-異界黙示録伝《風の書》その3-魔沙羅  萌(5/2-21:43)No.2559
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2559異界黙示録伝《風の書》その3魔沙羅 萌 5/2-21:43

今回からの《風の書》の一人称は毎度おなじみのアグニ姫です。はい。


――さようなら……無事でいてね……
少女のもう聞こえない耳にその声が入ってきた。
……ネオン……?
聞き覚えのある声に少女は視線を扉の方に移した。
しかし、少女の求めている人はそこにはいなかった。
……わかりきっていたことではあるが。
――そうだよね……彼女はもうココにはいないもの……
言葉と聴覚を奪われた少女はまた、視線を妖精城の方へと向けていた。
その瞳には果てしない怒りと哀しみ、そして絶望をのせて。


瞳の奥に


今はもう、パックも、アメリアさんも、ゼルガディスさんも、押し黙ったままでいる。
無論、私もそうなんだけど……今の私にはそうであるべきだとさえ思えている。
ネオンも、フェアルも、パックも、ジブも、3年前、私たちに力を貸してくれた妖精。
オベロンは何を考えているんだろう?
それとも……フェニックスが言っていた《魔王》と何か関係があるのかも。
それにしても私の遠い日の仲間が2人。この世から去ってしまうなんて……。
「……ついたよ。ティタニアのここがキメラ研究所。きっとフェアルはこの中に……」
パックは暗い声でそう呟いた。ここがキメラ研究所……。
暗いなあ。流石洞窟の中にあるだけあって。
「しかし…どうやって入り込む?
いくらなんでも中に敵がいないなんて考えられんが」
ゼルガディスさんは声のトーンを落として私たちにそう話し掛けてくる。
「決まってます!正面突破しかありません!
こっそりと侵入なんて卑怯者のやることです!」
アメリアさんは妙な力説をとなえている。
まあ、そういう考え、私的には嫌いじゃあないんだけど……。
「アメリア……そんなことしたらどうなるかわからんか?」
ゼルガディスさんは疲れた声でアメリアさんにそう言い放つ。
まあ、わからないこともないんだけど。
「どこから入っても変わらないと思うわ。こっちにはパックもついてるし」
「どういう事だ?」
「彼の悪戯の技は天才的です。警備兵なんかに負けません。
それに……時と場合によっては手段をえらばない……それも私の正義の1つです。
そして、なににしろ、道徳に反したり、事情も無しに人の命を奪ったりすのものも正義に反します。オベロンもティタニアもだから許すわけにはいきません!」
私は2人にそういってからパックを促して入口の方へと歩き出した。
フェアル=ビーンを助けるために。

〔続く〕

……この章、結構長いです。
なんか某ゲームはいってるし。
まあいいけど……。

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2561Re:異界黙示録伝《風の書》その3松原ぼたん E-mail 5/2-23:27
記事番号2559へのコメント
 面白かったです。

>しかし、少女の求めている人はそこにはいなかった。
 何かかなしいですねー。
>いくらなんでも中に敵がいないなんて考えられんが」
 ここまで来ていなかったら別の意味で罠ですね。
>それに……時と場合によっては手段をえらばない……それも私の正義の1つです。
 ある意味立派だわ。
>なんか某ゲームはいってるし。
 何?

 本当に面白かったです。
 ではまた、ご縁がありましたなら。