◆−使えない呪文〜Mistletoe 3 3話−エモーション (2002/12/29 00:33:41) No.24076 ┣Re:使えない呪文〜Mistletoe 3 3話−D・S・ハイドラント (2002/12/29 09:27:49) No.24079 ┃┗Re:使えない呪文〜Mistletoe 3 3話−エモーション (2002/12/29 21:14:29) No.24099 ┣魔獣、登場ですね。−猫楽者 (2002/12/30 01:44:49) No.24111 ┃┗Re:魔獣、登場ですね。−エモーション (2002/12/31 00:08:07) No.24141 ┗使えない呪文〜Mistletoe 3 4話−エモーション (2003/1/3 23:44:14) NEW No.24240 ┣あうっ(汗)、切ないです。−猫楽者 (2003/1/4 02:22:58) NEW No.24244 ┃┗Re:あうっ(汗)、切ないです。−エモーション (2003/1/4 22:14:42) NEW No.24258 ┗Re:使えない呪文〜Mistletoe 3 4話−D・S・ハイドラント (2003/1/4 14:05:55) NEW No.24250 ┗Re:使えない呪文〜Mistletoe 3 4話−エモーション (2003/1/4 22:30:24) NEW No.24259
24076 | 使えない呪文〜Mistletoe 3 3話 | エモーション E-mail | 2002/12/29 00:33:41 |
こんばんは。 これ、もう絶対年内には終わりません(苦笑)年越します。 時期はずれネタになっている部分は目をつぶってくださいませ。 では、今回(多分)一番の長文の3話です。長いので大変だと思いますが 読んでいただければ幸いです。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ 『たすけたい、そう思うから。 それだけでは、答えにならないだろうか?』 ──引用文:一条理希.作 「ネットワーク・フォックス・ハンティング」より── 「使えない呪文〜Mistletoe 3」 3話 3. それは、社から宿へ戻る途中だった。 「わあああああああんっ! 助けてーっ!!」 不意に聞こえてきたのは、子どもの声。すぐに声の方へ駆けていった フィリシアの視界に映ったのは、5〜6歳の子どもを掴んで振り上げている、 巨大な……人のような、爬虫類のような、一言では形態の説明ができない ような生き物だった。とりあえず、半人間形態とは言えるかもしれない。 上半身の形は人に近い。肉食系の鋭い爪はあっても手の部分は人間と同じだ。 だが顔の部分は、どちらかと言えば爬虫類系に近く、口にはギザギザの歯が びっしりと生えており、それなのに目に当たるだろう部分は昆虫のように 複数の目を持っている。腰の辺りからは一気に細くなる下半身には、お情け 程度のようだがとりあえず人に近い足──こちらも鋭い爪を持っているが── と長い尻尾がある。 そんな生き物が、子どもを地面に叩きつけ、右腕を引きちぎっている。 耳を覆いたくなるような絶叫と、ぼたぼたと周囲に飛び散る血……。 凄惨な光景に、フィリシアの思考や感覚が麻痺したのは無理もない。どさり、 と音を立てて、抱えていた買い物の袋がその場に落ちる。 その音でフィリシアに気づいたのか、「それ」は引きちぎった右手を転がすと、 子どもを掴んだまま、ゆっくりと近づいてくる。自分目がけてもう片方の手が 振り下ろされる様子を、フィリシアは何の感情もなく見つめていた。 と、急に背後に引っ張られると同時に、「それ」が何かの衝撃を受けて 弾き飛ばされたのが見える。「それ」は咆哮と共に、積もった雪ごと地面を 抉って後へ倒れた。 「何をぼーっとしているんです! あれでは、攻撃してくださいと言ってる ようなものでしょう!?」 その言葉と振り返った先にある相手の顔に、思考と感覚が急激に元に戻る。 「……ご、ごめんなさい……」 フィリシアがそう言うと、ゼロスは少し苦笑していたが、すぐに真面目な顔で 「それ」を睨みつけながら言う。何をしたのかは分からないが、それなりに ダメージを受けたのか、「それ」は起き上がるのに苦労している。 「お礼は後にしてください。……あの子は可哀相ですが、一気に片づけますよ」 怖いくらい静かな声音で、一気に「それ」を──おそらく焼き尽くすような 呪文を使うつもりだと分かった。当然、子どもも死体すら残らないだろう。 と、小さく、弱々しい呻き声がフィリシアの耳に届いた。 ……まだ、生きている。 「まって! あの子を助けなきゃ、そっちが先よ!」 「無茶言わないでください! 第一、あれでは生半可な回復呪文では間に 合いませんよ」 「生半可でなければ間に合うでしょう? あの子はまだ生きているわ! まだ諦めてないっ! 今ならまだ、助けられます!」 「……分かりました。援護してくれますか? まず『あれ』の腕を吹き飛ばし ますので」 何故こうも見ず知らずの相手のために必死になれるのか、全く理解できないが、 フィリシアの様子から、これはもう絶対に退かないどころか下手をすると 邪魔されると分かって、呆れつつゼロスは起き上がってきた「それ」の方を 向いて言う。その言葉にフィリシアはほっと息をつくと、同じようにそちら を向いて答える。 「身動きを取れなくすればいいですか?」 「ええ、十分です」 「分かりました。 ……F' a dal loner abe locrh …… Carhpar!(カルパール)」 フィリシアの呪文が「それ」の動きを止めたとき、同時に悲鳴と咆哮を 聞きつけた村の者たちが、何人か駆けつけて来た。が、まさかこんなわけの 分からないものがいるとは思わなかったのと、「それ」に捕まっている子どもの 状態に驚き、蒼白になって立ちつくしている。 「……アルフッ!」 不意に悲鳴に近い女性の声がした。捕まっている子どもの母親らしい。 顔色は真っ青だが、立ちつくすことなく、「それ」の方へ向かっていこうと するのを、周囲の男達が必死で止めている。3人がかりで押さえられ、 それでも尚、母親は、狂乱したように子どもの名前を泣き叫びながら、突き 進もうとする。 悲痛な声と思いが、その場にいる者の心を、締め付ける。 バシュッ! ピグギギャガアアアアアアアアアアアッ! 誰が聞いてもダメージを受けた、と分かる鳴き声と同時に「それ」の── 子どもを掴んでいる──手が、弾け飛んだ。 ゼロスは落下してくる子どもを抱きとめると、いつの間に取ってきたのか、 先程引きちぎられた右腕も一緒に持って、フィリシアの元へ連れてくる。 「はい、ご要望どおり。後は、貴女の仕事です」 「……ありがとう……」 ゼロスに礼を言うと、フィリシアはすぐに自分のマントを敷布代わりにし、 渡された子どもを横たえる。ショック状態で、そして危険な状態だと誰が 見ても分かる。だが── ……まだ生きている。まだ、間に合う。絶対に、助ける。 血の臭いと酷い状態に、目をそむけたくなるのを、泣きたくなるのを堪えて、 フィリシアは自分に言い聞かせた。 「アルフ! アルフ!」 子どもが助けられたのを見て、母親や村人達が駆けよってきた。 「アルフ……こんな……酷い……。アルフ……助けて! お願いだから…… この子を……」 助けられたとはいえ、我が子の酷い状態に、泣き叫びながら訊ね、懇願する 母親に、フィリシアは静かに、しかし、強いまなざしで答えた。 「助けます」 フィリシアが子どもの治療をしている間、「それ」に対峙したゼロスは 困惑していた。 ……何なんでしょうね、「これ」……。 多分、魔獣なのだとは思う。気配は確かに魔獣の類のものだ。だが、何か が微妙に違う。かと言って、人間の魔道士等がよく行うような、合成された ようなものとも、あきらかに違っている。魔獣も色々あるが、それなりに 知能と知性のある魔獣にしては、行動のレベルが低すぎるし、ほとんど動物 に近いような、大した知能のない魔獣にしては……どこか、はっきりとした 自分の意志のようなものを、感じさせる。今もゼロスの攻撃をそれなりに かわしながら、フィリシアのかけたカルパール(金縛り)の呪文を打ち破ろうと、 もがいているくらいだ。 正体が何であれ、はじめにフィリシアに言ったとおり、一気に燃やすなり 何なりして、片づけてしまいたかったが、こうも人が集まってきていると、 何人か巻き込みかねないのでそれも難しい。ゼロスとしては巻き込んだところで どうとも思わないが、人間の中に混じっている以上は、それは避けた方が無難だ。 また、そうしようがものなら、フィリシアからこれ以上の同行は拒否される だろうし、確実に嫌われる。それでは「仕事」にも支障がでるし、何より フィリシアには、嫌われたら最後、のような気がして仕方がない。もっとも、 その分、滅多に他人を嫌ったりはしないようだが。 人目を誤魔化しつつ、アストラルサイドを通じた空間からの攻撃を加えて、 とどめを刺そうとした時だった。 クウウウウウウオオオオオオンンッ 何かに応えるような、そんな鳴き声と同時に、魔獣の姿が、かき消えた。 「なっ……!?」 村の者たちは、単純にゼロスが怪物を倒したと思ったらしく、感嘆の声を もらしているが、違う。 ……誰かに呼び戻された……? どうやら、逃げられたようですね。 ゼロスは軽く舌打ちし、魔獣の消えた場所を睨む。その表情は魔族の本質 を現しているものだったが、誰1人、気づく者はいなかった。 「……Feri lanomhoth Samith a kiteri ryumule'r lo rairele'r ……」 ゼロスが「それ」の相手をしている、その前で、静かに、フィリシアの口 から神聖呪文が紡がれる。術をいくつか組み合わせているので、詠唱に多少 時間がかかっているが、唱えると同時に、彼女の手から強い、しかし、暖かな 白い光が現れた。光は子どもの身体を優しく包み込む。冷たい冬の空気が、 不思議とその周囲だけ暖かい。 母親と村の者が見守る中、引きちぎられた手が、みるみる元に戻っていく。 痕跡すら分からないほど、跡形もなく。苦痛に歪み、血の気がなく白かった顔も 赤味が戻り、表情も穏やかなものに変わっていった。 「ああ……アルフ……良かった……」 今度は喜びから涙を流し、子どもに抱きつかんばかりの母親を、フィリシアは そっと押しとどめる。 「まだ、治療が必要です。でも、もう生命は大丈夫ですから……。 ……お子さんの手を握っていてあげてください」 言葉も出せずにうなづいた母親に、フィリシアは優しく微笑むと、再び、 今度は通常の──それでも、高度なものだが──回復呪文をかけはじめた。 ……啖呵をきるだけのことはありますね。確かに、生半可ではない。 魔獣に逃げられたことは不満だが、表面には出さずに、ゼロスはフィリシアが 子どもの治療をしている様子を見ながら、そう思った。 魔獣の相手をしながらも、それとなく様子を見ていたが、身体の修復と 怪我の治癒。そして意識がないとは言っても、痛みを封じながらの、 治療呪文……。 フィリシアが使っていたのは、どれも「生半可」ではない、高レベルの 回復呪文だ。しかも、いくら悠長に一つ一つ行う状況ではなかったと言っても、 それらを全て1人で、同時に行ったのだから、さすがに驚いた。今使って いるのも、先程のものとは違う、普通の回復呪文だが、それでもかなり 高レベルのものだ。 ……どうがんばっても、「普通の」巫女と言うのは、無理がありますね。 普段、フィリシアが自分を「普通の」巫女だと言っているのを思い出し、 ゼロスは肩をすくめた。 しばらくすると、子どもは意識を取り戻した。何が起きたのか思いだし、 泣き出す子どもを、母親がしっかりと抱きしめる。 「……知らない子、いて……それで、そうしたら……急に……」 母親に抱きしめられている安心感からか、泣くだけ泣くと、子どもはしゃくり 上げながらも何があったのかを話しだした。当然だがショックもあるので 要領を得ない部分はあるが、どうやら「知らない子に遊びに誘われ、一緒に 遊んでいたら、急に化け物になった」ということらしい。 しきりに礼を述べた後、母子は先に帰ったが、2人は村の者たちから事情 を聞かれた。もっとも、ゼロスが魔獣を退治していたことや、フィリシアが 子どもを救ったことは、その場にいた全員が見ているので、特に問題も なかったが。 とりあえず騒動が終わり、村人達が帰っていく中、治療のために座り込んで ……そのままでいるフィリシアに、残った魔獣の手を焼却処分してきたゼロスが、 フィリシアが抱えていた袋をついでに拾ってきたらしく、片手に抱えながら言う。 「あれだけの呪文を使ったのですから、お疲れでしょうけど、戻りましょう。 歩けますか?」 少しの間、フィリシアは差しのべられた手を見つめていたが、微笑して 頷くと、手を借りて立ち上がった。 「あれ、何だったのかしら……?」 マントを抱えて歩きながら、フィリシアが言う。はっきり言って寒そう なのだが、血だらけなので羽織れないのだ。 「多分、何かの魔獣だと思うんですけど……妙でしたね」 正直、ゼロスにも分からない。いくら高位魔族と言っても、さすがに全て の魔獣を把握しているわけではないし、何より──ゼロスから見ても── あんな魔獣は初めてだった。せいぜい気配から魔獣だと分かったにすぎない。 「魔獣って……。どうしてそんなのがここに……」 「普通は、魔獣の類が人間の住む場所の近くになんて、生息していない はずです。ただ……」 「ただ?」 言葉を途切れさせると同時に立ち止まったゼロスを、フィリシアの赤紫色 の瞳が、不思議そうに見上げる。 「村の人達には話していませんが、確認を取りたいのでフィリシアさんには 話しておきます。 僕はあの魔獣を倒していません。とどめを刺そうとしたら、逃げられました」 「……逃げられましたって……待って! 私のカルパールの呪文、解いても いないし、破られてもいないわ。それなのに、どうやって逃げたの?」 カルパール(金縛り)の呪文は、術者本人以外が解こうと思ったら、術者 以上の力で干渉するか、術者にダメージを与えるかする以外では、かけられた側が 術を打ち破るしかない。しかし、打ち破ったとしても、心身共に受ける ダメージが大きいので、とてもすぐに身動きなどできない。また、いくら 治療呪文に専念していたと言っても、術が解かれればフィリシアは気が ついたはずだ。 「フィリシアさんが術を解かれたと思っていないのでしたら、魔獣は術を打ち 破っていません。でも、これではっきりしました。 あの魔獣は誰かの支配下にあります。召還者がいて、呼び戻したのでしょう。 おそらく、カルパールの効果範囲外でしょうから、術は自然に解けたはずです」 それなら、術の効果が消えても、フィリシアが不審を感じるはずがない。 「それじゃ……これからも、あの魔獣がこの村に現れる可能性があるって こと……?」 「五分五分ですね。かなり深手を負わせましたから、もしかしたらこれで おしまい、の可能性もあります。でも、あの魔獣が強力な回復力を持って いたら……すぐにではないと思いますが、再び現れるでしょうね。どうも あの魔獣は、ここに住み着いているみたいですし」 「……どうして分かるの?」 「コルプトさんが、家畜が襲われていると言っていたでしょう? フィリシアさん に会う前、たまたま襲われた家畜小屋を見たんですけれど……あれ、野生動物の 仕業じゃありません。爪痕が微妙に違いますから。……さっきのものなら 納得いきますよ。定期的に襲われているようですし、召還した後、そのまま この村のどこかで飼っているのかもしれないですね」 その言葉を聞いて、フィリシアは難しい顔で押し黙る。黙っていたことを 怒るのかと思っていたゼロスは、そうでもない様子が不思議だった。 「聞かないんですか。何故、村の人達には話さなかったのかって」 「言わないのがいいとは思わないけれど、話したら、パニックが起きかね ないのは確かだもの。それに、逃げられたことを責められるだけ……。 それぐらいは分かるわ」 「フィリシアさんは責めないんですね」 「責めてどうするの? あなたでも逃げられるようなものを、他の誰かに どうにかできるわけないのに」 その答えに、ゼロスは苦笑する。そういう部分は評価してくれているらしい。 「では、どうしてそんなに難しい顔をしているんです?」 「どうしたらいいのかって、考えているの。このままってわけにはいかない でしょう」 「でも、今度のことは召還者が見つからないと終わりませんよ。魔獣だけ 倒しても、また召還されるだけですから。それに、僕が召還者の立場なら、 厄介な相手がいなくなるまで、動こうとは思いませんね。相手が村の者では ないと分かっているんですから、そうします。 いつ現れるか分からない魔獣とその召還者が出てくるまで、長居するわけ にもいかないでしょう? ある程度の事を話して、注意を促すくらいしか できないと思いますけど」 ゼロスの言っていることはもっともなので、フィリシアには真っ向から 言葉を返すことができない。だが、先程のような目にあう者が出てくるかも しれないと思うと、どうにもできないことは、もどかしくて苦しい。 「どうにかして、おびきよせられたらいいのだけど……」 「結構、めげませんねぇ……」 沈んでいるかと思えば、不意にそう言い出したりするフィリシアに、 ゼロスは苦笑した。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ X.はい、ご苦労様でした。 F.お疲れさまです。(深々と頭を下げる)しかも、今回のは……結構キツイ と思いますし。 X.そーですか? それ言ったら5話もかなりキツイでしょう? F.5話は単に私が精神的にキツイだけです。筆者Eは子どもが酷い目に あうのは嫌いなんです。その割に書いてますが。 X.あと今回のポイントは……神聖呪文(笑)ですね。あの文章に書かれた とおりに発音しようとしても、絶対できません。特殊な発音なので。 F.あれは実はアーヴ語です。母音だけでも8つくらいありますし、子音の 変化も激しいですから。アルファベット表記で出ない文字も無理やり アルファベットで表記したので、あのままでは絶対に発音できません。 X.単語の変換も文法も全然駄目ですしね。本気で研究している方には 怒られそうですね。 F.単語のアーヴ語変換は楽しかったそうです。ただ文法や人称変化が、 まだイマイチよく分からないとか。「アーヴ語習いたての者が、とりあえず がんばって書いてみたらしい」と思っていただけると幸いです。 X.でも……基本は日本語ですよ。アーヴ語って……。 F.とりあえず、読んでいただいてありがとうございました。 X.では、今回はこの辺で失礼します。近いうちに4話でお会いしましょう。 |
24079 | Re:使えない呪文〜Mistletoe 3 3話 | D・S・ハイドラント | 2002/12/29 09:27:49 |
記事番号24076へのコメント >巨大な……人のような、爬虫類のような、一言では形態の説明ができない >ような生き物だった。とりあえず、半人間形態とは言えるかもしれない。 > 上半身の形は人に近い。肉食系の鋭い爪はあっても手の部分は人間と同じだ。 >だが顔の部分は、どちらかと言えば爬虫類系に近く、口にはギザギザの歯が >びっしりと生えており、それなのに目に当たるだろう部分は昆虫のように >複数の目を持っている。腰の辺りからは一気に細くなる下半身には、お情け >程度のようだがとりあえず人に近い足──こちらも鋭い爪を持っているが── >と長い尻尾がある。 不気味〜 > そんな生き物が、子どもを地面に叩きつけ、右腕を引きちぎっている。 >耳を覆いたくなるような絶叫と、ぼたぼたと周囲に飛び散る血……。 > 凄惨な光景に、フィリシアの思考や感覚が麻痺したのは無理もない。どさり、 >と音を立てて、抱えていた買い物の袋がその場に落ちる。 1話で言ってた野生動物ってこれのことですか? >「コルプトさんが、家畜が襲われていると言っていたでしょう? フィリシアさん >に会う前、たまたま襲われた家畜小屋を見たんですけれど……あれ、野生動物の >仕業じゃありません。爪痕が微妙に違いますから。……さっきのものなら >納得いきますよ。定期的に襲われているようですし、召還した後、そのまま >この村のどこかで飼っているのかもしれないですね」 やはり「あれ」がやったのか・・・ >X.はい、ご苦労様でした。 >F.お疲れさまです。(深々と頭を下げる)しかも、今回のは……結構キツイ > と思いますし。 >X.そーですか? それ言ったら5話もかなりキツイでしょう? >F.5話は単に私が精神的にキツイだけです。筆者Eは子どもが酷い目に > あうのは嫌いなんです。その割に書いてますが。 まあ私も精神的に嫌なことも書いてます・・・。 >X.あと今回のポイントは……神聖呪文(笑)ですね。あの文章に書かれた > とおりに発音しようとしても、絶対できません。特殊な発音なので。 >F.あれは実はアーヴ語です。母音だけでも8つくらいありますし、子音の > 変化も激しいですから。アルファベット表記で出ない文字も無理やり > アルファベットで表記したので、あのままでは絶対に発音できません。 >X.単語の変換も文法も全然駄目ですしね。本気で研究している方には > 怒られそうですね。 >F.単語のアーヴ語変換は楽しかったそうです。ただ文法や人称変化が、 > まだイマイチよく分からないとか。「アーヴ語習いたての者が、とりあえず > がんばって書いてみたらしい」と思っていただけると幸いです。 >X.でも……基本は日本語ですよ。アーヴ語って……。 アーヴ語って何ですか? >F.とりあえず、読んでいただいてありがとうございました。 いえいえ読ませてくれてありがとうございました。 >X.では、今回はこの辺で失礼します。近いうちに4話でお会いしましょう。 では失礼致しました |
24099 | Re:使えない呪文〜Mistletoe 3 3話 | エモーション E-mail | 2002/12/29 21:14:29 |
記事番号24079へのコメント こんばんは。 >>巨大な……人のような、爬虫類のような、一言では形態の説明ができない >>ような生き物だった。とりあえず、半人間形態とは言えるかもしれない。 >> 上半身の形は人に近い。肉食系の鋭い爪はあっても手の部分は人間と同じだ。 >>だが顔の部分は、どちらかと言えば爬虫類系に近く、口にはギザギザの歯が >>びっしりと生えており、それなのに目に当たるだろう部分は昆虫のように >>複数の目を持っている。腰の辺りからは一気に細くなる下半身には、お情け >>程度のようだがとりあえず人に近い足──こちらも鋭い爪を持っているが── >>と長い尻尾がある。 >不気味〜 初めのイメージでは昆虫でした。この話を書いているうちに、ある事に 気づきまして……(苦笑)開き直ってそれをモデルにしました。 >> そんな生き物が、子どもを地面に叩きつけ、右腕を引きちぎっている。 >>耳を覆いたくなるような絶叫と、ぼたぼたと周囲に飛び散る血……。 >> 凄惨な光景に、フィリシアの思考や感覚が麻痺したのは無理もない。どさり、 >>と音を立てて、抱えていた買い物の袋がその場に落ちる。 >1話で言ってた野生動物ってこれのことですか? これです。野生と言えば野生かも(笑) >>X.でも……基本は日本語ですよ。アーヴ語って……。 >アーヴ語って何ですか? 森岡浩之氏原作の「星界の紋章」&「星界の戦旗」と言ったシリーズで、 アーヴという種族が使っている言語です。言語としては創作言語ですね。 SFにありがちな適当なものではなく、変化の法則性や発音形態、文法、 人称変化まで、きちんと設定されているためSF作品の創作言語としては 評価がかなり高いです。……もっとも森岡氏本人は、本気で発音しようと する人がいるとは思わなかったそうですが。 アニメ化の際、冒頭にアーヴ語のナレーションが入ったときは、感動しました。 また、アーヴ種族の起源に絡んでいるため、作中でもちゃんと「日本語(倭言葉)」 がベースになって、進化した言語の設定になっています。だからアーヴ語の 原型の言葉を知ると結構面白いです。(「スポール」が「昴」、「ラクファカール」が 「高天原」といった具合なので) >>F.とりあえず、読んでいただいてありがとうございました。 >いえいえ読ませてくれてありがとうございました。 >>X.では、今回はこの辺で失礼します。近いうちに4話でお会いしましょう。 >では失礼致しました 本当にありがとうございました m(__)m |
24111 | 魔獣、登場ですね。 | 猫楽者 E-mail | 2002/12/30 01:44:49 |
記事番号24076へのコメント こんにちは、エモーションさん。 お元気ですか、猫楽者です。 続きをお待ちしておりました。 すいません。やっと感想の書き込みをさせて頂きました。 遅くなってしまいまして、本当に申し訳ありませんでした。 >『たすけたい、そう思うから。 > それだけでは、答えにならないだろうか?』 > ──引用文:一条理希.作 > 「ネットワーク・フォックス・ハンティング」より── 良い台詞ですね。 どんな場面での御言葉なのか、いろいろと想像してしまいました。 >「わあああああああんっ! 助けてーっ!!」 > 不意に聞こえてきたのは、子どもの声。すぐに声の方へ駆けていった >フィリシアの視界に映ったのは、5〜6歳の子どもを掴んで振り上げている、 >巨大な……人のような、爬虫類のような、一言では形態の説明ができない >ような生き物だった。とりあえず、半人間形態とは言えるかもしれない。 > 上半身の形は人に近い。肉食系の鋭い爪はあっても手の部分は人間と同じだ。 >だが顔の部分は、どちらかと言えば爬虫類系に近く、口にはギザギザの歯が >びっしりと生えており、それなのに目に当たるだろう部分は昆虫のように >複数の目を持っている。腰の辺りからは一気に細くなる下半身には、お情け >程度のようだがとりあえず人に近い足──こちらも鋭い爪を持っているが── >と長い尻尾がある。 村の家畜を襲っていた怪物ですね。 ついに人を、それもよりによって、幼い子供を襲うようになりましたか。 リザードマンのような怪物なのでしょうか。 > そんな生き物が、子どもを地面に叩きつけ、右腕を引きちぎっている。 >耳を覆いたくなるような絶叫と、ぼたぼたと周囲に飛び散る血……。 > 凄惨な光景に、フィリシアの思考や感覚が麻痺したのは無理もない。どさり、 >と音を立てて、抱えていた買い物の袋がその場に落ちる。 > その音でフィリシアに気づいたのか、「それ」は引きちぎった右手を転がすと、 >子どもを掴んだまま、ゆっくりと近づいてくる。自分目がけてもう片方の手が >振り下ろされる様子を、フィリシアは何の感情もなく見つめていた。 フィリシアさん。危ない! しっかりしてください。あなたの目の前には、重症の子供が 恐怖に怯えて、助けを求めている幼い子供がいるのです。 どうか、お願いです、どうか助けてあげてください。 > と、急に背後に引っ張られると同時に、「それ」が何かの衝撃を受けて >弾き飛ばされたのが見える。「それ」は咆哮と共に、積もった雪ごと地面を >抉って後へ倒れた。 >「何をぼーっとしているんです! あれでは、攻撃してくださいと言ってる >ようなものでしょう!?」 > その言葉と振り返った先にある相手の顔に、思考と感覚が急激に元に戻る。 >「……ご、ごめんなさい……」 > フィリシアがそう言うと、ゼロスは少し苦笑していたが、すぐに真面目な顔で >「それ」を睨みつけながら言う。何をしたのかは分からないが、それなりに >ダメージを受けたのか、「それ」は起き上がるのに苦労している。 ゼロスさん。流石は『獣神官』さんです。 怪物を見ても、まったく動揺していないのですね。 >「お礼は後にしてください。……あの子は可哀相ですが、一気に片づけますよ」 > 怖いくらい静かな声音で、一気に「それ」を──おそらく焼き尽くすような >呪文を使うつもりだと分かった。当然、子どもも死体すら残らないだろう。 >と、小さく、弱々しい呻き声がフィリシアの耳に届いた。 > ……まだ、生きている。 >「まって! あの子を助けなきゃ、そっちが先よ!」 >「無茶言わないでください! 第一、あれでは生半可な回復呪文では間に >合いませんよ」 ゼロスさんの判断通り、ここで倒しておいた方が良いのかも知れませんが・・・・・・・ 自分にも、小さな子供を犠牲にするような攻撃は、とても出来ないでしょうね。 >「生半可でなければ間に合うでしょう? あの子はまだ生きているわ! >まだ諦めてないっ! 今ならまだ、助けられます!」 >「……分かりました。援護してくれますか? まず『あれ』の腕を吹き飛ばし >ますので」 > 何故こうも見ず知らずの相手のために必死になれるのか、全く理解できないが、 >フィリシアの様子から、これはもう絶対に退かないどころか下手をすると >邪魔されると分かって、呆れつつゼロスは起き上がってきた「それ」の方を >向いて言う。その言葉にフィリシアはほっと息をつくと、同じようにそちら >を向いて答える。 >「身動きを取れなくすればいいですか?」 >「ええ、十分です」 >「分かりました。 > ……F' a dal loner abe locrh …… Carhpar!(カルパール)」 > フィリシアの呪文が「それ」の動きを止めたとき、同時に悲鳴と咆哮を >聞きつけた村の者たちが、何人か駆けつけて来た。が、まさかこんなわけの >分からないものがいるとは思わなかったのと、「それ」に捕まっている子どもの >状態に驚き、蒼白になって立ちつくしている。 >「……アルフッ!」 > 不意に悲鳴に近い女性の声がした。捕まっている子どもの母親らしい。 >顔色は真っ青だが、立ちつくすことなく、「それ」の方へ向かっていこうと >するのを、周囲の男達が必死で止めている。3人がかりで押さえられ、 >それでも尚、母親は、狂乱したように子どもの名前を泣き叫びながら、突き >進もうとする。 > 悲痛な声と思いが、その場にいる者の心を、締め付ける。 母の想い、とは本当に強いものなのですね。 この『国』には、我が子を虐待したり殺したり・・・・・何処からこんなにも歪んでしまったのでしょうか。 > バシュッ! > > ピグギギャガアアアアアアアアアアアッ! > > 誰が聞いてもダメージを受けた、と分かる鳴き声と同時に「それ」の── >子どもを掴んでいる──手が、弾け飛んだ。 > ゼロスは落下してくる子どもを抱きとめると、いつの間に取ってきたのか、 >先程引きちぎられた右腕も一緒に持って、フィリシアの元へ連れてくる。 >「はい、ご要望どおり。後は、貴女の仕事です」 あっさりと、片手を吹き飛ばす。 その実力。本当に凄いですね。ゼロスさんは。 >「……ありがとう……」 > ゼロスに礼を言うと、フィリシアはすぐに自分のマントを敷布代わりにし、 >渡された子どもを横たえる。ショック状態で、そして危険な状態だと誰が >見ても分かる。だが── > ……まだ生きている。まだ、間に合う。絶対に、助ける。 > 血の臭いと酷い状態に、目をそむけたくなるのを、泣きたくなるのを堪えて、 >フィリシアは自分に言い聞かせた。 >「アルフ! アルフ!」 > 子どもが助けられたのを見て、母親や村人達が駆けよってきた。 >「アルフ……こんな……酷い……。アルフ……助けて! お願いだから…… >この子を……」 > 助けられたとはいえ、我が子の酷い状態に、泣き叫びながら訊ね、懇願する >母親に、フィリシアは静かに、しかし、強いまなざしで答えた。 >「助けます」 フィリシアさん、どうかどうかお願いします。助けてあげてください。 生きていれば、辛いこと悲しいことがあります。でも、楽しいこと嬉しいこともあるんです。 この子は、まだ、もっと嬉しいこと楽しいことを、沢山経験できるハズなんです。助けてあげてください。 > フィリシアが子どもの治療をしている間、「それ」に対峙したゼロスは >困惑していた。 > ……何なんでしょうね、「これ」……。 > 多分、魔獣なのだとは思う。気配は確かに魔獣の類のものだ。だが、何か >が微妙に違う。かと言って、人間の魔道士等がよく行うような、合成された >ようなものとも、あきらかに違っている。魔獣も色々あるが、それなりに >知能と知性のある魔獣にしては、行動のレベルが低すぎるし、ほとんど動物 >に近いような、大した知能のない魔獣にしては……どこか、はっきりとした >自分の意志のようなものを、感じさせる。今もゼロスの攻撃をそれなりに >かわしながら、フィリシアのかけたカルパール(金縛り)の呪文を打ち破ろうと、 >もがいているくらいだ。 ゼロスさんにも正体不明、なのですか。 キメラでも無いのでしょうか。 まさか、異世界の存在、なのでしょうか。 > 正体が何であれ、はじめにフィリシアに言ったとおり、一気に燃やすなり >何なりして、片づけてしまいたかったが、こうも人が集まってきていると、 >何人か巻き込みかねないのでそれも難しい。ゼロスとしては巻き込んだところで >どうとも思わないが、人間の中に混じっている以上は、それは避けた方が無難だ。 > また、そうしようがものなら、フィリシアからこれ以上の同行は拒否される >だろうし、確実に嫌われる。それでは「仕事」にも支障がでるし、何より >フィリシアには、嫌われたら最後、のような気がして仕方がない。もっとも、 >その分、滅多に他人を嫌ったりはしないようだが。 > 人目を誤魔化しつつ、アストラルサイドを通じた空間からの攻撃を加えて、 >とどめを刺そうとした時だった。 > > クウウウウウウオオオオオオンンッ > > 何かに応えるような、そんな鳴き声と同時に、魔獣の姿が、かき消えた。 >「なっ……!?」 > 村の者たちは、単純にゼロスが怪物を倒したと思ったらしく、感嘆の声を >もらしているが、違う。 > ……誰かに呼び戻された……? どうやら、逃げられたようですね。 > ゼロスは軽く舌打ちし、魔獣の消えた場所を睨む。その表情は魔族の本質 >を現しているものだったが、誰1人、気づく者はいなかった。 消えた・・・・・・フィリシアさんの術を打ち破って・・・・・呼び戻された、ということは 操っていた方がいるのですね。 魔族の本質を現しているゼロスさん。TRYのOPの『あの』表情が近いでしょうか。 >「……Feri lanomhoth Samith a kiteri ryumule'r lo rairele'r ……」 > ゼロスが「それ」の相手をしている、その前で、静かに、フィリシアの口 >から神聖呪文が紡がれる。術をいくつか組み合わせているので、詠唱に多少 >時間がかかっているが、唱えると同時に、彼女の手から強い、しかし、暖かな >白い光が現れた。光は子どもの身体を優しく包み込む。冷たい冬の空気が、 >不思議とその周囲だけ暖かい。 > 母親と村の者が見守る中、引きちぎられた手が、みるみる元に戻っていく。 >痕跡すら分からないほど、跡形もなく。苦痛に歪み、血の気がなく白かった顔も >赤味が戻り、表情も穏やかなものに変わっていった。 >「ああ……アルフ……良かった……」 > 今度は喜びから涙を流し、子どもに抱きつかんばかりの母親を、フィリシアは >そっと押しとどめる。 >「まだ、治療が必要です。でも、もう生命は大丈夫ですから……。 > ……お子さんの手を握っていてあげてください」 > 言葉も出せずにうなづいた母親に、フィリシアは優しく微笑むと、再び、 >今度は通常の──それでも、高度なものだが──回復呪文をかけはじめた。 良かったです。助かって、手も元通りになって、本当に良かったです。 アルフちゃんが、一命を取り留めてくれて、本当に良かったです。 > ……啖呵をきるだけのことはありますね。確かに、生半可ではない。 > 魔獣に逃げられたことは不満だが、表面には出さずに、ゼロスはフィリシアが >子どもの治療をしている様子を見ながら、そう思った。 > 魔獣の相手をしながらも、それとなく様子を見ていたが、身体の修復と >怪我の治癒。そして意識がないとは言っても、痛みを封じながらの、 >治療呪文……。 > フィリシアが使っていたのは、どれも「生半可」ではない、高レベルの >回復呪文だ。しかも、いくら悠長に一つ一つ行う状況ではなかったと言っても、 >それらを全て1人で、同時に行ったのだから、さすがに驚いた。今使って >いるのも、先程のものとは違う、普通の回復呪文だが、それでもかなり >高レベルのものだ。 > ……どうがんばっても、「普通の」巫女と言うのは、無理がありますね。 > 普段、フィリシアが自分を「普通の」巫女だと言っているのを思い出し、 >ゼロスは肩をすくめた。 確かに、どう考えても『普通の巫女』さんに出来ることでは無いですね。 ゼロスさんにも、まだこの段階ではフィリシアさんの事は、良く分かっていないのでしょうか。 > しばらくすると、子どもは意識を取り戻した。何が起きたのか思いだし、 >泣き出す子どもを、母親がしっかりと抱きしめる。 >「……知らない子、いて……それで、そうしたら……急に……」 > 母親に抱きしめられている安心感からか、泣くだけ泣くと、子どもはしゃくり >上げながらも何があったのかを話しだした。当然だがショックもあるので >要領を得ない部分はあるが、どうやら「知らない子に遊びに誘われ、一緒に >遊んでいたら、急に化け物になった」ということらしい。 子供に化けていたのでしょうか。 それとも、子供の体を怪物が乗っ取ったのでしょうか。 外見が子供では、警戒も大変ですね。 今回は見知らぬ子供でしたが、もし村人の誰かに化けられていたら、大変なことになりそうですね。 >「あれ、何だったのかしら……?」 > マントを抱えて歩きながら、フィリシアが言う。はっきり言って寒そう >なのだが、血だらけなので羽織れないのだ。 >「多分、何かの魔獣だと思うんですけど……妙でしたね」 > 正直、ゼロスにも分からない。いくら高位魔族と言っても、さすがに全て >の魔獣を把握しているわけではないし、何より──ゼロスから見ても── >あんな魔獣は初めてだった。せいぜい気配から魔獣だと分かったにすぎない。 魔獣、ゼロスさんの仲間に魔獣のことについて詳しい方とかがいてくだされば 良いのですが、まさか、魔族絡みなのでしょうか。 >「魔獣って……。どうしてそんなのがここに……」 >「普通は、魔獣の類が人間の住む場所の近くになんて、生息していない >はずです。ただ……」 >「ただ?」 > 言葉を途切れさせると同時に立ち止まったゼロスを、フィリシアの赤紫色 >の瞳が、不思議そうに見上げる。 >「村の人達には話していませんが、確認を取りたいのでフィリシアさんには >話しておきます。 > 僕はあの魔獣を倒していません。とどめを刺そうとしたら、逃げられました」 >「……逃げられましたって……待って! 私のカルパールの呪文、解いても >いないし、破られてもいないわ。それなのに、どうやって逃げたの?」 > カルパール(金縛り)の呪文は、術者本人以外が解こうと思ったら、術者 >以上の力で干渉するか、術者にダメージを与えるかする以外では、かけられた側が >術を打ち破るしかない。しかし、打ち破ったとしても、心身共に受ける >ダメージが大きいので、とてもすぐに身動きなどできない。また、いくら >治療呪文に専念していたと言っても、術が解かれればフィリシアは気が >ついたはずだ。 >「フィリシアさんが術を解かれたと思っていないのでしたら、魔獣は術を打ち >破っていません。でも、これではっきりしました。 > あの魔獣は誰かの支配下にあります。召還者がいて、呼び戻したのでしょう。 >おそらく、カルパールの効果範囲外でしょうから、術は自然に解けたはずです」 > それなら、術の効果が消えても、フィリシアが不審を感じるはずがない。 召還者は、何の目的で、あの魔獣を使い、この村を襲っているのでしょうか。 村人も知らない、お宝があるのでしょうか。 >「それじゃ……これからも、あの魔獣がこの村に現れる可能性があるって >こと……?」 >「五分五分ですね。かなり深手を負わせましたから、もしかしたらこれで >おしまい、の可能性もあります。でも、あの魔獣が強力な回復力を持って >いたら……すぐにではないと思いますが、再び現れるでしょうね。どうも >あの魔獣は、ここに住み着いているみたいですし」 >「……どうして分かるの?」 >「コルプトさんが、家畜が襲われていると言っていたでしょう? フィリシアさん >に会う前、たまたま襲われた家畜小屋を見たんですけれど……あれ、野生動物の >仕業じゃありません。爪痕が微妙に違いますから。……さっきのものなら >納得いきますよ。定期的に襲われているようですし、召還した後、そのまま >この村のどこかで飼っているのかもしれないですね」 ちょ・・・・・ちょっと待ってください。ゼロスさん。 この村のどこかで飼っているのかも・・・・・・って、それって、この村の人が 同じ村の人を襲わせている・・・・・って、事ですか。 だとしたら、召還の方法とかも謎ですが、『動機』は、怨恨ということでしょうか。 > その言葉を聞いて、フィリシアは難しい顔で押し黙る。黙っていたことを >怒るのかと思っていたゼロスは、そうでもない様子が不思議だった。 >「聞かないんですか。何故、村の人達には話さなかったのかって」 >「言わないのがいいとは思わないけれど、話したら、パニックが起きかね >ないのは確かだもの。それに、逃げられたことを責められるだけ……。 >それぐらいは分かるわ」 >「フィリシアさんは責めないんですね」 >「責めてどうするの? あなたでも逃げられるようなものを、他の誰かに >どうにかできるわけないのに」 > その答えに、ゼロスは苦笑する。そういう部分は評価してくれているらしい。 たしかに、ど〜して逃がした、とか、責任を取ってくれ、とか。無茶なことを言われそうですね。 ゼロスさんの攻撃とフィリシアさんの術を振り切るホドの相手。何者でしょうか。 >「では、どうしてそんなに難しい顔をしているんです?」 >「どうしたらいいのかって、考えているの。このままってわけにはいかない >でしょう」 >「でも、今度のことは召還者が見つからないと終わりませんよ。魔獣だけ >倒しても、また召還されるだけですから。それに、僕が召還者の立場なら、 >厄介な相手がいなくなるまで、動こうとは思いませんね。相手が村の者では >ないと分かっているんですから、そうします。 > いつ現れるか分からない魔獣とその召還者が出てくるまで、長居するわけ >にもいかないでしょう? ある程度の事を話して、注意を促すくらいしか >できないと思いますけど」 > ゼロスの言っていることはもっともなので、フィリシアには真っ向から >言葉を返すことができない。だが、先程のような目にあう者が出てくるかも >しれないと思うと、どうにもできないことは、もどかしくて苦しい。 >「どうにかして、おびきよせられたらいいのだけど……」 >「結構、めげませんねぇ……」 > 沈んでいるかと思えば、不意にそう言い出したりするフィリシアに、 >ゼロスは苦笑した。 ゼロスさん、冷静で的確な状況判断ですね。 召還者の方にタイムリミットが無いとしたら、ゼロスさん達が村を出て行くまで待てば良いのですね。 フィリシアさんは前向きな方ですね。 >X.はい、ご苦労様でした。 >F.お疲れさまです。(深々と頭を下げる)しかも、今回のは……結構キツイ > と思いますし。 >X.そーですか? それ言ったら5話もかなりキツイでしょう? >F.5話は単に私が精神的にキツイだけです。筆者Eは子どもが酷い目に > あうのは嫌いなんです。その割に書いてますが。 子供には、いつも笑っていて欲しいですね。 自分も同じです。子供は世界の宝。 子供のいない世界に未来はありませんものね。 >X.あと今回のポイントは……神聖呪文(笑)ですね。あの文章に書かれた > とおりに発音しようとしても、絶対できません。特殊な発音なので。 >F.あれは実はアーヴ語です。母音だけでも8つくらいありますし、子音の > 変化も激しいですから。アルファベット表記で出ない文字も無理やり > アルファベットで表記したので、あのままでは絶対に発音できません。 >X.単語の変換も文法も全然駄目ですしね。本気で研究している方には > 怒られそうですね。 >F.単語のアーヴ語変換は楽しかったそうです。ただ文法や人称変化が、 > まだイマイチよく分からないとか。「アーヴ語習いたての者が、とりあえず > がんばって書いてみたらしい」と思っていただけると幸いです。 >X.でも……基本は日本語ですよ。アーヴ語って……。 初めて知りました。 面白いですね。 >F.とりあえず、読んでいただいてありがとうございました。 >X.では、今回はこの辺で失礼します。近いうちに4話でお会いしましょう。 ハラハラドキドキと読ませて頂きました。 あの魔獣の正体は。 召還者とは、何者なのか(もしかしたら・・・・・もう出て来ていたりしますか?) 召還者の目的は。 エモーションさんのお話は、切なくて、とても素晴らしいので 毎回読ませて頂けるのを、とても楽しみにしております。 すいません、あまり感想の書き込み、出来ていないです。ごめんなさい。 もうすぐ、今年が終わりますね。 今年は、いろいろとお世話になりました。 来年も、よろしくお願い致します。 毎日寒いですね、風邪も流行っているようですので。 お体にお気を付けて、お元気で。 では、良いお年を。 来年がエモーションさんにとり、良い年でありますように。 では、失礼します。 |
24141 | Re:魔獣、登場ですね。 | エモーション E-mail | 2002/12/31 00:08:07 |
記事番号24111へのコメント こんばんは。 コメントありがとうございます。m(__)m >続きをお待ちしておりました。 >すいません。やっと感想の書き込みをさせて頂きました。 >遅くなってしまいまして、本当に申し訳ありませんでした。 ありがとうございます。そう言って頂けて嬉しいです。 >>『たすけたい、そう思うから。 >> それだけでは、答えにならないだろうか?』 >> ──引用文:一条理希.作 >> 「ネットワーク・フォックス・ハンティング」より── > >良い台詞ですね。 >どんな場面での御言葉なのか、いろいろと想像してしまいました。 この話は地震で崩れた高層ビルに閉じこめられた少年(病気で言葉を話せない)を、 ネットの書き込みだけでどこにいるのか、捜す話なんです。 当然、ネットで見ているだけの人からは悪戯と思われることもあるわけで……。 悪戯と思われたばかりか「面白いから悪戯でも事実でもどうでもいい」と いう無神経な書き込みを見て、自暴自棄になって「何故自分を助けようと するのか?」と書き込んだ少年の問いに対し、現場で捜している青年が 書いたのがこの言葉です。 人を助けようとする理由に、これ以上の理由は必要ないのでしょうね。 >村の家畜を襲っていた怪物ですね。 >ついに人を、それもよりによって、幼い子供を襲うようになりましたか。 >リザードマンのような怪物なのでしょうか。 基本は爬虫類系です。半人間形態になったのは……バグみたいなものです。 >フィリシアさん。危ない! >しっかりしてください。あなたの目の前には、重症の子供が >恐怖に怯えて、助けを求めている幼い子供がいるのです。 >どうか、お願いです、どうか助けてあげてください。 さすがにこの時のフィリシアは、この手の経験は初体験ですから、思考が 停止しちゃいました。今回の話は色々な意味で経験値の不足から、フィリシアが じたばたするような面を結構出してます。 >ゼロスさんの判断通り、ここで倒しておいた方が良いのかも知れませんが・・・・・・・ >自分にも、小さな子供を犠牲にするような攻撃は、とても出来ないでしょうね。 すんなり出きる人はあまりいないでしょう。これはゼロスだからすんなり そう判断しちゃうんですよね。(でも、それを書いている私は何者?(汗)) >母の想い、とは本当に強いものなのですね。 >この『国』には、我が子を虐待したり殺したり・・・・・何処からこんなにも歪んでしまったのでしょうか。 基本的に母親は子どもが絡むと、良くも悪くも最強の存在だと思います。 虐待等をしている方々は、余程追いつめられている方か、本当の意味では 「親」ではないか、「子どもは本来、親の思い通りにならないのが当たり前だ」 という認識が根本的に理解できていないのだと思います。 >ゼロスさんにも正体不明、なのですか。 >キメラでも無いのでしょうか。 >まさか、異世界の存在、なのでしょうか。 異界ではないです。さすがにそちら(主にラヴクラフト方面)の知識は 基礎知識程度なので。 >消えた・・・・・・フィリシアさんの術を打ち破って・・・・・呼び戻された、ということは >操っていた方がいるのですね。 > >魔族の本質を現しているゼロスさん。TRYのOPの『あの』表情が近いでしょうか。 イメージは8話のヴァルガーヴに逃げられた時のです。(たいして変わらないかな) >確かに、どう考えても『普通の巫女』さんに出来ることでは無いですね。 >ゼロスさんにも、まだこの段階ではフィリシアさんの事は、良く分かっていないのでしょうか。 まだよく分からない頃の話です。正体が分かるのはずっと後になってからですので。 >子供に化けていたのでしょうか。 >それとも、子供の体を怪物が乗っ取ったのでしょうか。 >外見が子供では、警戒も大変ですね。 >今回は見知らぬ子供でしたが、もし村人の誰かに化けられていたら、大変なことになりそうですね。 これは「子どもに化けていた」……です。 >魔獣、ゼロスさんの仲間に魔獣のことについて詳しい方とかがいてくだされば >良いのですが、まさか、魔族絡みなのでしょうか。 ゼロスは分からないのが気に入らないので、調べます。プライドにかけて(苦笑) >たしかに、ど〜して逃がした、とか、責任を取ってくれ、とか。無茶なことを言われそうですね。 >ゼロスさんの攻撃とフィリシアさんの術を振り切るホドの相手。何者でしょうか。 ただ者じゃないのは確かですが、逃げ切れた理由の中には、ゼロスもフィリシアも 魔獣相手に全力を出せなかったこともあります。ゼロスは状況的にどうしても 力をセーブしなきゃいけませんでしたし、フィリシアは治療の方に集中して いましたから、「金縛り」の方は普段より制御が甘くなってました。 >子供には、いつも笑っていて欲しいですね。 >自分も同じです。子供は世界の宝。 >子供のいない世界に未来はありませんものね。 過保護にしたり、守るの方向性を間違えてたりしたら問題だけど、 子どもにはやっぱり笑っていてほしいです。(^.^) >ハラハラドキドキと読ませて頂きました。 >あの魔獣の正体は。 >召還者とは、何者なのか(もしかしたら・・・・・もう出て来ていたりしますか?) >召還者の目的は。 ありがたいお言葉を(ほろほろ) 本当の意味での召還者(仮名)は出てないです。 >エモーションさんのお話は、切なくて、とても素晴らしいので >毎回読ませて頂けるのを、とても楽しみにしております。 >すいません、あまり感想の書き込み、出来ていないです。ごめんなさい。 いえ、素晴らしい感想をありがとうございます。m(__)m ただ、自分では今回のは少し後味悪いかもしれないと思ってますが……。 >もうすぐ、今年が終わりますね。 >今年は、いろいろとお世話になりました。 >来年も、よろしくお願い致します。 > >毎日寒いですね、風邪も流行っているようですので。 >お体にお気を付けて、お元気で。 > >では、良いお年を。 >来年がエモーションさんにとり、良い年でありますように。 こちらもいろいろとお世話になりました。 お互いに良い年になりますように。 >では、失礼します。 ありがとうございました。 |
24240 | 使えない呪文〜Mistletoe 3 4話 | エモーション E-mail | 2003/1/3 23:44:14 |
記事番号24076へのコメント はい、年を越しました。 喪中につき、新年のご挨拶は失礼させていただきますが、 旧年中はお世話になりました。今年もよろしくお願いいたします。m(__)m そして、年越したこのお話、やっと4話です。 新年早々、鬱々した話ですが(……4〜6話はそんな感じです)、 読んでいただければ幸いです。 ∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴ 『この世には不思議なことなど何もないのです。あるべきものしかないし、 起こるべきことしか起こらないのです』 ──引用文:京極夏彦.作「姑獲鳥の夏」より── 「使えない呪文〜Mistletoe 3」 4. すでに雪がやんで2日経つというのに、フィリシアもゼロスも、村から 出られないでいた。理由は……とても単純である。 「もう、並んでいる方がいましたよ」 部屋を出たとき、同じように隣の部屋から出てきたゼロスが、どこか呆れたように そう言う。さすがに2日前の行列に比べれば減ったが、それでも朝早くから 並んでいる人がいるのには、フィリシアもため息をつくしかない。 「……治療するのは構わないけれど……何も並ばなくても……」 治療の必要な者はともかく、並んでいる者の中には単なる見物人も多い。 わざわざ見物しに来る理由が、フィリシアには理解できない。 「医者も神官もいない村ですからね。それに、どうやらあの子を生きかえらせたと 思われているようですし。 まあ、僕だって助けられるとは思ってなかったんですから、3日前 フィリシアさんがしたことは、奇跡に見えても仕方がないですよ」 フィリシアは困惑しているが、ゼロスから見ればそれは無理もないだろう としか言い様がない。この村には薬師はいるが、医者はいない。隣村に住んでいる 医者が、この辺りで一番近いのだという。さらに言えば、教会もなく神官なども いない。 だから、たまに旅の神官や回復呪文の使える魔道士などが宿に泊まったと 知ると、同じように村人がやってくるのだとコルプトから聞いていた。さすがに 行列ができたのは初めてらしいが、どうやら3日前のことを、その場にいた者たちが ──無理もないが──ご丁寧に触れまわったらしい。また、フィリシアが 綺麗な娘だという事が、余計に拍車をかけている。 「神秘的な力で奇跡を起こした綺麗な巫女がいる」……こんな話を聞いたら、 病人や怪我人以外に、単なる見物人も来るのは当たり前だ。 「……奇跡って……あれは治療呪文なのに」 「彼らにとっては似たようなものですよ。ついでに言えば、ほとんど『生き神様』 みたいに思われてますね。さっき窓から見たとき、フィリシアさんの部屋の方に 向かって、拝んでいる方がいましたよ」 その言葉に、フィリシアは深くため息をついて呟く。 「……『生き神様』って……」 ……同じだわ。神殿にいたときと。 相手に悪気など欠片もなく、むしろ純粋さ素朴さからくる行動なのはよく 分かる。だが、拝まれたところで、ただの──ほんの少し違っているかも しれないが──人間でしかないのだから、自分にできることなどたかがしれている。 相手が純粋で素朴であればあるほど、フィリシアには縋ってくる相手を振り 払えない。けれど、むけられた思いに見合ったものなど、何一つ返せない、 何の力もない自分を、嫌と言うほど思い知らされる。 「……奇跡なんて起こるわけないのに……。そんなの、起こるはずないの だから……」 鬱々とした口調でそう呟きながらドアに懐いているフィリシアに、ゼロス は半ば驚いて目を丸くする。ゼロスからすれば全くその通りだが、普通、神に 仕える巫女の言う言葉じゃないだろう。他人事ながら、元々いた神殿で何か あったのだろうかと詮索したくなる。 「まあ、それはともかく、もう治療の必要な人は少なくなっているはずですから、 適当なところで切り上げても大丈夫でしょう。単なる見物人はフィリシアさんが にっこり笑っていれば、勝手に騙されて満足します。少し、気にしすぎじゃ ないですか?」 「……騙されてって……。でも、そうね。ありがとう」 苦笑したようなゼロスの言葉で、確かに、気にしすぎかもしれないと思い、 フィリシアはくすりと笑った。 とりあえず、昼ぐらいまでに治療の類を終わらせて、フィリシアは村の中 を歩き回っていた。回った場所は村はずればかり、次に回るところで五ヶ所目。 これで最後。見えてきた目的の場所には、おあつらえ向きに一本の木が立っていた。 それなりに大きな、樫の木だ。 フィリシアが手にしているのは、ここでは珍しくもないミスルトゥ。即席 で作ったものでサイズもそれほど大きくないが、他のものと決定的に違いが あるとすれば実の部分に、簡単な呪符を焼き付けていることだろうか。 「こんなところで、何をしているんです?」 適当な枝にミスルトゥをつけていると、後からどこか呆れたようなゼロス の声がする。ゼロスならそれぐらい当然なのだが、本当に神出鬼没だと感心 してしまう。 「鳴かない『ホトトギス』を鳴かせようと思って」 ミスルトゥをつけ終わり、振り向いてそう答えるフィリシアに、ゼロスは 一瞬感心したような面持ちになり、次いで少しだけ笑んで言う。 「なるほど……。確かに、あれを『ホトトギス』と呼ぶのはぴったりかも しれません」 「それはどういう意味ですか?」 フィリシアが「ホトトギス」と言ったのは、単に昔の故事からの比喩だ。 だが、ゼロスはその故事とは違う理由で「ホトトギス」に例えた。理由を 訊ねるフィリシアに、ゼロスはにっこりと笑って、だが、確信があるのだろう。 はっきりとした口調で答える。 「そのままの意味ですよ。いえ、『ホトトギス』よりは『カッコウ』の方が 分かりやすいかもしれませんね。 ここ2日ほど、フィリシアさんはお忙しかったけれど、僕は暇でしたからね。 個人的にもあれが何か気になりましたし、調べてみたんです。そうしたら、 微妙に違う点はありますけど、まず間違いないものが分かりました」 「……教えていただけますか? 『カッコウ』のことを」 フィリシアはそう言って微笑んだ。だが普段ならもう少しくだけた言い方 をするのに、言葉遣いが丁寧になっている。相当真剣なのだと、それだけで 分かる。 「いいですよ。でも……十分なヒントなんですよ? 『カッコウ』は」 トン、トン。 小さく、本当に控えめにドアをノックする音がした。 「……どなたですか?」 すでに誰もが寝静まっている時間だったが、フィリシアは割合すんなりと 目が覚めた。もともとこういった事には敏感なので、すぐに目が覚めてしまう方だ。 むしろゼロスと初めて会ったときのような、熟睡状態の方がとても珍しく 滅多にない。……それだけにあの件は一生の不覚としか言い様がないのだが。 「ポーラです。すみません、こんな時間に。しかもお起こししてしまって。 ですけれど、どうしてもお願いしたいことがあるんです」 小さく抑えられてはいても、どこか切羽詰まったような声だった。夜着の 上に軽く上着を羽織り、ドアを開けるとポーラが思い詰めた様子で立っていた。 どこか顔色が悪い。 「どうかなさったのですか?」 訊ねるフィリシアに、ポーラは俯き加減で答える。 「申し訳ないのですけれど、今から私と外へ行っていただけませんか? ここでは、ご説明できませんので……。 不審に思われるでしょうけれど、どうしても……」 そんなポーラを少しの間見つめてから、フィリシアは了承すると着替える 時間をもらった。用意を調えて、少し考えてからパピルスを取り出す。手早く 文字を書くとゼロスの部屋のドアに挟んだ。 一歩手前とは言え、満月に近い月が出ているからだろう。文字通り草木も 眠る……といった風情の深夜なのに、たいした灯りがなくても周囲が分かる。 目的の場所へ行く間、ポーラは何も話さず、押し黙ったままだったし、 フィリシアもあえて何も聞かなかった。 そして、着いた場所はフィリシアが一番、そこでなければいいと思って いた場所だった。 伝説の王子を祀った社に着くと、ポーラはキャンドルを灯して社の前に置く。 そうしてから、やっと口を開いた。顔色は、やはり悪いままだ。 「本当にすみません、こんな時間に。でも、急がなくてはならなかったので……」 「それは構いませんけれど……何故、ここに……?」 ポーラが部屋を訪ねてきたとき、半分、確信していた。けれどそれ以上に 否定したくて、違っていてほしかったから……ついてきた。確定してしまった 今でも訊ねてしまうのは、事実を認めたくないフィリシア自身の往生際の悪さだ。 それは、自分でも自覚している。 「本当は別の場所で育てていたんです。なるべく、人目にさらさない方がよいと 言われましたから。でも……午後から急にここ以外には行きたがらなくなって……。 助けてほしいんです、あの子を……私の子どもを」 この期に及んでも聞きたくなかった、決定的な言葉。間違いでもない。 否定することもできない。彼女が……「ウグイス」……。 昼間、フィリシアは村を囲むように五房星結界を張った。住み着いている 「カッコウ」が、わざと結界から外したこの社にしか、行きたがらないのは 当然だ。 「……ポーラさん……。あなたのお子さんは……」 「ええ。2年前に亡くなりましたわ」 悲痛な面持ちのフィリシアに対し、ポーラは淡々と答える。まるで、言いたい ことは分かっていると言わんばかりに。 「でもね……この間お話した『伝説』のことを、覚えていらっしゃいます?」 「ええ。覚えています」 「あの時、私は言いましたわ。伝説の王子が甦ったのは、限られた人だけが 使える呪文のおかげかもしれない……って。 呪文を使ったわけではないけれど、それと同じ事が起きたんです」 「それは有り得ません」 きっぱりと、フィリシアは答える。それは、けして有り得ないことだから。 「伝説に関して言えば……伝説となって残っているのですから、元になる 出来事があっても不思議ではないでしょう。ですが、事実を含んでいても、 事実そのものとは限りません。 話が広まっていく内に、そして世代が変わっていくうちに、どうしても 変化していきます。意図的にしろそうでないにしろ、都合の悪い事実は自然 に隠されますし、人々の願望が加わって、起きていない事が起きたように 伝わってしまう……。 伝説には、そういう側面があります。伝説の王子は、本当は重傷を負っていた だけで、別に亡くなってなどいなかったのかもしれません」 今のポーラには何を言っても無駄だろう。だが、分かっていても必死で そう訴えるしかないフィリシアを全く気にせずに、月明かりの中、どこまでも どこまでも穏やかにポーラは呟く。 「そうですか……? でも、私にはそれはどうでも良いことです。伝説が 事実かどうか、王子が本当に甦ったのかどうかなんて……どうでも良いんです。 だって、私にとって重要なのは、伝説とは少し違うけれど、伝説と同じように あの子が甦って、私の所に戻ってきてくれたこと……。有り得ないと言われても、 それが事実ですから」 「……それが事実なら……何故、お子さんを家へ連れて帰らないのですか。 本当にポーラさんのお子さんが……ティル君が甦ったのなら、人目に隠して 育てる必要なんてないはずです」 「ウグイス」は「カッコウ」を疑いはしない。だが、分かっていても、 言わずにはいられなかった。 「まだ完全じゃないんですって。それに今、酷い怪我をして弱っているんです。 フィリシアさんにお願いしたかったのは、そのことなんです。 今のままでは、あの子は完全にはなれない。完全になるには、フィリシアさんの 使えるあの呪文がどうしても必要なんです。 人を甦らせる……奇跡を起こす、あの呪文が」 そう懇願するポーラは、誰が見ても子どものために必死になっている母親 の顔だった。 『カッコウの……まあ、ホトトギスも同じですけどね。その習性は ご存じでしょう?』 胸が締め付けられるような思いで立ちつくすフィリシアの脳裏に、昼間の ゼロスの言葉が響いた。 ∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴ X.……ということで、新年早々こーゆー内容です。フィリシアも鬱々して ますしね。 F.当時はあの方面については、ストレス溜まってましたから。自分に出来る ことをするしかない、と分かっていてもキツイです。 それと1・2話で比較的普通だったポーラさんが、半分壊れて、ちょっと ボーダーっぽい状態……というよりボーダーからはみ出し始めた感じ ですよね。 X.また補足しますと、彼女は「カッコウ」が絡んだ状態だとああなります。 でも、編み物は「カッコウ」が絡むより前からの行動なので、別に 「カッコウ」がいるから編んでいたわけじゃないです。 F.普段は本当に「普通」。私たちが見ていたのはその状態のポーラさんで、 演技でも何でもないんです。だから間違いであってほしかったのですが……。 X.……というか、ポーラさん……何かすごく複雑なキャラになってますが……。 F.どうしてでしょうねぇ……(遠い目)最初は単純だったのに、という 筆者Eの叫びが聞こえてきます……。 X.最後に、冒頭の引用文は京極夏彦氏の「妖怪シリーズ」の有名な一文です。 シリーズ一作目の「姑獲鳥の夏」と、テーマが微妙にリンクしている のが……(苦笑) F.そのつもりはなかったのですけど……。 それでは、今回も読んでいただいてありがとうございました。 X.では、続きでお会いすることを願って、この辺で失礼します。 |
24244 | あうっ(汗)、切ないです。 | 猫楽者 E-mail | 2003/1/4 02:22:58 |
記事番号24240へのコメント こんにちは、エモーションさん。 お元気ですか、猫楽者です。 続き♪お待ちしておりました。 >旧年中はお世話になりました。今年もよろしくお願いいたします。m(__)m こちらこそ昨年は大変お世話になりました。 本年もよろしくお願いいたします。 >『この世には不思議なことなど何もないのです。あるべきものしかないし、 >起こるべきことしか起こらないのです』 > ──引用文:京極夏彦.作「姑獲鳥の夏」より── 例え、どんなことが起こっても・・・・・それは起こるべきことだった・・・・・としたら・・・・ そして、その考えを、もう一歩進めてみると(考え方が間違っているかも知れませんが) もし全ての出来事が、いつどこで起こるのか決められているのだとしたら・・・・・ どんなに頑張っても、何をどうしても未来は決められたまま変わらないのでは・・・・・なんか悲しいですね。 すいません。エモーションさんへの感想に変な事を書いてしまって(汗) > だから、たまに旅の神官や回復呪文の使える魔道士などが宿に泊まったと >知ると、同じように村人がやってくるのだとコルプトから聞いていた。さすがに >行列ができたのは初めてらしいが、どうやら3日前のことを、その場にいた者たちが >──無理もないが──ご丁寧に触れまわったらしい。また、フィリシアが >綺麗な娘だという事が、余計に拍車をかけている。 > 「神秘的な力で奇跡を起こした綺麗な巫女がいる」……こんな話を聞いたら、 >病人や怪我人以外に、単なる見物人も来るのは当たり前だ。 フィリシアさんがアルフちゃんを治療したことを、村の人たちは生き返らせた、と思っているのですね。 奇跡を起こした綺麗な巫女様・・・・・確かに沢山の方々が会い来ると思います。 > その言葉に、フィリシアは深くため息をついて呟く。 >「……『生き神様』って……」 > ……同じだわ。神殿にいたときと。 > 相手に悪気など欠片もなく、むしろ純粋さ素朴さからくる行動なのはよく >分かる。だが、拝まれたところで、ただの──ほんの少し違っているかも >しれないが──人間でしかないのだから、自分にできることなどたかがしれている。 > 相手が純粋で素朴であればあるほど、フィリシアには縋ってくる相手を振り >払えない。けれど、むけられた思いに見合ったものなど、何一つ返せない、 >何の力もない自分を、嫌と言うほど思い知らされる。 フィリシアさん。それでも普通に暮らす方々に比べて、貴方は沢山のことが出来るのだと思います。 フィリシアさんは優しいのですね。 例え『神』であっても、願われたことの全てを叶えることは、出来ないのでは。 願いが叶わなかった、としても、フィリシアさんの責任では無いと思います。 >「……奇跡なんて起こるわけないのに……。そんなの、起こるはずないの >だから……」 > 鬱々とした口調でそう呟きながらドアに懐いているフィリシアに、ゼロス >は半ば驚いて目を丸くする。ゼロスからすれば全くその通りだが、普通、神に >仕える巫女の言う言葉じゃないだろう。他人事ながら、元々いた神殿で何か >あったのだろうかと詮索したくなる。 確かに、普通は・・・・その台詞は・・・巫女さんからは出てこないですよね。 それだけ・・・フィリシアさんの今までの暮らしで、辛いこと悲しいことが沢山あったのでしょうか。 神殿での特別の地位・・・・その為に普通に接してくれる方が居なかった・・・・ とても寂しかったのでしょうね。 >「まあ、それはともかく、もう治療の必要な人は少なくなっているはずですから、 >適当なところで切り上げても大丈夫でしょう。単なる見物人はフィリシアさんが >にっこり笑っていれば、勝手に騙されて満足します。少し、気にしすぎじゃ >ないですか?」 >「……騙されてって……。でも、そうね。ありがとう」 > 苦笑したようなゼロスの言葉で、確かに、気にしすぎかもしれないと思い、 >フィリシアはくすりと笑った。 ゼロスさんのお陰で、フィリシアさんの気持ちが、ほんの少し軽くなったようで良かったです。 過去は、過去でしか無いのですから 自由な今の暮らしを充分楽しんで、幸せになっててくれると良いですね。 >「鳴かない『ホトトギス』を鳴かせようと思って」 フィリシアさんは、対魔獣用に何か仕掛けをしていたのですね。 あの魔獣を倒さないと、また村の方が襲われるかも知れませんね。 >「そのままの意味ですよ。いえ、『ホトトギス』よりは『カッコウ』の方が >分かりやすいかもしれませんね。 > ここ2日ほど、フィリシアさんはお忙しかったけれど、僕は暇でしたからね。 >個人的にもあれが何か気になりましたし、調べてみたんです。そうしたら、 >微妙に違う点はありますけど、まず間違いないものが分かりました」 ゼロスさんは魔獣の正体を調査していたのですね。 カッコウ』という呼び名・・確か・・・『カッコウ』には・・・・あの習性があったかと(汗) > すでに誰もが寝静まっている時間だったが、フィリシアは割合すんなりと >目が覚めた。もともとこういった事には敏感なので、すぐに目が覚めてしまう方だ。 >むしろゼロスと初めて会ったときのような、熟睡状態の方がとても珍しく >滅多にない。……それだけにあの件は一生の不覚としか言い様がないのだが。 あの森の中での、ゼロスさんとの出会いですね(笑) あの時は、手遅れになる前に眼が覚めて、本当に良かったですね。 >「本当は別の場所で育てていたんです。なるべく、人目にさらさない方がよいと >言われましたから。でも……午後から急にここ以外には行きたがらなくなって……。 > 助けてほしいんです、あの子を……私の子どもを」 > この期に及んでも聞きたくなかった、決定的な言葉。間違いでもない。 >否定することもできない。彼女が……「ウグイス」……。 あうっ(汗) ポーラさんが魔獣を・・・・・。 魔獣のことを・・・・私の子供・・・と言っていますが・・・・・。 > 今のポーラには何を言っても無駄だろう。だが、分かっていても必死で >そう訴えるしかないフィリシアを全く気にせずに、月明かりの中、どこまでも >どこまでも穏やかにポーラは呟く。 >「そうですか……? でも、私にはそれはどうでも良いことです。伝説が >事実かどうか、王子が本当に甦ったのかどうかなんて……どうでも良いんです。 > だって、私にとって重要なのは、伝説とは少し違うけれど、伝説と同じように >あの子が甦って、私の所に戻ってきてくれたこと……。有り得ないと言われても、 >それが事実ですから」 我が子が・・・・・死んでしまったら・・・・・どんなにか悲しいでしょう。 そして・・・・絶対に有り得ないと・・・・分かっていても・・・・子供が生き返ってくれないかと・・・・ 願ってしまいます・・・・もし生き返ってくれたら・・・・・自分も・・・ポーラさんと同じように 子供の望む通りのことをするかも・・・・知れませんね。 >「……それが事実なら……何故、お子さんを家へ連れて帰らないのですか。 >本当にポーラさんのお子さんが……ティル君が甦ったのなら、人目に隠して >育てる必要なんてないはずです」 > > 「ウグイス」は「カッコウ」を疑いはしない。だが、分かっていても、 >言わずにはいられなかった。 子供と同じ姿をしたものが、『ただいま』、と言いながら帰ってきたら・・・ 生き返ってきてくれた、自分達の所へ帰ってきてくれた・・・・と、信じたくなってしまいます。 >「まだ完全じゃないんですって。それに今、酷い怪我をして弱っているんです。 >フィリシアさんにお願いしたかったのは、そのことなんです。 > 今のままでは、あの子は完全にはなれない。完全になるには、フィリシアさんの >使えるあの呪文がどうしても必要なんです。 > 人を甦らせる……奇跡を起こす、あの呪文が」 > そう懇願するポーラは、誰が見ても子どものために必死になっている母親 >の顔だった。 > > 『カッコウの……まあ、ホトトギスも同じですけどね。その習性は >ご存じでしょう?』 > > 胸が締め付けられるような思いで立ちつくすフィリシアの脳裏に、昼間の >ゼロスの言葉が響いた。 フィリシアさん。残念ながら今のポーラさんには、何を言っても届かないと思います。 親は、子供の健康と幸せを願っています。 子供が健康で、幸せそうに笑ってくれることが、親にとっては何よりも幸せなこと・・・・・なのですが・・ ポーラさんが、お子さんことを思う気持ちが・・・・とても良く伝わってくる・・・・だけに・・・ とても・・・・・切ないですね・・・・・・・・・・。 >X.また補足しますと、彼女は「カッコウ」が絡んだ状態だとああなります。 > でも、編み物は「カッコウ」が絡むより前からの行動なので、別に > 「カッコウ」がいるから編んでいたわけじゃないです。 >F.普段は本当に「普通」。私たちが見ていたのはその状態のポーラさんで、 > 演技でも何でもないんです。だから間違いであってほしかったのですが……。 >X.……というか、ポーラさん……何かすごく複雑なキャラになってますが……。 >F.どうしてでしょうねぇ……(遠い目)最初は単純だったのに、という 魔獣をポーラさんの目の前で倒すことによって、ポーラさんの心が開放されると良いのですが もしかしたら・・・・ポーラさん・・・・精神的に死んでしまうかも知れませんね。 ゼロスさん、魔獣がここに居ます〜。 早く合流してください。 親としての気持ち・・・・・それを魔獣は利用しているのですね。 こ・ん・な・こ・と・をする魔獣の正体とは、何なのか。 魔獣も生きる為に、こ〜いうことをしているのかも知れませんが もし、流行り病で亡くなったティルさんの死にまで、魔獣が係わっているのでしょうか。 > それでは、今回も読んでいただいてありがとうございました。 >X.では、続きでお会いすることを願って、この辺で失礼します。 はい、切ないお話ですね。 魔獣の子供を、我が子だと信じて懸命に育て救おうとしている・・・・・ポーラさん。 つ・・・・続きを読ませて頂けるのを、楽しみにお待ちしております。 年が明けて一段と寒くなったような気がします。 お体にお気を付けて、お元気で。 では、失礼します。 |
24258 | Re:あうっ(汗)、切ないです。 | エモーション E-mail | 2003/1/4 22:14:42 |
記事番号24244へのコメント >こんにちは、エモーションさん。 >お元気ですか、猫楽者です。 こんばんは。いつもコメントありがとうございます。 >続き♪お待ちしておりました。 ああ、ありがたいお言葉を……(ほろほろ) >>『この世には不思議なことなど何もないのです。あるべきものしかないし、 >>起こるべきことしか起こらないのです』 >> ──引用文:京極夏彦.作「姑獲鳥の夏」より── > >例え、どんなことが起こっても・・・・・それは起こるべきことだった・・・・・としたら・・・・ >そして、その考えを、もう一歩進めてみると(考え方が間違っているかも知れませんが) >もし全ての出来事が、いつどこで起こるのか決められているのだとしたら・・・・・ >どんなに頑張っても、何をどうしても未来は決められたまま変わらないのでは・・・・・なんか悲しいですね。 >すいません。エモーションさんへの感想に変な事を書いてしまって(汗) いえ、書かれたことは私も同感ですので。 京極夏彦氏の小説は台詞だけ見ていると、「えっ?」と思うのがほんとに 多くて。全部読んでやっと分かるんですよ。 これは「どんなに不思議に見えても現実に起きた以上、どれほど否定しても あるものはあるし、それは現実の出来事だ。そのかわり、現実に起こせない ことはどうがんばっても起きないよ」という意味なんです。 >フィリシアさん。それでも普通に暮らす方々に比べて、貴方は沢山のことが出来るのだと思います。 >フィリシアさんは優しいのですね。 >例え『神』であっても、願われたことの全てを叶えることは、出来ないのでは。 >願いが叶わなかった、としても、フィリシアさんの責任では無いと思います。 自分の限界が分かっているから余計に何も出来ないと思っているです。 これまでの環境のせいで、ひとりで背負い込みすぎという面もありますが。 >確かに、普通は・・・・その台詞は・・・巫女さんからは出てこないですよね。 >それだけ・・・フィリシアさんの今までの暮らしで、辛いこと悲しいことが沢山あったのでしょうか。 >神殿での特別の地位・・・・その為に普通に接してくれる方が居なかった・・・・ >とても寂しかったのでしょうね。 あの手の仕事は、普通なら感受性の強い10代未満及びローティーンの 子どもにさせる仕事じゃないです。下手すると人格が壊れますから。 セーガンさんが上層部と対立したのもその辺りが原因です。 普通に扱ってくれる人は、神殿内には(セーガンさんが左遷されたあと) いませんでしたから、かなりキツかったと思います。 >ゼロスさんのお陰で、フィリシアさんの気持ちが、ほんの少し軽くなったようで良かったです。 >過去は、過去でしか無いのですから >自由な今の暮らしを充分楽しんで、幸せになっててくれると良いですね。 ゼロスは親切で言っているわけじゃないんですけど(笑)その通りです。 今まであんな風に言う人がいなかったんですね。 >ゼロスさんは魔獣の正体を調査していたのですね。 >カッコウ』という呼び名・・確か・・・『カッコウ』には・・・・あの習性があったかと(汗) あの習性です。だから厄介です。実はホトトギスも同じ習性だという事は、 これ書くための下調べで初めて知りました。 >我が子が・・・・・死んでしまったら・・・・・どんなにか悲しいでしょう。 >そして・・・・絶対に有り得ないと・・・・分かっていても・・・・子供が生き返ってくれないかと・・・・ >願ってしまいます・・・・もし生き返ってくれたら・・・・・自分も・・・ポーラさんと同じように >子供の望む通りのことをするかも・・・・知れませんね。 分かっていても、そうでしょう。そう思いこまされ、信じきっていたら尚更です。 >フィリシアさん。残念ながら今のポーラさんには、何を言っても届かないと思います。 >親は、子供の健康と幸せを願っています。 >子供が健康で、幸せそうに笑ってくれることが、親にとっては何よりも幸せなこと・・・・・なのですが・・ >ポーラさんが、お子さんことを思う気持ちが・・・・とても良く伝わってくる・・・・だけに・・・ >とても・・・・・切ないですね・・・・・・・・・・。 今回、私はポーラさんに振り回されてます。ゼロスがおとなしいです(汗)。 分かっていても言わずにいられないフィリシアと、全く通じないポーラ。 5話はある意味ただの精神の「消耗戦」です。 >魔獣をポーラさんの目の前で倒すことによって、ポーラさんの心が開放されると良いのですが >もしかしたら・・・・ポーラさん・・・・精神的に死んでしまうかも知れませんね。 単純に言えば魔獣を倒せば、解放されるのですが……。憑き物が落ちたように、 とはさすがにいかないです。 >ゼロスさん、魔獣がここに居ます〜。 >早く合流してください。 今回はおとなしいけど、その分おいしいとこを狙って動きます(笑) ……おとなしくてもゼロスはゼロス……(苦笑) >親としての気持ち・・・・・それを魔獣は利用しているのですね。 >こ・ん・な・こ・と・をする魔獣の正体とは、何なのか。 >魔獣も生きる為に、こ〜いうことをしているのかも知れませんが >もし、流行り病で亡くなったティルさんの死にまで、魔獣が係わっているのでしょうか。 流行病には関わってないです。あくまでここ最近だけです。 ポーラさんが「子どもを亡くした母親」でなければ、もっと単純だったかも。 >はい、切ないお話ですね。 >魔獣の子供を、我が子だと信じて懸命に育て救おうとしている・・・・・ポーラさん。 >つ・・・・続きを読ませて頂けるのを、楽しみにお待ちしております。 >年が明けて一段と寒くなったような気がします。 >お体にお気を付けて、お元気で。 >では、失礼します。 ありがとうございます。 猫楽者さんもお身体にお気をつけてください。 丁寧なコメントをありがとうございました。 |
24250 | Re:使えない呪文〜Mistletoe 3 4話 | D・S・ハイドラント | 2003/1/4 14:05:55 |
記事番号24240へのコメント >「こんなところで、何をしているんです?」 > 適当な枝にミスルトゥをつけていると、後からどこか呆れたようなゼロス >の声がする。ゼロスならそれぐらい当然なのだが、本当に神出鬼没だと感心 >してしまう。 >「鳴かない『ホトトギス』を鳴かせようと思って」 どういうことでしょうか > フィリシアが「ホトトギス」と言ったのは、単に昔の故事からの比喩だ。 >だが、ゼロスはその故事とは違う理由で「ホトトギス」に例えた。理由を >訊ねるフィリシアに、ゼロスはにっこりと笑って、だが、確信があるのだろう。 >はっきりとした口調で答える。 ううむ気になる >「……教えていただけますか? 『カッコウ』のことを」 あら、カッコウに変わってる >「いいですよ。でも……十分なヒントなんですよ? 『カッコウ』は」 でも全然分かんない馬鹿なのかな私 >否定することもできない。彼女が……「ウグイス」……。 ううむどういうことでしょう >「……ポーラさん……。あなたのお子さんは……」 >「ええ。2年前に亡くなりましたわ」 1話でのことですね > 『カッコウの……まあ、ホトトギスも同じですけどね。その習性は >ご存じでしょう?』 卵がどうこうでしたかな 本当にくだらない疑問ばっかりの馬鹿な私を許してください それでは |
24259 | Re:使えない呪文〜Mistletoe 3 4話 | エモーション E-mail | 2003/1/4 22:30:24 |
記事番号24250へのコメント こんばんは。 >>「鳴かない『ホトトギス』を鳴かせようと思って」 >どういうことでしょうか 魔獣のおびきだし作戦、秀吉Vr決行中(笑)です。(「鳴かぬなら〜」のあれです) 信長Vrは目の前にいないとできませんし、家康Vrをやっている余裕は ありませんので。 >>「……教えていただけますか? 『カッコウ』のことを」 >あら、カッコウに変わってる ホトトギスよりは分かりやすいので。こっちの方が有名ですから。 >>「いいですよ。でも……十分なヒントなんですよ? 『カッコウ』は」 >でも全然分かんない馬鹿なのかな私 この時点ではちょっと分かりづらいかも。わざと端折ってますし。 >>否定することもできない。彼女が……「ウグイス」……。 >ううむどういうことでしょう カッコウのターゲットにされやすいのはウグイス科なんです。個人的には ヨシキリにしたかったですが。 >>「……ポーラさん……。あなたのお子さんは……」 >>「ええ。2年前に亡くなりましたわ」 >1話でのことですね 自覚しているんですよね、一応……。それなのに……。 >> 『カッコウの……まあ、ホトトギスも同じですけどね。その習性は >>ご存じでしょう?』 >卵がどうこうでしたかな それです。今回の下調べで初めてホトトギスも同じ習性を持つと知りました。 >本当にくだらない疑問ばっかりの馬鹿な私を許してください いえ、よく考えるとフィリシアとゼロスの会話って、確信に触れれば触れるほど キツネとタヌキの化かし合いみたいな感じになりますからねぇ……。 >それでは いつもコメント、ありがとうございます。 |