◆−記憶のない彼 番外編@ ゼロスの恋路[−風柴流 (2003/3/29 10:33:27) No.25381


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25381記憶のない彼 番外編@ ゼロスの恋路[風柴流 2003/3/29 10:33:27


番外編、最終話! なのにツリーが落ちちゃったし。
というか投稿するのが随分と久しぶりな気がする。

ダルフィンは恐る恐る瞳を開く。
その先には信じられない光景が待っていた。
フィブリゾから以前聞いていた話ではギガ・スレイブは混沌を具現化する術であり、制御に失敗すれば世界は滅びる。
しかし、ダルフィンは生きている。
周りにある奇麗な花も、血で染まった赤き花も全て何ともなっていない。
消えたのはリナ=インバースただ一人。
「ど・・・どういう事ですの!? それに魔王様はどこへ・・・・・・」
「魔王城へ送ってやったわ」
いきなり聞こえた声にダルフィンは驚き、振り向く。
そこにいたのは金髪の美しい女性。
「ま・・・・・まさか・・・あなた様は・・・」
嫌な予感が頭をよぎる。
そして、それは的中する。
「随分と昔に何度か会ったことがあるのだけど覚えてないでしょーね。
 私はあんたの予想通りの存在。
 悪夢をとべる王、ロード=オブ=ナイトメア」
さらりといった一言にダルフィンはへたりと座り込んだ。
「部下Sに伝言。
 この世界は私のお気に入りだから滅ぼさない事。
 ただし人間が絶滅しない程度だったら好き勝手やってOK.
 それから、もう子供たちに淋しい思いをさせないよーに。
 以上、よろしく頼むわ」
言うだけ言って消えた。
あのお方とゼラスってやっぱり似てますね。
へたり込んだまま苦笑するダルフィン。
言うだけ言っていなくなる所とか、そっくりですよ・・・。
意味もなく、花畑に寝転がる。
花の香りは感じない。
花の感触も感じない。
魔族だから。
滅びを求める者として、あのお方は創った。
ならば、なぜ――――
「私たちには『心』があるんでしょう・・・?」
答える存在はいない。
ダルフィンは、きっと人間ならこんなときに涙を流すのだろうと思った。
その涙が嬉し涙なのか悲し涙なのか。
本人にすらわからぬ事。
複雑な気持ちで立ち上がり、向かう。
魔王様のもとへと――――

その後、第二次降魔戦争がはじまる。
フィブリゾ、ガーブ、ゼロス、シェーラがいなくなった魔族側。
水竜王、火竜王、スィフィードナイトがいなくなった神族側。
力は互角だった。
しかし途中で何者かの手によってグラウシェラーの力が戻り、結果は魔族側の勝利。
その『何者か』がロード=オブ=ナイトメアだということは誰も知らない。

そして時は過ぎ――――

午前十一時。
噴水に腰を掛け、腕時計を見る青年が一人。
「うーん・・・寝坊でもしたんでしょうかねぇ」
不安げな表情をする。
その隣で、
「遅いわね・・・・あと五分経ったら帰ろうかしら・・・・」
同じく腕時計を見ながら嘆く美女が一人。
そこへ――――
「ごっめーん! ゼロス、待ったー?」
青年の方へ走りながら叫ぶ栗色の髪の少女―――リナ。
「すみません、ルナ! 待ちましたか?」
同じく美女の方へ走りより、言う男―――S。
二組は逆の方向へ歩いていく。

「カップルだったらケーキ半額! なんて変な店よねー」
「そうですねぇ。と、それよりその店に行った後はどうします?」
「うーん、そうねぇ・・・・・・・暇だし映画でも見に行く?」
「はいvv」

「ふふ・・・微笑ましい光景ね」
「ゼラスに聞いた話では、またゼロスの片思いみたいです」
「ふーん、けど今度は同じ種族だもの。大丈夫でしょう」
「私たちのように――――ですか?」

これから、この二組がどのような道をたどっていくのか。
それは、あのお方の気の向くままに―――――――――

で、番外編がやっと終わりました。
これからは本編に戻ります。
以上☆★☆★