◆−たどりついた場所−かぼちゃ (2003/5/23 20:36:34) No.26049 ┣はじめまして。−猫楽者 (2003/5/24 22:10:41) No.26071 ┃┗Re:はじめまして。−かぼちゃ (2003/5/24 23:14:28) No.26073 ┗安らぎの場所へ−かぼちゃ (2003/5/25 10:51:50) No.26078
26049 | たどりついた場所 | かぼちゃ | 2003/5/23 20:36:34 |
私の人生で始めて私の存在をおおっぴらにしてみます。 そう、勇気を出して投稿してみることにしたのです!と、言いますのも先日、私の妹が初投稿したので、じゃ、私も・・・というわけです。(積極性にかけるのです。私は。) こんな私ですが、試験前に現実逃避ぎみに、いくつかの駄文を書いてみましたので、是非、読んでやって下さい・・・。こんな挨拶でいいのかなぁ(とても弱気) ―たどりついた場所― 逃げるようにして、俺はその街を出て行った。 街はずれにある共同墓地に、あいつが好きだった花を供えて、別れを済せ・・・後のことは・・・どうだっていい。そのつど考えよう。今の俺に大切なのは、早く忘れちまうことだ。 あれから数日たって、鏡を見た俺は苦笑した。 ――赤毛の人って好きじゃないの。 ――いや、それは偏見だと思うぜ・・・? 嫌われるのがイヤで染めてたが、今はもうその必要も無い。あいつがキライだと言っていた真紅の髪が鏡の中で揺れた。 出発の準備は整い、再び旅を始める。気楽な・・・一人旅になればいいと思ってる。 出来るだけ、遠くに行きたい。この不安定な状態から逃げ出して、早く全てを振り切って、心を覆い尽くした憎悪を祓うために・・・。 ふと、辺りを包む気配に俺は足を止めた。殺気。それほどつ鋭いもんじゃぁない。 今まで戦ってきた奴らの強さ故か、それともかつて暗殺者だった俺の記憶の所為か・・・今、周りで様子を見てる連中がひどく弱々しく、小さな存在に感じた。 同時に、寂しかった。 ゛独り"になった自分が、こんなにも仲間の存在を欲しているというこが・・・。 俺のことをけなしたり、馬鹿にしながらも傍にいてくれたあいつが・・・ 「弱いもんだよなぁ・・・やっぱ。」 ほとんど、無意識のうちに、俺は隠れてこそこそしている野盗どもを蹴散らしていた。奴らは草木で彩られた街道を血で汚していてもう動かない。その姿が不意に、床に転がって血まみれになった神官のそれと重なった。 はっきりとあの時と違うのは、こんなにもあっさりと人の命を消している俺を止めようとしてくれる奴らもいないこと。 ――孤独・・・? 俺は死体から目を背け奴らを葬るのに使った短剣の血をぬぐい・・・ 「・・・・・・・・・・・ッ」 その短剣を握った俺の手を掴んで真剣な眼差しを向けた神官の声が ――殺しなさい。 冷徹で諭すようなあの声が・・・。 ――殺したいんでしょう?私を。 そして・・・あの場所、あの部屋。あいつが俺の頬に手を伸ばして、淋しげに微笑みながら言ったあの言葉が・・・。 俺は溜息をつき、握っていたその短剣をその辺に放り捨てた。 ――あぁ・・・そうか。やっと理解できたよ・・・。 還りたかったんだな・・・?あの場所へ。 全ての素となった混沌の中へ・・・。 それが、滅びを望む者と存続を望む者を同時に存在させた、世界への復讐。 『その通りだ・・・。』 俺の中で何かがそれを肯定した。 『それが魔族・・・我らの望み・・・。』 何故かその声がすごく自然なものに感じた。 『憎いのだろう?この世界が・・・。』 「あぁ・・・。」 『ならば、終わらせる気は無いか?世界を滅ぼし、我ら自身も滅びる。そして、還るのだ・・・あの方のもとへ・・・。』 「正直言って、解らねぇよ。世界を滅ぼすべきなのか、俺一人で滅びるべきか。」 『ならば・・・』 「最後まで聞けよ?それでも俺はこの世界にいたくねぇんだ。でも・・・イヤ、だからこそ解らねぇんだ。だから・・・さ、確かめさせてくれねぇか?その上で、決着をつけてみせる。」 『いいだろう。』 そして・・・・・・ 「すまねぇ・・・な。」 この世界に在る全ての者たちに、俺はそう呟いた。勿論、あいつにも・・・。 目の前で、風にマントをなびかせながら立っている魔道士の姿がかすんで、俺は消えた。 やがて、この場所へとたどりついたのだ・・・。 全ての母である混沌の海へと・・・ ―完― はぁ、今はこれが精一杯です。でも、私ごときのかいたものを読んでくれた方、本当にありがとうございます! |
26071 | はじめまして。 | 猫楽者 E-mail | 2003/5/24 22:10:41 |
記事番号26049へのコメント > 私の人生で始めて私の存在をおおっぴらにしてみます。 > そう、勇気を出して投稿してみることにしたのです!と、言いますのも先日、私の妹が初投稿したので、じゃ、私も・・・というわけです。(積極性にかけるのです。私は。) > こんな私ですが、試験前に現実逃避ぎみに、いくつかの駄文を書いてみましたので、是非、読んでやって下さい・・・。こんな挨拶でいいのかなぁ(とても弱気) はじめまして。こんばんは、かぼちゃさん。 猫楽者と申します。よろしくお願い致します。 何よりも大切だった方との悲しい別れをしてしまった。 彼のお話なのですね。 切ない。とても切ないお話でしたね。 いろいろと考えながら、読ませていただきました。 > ―たどりついた場所― このタイトルに引き付けられました。 いったい誰が、何処にたどりついたのだろう。 そう思いながら、クリックさせていただきました。 > 逃げるようにして、俺はその街を出て行った。 > 街はずれにある共同墓地に、あいつが好きだった花を供えて、別れを済せ・・・後のことは・・・どうだっていい。そのつど考えよう。今の俺に大切なのは、早く忘れちまうことだ。 > あれから数日たって、鏡を見た俺は苦笑した。 >――赤毛の人って好きじゃないの。 >――いや、それは偏見だと思うぜ・・・? >嫌われるのがイヤで染めてたが、今はもうその必要も無い。あいつがキライだと言っていた真紅の髪が鏡の中で揺れた。 > 出発の準備は整い、再び旅を始める。気楽な・・・一人旅になればいいと思ってる。 > 出来るだけ、遠くに行きたい。この不安定な状態から逃げ出して、早く全てを振り切って、心を覆い尽くした憎悪を祓うために・・・。 鏡を見る。そんな何気ないことで、大切なあの人のことを思い出す。 忘れるなんてことは・・・とても出来ないでしょうし・・・・・。 無くした方の存在が大きすぎて、泣くことも出来ない・・・・・そんな状態から 悲しみと憎しみ怒りのままに、暴走してしまっても・・・・それを『悪い』とは 自分には言えません。 自分も、大切な家族を失うようなことになったら・・・・きっと暴走すると思いますから。 > ふと、辺りを包む気配に俺は足を止めた。殺気。それほどつ鋭いもんじゃぁない。 > 今まで戦ってきた奴らの強さ故か、それともかつて暗殺者だった俺の記憶の所為か・・・今、周りで様子を見てる連中がひどく弱々しく、小さな存在に感じた。 > 同時に、寂しかった。 > ゛独り"になった自分が、こんなにも仲間の存在を欲しているというこが・・・。 >俺のことをけなしたり、馬鹿にしながらも傍にいてくれたあいつが・・・ >「弱いもんだよなぁ・・・やっぱ。」 >ほとんど、無意識のうちに、俺は隠れてこそこそしている野盗どもを蹴散らしていた。奴らは草木で彩られた街道を血で汚していてもう動かない。その姿が不意に、床に転がって血まみれになった神官のそれと重なった。 > はっきりとあの時と違うのは、こんなにもあっさりと人の命を消している俺を止めようとしてくれる奴らもいないこと。 > >――孤独・・・? 最愛の方を亡くしてしまい。それと同時に、本気で彼のことを止めようとしてくれた。 ステキな、とてもステキな仲間のことを思い出す。 突然ひとりになってしまった、彼の寂しさと辛さ・・・・切ないですね。 > 俺は死体から目を背け奴らを葬るのに使った短剣の血をぬぐい・・・ >「・・・・・・・・・・・ッ」 >その短剣を握った俺の手を掴んで真剣な眼差しを向けた神官の声が >――殺しなさい。 >冷徹で諭すようなあの声が・・・。 >――殺したいんでしょう?私を。 >そして・・・あの場所、あの部屋。あいつが俺の頬に手を伸ばして、淋しげに微笑みながら言ったあの言葉が・・・。 あの方が、彼に最後に伝えた御言葉。 どんな思いで、伝えたのでしょうね。 あの方は、彼に復讐などは望んではいなかったのでしょうね。 > 俺は溜息をつき、握っていたその短剣をその辺に放り捨てた。 >――あぁ・・・そうか。やっと理解できたよ・・・。 > 還りたかったんだな・・・?あの場所へ。 > 全ての素となった混沌の中へ・・・。 > それが、滅びを望む者と存続を望む者を同時に存在させた、世界への復讐。 >『その通りだ・・・。』 >俺の中で何かがそれを肯定した。 >『それが魔族・・・我らの望み・・・。』 >何故かその声がすごく自然なものに感じた。 >『憎いのだろう?この世界が・・・。』 >「あぁ・・・。」 >『ならば、終わらせる気は無いか?世界を滅ぼし、我ら自身も滅びる。そして、還るのだ・・・あの方のもとへ・・・。』 >「正直言って、解らねぇよ。世界を滅ぼすべきなのか、俺一人で滅びるべきか。」 >『ならば・・・』 >「最後まで聞けよ?それでも俺はこの世界にいたくねぇんだ。でも・・・イヤ、だからこそ解らねぇんだ。だから・・・さ、確かめさせてくれねぇか?その上で、決着をつけてみせる。」 >『いいだろう。』 闇からの甘い誘惑に、誘われる。彼の御姿・・・・悲しい思いですね。 誘われるままに支配されるのではなく。 自分が納得のいくような方法を取るように、1/7の欠片とはいえ 魔族の王と、対等の立場で交渉する・・・・・本当は、とても意志の強い方だったのでしょうね。 >そして・・・・・・ > >「すまねぇ・・・な。」 > > この世界に在る全ての者たちに、俺はそう呟いた。勿論、あいつにも・・・。 > 目の前で、風にマントをなびかせながら立っている魔道士の姿がかすんで、俺は消えた。 > やがて、この場所へとたどりついたのだ・・・。 > 全ての母である混沌の海へと・・・ 選んだ方法は、辛く悲しく。 でも、それでも・・・・・『友』の手で、逝ってしまった、彼は・・・・・・ もう苦しみ悩むことのない・・・・場所へとたどりついたのですね。 できれば・・・・あの方と再会していてくださると、良いのですが・・・・。 > はぁ、今はこれが精一杯です。でも、私ごときのかいたものを読んでくれた方、本当にありがとうございます! とても切なく、そしてステキなお話でした。 誰でも、今日と変わらない明日が来る。 そう信じていますけど、人間というのは、いつどうなるか・・・・わからないのですね。 彼も、あの方と・・・・・ずっと一緒に居られる・・・・そう願っていたのでしょうね。 次回作を読ませて頂けるのを、とても楽しみにおまちしております。 暖かかったり肌寒かったりしますし、風邪も流行っているようですので お体にお気を付けて、お元気で。 では、失礼します。 |
26073 | Re:はじめまして。 | かぼちゃ | 2003/5/24 23:14:28 |
記事番号26071へのコメント >> 私の人生で始めて私の存在をおおっぴらにしてみます。 >> そう、勇気を出して投稿してみることにしたのです!と、言いますのも先日、私の妹が初投稿したので、じゃ、私も・・・というわけです。(積極性にかけるのです。私は。) >> こんな私ですが、試験前に現実逃避ぎみに、いくつかの駄文を書いてみましたので、是非、読んでやって下さい・・・。こんな挨拶でいいのかなぁ(とても弱気) > >はじめまして。こんばんは、かぼちゃさん。 >猫楽者と申します。よろしくお願い致します。 こちらこそよろしくお願いします。そして、なによりこの話を読んで下さってありがとうございます。 > >何よりも大切だった方との悲しい別れをしてしまった。 >彼のお話なのですね。 >切ない。とても切ないお話でしたね。 >いろいろと考えながら、読ませていただきました。 > >> ―たどりついた場所― > >このタイトルに引き付けられました。 >いったい誰が、何処にたどりついたのだろう。 >そう思いながら、クリックさせていただきました。 > >> 逃げるようにして、俺はその街を出て行った。 >> 街はずれにある共同墓地に、あいつが好きだった花を供えて、別れを済せ・・・後のことは・・・どうだっていい。そのつど考えよう。今の俺に大切なのは、早く忘れちまうことだ。 >> あれから数日たって、鏡を見た俺は苦笑した。 >>――赤毛の人って好きじゃないの。 >>――いや、それは偏見だと思うぜ・・・? >>嫌われるのがイヤで染めてたが、今はもうその必要も無い。あいつがキライだと言っていた真紅の髪が鏡の中で揺れた。 >> 出発の準備は整い、再び旅を始める。気楽な・・・一人旅になればいいと思ってる。 >> 出来るだけ、遠くに行きたい。この不安定な状態から逃げ出して、早く全てを振り切って、心を覆い尽くした憎悪を祓うために・・・。 > >鏡を見る。そんな何気ないことで、大切なあの人のことを思い出す。 >忘れるなんてことは・・・とても出来ないでしょうし・・・・・。 >無くした方の存在が大きすぎて、泣くことも出来ない・・・・・そんな状態から >悲しみと憎しみ怒りのままに、暴走してしまっても・・・・それを『悪い』とは >自分には言えません。 >自分も、大切な家族を失うようなことになったら・・・・きっと暴走すると思いますから。 そこまで考えていてくれたなんて・・・身に余る幸せです。私はそこまで考えず、ただ彼にとっては些細な事でさえ悲しみを引き起こすものに変えてしまうというのを強調したかったんです。 > >> ふと、辺りを包む気配に俺は足を止めた。殺気。それほどつ鋭いもんじゃぁない。 >> 今まで戦ってきた奴らの強さ故か、それともかつて暗殺者だった俺の記憶の所為か・・・今、周りで様子を見てる連中がひどく弱々しく、小さな存在に感じた。 >> 同時に、寂しかった。 >> ゛独り"になった自分が、こんなにも仲間の存在を欲しているというこが・・・。 >>俺のことをけなしたり、馬鹿にしながらも傍にいてくれたあいつが・・・ >>「弱いもんだよなぁ・・・やっぱ。」 >>ほとんど、無意識のうちに、俺は隠れてこそこそしている野盗どもを蹴散らしていた。奴らは草木で彩られた街道を血で汚していてもう動かない。その姿が不意に、床に転がって血まみれになった神官のそれと重なった。 >> はっきりとあの時と違うのは、こんなにもあっさりと人の命を消している俺を止めようとしてくれる奴らもいないこと。 >> >>――孤独・・・? > >最愛の方を亡くしてしまい。それと同時に、本気で彼のことを止めようとしてくれた。 >ステキな、とてもステキな仲間のことを思い出す。 >突然ひとりになってしまった、彼の寂しさと辛さ・・・・切ないですね。 > >> 俺は死体から目を背け奴らを葬るのに使った短剣の血をぬぐい・・・ >>「・・・・・・・・・・・ッ」 >>その短剣を握った俺の手を掴んで真剣な眼差しを向けた神官の声が >>――殺しなさい。 >>冷徹で諭すようなあの声が・・・。 >>――殺したいんでしょう?私を。 >>そして・・・あの場所、あの部屋。あいつが俺の頬に手を伸ばして、淋しげに微笑みながら言ったあの言葉が・・・。 > >あの方が、彼に最後に伝えた御言葉。 >どんな思いで、伝えたのでしょうね。 >あの方は、彼に復讐などは望んではいなかったのでしょうね。 私もそう思います。でもきっと、その言葉さえ届かないほど辛かったんだと思います。 > >> 俺は溜息をつき、握っていたその短剣をその辺に放り捨てた。 >>――あぁ・・・そうか。やっと理解できたよ・・・。 >> 還りたかったんだな・・・?あの場所へ。 >> 全ての素となった混沌の中へ・・・。 >> それが、滅びを望む者と存続を望む者を同時に存在させた、世界への復讐。 >>『その通りだ・・・。』 >>俺の中で何かがそれを肯定した。 >>『それが魔族・・・我らの望み・・・。』 >>何故かその声がすごく自然なものに感じた。 >>『憎いのだろう?この世界が・・・。』 >>「あぁ・・・。」 >>『ならば、終わらせる気は無いか?世界を滅ぼし、我ら自身も滅びる。そして、還るのだ・・・あの方のもとへ・・・。』 >>「正直言って、解らねぇよ。世界を滅ぼすべきなのか、俺一人で滅びるべきか。」 >>『ならば・・・』 >>「最後まで聞けよ?それでも俺はこの世界にいたくねぇんだ。でも・・・イヤ、だからこそ解らねぇんだ。だから・・・さ、確かめさせてくれねぇか?その上で、決着をつけてみせる。」 >>『いいだろう。』 > >闇からの甘い誘惑に、誘われる。彼の御姿・・・・悲しい思いですね。 >誘われるままに支配されるのではなく。 >自分が納得のいくような方法を取るように、1/7の欠片とはいえ >魔族の王と、対等の立場で交渉する・・・・・本当は、とても意志の強い方だったのでしょうね。 ドゥールゴーファに心を蝕まれることの無かった人ですから・・・。 > >>そして・・・・・・ >> >>「すまねぇ・・・な。」 >> >> この世界に在る全ての者たちに、俺はそう呟いた。勿論、あいつにも・・・。 >> 目の前で、風にマントをなびかせながら立っている魔道士の姿がかすんで、俺は消えた。 >> やがて、この場所へとたどりついたのだ・・・。 >> 全ての母である混沌の海へと・・・ > >選んだ方法は、辛く悲しく。 >でも、それでも・・・・・『友』の手で、逝ってしまった、彼は・・・・・・ >もう苦しみ悩むことのない・・・・場所へとたどりついたのですね。 >できれば・・・・あの方と再会していてくださると、良いのですが・・・・。 きっと再開できたはずですよ。 > >> はぁ、今はこれが精一杯です。でも、私ごときのかいたものを読んでくれた方、本当にありがとうございます! > >とても切なく、そしてステキなお話でした。 >誰でも、今日と変わらない明日が来る。 >そう信じていますけど、人間というのは、いつどうなるか・・・・わからないのですね。 >彼も、あの方と・・・・・ずっと一緒に居られる・・・・そう願っていたのでしょうね。 > >次回作を読ませて頂けるのを、とても楽しみにおまちしております。 >暖かかったり肌寒かったりしますし、風邪も流行っているようですので >お体にお気を付けて、お元気で。 >では、失礼します。 お気遣いありがとうございます。この話は近いうちに、また別のひとでも書いてみたいと思っています。そちらも読んでいたいただけたら、光栄です。 |
26078 | 安らぎの場所へ | かぼちゃ | 2003/5/25 10:51:50 |
記事番号26049へのコメント こんにちは。性懲りもなく、たどりついた場所の別人物でバージョンで投稿して見たいと思います。最後まで読んでいただければと存じます。 ―安らぎの場所へ― 「まずは俺を食らうか・・・。哀れな魔王よ。」 ついに・・・ 「いいだろう・・・くれてやるさ。」 ついにこの時が来たのだ・・・。その場にいた者達が俺の名を口にするのが微かに聞こえた。腐りきったこの世界を潰すために舞い降りた闇は俺を包み込み・・・砕け散った。 「ふん・・・。結局このざまかよ。」 馬鹿馬鹿しいにもほどがある。魔王を呼んだ俺だけがあっさり死んで、滅ぼそうとしたはずの他の連中はしっかり生きてやがる。さすがにやってられねぇ。 ただ、どうしようもねぇくらいひどく疲れていて、それなのに目の前にある『終わり』を懐かしくさえ思っていた。俺は意識の消えるときを持つ。 『死ぬつもりでいるのか?』 空間を震わせるようにして声が聞こえた。 「まぁな・・・。」 『その思いもはれぬままにか?』 「どうでもいいさ。俺は死ぬ。そして、汚れきった世界から離れることが出来るんだ。」 もう、これ以上はたくさんだ。もう、うんざりだ。神も魔も人も・・・全てが。 『その全て。争いを憎しみを悲しみを生み出した元凶となる歪んだ世界。やり直す気は無いか?』 ――やり直す・・・? 『一度間違った方向に進んだものを正していくのは難しい。だから一度全てを消し去り、創り直すのだ。』 「それで・・・?俺にどうしろって言うんだ?」 辺りを満たす闇に向かって問いかける。 『神と魔の力をあわせ持つ者よ。お前の力は我らに近い・・・。』 「だからなんだと言うのだ?」 僅かに怒りをにじませた声で俺は再び問う。 『お前もこの世界の過ちに気付いている。そして、お前にはそれを成す力がる。ならば、何をすべきか分かるだろう?』 沈黙が落ちて・・・ 『それに・・・この世界に絶望した心・・・似ているのだ。我らに。』 深い悲しみを宿したその声に 『我らと共に、世界の浄化を・・・。』 一瞬、俺に唯一、救いの手を差し伸べてくれた主の笑顔が交錯し 「それも悪くはねぇな・・・。」 あの時と、全く同じ返事をする自分がいた。 そして、金色の光は力強い瞳で俺を睨み据えている魔道士が手にした弓に集り、ゆっくりと紡がれる言葉と共にその力を膨れ上がらせていった。 ふと、その傍らに佇む巫女と目が合い、その辛そうな、淋しそうな目に滅びを受け入れようと、両腕を十字架のように広げた俺の姿が映りこみ・・・ 放たれた一条の矢は天空を貫いて・・・ ゆっくりと、俺は目を開いた。 輝きを増していく光の渦の中で、俺は少し笑った。愚かな自分の僅かな希望に。 腐っていると、汚れきっていると、何度も吐き捨てるように言っていたはずのこの世界が、何故だろう・・・こんなにも美しく見えた。同時に、今まで俺を束縛していたもの・・・幾重にも重なった鎖のような痛みと憤怒が崩れていった。その後には何も残らなくて・・・白紙に戻っていくように、俺の中の闇が浄化されていることに気が付いた。 「ようやく俺も終われる・・・。真っ白になれる・・・。」 そして、光は力となり俺に押し寄せ・・・ 『なさけねぇな。おぃ・・・。』 懐かしい声が・・・ 『その程度で終わらせんなよ。お前は生き残るために俺の腹心になったんだろ?』 記憶の中にある紅い髪と、象牙色のコートが揺れて・・・。 ふいに差し伸べられた、その暖かく優しい手をとって、俺はこの場所に舞い降りた。 「これで終わりなんかじゃない。」 見に覚えの無い罪悪感に悩まされ続けながらも 「これがあなたの始まりなんです。」 受け入れて、認めてくれる存在がいてくれた・・・。 今度こそ、本当の意味で安らぎを平穏を得る為に・・・もう一度だけ賭けてみよう・・・この場所で。 ―完― はい。シリアスを書くのは疲れますなぁ。前回のルークに続き今回はヴァルガーヴバージョンで書いてみました。 |