◆−GAME−潮北 かずら (2003/4/1 00:56:28) No.25414 ┣Re:GAME−颪月夜ハイドラント (2003/4/8 20:32:46) No.25505 ┃┗Re:GAME−潮北 かずら (2003/4/8 22:53:03) No.25511 ┗はじめましてです!−びぎなーいっく。 (2003/4/26 01:32:23) NEW No.25706
25414 | GAME | 潮北 かずら | 2003/4/1 00:56:28 |
こん○○わー。 気づいたら最後の方にちょこーんとしていた、前ツリー。 というわけで、落ちるのを待って、再投稿です……。 とほほぉ……。 では、どうぞ。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 街は明日の祭りの影響で、朝から活気付いていた。三日間続く祭りの準備だけに、準備もまた、大掛かりなものだった。見ているだけで高揚感が沸いてくる。リナ達が引き受けたメイン・イベントは最終日に行われるので、前の二日間があれば、祭りは十二分に堪能できるだろう。 準備に追われる人々を横目に、リナ達はマルセルと共に城へと向かう馬車の中にいた。 「今日は顔合せと、チョットした打ち合わせみたいなものだけですから」 と言うマルセルに、リナは訪ねた。 「何で評議長は来なかったの?」 登城するのに秘書が一人だけ。普通は疑問に思うのも当然だろう。せめて協会のお偉いさんが一人くらいは付いて来てもよいものである。 「まぁ評議長も、準備等、色々と忙しい身の上ですから」 彼はさらりと答える。だが内心は、ドキリッ、としていた。 言える訳がない。 「リナ=インバースと居たら、わしゃ殺される。怖いから、行きたくない……」 そんな理由で登城を拒否したなどと。無論、こんな評議長の態度をみれば、他の人間が同行しようと思うはずもない。だが、知れたら大事である。それ以前に、本人の耳に入れば、マンセル自身、この場でどんな目に合わされることか……。 「マルセルさん、城と協会の距離はどのくらいあるんですか」 アメリアが聞いてきた。 「経路にも寄りますが、最短は今通っている、この一本道です」 「一本道かぁ。と言うことは、あんましこの道は使えないわけね」 リナは窓の外を見る。道幅はかなり広い。しかし、出店が所狭しと軒を連ねるならば、この道は人でごった返すことだろう。 「逃走経路は好きにしていいんでしょ」 「基本的に街から出なければ、何処を通っても構いません。あと、それほど害がない程度に収めるなら、術の使用もOKです」 「本当に、いいのか?」 とゼルガディス。 「一応、被害を見越して、修繕費はいくらか予算に組み込まれています。が、場合によっては請求されることもありますので、その辺りは、気を付けて下さい」 マンセルは 「ちなみに、その予算ってどのくらいなの?」 自分の行動とはいえ、自覚はある。そういう意味では、日頃の行いを客観的に見れるリナとしては、やはり気になるところだろう。組み込まれた予算の額。それによって、どの程度の術が、どれだけ使えるか、予算が判れば推し量ることもできる。 「そうですね。家屋で十軒ぐらいはあると思います」 「そ……そんだけ……」 せこいなぁ……。 ついでに心で呟くリナ。当たり前だが、それはリナの感覚だからである。 普通に考えれば、十分な予算だ。 「おいリナ」 ガウリィが口を開いた。 「頼むから、町ごと吹っ飛ばすのだけはやめてくれよ」 「分かってるわよ。あたしだって、高だかゲームに、そこまではしないわよ!」 信じるに難有りな返答である。 どうだかな……。 ゼルも一人、心でゴチた。無論、口には絶対に出さない。 しかし――。 この憂いが現実になりかねない遣り取りが、今日の目的地にあろうとは、この時の一行には知る由も無かった。 城門をくぐり、しばらくして馬車が止まる。 「さぁ、着きました。いきましょう」 マンセルは馬車の扉を開けた。 目の前にそびえたつ城は、見上げるにつけ、なんとも圧迫感のあるものだった。 「さぁ、こちらです」 マンセルが導く。 「で、敵陣で、いったい誰に会おうっての? 普通に考えたら、対戦相手の警備隊かなんかだろうとは思ってるんだけど」 「基本的に対戦者同士の顔合わせは予定されてはいません」 「へ? そうなの?」 意外な答をする、マンセル。 「本当は、そういう人たちとも会っておいた方がいいのでしょうが……。過去の経験から言って、大抵は喧嘩になってしまうんです。大人気ないというか、なんと言いますか……」 リナも苦笑した。祭りは人を熱くさせるものでもある。日が近づくの連れて、早くも血気盛んになるのも、まぁ、分からない話ではない。しかし、それで喧嘩していたのでは、迷惑もいいところである。 「今日は祭りの総責任者でもある、大臣に会っていただきます。まぁ、気軽にお茶でも飲みに行くつもりでいてください」 リナたちは、大臣の執務室に通された。城の中は複雑なつくりではなかったが、通路はそれほど広くなく、その割りに、やたらと長かった。 途中で何人かの兵士に呼び止められ、そのたびにマンセルが同じ説明を繰り返した。 突き当りを右折し、一番奥の部屋の前に立つ。 「ここです」 二度のノックに了解の返事が返され、マンセルは戸を開いた。 「失礼します。アレンさん」 扉の向こうでは、反対の壁の窓から入る光が、真っ先に来客を迎えてくれる。 「いらっしゃい、マンセル」 すぐに返事が返ってくる。が、しかし、姿は見えない。 部屋の中はとても綺麗に片付いていた。普通この状態で、声はすれど姿がないというのは、一種妙な光景である。 ……? 「ここだよ」 一同が部屋に入り、戸を閉めたとき、ようやく部屋の主の姿が確認された。扉で出来た死角の中に、高い脚立の上で、分厚い本を持って座っている青年の姿がそこにあった。 アレンは一同を見渡す。 「この方たちだね、今年の花形は。これはまた、随分と斬新な泥棒たちだ」 金の髪を外巻きにカールさせて、白い服に身を包んだ若い男は、黒縁の眼鏡を外しながら言った。爽やかな笑顔が眩しい。笑顔といえば、似たようなのが一同の側にも一人いるのだが、そこはそれ、誰かさんと違い、無条件で人を和ませる、そういった類の素敵な笑顔の好青年だ。 「はい。しかし、実力は折り紙つきですよ、アレンさん」 マンセルは自信を持って答える。 開いていた本に栞を挟み、静かに本を閉じる、アレン。 「ずいぶんと若い大臣ですね」 ゼロスはリナに小声で呟く。 「そうね」 だが、ゼロスで無くとも、マンセル以外の全員が、アレンの若さに驚いていた。責任の重さゆえに、壮年以上の男性のイメージが付いて回る大臣の役職に、どう見ても三十歳手前、見方によっては二十代前半でも通用しそうな青年が就いてるのである。珍しいと見るに難はない。 「そうですか。それは楽しみだね」 脚立から降りるとアレンと呼ばれた男は、徐に部屋の隅に移動し、そこに設置された棚から湯飲みを取り出して、お茶を淹れ始めた。 「あ、ちょっと待っててくださいね」 振り返ると、やはり笑顔で、そうリナたちに言った。おかげで、リナたちの目は、そろって点のようになっていた。 …………。 「……あの……何をなさってるんですか?」 疑問を持たせる行動に、アメリアが訊ねる。 「見ての通りです」 側にいたマンセルが言う。その応えが聞こえたのか、アレンは小さく声を立てた。笑っているようだ。 「……あの人って、大臣って言ってなかったか……?」 珍しくもガウリイが問い直す。 「ええ。この国で一番、有能な大臣ですよ」 「……で、その有能な大臣が、何やってるの?」 「ですから、見ての通りです」 そんなやり取りを他所に、当の優秀な大臣は、 「今、お茶を淹れますので、少し待ってくださいね」 と、自分のペースで接客の準備を進めている。 …………。 「何故に大臣自らが、お茶を……」 と、アメリア。 「はっはっは、皆さんそう仰います。でも――」 急須を持ち上げながら、アレンは応えた。 「うちの祖母がお茶にうるさい方でしてね。いつしか私も感化されてしまったもので」 「メイドなり秘書なりに、任せたらいいのに」 とリナ。 「それもそうなんですがね。みなさん仕事は難なく出来るんですが、お茶の方はイマイチでして。だから、ついつい自分で入れてしまうんですよ。まぁ、そのほうが美味しいですし。あ、どうぞ、適当に座ってください」 「は…はぁ……」 気の抜けた返事が零れ返された。 しかし、いったい如何したものか。一同はマンセルに無言の訴えを向けた。とはいえど、こればかりは向けられた方も困るというものだ。マンセルも汗を流しつつ、苦笑するばかりである。 「で、ですから、お茶でも飲みに来たと思ってください、って言ったじゃないですか。まぁ、とにかく座りましょう」 促されるままに、一同はどうにか席に付くのだった。大臣の部屋に在るだけあって、座り心地はすこぶる良い。手触りも最高である。しかし、当の部屋の主がこの状態では、さすがに落ち着くに気が引けてしまう。 其処にアレンが、お盆に載せたお茶を、両手で持って来た。 「そうそう。まだでしたね、自己紹介。私はアレン、アレン=ラスベールといいます。さ、どうぞ、粗茶ですが」 アレンはお茶を差し出した。緑の液体が湯飲みの中で左右に大きく波立ちながら、くるりと回る。 受け取った全員は言われるままにお茶を啜り込んだ。茶の香りが嗅覚を包むと後に、口の中に上品な苦味と、溶けるような甘味が広がる。 「あ……」 「お……」 「これは……」 「おいしい!」 次々に上がる感嘆の声に、アレンは満足そうにうなずいた。その様子を横目に、マンセルが付け加えるように言う。 「アレンさんが淹れると、出涸らしですら玉露になると言われてます」 「なるほど。まさに甘露ですね」 ゼロスまでもが褒める。 「ありがとうございます」 アレンはぺこりと頭を下げた。その顔は、とても嬉しそうだった。 そしてまた、このお茶のおかげで、リナたちの中にあった微妙な不快感は、すっかり一掃されてしまった。 「それにしても、マンセル。今年は際どかったね。ぎりぎりでも、役が決まってほっとしたよ」 「はい。気を揉ませてしまって済みませんでした。ですが、待った会はありましたよ」 「そのようだね。使いの人から、名前は聞いているよ」 「アレンさん――」 マンセルはリナを示し、 「この人がリナ=インバースさんです」 と、紹介する。 「どうも……」 と、多少なりと頭を下げるリナ。 「はじめまして。まさか、あのリナインバースさんにお会いできるなんて、正直思いもしませんでした」 お茶の効果か、噂を持ち出されても、リナの機嫌は変わることは無かった。 和やかな朝のひと時であった。 アレンとの挨拶と詳しい説明がおわり、城から出てきたリナたちは、いきなり視線の渦にまきこまれた。誰ともなく、ひそひそと交わされる会話が流れてくる。敷き詰められた敷石の上を歩く一行は、一種の見世物のような状況だった。 リナたちにしてみれば、祭りの責任者たちの顔合せ兼、敵情視察といったところだが、相手となる衛兵もまた、相手を知る絶好の機会だったのだ。 「なんだ、ガキじゃねぇか」 「この分なら、今年は楽勝だな」 ひそひそと、そんな囁き声がリナの耳に届く。仕事中とはいえ、やはり気になるのか、衛兵たちは誰もがリナたちの姿に一度は眼を向けていた。しかし、見たとたん、だれもが笑みを零す。すれ違う者たちだけでなく、遠目に見ている者たちですら、五人を好奇と嘲笑の対称にしているのは明らかであった。 なんか雰囲気がやだなぁ……。 向けられる視線に、首筋の辺りがチクチクと不快感を訴える。 何事もなく温和に済んだ後だっただけに、気分は最悪である。 「なぁ、リナ。なんか首の辺りが痒くないか?」 ガウリィが話しかけてきた。頭の中はスライム並みでも、感覚は超一級品。こういう事には敏い。アメリアも辺りを気にしているし、普段から視線を気にしているゼルがディスなど、フードを目深に被り直している。それでも歩調を変えることなく歩く一行。出口を過ぎれば何事もなくなる、誰もがそう思っているのだろう。だが……。 「よう、マンセル!」 城門の手前で、一人の男が前に立ちはだかった。 「こんにちは、叔父さん」 現れた男に、マンセルはそういた。 「へ? 叔父さん? あんたの?」 はばかることなく聞くリナに、マンセルはハイと肯いた。その頬に何か引きつるような動きがあったのを、リナは見逃さなかった。 「叔父のエクセブです」 そしてため息を一つ。 「警備隊の隊長を務めています。三日後の、皆さんの対戦相手の一人ですよ」 近づくにつれリナも、なるほど血縁者だな、と思った。遠目では判りづらいが、近くで見ると確かにどこか似ている。 「久しぶりだな。こんな日にここに居るってことは、そこの者たちが、今年の相手か?」 「ええ。今回の泥棒役の人たちですよ」 ふん、とばかりに一行を見る。そうして見渡し終えると、叔父は含み笑いを漏らした。 「おいおい、今年は捨ててかかる気か? こんな小娘なんぞに……」 リナの目つきが凶悪に変わる。 「小娘っ?」 マズい! 嫌なモノを感じたか、マンセルも慌てて叔父に抗議する。 「やめてください、叔父さん! そうやって見た目で判断すると、酷い目に合いますよ!」 「何が酷い目だ。こんな十四、五の小娘に……」 「ちょっとっ! 誰が十四、五ですって?」 リナの抗議が飛ぶ。 「あの、すみませんリナさん。叔父は昔っから口の悪い人ですが、悪気は……その……。ですから、落ち着いてください。」 何とか落ち着かせようとするマンセル。だが、悲しいかな、彼の言葉はリナには届かなかった。そして、実の叔父にも……。 「ふん、自覚のないやつだな。十四、五でなければ、いくつだ? 十二か? 十三か?」 「あんですってー!? おっちゃん! 目ぇ悪すぎんじゃないの!?」 マンセルの努力をよそに、最悪の事態へと事は急変路を駆け進む。 互いに互いを罵り合う二人の顔からは、余裕が徐々に無くなっていった。険悪な雰囲気に一分と持たず、説得していたマンセルの足は、一歩、また一歩と後退し始めた。 「なぁ」 頭をかきながら、頬を引きつらせた顔で 「コレって止めた方がいいんじゃないか?」 と、ガウリィはゼルガディスにいった。 「そりゃそうだろうな……雰囲気がやばいぞ」 と、ゼルガディス。 「で、でも、どうやって止めるんですか?」 アメリアも問う。しかも、問いながら右足が後退している。 「問題は其処だな……」 ゼルガディスの額に浮かぶ汗が、一筋の流れ星のように頬をすり抜け、顎から地面へと滴り落ちる。傍目には落ち着き払っているように見える彼だが、内心はかなり焦っているようだ。 しかし実際問題として今の三人には、リナを止めろといわれて止める自信などない。説得を試みるくらいは出来ても、せいぜいその程度が限度であろう。正直になれば、この場に踏み止まっている事だけでも、三人にとっては最大の勇気であった。五十歩百歩であろうが、即行で茂みに身を隠さないだけでも、立派である。悩む三人の端で、売り言葉に買い言葉が飛び交う。しかし、どれほど実力があろうと、その身をもって覚えた説明しがたい感覚が、無意識に身体を縛っては何も出来ない。 そして、ついに……。 黄昏より暗きもの 血の流れより赤きもの 「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁー!!」 悲鳴を上げるアメリア。 「落ち着け、リナっ!」 「ガウリィさん! 何とかしてくださいっ!!」 正義を愛する姫君も、時として他力本願に走ってしまうこともある。空かさずアメリアはガウリィの背中を押して前に出そうとした。 「ヴえっ!? まっマテッ、俺は……っ!」 ガウリィは足に力を込めてブレーキをかける。 時の流れに埋もれし 偉大なる汝の名において 「え〜〜!? じゃぁ、ゼロスさんっ!」 「へ!? ぼ、僕ですか……?」 「止めてくださいっ、リナさんをっ!!」 「そうは言われましても……」 困った顔をするゼロスを、アメリアは涙を浮かべた目できつく睨み付け、 「とぉ〜めぇ〜て〜く〜だぁ〜さいっ!!」 と詰め寄った。その迫力に、ゼロスは手で宥めるようにアメリアを静止しようと試みる。無論、そんなことで足りるなら、彼も多少の苦手意識を抱くなどという、苦労を負うわけが無い。 ……。 「仕方ありませんねぇ……責任は取りませんよ」 頬をぽりぽりとかきながらも、諦めたゼロスはすばやくリナに近づくと、後ろから後頭部を錫杖で殴りつけた。 …………。 あたりは水を打ったように静かになった。 一同が呆気に取られるなか、殴られたリナはその場にあっさりと倒れこんだ。 「これでいいですか」 アメリア達だけでなく、居合わせた衛兵たちまでもが、目を丸して当事者の二人を交互に見ていた。 「あらら……」 門に面した窓の一つから、人影が覗いていた。アレンである。 「いけませんね、女の子を殴っては」 一部始終を見ていた彼はそっとつぶやく。しかし、それもまた、爽やかな笑顔で締めくくると、颯爽と歩き出すのだった。 「いやはや、今年は今までに無く楽しい祭りになりそうですね。大臣になるのは、一年早すぎたかな」 辺りがざわめきを取り戻す頃、アレンはもと来た道をたどり、執務室へともどった。閉じられるドアの隙間から、外の騒ぎが追い付いて来るが、完全に閉めると、全てが遮断された。 一人きりの部屋の中で、アレンは黙々とお茶を入れ始めた。 傾く急須の注ぎ口から、白い湯気が立ち上ると供に、流れ落ちる緑色の小さな滝が、滝壷ならぬ湯呑みの底に飲み込まれていく。 アレンはその場でお茶を啜りこんだ。はぁ、とため息をつき、気持ちを落ち着かせる。 「やはりお茶は、自分で入れるに限りますね」 自分のためだけに煎れたお茶である。美味しくないわけが無い。 「しかし、参りましたね。後悔するなんて……」 曇った眼鏡を外す。アレンは陽気に笑っていた。その顔は、年不相応に幼く見え、まるで少年のようだった。 「まぁ、それならそれで、何とか手を打ちましょっかね」 ニッと笑い言って、アレンは一気にお茶を飲み干した。 ――三十分後 「なぁ……」 ……。 「どーするんだよ……」 ……。 真に困っているガウリィと距離をとり、ゼルガディス、アメリア、ゼロスの三人は、戻ってきた宿の部屋の入り口の影に隠れて、そぉ〜っと覗くように様子をうかがっていた。 「なぁ、ゼルぅ……」 「何で俺に振る……」 「うわぁっ! ガウリィさん、こっちに来ないで下さいっ!」 踏み出したガウリィに、アメリアもまた、あからさまに突き放す言葉を投げつけた。 「そうですよ。振動でリナさんが気が付いたら、如何するんですかっ!」 ゼロスも同様。 「あのなぁ……」 三人の視線の先で、ガウリィは目端に涙を浮かべて情けない表情を作っていた。 無理も無い。 ガニ股気味に開かれた足に、少し腰を落とした格好のガウリィの腕には、眠れる獅子ならぬ、気絶したリナが、確りと抱えられていた。 「何で俺だけ除者にするんだよう」 「だってガウリィさんは、リナさんの保護者じゃないですか」 と、アメリア。 「気絶させたのは、ゼロスだろう……」 「ぼ、僕はアメリアさんにせがまれて、仕方なくやったまでです。それ以上のことは、お断りさせていただきます」 「なんでだよぅ……」 ガウリィの顔は更に情けないものへと変わってゆく。 「あきらめてくれ。この国の為にもなるんだ」 と、ゼルガディスも沈痛な面持ちで言う。 「旦那一人が犠牲になれば……」 「……そんなぁ……」 しかし、なんだかんだといっても、最終的に我が身がかわいい三人であった。 翌日。 朝の穏やかさは、長くは続かなかった。 「ところで、昨日さぁ……」 朝食をお腹にいれ、ふぅ、と一息ついたところで、リナがそう切り出したからだ。 「あぁっ! 今日はいい天気ですね。あぁ、そうだ。私お祭りをもっと近くで見てきます。ぜ、ゼルガディスさん、一緒に行きましょう!」 アメリアは横槍が入らないよう早口に言うと、隣に座っているゼルガディスの腕を取って、立ち上がった。 「そうだな、それがいい」 わざとらしいやり取りを交わしながら、アメリアとゼルガディスは早々にその場を退散する。 「んなぁっ! あ、そうだった。俺トイレに行くつもりだったんだ。んじゃな!」 ガウリィも適当な言い訳を残して、そそくさと席を立つ。 「あぁ、ガウリィさん、ぼくも……」 「ちょっとゼロスっ! あんたはトイレなんて関係ないでしょうが!」 …………。 「……はい。そ、そうでしたね……」 リナは人差しゆびで下を指し、座るようにゼロスに示す。 「せっかく注文したのに、お茶全然飲んでないじゃない。勿体無いわよ」 「はぁ……」 観念したか、ゼロスは座り直して、お茶のカップを持ち上げるのだった。覗くカップの中でゆれる液体に、困惑している自分の顔が映し出されるのを見ると、ゼロスは大きくため息をついて、一くち、口に含んだ。 「で、昨日のあれは一体どういうつもりだったのかなぁ……」 ドキッ! ゼロスは危うくは吹き出しそうになるのを何とかこらえた。だが僅かに、口元に滲み出てきている。ゼロスは傍にあったナプキンで、お茶をふき取った。 「それはですねぇ……」 しかし、その先に言葉が続かない。テーブルの反対側で、ニコニコと笑みを浮かべているリナ。しかし、眉間にはしっかりと皺が寄っていた。 ゼロスの額にも、うっすらと汗が浮かぶ。こういう顔を作る時のリナは、絶対に無茶なことを言ってくると相場が決まっていたからだ。 「僕は頼まれて……」 「頼まれようが何だろうが、殴ったのはゼロスよね」 …………。 「本来なら、ドラグスレイブ、んにゃ、あんただからギガスレイブものよね」 ………………。 「ひょっとして、まずかったって、ちょっとは思ってたりするわけ?」 「……いえ、あ、まぁ……それは………………はい……」 あきらめてゼロスは頷いた。 「んじゃ、きっちり詫びいれてもらいましょうか」 リナはテーブル越しに顔を近づけると、手でゼロスを呼ぶ。 つられるように顔を近づけたゼロスの耳を引っ張り、 「実はねぇ――」 リナはひそひそと耳打ちしはじめた。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 変なところで終わってしまいました……。 次の投稿はいつになるかなぁ……。 それにしても、これを読んで下さる人って、いるんでしょうか……? じつは、感想とかってあんまし貰ったこと無いんで、そのあたりはホント不明です。 ……いや、さらっと流してくださるだけででも、ココまで読んでくださる人もきっといるんだろうと心のどこかで信じているんですが……。いるにしても、いないにしても、判らないというのはホントにドキドキします。 ……知らない方がいい事もあるってもんかもしれないんですがね。 というところで、ここまで読んでくださった、其処のお方。 この次も読んで下さいましたら幸いです。 |
25505 | Re:GAME | 颪月夜ハイドラント | 2003/4/8 20:32:46 |
記事番号25414へのコメント こんばんは ガメ?・・・いや、ゲエムか(何) まず発想から面白いです。 泥棒ゲーム・・・どのように描写されるか楽しみです。 それに文章も整ったような感じがしますしやや長文気味でしたが、比較的読みやすかったです。 大臣さんは何か企んでいたりしてたりしてるんですかね。 後悔?手を打つ? 何か起きるとか? 以降の展開が楽しみです。 では短いですがこれで・・・ |
25511 | Re:GAME | 潮北 かずら | 2003/4/8 22:53:03 |
記事番号25505へのコメント こんばんは〜。 読んでくださってありがとうございます! そのうえ、感想まで下さって……。うれしいです。ありがとうございます。 >ガメ?・・・いや、ゲエムか(何) (笑)はい、ゲームです!(^^;) >まず発想から面白いです。 >泥棒ゲーム・・・どのように描写されるか楽しみです。 楽しみだと言って頂けると、とても嬉しい! 発想ですか? いやぁ……単に近所の子供が警泥ゲームをしていたので、拝借しただけなんです。(爆) >それに文章も整ったような感じがしますしやや長文気味でしたが、比較的読みやすかったです。 や、やや長文気味……。すみません……。本当はもっと短くこまめに区切っておけばよかったのですが、一度タイミングを外すと、そのまま駄々ズべりに機会を外しまくってしまいました……。(ごめんなさい) >大臣さんは何か企んでいたりしてたりしてるんですかね。 >後悔?手を打つ? >何か起きるとか? 企んで頂かなければ、困ります!(爆) でないと、出した意味が無い……。でも、このままだとあんまし出番がなさそうです。(笑) どうしましょう……。(実は切実な悩みです。って、此処で言っても仕方ないですね。^^;) >以降の展開が楽しみです。 (大爆!)でも……うーん……。 今後の展開も、おそらく大多数の方が予想しているかもしれない展開かもしれない、と、考えるとチョット頭が痛いです。 まぁ、とにかくがんばります。 ので、また機会がありましたら、続きもどうぞよろしくお願いします。 何はともあれ、読んで下さって、本当にありがとうございました。 |
25706 | はじめましてです! | びぎなーいっく。 | 2003/4/26 01:32:23 |
記事番号25414へのコメント はじめましてです!いっくともうしますです!m(__)m 大臣さん企んでます!ってかんじですね。 善人っぽい人ほどそりゃあもうくだらないことを企んで欲しい・・・(をい) すっごく楽しみですv なんだか突っ込みたかった台詞はゼロスの・・・ >「仕方ありませんねぇ……責任は取りませんよ」 でした。 ゼロスが責任をとった試しがあるのか?(笑) >それにしても、これを読んで下さる人って、いるんでしょうか……? はーい!!!いまーす!!!(>o<)/ なかなか定期的には来られないのとものぐさで読み逃げになってしまって いるのですが・・・・(撲殺) >というところで、ここまで読んでくださった、其処のお方。 >この次も読んで下さいましたら幸いです。 絶対読みます!っていうか読ませてください! 続きを楽しみにしております!! 追記:ハイドランド様のれすを拝見して思ったのですが、 うちのほうは方言で盗むことを「がめる」っていうんですよね・・・・・(笑) たぶん方言・・・?いや、それだけなのですが・・・。 ではでは、またかずら様の楽しいお話に出会えることを期待しつつ・・・。 |