らない、樹海と呼ばれる魔の森に入っていた。 自殺の名所? >ここには、狼や熊といった猛獣がうろうろしているのと、磁石を使っても自分がいる場所がわからないということで、地元の人間や猟師などは、決して入らなかった。 >もし、彼が地図をきちんと読んで、地元の人から、この森のことを知っていたら、入らなかっただろう。 >そうとも知らず、彼は突き進んでいた。 >草を踏みしめ、横たわっている枯れ木を飛び越え、小さな沼も飛び越えて。 >お腹が空けば、木になっている実をもぎ取って食べるか、兎などの小動物を仕留めて、焼いて食べるかしてしのいでいた。 >夜は、焚き火を焚いて、その横になるというなんともサバイバルな旅になった。 >魔法は危険だからと祖母は教えることを反対し、代わりに「文」の道で有名になるように、学問を自ら教え込んだ。 ほうほうでも白魔術は覚えたほうが・・・ >魔法を操り、小さな光などを出して喜んでいる姉を見て、がっかりしているレイシャスに、サイラーグであった野良デーモンとの戦いに参加した祖父と養父が、武術を教え込んだので、体は頑丈にできていた。 素手でですか? >飲み込みが早い彼を見て、「筋がいい」「素質がある」と二人は喜んだ。 >しかし、いくら体が頑丈だからといって、こうも歩き尽くめでは、さすがに疲れる。 >いつ、狼や熊などが襲ってくるかわからぬ緊張の中で寝ていたので、眠りは浅く、足の裏は豆がつぶれて血まみれ、ふくらはぎは、ぱんぱんに張っていた。 >疲れが限界に達していた彼は、ある日、歩いている途中で倒れた。 >草の上に臥して、静かに深く眠っている彼に、気づいたものがいた。 >それは、彼に近寄ったが、彼は起きなかった。 おお僕の盗賊Aの冒険よりいい作品かも それでは〜 > > |
22329 | おつかい(三) | 星空 | 2002/9/30 22:45:54 |
記事番号22291へのコメント おつかい(三) 魔の森と呼ばれる樹海。少年レイシャスは、「おつかい」の任務を遂行するため、北へと向かう途中、この森の中へ入ってしまった。 飢えを満たすために、小動物を仕留め、木になっている果実を食らい、喉の渇きを満たすために、小川の水や雨水を飲み、夜になれば、獣の遠吠えに警戒しながら眠るといった行動を繰り返していたが、ある日、ついに疲れが限界に達し、歩いている途中で倒れ、眠ってしまった。 その様子に気づき、近づいたものがいたが、レイシャスは深く眠っており気づいていない。 深く静かに眠っているレイシャスに近づいたのは、二人の男と一人の女である。 三人は旅をしていたのだが、と、ある食堂で食事をした時、連れの女の美貌に目をつけた輩が、卑猥な言葉を浴びせてきた。 怒った二人が、その不埒者を叩きのめしたが、打ち所が悪かったのか、男は死んでしまい、居合わせた他の客に、警備兵を呼ばれ、追われていた。 見なれぬ土地に不案内で警備兵が追ってこないのを幸いに、魔の森へ入っていた。 あちこち歩いているうちに、「誰か倒れているぞ」とそのうちの一人が気づいたというわけである。 男のうちの一人、年の頃、十八、九と見られる、赤い髪に青い目の少年が、草の上に寝ているレイシャスを足でつついた。 レイシャスが、眉をひそめ、寝返りを打ったので、死んだと思った赤毛は、ぎょっとした。 なぜこんなところに、子どもがいるのだと思いながら、赤毛は屈むと今度はレイシャスの体を揺すった。 レイシャスは、目をごしごしこすりながら、起きた。 その間、もう一人の男と女は、背中に背負った剣を鞘から抜いて、野獣を警戒していた。 レイシャスは目の前に見知らぬ人がいて驚いたが、声をあげることはせずに、急いで立ちあがった。 「おい、そんなに急がなくても・・・」と赤毛が足の疲れが溜まっているために、座り込んでしまいそうになった、レイシャスを支えた。 良く見ると、赤毛ともう一人の髭を生やした年長と見られる男の顔には、どこか似通ったところがあった。 赤毛のほうは、目が大きく瞳の色は青で、鼻がすっと通っており、白い頬はうっすらと赤く、健康そのものといった明るさが全身から出ていた。 髭を生やした年長と見られる男のほうは、目は切れ長で瞳は黒々としており、これまた赤毛と似て形の良く高い鼻の下と顎に髭が生えていた。 しかし、肌の色は琥珀色であった。 髪の色は、深緑の被り物をしているのでわからないが、髭が黒いことを見ると、若いらしいということは見て取れた。 女は、長い睫毛に縁取られた大きな目が特徴的な美貌で、透けるように白い肌に 良く映える長い黒髪を、動きやすいように束ねて、翡翠の髪飾りをつけていた。 レイシャスが起きたのを見て、年長の男が「見たところ裕福な家の息子のようだが、名はなんと言う?また、どうしてこのような森にいるのだ?」と静かに、聞いた。 レイシャスは年長の男の静かな口調に、自分を害しようとしていないだろうと考え、大丈夫だと判断し、答えた。 「人に名を聞く時は、まずは自分から名乗ったほうが良いのではないでしょうか?」 子どもとは思われぬその落ち着きように、年長の男は密かに感嘆した。 「これは失礼した。私は、ミンジェと申すもの。あなたの側にいるのは、弟の、ハイヤル。そして、私の隣にいる女性は、妹の、センジェだ。」 センジェは、お辞儀をし、ハイヤルは、ウインクをした。 レイシャスは頭を下げた。 「ありがとうございます。僕は、レイシャスといいます。あなたがおっしゃった通り、サイラーグ・シティのラーダ家の一人です。」 サイラーグ・シティのラーダ家と聞いて、年長の男は「?」と思ったが、恐らく名家の一つなのだろうと考えた。 「僕がなぜこの森にいるのかというと、両親から頼まれた「おつかい」を果たすために、北へ向かう途中だからです。」 「へ?でも、北へ向かうといっても、こんな森を通らなくても、別に道はあるはずだろう?」 横から口を挟んだハイヤルに、ミンジェはちらりと見て、手をかざし「静かに」と制止した。 「弟の言う通りだろう。おそらく、他に道があるはずなのに、なぜ、こんな森の中を?」 「はぁ、とにかく、北へ北へと真っ直ぐ進めば、早く着くと思いまして。」 「急がば回れっていう言葉を知らんのかね。この子は。」とハイヤルが呟き、兄が即座ににらんだ。 へいへいと肩をすくめるハイヤル。 ミンジェはかまわず、「ご両親は、あなたに、地図などを渡されなかったのか?」 「はい。渡してもらいました。でも、見方がわからないので、一度も見ていません。」 「それでは意味無いだろ。」と突っ込むハイヤルに、「ハイヤル。」と静かに兄が名を呼んだ。 「へいへい。兄上のお言葉に従い、黙っているとしますよ。」 なぜ急にハイヤルが黙ると言ったのかわからないレイシャスに、ミンジェは笑顔を向けた。 「その、地図を見せてはもらえぬだろうか?」 「いいですよ。」 紙に書かれた大判の地図を広げると、(樹海)と書かれた大きな森があった。 数ミリ離れたところに、彼ら兄妹が食事をした町の名前がある。 「この中のどこに、いるんでしょうか?」 「私の考えるところ、おそらく、この森にいるのでしょう。」 ミンジェは、(樹海)の文字を指差した。 「ここの、どのあたりにいるのでしょうか?」 「それは、私にもわかりません。」 沈黙が彼ら四人に落ちた。 と、突然、獣の遠吠えが響き、四人はびくりと体を震わせた。 続いて、ばさっばさっ、と鳥が頭上で羽ばたき、飛んでいった。 抜け落ちたいくつかの羽がはらはらと落ちた。 「・・・・・・とりあえず、ここにいても、永遠にさ迷い歩き、死ぬだけになるのは、そう遠い日でもないでしょうな。」 「ええっ!?それはいったい、どう言うことなんですか?」 「お前、字が読めないのか?(樹海)といったら、海のように際限なく広がる森で磁石を使っても自分の居場所がわからないという、恐ろしい場所という意味なんだぞ?」 ハイヤルの解説に、さーっとレイシャスの顔から血が引き、例えではなくて、本当に青い顔になった。 「兄上、どうするんだ?このままだと、今はいいかもしれんが、そのうち、死んでしまうぞ。」 「私もハイヤルと同じですわ。」センジェが必死の思いを浮かべて、兄に言う。 (どうする?) 四人の思いは、(どうやって、生きて出られるのか)で一致していたが、はたして、出られるのだろうか。 黙りこくった彼らの頭上で、ぎゃあぎゃあと鴉が鳴き声を合わせていた。 |
22354 | Re:おつかい(三) | ドラマ・スライム | 2002/10/2 19:11:15 |
記事番号22329へのコメント 星空さんは No.22329「おつかい(三)」で書きました。 > > おつかい(三) >魔の森と呼ばれる樹海。少年レイシャスは、「おつかい」の任務を遂行するため、北へと向かう途中、この森の中へ入ってしまった。 >飢えを満たすために、小動物を仕留め、木になっている果実を食らい、喉の渇きを満たすために、小川の水や雨水を飲み、夜になれば、獣の遠吠えに警戒しながら眠るといった行動を繰り返していたが、ある日、ついに疲れが限界に達し、歩いている途中で倒れ、眠ってしまった。 >その様子に気づき、近づいたものがいたが、レイシャスは深く眠っており気づいていない。 > > > >深く静かに眠っているレイシャスに近づいたのは、二人の男と一人の女である。 >三人は旅をしていたのだが、と、ある食堂で食事をした時、連れの女の美貌に目をつけた輩が、卑猥な言葉を浴びせてきた。 >怒った二人が、その不埒者を叩きのめしたが、打ち所が悪かったのか、男は死んでしまい、居合わせた他の客に、警備兵を呼ばれ、追われていた。 過剰防衛ですね。 >見なれぬ土地に不案内で警備兵が追ってこないのを幸いに、魔の森へ入っていた。 >あちこち歩いているうちに、「誰か倒れているぞ」とそのうちの一人が気づいたというわけである。 >男のうちの一人、年の頃、十八、九と見られる、赤い髪に青い目の少年が、草の上に寝ているレイシャスを足でつついた。 >レイシャスが、眉をひそめ、寝返りを打ったので、死んだと思った赤毛は、ぎょっとした。 >なぜこんなところに、子どもがいるのだと思いながら、赤毛は屈むと今度はレイシャスの体を揺すった。 >レイシャスは、目をごしごしこすりながら、起きた。 >その間、もう一人の男と女は、背中に背負った剣を鞘から抜いて、野獣を警戒していた。 >レイシャスは目の前に見知らぬ人がいて驚いたが、声をあげることはせずに、急いで立ちあがった。 >「おい、そんなに急がなくても・・・」と赤毛が足の疲れが溜まっているために、座り込んでしまいそうになった、レイシャスを支えた。 >良く見ると、赤毛ともう一人の髭を生やした年長と見られる男の顔には、どこか似通ったところがあった。 >赤毛のほうは、目が大きく瞳の色は青で、鼻がすっと通っており、白い頬はうっすらと赤く、健康そのものといった明るさが全身から出ていた。 >髭を生やした年長と見られる男のほうは、目は切れ長で瞳は黒々としており、これまた赤毛と似て形の良く高い鼻の下と顎に髭が生えていた。 >しかし、肌の色は琥珀色であった。 琥珀って・・・ >髪の色は、深緑の被り物をしているのでわからないが、髭が黒いことを見ると、若いらしいということは見て取れた。 >女は、長い睫毛に縁取られた大きな目が特徴的な美貌で、透けるように白い肌に >良く映える長い黒髪を、動きやすいように束ねて、翡翠の髪飾りをつけていた。 >レイシャスが起きたのを見て、年長の男が「見たところ裕福な家の息子のようだが、名はなんと言う?また、どうしてこのような森にいるのだ?」と静かに、聞いた。 >レイシャスは年長の男の静かな口調に、自分を害しようとしていないだろうと考え、大丈夫だと判断し、答えた。 >「人に名を聞く時は、まずは自分から名乗ったほうが良いのではないでしょうか?」 >子どもとは思われぬその落ち着きように、年長の男は密かに感嘆した。 >「これは失礼した。私は、ミンジェと申すもの。あなたの側にいるのは、弟の、ハイヤル。そして、私の隣にいる女性は、妹の、センジェだ。」 >センジェは、お辞儀をし、ハイヤルは、ウインクをした。 >レイシャスは頭を下げた。 >「ありがとうございます。僕は、レイシャスといいます。あなたがおっしゃった通り、サイラーグ・シティのラーダ家の一人です。」 >サイラーグ・シティのラーダ家と聞いて、年長の男は「?」と思ったが、恐らく名家の一つなのだろうと考えた。 >「僕がなぜこの森にいるのかというと、両親から頼まれた「おつかい」を果たすために、北へ向かう途中だからです。」 >「へ?でも、北へ向かうといっても、こんな森を通らなくても、別に道はあるはずだろう?」 >横から口を挟んだハイヤルに、ミンジェはちらりと見て、手をかざし「静かに」と制止した。 >「弟の言う通りだろう。おそらく、他に道があるはずなのに、なぜ、こんな森の中を?」 >「はぁ、とにかく、北へ北へと真っ直ぐ進めば、早く着くと思いまして。」 をひ! >「急がば回れっていう言葉を知らんのかね。この子は。」とハイヤルが呟き、兄が即座ににらんだ。 >へいへいと肩をすくめるハイヤル。 >ミンジェはかまわず、「ご両親は、あなたに、地図などを渡されなかったのか?」 >「はい。渡してもらいました。でも、見方がわからないので、一度も見ていません。」 >「それでは意味無いだろ。」と突っ込むハイヤルに、「ハイヤル。」と静かに兄が名を呼んだ。 >「へいへい。兄上のお言葉に従い、黙っているとしますよ。」 >なぜ急にハイヤルが黙ると言ったのかわからないレイシャスに、ミンジェは笑顔を向けた。 >「その、地図を見せてはもらえぬだろうか?」 >「いいですよ。」 >紙に書かれた大判の地図を広げると、(樹海)と書かれた大きな森があった。 >数ミリ離れたところに、彼ら兄妹が食事をした町の名前がある。 >「この中のどこに、いるんでしょうか?」 >「私の考えるところ、おそらく、この森にいるのでしょう。」 >ミンジェは、(樹海)の文字を指差した。 >「ここの、どのあたりにいるのでしょうか?」 >「それは、私にもわかりません。」 >沈黙が彼ら四人に落ちた。 >と、突然、獣の遠吠えが響き、四人はびくりと体を震わせた。 >続いて、ばさっばさっ、と鳥が頭上で羽ばたき、飛んでいった。 >抜け落ちたいくつかの羽がはらはらと落ちた。 >「・・・・・・とりあえず、ここにいても、永遠にさ迷い歩き、死ぬだけになるのは、そう遠い日でもないでしょうな。」 >「ええっ!?それはいったい、どう言うことなんですか?」 >「お前、字が読めないのか?(樹海)といったら、海のように際限なく広がる森で磁石を使っても自分の居場所がわからないという、恐ろしい場所という意味なんだぞ?」 >ハイヤルの解説に、さーっとレイシャスの顔から血が引き、例えではなくて、本当に青い顔になった。 >「兄上、どうするんだ?このままだと、今はいいかもしれんが、そのうち、死んでしまうぞ。」 >「私もハイヤルと同じですわ。」センジェが必死の思いを浮かべて、兄に言う。 >(どうする?) >四人の思いは、(どうやって、生きて出られるのか)で一致していたが、はたして、出られるのだろうか。 >黙りこくった彼らの頭上で、ぎゃあぎゃあと鴉が鳴き声を合わせていた。 やーばいですね。 それではまた〜 期待して待ってまーす。 > > > > > > > > > > > > > > > > > |
22453 | おつかい(四) | 星空 | 2002/10/5 16:18:08 |
記事番号22291へのコメント おつかい(四) お使いを頼まれ、旅に出たが、樹海というところに迷い込んでしまったレイシャス。そこで、ミンジェ、ハイヤル、センジェ、三人の兄妹に出会った。 ハイヤルから、樹海とは何かを解説され、顔から血が引いた、レイシャス。 果たして、四人は出られるのだろうか。 ミンジェは木の切り株に腰を下ろして、考え込んだ。 その間、ハイヤルとセンジェは、レイシャスの足の手当てをした。 センジェは、魔法を習得していたので、「アクア・クリエイト」で水を出現させて、足を洗い、それから、「リカバリィ」で怪我を治し、傷が全て無いのを確認した。 「終わったわ。」 レイシャスは、足を動かして、確かめた後、ハイヤルの膝から立った。 「ありがとうございます。」 「いいえ、どういたしまして。」 「怪我が治って、良かったな。歩けるか?」 「はい。」 ハイヤルは、上で鳴いている鳥を見て、舌打ちした。 聞いていて嫌になる鳴き声だ。死ぬと決めてかかっているのがよく分かる。 足元の石を拾った、次の瞬間、びしっ、びしっ、と二羽の鳥に命中し、打ち落とした。落ちてきた鳥は、すでに絶命していた。 もう一度同じように、さらに二羽の鳥を打ち落とし、計四羽が地面に落ちた。 大きく振りかぶって投げたのではないが、でたらめではなく、最初から正確に狙って投げたと分かって、レイシャスは驚いた。 ハイヤルの投げた石に怯んで、上空で停止して飛んでいた鳥は、ざあっと散らばり、辺りは静かになった。 「すごいですね。どうやって当てたんですか?」 「そんなにすごいもんじゃないさ。」 木々の間から見える空は、暗くなり始めており、センジェは、枯れ木を集めて、魔法で火をつけた。 まず、ハイヤルが腰を下ろし、次に少し離れた位置にセンジェ、その隣にレイシャスというふうに座った。 ぱちぱちと爆ぜる火に顔を照らされる。時々、ハイヤル、センジェの二人が、兄の顔を見る意外は、静かに黙りこくって座っていた。 だんだんと暗くなり、近くにあった木も、闇に呑まれて判別がつかなくなった。 ふああっ・・・とレイシャスがあくびを漏らしたとき、ミンジェが閉じていた目を開き、立ちあがった。 ハイヤルは、なにかいい案が浮かんだのかと思い、声をかけた。 「兄上。どうしたのですか?」 「ハイヤル。私は、何か遠くで騒ぐような音を聞いたのだが、聞こえるか?」 「何か、騒ぐような音、ですか?」 首を傾げたが、とりあえず兄が指差した方向に耳を澄ませた。 かさかさと何かが地面を這う音、鳥の翼が空を切って飛ぶ音、獣の物悲しい尾を引く長い遠吠え。 そして、どろどろどろ・・・・と微かだが、何かが大群で移動し、騒ぐ音が耳に引っかかった。 幻聴かと思ったが、音は大きくなってきていた。 思わず兄のほうを見ると、頷いた。 レイシャスとセンジェは、何か音がするようだが、獣の鳴き声の類だろうと思っている。 「センジェ。」 「はい。何でしょうか?」 「何かがこちらへ向かってきている、すぐに身を隠すんだ。」 センジェは、何もそんな音は聞こえないのにと思ったが、「わかりました。」と答えた。 ミンジェは、レイシャスのほうを見て、どう呼ぼうかと考えた。 気づいたレイシャスは、「呼び捨てでいいです」と言った。 「わかった。レイシャス。君はどうする?」 「僕もあなたが言ったとおりにします。」 すぐに木に登り、枝に腰掛けた。焚き火は、センジェが「エクスト・ボール」で消した。 ミンジェ、ハイヤル二人は息を殺し、下を凝視した。 二人の兄が指摘した音は、センジェにも姿は見えないが、はっきり聞こえるようになってきた。 やがて、音は、馬に乗り、たいまつを手にした盗賊団となって姿を現した。 馬に乗っている男達は、使い古した鎧に身を固め、背中や腰に剣や刀を装備し、手に槍や弓を持っているものもいた。 生まれて始めてみるその姿に息を呑むレイシャス。 「最後尾が来るまで待つんだ。」 ミンジェが今にも飛び降りようとするハイヤルを制する様に言った。 最後尾は、馬に乗っていない徒歩の者だった。 「行くぞ。」 ミンジェが飛び降りる。ハイヤル、センジェ、レイシャスの順に続く。 一番最後の者の後に、何食わぬ顔をして列に紛れ込むと、夜の森を走りぬけた。 ほとんどのものは、逸れないように走るのに精一杯で、見知らぬ者が紛れ込んだのに気づいていない。 細い月が一番高い空に昇ったとき、森を抜けて、高い丘に到着した。 そこで、列は一旦止まり、馬に乗った男の内の一人、一番状態の良い鎧を着た、頭と思しき男が剣を鞘から抜いた。剣は自ら青白い光を放っているが如く、闇の中で鋭く光った。 「今日はあの街を襲う。昨今の時勢で、警備兵を多く配置しているらしいが、我々の敵ではない。」 とここで言葉を切ると、さっと剣を振り下ろし、叫んだ。 「行くぞ!!」 おうっ!!と槍や剣を上げて、威勢を上げると、馬の横腹を蹴り、丘を駆け下りる。 ここで、四人の男が気絶し、馬から落ちたが、誰も気づかなかった。 先ほどの、鳥を打ち落とした技を利用して、ハイヤルが遠くから石を飛ばして気絶させていたのである。 馬に乗った男たちの次に、徒歩の者も後に続いて駆け下りる予定だったが、それは叶わなかった。 馬に乗った男たちが駆け下りる音を利用して、センジェが「スリーピング」で密かに眠らせていたのである。 とどめに、「ダグ・ハウツ」をアレンジした術で、男たちが眠っている地面を陥没させ、目が覚めた時、簡単に出られないようにした。 「我々も後に続こう。」 「僕も行きます。」 四人は馬にまたがると、丘を駆け下りた。 「盗賊団が来たぞ!!」 標的となった街では、頭が言ったとおり、警備兵を配置していた。 女子ども、老人はすでに避難しており、街にいるのは、男だけになっていた。 門を固く閉じ、城壁には弓を持った兵士を配置していた。 見張り役を任せられた兵士は、「馬に乗った武装した集団がやって来る」と報告した。 「いよいよ来たか。」 街の男たちは顔を引き締め、矢継ぎ早に指示が出された。 「来ました!!盗賊団です!!」 「まだ射るな!!合図と同時に弓をつがえろ!!」 そうこうするうちに、「馬に乗って武装した集団」の頭は、部下を止めると、一人で馬を進め、要求を述べ始めた。 「頭と思しき男が、何やらわめいております!!」 「無視しろ!!」 「おとなしく門をあけろと要求しています!!」 「断れ!!」 門の兵士の一人が「断る!!」と叫ぶと、矢が飛んできて肩を射ぬいた。 「うっ。」と呻き声を上げ、兵士は倒れた。 それを合図として、なだれ込む、という算段だった。 「かかれ!!」と剣を振り上げる。 呼応して、獰猛な部下たちは、武器を振りかざし、門を打ち破る。はずであったが。 「そうはさせないぞ!!」 まだ若い男の声が、響いた。 「なにい?」と凄みを利かせた声で、頭は門を見上げたが、叫んだのは、門にいる兵士ではなかった。 「ぎゃあっ!!」と叫び声があがり、馬に乗った盗賊数人が倒れた。 振り返ると、二人の見知らぬ男が、血に塗れた剣を振るい、右に左にと仲間たちをなぎ倒していた。 他にも若い女が、「フレア・アロー!!」と叫び、火の矢を出現させて、相手を倒し、少年が、敵から奪った槍を振り回すと、「ぎゃあ!!」だの「ぐええ」といった悲鳴が周りで起り、敵を寄せ付けない。 何が起こったのか最初は分からずに戸惑う仲間に、「うろたえるな!!そいつらを倒せ!!」と頭が叫んだ。 門にいた兵士達も、突然の事に驚いていたが、「今がチャンスだ!!矢を射掛けろ!!」と指示が飛んだ。 城壁にいた何十人の兵士たちは、いっせいに矢をつがえた。 ざあっ、と矢が下に向かって飛び、軽い怪我や打撲ですんでいた敵をも射抜いた。 矢は四人のところにも飛んだが、剣や槍を振って弾き飛ばすか切るかしてしのいだ。 数少ない敵に押され、防御に手一杯のところへ、矢が飛んでくる。 これはまずいと見て、頭は飛んでくる矢を剣で防ぎながら、「退却だ!!退却する!!」と叫んだ。 「退却だ!!」と叫び合いながら、盗賊団は、逃げていった。 逃がすかとハイヤルは馬を進めようとしたが、「深追いするな」の兄の一言で諦めた。 街を焼かれる覚悟で事にあたっていた、警備兵や男たちは喜び、抱き合った。 喜びの叫びは天をつき、街を揺るがせた。 「よかった。よかった。」 「街は無事だぞ。」 「あの人達を呼んでくれ。彼らのおかげで、街はたすかったのだから。」 門が開き、四人は街に入った。 |
22454 | Re:おつかい(四) | ドラマ・スライム | 2002/10/5 16:31:02 |
記事番号22453へのコメント 星空さんは No.22453「おつかい(四)」で書きました。 > > おつかい(四) >お使いを頼まれ、旅に出たが、樹海というところに迷い込んでしまったレイシャス。そこで、ミンジェ、ハイヤル、センジェ、三人の兄妹に出会った。 >ハイヤルから、樹海とは何かを解説され、顔から血が引いた、レイシャス。 >果たして、四人は出られるのだろうか。 > > >ミンジェは木の切り株に腰を下ろして、考え込んだ。 >その間、ハイヤルとセンジェは、レイシャスの足の手当てをした。 >センジェは、魔法を習得していたので、「アクア・クリエイト」で水を出現させて、足を洗い、それから、「リカバリィ」で怪我を治し、傷が全て無いのを確認した。 >「終わったわ。」 >レイシャスは、足を動かして、確かめた後、ハイヤルの膝から立った。 >「ありがとうございます。」 >「いいえ、どういたしまして。」 >「怪我が治って、良かったな。歩けるか?」 >「はい。」 >ハイヤルは、上で鳴いている鳥を見て、舌打ちした。 >聞いていて嫌になる鳴き声だ。死ぬと決めてかかっているのがよく分かる。 >足元の石を拾った、次の瞬間、びしっ、びしっ、と二羽の鳥に命中し、打ち落とした。落ちてきた鳥は、すでに絶命していた。 >もう一度同じように、さらに二羽の鳥を打ち落とし、計四羽が地面に落ちた。 >大きく振りかぶって投げたのではないが、でたらめではなく、最初から正確に狙って投げたと分かって、レイシャスは驚いた。 >ハイヤルの投げた石に怯んで、上空で停止して飛んでいた鳥は、ざあっと散らばり、辺りは静かになった。 >「すごいですね。どうやって当てたんですか?」 >「そんなにすごいもんじゃないさ。」 >木々の間から見える空は、暗くなり始めており、センジェは、枯れ木を集めて、魔法で火をつけた。 >まず、ハイヤルが腰を下ろし、次に少し離れた位置にセンジェ、その隣にレイシャスというふうに座った。 >ぱちぱちと爆ぜる火に顔を照らされる。時々、ハイヤル、センジェの二人が、兄の顔を見る意外は、静かに黙りこくって座っていた。 >だんだんと暗くなり、近くにあった木も、闇に呑まれて判別がつかなくなった。 >ふああっ・・・とレイシャスがあくびを漏らしたとき、ミンジェが閉じていた目を開き、立ちあがった。 >ハイヤルは、なにかいい案が浮かんだのかと思い、声をかけた。 >「兄上。どうしたのですか?」 >「ハイヤル。私は、何か遠くで騒ぐような音を聞いたのだが、聞こえるか?」 >「何か、騒ぐような音、ですか?」 >首を傾げたが、とりあえず兄が指差した方向に耳を澄ませた。 >かさかさと何かが地面を這う音、鳥の翼が空を切って飛ぶ音、獣の物悲しい尾を引く長い遠吠え。 >そして、どろどろどろ・・・・と微かだが、何かが大群で移動し、騒ぐ音が耳に引っかかった。 >幻聴かと思ったが、音は大きくなってきていた。 >思わず兄のほうを見ると、頷いた。 >レイシャスとセンジェは、何か音がするようだが、獣の鳴き声の類だろうと思っている。 >「センジェ。」 >「はい。何でしょうか?」 >「何かがこちらへ向かってきている、すぐに身を隠すんだ。」 >センジェは、何もそんな音は聞こえないのにと思ったが、「わかりました。」と答えた。 >ミンジェは、レイシャスのほうを見て、どう呼ぼうかと考えた。 >気づいたレイシャスは、「呼び捨てでいいです」と言った。 >「わかった。レイシャス。君はどうする?」 >「僕もあなたが言ったとおりにします。」 >すぐに木に登り、枝に腰掛けた。焚き火は、センジェが「エクスト・ボール」で消した。 >ミンジェ、ハイヤル二人は息を殺し、下を凝視した。 >二人の兄が指摘した音は、センジェにも姿は見えないが、はっきり聞こえるようになってきた。 >やがて、音は、馬に乗り、たいまつを手にした盗賊団となって姿を現した。 >馬に乗っている男達は、使い古した鎧に身を固め、背中や腰に剣や刀を装備し、手に槍や弓を持っているものもいた。 >生まれて始めてみるその姿に息を呑むレイシャス。 >「最後尾が来るまで待つんだ。」 >ミンジェが今にも飛び降りようとするハイヤルを制する様に言った。 >最後尾は、馬に乗っていない徒歩の者だった。 >「行くぞ。」 >ミンジェが飛び降りる。ハイヤル、センジェ、レイシャスの順に続く。 >一番最後の者の後に、何食わぬ顔をして列に紛れ込むと、夜の森を走りぬけた。 >ほとんどのものは、逸れないように走るのに精一杯で、見知らぬ者が紛れ込んだのに気づいていない。 >細い月が一番高い空に昇ったとき、森を抜けて、高い丘に到着した。 >そこで、列は一旦止まり、馬に乗った男の内の一人、一番状態の良い鎧を着た、頭と思しき男が剣を鞘から抜いた。剣は自ら青白い光を放っているが如く、闇の中で鋭く光った。 >「今日はあの街を襲う。昨今の時勢で、警備兵を多く配置しているらしいが、我々の敵ではない。」 >とここで言葉を切ると、さっと剣を振り下ろし、叫んだ。 >「行くぞ!!」 >おうっ!!と槍や剣を上げて、威勢を上げると、馬の横腹を蹴り、丘を駆け下りる。 >ここで、四人の男が気絶し、馬から落ちたが、誰も気づかなかった。 >先ほどの、鳥を打ち落とした技を利用して、ハイヤルが遠くから石を飛ばして気絶させていたのである。 おお凄い技 >馬に乗った男たちの次に、徒歩の者も後に続いて駆け下りる予定だったが、それは叶わなかった。 >馬に乗った男たちが駆け下りる音を利用して、センジェが「スリーピング」で密かに眠らせていたのである。 >とどめに、「ダグ・ハウツ」をアレンジした術で、男たちが眠っている地面を陥没させ、目が覚めた時、簡単に出られないようにした。 >「我々も後に続こう。」 >「僕も行きます。」 >四人は馬にまたがると、丘を駆け下りた。 > >「盗賊団が来たぞ!!」 >標的となった街では、頭が言ったとおり、警備兵を配置していた。 >女子ども、老人はすでに避難しており、街にいるのは、男だけになっていた。 >門を固く閉じ、城壁には弓を持った兵士を配置していた。 >見張り役を任せられた兵士は、「馬に乗った武装した集団がやって来る」と報告した。 >「いよいよ来たか。」 >街の男たちは顔を引き締め、矢継ぎ早に指示が出された。 >「来ました!!盗賊団です!!」 >「まだ射るな!!合図と同時に弓をつがえろ!!」 >そうこうするうちに、「馬に乗って武装した集団」の頭は、部下を止めると、一人で馬を進め、要求を述べ始めた。 >「頭と思しき男が、何やらわめいております!!」 >「無視しろ!!」 >「おとなしく門をあけろと要求しています!!」 >「断れ!!」 >門の兵士の一人が「断る!!」と叫ぶと、矢が飛んできて肩を射ぬいた。 >「うっ。」と呻き声を上げ、兵士は倒れた。 >それを合図として、なだれ込む、という算段だった。 >「かかれ!!」と剣を振り上げる。 >呼応して、獰猛な部下たちは、武器を振りかざし、門を打ち破る。はずであったが。 >「そうはさせないぞ!!」 >まだ若い男の声が、響いた。 >「なにい?」と凄みを利かせた声で、頭は門を見上げたが、叫んだのは、門にいる兵士ではなかった。 >「ぎゃあっ!!」と叫び声があがり、馬に乗った盗賊数人が倒れた。 >振り返ると、二人の見知らぬ男が、血に塗れた剣を振るい、右に左にと仲間たちをなぎ倒していた。 >他にも若い女が、「フレア・アロー!!」と叫び、火の矢を出現させて、相手を倒し、少年が、敵から奪った槍を振り回すと、「ぎゃあ!!」だの「ぐええ」といった悲鳴が周りで起り、敵を寄せ付けない。 >何が起こったのか最初は分からずに戸惑う仲間に、「うろたえるな!!そいつらを倒せ!!」と頭が叫んだ。 >門にいた兵士達も、突然の事に驚いていたが、「今がチャンスだ!!矢を射掛けろ!!」と指示が飛んだ。 >城壁にいた何十人の兵士たちは、いっせいに矢をつがえた。 >ざあっ、と矢が下に向かって飛び、軽い怪我や打撲ですんでいた敵をも射抜いた。 >矢は四人のところにも飛んだが、剣や槍を振って弾き飛ばすか切るかしてしのいだ。 >数少ない敵に押され、防御に手一杯のところへ、矢が飛んでくる。 >これはまずいと見て、頭は飛んでくる矢を剣で防ぎながら、「退却だ!!退却する!!」と叫んだ。 >「退却だ!!」と叫び合いながら、盗賊団は、逃げていった。 >逃がすかとハイヤルは馬を進めようとしたが、「深追いするな」の兄の一言で諦めた。 >街を焼かれる覚悟で事にあたっていた、警備兵や男たちは喜び、抱き合った。 >喜びの叫びは天をつき、街を揺るがせた。 >「よかった。よかった。」 >「街は無事だぞ。」 >「あの人達を呼んでくれ。彼らのおかげで、街はたすかったのだから。」 >門が開き、四人は街に入った。 それでは〜 > > > > |