◆−GAME5−潮北かずら (2003/8/7 23:06:31) No.26654 ┗Re:GAME5−オロシ・ハイドラント (2003/8/16 20:50:29) No.26720 ┗Re:GAME5−潮北かずら (2003/8/24 21:49:12) No.26807
26654 | GAME5 | 潮北かずら | 2003/8/7 23:06:31 |
お久しぶりです……。 …………………………………………。 いえ、もう何も言いません。すっかり遅くなってしまって……。 もう、覚えている人いないかもしれないんですが、性懲りもなく、続いてます。 ホントすみません。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 屋根を行くリナたち一行を、衛兵たちが発見するのにさしたる時間は必要なかった。屋根の上は障害物が少ない反面、走る経路も限定されがちだからである。家が連なっているならば、それはもう、ほとんど一本道に近い。余程の事が無い限り、大通りを飛び越えるようなことはしないからだ。幅があるために、飛び移るにはまず魔法を使うことが考えられる。だが、そんな術の無駄使いはしないのが基本である。第一そんなまねをすれば、それこそ現在地を教えるようなものだし、見付かった上でそんな行動にでれば、撃ち落とされることも十分に考えられる。それに、ただ逃げるだけなら、それこそ大通りに降りて人ごみにまぎれて逃げるほうがまだ賢いというものだろう。 したがって、屋根の上を逃げているならば、どこの屋根にの登ったかがわかった時点で、市街を熟知している衛兵達の方が、有利になるのは当然の結果であった。 「リナさん、このままだと後ろ追いつかれてしまいます」 アメリアが後ろを振り返って言った。 「さすがに早いわね」 「どうする? 降りるか?」 ゼルガディスも聞いてくる。 だが、疾走するリナたちの目の前方に、衛兵の別働隊が姿を見せた。 「しまった!」 「ちぃっ! 挟み撃ちか!」 ゼルガディスは腰を落として構える。ほとんど条件反射だ。 「ここはまずいわ、一たん下に降りるわよ」 言うが早いか、リナは迷わず下に降りようと方向を変えた。 「えぇっ!」 アメリアはギョッとする。 「リナさん、ここ三階ですっ!」 しかし、みなまで言う前にリナとガウリイはさっさと屋根から飛んでいた。 これには、衛兵たちも一瞬固まってしまう。 「レビテーション!」 リナはガウリイの襟首を掴んで唱える。浮遊力が二人の全身を包み、地に付く頃にはほとんど失速していた。 マントを翻して大通りに降り立つ二人に、居合わせた者たちの視線が一気に集まる。続いてアメリアとゼルガディスも、二人と変わらぬ場所に着地した。本来なら、アメリアは顔から地面にぶつかるところだが、ゼルガディスのサポートにより、今回だけは華麗に着地を決めたのだった。すかさずポーズをとる。 見目可愛い少女の可憐な姿に、周囲からは感嘆のため息と、惜しみない拍手が送られる。 「皆さん、お騒がせしてすみませ〜ん」 などと挨拶しながらも、顔は満面の笑みが張り付いている。綺麗に着地できた事が、余程嬉しかったのだろう。 「はいはい。アメリア、行くわよ!」 さすがにリナたちは呆れ顔である。 しかし、少し遅かった。 人ごみを掻き分け、エクセブ隊長率いる警備隊が駆けつけてきてしまった。 「やばい! 逃げるわよ!」 叫んで背を向けた途端。 「逃がすなっ! 撃てぇいっ!」 エクセブが怒号する。 号に従い、衛兵が一人隊列から飛び出し、弓を構えるかのような恰好を取った。 「フリーズ・アロー!」 力ある言葉を発する。 リナ達の後方より、氷の矢が迫る。 「ぬわぁ!」 横に身をずらし避けるガウリィ。彼とリナの間を、氷の矢が音を立ててすり抜け、前方の地面に氷塊を作り出す。他の氷矢も、的となった一行に当たる事はなかった。ゼルガディスもアメリアも、しっかりと避けたからだ。 飛び道具も当たらなければ怖くないが、この場合、足止めには有効な手段であったようだ。体制を崩し、勢いを失った一向と、衛兵たちの距離はかなり縮まった。 道の両端にワッと、下がりより、緊張感ある好奇の目で、ざわめきと共に騒動の中心に見入っている。 「今だ! 絶対に逃がすなっ!」 エクゼブが吠える! が、しかし。 「人が手加減してやってると思ってっ!」 振り返ったリナの目に怪しい光がともる。 『 四界の闇をすべる魔王…… 』 「リナさん!?」 制止しようとするアメリアも、行動が一歩遅れた。リナは既に増幅呪文を唱え終わっている。早い……。 「お返しよ!」 矢を引き絞るように両手を広げ、リナは力ある言葉を紡ぎだす。 「フリーズ・アロー!」 言葉と共に収束した力を解き放つ。しかし、放った方向は衛兵たちにではなく、上方、空に向かってであった。 「馬鹿め! 何処にはなってるっ?」 笑う衛兵の声をさえぎって、エグゼブが叫んだ。 「止まれー!」 だが遅い。 エクセブの声に止まり切れなかった兵士が数人、最前列を過ぎて前へ五歩から七歩はみ出たとたん。 ザザッザザザザザーッ! 音を立ててそれは降り注いだ。 「うわぁっ!」 三人の兵士が巻き込まれ、短い悲鳴が消える。 『うおをっ……!』 兵士をはじめ見物人の間からもどよめきの声が沸き起こる。 目の前の珍事に、その場にいた全員の行動が止まった。冷ややかな煙が辺りに広がり、人々の間をすり抜けてゆく。 冷気が治まった後には、人の背丈ほどもある氷の壁が、三人の衛兵を閉じ込めた状態で、道幅一杯に出来上がっていた。 「おっしゃぁ! オマケに絶好調よ!」 静まったその場に、場違いな喜びの声が響いた。 リナの声である。 「ば…馬鹿な……」 衛兵の一人が恐る恐る呟く。 「フリーズ…アロー……だと!?」 ……。 そう。それは間違いなく、リナの放った術の産物である。 しかし、上空に放たれ落ちてきたそれは、もはや氷の矢と呼べるような代物ではなかった。 『あたしの「フレア・アロー」や「フリーズ・アロー」は、絶好調の時にはシャワーのようになるのよ』 以前、そう言って自慢した事のあるリナを思い出し、 「よもやこんな時にそれを実証することもなかろうに……」 と、ゼルガディスはあきれて呟いた。絶好調でシャワー。加えて増幅呪文の過ぎたオマケつき。衛兵が放ったフリーズ・アローの三本に対し、リナの放ったそれは、無数に出現し正確にはわからないほどだ。呪符というネタが割れていても、仲間内でも結構な見ものであった。 とはいえ。やられた方はたまったものじゃない。 しかし。 『同じフリーズ・アローも、リナが使えばこうなります』 わかりやすいお手本である。使い手の実力次第で同じ術でも威力が異なるという、これ以上はない如実な証明であった。 それも、牽制には過ぎるほどの威力を発した。 「ロバーズ・キラー……」 「ど…ドラまた……こういう理由からか……」 兵士たちの間から、そんな声が聞こえてくる。彼らの頭には、かつて聞いたリナ=インバースに関する噂の数々が、沸々と思い返されていることだろう。そしてまた、事態に驚愕したままに呟かれると、常軌を逸した噂でも、なんと真実味を帯びてくる事か……。 現に見物人の中にも、怯えた目で一同を見る者がちらほらとあらわれだす。 「コイツら……!」 徐々にリナの目が据わってくる。 「リナさん、ここは抑えてください」 宥めながらも距離をとるアメリア。 「アメリアの言うとおりだ。今のうちに逃げるぞ!」 ゼルの声で、一同は一斉に走り去る。 「っんとにもう! 覚えてなさいよ!!」 よほど悔しかったか、そんな捨て台詞を吐くリナ。 エクセブはすぐに指示を飛ばした。 「くそっ! 何をしているっ! 人が通れる程度でいい、壁を壊せ! 撤去するんだ!」 道幅一杯に造り上がったバリケード越しに去ってゆく後姿を見ながら、エクセブ隊長は今更ながらに、自分の間違いを痛感した。 「まさか、是ほどだったとはな……」 額に玉のような汗が浮かぶ。悪夢を見ているような気分であった。さすがの彼も、リナの実力がここまでのモノとは、思ってもいなかったのだ。 無理もない。 自分の半分も生きていない小娘が、得意分野が何であれ、まさか自分たちの手におえないような人物だなどと、誰が思うだろう。 エクセブは、生まれて初めて、天分の才能に恵まれた人間を見たような気になっていた。同じ頃のアレンでも、恐らくここまでの力は無かっただろう。考えるほどに、末恐ろしい娘である。 だが――。 「いいか、皆よく聞け! 相手がどんな怪物であれ、絶対に勝てないと言うわけではない! ましてやここは市街地だ。我々の庭だ! ならば必ず何がしかの方法はある! 絶対に諦めるな! 何が何でも捕まえるのだ!」 再び士気を高めようと、エクセブは言い聞かせた。 兵士たちは彼の話にいつもどおりの返事を返そうとする。しかし、どこか盛り上がりがない。 「声が小さい!」 無理やり声を出させる。 『はいっ!』 カラ元気も元気のうち。とはいえ、さっきの今で気持ちが回復するほど、人間は器用ではない。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− いつも以上に、尻切れトンボですね……。 すみません、予定ではとっくに終わってる筈なんですが、まだ終わりません……。 しくしくしく……。 予定は未定。この言葉の恐ろしさを実感しています。 時間掛かっている割りに、内容は散々で、進展はほとんどなし。もう、穴があったら入りたい。 ここまで読んで下さってありがとうございます。 一応、終わらせる気はありますので、もし宜しければ最後までお付き合い下さい。 (懇願……) |
26720 | Re:GAME5 | オロシ・ハイドラント URL | 2003/8/16 20:50:29 |
記事番号26654へのコメント こんばんはラントです。 少しレス遅れてしまいました。 スピード感がありますね。 一気に読めてしまいました。 >「フリーズ・アロー!」 > 言葉と共に収束した力を解き放つ。しかし、放った方向は衛兵たちにではなく、上方、空に向かってであった。 >「馬鹿め! 何処にはなってるっ?」 > 笑う衛兵の声をさえぎって、エグゼブが叫んだ。 >「止まれー!」 > だが遅い。 > エクセブの声に止まり切れなかった兵士が数人、最前列を過ぎて前へ五歩から七歩はみ出たとたん。 > ザザッザザザザザーッ! > 音を立ててそれは降り注いだ。 >「うわぁっ!」 > 三人の兵士が巻き込まれ、短い悲鳴が消える。 このように呪文を工夫して使わせるというのは、作者先生はよくやっていますけど、実際そう簡単に出来るものじゃないので凄いと思います。 > 自分の半分も生きていない小娘が、得意分野が何であれ、まさか自分たちの手におえないような人物だなどと、誰が思うだろう。 > エクセブは、生まれて初めて、天分の才能に恵まれた人間を見たような気になっていた。同じ頃のアレンでも、恐らくここまでの力は無かっただろう。考えるほどに、末恐ろしい娘である。 こう書かれているということは、アレンさんも油断できぬ相手のようですね。 彼はこれから出て来るようでありますが、どのような影響をもたらすのでしょうか? >「声が小さい!」 > 無理やり声を出させる。 >『はいっ!』 > カラ元気も元気のうち。とはいえ、さっきの今で気持ちが回復するほど、人間は器用ではない。 エクセブ隊長はどれだけ健闘出来るのでありましょうか? 次回が楽しみです。 それではこれで失礼致します。 |
26807 | Re:GAME5 | 潮北かずら | 2003/8/24 21:49:12 |
記事番号26720へのコメント ラントさんこんばんわ! 読んで下さって嬉しいかぎりです! >スピード感がありますね。 >一気に読めてしまいました。 そういっていただけるとホント嬉しいです。実は、以前よりラントさんに「スピード感が……」と言って頂いているので、なるべく読み詰まりしない表現とか、文字数における調子とか、少しだけ意識して書いていたりしてます。 だから尚更嬉しいです。 >このように呪文を工夫して使わせるというのは、作者先生はよくやっていますけど、実際そう簡単に出来るものじゃないので凄いと思います。 この場面は、実は書き始めたときから頭の中にありました。どうやったら在り来たりな術でリナの怖さが伝えられるかと……。(おいおい) コピー・レゾがサイラーグを滅ぼしたときに使った術がメガブランドだたので、それを元に、増幅呪文のオマケ付きなら、このくらいはおかしく無いかと……。スレイヤーズだからいいだろうという甘えもありましたね。無茶をさせたと思っていました。だから、今ちょっとだけホッとしています。(^^;) >こう書かれているということは、アレンさんも油断できぬ相手のようですね。 >彼はこれから出て来るようでありますが、どのような影響をもたらすのでしょうか? それは次回のお楽しみになるだろうと思います。そういう予定です。 >エクセブ隊長はどれだけ健闘出来るのでありましょうか? あれば良いなと思っております!(ごめんなさい。エクセブに関しては私にもわからないんです) なるべく早く仕上げたいと思います。 次回、投稿したときにラントさんの記憶にありましたら、読んで頂けますよう、よろしくお願いします。 ありがとうございました。 |