-異界黙示録伝《水の書》その1-魔沙羅 萌(4/14-22:06)No.2269
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2269異界黙示録伝《水の書》その1魔沙羅 萌 4/14-22:06

今回の一人称はガウリイ君です。はい。

――『リラ』にもひとつ、伝説があった。
それは哀しみの記憶……悲劇の星……身代わりの月………。
それは古の神々と魔族のみ真実を知っている恐ろしい伝説。
それはリナ=インバースの知っているものとは異なっていた。


水の戯れ


「久し振りだね、リナ」
そのリナそっくりの少女はリナに対してそう言った。
「なあリナ、知り合いか?」
俺の言葉をリナは無視してそのリナン何とかと呼ばれた少女に話しかけた。
「ちょ、ちょっとエマ!なんでこんな所にいるのよ!!」
「エマ?りんちゃんの名前ってリナンじゃないの?」
萌がリナに『エマ』と呼ばれている少女にたずねた。
「そうよ。あたしはリナン=エマ=リバースよ。昔、ゼフィーリアの方に住んでたことがあってね。リナはその時知り合ったあたしの幼なじみなの。まあ、いろいろあって街一つ消えちゃったり、トモダチが死んじゃったり、魔族とかかわっちゃってここまで戻ってきたけど。
まあ、その時、リナとあたしが名前まであまりにも似てるからみんながあたしのことエマって呼ぶようになったのよ。ね、リナ」
「そうねえ、そんな事もあったわね。あのころのあなた、あたしが髪の毛長かったからって自分の髪の毛切っちゃうんだもの。びっくりしたわよ。どうやらかわってなさそうだけど」
リナは溜め息交じりにそう言った。
「それじゃあ俺はお前さんのことなんて呼べばいいんだ?」
「好きに呼べばいいんじゃない?この子は別に自分の名前なんて気にしてないわ」
俺にそう答えたのはリナだった。
「それじゃあよろしくな、エマ。俺はガウリイだ」
「よろしくね、ガウリイ君」
エマはそういってぺこっとお辞儀をした。
ぽつん。……ぽつん…さぁーーーーーーーーーー
突然なんの前触れも無く雨が降りはじめた。
「雨?なんで突然雨が降り出すのよ!」
リナが不満の声をあげた。
「まあ、いいじゃないのリナ。山の天気は変わりやすいっていうでしょ。それに、まるで雨に祝福されているみたいで」
エマが気楽そうにそう言った。俺としては雨でもいいんけどな。
雨に祝福されている……か。変わったことを考える奴もいるんだな。
「いいよな、リナンは。おおっと、正確に言ったら人間はかな。聞こえないもんな。この『歌』が」
「玉髄!そんなこというものじゃないわ。あの歌は私たちみたいなモノと萌にしか聞こえてないのよ。………って、あの『獣神官』はどこへ行ったのかしら?」
玉髄と螢がわけの分からない会話をしている。……なんだか眠くなってきたなあ。
「おや、ガウリイさん、眠そうですねえ」
「ゼ、ゼロス!脅かすなよ。ところでどこ行ってたんだ?」
ゼロスはそんな俺の質問はお構い無しに萌の方に話し掛け出した。まあ、いいんだけどさ、そんな露骨に無視するなよ。リナといい、なんだかみんな俺に冷たいぞ。
「ところで萌さん、雨の精霊の歌う歌って何ですか?」
「どうでもいいけど神出鬼没のゼロス君、あんまり濡れると貴方はさておきみんな風邪ひいちゃうよ。あたしのお家で話していけば?どうせこの雨だし、常磐の座にはむかえないよ」
「そうですね、エマさん。リナさん、エマさんのお家に行きましょう」
「そうね。ガウリイ!おいてくわよ!!」

……リナたちがいない……。しまった!おいてかれちまった!!
いくらなんでも反則だぞ!!
……おーいリナぁーー!どっちに行ったんだよぉーー!!


雨の精霊はこう歌っていた。
人知れぬ『哀しみの創造』の歌を。
『哀しみの記憶 悲劇の星 身代わりの月よ
ヒトにより創られた ヒトの大地 ヒトの海よ
ヒトの宇宙 ヒトにより作られたヒトよ
哀しみの地となりて 哀しみの伝説とならん』

〔続く〕

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2297Re:異界黙示録伝《水の書》その1松原ぼたん E-mail 4/16-18:18
記事番号2269へのコメント
 面白かったです。

>今回の一人称はガウリイ君です。はい。
 ・・・・凄い。
>「そうよ。あたしはリナン=エマ=リバースよ。昔、ゼフィーリアの方に住んでたことがあってね。リナはその時知り合ったあたしの幼なじみなの。まあ、いろいろあって街一つ消えちゃったり、トモダチが死んじゃったり、魔族とかかわっちゃってここまで戻ってきたけど。
 あっさり言うようなことかい。
>「まあ、いいじゃないのリナ。山の天気は変わりやすいっていうでしょ。それに、まるで雨に祝福されているみたいで」
 素敵な考えですね。
>……おーいリナぁーー!どっちに行ったんだよぉーー!!
 をひをひ。

 本当に面白かったです。
 ではまたご縁がありましたなら。