◆−chorus(ゼルリナ←ガウアメ)−緋崎アリス (2003/2/24 01:48:33) No.24929
 ┗リナちゃんモテモテ(笑)−エモーション (2003/2/24 20:31:01) No.24933
  ┗彼女は愛されて無くては!(笑)−緋崎アリス (2003/2/26 01:10:26) No.24947


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24929chorus(ゼルリナ←ガウアメ)緋崎アリス E-mail URL2003/2/24 01:48:33




 心から あの方は我らに教えたもうた
 互いに愛し合うことを
 あの方の掟は愛 説くは平和
               (オー・ホーリー・ナイト/染谷和美訳)


「何してるんですか?」
「釣り」
「髪の毛で?」
「そ。リナに教わったんだ」

 ガウリイさんは長い髪を数本引っこ抜くと、器用にそれを寄り合わせて糸を作り、木の枝に括り付けた。そしてポケットから針金を取りだし、釣り針の形にして結びつける。

「上手いだろ?」
「そんなおっきな手で、良くそんな細かい作業できますね」
「見直したか? オレ小手先器用なんだぞー」

 草の茎に潜んでいる虫を見つけだして針に刺し、ポイントを定めて投げ込む。
 本当の釣り竿じゃないし、糸も短いから狙った場所からちょっとはずれた。


「………釣れるまでが退屈なのよね、釣りって」
「ま、それも含めて楽しまなきゃ」
「わたし、待つのって苦手だな」
「リナのこともか?」
「うん」

 ずいぶん前になる。
 リナはガウリイさんと別れ、一人旅に戻ったのだ。
 二人がコンビを解消した理由は分からない(ガウリイさんが覚えていないことから、大した理由でもないのだろう)。
 また会おうねって言った癖に、リナはホントに気まぐれだ。
 わたしの居場所は知っている癖に。
 知ってるなら、手紙のひとつもくれたってイイじゃないの。

「拗ねるなよ」
「拗ねてないわ」
「じゃあそのふくれっ面はなんだい?」
「ぶー」

 さらさらと流れていく川。せせらぎが気持ちいい。
 こつんとガウリイさんの背中に凭れて、眼を閉じた。

「眠いのか?」
「ううん」
「重いんだけど」
「失礼ね。ダイエット中なのよ」
「嘘吐け」
「嘘も方便ってね。
 だって、ガウリイさんの背中って広くって、寄っかかるのに丁度良いんだもん」
「オレは椅子の背もたれじゃないの」
「いいじゃないの、ちょっとくらい。
 あ、ほらほら、引いてる引いてる」
「おぁ?!」

 反射的にガウリイさんは糸を引き寄せる。
 でも、所詮素人が寄り合わせた髪の毛。魚影が見えたところで、金糸の糸はぷつんと切れた。
「…………あーあ。急いで引くから……」
「オレの昼飯………」
「はいはい、ウチでご飯食べていきなさいな。ついでに泊めてあげるから」
 またガウリイさんの背中に凭れる。
 木漏れ日と、背中に伝わる温度が心地良い。
 わたしはなんとなく唄いたくなって、思いだした歌を口ずさんだ。


 希望の胸騒ぎを やつれた世の中は喜び迎える
 遥か彼方では 輝かしい新たな暁が


「なんて唄?」
「タイトル言ってもわかんないでしょ?」
「あ、そっか」
「賛美歌よ」


 鎖は断ち切られるだろう
 捕らわれし者もまた 我らが仲間なのだから


「………賛美歌って、天に向けて唄うものでしょう?
 でも、私は神様に唄を捧げるつもりは毛頭ないの」

 わたしが唄を捧げたいのは、ほんの一握りの人達だけだから。

「この空も、この大地も、ずっと辿ればリナの所に行き着くわ。
 だから、きこえなくてもいいの。リナが少しでも声を感じて、わたしを思いだしてくれたら、それでいいわ」

 思いだしてくれたら、便りを寄越す気にもなるかしら?

「………そっか」
「ね、ガウリイさん」
「ん?」
「このまま、少し眠っていい?」
「ダメ」
「なんで?」
「寝たら朝まで起きないだろ、お前」
「ぶー」

 ダメとかいいながら、ガウリイさんはわたしを跳ね除けたりしない。
 顔のすぐ傍で風に揺れる金の髪を指で弄び、さらりと風に放した。

「リナ、元気よね?」
「あいつが落ち込んだり病気したら、それこそ天変地異の前触れを疑うぞ、オレは」
「ひっぱたかれるわよ、それ」
「ナイショな」
「はいはい」

 針を使い切ってしまったから、もう釣りは出来ない。
 ガウリイさんは意味の無くなった木の枝をへし折って、川に放り込んだ。

「勘だけど、リナの奴、ゼルと合流して仲良くやってるんじゃないか?」
「……ガウリイさんの勘、当たるからなぁ。
 もしリナに必要以上のちょっかい出してたら、ゼルガディスさんに一発蹴りでも入れてシメておかなきゃ」
「脚折るなよ。あいつ硬いから」
「岩石くらいにわたしは負けないわっ!」
「踏まれるぞ、お前」
「ナイショね」
「はいはい」


「いつかまた、逢えるよね?」
「逢えるさ。オレが保証する」


 喜びに満ちた優しい賛美歌が
 感謝の歌を奏でる




*******************
世にも珍しいガウアメでした(笑)でもリナ総受けのつもりです。
「オー・ホーリー・ナイト」はTHE ECCENTRIC OPERAの
「NOEL」に収録されている方のイメージです。
知ってる人いないだろうなぁ(笑)

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24933リナちゃんモテモテ(笑)エモーション E-mail 2003/2/24 20:31:01
記事番号24929へのコメント

こんばんは。

ゼルリナちっくで、ガウアメっぽくて……その実体は……
リナちゃん争奪戦(笑)でしょうか?
モテモテです、リナちゃん。

実は基本はガウリナ推奨派なのですが、(その割に大抵のカップリング平気
というアバウトな奴。でもや○いはパス)別れても、「また会えるよな〜」と
のほほんとしているガウリイと、「リナに会いたーい」とガウリイに
寄りかかっているアメリアが何だか好きです。
案外アニメの「TRY」ではぐれたとき、こんな感じだったのかもと思いました。

とてもかわいいお話でした。
次の作品も楽しみにしていますね。
では、これで失礼します。

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24947彼女は愛されて無くては!(笑)緋崎アリス E-mail URL2003/2/26 01:10:26
記事番号24933へのコメント

こんばんわーv
そうですね、ある意味リナ争奪戦でしょうか(笑)
ゼルリナでガウアメでも、アメリアはリナが大好きだし、ガウリイもリナを肉親のように思ってるというのが理想なので。
実際争奪戦になれば、姫もゼルもなりふり構わんと思いますが(笑)

>案外アニメの「TRY」ではぐれたとき、こんな感じだったのかもと思いました
そうだったのかも知れないですねーv
(丁度そこ、早送りしてました……ゼルとリナしか見てなかった)

宜しければ、また次も読んでやって下さい。
では。