◆−ゼロリナです。−鈴咲時雨 (2003/3/19 13:55:17) No.25248 ┣Re:ゼロリナです。−鈴咲時雨 (2003/3/19 13:57:48) No.25249 ┗はじっめまして♪−氷月椋佳 (2003/3/19 14:15:48) No.25250 ┗Re:ありがとうございます〜(感涙)−鈴咲時雨 (2003/3/20 13:42:09) No.25264
25248 | ゼロリナです。 | 鈴咲時雨 | 2003/3/19 13:55:17 |
私が最期に見た夢は、 滑稽としか云いようが無かった だけど私は自分の滑稽さを 幸福だと言って今別れを告げる 霞んだ視界の中で、私は彼の名を呼んだ。 「……ゼロ、ス………」 別れたのはもうずっと昔なのに何故今その名が出るのだろう。一人で過ごした時の中では一度もその名を呼びはしなかったその名。私は今呼んでいた。決して、もう会うことは出来ないであろうその名を。 納得して別れた筈だった。いつか会えなくなることが分かっていて、分かれるときによりつらくなることが分かっていて、『それでもいいから』と逢瀬を重ねた。その責に、分かれた後は決して思い出さない。決して後悔しないと誓い、今まで守ってきていた。 守れる、筈だった。 「ゼ、ロス……」 それが今はこの様だ。 今こうして全ての時間が終わりを告げようとする中で思い出すのは彼の名と、彼が残した多くの記憶。 そしてもう会うことは出来ないという絶望感。 頬に、涙が伝うのが分かる。 「……ゼロス……っ……!」 会いたかった。今この一瞬だけでもいい。会いたい。 「……呼びましたか?」 何時か昔に、聞きなれた声。 自分の滑稽さが、ついに幻聴を呼んだのだと思った。 しかし、それは違った。 瞬間に、目の前の空間がゆがむと、そこから一塊の闇が生まれ出て思わず私は目を見張った。それは今この瞬間に私が望んだ姿を取り、私に向かって笑んだ。 「お久しぶりです、リナさん」 それは昔私の隣にいた頃のまま何も変わってはいず。 久しく聞いた彼の言葉は、私の中にとても空虚に、そしてとても愛しく響いた。 「駄目ですねぇ。言ったじゃあないですか。もう僕を呼んではいけませんよ、って」 どこか楽しそうに、流暢に言葉をつむぎだす彼の声は昔となんら変わっていなかった。だが、私の口は、もう声を出そうとすることさえ難しかった。それでも、何とか声を出して彼の言葉に応じた。 「……御免、ね……。その、つもりだったんだけど……。……いい、でしょう?……最、期、くらい……」 「……ええ」 私の言葉(最も、言葉として聞き取れるかはわからないほどに拙い)に、彼は静かにうなづいた。 そう、もう最期なのだ。私は。 何時からだったろう。体がおかしくなりはじめたのは。 自分の記憶が間違っていないのならば、ガウリィと別れ、ゼフィーリアからまた旅に出てからだったと思う。自分の体になぜか魔力が満ち溢れ、今まで使えなかった魔法が次々と使えるようになり、挙句には呪文を必要とせずに魔法を使えるにいたった。 今、自分の体には何の外傷も無い。病気を患っているのでもない。にもかかわらず、今私は死のうとしている。一息吸うごとに心臓がはね、毒が体の中で膨れ上がる。一体何故、そうなってしまったのか。それはもう、その急激な魔力の上昇以外に理由が無かった。 そしてそれは、彼がここに来た理由をも告げていた。 「……ゼロス、訊いてもいい?」 「……何をですか?」 「ここに来た理由よ」 声を出して微かに驚いた。声を出すのが随分楽になっていたのだ。おそらく、ゼロスが何らかの方法で自分の声を支えているのだろう。ありがたかった。 「……ええ」 「デモン・ブラッド。……そうよね、ゼロス」 「……ええ」 「……」 「あなたの体に吸収されてしまったデモン・ブラッド……。それを回収するのが今回の僕の仕事です。本来ならこんなこと、必要ないんですが……なにぶん、あなたは飲み込まれてしまいましたからね、あの石を。……あなたが死んだあと、あなたの血でまたデモン・ブラッドを生成しなおす。ゼラス様はそうおっしゃってます」 「……そう」 「しかし言っておきますが、あなたの体が壊れたのは決して魔族の所為じゃありません。あなたは人間の体で、魔王の力を吸収したんです。それは一部でしたが、それでも人間の体には相当な負荷になりました。……だから、あなたは死ぬんです」 「……わかってるわ。ゼロス。……丁寧な説明をありがとう」 体が狂い始めてから、いつかこんな日が来るだろうとは思っていた。本当ならそれは恐怖であり戦慄なのだろう。だが、自分は違った。 胸にあるのは、ただの愛しさ。 「……リナさん?」 ゼロスが驚いた目で私を見た。(ああ、あんたがそうやって目、開くの見るのって初めてだった気がするわ、ゼロス)。 私は笑った。 顔を動かすのは、かなりきつい。 「……結構、苦しいから一息でラクにして欲しいな〜、って思ってるんだけど、駄目?」 「……」 一瞬の沈黙のあと、ゼロスは答えた。その顔から笑みが消えていたと、思う。 「わかりました」 私の言葉に、ゼロスは杓丈を構え――、違った。 霞む視界の中で、ゼロスは確かに杓丈を捨てた。 (え?) 瞬間、腰と頭が支えられた。 ――冷たい、手。 顔にゼロスの髪がかかった。 (――ああ、そうか。) 私は目を閉じた。 唇に冷たいぬくもり。 彼は、今この瞬間に、初めてキスをくれた。 「……ありがと」 「――愛していましたよ、リナさん」 「……」 その瞬間体は軽くなった。おそらく、体という概念が私の中から消えたのだと、思う。 私が最期に見た夢は、 滑稽としか云いようが無かった だけど私は自分の滑稽さを 幸福だと言って今別れを告げる |
25249 | Re:ゼロリナです。 | 鈴咲時雨 | 2003/3/19 13:57:48 |
記事番号25248へのコメント 前々から書いてみたかったゼロリナを書いてみました。 うう……段落とか入れ忘れてかなり読みにくくなってしまいました(涙) |
25250 | はじっめまして♪ | 氷月椋佳 | 2003/3/19 14:15:48 |
記事番号25248へのコメント はじめまして、氷月椋佳(ひづきりょうか)です > > 私が最期に見た夢は、 > > 滑稽としか云いようが無かった > > だけど私は自分の滑稽さを > > 幸福だと言って今別れを告げる > おおう!なんかはじめっからすごい詩が!!・・・・って興奮すな、 >霞んだ視界の中で、私は彼の名を呼んだ。 > >「……ゼロ、ス………」 > >別れたのはもうずっと昔なのに何故今その名が出るのだろう。一人で過ごした時の中では一度もその名を呼びはしなかったその名。私は今呼んでいた。決して、もう会うことは出来ないであろうその名を。 >納得して別れた筈だった。いつか会えなくなることが分かっていて、分かれるときによりつらくなることが分かっていて、『それでもいいから』と逢瀬を重ねた。その責に、分かれた後は決して思い出さない。決して後悔しないと誓い、今まで守ってきていた。 >守れる、筈だった。 > >「ゼ、ロス……」 > >それが今はこの様だ。 >今こうして全ての時間が終わりを告げようとする中で思い出すのは彼の名と、彼が残した多くの記憶。 >そしてもう会うことは出来ないという絶望感。 > >頬に、涙が伝うのが分かる。 > >「……ゼロス……っ……!」 > >会いたかった。今この一瞬だけでもいい。会いたい。 >「……呼びましたか?」 きゃぁぁぁぁぁ!!来たきたぁ!(ゲシッ)ってシリウスな場面で興奮すなって >何時か昔に、聞きなれた声。 >自分の滑稽さが、ついに幻聴を呼んだのだと思った。 >しかし、それは違った。 >瞬間に、目の前の空間がゆがむと、そこから一塊の闇が生まれ出て思わず私は目を見張った。それは今この瞬間に私が望んだ姿を取り、私に向かって笑んだ。 > >「お久しぶりです、リナさん」 > >それは昔私の隣にいた頃のまま何も変わってはいず。 >久しく聞いた彼の言葉は、私の中にとても空虚に、そしてとても愛しく響いた。 嬉しいでしょうねぇ・・・・何も変らず、来てくれたことに >「……御免、ね……。その、つもりだったんだけど……。……いい、でしょう?……最、期、くらい……」 >「……ええ」 > >私の言葉(最も、言葉として聞き取れるかはわからないほどに拙い)に、彼は静かにうなづいた。 >そう、もう最期なのだ。私は。 > >何時からだったろう。体がおかしくなりはじめたのは。 >自分の記憶が間違っていないのならば、ガウリィと別れ、ゼフィーリアからまた旅に出てからだったと思う。自分の体になぜか魔力が満ち溢れ、今まで使えなかった魔法が次々と使えるようになり、挙句には呪文を必要とせずに魔法を使えるにいたった。 >今、自分の体には何の外傷も無い。病気を患っているのでもない。にもかかわらず、今私は死のうとしている。一息吸うごとに心臓がはね、毒が体の中で膨れ上がる。一体何故、そうなってしまったのか。それはもう、その急激な魔力の上昇以外に理由が無かった。 >そしてそれは、彼がここに来た理由をも告げていた。 うぐぅ・・・・なんか泣いちゃう・・・・ >「……結構、苦しいから一息でラクにして欲しいな〜、って思ってるんだけど、駄目?」 >「……」 > >一瞬の沈黙のあと、ゼロスは答えた。その顔から笑みが消えていたと、思う。 > >「わかりました」 > >私の言葉に、ゼロスは杓丈を構え――、違った。 >霞む視界の中で、ゼロスは確かに杓丈を捨てた。 > >(え?) > >瞬間、腰と頭が支えられた。 >――冷たい、手。 >顔にゼロスの髪がかかった。 > >(――ああ、そうか。) > >私は目を閉じた。 >唇に冷たいぬくもり。 >彼は、今この瞬間に、初めてキスをくれた。 > >「……ありがと」 >「――愛していましたよ、リナさん」 >「……」 > >その瞬間体は軽くなった。おそらく、体という概念が私の中から消えたのだと、思う。 最後の最後でhappy end・・・・・・・えっぐ・・・・ひっく・・・なんか感動ものの話に弱いよう > 私が最期に見た夢は、 > > 滑稽としか云いようが無かった > > だけど私は自分の滑稽さを > > 幸福だと言って今別れを告げる 素敵な詩です・・・・・ とても感動できるようなお話しでしたv・・・・・あたしには到底無理だわ |
25264 | Re:ありがとうございます〜(感涙) | 鈴咲時雨 | 2003/3/20 13:42:09 |
記事番号25250へのコメント >はじめまして、氷月椋佳(ひづきりょうか)です はじめまして〜。一月に一度書くか書かないかのスレイパロ書き。鈴咲時雨と申します〜。 >> >> 私が最期に見た夢は、 >> >> 滑稽としか云いようが無かった >> >> だけど私は自分の滑稽さを >> >> 幸福だと言って今別れを告げる >> >おおう!なんかはじめっからすごい詩が!!・・・・って興奮すな、 ! ありがとうございます〜!詩を書くのすっごい苦手でこれもやっつけなんです。まさかお褒めの言葉をいただけるなんて!ありがとうございます〜! >> >>瞬間、腰と頭が支えられた。 >>――冷たい、手。 >>顔にゼロスの髪がかかった。 >> >>(――ああ、そうか。) >> >>私は目を閉じた。 >>唇に冷たいぬくもり。 >>彼は、今この瞬間に、初めてキスをくれた。 >> >>「……ありがと」 >>「――愛していましたよ、リナさん」 >>「……」 >> >>その瞬間体は軽くなった。おそらく、体という概念が私の中から消えたのだと、思う。 >最後の最後でhappy end・・・・・・・えっぐ・・・・ひっく・・・なんか感動ものの話に弱いよう >> 私が最期に見た夢は、 >> >> 滑稽としか云いようが無かった >> >> だけど私は自分の滑稽さを >> >> 幸福だと言って今別れを告げる >素敵な詩です・・・・・ >とても感動できるようなお話しでしたv・・・・・あたしには到底無理だわ ありがとうございます〜! ただその、ここちょっと訂正入ります。 本当は(以下↓) >> >>「……ありがと」 >>「――愛していましたよ、リナさん」 >>「……」 >> >>その瞬間体は軽くなった。おそらく、体という概念が私の中から消えたのだと、思う。 >> >>「……私もよ、ゼロス」 >> 私が最期に見た夢は、 >> >> 滑稽としか云いようが無かった >> >> だけど私は自分の滑稽さを >> >> 幸福だと言って今別れを告げる という……。 最後にリナの台詞が入るんです(><) ワープロで打ったのコピペしたので、その際のミスです。(アアアアア) 段落とかも全くなし……げふっ 近いうちに3行あるかないかの微々たる訂正をしてリベンジしに来ます(爆) それでは、本当にありがとうございます〜! |