◆−Please Kiss Me−孝世 (2003/2/13 20:17:47) No.24754
 ┗ガウリナですね〜。−龍崎星海 (2003/2/15 18:05:38) No.24789
  ┗Re:ガウリナですね〜。−孝世 (2003/2/18 17:13:08) No.24830


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24754Please Kiss Me孝世 E-mail 2003/2/13 20:17:47


初めに・・・。

今回初投稿したこの作品ですが、1年半前に当時仮運営中だった某HPに投稿して、1・2ヶ月程掲載されたことがあります。ひょっとすると、誰か読んだことがあるかも?
今はそのHPにはアクセス不可能となり、私のパソコンの片隅に眠っていた作品なのですが、所謂『二重投稿』ではありまん。
この辺は、一坪さんに了承を得ておりますので、あしからず・・・。

また、当時とは作者の名前が変わっていますが、紛れもなく私本人の作品です。
以上の事を踏まえた上で、読んで下さい。
それでは・・・。





*************************************





「・・・リナ」
熱の籠もった甘い囁き声。
「・・・ガウリイ」
熱い眼差しに身体が痺れ、声が震える。
短い沈黙の後ゆっくりと近づいてくる顔に、あたしはそっと瞼を閉じた。







最近、あたしに『彼氏』と言うモノが出来た。
親友のアメリアの紹介で知り合った彼は、金髪碧眼の長身で超美形だった。
腰より長い髪を靡かせ颯爽と歩くその姿は、モデル顔負けだった。
その整った顔を鼻に掛けるわけでもなく、親しげに話しかけてくるその姿勢には好感が持てたし、初対面の時、人を小学生と勘違するという失礼極まりない事を仕出かした(それ相当のお仕置きはしてやった)が、あたしに向けられたその温かい眼差しに、我知らず顔が赤らんだ。
何度か、ダブルデートという名目で、あたし達とアメリアとその彼氏のゼルガディスの4人で遊んだが、アメリア達が席を外したときに、
『今度、2人だけで何処か行かないか?』
と、誘われ、顔を真っ赤にしながら、首を縦に振る事で何とか返事をした。
そして、本格的な『交際』が始まった。





ガウリイは優しい。
怒った所なんて見たことないし、我が儘を言っても『仕方ないなぁ』って感じで、笑って許してくれる。
デートの時だって、いつも車で送り迎えしてくれるし、ちょっと咳をしようものなら、やれ『風邪か?熱は?薬買ってこようか?』なんて、過保護なくらい心配する。
友達に『大切にされて羨ましい』なんて言われて、悪い気はしないし、ちょっとばかり自慢に思ったりする。
だけど、そんなガウリイに対して不安に思う事があった。


『ファーストキスってどんな味?』


いつもの昼休憩。
お弁当を食べ終わった後は、『何処ぞの店のアイスが美味しい』だのと、たわいもないお喋りをして過ごしているその時間は、誰かが言い出したその台詞が引き金となって、女子校という気安さもあってか、大告白大会となった。


「私は、チョコレート味だったわ。去年のバレンタインデーに告白したとき、返事の変わりに、そのぅ・・キス・・・されちゃったの」
そう恥ずかしそうに告白した子は、確か近くの男子校の生徒会長と付き合ってるって噂の、おさげの似合う可愛らしい女の子。
「アタシは、ワインだった。彼の部屋で誕生パーティーを2人だけでした時に、まぁ・・雰囲気に流された感じだったんだけどね」
4つ年上の医大生と付き合ってる彼女は、いつものクールで大人びた雰囲気とは違い、ちょっぴり頬を赤く染め、照れくさそうだった。

次々に告白していく彼女達の話を聞き流しながら、ふと、あたしの胸の内に不安の影が忍び寄ってきた。だって、あたしは・・・・。


『ねぇ。リナはどうだった?』


・・・・あたしは、ガウリイとキスした事がなかったから。





付き合い始めてから、既に3ヶ月近く経つ。
お互いに仕事や学校があるので、平日に会える時間は限りがある。その分休みに日には、映画を見たり買い物をしたりして1日中一緒に過ごした。
その間、頭を撫でられたり、手を繋いだりした事は何度かあった。でもそれ以上の事、キスをした事は1度もなかった。
彼の部屋で晩ご飯を食べた事があった。
1人暮らしをしている彼の部屋が見てみたくて、『散らかってるから』とやんわりと断ろうとする彼を半ば脅す様な形で、強引に案内させた。
案内された2LDKの部屋は、男の1人暮らしの割にはキチンと片付けられていた。
途中で買い込んだ材料で料理を作り、会えなかった間の出来事を話ながら食事を終え、片付けていた時だった。
お皿をもとの場所に戻そうとした。
だけど、その場所は食器棚の一番上にあってあたしの背丈では少々無理があった。
何か台になるものがないかと探していると、影が差した。
ガウリイがあたしの背後から腕を伸ばし、あたしの手からお皿を取って楽々と棚に戻したのである。
礼を言おうと振り向けば、すぐ側にガウリイの広い大きな胸があった。
慌てて顔を上げれば、あたしを覗き込む様にガウリイの顔が近くにある。

ドクンッ!

心臓の音が大きく跳ね上がるのがわかった。


『リナ・・・』


いつもは暖かな眼差しが鋭かった
いつもは暖かな笑顔が冷たかった
いつもは暖かな声が恐ろしかった

あたしが怯えているのがわかったのか。
ガウリイはゆっくりと深呼吸すると、何事もなかった様にあたしから離れていった。
片付けが終わると、ガウリイが車で家まで送ってくれた。
気まずい沈黙が続く中、あたしの家の灯りが見えてきた。
玄関の前で車を降りると、ガウリイがあたしの頭をゆっくりと撫でた。
「今日はメシ作ってくれて、サンキュウな。また休みの前に連絡するよ」
そう言う彼は、いつもの優しいガウリイだった。
その笑顔を見て、やっとあたしは微笑む事ができた。
それで安心したのか。
一層柔らかく笑って、ガウリイは車で帰って行った。





あれから1ヶ月程経った今日。
いっそ残酷なまでに無邪気に聞いてきたクラスメートの言葉に、あたしは激しく動揺した。
「・・・あたしは・・・」
答えるべき言葉が見つからなかった。
「え〜っ!!リナって彼氏いたの?どんな人?格好いい?」
「わたし知ってる〜っ!!年上でモデルみたいにすっごい格好いいんだよ〜!!」
「いいな〜。アタシの彼なんて、性格はいいんだけど顔がイマイチでさぁ〜・・・」
答えられないでいると、話はどんどん別の方向に流れて行き、やがて午後の授業のチャイムが鳴るのと同時に、話はそこで終わった。


『どうしてキスしてくれないんだろう』

授業が始まっても、その事が頭から離れなかった。
彼女達の話によれば、付き合って1、2ヶ月程でキスまで辿り着く割合が非常に高いらしい。あたし達は、もう3ヶ月近く経つ。なのに・・・。
あたしって、そんなに魅力がないんだろうか。
ガウリイはあたしより8歳も年上だから、今まで付き合った女性だって何人もいただろう。
キスだってしただろうし、もちろんその先も・・・。
そんな彼女達に比べて、チビで童顔な『お子様』相手じゃあ、キスする気にもなれないのかな・・・。
そこまで考えて、ふと、有る事に気が付いた。

『あたし、ガウリイに好きだって言われたこと一度もない』

愕然とした。と、同時に血の気が下がるのが自分でもわかる。

だからキスしないの?
ガウリイにとって、あたしって何なの?

そんな言葉が頭の中でグルグル回って、目の前が真っ暗になる。
「・・ナ、・・・リナ!! ねぇ、顔色悪いよ。保健室行く?」
隣の席の子が見かねて声を掛けてくるが、答えられる余裕は既になかった。
そしてそのまま、あたしの意識は途絶えた。





・・・・ここは何処?
目を開けた瞬間、そんな考えがふと浮かんだが、真っ暗い部屋を良く見渡してみれば、見慣れた自分の部屋だと気付いた。
・・・・そっかぁ、あたし倒れちゃったんだ。
学校から連絡が入ったのだろう。父ちゃんが先生に頭を下げているのと、母ちゃんが優しく頭を撫でていたのを、何となく覚えていた。
「情けないなぁ・・・」
倒れた自分が
両親に心配を掛けてしまった自分が
ガウリイを信じられなかった自分が

ラッラララ・ラッララ〜・ラッラララ・ラ〜ララ♪

静かな部屋に、携帯の着信メロディが響く。曲目は『ドラエモンの歌』。
いつだったか、ガウリイがふざけて設定したままになっている。
携帯の入った鞄を取りに机まで歩くのが面倒で、そのままベットに入ったまま聞くとはなしにメロディに耳を傾けていると、やがて諦めたのか曲が止まった。
そのままベットに身を沈ませ、天井を何となくぼ〜っと見つめていた。

カチャッ

小さな音と共に、ドアがゆっくりと開けられていく。
「・・・リナ?」
そっとあたしの名を呼んだその声は、あたしの自慢の姉ちゃんだった。
「姉ちゃん・・・」
多少声が掠れてはいたが、ちゃんと喋る事はできる。
「音が聞こえたから、起きたのかと思って。ったく、心配掛けるんじゃあないわよ」
怒った様な口調で眉を顰めてみせるが、やがて安堵の為か優しい笑顔が顔に広がる。
「ゴメンね・・・」
申し訳なくて、自然と声が小さくなる。
「先生方が言うには、貧血だろうって。最近は暑い日が続くから 、身体が参ったのね。
静かに寝てれば大丈夫だそうだから、大人しく寝てなさい」
ベットの側に座り込んで、頭をゆっくりと撫でながら言い諭す。
暫くその心地よいリズムに身を任せていると、
「・・・ねぇ、何か悩み事があるの?」
躊躇いがちに、姉ちゃんが聞いてきた。
閉じかけていた目を開けると、姉ちゃんが真剣な顔であたしを見つめていた。
「・・・何で?」
「だって、顔に書いてあるもの」
やけにキッパリと言い切ってみせる。
・・・あたし、そんなに顔に出してたかなぁ。
「・・・大丈夫だよ。別に対した事じゃあないから。ちょっと考えが煮詰まっただけだから、心配しないで」
安心させようと笑ってみせるが、今一つ信用し切れていないらしい。
でも、これ以上の事を言うつもりは微塵もない。
姉ちゃんもそれがわかったのか、諦めたように溜息を吐いた。
「父さん達には言っとくから、今日はこのまま寝なさい。明日になったらちゃんと謝りなさいよ。随分心配掛けたんだから」
額を軽く小突いて、立ち上がる。それから、今まで以上に優しく微笑みながら、真っ直ぐあたしの目を見ながら話掛ける。
「リナ。あなたは少し物事を難しく考えすぎよ。周りと自分を比べる必要はないの。自分がどうしたいのか、相手をどう思っているのか。自分の気持ちに正直になればいいのよ」
・・・姉ちゃん。
「自分の人を見る目を信じなさい。あなたは、わたしの自慢の妹なんだから」
そう言って鮮やかに笑って部屋を後にしていった。


「・・・やっぱり、姉ちゃんはすごいなぁ」
姉ちゃんが出ていったドアを見つめながら、感嘆の溜息をこぼす。
あたしが何も言わなくても、全部お見通しだったらしい。ひょっとしたら、アメリア辺りから何か聞いたのかもしれない。
「『自分がどうしたいのか』・・・かぁ」
落ち着いて、自分の心を見つめ直してみる。

くすっ

「答えは最初から決まってるわ」
ベットから身を起こし、鞄から携帯を取り出してボタンを押していく。





「身体の方はもう大丈夫なのか?」
ハンドルを手に、心配そうに顔を向けてくる。
「大丈夫だって何度も言ったでしょ。それより、危ないから前見て運転してよ」
今日何度目かになる質問に、いい加減ウンザリしながら答える。
「でもなあ。アメリアからお前が倒れたって聞いて、本当に心配したんだぞ。携帯に掛けても繋がらないし、それに今日だって学校休んだんだろ?やっぱり寝てた方がよかったんじゃあないのか?」
前を見ながら、それでもチラチラと横目であたしの顔色を窺いつつ、聞いてくる。
「大した事なかったから大丈夫よ。今日休んだのだって、父ちゃんが無理やりそうしただけだし、どうせ土曜日だからね。身体の方は何ともないわ。それに・・・」
「それに何だ?」
途中で言葉を切ったあたしを、不思議そうに見つめてくる。
「・・・・・ガウリイに会いたかったから」
流石に面と向かって言うのは恥ずかしかったので、窓から外を眺めるフリをして小さく答えた。
ガウリイが小さく息を呑むのが聞こえた後、ゆっくりとあたしの頭を左手撫でて、無言で車を目的地へと走らせた。



「う〜ん、潮風が気持ちい〜っ!!」
髪を風に靡かせながら、胸一杯に息を吸い込む。
車から降りると、砂に足を取られながら波の届かない場所まで海に近づき、やがて足を止めた。
水平線に沈んでいく太陽が、空を海をあたし達を赤く染めていく。

『明日、土曜午後4時。いつもの喫茶店にて  リナ』

昨夜、とある決意を胸にメールを送った。
次の日は学校に行くつもりだったから、一度家に帰って着替える時間を考慮してその時間を指定したのだが、あたしに甘い父ちゃんに『今日は学校を休め』と無理矢理ベットに押し込められた。大丈夫だからと抵抗したが、簡単にあしらわれてしまった。
まあ、土曜日だし、良いか〜なんて思って大人しくしていたが、約束の時間が近づいても、一向にベットの側から離れようとしない。
お腹がすいただの、トイレに行くだのと、有りとあらゆる手段を試みたが、全て失敗。
スキを見て背後から殴り倒してやろうかと、半ば本気で考えていると、
「いい加減にしないとリナに嫌われますよ」
と、母ちゃんの鶴の一声であっありとカタはついた。
時計を見れば、約束の30分前。慌てて着替えると、簡単に置き手紙をして、コッソリと家を抜け出した。
待ち合わせ場所に着くと、すでにガウリイは来ていた。
土曜日と言えど、ガウリイが仕事の途中であることはわかっていたので、用件を済ませればすぐ店をでるつもりだったが、今日は仕事はもう切り上げると言うので、それなら・・と、車を海へと走らせたのである。
「ご機嫌だな」
楽しそうにはしゃぐあたしを見て、ガウリイも笑う。
「だって、本当に気持ちいいんだもん。やっぱり夏は海よね〜」
「じゃあ、今度は水着持って泳ぎにこようぜ。この辺は結構穴場だから、あんまり人がこないんだ」
「本当?やったぁ〜っ!!」
驚いた後、嬉しそうに声を上げるあたしをみて、ガウリイが目を細めて優しく微笑む。
その眼差しがあまりにも優しいものだったので、顔が真っ赤になるのが自分でもわかる。
暫くお互いに見つめ合った後、今日の本当の目的を果たす為に、あたしはゆっくりと話始めた。
「・・・あ、あのね。今日はガウリイに大切な話があるの」
「・・・何だ?」
目を逸らさず、じっと見つめてくる眼差しに、体温がどんどん上がってくる。
「あの・・ね。・・・・だから、・・そのぅ・・・・・・」
緊張して、息が苦しくなってきた。

・・・・・・・ああっっっっ!!こんなんじゃあ告白なんて出来ないよ〜っ!!

頭がパニックになりながら、胸の中でそう叫んでいた。
・・・そう。姉ちゃんの暖かい励ましのお陰で、あたしは昨夜、ガウリイに告白する決心をした。
一緒にいると楽しくて、安心できて・・・。それはお互いに同じ気持ちだと思っていた。
だから、何度もデートをしたにも関わらず、お互いにハッキリと言葉で確認し合った事はなかった。ガウリイに『好きだ』と言われた事がなかったし、あたしもガウリイに言った事は一度もない。
これじゃあ、ガウリイばかり責められないよね・・・。
だから決めた。自分から、ガウリイに『好き』だと告白する事を。
でも、いざとなると、なかなか口に出して言う事ができない。
それでも何とか勇気を振り絞って、俯いていた顔を上げると、改めて口を開いた。
「・・・あ・・あたしは、ガウリイが好・・・・って、きゃあぁああっ!!」
いきなり足下に冷たいモノがあたって、思わずガウリイにしがみついた。
「や、やだっ!!何?」
「落ち着けよ。大丈夫。ただの海水だよ」
宥める様に背中を軽く撫でると、優しい声で囁く。
「海水?でも、何で?」
さっきまでは何ともなかったのに・・・。
「きっと、潮が満ちてきたんだ。この辺は危ないなあ。そうだ。あの岩陰なら大丈夫だよ」
そのままあたしを抱き上げて、入り江の端にあるその場所まで連れていった。
ちょっとした高さのあるそこなら、確かに波に揉まれて濡れる心配はないだろう。
あたしを抱えたまま、軽々と岩を昇り、やがて腰の下ろせそうな場所を見つけると、あたしを下ろし、自分も隣に座った。
「で、さっきは何を言おうとしたんだ?・・・・って、リナ?」
何も言おうとしないあたしを不思議そうな顔で覗き込んでくるが、あたしは何も言うことができなかった。

・・・綺麗

太陽を背にしたガウリイの髪がキラキラと光って、あたしはうっとりと見惚れていた。
少し影になった整った顔立ち。海よりも蒼い暖かな瞳。あたしの名を呼ぶ薄めの唇。
それら全てに惹き付けられるかの様に、自然と顔が近づき、あたしはゆっくりと自分から唇をガウリイのそれに重ねていた。

ビクッ

ガウリイの身体か硬くなるのがわかった。
暫くそそまま時がすぎ、あたしはゆっくりとガウリイから顔を離した。
驚きに見開くその目を真っ直ぐ見つめ、
「・・・・・好きよ。・・・あたしはガウリイが好きなの」
自分の気持ちを静かに伝えた。
その声は我ながら小さく震えていたが、でもちゃんとガウリイに届いたはず。
「あたし達、付き合っててもお互いの気持ちをハッキリ言い合った事なかったよね。・・・・キスだってした事ないし。だから、本当にガウリイの彼女だって自信を持って言い切ることができなかったの。でも、もう嫌なの。あたしはガウリイから、ちゃんと好きだって言って欲しい。抱きしめて、キスだってして欲しいの」
最後の方は恥ずかしくて声も小さくなったけど、でもそれがあたしの正直な気持ちだったから、目を逸らさずちゃんと言う事ができた。
「・・・・ガウリイは、あたしとそういう事するの嫌?」
恐る恐る聞いてみると、暫く固まったままだったガウリイは、ゆっくりと息を吐き出し、あたしの身体をギュッと抱きしめた。
「・・・・おれはバカだな」
「ガウリイ?」
抱きしめられた腕の中で、下から見上げるように顔を向けると、ガウリイが苦笑いしているのが見えた。
「おれもリナが好きだよ。ずっとこうしたいって、キスしたいって思ってた。でもリナは、手を繋いだだけでも真っ赤になるくらい照れ屋だから、まだ早いって、もう少し大人になるまで我慢しようって思ったんだ。おれの思いは激しすぎて、リナを壊しちまうのが怖かったから。だから、必要以上にリナに触らなかった。キスもしなかった。でも・・・」
苦しそうに胸の内を語るガウリイの顔が、一転して眩しいものでも見るような顔に変わった。
「おれはリナを見縊ってた。リナは、おれが思ってたよりもずっと大人だったんだな」
「ガウリイ・・・」
「不安にさせてゴメンな・・・」
申し訳なさそうに謝るガウリイに、あたしは首を横に振った。
「いいの。ガウリイがあたしを大切にしてくれてるってわかったから。あたしの方こそガウリイを、その・・・待たせてゴメンね」
赤くなりながらそう言うと、ガウリイは優しく微笑んで、そっとあたしの頬に手を伸ばす。
名前を呼ばれ熱い吐息を頬に感じると、あたしは静かに目を閉じ、やがて唇に暖かな熱を感じた。
2度目のキスは、甘〜い砂糖菓子の味がした。


「・・・・・ん・・・ガウっ・・・っんん・・」
何度も何度も重ねられる唇に、頭がぼ〜っとしてくる。息が苦しくて、空気を求めて口を開いてもすぐに唇で塞がれてしまう。
苦しくて、でも愛しくて、今までの時を取り戻すかのようにお互いを求めあっていた。
やがてあたしが限界に達し、ガウリイもそれがわかったのか、ゆっくりと顔を離して優しくあたしの背中を撫でてくれた。
浅い呼吸を繰り返すあたしの額に、軽くキスをすると、
「おれ達は自分のペースでゆっくりやって行こう。おれはいつでもリナの側にいて、リナを見ているから、焦らなくても大丈夫だ」
そう言って、優しく抱きしめてくれた。
ガウリイの心臓の音と波の音を聞きながら、あたしの胸は幸せでいっぱいだった。


・・・・そうだね。焦る必要はない。あたしはガウリイが好きで、ガウリイもあたしが好きで、お互いの気持ちが確かなものなら、それはずっと続いていくものだから。
1歩ずつ一緒に歩いて行こう。共にある未来を・・・。



〜end〜


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24789ガウリナですね〜。龍崎星海 2003/2/15 18:05:38
記事番号24754へのコメント

どうもこんにちは。龍崎星海と申します。
ガウリナですねえ。私は色々なガウリナ小説サイト巡ってますけど、始めて読みましたよ、この話。
ガウリイとリナがラブラブでいいですね。
またこんな甘いお話、読ませてください。
それでは短いですが、これにて。

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24830Re:ガウリナですね〜。孝世 2003/2/18 17:13:08
記事番号24789へのコメント

初めまして。孝世です。
誰からも感想をもらえないのでは…と、ドキドキしていたのですが、名高い龍崎さんに感想を頂き、ありがとうございます♪

この作品を投稿していた、某HPの管理人が連載をされていたのですが、アクセス不可能となった後、行方知れずです(涙)。
続きが気になるんですが、どこぞで再開されていないんでしょうか…。


また、気力が貯まりましたら投稿したいかと思います。
それでは…。