◆−長編にチャレンジします!(諸注意)−鈴咲時雨(すずさきしぐれ=旧:奈鈴多乃) (2003/1/20 22:37:55) No.24442 ┗遠い日々の残像〜プロローグ〜−鈴咲時雨(すずさきしぐれ) (2003/1/20 22:42:35) No.24443
24442 | 長編にチャレンジします!(諸注意) | 鈴咲時雨(すずさきしぐれ=旧:奈鈴多乃) | 2003/1/20 22:37:55 |
タイトルどおり、長編にチャレンジしてみようと思います。 一応構想だけはかなり前(2ヶ月くらい?)からしていてほぼ固まっています。最もプロットを起こしたりは全然していないので本当に構想だけ(爆) けど、構想はしっかりやっているつもりなので途中で尻切れトンボに終わったりつじつまが合わなくなったりはしない……はず!!!(後者が怪しい・・・) ↓は諸注意です。許せる方のみの閲覧でお願いします! 設定 ・原作(TRY?)の何百年もの後かの話で、その何百年かの間に起こった降魔戦争により世界は微妙に荒廃気味。 ・ジャンルこそゼロフィリだが、出るのはほとんどヴァルガーヴとゼロス。(しかも一人称)これでゼロフィリと呼べるのかっ!!? ・無論、なかよし4人組は陰も形もなし。 ……と、この3つが注意するところです。 荒廃気味の世界については出来る限り作中で描写。無理だった場合言い訳がましい補足を後に行います。(爆) |
24443 | 遠い日々の残像〜プロローグ〜 | 鈴咲時雨(すずさきしぐれ) | 2003/1/20 22:42:35 |
記事番号24442へのコメント 『ゼロス』 母さんが最期に残したのはその名だった。聞いたときは誰の名かなんて知りはしなかった。ただ分かったのは、その時母さんが、どこか懐かしく、どこか愛しげな表情をしていたという事だ。ずっと昔に失くした、ずっと遠いものを見るような表情を。 『ヴァルガーヴ……母さんが死んだらゼロスのもとへ行きなさい……』 母さんが見せたその表情に自分は泣きすがることも悲しむことも出来ず、ただ頷いたのだ。涙をこらえるためにかんだ唇からは血が出ていた。母さんはそんな事に全く気づかず、自分の頷く様子を見て笑んだ。消え入りそうな儚い笑みは、本当に、一瞬のうちに儚く消え入っていって。 ――母さんは逝った。 自分はその時固く誓った。『ゼロス』、に会う事を。 『ゼロス』。最期まで母さんの口に出されなかったその名はいったい母さんにとってなんだったのか?知りたかった、『ゼロス』を。そして母さんが見せたあの表情の意味を。――知りたかった。 自分たち竜族には危険とされる人里へ降りてその名を求めた。その時、自分は勝手にこう思っていたのだった。『ゼロス』というのは母さんの大切な人で――そう、あえて名前を出さないようにしていたほどに――母さんと、自分と同じ竜族で、恋人なのかもしれない――と。だが、それは自分の想像でしかなかった。求めた名は自分の想像とは全く違う存在だったのだ。いや、違うのどころではない。相反する存在だった。 『獣王ゼロス?それなら魔道師にお聞きよ』 『あぁ、獣王ゼロスの事か。よくは知らんよ、まあ魔族のことなんて知ってる奴はいないだろうが』 『今みたいな時代に魔族の名を出さないでおくれ――』 ――魔族。 獣王、ゼロス・メタオリム 求めた名。探した名。問いに返ってくるのはその言葉ばかりで。 何かの間違いだと思った。魔族ではない、あるはずがない――母さんの最も嫌っていた種族、魔族。なぜ、その種族の者の名を、あんな表情で呼ぶことが出来るだろうか? 『ヴァルガーヴ、母さんが死んだら――』 母さん。 母さんの最期の言葉。最期の表情。求める問い。求める答え。全てが交錯し、何がなんなのかが分からなくなっていった。『ゼロス』。『ゼロス』『ゼロス』『ゼロス』―――。 『ゼロス』。 それは魔族の名前なのか?母さんがあれほどに忌み嫌っていた魔族の? 考えた。ただ、考え続けた。魔族以外に――『ゼロス』。その名を持つものを探しながら。だが、いなかった。母さんが求めた『ゼロス』はどこにもいなかった。 そして、それを知ると同時に様々な事柄が、全てが。――組み合わさっていくのを感じた。 母さんが、魔族を忌み嫌っていた理由。母さんが、その名を最期まで言わなかった理由。母さんが見せたあの表情。遠い昔の失った何か。それがゼロスだったのか?竜族と魔族という名の、決して相容れない二つの種族。最期まで、自らの心からも追い出し続けた?母さんの恋人。遠い、遠い、昔の――。 全てが一致する。全てが分かる。 「ゼロス――……獣王、ゼロス・メタオリム?」 それは紛れもなく母さんが求めた名。母さんが失った、遠い日の名。 ――そして。 母さんの最期に誓った、俺の探す名前だった。 ヴァルガーヴの一人称です。次はゼロス。その後3人称になる……と思います。 |