◆−ブラッディ・チェリー−おや (2003/1/31 16:59:10) No.24567
 ┣ブラッディ・チェリー−おや (2003/1/31 18:37:42) No.24568
 ┣ブラッディ・チェリー−おや (2003/2/1 02:14:01) No.24576
 ┣ブラッディ・チェリー−おや (2003/2/1 14:22:38) No.24582
 ┣ブラッディ・チェリー−おや (2003/2/2 05:41:50) No.24598
 ┗ブラッディ・チェリー−おや (2003/2/4 14:56:42) No.24628


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24567ブラッディ・チェリーおや 2003/1/31 16:59:10


はじめましてー、おやでーす。初心者なので、ミスとかあっても怒んないでくださいー。

―プロローグ―
それには、名が与えられることはなかった。必要なかったからだ。
それは、ただ教わる事を呑み込み、己のものにし、主の手足となるためだけのものだったのだ。
しかし、10年も経つと、それの中にかすかに残っていた自我が、その存在意義に反発した。
そして、それを抑えつけようとした主と親を、教わった技で殺めたのだ。
彼らの心臓には、血まみれの桜の花が咲いていた。
そして、それはこう呼ばれた――
ブラッディ・チェリー――血まみれの桜と――

今回は時間が無いのでここまででーす。実は後の展開考えてない――なんてことはありませんのでご安心をー。それじゃ、アデュー!

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24568ブラッディ・チェリーおや 2003/1/31 18:37:42
記事番号24567へのコメント
さて、諸般の事情により、プロローグだけとなった初投稿。はやいかもしんないけど、続きです。


第一章  武器マニアと氷の美女

「おー。こんなとこに村なんかあったんだー。知らんかったー。」
マックスはのん気につぶやいた。まあ、この時代に全ての田舎村を知っている者などいないのだが。
首のうしろで無造作にくくった赤茶けた髪を、冷たさが和らいだ風がそっとなでる。歩き出したマックスの背中で、ハルバートと大剣ががちゃがちゃと鳴る。
村の入り口には、『アルキスの村』と書かれた立て札がたっていた。
他とたいして変わらない光景をみやりつつ、宿を探して歩く。
と。
「んだとぉコラァ?アァ?」
かなり酒のまわった傭兵風の男が、こんな田舎では滅多におめにかかれない美女にからんでいた。
「ですから、酔った勢いで他のお客様にからむのはやめてくださいといっているのです。」
無表情に言い放つ。腰まで届く金髪が、夕日に映える。
男が美女に殴りかかろうとした時、
「はいはい、女の人殴っちゃダメだよー。」
ふらりっ、とマックスがまわりこみ、男を止める。
「やる気か?あぁ?」
男はマックスをねめつける。
「んーにゃ、べっつにぃ。俺、ケンカは好きじゃないし。でも、あの女性パンピーだろ。殴っちゃかわいそうだよ。」
「私は別に構わないのですが」
声と同時に男の首に白い手刀が振り下ろされる。あっさりと昏倒する。
(い、いつの間に・・・)
自分に気配を感じさせずに男の後ろにまわりこめるとは・・・
(パンピーにゃ無理だぜ、そんな芸当)
「いやぁ、こんな時は頼まれなくても割り込む、ってのは男の義務だし。」
頭をかくマックスに、彼女は苦笑して、
「そうですね。結果はどうあれ、お礼はいわないといけませんね。」
「ついでに、どっか泊まれるとこない?厚かましいお願いだけどさぁ」
「ああ。それでしたら、うちで宿屋やってますから。」
と、近くの建物を指す。
「では、ご案内いたします。」
と、マックスの荷物をもって、さっさといってしまう。
(あれ、けっこぉ重いんだけどなぁ)
少なくとも、女性がひょいっともてるような重さではない。
「何者なんだ、あの人・・・」
つぶやきに答えるものはいなかった・・・。

うん。今日はここまでかな。んじゃ、アデュー♪

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24576ブラッディ・チェリーおや 2003/2/1 02:14:01
記事番号24567へのコメント

うーん。どーも眠れないので続きいっちゃいましょーかぁ。


第二章  闇に蠢く者達

マックスが宿屋にはいると、あの美女がロビーでまっていた。
「手続きはあとで構わないわ。誰もいないから。」
といって、階段を危なげなくのぼっていった。
(この人・・・)
歩き方が普通ではない。どちらかといえば、自分のように戦闘技能を幼い頃から叩き込まれた――
「どうしたの?部屋はこっちよ。」
「あ、悪い。考え事しちまってて。」
マックスは彼女の後を追った。
「ここがあなたの部屋。キーはこれ。ちなみに1泊15ケルクよ。」
客商売のわりにドライなかんじである。
「夕食は隣の店に行くといいわ。――もっとも、他に食堂なんか無いんだけど。」
じゃ、と歩き去る彼女の背に、思わず声をかける。
「なあ」
「・・・何?」
一瞬詰まり――とっさに浮かんだ問いをかける。
「あんた・・・名前、何ていうんだ?」
「・・・フィオナ。」
彼女――フィオナはかすかに笑った。美しかったが、どことなく無表情な感のする笑みだった。

夜。
ふっと目が覚めたマックスは、外套をはおり、ハルバートを握り、そうっと部屋をでた。夜逃げ――ではなく、かすかな違和感を感じたのだ。足音を殺して、階段を降りる。
「あら、気付いたの。勘がいいのね。」
ロビーに佇んでいたフィオナが声をかける。
「まーな。だてにこんなもん持っちゃいないのさ。」
と、ハルバートを掲げる。
フィオナも、夕方着ていた服のうえに、曲刀らしきものをさげている。はっきしいって似合わない。
「・・・ん。来た。」
「3人。騒ぎを起こさないで突破できるぎりぎりの人数ね。」
平然とつぶやくフィオナに、マックスは内心舌を巻いた。自分ですらはっきりとは分からない気配をあっさりと捉えて読むとは。
(本気で何者だよ、この人・・・)
と。マックスとフィオナは、いきなり得物を構え、振る!
マックスのハルバートは影をかすめ、フィオナの一撃は影の首をはねた!
「りゃあっ!」
続くマックスの一撃は、今度こそ影に当たった。残った影は、形勢不利と判断したらしく、さっと逃げ出した。
「うっわあ、ロビー血まみれだよ。どーすんだろ」
マックスがぼやくと、フィオナが闇のなかからバケツとモップを持って現れた。
「掃除。手伝って。」
「・・・はい」
濃い血臭をものともせずに平然と掃除を始めるフィオナ。よく見ると、至近距離で首をはねたのに、血の一滴も浴びてはいない。
「しかもハルパとか。マジで使う奴いたんだ、あんなモン」
ハルパとは、曲刀の一種で、切っ先が柄のほうを向くほど曲がった剣だ。しかも、刃が内側にしかついていない。相手の首や四肢を断つ一撃必殺の武器である。が、死ぬほど使い勝手が悪いうえに、リーチの長い相手だと不利なので――普通の剣よりリーチが短いのだ――、使う者も殆どいない、まさに幻の剣だ。
気配が感じられないことといい、ハルパの事といい、ますます普通じゃない。自分の事を棚にあげて、マックスはそう思った。
(う〜ん、ミステリィ)
そして、モップをとって、掃除を始めた。

うぃ〜。よーやっと眠くなった。じゃ、寝よ。アデュー☆
 

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24582ブラッディ・チェリーおや 2003/2/1 14:22:38
記事番号24567へのコメント

こんちわ、おやですぅ。受験勉強そっちのけで書いてるこのシリーズ、ちょびっとずつ謎というかキャラの過去というか、そんなのがにおってきました。・・・名前出てくるの、今のところ二人だけだけど。まあ細かい事はともかく、続きいきましょーかぁ。


第三章  やっぱり怪しいクールビューティ

二人して一生懸命掃除したため、朝にはすっかりきれいになった。
「うぅ〜、終わったぁ。」
「そうね。・・・ありがと、手伝ってくれて。」
すこし憔悴の色をやどしたフィオナが微笑みかけた。注意散漫になっているのか、かすかに気配が感じられる。
「部屋で休んでるといいわ。あとは私がやるから。」
「あんたも休んだ方がいいぜ、フィオナ。やつれてんぞ」
フィオナは沈黙した。
「・・・どうした?」
「・・・・・・久しぶり・・・・・・」
「は?」
「フィオナって呼ばれるの、久しぶり・・・」
そう言うフィオナの顔は相変わらず無表情だったが、雰囲気が穏やかになっている。
「あー・・・何か、悪ぃこと言っちまったかな?」
マックスはきまり悪げに頭をかいた。
「いえ。みんな、フィーって呼ぶから。それだけ」
ふいっと後ろをむき、普段の優しいようで無感情な声音で告げる。
「それより、早く着替えたら?服、血まみれよ。」

とりあえず服を着替えたところで睡魔に襲われたマックスは、倒れこむように眠った。夢すら見ない深い眠りだった。
目覚めると、午後をかなりまわっていて、なぜかベッドにきちんと寝かされていた。サイドテーブルには果物の盛られた籠が置いてあって、ハルバートも綺麗に磨いてあった。
「あら、起きたの。」
丁度部屋に入って来たフィオナが声をかける。
「ん、ああ。ありがとな、色々。」
「よければお風呂に入ってらっしゃい。斜向かいの建物だから」
そう言って部屋を出かけたフィオナを呼び止める。
「なあ。よければ教えてほしいんだけど・・・どこでハルパなんか覚えたんだ?」「・・・・・・」
フィオナは不機嫌に黙り込んだ後、
「独学よ」
ふいっと部屋を出てしまった。


う〜ん、なかなか進展しないな〜。ま、いっか。
それじゃ、アデュー☆ 

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24598ブラッディ・チェリーおや 2003/2/2 05:41:50
記事番号24567へのコメント

こんばんわ、おやですぅ。退屈しのぎに書いているこのシリーズも4つ目(プロローグも入れたら5つ目)に。ちょっとばかり状況も進展します。・・・とかいって3章でフィーの正体とマックスの過去明かす気だったんだけど。ま、気にせず楽しんでくださいぃ。

第四章  血まみれの桜

「ふわあぁ〜、さっぱりした。」
風呂に入っていい気分で宿に帰ろうとしたマックスの耳に、遠い悲鳴が聞こえた。「なっ、何があったんだ?」
とっさにそこから逃げてきていた村人をつかまえて問い掛ける。
「し、襲撃だ。黒ずくめの男達が押し寄せて近くにいた奴らを襲ったんだ。」
「被害は?」
マックスの有無を言わせぬ態度に、彼は怯えながらも話す。
「ご、五人くらい、けがした。」
(見え透いた陽動だな)
マックスがそんなことを思うと、
「あけすけすぎて、裏がかき難い上に無視できないわね。」
例によって気配をさせずにマックスの後ろに佇んでいたフィオナがぼそり、っと言う。
「持ってきたけど、要る?」
そういって、ハルバートと大剣を差し出した。
「何それ。俺に丸腰でいけってか。」
笑って受け取る。そこにはこれから死地へ赴くなどという緊張感はカケラもなかった。

混乱し、逃げ惑う村人達の反対方向に進めばいい――そう思っていたマックスだったが、それが甘い考えだった事をすぐに思い知った。それほどまでに、人の波というものは凄まじかったのだ。
フィオナの方はといえば、人々の間をすり抜けながら、落ち着けるような言葉をかけられるぐらい余裕がある。おかげで、二人の差は広がる一方である。
「フィオナ、先にいけ!後から行く!」
マックスの声に、一つうなずきフィオナは急いだ。

村の外れ、もう誰もいないところに、彼らは待っていた。
「来たか」
凍りつくような声音で一人が呟く。
「・・・何で・・・・・・?」
フィオナは、明らかに怯えてそう漏らした。
「お前は、われらが主人に仇なした。よって、処分する。『ブラッディ・チェリー』」
「私はフィオナ。それ以上でもそれ以下でもないわ。」
怯えをひた隠しにしてそう告げる。
「ほざけ。お前には最早居場所などない。偽りの名を名乗ろうが、過去は消えぬ。」
「もともと名など無かった。あの人たちが、こんな私に名と居場所をくれたのだ。はじめにもらった名が真実の名なら、今のこの名が私の名だ。」
フィオナがそういったその時。
「どおおおうりゃあああああああぁ!」
右手に大剣、左手にハルバートを持ったマックスが得物を振り回しながら突っ込んできた!
素人の突進と見たのか、5人がダガーを構え、マックスを迎え撃った・・・と、誰もが思った時。
どっ。どさっ。どっ。
倒れたのは、黒ずくめたちの方だった。
「へっ!あっさり引っかかりやがって!」
血を一振りして払い、不適に言う。そこにはもはや、あの人好きのする青年の姿はなかった。
「フィオナ!大丈夫か?」
「ええ!」
フィオナはマックスの傍まで下がる。ガキン、と武器を打ち鳴らし、
「さ、次は誰が俺にやられるんだ?」
その戦神のような姿に、
「ま、まさかお前は・・・・・・」
「あ、バレた?ま、いいけどさ」
マックスはにやりと笑う。
「そうさ。俺は――」


はい、今日はここまで。マックス君の正体や戦闘の行方などについてはまた今度、ということで、アデュー☆
 


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24628ブラッディ・チェリーおや 2003/2/4 14:56:42
記事番号24567へのコメント

なんかさっきのが中途半端だったけど、一切気にしないでくれるとうれしいです。ほら、今から続き書くからね?

第五章  そして伝説は集う

「――マックスは、マックスじゃない。」
―――しーん―――
「あ・・・あんなぁ、今せっかくいい雰囲気だったってのに・・・」
思いっきり力の抜けた声で、マックスが文句を言う。他の黒ずくめ達もこころなしか呆然としている。
「あら、そう。ごめんなさい。」
「・・・・・・ま、まあいいか。」
なんとか気を取り直し、もう一度マックスは名乗る。
「あー、なんか白けちったが、もっかいだ。・・・俺は、『ゴールド・チャリオット』だった男だ。」
ざわり。みながざわめく中、
「何それ。変なの」
「「・・・・・・」」
マックスはすっごく何か言いたそうな顔でしばらく沈黙していたが、もう何言っても無駄だと悟り、覇気のない声で説明する。
「俺が軍にいた頃金色の鎧着てハルバートと大剣ぶん回して突進してったらそー呼ばれるようになってたんだよ」
「ふーん。有名人だったのね」
「・・・もーいーから、口ださんでくれ。テンションが下がっちまう」
マックスは男達に向き直る。
「まあ色々あったがやるってんなら手加減は――」
とっさに飛び退ったマックスの、手にしたハルバートの柄がすっぱりと切れた。
「をうっ!?」
「鋼線よ!気をつけて!」
我にかえった黒ずくめが放った一撃だった。もし避けていなければ、首がすっぱりいっていただろう。
「んなむちゃくちゃな・・・」
フィオナのハルパといい、今の鋼線といい、殺し屋ってぇのは扱いのムズい武器使わなきゃならねーのかよ、と心の中で呟く。
と。
フィオナがハルパを投げつけた。一応当たりはしたものの、こんな物投げつけてもダメージなど全く期待できない。
「・・・マックス・・・」
「何だ?」
フィオナは、黒ずくめ達と同じ雰囲気――いつもの気配のなさとは違った冷たい気配のなさ――をまとい、静かに目を閉じた。
「見ないで・・・・・・」
ごおうっ!
風が吹き。 桜が舞い。 フィオナの姿を覆い隠す。
手で顔をかばい、マックスはフィオナの名を呼ぶ。フィオナは答えない。
やがて、風が収まり、桜が地に戻ると―――
血を吸って血を浴びて、赤く染まった桜の枝が、黒ずくめ達の胸に突き立っていた。皆、一撃で死んでいる。
「・・・フィオナ?フィオナ?!」
あのブロンド美人の姿はどこにもなかった。
「お前・・・このまま・・・」
苦々しい呟きは風にさらわれていくだけだった。

うーん、ラストまであとちょっとかぁ。よし、がんばるぞー!
アデュー☆