-異界黙示録伝《水の書》その7-魔沙羅 萌(4/24-22:58)No.2430
 ┗Re:異界黙示録伝《水の書》その7-松原ぼたん(4/25-19:47)No.2448


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2430異界黙示録伝《水の書》その7魔沙羅 萌 4/24-22:58

み、水の書もあと少しで終わるといいなぁ……。
ってなわけで、今回の一人称は萌ちゃんです。よろしく。

アグニたちはその頃、途方に暮れていた。
理由は簡単。魔界への入口が閉じてしまったからだ。
アグニは溜め息を一つ吐いてからこうする事に決めた。
妖精城によっていこうと。


パラパラ落ちる雨よ


――わたしは…本当にココに居てよかったのかな……?
雨がいまだに降りしきっている中、わたしは木に登りながらそんなことを考えていた。
何をやってるのかというと、果物とってるの。今日のご飯はこれ♪
妙に明るいなぁとか思うのはわたし自身だけかなあ。
まあ、わたしらしいけど。
水輝の言葉……気にしてないってわけじゃないけど。
あの日……わたしがうまれてなかったら、未熟児としてうまれていたのは嶺ちゃんだったと思うもん。
それに、捨てられてたのも嶺ちゃん。きっとあの日の事件によって世界も無くなっていたと思う。
ついでに、あいつの、「ベルゼ」の思う通りになってた。「しゅうきょく」なんてわたしにはよくわからないけど、こないほうがいいに決まっている。
かあさまはいってたもの。わたしがうまれてきたことには意味があるって。こうゆうことになったのも意味があるって。
でも……わたしのせいでいっぱいヒトがいなくなっちゃったのもホントのこと。
こんなこと、ゆるされてよくない。水輝のかあさまを殺してしまったのはわたしかもしれない。
わたしは……。
《どうしたの萌?暗い顔しちゃって!元気出してよ!》
突然だった。わたしに雨の精霊さんが話し掛けてきた。
「あのね、水輝ちゃんに『人間じゃない』って言われたの。
わたし、みんなに『人間だ』って認めてもらえなきゃ『人間』になれないの。
でも、しかたがないことなの。わたしがやったことだから」
こたえるわたしの顔はとても暗くなっていた……と思う。
「本当にそう思っているのかい?君は」
突然聞き覚えのある声が聞こえてきた。わたしが振り返ってみると……
「め、瑪瑙兄ちゃん!」
正直、わたしは驚いた。だって気配をさせないであらわれたんだもん。
「ほら萌!君らしくもない顔しないで。君は明るい顔の方が似合っているから。その方が『楽天的』な君らしいさ」
瑪瑙兄ちゃんの声はわたしをからかうようだった。
「瑪瑙兄ちゃん、わたしのことバカにしててない?」
そう言ってる自分自身で自分が微笑んでいるのがわかった。
雨の精霊さんは安心したような顔でこっちを見ている。
きっと心配ないって思ったんだと思う。
森の精霊さんも、土の精霊さんも、水の精霊さんも、風の精霊さんも、他のみんなもそうだった。
『ヒト』としてはわたしだけが精霊さんとお話ができる能力を持っている。無論、精霊界では別だけど。
その能力が今ほどうれしく感じた時ってなかったと思う。

瑪瑙は萌がまた普段の萌に戻ったのを見て嬉しく思っていた。
自分の妹たち、螢たちのトモダチが悲しそうな顔を見るのはとてもつらいから。
でも、萌はもう大丈夫だと確信していた。
萌は、精霊に祝福された子どもだから。
何より、だんだんここに近づいてくる気配のおかげだ。
それは、萌のことを認めた者たちのものだったから。

雨はまだ降り続いている。
しかし、冷たくではない。
いつか、リナンの言った通り、それらを祝福するように。

〔続く〕

わけわからなくてごめんなさい。
わたし、何が言いたいんだろ?久し振りに明るいところもあったけど。
……はたして本当に萌は楽観的なのかなあ。

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2448Re:異界黙示録伝《水の書》その7松原ぼたん E-mail 4/25-19:47
記事番号2430へのコメント
 面白かったです。

>妙に明るいなぁとか思うのはわたし自身だけかなあ。
 ・・・・そうでもないと思う。
>わたし、みんなに『人間だ』って認めてもらえなきゃ『人間』になれないの。
 難しいところですよね。
>その能力が今ほどうれしく感じた時ってなかったと思う。
 そうかもしれませんね。
>……はたして本当に萌は楽観的なのかなあ。
 ちょっと違う気がする。

 本当に面白かったです。
 ではまた、ご縁がありましたなら。