◆−あいかわらずな僕ら−遙 琥珀 (2003/3/13 17:46:47) No.25158
 ┗Re:あいかわらずな僕ら−D・S・ハイドラント (2003/3/13 18:28:56) No.25159


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25158あいかわらずな僕ら遙 琥珀 2003/3/13 17:46:47


覇王軍は、貧乏だった。
「……ダメだ……
 このままでは貧乏が板に付いたカマボコになってしまう」
「何を訳の解らない事を仰いやがってるんですか覇王様」
「……もう一度正しく」
「仰ってるんですか覇王様」
のっけから、よく解らないやりとりを交わしている…覇王、そしてシェーラ。
「カマボコは包丁で切り取って食べるんですよ」
「…………………………」
笑顔のシェーラをジト目で見る覇王。
シェーラもやがて、真顔に戻る。
「ていうか……そんなに貧乏なんですか?ウチの軍」
「無駄に四人も部下創ったから、給料が大変で」
「はあ、そうですか」
覇王の嫌味(?)気にも留めず……彼の前に置かれた『おこづかいちょう』と書かれたノートを手に取る。
ひよこさんとチューリップ柄のノートである。入手経路は不明。
ぱらぱらと捲って……顔をしかめる。
「……………覇王様………………
 なんですか?この『ホワイトデー』って……
 一ヶ月の軍資金、四分の一も使ってるじゃ無いですか」
「あぁ?知らないのか?」
やたら真面目な顔のグラウシェラー。
因みに、シェーラはちゃんとホワイトデーを知っている。
数日前、任務から帰ってくると、部屋が薔薇で埋め尽くされており、香りで咽せたのが記憶に新しい。
メッセージも何も無かったが、誰がやったのかは大体解る。
「いや……
 知ってますけど……こんなにお金使うイベントじゃ無いはず……」
「そうか?
 我は、『バレンタインデーに貰ったものは、ホワイトデーに三百倍返し』と聞いたぞ。
 全員に返していればそれくらいの出費だが」
「………………………………………………………………………………
 それ、誰に聞きました?」
「海王だが」
「……やっぱり」
はぁぁ、と溜息を付くシェーラ。
因みに実際は三倍返し。
「しかし……どうしよう」
「…………………………」
まず、アンタが軍の財布握ってる時点から間違ってる―――――――――――――――――
突っ込みかけて止めるシェーラ。
給料カットされては大変である。主人のご機嫌は取っておきませう。
「…………………………………そうだ」
顔を上げるグラウシェラー。
シェーラを見て……にぃぃっ、と笑う。
シェーラの背筋を、何か冷たいものが走った。
「……ではこれにて失礼します」
「待て。」
くるりと踵を返したシェーラの軍服の裾を、むずっと捕まえる覇王。
「……なんでしょうか」
ヤな汗かきつつ問うてみる。
覇王は、めちゃくちゃ爽やかな笑み(怖)を浮かべ、ぽんっ、と、シェーラの肩を叩いた。
「フィブリゾに貢がせるというのはどうだ」
「は?」
思わず聞き返すシェーラ。
「……無理でしょう……それは」
冥王は、女に貢ぐタイプではない。
どちらかと言えば、貢がせるタイプなのでは無いだろうか。
「……それじゃ……」
考える覇王。
「冥『嫌です。」
二つの台詞が変な重なり方をする。
覇王の台詞を、シェーラが中断させたのだ。
「嫌ですッ!冥王軍に身売りなんて、ぜ――――――――ったいヤですからねッ!」
冥王神官将軍陣にどんな扱いを受ける事か。
保身の為に首を振るシェーラ。
「……なにゆえそんなに嫌がる」
「……なにゆえそんなに勧める」
むぅ、と睨み合う二人。
何処かから縄を取り出し、じりじりと詰め寄る覇王。
だらだらヤな汗流しつつ、じりじりと後退るシェーラ。
なんだかとっても異様な光景。
二人の間の緊張感(?)が、ピークに達した瞬間……
「やっほー♪」
ばんっ!
派手な音を立ててドアが開く。
「あれ?グラウシェラー、縄なんか持って何してるの?」
「……ふぃぶりぞさま……」
うるうるとした視線を冥王に向ける。
「?」
首を傾げるフィブリゾ。
「何の用だ」
「……………………
 ま、いっか。深く考えない事にしておくよ。
 あのねー。この間ちょっと物質世界に出たんだけどー」
どんっ。
大きいバスケットを取り出すフィブリゾ。
中に沢山果物が入っている。
「果物の安売りやっててね。
 ほら、僕甘いもの好きじゃない。
 安かったし…と思っていっぱい買ったんだけど…食べ切れなさそうなんだ。
 だから、ね、お裾分け」
にっこりと笑って差し出す。
「……………………」
バスケットを受け取るシェーラ。
そのまま、くるり、と覇王の方を向いて……
「貢がせました」
「?」
「…………………………」
フィブリゾが、この前の会話を聞いていたとしたら、慌ててバスケットを取り返そうとしただろう。
なんとなく、そう思う覇王だった。

覇王軍は、貧乏だった。

そして、今もやっぱり貧乏である。



















言い訳あんど言い逃れ。

読み切りでした。
…………………………………………………………………………………………………
我ながらしょうもない話でしたな。
フィブシェラ………なんでしょうね。きっと。
フィブシェラ好きなんですよー。なんつーか、可愛いカップルでしょ?外見的に。
イラストとか書く時も、気が付いたらフィブシェラ書いてたりします。
大好きです。ええもう。(遠い目)

取り敢えず、言う事が無くなったのでこの辺で。
それでは、また巡り会う時の来る事を祈って……



                                                    幕。

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25159Re:あいかわらずな僕らD・S・ハイドラント 2003/3/13 18:28:56
記事番号25158へのコメント

>「……ダメだ……
> このままでは貧乏が板に付いたカマボコになってしまう」
ううむ凄い・・・でも文章じゃないと通じにくいだろうなコレ
>「何を訳の解らない事を仰いやがってるんですか覇王様」
やがってる・・・って・・・怒りとかいい加減出てるんですかねえ。

>「そうか?
> 我は、『バレンタインデーに貰ったものは、ホワイトデーに三百倍返し』と聞いたぞ。
> 全員に返していればそれくらいの出費だが」
300倍って・・・女性側には滅茶苦茶お得。

>冥王は、女に貢ぐタイプではない。
>どちらかと言えば、貢がせるタイプなのでは無いだろうか。
まあそうですね。
貢くタイプは・・・う〜ん・・・・・・・・・・・・・・・ポルテ君(話が違う)

>覇王軍は、貧乏だった。
>
>そして、今もやっぱり貧乏である。
一応『覇』と凄い名なのに・・・。


>読み切りでした。
お疲れ様です。
>…………………………………………………………………………………………………
>我ながらしょうもない話でしたな。
>フィブシェラ………なんでしょうね。きっと。
>フィブシェラ好きなんですよー。なんつーか、可愛いカップルでしょ?外見的に。
まあそうですねえ。
>イラストとか書く時も、気が付いたらフィブシェラ書いてたりします。
はあ・・・イラスト書きたい・・・努力とか苦労ととかの過程を省いて(コラ)
>大好きです。ええもう。(遠い目)
・・・私もフィブシェラ書いてますねえ。
シェーラちゃんがキャラ変わってるかも知れないけど・・・。
フィブシェラは良いですねえ。ガーシェラも良かったかも知れないような気もする。
・・・シェーラちゃんは挟んだ方が面白いかも知れない。

いやあ凄い。面白かったです。
触発されたので何か書くかも・・・。

それではこれで失礼致します。
他の長編(伏せる意味なし?)も無理せずがんばってください。

 by琥珀さんの追っ掛け D・S・ハイドラント