◆−―― ON the QT 5 ―― −リア (2002/10/3 23:12:47) No.22403 ┣Re:―― ON the QT 5 ―― −Yuppy (2002/10/4 13:03:06) No.22412 ┃┗遅れてすみません!(><)−リア (2002/10/8 23:17:34) No.22583 ┗Re:―― ON the QT 5 ―― −ドラマ・スライム (2002/10/4 13:04:28) No.22413 ┗遅れてすみません!(><)ぱーと2−リア (2002/10/8 23:23:44) No.22585
22403 | ―― ON the QT 5 ―― | リア E-mail | 2002/10/3 23:12:47 |
同じものから生まれて 同じものに還っていくのに どうして生きている間だけは 同じでいられないの? あたしも あんたも 同じものから生まれて いつか 同じものに還っていくのに なんでかしら? わからない 憎みあうために生まれてきたのなら 哀しすぎるね ――――― ON the QT ―――――― 大概に置いて彼は掴み所のない男だと、リナは思う。 けれどそれは彼に言わせれば、「お互いさま」だ。 「何しに来たのよ?あんたは」 眉間にしわを寄せたリナが、ゼロスを見上げて問いかける。見上げて、と言っても上目遣いなどと言う可愛らしいものではなくて、睨みつけていると言って相違ない。 かと言って、本気で怒っている訳でもないようだった。 相変わらずこちらの都合お構いなしで現れるゼロスに対し、呆れているだけというのが実状だろう。 心に浮かんだ。感情はそれだけで。 恐怖や不安は、何処を探しても見当たらなかった。 高位魔族と対峙してなお、精神的目線は何処までも真っ直ぐだ。 今ここで、例えば目の前の男が、自分の命を奪おうとしても、それは変わらない。 彼女は誰とでも、対等なのだ。 誰かより上でも、下でもない。 彼女が彼女であることだけが絶対条件。 誰の呼ぶ声も彼女の名を決めはしない。 「お約束を、果たしに来ました」 彼はいつもの笑顔もそのままに、リナに向かって、丁寧に会釈をして見せた。 その言葉の内容と、時代錯誤のふざけた挨拶に、リナの眉間のしわが深くなる。 「約束?」 オウム返しに問いかけたリナに、ゼロスが「ええ」と微笑んだ。 リナが、腰掛けていた窓枠から立ち上がると、安物の木のしなる音が夜風に紛れる。 薄暗がりの中で、ゼロスの姿がぼやぁっと浮かび、魔性のものらしくその影を滲ませた。 リナの形のいい唇が、小さく歪み、淀みなく言葉を紡ぐ。 「あれは、果たされない約束よ」 何処か芝居じみた動作でゼロスに歩み寄り、儚げな腕を彼に向かって伸ばした。 ゼロスはその腕を優しく引き、リナの細い体を抱き寄せながら応えた。 「もう、いいでしょう」 甘く囁く声に、リナは少しためらってから同じ言葉を返す。「あれは、果たされない約束よ」 「あたしは、人間だから」 抱きしめたリナの肩越しに、魔物は窓の外の月を見た。 木々の先に引っかかった頼りなげな月は、まるで引っ掻き傷のように細かった。 「・・・・貴女を愛しています」 ヴァイオリンのような声だ、とリナは思った。 優しく甘く情熱的で乱暴な。 女を抱くように弾くのだ、と、そういえば誰かが言っていた。 「・・・うん・・・知ってるわ・・」 ――――あたしは残酷なことを言っている。 変に冷めた心の片隅で、考えた。 応えられもしないくせに、同じ気持ちを何処かで飼っているのだから。 「でも、ゼロス・・」 「だから」 静かな口調で、けれどとても強かに、彼はリナの言葉を遮った。 「貴女を開放してあげます」 それは、悪夢の神託が下る10日前の、朝と呼ぶには早すぎる深夜のことだった。 |
22412 | Re:―― ON the QT 5 ―― | Yuppy | 2002/10/4 13:03:06 |
記事番号22403へのコメント リアさんは No.22403「―― ON the QT 5 ―― 」で書きました。 初めまして……かな? 記憶力ないんで。 > > > > > 同じものから生まれて > > 同じものに還っていくのに > > > どうして生きている間だけは > > 同じでいられないの? > > > > あたしも あんたも > > 同じものから生まれて > > いつか > > 同じものに還っていくのに > > > > なんでかしら? > > > わからない > > > > > 憎みあうために生まれてきたのなら > > > 哀しすぎるね いい詩ですねぇ。 > > > > > ――――― ON the QT ―――――― > > > > > 大概に置いて彼は掴み所のない男だと、リナは思う。 > けれどそれは彼に言わせれば、「お互いさま」だ。 >「何しに来たのよ?あんたは」 >眉間にしわを寄せたリナが、ゼロスを見上げて問いかける。見上げて、と言っても上目遣いなどと言う可愛らしいものではなくて、睨みつけていると言って相違ない。 >かと言って、本気で怒っている訳でもないようだった。 >相変わらずこちらの都合お構いなしで現れるゼロスに対し、呆れているだけというのが実状だろう。 >心に浮かんだ。感情はそれだけで。 >恐怖や不安は、何処を探しても見当たらなかった。 >高位魔族と対峙してなお、精神的目線は何処までも真っ直ぐだ。 >今ここで、例えば目の前の男が、自分の命を奪おうとしても、それは変わらない。 >彼女は誰とでも、対等なのだ。 >誰かより上でも、下でもない。 >彼女が彼女であることだけが絶対条件。 >誰の呼ぶ声も彼女の名を決めはしない。 >「お約束を、果たしに来ました」 >彼はいつもの笑顔もそのままに、リナに向かって、丁寧に会釈をして見せた。 >その言葉の内容と、時代錯誤のふざけた挨拶に、リナの眉間のしわが深くなる。 >「約束?」 しまったッ!!前回までを読まなくてはッ!!!! でないとわからんッ!!! >オウム返しに問いかけたリナに、ゼロスが「ええ」と微笑んだ。 > > > リナが、腰掛けていた窓枠から立ち上がると、安物の木のしなる音が夜風に紛れる。 > 薄暗がりの中で、ゼロスの姿がぼやぁっと浮かび、魔性のものらしくその影を滲ませた。 > > > リナの形のいい唇が、小さく歪み、淀みなく言葉を紡ぐ。 >「あれは、果たされない約束よ」 >何処か芝居じみた動作でゼロスに歩み寄り、儚げな腕を彼に向かって伸ばした。 >ゼロスはその腕を優しく引き、リナの細い体を抱き寄せながら応えた。 >「もう、いいでしょう」 >甘く囁く声に、リナは少しためらってから同じ言葉を返す。「あれは、果たされない約束よ」 >「あたしは、人間だから」 > > > 抱きしめたリナの肩越しに、魔物は窓の外の月を見た。 > 木々の先に引っかかった頼りなげな月は、まるで引っ掻き傷のように細かった。 > > >「・・・・貴女を愛しています」 >ヴァイオリンのような声だ、とリナは思った。 いい表現ですね。 >優しく甘く情熱的で乱暴な。 >女を抱くように弾くのだ、と、そういえば誰かが言っていた。 …………誰が?(待て自分) >「・・・うん・・・知ってるわ・・」 >――――あたしは残酷なことを言っている。 >変に冷めた心の片隅で、考えた。 >応えられもしないくせに、同じ気持ちを何処かで飼っているのだから。 >「でも、ゼロス・・」 >「だから」 >静かな口調で、けれどとても強かに、彼はリナの言葉を遮った。 >「貴女を開放してあげます」 > > >それは、悪夢の神託が下る10日前の、朝と呼ぶには早すぎる深夜のことだった。 それでは〜。 がんばってくださいね〜。 > > > > > > |
22583 | 遅れてすみません!(><) | リア E-mail | 2002/10/8 23:17:34 |
記事番号22412へのコメント >> >> >> 同じものから生まれて >> >> 同じものに還っていくのに >> >> >> どうして生きている間だけは >> >> 同じでいられないの? >> >> >> >> あたしも あんたも >> >> 同じものから生まれて >> >> いつか >> >> 同じものに還っていくのに >> >> >> >> なんでかしら? >> >> >> わからない >> >> >> >> >> 憎みあうために生まれてきたのなら >> >> >> 哀しすぎるね >いい詩ですねぇ。 ごふっ!おっと。嬉しさのあまり血を吐いてしまいましたよ。 おほめの言葉ありがとうございますv 今後の活力にさせていただきますv >それでは〜。 >がんばってくださいね〜。 はい。がんばります! 応援ありがとうございますv これからもどうぞよろしくです♪ レス遅れて本当にごめんなさい(汗) |
22413 | Re:―― ON the QT 5 ―― | ドラマ・スライム | 2002/10/4 13:04:28 |
記事番号22403へのコメント リアさんは No.22403「―― ON the QT 5 ―― 」で書きました。 > > > > > 同じものから生まれて > > 同じものに還っていくのに > > > どうして生きている間だけは > > 同じでいられないの? > > > > あたしも あんたも > > 同じものから生まれて > > いつか > > 同じものに還っていくのに > > > > なんでかしら? > > > わからない > > > > > 憎みあうために生まれてきたのなら > > > 哀しすぎるね いい詩ですね。 > > > > > ――――― ON the QT ―――――― > > > > > 大概に置いて彼は掴み所のない男だと、リナは思う。 > けれどそれは彼に言わせれば、「お互いさま」だ。 >「何しに来たのよ?あんたは」 >眉間にしわを寄せたリナが、ゼロスを見上げて問いかける。見上げて、と言っても上目遣いなどと言う可愛らしいものではなくて、睨みつけていると言って相違ない。 >かと言って、本気で怒っている訳でもないようだった。 >相変わらずこちらの都合お構いなしで現れるゼロスに対し、呆れているだけというのが実状だろう。 >心に浮かんだ。感情はそれだけで。 >恐怖や不安は、何処を探しても見当たらなかった。 >高位魔族と対峙してなお、精神的目線は何処までも真っ直ぐだ。 >今ここで、例えば目の前の男が、自分の命を奪おうとしても、それは変わらない。 >彼女は誰とでも、対等なのだ。 >誰かより上でも、下でもない。 >彼女が彼女であることだけが絶対条件。 >誰の呼ぶ声も彼女の名を決めはしない。 >「お約束を、果たしに来ました」 >彼はいつもの笑顔もそのままに、リナに向かって、丁寧に会釈をして見せた。 >その言葉の内容と、時代錯誤のふざけた挨拶に、リナの眉間のしわが深くなる。 >「約束?」 >オウム返しに問いかけたリナに、ゼロスが「ええ」と微笑んだ。 > > > リナが、腰掛けていた窓枠から立ち上がると、安物の木のしなる音が夜風に紛れる。 > 薄暗がりの中で、ゼロスの姿がぼやぁっと浮かび、魔性のものらしくその影を滲ませた。 > > > リナの形のいい唇が、小さく歪み、淀みなく言葉を紡ぐ。 >「あれは、果たされない約束よ」 >何処か芝居じみた動作でゼロスに歩み寄り、儚げな腕を彼に向かって伸ばした。 >ゼロスはその腕を優しく引き、リナの細い体を抱き寄せながら応えた。 >「もう、いいでしょう」 >甘く囁く声に、リナは少しためらってから同じ言葉を返す。「あれは、果たされない約束よ」 >「あたしは、人間だから」 > > > 抱きしめたリナの肩越しに、魔物は窓の外の月を見た。 > 木々の先に引っかかった頼りなげな月は、まるで引っ掻き傷のように細かった。 > > >「・・・・貴女を愛しています」 >ヴァイオリンのような声だ、とリナは思った。 >優しく甘く情熱的で乱暴な。 >女を抱くように弾くのだ、と、そういえば誰かが言っていた。 >「・・・うん・・・知ってるわ・・」 >――――あたしは残酷なことを言っている。 >変に冷めた心の片隅で、考えた。 >応えられもしないくせに、同じ気持ちを何処かで飼っているのだから。 >「でも、ゼロス・・」 >「だから」 >静かな口調で、けれどとても強かに、彼はリナの言葉を遮った。 >「貴女を開放してあげます」 殺すの? > > >それは、悪夢の神託が下る10日前の、朝と呼ぶには早すぎる深夜のことだった。 それでは〜 > > > > > > |
22585 | 遅れてすみません!(><)ぱーと2 | リア E-mail | 2002/10/8 23:23:44 |
記事番号22413へのコメント >> 同じものから生まれて >> >> 同じものに還っていくのに >> >> >> どうして生きている間だけは >> >> 同じでいられないの? >> >> >> >> あたしも あんたも >> >> 同じものから生まれて >> >> いつか >> >> 同じものに還っていくのに >> >> >> >> なんでかしら? >> >> >> わからない >> >> >> >> >> 憎みあうために生まれてきたのなら >> >> >> 哀しすぎるね >いい詩ですね。 おっとまたしても!!ほめて頂けて天にも昇るこの喜び!! そーいえば、(こんなところでなんですが)ドラマ・スライム様の詩も素敵でしたv 速さだけじゃない充実した内容に脱帽です! >それでは〜 はい。ありがとうございましたv そして、本当にレス遅れて申し訳ありませんでした。 自分のHP作成にいそしんでたらこちらに顔を出す時間がとれなくて・・。 もうしばらくしたら、もっとばしばし投稿したい(とゆーかできたらいいなと)思います。 これからもよろしくお願いしますv |