◆−正義論(ヴァルアメ)−颪月夜ハイドラント (2003/4/16 18:10:40) No.25606 ┣エピローグ−颪月夜ハイドラント (2003/4/16 18:12:21) No.25607 ┣プロローグ−颪月夜ハイドラント (2003/4/16 18:14:34) No.25608 ┣エターナル−颪月夜ハイドラント (2003/4/16 18:15:16) No.25609 ┗後書−颪月夜ハイドラント (2003/4/16 18:33:32) No.25610
25606 | 正義論(ヴァルアメ) | 颪月夜ハイドラント | 2003/4/16 18:10:40 |
序文 この話について・・・まずご注意を。 意味不明っぽいです。 わけ分かんないかも知れません。 だからもしそうならば、適当に読み飛ばしていってみたりすると良いかも知れません。 それでは・・・。(最新ツリーが私のなので変わりないと思いましたので、新ツリーにさせていただきました。) |
25607 | エピローグ | 颪月夜ハイドラント | 2003/4/16 18:12:21 |
記事番号25606へのコメント ――知って欲しいからじゃない 混乱して欲しいだけさ―― ――エピローグ―― 数十億年の叡智。 そのすべてが混沌を生み出した。 だが、夜空を見てみよ。 蒼闇の空白には数多の光が散りばめられている。 それらは、けして交わりもせずに、久遠の時を生き続けている。 善も悪も正義も、けして存在しない秩序。 世界誕生の副産物か? 大いなる宇宙(コスモス)。 いざ、夜空を見てみよ。 光が満ち溢れていく。 一瞬の変動では・・・ない。 だが時など意味を持たぬ。 止まった時間。一夜の永遠がそこにある。 現実には偽りでしかないが、すべてを感じるのは心。 絶対の秩序があった。 夜の王――月に照らされ、風とともに踊る大地。その接触が聴きようには寂しげな、あるいは情熱的な音調を成す。 だが虚無はありえない。 心はすべてを感じる。美しさのみでけして満水にはなりえない。 望むのは恐怖、さもなくば苦痛、苦悩。 悪魔が住まう。その種は常に片隅に・・・。 虚空はやがて1つに染められた。 憤怒、憎悪、嫉妬、猜疑、羨望、強欲、傲慢、怠惰、不平、不満、不義、堕落、絶望、邪心・・・悪。 映るのは2つの瞳孔にのみ。許されるのは1人の双眸にのみ。 知ではない。それは悪魔でしかない。 数十億年の叡智。 そのすべてが混沌を生み出した。 今も拡大を続ける。止まった時間を放っておいて・・・。 世界の喧騒をすべてその耳に受けたように思えた。 世界の悲愴がすべてその身に降り掛かったようにも思えた。 重圧。 虚ろの鎖が締め付ける苦痛。 熱い。それは情熱の役者。 奮起した心。だが縛られている。 そんな縮小された想像は自身の一部を得ていた。 あるいは矛。 無数の盾を目の前とした。 敵いはしない。 数十億年の叡智。 そのすべてが混沌を生み出した。 そして止められない。 だが、夜空を見てみよ。 蒼闇の空白には数多の光が散りばめられている。 それらは、けして交わりもせずに、久遠の時を生き続けている。 善も悪も正義も、けして存在しない秩序。 天は違う。 盾も矛もあらぬ世界。 正義とは何か? それは真新しい疑問ではあった。 だが連続した既視感。情報量を完全に浸食するがほどの・・・。 すべてが過去と重なる。ゆえに既視感ではない。 剥がれて生まれた疑問。解放であったやも知れぬ。 天の理は正義。宇宙の理は絶対の正義。 いやすでに正義などでない。超越しているのでなかろうか。 あるいはそれが存在することが、それの存在を否定するか? 天理愛。 ふと浮かんだ言葉。文字ではない。 荒れている世界。荒み切った貧しき地上に・・・天理愛。 救いの言葉。文字ではない。 天理愛。 初めて聞く言葉にして、既視に満ちたそれ。 自問自答の風景だ。 思い起こせば重なる。解放されて後、向かったかつての煉獄にいた。 誤りし時に還れ人よ。過ちに・・・。 つまりは自問自答。 正義と何か?それは天理愛。 間違った答えながら、最も的を射た答え。 何度も繰り返した無意識にして既視。 天理愛。 言葉が明滅する。 天理愛。 天理愛。 天理愛。 天理愛。 アメリア。 宇宙の名前。 アメリア。 その言葉を彼女は知らぬ。 今はその男にだけ |
25608 | プロローグ | 颪月夜ハイドラント | 2003/4/16 18:14:34 |
記事番号25606へのコメント ――考える必要なんてない すべて1人の幻想さ―― ――プロローグ―― 10億年か? 20億年か? それとも僅か数年か? 宇宙が誕生した。 誕生して10数年。 閉ざされた区画。 夜の王――月に照らされ、風とともに踊る大地。明らかに寂しげな旋律を奏でている。 思い出が残る。不可解な記憶。 初めての夜。すべての光景は過ぎ去る。流星に似て・・・。 記憶とは不鮮明。だがそれは形すらも見せなかった。 蒼闇の空白には数多の光が散りばめられている。 それらは、けして交わりもせずに、久遠の時を生き続けている。 善も悪も正義も、けして存在しない秩序。 これを見たか? 夜空は常にある。肯定でもあろう。 だが、この地で果たしてそれを見たか?否定だ。 だが物語は宇宙誕生前に重なる。第2の宇宙誕生前に・・・。 それを果たして物語と言えるか。 憤怒、憎悪、嫉妬、猜疑、羨望、強欲、傲慢、怠惰、不平、不満、不義、堕落、絶望、邪心・・・悪。 それほどまでに物語すぎた。 世界が終わった。宇宙が病んでいる。 2つの宇宙はともに混沌。 それは物語。だが現実に形を帰る。 つまりは幻想は心の中に・・・。 悪魔へ力を貸すと転化。 そして扉が開かれた。 「・・・お前も悪人かよ?」 悪人かよ? 悪人? 悪人? 悪人。 悪。 ・・・悪? 心の慟哭が虚空に響いた。 だが現実はひどく静寂。 天は変わらず美しく。そして恐怖を、苦痛を苦悩を望む。 そうであれば・・・善も悪も正義も、けして存在しない秩序。 これは偽りか? 数億年の真実。 天理愛。それの言葉は見えなかったが・・・。 否、偽りではない。 そこは秩序だ。平和だ。 だが、 天の理は正義。宇宙の理は絶対の正義。 いやすでに正義などでない。超越しているのでなかろうか。 あるいはそれが存在することが、それの存在を否定するか? それは違う。 天理愛。不完全。 正義には届かない。宇宙すらすでに劣っている。 すべてに秩序はありえない。存在してしまったのだから・・・。 完全なる虚無。それが完全な秩序にして目指すべき正義。 ならば滅ぼすものは正義なのか? それも違う。苦はあってはならぬ。 正義に矛は不要。いやあってはならぬ。 ゆえに矛持つ宇宙は秩序を持っても、正義ではない。 第一の宇宙はすべてを孕むゆえにそこにて苦しむもの。それを生み出すのは矛。 盾が存在しようと、それは相殺となるまい。 矛と盾・・・それに矛盾。 第二の宇宙は完璧でないがゆえに矛を正しきと成す。 その思考も矛盾か? そこで混乱した。 思考は急速に停止を望む。だが目まぐるしく駆けていく情報が苦痛を生む。やはり混沌的。 秩序はやはり混沌を生むのだ。 コスモスがケイオスと称されるはそれゆえか? ともかく結果は、正義の存在せぬことなり。 すべては善、それも独善。 悪も同じ。けして絶対になれずどこかに善。 喪失感。 涙。 ただ、この混沌からは抜け出せる。 思えば風が心地良い。 何年来の風か? 夜の王――月だけが優しく見ている。 そう混沌の中にも必ず秩序。 自らに似て、現実には最も異なった。 安息はあるのだ。 止まった時間。一夜の永遠がそこにある。 その中で彼女は疑問を持った。 正義はどこにある? そしてその背景で無意識に問う。 自らは誰なのかと・・・。 |
25609 | エターナル | 颪月夜ハイドラント | 2003/4/16 18:15:16 |
記事番号25606へのコメント ――面白いから物語か? ならこれは違うと思うな―― ――エターナル―― それを偶然と呼ぼうか? 混乱の日か安息の日だったか・・・。 奇跡は起こる。ならば偶然も・・・。 あるいはそのすべてが必然でなかろうか。 そうであれば、何を偶然と呼ぼう。 ただ少々異なった日だ。一日に変わりないが・・・。 ただそれだけ日常の一画。 宵の中。 満月は限りなく白い。混沌の逆方?秩序の正方? 夜風は優しく身を愛撫する。もたらされるのは安らぎ。 表情に微かな笑顔。心地良い。 深き闇の中。形を持った黒は森林。 盛り上がった石床。安堵も苦悩も感じさせてくれた土地。 安息の日だった。月は正方。 だがざわめき。不意に草鳴り。 恐怖。一瞬にしてそれが立ち昇った。 硬直。視線は空。感情は必死。 震えのみが行動。風も月も堪能出来ない。 「・・・よお、奇遇だな。」 だが声。それが和らげてくれた。 静かに振り向く。それでも脅えは消えていない。 だが風を切り、消えた。振り払われたかのように・・・。 影が1つ。大きくなる。 歩みは悠然。落ち着きを持って・・・。 やがて煌きが影を撫でると、露になったのは・・・。 「・・・ヴァルガーヴ・・・さん。」 それでも寒気を持つ空の下、身に付けていたのは布の薄着のみ。だがそれを気にせず、むしろ堪能するかのように、笑みすら湛えている。 筋肉質の身体つきに、顔はけして人にあらぬ。 逆立つ蒼翠の長髪に、異形の角。それだけでない。 体毛の1つ。肉付きの1つ1つを取ってさえも高貴で優雅でそれでいて動的。 連想させるのは龍。 叡智と力を備え持つもの。 既知。浮かんだ単語の1つに古代竜。 どれほど古き龍であるか? 「横・・・良いか?」 だが沈黙の内に、相手より声。 一瞬の戸惑いを経て、 「あっはい。」 答えて僅かに横ずれ。 青年も石床に倒れ込んだ。 熱が激しく伝わり合う。 しばしの沈黙。だがそれは長かろうと儚く短く、 「わっ、わりい・・・アンタの名前、何だったか?」 途切れて、覚めた夢。だがそれでも、 「・・・あっ、アメリアです。」 答える。やはり狼狽しつつ。 「・・・天理愛か?」 そして溜息とともにそう吐かれた。 「・・・はい?」 一瞬、宇宙の真理が垣間見えた錯覚。 「なっ何か俺、変なこと言ったか?」 うろたえはそして相手に感染する。 「いえ、別に・・・」 アメリアは、アメリアは言った。青年は安堵した。 「にしても綺麗な空だな。」 「え?」 再び疑問。2人の距離は接近していた。現実で・・・。 「ガーヴ様も言ってたぜ。こんな世界を滅ぼすのは勿体ねえってな。」 「・・・ガーヴ・・・が?」 青年は、ヴァルはアメリアの顔を、瞳を覗き込み、 「ああ、ガーヴ様だよ。それが正義だともな・・・。」 「・・・正義?」 迷宮の出口か? アメリアは機を待った。それは彼女にしか知らぬ感覚。 沈黙。相手もそれを続けてくれた。 優しさか?重圧か? 風は吹いている。月も輝いていれば、世界が歌っている。時は流れている。 「・・・正義って何なのでしょうか?」 やがて終わった。長い沈黙が・・・。 そして再び静かとなった。 やはり時は流れて、生まれたのは言葉ではなかった。 10億年。凝縮された悠久。 熱気が込み上げる。足掻いても出られないさらなる迷宮へ・・・苦悩。だが心地良い。温かい。 ヴァルの唇は、果実(アメリア)を貪っていた。つまりは口付け。上気した。 寄り合う2人の熱は1つへ・・・。 どれだけ続くか。いつ終わるか。または終わってしまうか。 疑問と同時だった。ヴァルの顔が身体が離れていった。 「・・・分からねえよ。」 そして出でた声。口調は震えていた。 絶望。やはりは迷宮の中。 やはりは辿り付けない? 善か悪か秩序か混沌か・・・正義はない。真実はない。 「だが・・・これから探しゃあ良いだろうが。」 善か悪か秩序か混沌か・・・正義はない。真実はない・・・のだが・・・。 「・・・探す?」 笑顔が灯っていた。不思議。 「そうだ・・・俺と一緒にな。」 そしてアメリアは天に昇る。 だが笑顔で、 「それって愛の告白ですか?」 そして悪戯気に返した。 ヴァルは苦笑し、 「ああ、フィリアに言ったら殴られたぜ。」 髪をそっと撫でた。 「フィリア・・・さんも悩んでたんですか?」 「どうでも良いだろ。」 「そうですね。」 再び熱が伝わり合う。 唇同士が接近していく。 蒼闇の空白には数多の光が散りばめられている。 それらは、けして交わりもせずに、久遠の時を生き続けている。 善も悪も正義も、けして存在しない秩序。 どんなに汚れていても、確かな平和のその下で、2人は再び、口付けあった。 夜の王――月だけが優しく見ている。 天理愛? |
25610 | 後書 | 颪月夜ハイドラント | 2003/4/16 18:33:32 |
記事番号25606へのコメント 後書き こんばんはラントです。 ヴァルアメ・・・ガーアメを考えていた時、閃きました。 前のゼルアメに続いて、ダメな話を書いてしまいました。 でも個人的には一夜一夜物語もあわせて3作なかなか気に入ってたり、自己満足です。 特にゼルアメのやつは・・・冥王の騎士や闇龍王級に愛してます。いやそれ以上かと(修正すればカップリング変えられるし) 解説 ちなみにこの3話は順番に、フィリオネル→アメリア→ヴァルアメです。 全体的にはわけ分かんないこと連ねといて、「どうでも良いだろ」って吹き飛ばすような感じ。 こういういくつかの超短編から構成された短編、結構気に入ってます。 次はもっと長めにすることと、読みやすく分かり易くすることと、 今回にもゼルアメにもあったように始点→終点みたいな感じではなく、どこが始まりか終わりか分からないようなそんな感じにしてみたいです。 それでは・・・。 |