◆−キリングミー・ソフトリー−緋崎アリス (2003/3/13 12:16:35) No.25155 ┗Re:キリングミー・ソフトリー−エモーション (2003/3/13 21:32:27) No.25162 ┗感想ありがとうございますv−緋崎アリス (2003/3/15 01:22:30) No.25181
25155 | キリングミー・ソフトリー | 緋崎アリス E-mail URL | 2003/3/13 12:16:35 |
ちょっとだけダークなゼルリナです。 ラブラブ希望の方は避けるが吉。 ************************ 俺の腹の上に馬乗りになったまま、リナはこう言い放った。 「今すぐあんたを殺してあげようか?」 「出来るのか? お前さんに」 「出来るわよ。あの時は魔法が使えなかったけど、今はそうじゃないわ。 それに、こうしてあんたの首を絞めることだって出来るのよ」 首に掛けられた指先に、力が籠もる。 けれど岩の肌を纏うこの体が、女の細腕でどうにか出来るわけがない。 俺は眼を閉じ、リナの好きにさせる。 リナはたぶん、渾身の力を込めているのだろう。 しかしその指先が肌に食い込むことはない。圧迫されたが故の息苦しさは多少有れども、首にマフラーを巻き付けた程度の圧力でしか感じない。 やがて、リナの指から力が抜けた。 「どうした? もう終いか?」 リナは口惜しそうに唇を噛み、柳眉を吊り上げて俺を見下ろしていた。 殺せないことがそんなに口惜しいのか。 何だか可笑しくて、唇の端を持ち上げた。たぶん彼女の目には、嘲笑として映っているだろう。 俺の首に手をかけたまま、リナは不意に身を屈めた。 頬にかかる、栗色の髪。絹にも似た感触が、わずかに頬を掠める。 そして覆い被さってきた、小さな容(かんばせ)。 眼を閉じようともせずに、噛み付くようなくちづけが落とされる。 触れるだけのくちづけは直ぐさま啄みへと変わる。 「…………………!」 噛み付くようだったくちづけはそのまま、文字通り俺の唇に噛み付くという行為へと変化した。 唇を覆う薄い皮膚が食い破られて、じわり滲んだ血液が顎を伝う。 躰を起こしておのが唇を濡らす唾液と血を手の甲で拭い、リナは婉然と笑った。 「ほら、分かったでしょう? あんたが合成獣(キメラ)だろうがなんだろうが、あたしにだって殺せないことはないのよ」 口の中に金臭い血の味が広がる。とっくに慣れてしまった生臭いニオイ。 錆の味がする唾液を呑み込んで、俺はまた笑う。 「そんなにまでして、俺を殺したいのか」 「そうね。そうかもしれないわ。いっそ、殺してやりたくなるの」 「どうして?」 「たぶん―――――…………惚れたから」 「手に入らないのなら、いっそ、壊してしまいたくなるものよ」 「……………同感だ」 栗色の髪に顔を隠し、俯く彼女を抱き寄せる。 柔らかな体をきつく抱きしめて、唇に触れた。 「俺も、あんたを殺してやりたくなる。 手に入らないのならば、いっそ…………な」 二度目のくちづけは、痛みを伴う血の味がした。 |
25162 | Re:キリングミー・ソフトリー | エモーション E-mail | 2003/3/13 21:32:27 |
記事番号25155へのコメント こんばんは。 精神的にチクチクという感じですね。 でも、ラブラブな感じがする……というよりラブラブに見えます(笑) あんたたちってば……ふっ、という……(笑) 「手に入らないなら殺したくなる(壊したくなる)」って、 これもまた、文字通り殺し文句ですねv ……もっとも基本が互いにラブラブだから通用する殺し文句で、 そうでなければ、ただのはた迷惑な自己中の無茶苦茶な理屈……。 とても矛盾しまくる複雑怪奇な人間の感覚です。 ラブラブで一緒にいるのが一番いいのは確かなんですけど。 今回も楽しませていただきました。 ちょっとダークでちょっとドキドキするゼルリナでしたね。 次の作品も楽しみにしています。 では、短いですがこの辺で失礼します。 |
25181 | 感想ありがとうございますv | 緋崎アリス E-mail URL | 2003/3/15 01:22:30 |
記事番号25162へのコメント ら、ラブラブに見えますか……(笑) もっと殺伐とした感じになればよかったのですが、 いかんせん私の実力不足で(苦笑) ゼルリナ萌えと言う名のガソリンが足りないよ……(笑) >……もっとも基本が互いにラブラブだから通用する殺し文句で、 >そうでなければ、ただのはた迷惑な自己中の無茶苦茶な理屈……。 >とても矛盾しまくる複雑怪奇な人間の感覚です。 ごもっともです(笑) 相反する感情を持つからこそ人間は愉快だと思うのです。 ま、ぶっちゃけ「可愛さ余って憎さ百倍」っちゅう奴でしょうか(笑) わざわざ御感想ありがとうございました。 それではv |