◆−心の曇り−雫 (2003/5/28 20:55:16) No.26096


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26096心の曇り2003/5/28 20:55:16


 どうも、雫です。気紛れで書いてみました。読んでいただければ本当に嬉しいです。
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   心の曇り

 アメリアはベッドの上にいた。頭に浮かぶ一人の男。
  世界の浄化。・・・彼の目的であり彼が悩んだ末に見出した
「正義。」
 彼の最後に浮べた笑顔が未だに忘れられない。
                   真ッ白ニナレル
 彼をどう思うと言う訳ではない。なのに・・・、思い浮かぶのは彼の事ばかり。アメリアは溜息を吐いた。彼は今一人の巫女の処で一つの命として存在している。
 今度会いに行ってみようか・・。しかし、姫と言う地位が多分もう家を出る事を許さないだろう。仲間や姉が羨ましくなる。
がたんっ
「*‘@<&『%$¥#!?・・・・ら・・・ラ・ティルトぉぉぉぉっ!」
 突然音が聞こえ意味不明なことを叫んでから呪文を飛ばすアメリア。しかし声は突然聞こえた。
「自分から誘っといてそれか?」
「・・・ぜ・・・ゼルガディスさん?」
 アメリアはカーテンの向こうにいる人物にそう言った。アメリアは言った。
「私何時ゼルガディスさんを呼びました?」
「忘れたのか?ほら世界の中心で・・・。」
 ゼルガディスが呆れた表情をする。
――変わってねぇな・・・。
 アメリアは言った。
「そんな処に居ないでこっち来て下さいよ。今、お茶出しますから。」
 無邪気に笑うアメリア。ゼルガディスは内心、苦笑した。しかし、その表情はカーテンによってアメリアには見えない。アメリアがぱたぱたと走って部屋から出て行く。
 ゼルガディスは部屋の中に入った。『お姫様』の部屋らしいと言えばそうなのだが、とても居心地が良くない。自分は犯罪者。住む世界が違う。心の中ではまだレゾの存在が大きい。それなのに自分は、あの少女を・・・。
      ゼルガディスさん!
       正義の心があれば・・・
 最初はただの馬鹿女だと思っていたのに純粋で人の心配ばっかして正義だとかほざいてそれでも俺が人殺しでも傍に居て笑っていてくれた。心が温かくなるのが解った。だからこそ昔以上に元の姿に戻ろうと足掻いている自分が居た。
      今からはゼルガディスさんも正義の仲間です!
 自信たっぷりに言い切る少女・・・。愛している。ずっと傍に居たい。
「ゼルガディスさ〜ん。お茶ですよ?」
「あ・・・!ッすまん。」
 お茶を受け取り飲む。その時ゼルガディスは少しだけお茶に入ってるものに気付いて言った。
「アメリア、このお茶塩が・・・・・。」
「ふぇ?・・おかしいですね。普通に淹れたのに・・・。」
 ゼルガディスは気付いた。アメリアの目が少し赤い。
――泣いたの・・か?
 アメリアは言った。
「ゼルガディスさん。ヴァルガーヴさんは幸せだったんでしょうか?」
「知るか。俺はアイツじゃない。そんなにアイツの事が気になるならフィリアの処に行けば良いだろ?」
 アメリアは悲しいのをこらえた。台所でもヴァルガーヴのことを思い出して泣いてしまった。アメリアは笑った。
「それもそうですね・・・。」
 ゼルガディスは内心、嫉妬した。アメリアは今、自分以外の男のことを考えている。しかし、怒りに身を任せれば自分はどうなるだろう?アメリアを殺すかもしれない。ゼルガディスは言った。
「そんなに外に出たいか?」
「え・・・・?」
「会いたいんだろ?アイツに・・・。」
 彼女の心にある曇り空・・・。それを晴れた空にしたくてゼルガディスはそう言っていた。ゼルガディスの問いにアメリアは言った。
「だ・・・ダメですよ!私がいなくなったら色々大変なことにな」
「お前、たまには自分の事も考えろ。」
――くやしい。アメリアの目に映っているのは・・・俺じゃない。
「会いたいです。でもそれ以上にリナさんやガウリィさんゼルガディスさんと前みたいに旅をしたいです。」
「そうか・・・・」
 そう言うとゼルガディスはアメリアを抱きかかえた。
「ゼ・・・・ゼルガディスさん!?」
「さらってやるよ。お姫様。」

 その日からアメリアはセイルーンから姿を消した。アメリアの机に犯人の手紙が残されていた。

    『お姫様を百年ほどお借りします。』

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 疲れました。とりあえずアメリアがヴァルのこと好きでゼル君がアメリアに片思いと言う設定です。題名殆ど関係ありません。ここまで読んで下さった方、ありがとうございます。雫はここら辺で失礼致します。