-超短編小説の真似事.最終-時計うさぎ(4/27-23:42)No.2508
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2508超短編小説の真似事.最終時計うさぎ E-mail 4/27-23:42

 さて・・・おくばせながら・・・最後です・・・・。

★☆★☆

「さ・・・くら・・・。」
 あたしは、目の前に広がる情景に目をみはる。
 遥か彼方に追いやられていた記憶が呼び覚まされ、薄紅桜が散る情景が、浮かび
あがる。
 ここは、ガイリア・シティからさほど離れていない、丘の上・・・彼方におぼろ
げにカタートが見え、横たわる岩と木々のドラゴンズピークを前に、あたしは後ろ
を振り返れば、ガイリア・シティの全てが一望できた。
「桜を、媒介に、亜空間を維持しているの?」
 あたしの質問に、ガーヴはぽりぽりと鼻をかきつつ、答える。
「ん・・?あ・・・まぁ・・・な。にしても、桜って良く覚えてたな?」
 愚問ね・・・たった数百年で、あの桜の木を忘れるものですか。
 あのときは、覇王が、よっぱらって、大変だったもの・・・ダルフィンは、カラ
オケにいそしむし・・・全てが、懐かしい話ね・・・。
 桜の花見に夜の酒宴・・・。
「何か、ここに、思い出でもあるのか?」
 ヴァルが、いぶかしげに訪ねる。 あたしは、思わず意地悪をした。
「あなたにはわからないでしょーねー、なんせ、ガーヴが腹心時代・・・ううん・
・・あなた生まれてないものねー。」
 あたしの意地悪に、ヴァルは、むっとした顔をする。
「カコの話なんかガーヴ様はいつまでもぐちらねーよ。」
「くすっ、甘いわね・・・腹心時代の全て苦だったわけじゃなくてよ。」
 ヴァルの頭に、100tが落ちたように見えた・・・。
 ちょっちやりすぎたか・・・・?
「ごめんごめん・・・腹心だけでね、花見をしたのよ。」
 あたしは、まだ五分裂きほどの桜の木を見上げる。
「花見?」
「ええ・・・あのときは、一人を覗いて、大人だったからね、お酒と、カラオケと
・・・。」
「ふぅーん・・・。」
 ヴァルの気の無い返事もきにせず、あたしは言葉を続ける。
「夜桜が一番、あたしは好きだわ。」
 と、いきなり、ずずいっっと、あたしの目の前に酒びんが出現する。
「ほえ!?」
 あたしは、その酒ビンの後ろにぼやけて見える、ガーヴの顔を見た。
「夜の帳はもう既に落ちてきてっからな、後一時間もすりゃぁ夜桜見物できるぜ?
あと、ガイリア・シティの夜景もな。」
 あたしは、ずっしりと重い酒ビンを持つと、コップとつまみといった軽いものを
持ってるガーヴをみると、
「なんで、女たるあたしが、重い物で、大男の方がコップとつまみなのよっ!!」
 という。
 ガーヴはそれを、鼻で笑い飛ばすと。
「お前が女だって事なんて忘れてたぜ?」
「なんですってぇぇぇぇぇっ!?」
 あたしは、ひゅぉっっと、右足を高々と蹴り上げる、しかしガーヴは、コップと
つまみをヴァルにぽんとなげ渡し、上体を反らして避ける。
 すると、ひょんっっと、巨体には似つかわしくないすばやい動きで桜の第一枝に
登る。
「あっ、ガーヴ様っ!!」
 ヴァルも続き、あたしも、しぶしぶついていく。
 中は 光が桜の花に遮られ、結構暗かった。
 ガーヴが右手を高く掲げると、赤い炎がゆらり、と浮く。
「へぇ・・・けっこう、綺麗なのね?」
「うわぁ・・・・。」
 あたしと、ヴァルの感嘆にいたく満足したらしく、ふんぞり返るガーヴ。
 そんなにふんぞり返っていたら 落ちるわよ?ガーヴ。
 
 その日、あたしは、ガイリア・シティの夜景と、夜桜と、清酒に酒宴を楽しんだ

 久々の、宴だった気がする・・・。
 帰った時、何をしていたのか、ゼロスに追求された時は困ったけど・・・お土産
に、桜の小さな枝を渡したら、きょとんとして口つぐんでね・・・。
 あのときは、楽しかった・・・・本当に・・・・。

 END

 あぅぅぅぅぅ・・・ここまで読んでくださいましてありがとうございました。
 続き物なのに書くのは遅いしっっ!!
 ごめんなさい・・又ごえんがありましたなら・・・。

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2512Re:超短編小説の真似事.最終松原ぼたん E-mail 4/28-18:34
記事番号2508へのコメント
 面白かったです。完結おめでとう御座います。

>「桜を、媒介に、亜空間を維持しているの?」
 粋なことを・・・・。
> ヴァルの頭に、100tが落ちたように見えた・・・。
 お気の毒・・・。
>「ええ・・・あのときは、一人を覗いて、大人だったからね、お酒と、カラオケと
>・・・。」
 あの・・・・魔族に未成年者って・・・・。外見はとにかく。
> すると、ひょんっっと、巨体には似つかわしくないすばやい動きで桜の第一枝に
>登る。
 おるなよー。
> あのときは、楽しかった・・・・本当に・・・・。
 今となってはすべては思い出の中・・・・ですか。

 本当に面白かったです。
 では、新作のほう見てきますので。

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2522ありがとぉございました時計うさぎ E-mail 4/28-23:44
記事番号2512へのコメント
松原ぼたんさんは No.2512「Re:超短編小説の真似事.最終」で書きました。
> 面白かったです。完結おめでとう御座います。
 文化祭間近で、パソコンに向かう機会が無くて、最終がとてもおくれてしまいましたぁ・・す
みません。

>>「桜を、媒介に、亜空間を維持しているの?」
> 粋なことを・・・・。
 魔族だからできるのよっ♪

>> ヴァルの頭に、100tが落ちたように見えた・・・。
> お気の毒・・・。
>>「ええ・・・あのときは、一人を覗いて、大人だったからね、お酒と、カラオケと
>>・・・。」
> あの・・・・魔族に未成年者って・・・・。外見はとにかく。
 もちろん、冥王フィブりん・・・身体も精神年齢も、子供なんですもの。

>> すると、ひょんっっと、巨体には似つかわしくないすばやい動きで桜の第一枝に
>>登る。
> おるなよー。
 ガーヴの体重っていくらでしょー???

>> あのときは、楽しかった・・・・本当に・・・・。
> 今となってはすべては思い出の中・・・・ですか。
 魔族に麗しい過去の思い出はいらないっ・・・のかもしれない・・・。
>
> 本当に面白かったです。
> では、新作のほう見てきますので。
 どうもありがとうございますm(__)m

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2591追憶(超短編小説の真似事・続編)時計うさぎ E-mail 5/6-02:16
記事番号2508へのコメント
「ヴァル・・・ヴァル・・・?」
 俺の混沌の縁にあった意識を呼び戻す声は、美声だった。
 そして聞き覚えのある声。
「う・・くぅ・・・。」
 瞼をしばたかせ 手でこすり、目を覚ましてみれば・・・白の絹のレースが上から垂れ
下がっており、銀と水晶のコントラストの綺麗な下品でない豪奢な彫刻の施された天涯付
きベッドだった。
「久方ぶりね。」
 俺は、声のする方を見やる。
 そこには、見知った顔・・・魔族の親玉赤眼の魔王の腹心足る獣王ゼラス=メタリオム
がいた。
 ウェーブのかかった金髪に白の簡易ドレス・・・昔見た旅人姿とは異なり、威厳あるど
うどうとした姿だった。
「てめぇ・・・やっぱり魔族ってことに変りはないんだなっっ!!!」
 俺は、ゼラスに食って掛かった。
 なぜなら・・・ガイリア・シティに来たリナ=インバースを迎え撃つべく行ってしまわ
れたガーヴ様の後を追っている途中、こいつがいきなり、事もあろうに背後から、俺を吹
き飛ばし気絶させたんだからなっ!
「ちょっと、まちなさい・・・魔族って事に変りはないって、よもやあたしがあなたを吹
き飛ばしたなんて思ってるんじゃぁないでしょうね?」
 ゼラスは、困惑と苛立ちの表情で俺にいった。
「てめぇ以外誰がやるって言うんだっ!!それに、早くガーヴ様の元へっっ!!」
 俺は、相当焦っていた。
 ラルタークが倒されたってガーヴ様が、凄まじい形相でいってたからな。
 そんな奴が人間にいるんだという好奇心とともに、俺の体内で、警告が鳴り響いたんだ
・・・「これは罠だっ何か裏がある」って。
 それを、ガーヴ様に知らすべく・・・おっていたのにっ!!!
「血の気が更に多くなったようね・・・。参考に言うけど、あたしは、あなたを助けた側
のものよ・・・。」
 ゼラスはそういうと、ぱちんっと指を鳴らした。
 黒い翼を生やしたワルキューレが二体 一匹の魔族をがんじがらめに 室内に入ってく
る。 ゼラスは、その魔族に持っていたキセルを突き付け、顎を持ち上げる。
「こいつの名は、アルゼルト・・・冥王軍の中級魔族よ。 特徴は・・って説明したい所
だけど、滅びゆく者の説明なんていらないわね。」
 俺は、黒々としたのっぺりの頭に、やせこけた老人のような体を持つ魔族をまじまじ見
やり、こいつに背後から攻撃されたのか・・・と、改めて感じた。
「獣王サマっっ!!おぬしは、魔族を裏切るとゆーかっ!!???反逆者ガーヴの手先の
ものを助けるとは。」
 アルゼルトが吠える。
 しかし、ゼラスは、ふっっと鼻で笑い飛ばすと、キセルを、ひゅんと、回転させ、彼の
額(?)にぶち当てる。
 ぱしゃぁっっ!!!
 それが、中級魔族アルゼルトの最後だった・・・。
「口の利き方には気をつけることね・・・滅び行くものよ。」
 俺は・・・初めて、ゼラスが恐ろしいものだと言う事を感じた。
 いっしょに桜をめでた時の彼女ではなく ここでは、一回の腹心魔族として、王として
、君臨しているのだと!
「疑って悪かったな・・・しかしっ・・・何故その場で起こさなかった!!!、あんな他
だったらそれぐらいおてのものだろう!!これでガーヴ様においつけないっい場所もわか
らないっ!!」
 俺は、目頭に熱いものを感じたが、叫び狂った。
 ゼラスは、さみしげな笑みを浮かべて、ベッドに座ると、俺の頭を優しくなでた。
「行かせる事などできなかった・・・この後起こる惨劇を知っていたから・・・魔族ゆえ
ん・・・ガーヴがアストラルを通り行くのを傍観するしかなかったけどね。」
 どういう意味か最初、混乱した頭では分からなかったが・・・ゆっくり言葉を理解して
いってみれば・これは・・・見殺しにしてしまったと暴露している言葉ではないかっ!!
「なっ・・・惨劇っ何の事だっ!!」
 俺は・・・ゼラスの胸座を掴み上げる。
 ゼラスは俺の腕をそっと優しく下ろすと、厳しい目で「よく聞きなさい。」と目で合図
した。
「冥王フィブリゾ・・・あたしの同僚かつ、腹心内でかなり実力のあるもの・・・。
 彼が、彼の計画のためとガーヴと混じった人間を殺すべく動いた・・・けれどね、ガー
ヴは、フィブリゾに反抗した・・・昔っから仲の悪い二人だったわ・・・。
 それでね・・・彼は・・・ガーヴはね・・・・リナ=インバースが生み出せし闇の刃に
切られたガーヴは・・・その彼によって・・ヴァル?!」
 ゼラスの制止の言葉も聞かず、俺は、部屋から出ようと、ベッドを降りた。
 俺は、自分の体の中で、ガーヴ様の魔力が 怒りで熱くなるのが分かった。
 煮えたぎる溶岩のように熱くなり、リナ=インバースとか言う人間の名前が脳裏に反芻
する。
「シェル!リーザ!彼を止めなさいっ!」
 ゼラスの命令に、先ほどの魔族を連れてきたワルキューレ二体が、槍を持って、俺の前
に立ちふさがる。
 だが俺の掌に集まった高圧の魔力の前に 彼女たちはなす術も無く消滅する。
「ちっ。」
 軽い舌打ちがゼラスの口から漏れ出る。
 俺は、歩みを進めた。 
 ふいに・・・俺の前に、黒い影が現れた。
 と・・・「どんっ。」と異様な衝撃音とともに 意識がブレイク・アウトする。

「獣王様・・・彼を部屋に呼びこむなんてどーゆーおつもりですか?」
 ヴァルの意識を再び混沌の縁へと追いやったのは獣王ゼラス=メタリオムに忠誠を誓う
獣神官ゼロスだった。
 ガーヴに斬られた傷の回復を報告しに彼女の寝室に出向いた時、ちょうど彼が出てくる
とこだったというわけである。
「やきもちやきね・・・ゼロスは・・・。」
「獣王様っ!?」
 ゼロスが非難の声を上げる。
 ゼラスはくすくす笑うと、彼女の玉座の前で、気絶しておる、彼を見下ろした。
「ヴァル・・・。」
 彼女の小さな呟きが 虚空に溶けるなり、彼女はがばっと立ち上がる。
「ゼロス・・・フィブがこっちに帰ってきたわ・・・ばれるとこのこもやばい・・・あた
し達が貼った結界の外へ出して・・・エンシェントドラゴンの墓地へと、彼を転送させな
さいっ!」
 ゼロスは、彼女の命に従おうとはせず、動かないまま、反論を唱える。
「獣王様っ!!情けですか?戯れですかっ!?彼を、冥王様にお引き渡しくださいっ!」
 ゼロスの反論に、ゼラスの手が閃く。
 ごぉぅっ!!
 衝撃波が、ゼロスの体を駆け抜け、ゼロスは、後ろへ吹き飛ばされる。
「反論を許した覚えはないわ・・・我が僕、獣神官ゼロスよ。」
 ゼラスはそういうと、ヴァルの体に手をつく。
「空を渡れ彼の者よっ! そなたの生まれ故郷へと送り届けてやろうぞっ!!」
 ゼラスの言葉と共に、光が部屋を見たし・・・・。
 おさまったときには、ゼラスとゼロス以外、その部屋には誰もいなかった。

 END


 ヴァル君は実はその語に、グラボスとジラスに会うわけですねー・・・。
 うーん・・・あたしなりのストーリはこんな感じ。
 いかがでしたでしょうか?

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2594Re:追憶(超短編小説の真似事・続編)松原ぼたん E-mail URL5/6-20:34
記事番号2591へのコメント
 面白かったです。

> それが、中級魔族アルゼルトの最後だった・・・。
 むなしいねぇ(笑)。
> ゼラスの制止の言葉も聞かず、俺は、部屋から出ようと、ベッドを降りた。
 そんなこと聞いたらおちついてられないわよね、いくら何でも。
> ゼラスの命令に、先ほどの魔族を連れてきたワルキューレ二体が、槍を持って、俺の前
>に立ちふさがる。
 部下がワルキューレってのいいですね。
>「やきもちやきね・・・ゼロスは・・・。」
 ・・・・話を逸らそうとしてるな。
>「ゼロス・・・フィブがこっちに帰ってきたわ・・・ばれるとこのこもやばい・・・あた
>し達が貼った結界の外へ出して・・・エンシェントドラゴンの墓地へと、彼を転送させな
>さいっ!」
 ちょっと身勝手かも・・・・。
>「反論を許した覚えはないわ・・・我が僕、獣神官ゼロスよ。」
 ゼラス様・・・・強いですね。

 本当に面白かったです。
 ではまた、ご縁がありましたなら。