◆−リナの誕生日(カウントダウン5)−オロシ・ハイドラント (2003/8/22 22:29:44) No.26780
 ┣Re:リナの誕生日(カウントダウン5)−まりあ (2003/8/23 00:42:25) No.26783
 ┃┗Re:リナの誕生日(カウントダウン5)−オロシ・ハイドラント (2003/8/24 17:18:12) No.26800
 ┣今…夏だぁ♪−氷月椋佳 (2003/8/23 10:42:39) No.26787
 ┃┗Re:今…夏だぁ♪−オロシ・ハイドラント (2003/8/24 17:25:43) No.26801
 ┣らぶらぶですね♪−エモーション (2003/8/23 20:05:31) No.26795
 ┃┗Re:らぶらぶですね♪−オロシ・ハイドラント (2003/8/24 17:46:27) No.26802
 ┣ガウリイの誕生日〜リナの誕生日 解決編〜(カウントダウン4)−オロシ・ハイドラント (2003/8/24 00:27:00) No.26797
 ┃┗リナちゃん、ぷりてぃv−エモーション (2003/8/24 20:51:53) No.26804
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 ┣ゼルガディスの誕生日〜悪夢の序章〜(カウントダウン3)−オロシ・ハイドラント (2003/8/24 21:13:57) No.26805
 ┃┣ゼルくん、不幸……(^_^;)−エモーション (2003/8/24 22:59:55) No.26809
 ┃┃┗Re:ゼルくん、不幸……(^_^;)−オロシ・ハイドラント (2003/8/25 16:38:07) No.26818
 ┃┗Re:ゼルガディスの誕生日〜悪夢の序章〜(カウントダウン3)−まりあ (2003/8/25 02:04:55) No.26813
 ┃ ┗Re:ゼルガディスの誕生日〜悪夢の序章〜(カウントダウン3)−オロシ・ハイドラント (2003/8/25 17:08:11) No.26820
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 ┣アメリアの誕生日(カウントダウン2)−オロシ・ハイドラント (2003/8/25 22:13:37) No.26827
 ┃┗テーマのレベルが高いです−エモーション (2003/8/26 22:30:34) No.26835
 ┃ ┗Re:テーマのレベルが高いです−オロシ・ハイドラント (2003/8/27 11:05:43) No.26842
 ┣ルークの誕生日(カウントダウン1)−オロシ・ハイドラント (2003/8/26 21:37:45) No.26834
 ┃┣禍福はあざなえる縄のごとし−エモーション (2003/8/26 23:32:43) No.26837
 ┃┃┗Re:至福は転落の前奏曲−オロシ・ハイドラント (2003/8/27 11:36:22) No.26843
 ┃┗Re:ルークの誕生日(カウントダウン1)−びたちょこ (2003/8/27 17:25:07) No.26847
 ┃ ┗Re:ルークの誕生日(カウントダウン1)−オロシ・ハイドラント (2003/8/27 22:14:23) No.26854
 ┣フィブリゾの誕生日(ハッピーバースデイ)−オロシ・ハイドラント (2003/8/27 21:54:13) No.26852
 ┣私の誕生日(あとがき)−オロシ・ハイドラント (2003/8/27 22:32:16) No.26855
 ┃┣お疲れ様でした−どら・ゴン (2003/8/28 09:58:03) No.26856
 ┃┃┗Re:お疲れ様でした−オロシ・ハイドラント (2003/8/31 16:51:01) No.26864
 ┃┣Re:私の誕生日(あとがき)−氷月椋佳 (2003/8/28 10:58:52) No.26857
 ┃┃┗Re:私の誕生日(あとがき)−オロシ・ハイドラント (2003/8/31 16:52:33) No.26865
 ┃┣お疲れさまでした−エモーション (2003/8/28 21:17:07) No.26862
 ┃┃┗Re:お疲れさまでした−オロシ・ハイドラント (2003/8/31 17:09:10) No.26867
 ┃┗Re:私の誕生日(あとがき)−RIN (2003/9/3 00:49:05) No.26880
 ┃ ┗Re:私の誕生日(あとがき)−オロシ・ハイドラント (2003/9/3 20:47:49) No.26883
 ┗本来のあとがき−オロシ・ハイドラント (2003/8/31 17:56:32) No.26868


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26780リナの誕生日(カウントダウン5)オロシ・ハイドラント URL2003/8/22 22:29:44


 張り詰めたような静寂の中に、甘美なムードが漂っている。
 ある日の――だが、あたしにとっては大事な日の黄昏時。あたしとガウリイはランザック・シティという街の高級レストラン「薔薇十字園」にいた。
 客はまばら、誰もが気品のある格好をしている。食事をする様も、異様に行儀が良い。
 あたし達もそこそこ綺麗な服に着替えているのだが、正直あんまり似合っていない。
 ちなみに店に入ったばかりのあたし達のテーブルには、まだ料理は届けられていなかった。すでに注文はしてあるのだが。
「なあ、リナ」
 ガウリイが話し掛けて来る。それにしても黒タキシードが全然似合っていない。
「何?」
 あたしは小さめな声で返事した。
「……ホントに、俺に奢らせる気か?」
 ガウリイは憔悴したかのような顔付きをしていた。
「当たり前よ」
 あたしは容赦なく言い捨てる。
「ちょっと高そうだぜ」
 確かに、見るからにそこらの食堂とはケタが違う。
「良いじゃないのよ」
 あたしが遠慮なく言うのには理由がある。
 今日は大事な日なのだ。
 そう、誕生日である。
「…………」
 ガウリイは黙り込んだ。
 そしてしばらくして、料理が届いた。
「おお美味そうだぜ!」
 あたし達が注文したのは、コース料理ではなくメニュー全品である。
 まさしく豪華絢爛。
 これぞ乙女の食卓!
 あたしとガウリイはお店の人が戸惑うほどの猛スピードで料理にかぶりついていった。
 そして一時間後。
「子羊のステーキ四人前と、スペシャルステーキ三人前ね!」
「俺も同じやつ!」
 すべての料理を平らげたあたし達は、追加注文するために叫んだ。
「……は、はい」
 ……お店の人、迷惑してるや。


 あたし達の晩餐は幸せ絶頂というところでお開きとなった。
 いやあ、久しぶりに美味しいもの食べたぁ。
 ガウリイが支払いを済ませている様を、あたしはニコニコしながら見詰めていた。
 どうせガウリイと一緒に旅をしているのだから、お金はどちらが払っても一緒と思わせるかも知れないが、それは違う。商人たるもの、不必要に自分のポケットマネーを使うのは恥というもんである。
 あたしは、満腹感と喪失感を同時に味わって微妙な表情をしているガウリイとともに店を出た。
 それにしても、あれはいつ来るのだろうか? それを考えると幸せ気分ではいられなくなる。

 あたしの泊まっている宿の一室は完全防音性であった。なぜ防音機能がついているのかは分からない。
 そんな静かな部屋で一人になると、あたしはあれのことで頭がいってしまった。
 正直、あたしはあれを恐れている。
 そろそろ日付が変わる。ということは、あれはもうじき来るのだろう。
 ベッドに倒れ込み、天井を眺めていたあたしは、溜息を吐いた。
 それにしても、今年のあれは何なのだろうか。
 ちなみにあれというのは、毎年の誕生日に送られて来る故郷の姉ちゃんからのプレゼントのことである。なぜか姉ちゃんは、実家にいながら、あたしの居場所を手に取るように把握することが出来てしまうのだ。
 一昨年は自家製爆弾だった。
 去年はナメクジの詰め合わせだった。
 果たして今年は何なのだろうか。
 これではせっかくの誕生日が憂鬱になってしまう。
 ああ、この呪縛から逃れることは出来ないのだろうか?
 あたしは心の中で、悲劇のヒロインを気取ってみせた。
 惨劇はまさにその時に起こった。


 ドゴゴゴゴゴゴゴゴーン


 爆風と閃光があたしを襲った。
 あたしだけではない。恐らく、この宿全域を。
 あたしは凄まじい風に吹き飛ばされ、宿の壁をすり抜けた。
 そして闇空に放り出される。
「浮遊(レビテーション)!」
 あたしが浮遊の呪文で落下を防いだ時、すでに宿は爆砕され、激しい焔がその場所を征服していた。
 ガウリイは大丈夫なのだろうか?
 あたしが下に向かおうとした時、闇がうごめいた。同時に地響きが起こる。
 あれは……闇ではない。質量を持った巨大な存在。
 燃え盛る焔によって照らされたそれは、巨大な黒竜(ブラック・ドラゴン)であった。


 それはただの黒竜ではなかった。
 途轍もなく巨大。この街さえも簡単に破壊することが出来るであろう。
 となると、さっきの攻撃は――魔法だかブレスだか知らないが――手加減したものになるのではないか。
 黒竜は獲物を見つけたようだ。あたしという獲物を……。
 だが簡単に狩られてしまうほど、あたしという存在は弱くない。
「火炎球(ファイヤー・ボール)!」
 あたしは呪文を唱えた。
 ドゴゴゴッ!
 あたしの放った焔の球が、竜の頭部に炸裂した。
 しかし効いた様子はない。
 竜はあたしに向けて前脚を伸ばして来る。速い。
 あたしは神速の一撃をうまくかわした。
 だが竜はブレスを吐いて来た。まずい。
 あたしは急速に術を解くと、自由落下に身を任せた。すると上空に向けて放たれたブレスは闇の彼方へ向かっていった。
 大地に激突する寸前に、高速浮遊の術を使ったあたしは、素早く竜の背後に回り術を解く。
 竜があたしを見失っている内に、あたしは必殺の呪文を唱え始めた。


 黄昏よりも昏きもの 血の流れよりも紅きもの
 時の流れに埋もれし 偉大なる汝の名において
 我ここに闇に誓わん 我らが前に立ち塞がりし
 すべての愚かなるものに 我と汝が力もて
 等しく滅びを与えんことを


「竜破斬(ドラグ・スレイブ)!」
 魔王竜(ディモス・ドラゴン)でさえも倒しうる一撃を、あたしは放った。
 閃光が迸る。血の如く赤き閃光が。その光は世界を覆い尽くし、同時に爆発が生まれた。
 空間に破壊の意志が満ちる。
 血に飢えた死神は殺戮を限りを尽くした。


 しかし、竜は平然としていた。
「…………」
 呆然となるあたし。
 そこへ背後のあたしを発見した竜が襲い掛かる。
 あたしは夜空を見上げ、滅多に信じることのなかった神様に祈りを捧げた。
 だが信心深くないあたしを助けようとする神なんて、どこにもいない。祈りは通じなかった。
 素早く動く竜の腕は、今度こそあたしを捕らえるだろう。魔法使用直後の隙だらけのあたしを……。
 もうダメだ。
 そう思った時、
「リナぁああああああああああ」
 叫び声。
 それは上空から聞こえた。
 あたしは上を見上げる。
 すると、そこには確実に何かがいた。
 竜のブレスが生んだ焔が照らし出すそれはまさに……
「ガウリイ!」
 叫んだ瞬間、光が迸った。
 同時にあたしを襲おうとしていた竜の腕が、バターのように切り裂かれる。
 そしてガウリイは、あたしの前に降り立った。
「ガウリイ……あんた」
 だが、ガウリイはあたしの存在を無視するように、竜破斬さえも凌いだ恐るべき竜へと、駆け出した。
 ……結果、ガウリイの勝ち。


 妖斬剣(ブラスト・ソード)を仕舞いこんだガウリイは、
「大丈夫か」
「え、ええ」
 あたしはガウリイを見た。
 薄暗くはあるが、竜の骸と火焔をバックにその姿はよく映えている。
「心配したぞ」
 そう言ったガウリイは、どこかいつもと違う雰囲気を持っていた。
 あたしの顔が自然と熱を帯びる。
「それより……ガウリイはどうして……」
「ん? 何か知らんがああ、親切な人が現れて……」
 ガウリイが語ったのは、あの竜が襲い掛かって来る少し前のことである。
 彼の泊まっていた部屋に、来客があったという。
 客は三十ほどの特徴のない男で、ガウリイに向けて、危険だから街から逃げろといったという。
 戸惑っているとその男は、無理矢理ガウリイを連れ出したらしい。
 そして街から避難した途端、黒い影が街に降り立ったいう。
 あろうことか避難場所には明かりが灯されており、街の住人――総勢数十万人がいため、ガウリイはひどく驚いたらしい。
 それからさらにしばらくして、男はガウリイに、その黒い影と戦って来るように言われたらしい。
 そしてガウリイは、浮遊呪文を掛けられ、街の方へ吹き飛ばされたらしい。
 そして黒い影――竜に襲われているあたしを見つけて、ああ叫んだという。
 それにしても、よく襲われているのがあたしだと分かったもんだ。さすが野生児ガウリイ君というべきだろう。
 にしても……まさか!
「どうしたリナ?」
「ううん。何でもないわ」
 これこそが……姉ちゃんからのプレゼント?
「それより……ガウリイ」
「何だ?」


「……助けてくれてありがとう」


◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆


 これは突発的に書いた短編であります。
 なぜ書いたかと言いますと、実は八月二十七日が私の誕生日でして、それを勝手に記念して誕生日のその日まで、一日一作の短編を綴り続けたいと思っていたからです。
 今回がカウントダウン5となります。でも本当に続けられるか自信激薄。
 まあがんばってみます。


 見直しなしの駄作ですが、読んでいただけると嬉しく思います。
 それではこのあたりで……。


 ところで、これガウリナなんですが、そう見えたでしょうか?

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26783Re:リナの誕生日(カウントダウン5)まりあ 2003/8/23 00:42:25
記事番号26780へのコメント


> ある日の――だが、あたしにとっては大事な日の黄昏時。あたしとガウリイはランザック・シティという街の高級レストラン「薔薇十字園」にいた。
高級レストラン? 今日は食堂じゃないんですね。

> あたし達もそこそこ綺麗な服に着替えているのだが、正直あんまり似合っていない。
普段が普段ですし。

>>「……ホントに、俺に奢らせる気か?」
> ガウリイは憔悴したかのような顔付きをしていた。
ガウリイってお金持ってたんですか!? てっきりリナが全てを管理してるとばっかり・・・・。

>「ちょっと高そうだぜ」
> 確かに、見るからにそこらの食堂とはケタが違う。
ガウリイでもこういうのはわかるんですね。

>「おお美味そうだぜ!」
> あたし達が注文したのは、コース料理ではなくメニュー全品である。
食べ物がきたら急に元気になりましたか・・・・・。さすがはガウリイですね。

> これぞ乙女の食卓!
基本的乙女は違うと思います。

> あたしとガウリイはお店の人が戸惑うほどの猛スピードで料理にかぶりついていった。
ムードも何もあったもんじゃありませんね。

>「子羊のステーキ四人前と、スペシャルステーキ三人前ね!」
>「俺も同じやつ!」
> すべての料理を平らげたあたし達は、追加注文するために叫んだ。
場所がどこでも、やってることは同じですか。

>「……は、はい」
> ……お店の人、迷惑してるや。
かわいそうな店員さん・・・・。

> どうせガウリイと一緒に旅をしているのだから、お金はどちらが払っても一緒と思わせるかも知れないが、それは違う。商人たるもの、不必要に自分のポケットマネーを使うのは恥というもんである。
リナ的に魔道アイテムを買うのは不必要じゃないんですね。

> あたしは、満腹感と喪失感を同時に味わって微妙な表情をしているガウリイとともに店を出た。
一体いくらかかったんでしょう・・・。

> あたしの泊まっている宿の一室は完全防音性であった。なぜ防音機能がついているのかは分からない。
謎ですか。

> ちなみにあれというのは、毎年の誕生日に送られて来る故郷の姉ちゃんからのプレゼントのことである。なぜか姉ちゃんは、実家にいながら、あたしの居場所を手に取るように把握することが出来てしまうのだ。
さすがはルナさん。恐怖の人ですね。

> 一昨年は自家製爆弾だった。
> 去年はナメクジの詰め合わせだった。
確かにこれは恐ろしい・・・・・・・。

> あれは……闇ではない。質量を持った巨大な存在。
> 燃え盛る焔によって照らされたそれは、巨大な黒竜(ブラック・ドラゴン)であった。
一体どこから仕入れてきたんですかルナさん(汗)

> 黄昏よりも昏きもの 血の流れよりも紅きもの
> 時の流れに埋もれし 偉大なる汝の名において
> 我ここに闇に誓わん 我らが前に立ち塞がりし
> すべての愚かなるものに 我と汝が力もて
> 等しく滅びを与えんことを
お得意の呪文ですね。

> しかし、竜は平然としていた。
ということは、魔王竜よりも強いんですか。

> ……結果、ガウリイの勝ち。
神への祈りは届きましたね。

> それからさらにしばらくして、男はガウリイに、その黒い影と戦って来るように言われたらしい。
なんか、めちゃくちゃ勝手なような気がするのはきのせいでしょうか?

>「どうしたリナ?」
>「ううん。何でもないわ」
> これこそが……姉ちゃんからのプレゼント?
さすがはルナさん! ・・・・・なんでガウリイの事を知ってるのでしょう?

>「……助けてくれてありがとう」
ほのぼのラブで終わりですね♪

> これは突発的に書いた短編であります。
突発的で、こんな作品が作れるなんてすごいですね。

> 今回がカウントダウン5となります。でも本当に続けられるか自信激薄。
> まあがんばってみます。
がんばってください。

> ところで、これガウリナなんですが、そう見えたでしょうか?
見えましたよ。バッチグーです。
次もがんばってください。

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26800Re:リナの誕生日(カウントダウン5)オロシ・ハイドラント URL2003/8/24 17:18:12
記事番号26783へのコメント

はじめまして、こんばんは〜

>
>> ある日の――だが、あたしにとっては大事な日の黄昏時。あたしとガウリイはランザック・シティという街の高級レストラン「薔薇十字園」にいた。
>高級レストラン? 今日は食堂じゃないんですね。
特別な日ですからねえ。
>
>> あたし達もそこそこ綺麗な服に着替えているのだが、正直あんまり似合っていない。
>普段が普段ですし。
着慣れてないものでしょうからね。
>
>>>「……ホントに、俺に奢らせる気か?」
>> ガウリイは憔悴したかのような顔付きをしていた。
>ガウリイってお金持ってたんですか!? てっきりリナが全てを管理してるとばっかり・・・・。
確かにそんな気はします。でも、まあ旅してる内に方針が変わったのかも知れませんし……。
>
>>「ちょっと高そうだぜ」
>> 確かに、見るからにそこらの食堂とはケタが違う。
>ガウリイでもこういうのはわかるんですね。
まあ、一応食べ物のことですから。
>
>>「おお美味そうだぜ!」
>> あたし達が注文したのは、コース料理ではなくメニュー全品である。
>食べ物がきたら急に元気になりましたか・・・・・。さすがはガウリイですね。
それでこそガウリイ!
>
>> これぞ乙女の食卓!
>基本的乙女は違うと思います。
まあ……それはそうですけど。
>
>> あたしとガウリイはお店の人が戸惑うほどの猛スピードで料理にかぶりついていった。
>ムードも何もあったもんじゃありませんね。
リナの方は破壊神と呼ばれたこともありますから(意味違うけど)。
>
>>「子羊のステーキ四人前と、スペシャルステーキ三人前ね!」
>>「俺も同じやつ!」
>> すべての料理を平らげたあたし達は、追加注文するために叫んだ。
>場所がどこでも、やってることは同じですか。
まあ人間なんてそんなもんじゃないかと……
>
>>「……は、はい」
>> ……お店の人、迷惑してるや。
>かわいそうな店員さん・・・・。
こんなの見たのは初めてでしょうね。
>
>> どうせガウリイと一緒に旅をしているのだから、お金はどちらが払っても一緒と思わせるかも知れないが、それは違う。商人たるもの、不必要に自分のポケットマネーを使うのは恥というもんである。
>リナ的に魔道アイテムを買うのは不必要じゃないんですね。
まあ、無駄にしてることはありますけれどやはり必需品なのでしょう。
>
>> あたしは、満腹感と喪失感を同時に味わって微妙な表情をしているガウリイとともに店を出た。
>一体いくらかかったんでしょう・・・。
かなりのものでしょう。
相場が分からないので私には不明ですが。
>
>> あたしの泊まっている宿の一室は完全防音性であった。なぜ防音機能がついているのかは分からない。
>謎ですか。
実は、ガウリイが謎の男に連れ出された時、それに全く気付かなかったのは部屋が防音性だったという理由からです。
それ以外のことは考えていないので、やはり謎です。
>
>> ちなみにあれというのは、毎年の誕生日に送られて来る故郷の姉ちゃんからのプレゼントのことである。なぜか姉ちゃんは、実家にいながら、あたしの居場所を手に取るように把握することが出来てしまうのだ。
>さすがはルナさん。恐怖の人ですね。
あのリナが脅えるほどですから。
>
>> 一昨年は自家製爆弾だった。
>> 去年はナメクジの詰め合わせだった。
>確かにこれは恐ろしい・・・・・・・。
ほとんど嫌がらせ……。
>
>> あれは……闇ではない。質量を持った巨大な存在。
>> 燃え盛る焔によって照らされたそれは、巨大な黒竜(ブラック・ドラゴン)であった。
>一体どこから仕入れてきたんですかルナさん(汗)
次回で解き明かされてる……かも知れません。
>
>> 黄昏よりも昏きもの 血の流れよりも紅きもの
>> 時の流れに埋もれし 偉大なる汝の名において
>> 我ここに闇に誓わん 我らが前に立ち塞がりし
>> すべての愚かなるものに 我と汝が力もて
>> 等しく滅びを与えんことを
>お得意の呪文ですね。
一撃必殺……のはずですが
>
>> しかし、竜は平然としていた。
>ということは、魔王竜よりも強いんですか。
多分、魔法耐性があるのでしょう。
>
>> ……結果、ガウリイの勝ち。
>神への祈りは届きましたね。
どうやら助かったようです。
>
>> それからさらにしばらくして、男はガウリイに、その黒い影と戦って来るように言われたらしい。
>なんか、めちゃくちゃ勝手なような気がするのはきのせいでしょうか?
勝手な男です。
>
>>「どうしたリナ?」
>>「ううん。何でもないわ」
>> これこそが……姉ちゃんからのプレゼント?
>さすがはルナさん! ・・・・・なんでガウリイの事を知ってるのでしょう?
まあルナさんですから(説明になってない?)
>
>>「……助けてくれてありがとう」
>ほのぼのラブで終わりですね♪
ええ。
>
>> これは突発的に書いた短編であります。
>突発的で、こんな作品が作れるなんてすごいですね。
でも荒削りでおかしな点も結構あり、かなり反省されられた作品です。
>
>> 今回がカウントダウン5となります。でも本当に続けられるか自信激薄。
>> まあがんばってみます。
>がんばってください。
応援ありがとうございます。がんばってみます。
>
>> ところで、これガウリナなんですが、そう見えたでしょうか?
>見えましたよ。バッチグーです。
おお、良かったです。
>次もがんばってください。
レスどうもありがとうございました。
大変感謝致します。

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26787今…夏だぁ♪氷月椋佳 E-mail URL2003/8/23 10:42:39
記事番号26780へのコメント

ども師匠、家庭科の宿題でぱにくってる氷月です。

> 張り詰めたような静寂の中に、甘美なムードが漂っている。
> ある日の――だが、あたしにとっては大事な日の黄昏時。あたしとガウリイはランザック・シティという街の高級レストラン「薔薇十字園」にいた。
> 客はまばら、誰もが気品のある格好をしている。食事をする様も、異様に行儀が良い。
> あたし達もそこそこ綺麗な服に着替えているのだが、正直あんまり似合っていない。
> ちなみに店に入ったばかりのあたし達のテーブルには、まだ料理は届けられていなかった。すでに注文はしてあるのだが。
うむぅ…おそらくそれは大量にたのんだからだろうなぁ。
>「なあ、リナ」
> ガウリイが話し掛けて来る。それにしても黒タキシードが全然似合っていない。
>「何?」
> あたしは小さめな声で返事した。
>「……ホントに、俺に奢らせる気か?」
> ガウリイは憔悴したかのような顔付きをしていた。
>「当たり前よ」
> あたしは容赦なく言い捨てる。
>「ちょっと高そうだぜ」
> 確かに、見るからにそこらの食堂とはケタが違う。
>「良いじゃないのよ」
> あたしが遠慮なく言うのには理由がある。
> 今日は大事な日なのだ。
> そう、誕生日である。
そういえばリナの誕生日っていつなんだろなぁ…。
> あたし達の晩餐は幸せ絶頂というところでお開きとなった。
> いやあ、久しぶりに美味しいもの食べたぁ。
> ガウリイが支払いを済ませている様を、あたしはニコニコしながら見詰めていた。
> どうせガウリイと一緒に旅をしているのだから、お金はどちらが払っても一緒と思わせるかも知れないが、それは違う。商人たるもの、不必要に自分のポケットマネーを使うのは恥というもんである。
> あたしは、満腹感と喪失感を同時に味わって微妙な表情をしているガウリイとともに店を出た。
> それにしても、あれはいつ来るのだろうか? それを考えると幸せ気分ではいられなくなる。
>
> あたしの泊まっている宿の一室は完全防音性であった。なぜ防音機能がついているのかは分からない。
> そんな静かな部屋で一人になると、あたしはあれのことで頭がいってしまった。
> 正直、あたしはあれを恐れている。
> そろそろ日付が変わる。ということは、あれはもうじき来るのだろう。
> ベッドに倒れ込み、天井を眺めていたあたしは、溜息を吐いた。
> それにしても、今年のあれは何なのだろうか。
> ちなみにあれというのは、毎年の誕生日に送られて来る故郷の姉ちゃんからのプレゼントのことである。なぜか姉ちゃんは、実家にいながら、あたしの居場所を手に取るように把握することが出来てしまうのだ。
> 一昨年は自家製爆弾だった。
> 去年はナメクジの詰め合わせだった。
> 果たして今年は何なのだろうか。
> これではせっかくの誕生日が憂鬱になってしまう。
> ああ、この呪縛から逃れることは出来ないのだろうか?
> あたしは心の中で、悲劇のヒロインを気取ってみせた。
> 惨劇はまさにその時に起こった。
…恐ろしいプレゼントで。さすがリナの姉やなぁ。
> ドゴゴゴゴゴゴゴゴーン
>
>
> 爆風と閃光があたしを襲った。
> あたしだけではない。恐らく、この宿全域を。
> あたしは凄まじい風に吹き飛ばされ、宿の壁をすり抜けた。
> そして闇空に放り出される。
>「浮遊(レビテーション)!」
> あたしが浮遊の呪文で落下を防いだ時、すでに宿は爆砕され、激しい焔がその場所を征服していた。
> ガウリイは大丈夫なのだろうか?
> あたしが下に向かおうとした時、闇がうごめいた。同時に地響きが起こる。
> あれは……闇ではない。質量を持った巨大な存在。
> 燃え盛る焔によって照らされたそれは、巨大な黒竜(ブラック・ドラゴン)であった。
ドラゴン?!これが誕生日プレゼントっ!?

> 妖斬剣(ブラスト・ソード)を仕舞いこんだガウリイは、
>「大丈夫か」
>「え、ええ」
> あたしはガウリイを見た。
> 薄暗くはあるが、竜の骸と火焔をバックにその姿はよく映えている。
>「心配したぞ」
> そう言ったガウリイは、どこかいつもと違う雰囲気を持っていた。
> あたしの顔が自然と熱を帯びる。
>「それより……ガウリイはどうして……」
>「ん? 何か知らんがああ、親切な人が現れて……」
> ガウリイが語ったのは、あの竜が襲い掛かって来る少し前のことである。
> 彼の泊まっていた部屋に、来客があったという。
> 客は三十ほどの特徴のない男で、ガウリイに向けて、危険だから街から逃げろといったという。
> 戸惑っているとその男は、無理矢理ガウリイを連れ出したらしい。
> そして街から避難した途端、黒い影が街に降り立ったいう。
> あろうことか避難場所には明かりが灯されており、街の住人――総勢数十万人がいため、ガウリイはひどく驚いたらしい。
> それからさらにしばらくして、男はガウリイに、その黒い影と戦って来るように言われたらしい。
> そしてガウリイは、浮遊呪文を掛けられ、街の方へ吹き飛ばされたらしい。
> そして黒い影――竜に襲われているあたしを見つけて、ああ叫んだという。
> それにしても、よく襲われているのがあたしだと分かったもんだ。さすが野生児ガウリイ君というべきだろう。
> にしても……まさか!
>「どうしたリナ?」
>「ううん。何でもないわ」
> これこそが……姉ちゃんからのプレゼント?
>「それより……ガウリイ」
>「何だ?」
>
>
>「……助けてくれてありがとう」
ガウリナだぁ。わぁおv
> これは突発的に書いた短編であります。
> なぜ書いたかと言いますと、実は八月二十七日が私の誕生日でして、それを勝手に記念して誕生日のその日まで、一日一作の短編を綴り続けたいと思っていたからです。
> 今回がカウントダウン5となります。でも本当に続けられるか自信激薄。
> まあがんばってみます。
夏生まれですか〜。私は冬生まれ…。そのせいか冬苦手…風引きやすいんで。
一日一作…頑張って下さい。

> ところで、これガウリナなんですが、そう見えたでしょうか?
見えましたよ!ではではっ。

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26801Re:今…夏だぁ♪オロシ・ハイドラント URL2003/8/24 17:25:43
記事番号26787へのコメント

>ども師匠、家庭科の宿題でぱにくってる氷月です。
こんばんは氷月さん。
家庭科ですか。一体どんな宿題なのでしょう。
とにかくがんばってください。

>
>> 張り詰めたような静寂の中に、甘美なムードが漂っている。
>> ある日の――だが、あたしにとっては大事な日の黄昏時。あたしとガウリイはランザック・シティという街の高級レストラン「薔薇十字園」にいた。
>> 客はまばら、誰もが気品のある格好をしている。食事をする様も、異様に行儀が良い。
>> あたし達もそこそこ綺麗な服に着替えているのだが、正直あんまり似合っていない。
>> ちなみに店に入ったばかりのあたし達のテーブルには、まだ料理は届けられていなかった。すでに注文はしてあるのだが。
>うむぅ…おそらくそれは大量にたのんだからだろうなぁ。
お店の人は大変ですね。喜んでいるかも知れませんけど。
>>「なあ、リナ」
>> ガウリイが話し掛けて来る。それにしても黒タキシードが全然似合っていない。
>>「何?」
>> あたしは小さめな声で返事した。
>>「……ホントに、俺に奢らせる気か?」
>> ガウリイは憔悴したかのような顔付きをしていた。
>>「当たり前よ」
>> あたしは容赦なく言い捨てる。
>>「ちょっと高そうだぜ」
>> 確かに、見るからにそこらの食堂とはケタが違う。
>>「良いじゃないのよ」
>> あたしが遠慮なく言うのには理由がある。
>> 今日は大事な日なのだ。
>> そう、誕生日である。
>そういえばリナの誕生日っていつなんだろなぁ…。
さあ? なんとなく夏ごろというイメージがありますけれど。
>> あたし達の晩餐は幸せ絶頂というところでお開きとなった。
>> いやあ、久しぶりに美味しいもの食べたぁ。
>> ガウリイが支払いを済ませている様を、あたしはニコニコしながら見詰めていた。
>> どうせガウリイと一緒に旅をしているのだから、お金はどちらが払っても一緒と思わせるかも知れないが、それは違う。商人たるもの、不必要に自分のポケットマネーを使うのは恥というもんである。
>> あたしは、満腹感と喪失感を同時に味わって微妙な表情をしているガウリイとともに店を出た。
>> それにしても、あれはいつ来るのだろうか? それを考えると幸せ気分ではいられなくなる。
>>
>> あたしの泊まっている宿の一室は完全防音性であった。なぜ防音機能がついているのかは分からない。
>> そんな静かな部屋で一人になると、あたしはあれのことで頭がいってしまった。
>> 正直、あたしはあれを恐れている。
>> そろそろ日付が変わる。ということは、あれはもうじき来るのだろう。
>> ベッドに倒れ込み、天井を眺めていたあたしは、溜息を吐いた。
>> それにしても、今年のあれは何なのだろうか。
>> ちなみにあれというのは、毎年の誕生日に送られて来る故郷の姉ちゃんからのプレゼントのことである。なぜか姉ちゃんは、実家にいながら、あたしの居場所を手に取るように把握することが出来てしまうのだ。
>> 一昨年は自家製爆弾だった。
>> 去年はナメクジの詰め合わせだった。
>> 果たして今年は何なのだろうか。
>> これではせっかくの誕生日が憂鬱になってしまう。
>> ああ、この呪縛から逃れることは出来ないのだろうか?
>> あたしは心の中で、悲劇のヒロインを気取ってみせた。
>> 惨劇はまさにその時に起こった。
>…恐ろしいプレゼントで。さすがリナの姉やなぁ。
さすがです。めでたい日を、悪夢の一日に変えてしまうとは。
>> ドゴゴゴゴゴゴゴゴーン
>>
>>
>> 爆風と閃光があたしを襲った。
>> あたしだけではない。恐らく、この宿全域を。
>> あたしは凄まじい風に吹き飛ばされ、宿の壁をすり抜けた。
>> そして闇空に放り出される。
>>「浮遊(レビテーション)!」
>> あたしが浮遊の呪文で落下を防いだ時、すでに宿は爆砕され、激しい焔がその場所を征服していた。
>> ガウリイは大丈夫なのだろうか?
>> あたしが下に向かおうとした時、闇がうごめいた。同時に地響きが起こる。
>> あれは……闇ではない。質量を持った巨大な存在。
>> 燃え盛る焔によって照らされたそれは、巨大な黒竜(ブラック・ドラゴン)であった。
>ドラゴン?!これが誕生日プレゼントっ!?
……どうやら。
>
>> 妖斬剣(ブラスト・ソード)を仕舞いこんだガウリイは、
>>「大丈夫か」
>>「え、ええ」
>> あたしはガウリイを見た。
>> 薄暗くはあるが、竜の骸と火焔をバックにその姿はよく映えている。
>>「心配したぞ」
>> そう言ったガウリイは、どこかいつもと違う雰囲気を持っていた。
>> あたしの顔が自然と熱を帯びる。
>>「それより……ガウリイはどうして……」
>>「ん? 何か知らんがああ、親切な人が現れて……」
>> ガウリイが語ったのは、あの竜が襲い掛かって来る少し前のことである。
>> 彼の泊まっていた部屋に、来客があったという。
>> 客は三十ほどの特徴のない男で、ガウリイに向けて、危険だから街から逃げろといったという。
>> 戸惑っているとその男は、無理矢理ガウリイを連れ出したらしい。
>> そして街から避難した途端、黒い影が街に降り立ったいう。
>> あろうことか避難場所には明かりが灯されており、街の住人――総勢数十万人がいため、ガウリイはひどく驚いたらしい。
>> それからさらにしばらくして、男はガウリイに、その黒い影と戦って来るように言われたらしい。
>> そしてガウリイは、浮遊呪文を掛けられ、街の方へ吹き飛ばされたらしい。
>> そして黒い影――竜に襲われているあたしを見つけて、ああ叫んだという。
>> それにしても、よく襲われているのがあたしだと分かったもんだ。さすが野生児ガウリイ君というべきだろう。
>> にしても……まさか!
>>「どうしたリナ?」
>>「ううん。何でもないわ」
>> これこそが……姉ちゃんからのプレゼント?
>>「それより……ガウリイ」
>>「何だ?」
>>
>>
>>「……助けてくれてありがとう」
>ガウリナだぁ。わぁおv
おおっ良かったああ〜
>> これは突発的に書いた短編であります。
>> なぜ書いたかと言いますと、実は八月二十七日が私の誕生日でして、それを勝手に記念して誕生日のその日まで、一日一作の短編を綴り続けたいと思っていたからです。
>> 今回がカウントダウン5となります。でも本当に続けられるか自信激薄。
>> まあがんばってみます。
>夏生まれですか〜。私は冬生まれ…。そのせいか冬苦手…風引きやすいんで。
私は夏風邪に弱いっすなあ。最近。
>一日一作…頑張って下さい。
なんとかがんばってみます。
>
>> ところで、これガウリナなんですが、そう見えたでしょうか?
>見えましたよ!ではではっ。
本当に良かったです。
>
レスどうもありがとうございました。
大変感謝致します。

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26795らぶらぶですね♪エモーション E-mail 2003/8/23 20:05:31
記事番号26780へのコメント

こんばんは。

リナのお誕生日……ガウリイに奢らせる、というのは確かにありそうだなー、と
思いました。
フォーマルな格好じゃないと入れないようなレストラン、という辺りが、
さりげなく乙女心というものですね。誰が見てもデートですね♪(食事風景は除く(笑))

> ガウリイが支払いを済ませている様を、あたしはニコニコしながら見詰めていた。
> どうせガウリイと一緒に旅をしているのだから、お金はどちらが払っても一緒と思わせるかも知れないが、それは違う。商人たるもの、不必要に自分のポケットマネーを使うのは恥というもんである。

こういった店の場合、例え割り勘だったとしても、支払いに立つのは男性の方が
格好がつくような気も……。(妙に面子やプライドにこだわる人だと、
女性が支払いに立っていて、自分は見ているだけ、というのを嫌がるし)

> ちなみにあれというのは、毎年の誕生日に送られて来る故郷の姉ちゃんからのプレゼントのことである。なぜか姉ちゃんは、実家にいながら、あたしの居場所を手に取るように把握することが出来てしまうのだ。
> 一昨年は自家製爆弾だった。
> 去年はナメクジの詰め合わせだった。
> 果たして今年は何なのだろうか。

ルナさん……いったい、どんな基準でプレゼントを(滝汗)
特に「ナメクジの詰め合わせ」って……。
嫌がらせにしかなっていないような……(^_^;)

>「竜破斬(ドラグ・スレイブ)!」
> 魔王竜(ディモス・ドラゴン)でさえも倒しうる一撃を、あたしは放った。
> 閃光が迸る。血の如く赤き閃光が。その光は世界を覆い尽くし、同時に爆発が生まれた。
> 空間に破壊の意志が満ちる。
> 血に飢えた死神は殺戮を限りを尽くした。
>
>
> しかし、竜は平然としていた。

無茶苦茶強い、といいますか、反則といいますか、ルール違反のような竜ですね。
一体どういう種類の竜なのでしょう。(汗)

>「ガウリイ!」
> 叫んだ瞬間、光が迸った。
> 同時にあたしを襲おうとしていた竜の腕が、バターのように切り裂かれる。

おおおおっ!! さすがガウリイ! リナのピンチにはやはり駆けつけますね♪

> そしてガウリイは、あたしの前に降り立った。
>「ガウリイ……あんた」
> だが、ガウリイはあたしの存在を無視するように、竜破斬さえも凌いだ恐るべき竜へと、駆け出した。
> ……結果、ガウリイの勝ち。

……ガウリイ強い……(汗)竜破斬でも倒せないのに……。
それとも、魔法では倒せないタイプの竜だったのでしょうか。

> 妖斬剣(ブラスト・ソード)を仕舞いこんだガウリイは、
>「大丈夫か」
>「え、ええ」
> あたしはガウリイを見た。
> 薄暗くはあるが、竜の骸と火焔をバックにその姿はよく映えている。
>「心配したぞ」
> そう言ったガウリイは、どこかいつもと違う雰囲気を持っていた。
> あたしの顔が自然と熱を帯びる。

ガウリイ、格好いいです。颯爽と現れてヒロインを守るヒーローですね♪ 
さすがのリナも意識して、ドキドキしていますね。
ああ……愛です! 

> にしても……まさか!
>「どうしたリナ?」
>「ううん。何でもないわ」
> これこそが……姉ちゃんからのプレゼント?
>「それより……ガウリイ」
>「何だ?」
>
>
>「……助けてくれてありがとう」

ルナさん……粋なプレゼントですね。
でも街の方々にとっては、ひたすら迷惑でしかないのでは(汗)
そして、ガウリイを連れ出した男の人は、一体何者なのでしょう。
竜もいったい何だったのか、気になりますし。
……でも、まあ、ルナさんですしねぇ……(笑)

> これは突発的に書いた短編であります。
> なぜ書いたかと言いますと、実は八月二十七日が私の誕生日でして、それを勝手に記念して誕生日のその日まで、一日一作の短編を綴り続けたいと思っていたからです。

お誕生日が近いのですか、おめでとうございます♪ 乙女座ですね。
短編とはいえ、毎日一作ですか……。凄いです。

> 今回がカウントダウン5となります。でも本当に続けられるか自信激薄。
> まあがんばってみます。

タイトルのカウントダウンって何かと思っていました。
無理をせず、がんばってください。

> 見直しなしの駄作ですが、読んでいただけると嬉しく思います。
> それではこのあたりで……。

> ところで、これガウリナなんですが、そう見えたでしょうか?

面白かったです。ちゃんと、ガウリナに見えましたよ〜。
普段どおりでも、誕生日は特別な日、と普段と違う店に入りたがる辺り、
リナもやはり女の子ですね。
相手がガウリイじゃなかったら、高級レストランなんて選ばない気がしますし。
後半はらぶらぶでしたし。ルナさん、恐るべし!(笑)
こうして、ガウリイはリナ父だけでなく、ルナにも頭が上がらなくなるのでした(笑)

楽しく読ませていただきました。今日書かれる予定の短編も楽しみです。
次は誰がメインかな、と(^.^)
それでは、この辺で失礼いたします。

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26802Re:らぶらぶですね♪オロシ・ハイドラント URL2003/8/24 17:46:27
記事番号26795へのコメント

>こんばんは。
こんばんは。
>
>リナのお誕生日……ガウリイに奢らせる、というのは確かにありそうだなー、と
>思いました。
>フォーマルな格好じゃないと入れないようなレストラン、という辺りが、
>さりげなく乙女心というものですね。誰が見てもデートですね♪(食事風景は除く(笑))
当初は仲良し四人組の食事風景を冒頭に出そうと思ったんですが、すでにおぼろげに内容が見えていたゼルとアメリナの誕生日を書くためにこのような形にしました。
思えば、それによってガウリナ的要素を+することが出来てよかったと思います。
>
>> ガウリイが支払いを済ませている様を、あたしはニコニコしながら見詰めていた。
>> どうせガウリイと一緒に旅をしているのだから、お金はどちらが払っても一緒と思わせるかも知れないが、それは違う。商人たるもの、不必要に自分のポケットマネーを使うのは恥というもんである。
>
>こういった店の場合、例え割り勘だったとしても、支払いに立つのは男性の方が
>格好がつくような気も……。(妙に面子やプライドにこだわる人だと、
>女性が支払いに立っていて、自分は見ているだけ、というのを嫌がるし)
確かにそれはありますね。
ガウリイは気にするか分かりませんけど。
>
>> ちなみにあれというのは、毎年の誕生日に送られて来る故郷の姉ちゃんからのプレゼントのことである。なぜか姉ちゃんは、実家にいながら、あたしの居場所を手に取るように把握することが出来てしまうのだ。
>> 一昨年は自家製爆弾だった。
>> 去年はナメクジの詰め合わせだった。
>> 果たして今年は何なのだろうか。
>
>ルナさん……いったい、どんな基準でプレゼントを(滝汗)
>特に「ナメクジの詰め合わせ」って……。
>嫌がらせにしかなっていないような……(^_^;)
基準は全く謎ですね。
嫌がらせすることに深い意味があるのかも知れませんけど。
>
>>「竜破斬(ドラグ・スレイブ)!」
>> 魔王竜(ディモス・ドラゴン)でさえも倒しうる一撃を、あたしは放った。
>> 閃光が迸る。血の如く赤き閃光が。その光は世界を覆い尽くし、同時に爆発が生まれた。
>> 空間に破壊の意志が満ちる。
>> 血に飢えた死神は殺戮を限りを尽くした。
>>
>>
>> しかし、竜は平然としていた。
>
>無茶苦茶強い、といいますか、反則といいますか、ルール違反のような竜ですね。
>一体どういう種類の竜なのでしょう。(汗)
多分、ゼフィーリア産だから強いのだと。
反則スレスレの人間が住んでいるのだから、動物も反則級でも良いんじゃないかと。
>
>>「ガウリイ!」
>> 叫んだ瞬間、光が迸った。
>> 同時にあたしを襲おうとしていた竜の腕が、バターのように切り裂かれる。
>
>おおおおっ!! さすがガウリイ! リナのピンチにはやはり駆けつけますね♪
お約束というやつですね。
>
>> そしてガウリイは、あたしの前に降り立った。
>>「ガウリイ……あんた」
>> だが、ガウリイはあたしの存在を無視するように、竜破斬さえも凌いだ恐るべき竜へと、駆け出した。
>> ……結果、ガウリイの勝ち。
>
>……ガウリイ強い……(汗)竜破斬でも倒せないのに……。
>それとも、魔法では倒せないタイプの竜だったのでしょうか。
私の設定としてはそれです。
魔法耐性があったところで、竜破斬まで防げるかというのは正直、疑問ですけど。
>
>> 妖斬剣(ブラスト・ソード)を仕舞いこんだガウリイは、
>>「大丈夫か」
>>「え、ええ」
>> あたしはガウリイを見た。
>> 薄暗くはあるが、竜の骸と火焔をバックにその姿はよく映えている。
>>「心配したぞ」
>> そう言ったガウリイは、どこかいつもと違う雰囲気を持っていた。
>> あたしの顔が自然と熱を帯びる。
>
>ガウリイ、格好いいです。颯爽と現れてヒロインを守るヒーローですね♪ 
>さすがのリナも意識して、ドキドキしていますね。
>ああ……愛です! 
この場合、二人とも気付かずに進行しているということになりますかね。
>
>> にしても……まさか!
>>「どうしたリナ?」
>>「ううん。何でもないわ」
>> これこそが……姉ちゃんからのプレゼント?
>>「それより……ガウリイ」
>>「何だ?」
>>
>>
>>「……助けてくれてありがとう」
>
>ルナさん……粋なプレゼントですね。
狙い通りにいってなかったことを考えると恐ろしいですけどね。
>でも街の方々にとっては、ひたすら迷惑でしかないのでは(汗)
確かに……。
>そして、ガウリイを連れ出した男の人は、一体何者なのでしょう。
>竜もいったい何だったのか、気になりますし。
>……でも、まあ、ルナさんですしねぇ……(笑)
スレイヤーズの世界には、常識の通用しない相手が多数いますからねえ。
一応の解決は用意してありますけれど。
>
>> これは突発的に書いた短編であります。
>> なぜ書いたかと言いますと、実は八月二十七日が私の誕生日でして、それを勝手に記念して誕生日のその日まで、一日一作の短編を綴り続けたいと思っていたからです。
>
>お誕生日が近いのですか、おめでとうございます♪ 乙女座ですね。
ええ、そうなります。
>短編とはいえ、毎日一作ですか……。凄いです。
うまくいけば出来ると思いますが、やはり予定は狂うものですし結構心配なところです。

>
>> 今回がカウントダウン5となります。でも本当に続けられるか自信激薄。
>> まあがんばってみます。
>
>タイトルのカウントダウンって何かと思っていました。
確かにこの言葉だけじゃ何のことか分かりませんし、自分で自分の誕生日までの日数を数えるのも変な話ですから。
ちなみに実はカウントダウン企画はずっと前からありました。
でも風邪ひいたりしてなかなか実行出来ませんでしたけど。
>無理をせず、がんばってください。
がんばってみます。
>
>> 見直しなしの駄作ですが、読んでいただけると嬉しく思います。
>> それではこのあたりで……。
>
>> ところで、これガウリナなんですが、そう見えたでしょうか?
>
>面白かったです。ちゃんと、ガウリナに見えましたよ〜。
おお良かったです。
>普段どおりでも、誕生日は特別な日、と普段と違う店に入りたがる辺り、
>リナもやはり女の子ですね。
>相手がガウリイじゃなかったら、高級レストランなんて選ばない気がしますし。
確かにそうですね。
>後半はらぶらぶでしたし。ルナさん、恐るべし!(笑)
>こうして、ガウリイはリナ父だけでなく、ルナにも頭が上がらなくなるのでした(笑)
現在も二人の仲は熱くなっていっている……ガウリイがゼフィーリアに適応出来るかが問題ですね。どうも個人的には婿入りなイメージが強いですし。
>
>楽しく読ませていただきました。今日書かれる予定の短編も楽しみです。
おお、ありがとうございます。
>次は誰がメインかな、と(^.^)
>それでは、この辺で失礼いたします。
レスどうもありがとうございました。
大変感謝致します。

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26797ガウリイの誕生日〜リナの誕生日 解決編〜(カウントダウン4)オロシ・ハイドラント URL2003/8/24 00:27:00
記事番号26780へのコメント

 どうやら日付が変わってしまったようです。
 でもいきます。


◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆


 0
 あたしはニヤリと笑った。
 様々な感情が渦巻き、結果としてそんな表情を造り上げている。
 男は少なからず動揺しているようだ。
 あたしは彼を強く見詰めた。
「答えなさいよ。あんたでしょう」
 あたしは黒服の悪魔に向けてそう言った。


◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆


 1
 あたしにも、嫌なもの、苦手なものというのはやはりある。
 たとえばナメクジ。あれは気持ち悪い。それにナメクジが出て来るような陰気な雨の日だって嫌だ。
 アンデッドの類も苦手である。
 偉そうにふんぞり返っているやつも嫌いだし、大の大人のくせにウジウジしてるやつも嫌いだ。
 魔族連中とも出来れば関わり合いになりたくないし、雑魚のくせにあたしにたて突こうとして来るやつらだって大嫌い。
 夏の暑い日も、冬の寒い日もだめだ。
 そして、今挙げたもの以上に苦手なものが一つある。恐れているものとも言い換えることが出来るであろうそれは……姉である。
 あんまり大きな声では言えないが、あたしの姉ちゃんという女は、慎ましやかな外見に似合わず、途轍もなく恐ろしい存在なのである。
 身体を丈夫にするためにという名目で毒草を食べさせられたり、風邪をひくと治った途端に「根性が足りん」とか言われ寒中水泳をさせられたり……そりゃあもう散々な目にあったのだ。
 姉ちゃんから受けた被害を全部挙げようものなら、一冊の本が完成してしまうほどであろう。
 あたしは旅に出ることによって、そんな姉ちゃんから逃れることが出来たと思った。しかし呪縛は今でも残っているのだ。
 誕生日プレゼントである。
 絶対に食べ切りなさいと書かれた紙を同封した毒草の詰め合わせ、爆弾、ナメクジ……そして今年はなんとドラゴン一匹送ってきやがった。
 あの時は死ぬ思いをしたものだ。ガウリイが助けに来なかったら、恐らくあたしの命はなかったであろう。
 そして今日は誕生日である。とはいってもあたしの誕生日ではないのだが、今年の誕生日に地獄を見たあたしは、ついに誕生日という単語自体を畏怖するようになってしまったのだ。
 ちなみに今、あたしが何をしているのかというと……誕生日プレゼントを買いにいっているのだ。誕生日そのものを畏怖しているといっても、買いものまでもが恐いわけではない。ショッピングは大好きだ。
 今日はあたしの旅の仲間にして、脳みそクラゲの戦闘マシーン、ガウリイ・ガブリエフ君の誕生日なのである。いつか彼が言ったのを、あたしはしっかりと覚えている。
 あたしは彼を宿に監禁……じゃなくて、放置……でもないな、とにかく宿で休ませておいて一人で買いものに出掛けていた。
 そこそこ広い街の露店が並ぶ通り、あたしは人込みを掻き分け、ひたすら商品を物色していた。
 だがまだ何を買うのかさえ決まっていない。
 食品、アクセサリー、花、骨董品……不規則に並んだお店の数々をちらりと覗いては、先に進んでいるという状態である。
 ガウリイ相手には、やはり武器防具の類が良いと思うのだが、祝福すべき――あたし意外の人間にとっては――誕生日にそんな物騒なものを渡すというのはどうかと思う。
 ならばガウリイの好きな食べものかといわれても、やはり形の残るものが良いに決まっている。
 宝石なんて柄じゃないだろうし、花買っても食べられそうだし、人形とかは興味なさそうだし……う〜んどうしようか。
 と考えていると不意に、肩に違和感がした。
 振り向こうとした途端、天地が逆転する。
 え?
 浮遊感。
 回転している。
 このままいくと路地に……。
 一体これは……。
 あたしは地面に落下した。


 2
 ううん。
 大丈夫……だろうか?
 全身が軽く痛む。
 ここは?
 そうか。あたしは、あたしの肩を掴んだ何者かに投げ飛ばされて、路地へと放り込まれたようだ。
 どうやらあたしは、うつ伏せになって倒れているようだ。
 そっと、両手をついて立ち上がる。
 大した怪我はしていないはずだ。
 起き上がるのにはそれほど苦労を掛けなかった。
 辺りを見回す。狭い路地だ。
 誰もいない。ただ奥へと道が続いている。
 背後へ向き直った。こちら側から投げ込まれたのだろう。
 それにしても非常識だ。こんな狭い路地にか弱い乙女を投げ込むなんて……。
 いや、それ以前にそんな行為が実行可能かどうかが問題であろう。
 肩を掴んであたしを持ち上げ、回転するように投げて、路地へと放り込む。こんなこのが人間に可能なのだろうか。
 まずかなりの力が必要だろうし、正確な狙いも要求される。しかもあれはかなりの早業だった。
 あんなことが出来るのは、故郷の姉ちゃんくらいだろうってまさか! いや、こんなところに姉ちゃんが来ているとは考え難い。
 ならば……。
 あたしがそんなことを考えていると、ふと背後から何者かに肩を掴まれた。
 また投げられるのか? あたしはそう思って抵抗しようとしたが、相手にその意志はないようだ。それにあたしを投げ飛ばしたやつが、あたしの背後にいるとは思えない。
「リナ・インバース様ですね」
 声が掛かる。男の声だ。あたしはそっと頷いた。
「ご同行願います」


 3
 あたしはそれを見た瞬間、ひどく驚いてしまった。
「何なのよこれ!」
 裏路地の一角。少し広くなっている場所で、あたしはそれを見せられた。
「どうです。どれがよろしいでしょうか?」
 あたしをここまで連れて来た三十ほどの黒服を着た男――確か名前はミュオンといったか――は慇懃な口調でそう言った。ちなみにあたしを投げ飛ばしたのは、彼の仲間であるという。
「だから何なのよ!」
「ご不満でしょうか?」
「当たり前よ!」
 区画の隅に置かれた木箱に座っていたあたしは立ち上がって、男に向けて激しく怒鳴った。
「ですが当社にはこれ以上のものは……」
「これ以上のものがあっても困るわいっ!」
 ちなみに何を見せられたかというと、ガウリイの誕生日プレゼントのカタログである。
 だが、ただのカタログではなかった。
「ほら。このプランA「快楽殺人鬼と過ごす戦慄の一夜コース」なんて……」
 そう。内容が無茶苦茶なのだ。
 ちなみにプランは三種類あって後の二つは、プランB「巨大ハンマーでゆく霊界探険&地獄巡りコース」、プランC「街に仕掛けられた大規模爆破装置を解除しようコース」といったものである。
「ふざけんな!」
 怒りのあまり、あたしは炎の矢(フレア・アロー)を解き放った。
 しかし、男はそれをすべてかわし、
「ですが、せっかくの機会ですのでどうかご一つ」
 …………。
「インバース様のお姉様も是非と言っておりますし……」
 え?
 まさか……。
「一体それは……どういうことかしら」
 私は言った。
「どういうことと言いますと?」
「あたしの誕生日にあれを送りつけたのは、まさかあんたじゃないの?」
 あたしはニヤリと笑った。
 様々な感情が渦巻き、結果としてそんな表情を造り上げている。
 男は少なからず動揺しているようだ。
 あたしは彼を強く見詰めた。
「答えなさいよ。あんたでしょう」
 あたしは黒服の悪魔に向けてそう言った。
「そうです」
 開き直ったのだろうか。男は言った。
 あたしは笑みを浮かべながら、彼の方へと近寄っていく。
「何で……あんなことをしたのかしら」
 だが、男はそれでも、
「お気に召しませんでしたでしょうか?」
「気に入らん決まっとるわ!」


 4
 あたしは動揺した男をしばき倒し――思ったほど手強くなかった――、すべてを白状させた。
 何と彼はゼフィーリアの誕生日企画会社「地獄の聖天使」という企業の社員であり、会社の宣伝広告のモデルになったうちの姉ちゃんに頼まれて、無償であたしの誕生日を演出することになったのだという。
 さらに、あたしの仲間であるガウリイの誕生日にも同じようなことをするように言われたらしい。
 つまり、あたしのあの恐怖の誕生日には、一組織が絡んでいたということになる。
 それにしても、住人を全員避難させて、ドラゴンけしかけて街を大規模破壊するということをやってのける企業って。……可能かどうかを別にしても凄ひ。
 まあ、何はともあれすべて解決したのだ。
 あたしは意気揚揚と帰路に立った。当然、買いものは忘れなかった。


 5
 黄昏時、あたしとガウリイは小さな食堂にいた。
 あたしの誕生日の時のような場所ではないが、なかなか上品なお店である。
 とはいえ、あたし達がその店の雰囲気に譲歩してやるいわれはない。
 猛スピードで、運ばれて来る料理を腹に詰め込み、どこか寂しげなムードを阻害していた。
 やがて食べ終えたあたしは、大きく息を吸い、
「なかなか美味しかったわね」
 ガウリイに向けて言った。
「そうだな」
 ガウリイは随分と満足げだ。
「ところでリナ……」
「何?」
「ちょっと顔色良くないぞ」
「そ、そうかしら……」
 そうなのかも知れない。
 実は今、あたしはもの凄く緊張している。なぜそうなのかは分からない。
 ガウリイにプレゼントを渡さなければならないというのが原因だろうが、このあたしがそんなことで緊張するものだろうか。
 何にしろ今、あたしは緊張している。
 上辺には分からないと思うのだが、その感情の片鱗が顔に微かながらも現われているのだろう。そしてそれを、ガウリイが「顔色が悪い」と評したのだと思われる。
「大丈夫か?」
「もちろんよ」
 あたしは強気に答えた。
「じゃあ、いくか……」
 するとガウリイが立ち上がる。
「まっ、待って……」
 あたしは彼を呼び止めた。
「何だ?」
「…………」
 沈黙。だが勇気を振り絞り、あたしは震えた手でテーブルの下に置いてあったそれを掴む。
 これはただの誕生日プレゼントだ。それ以上でも以下でもない。
「ガウリイ……」
 あたしは包装された小さな箱を取り出し、
「これ……誕生日おめでとう」
 思い切ってガウリイに手渡した。
「良いのか?」
 頷く。
 するとガウリイは困り顔で、


「……俺の誕生日、来月なんだがなあ」


◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆


 こんばんはラントです。
 今回は何なのでしょう?
 ガウリイが結構まともなんです。ボケさせても良いんですけど、雰囲気の保持のために結構まともにしてみました。
 ちなみにラストにはルナさんと「地獄の聖天使」の人の会話を入れようかと思ったんですが、どうも解説臭くなりかねないので止めておきました。


 さて次回はゼルガディス編になると思います。
 その次がアメリア、続いてゼロスとなるはずです。
 ラストはヴァル、フィリア、ディルギア、ハイランド(オリジ)のどれかになると思います。
 ちなみにどの誕生日もいつだか分からないようになっています。


 それではこれで失礼致します。

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26804リナちゃん、ぷりてぃvエモーション E-mail 2003/8/24 20:51:53
記事番号26797へのコメント

こんばんは。

カウントダウン4ですね。
ガウリイの誕生日に絡めて、前回の謎解きでしたか。
謎の方々の正体が分かって、なるほどと思いつつ、何故か生暖かい笑みが(笑)
どーいう会社なんでしょう……。


> そして、今挙げたもの以上に苦手なものが一つある。恐れているものとも言い換えることが出来るであろうそれは……姉である。

普通でも兄やら姉という存在は、弟妹にとって、頭の上がらない相手であることが
多々あるのですが……。それがそらにルナさんでは……(^_^;)

> 姉ちゃんから受けた被害を全部挙げようものなら、一冊の本が完成してしまうほどであろう。

分かる気はします……。もっとも、リナが周囲に与えた被害も似たようなものだと
思いますが……。(笑)

> 今日はあたしの旅の仲間にして、脳みそクラゲの戦闘マシーン、ガウリイ・ガブリエフ君の誕生日なのである。いつか彼が言ったのを、あたしはしっかりと覚えている。
> あたしは彼を宿に監禁……じゃなくて、放置……でもないな、とにかく宿で休ませておいて一人で買いものに出掛けていた。

相手の誕生日を覚えておくのは基本ですね♪ 
でも、リナちゃん、監禁や放置って……(笑)
ガウリイが一緒に行く、と言ったのを断ったのでしょうか。
……想像すると、何だか可愛いです。

> ガウリイ相手には、やはり武器防具の類が良いと思うのだが、祝福すべき――あたし意外の人間にとっては――誕生日にそんな物騒なものを渡すというのはどうかと思う。
> ならばガウリイの好きな食べものかといわれても、やはり形の残るものが良いに決まっている。
> 宝石なんて柄じゃないだろうし、花買っても食べられそうだし、人形とかは興味なさそうだし……う〜んどうしようか。

リナちゃん、悩んでますね〜。
しかも、何だか迷っている様子が、無茶苦茶可愛いです。

> 肩を掴んであたしを持ち上げ、回転するように投げて、路地へと放り込む。こんなこのが人間に可能なのだろうか。
> まずかなりの力が必要だろうし、正確な狙いも要求される。しかもあれはかなりの早業だった。

確かに、何だか凄そうな力業……。

>「ですが当社にはこれ以上のものは……」
>「これ以上のものがあっても困るわいっ!」
> ちなみに何を見せられたかというと、ガウリイの誕生日プレゼントのカタログである。
> だが、ただのカタログではなかった。
>「ほら。このプランA「快楽殺人鬼と過ごす戦慄の一夜コース」なんて……」
> そう。内容が無茶苦茶なのだ。
> ちなみにプランは三種類あって後の二つは、プランB「巨大ハンマーでゆく霊界探険&地獄巡りコース」、プランC「街に仕掛けられた大規模爆破装置を解除しようコース」といったものである。

……いったい、どんな趣味の人のために作られた、プランで、コースなのでしょう……(汗)
確かにこれ以上のものがあったら、激しく嫌ですね(滝汗)

>「何で……あんなことをしたのかしら」
> だが、男はそれでも、
>「お気に召しませんでしたでしょうか?」
>「気に入らん決まっとるわ!」

……何で「お気に召す」と思えるのでしょう……(汗)

> 何と彼はゼフィーリアの誕生日企画会社「地獄の聖天使」という企業の社員であり、会社の宣伝広告のモデルになったうちの姉ちゃんに頼まれて、無償であたしの誕生日を演出することになったのだという。

会社名も凄いものがありますね……(汗)
それ以前に、何故これで依頼が来るようになると思えるのでしょう……。

> それにしても、住人を全員避難させて、ドラゴンけしかけて街を大規模破壊するということをやってのける企業って。……可能かどうかを別にしても凄ひ。

確かに凄いですが……グローバルな会社にしたいのなら、企画内容が
マニアックすぎなうえに、ゼフィーリアぐらいにしか通用しそうにない、
人間の耐久度を基準にしてはいけませんよねぇ(笑)

>「ところでリナ……」
>「何?」
>「ちょっと顔色良くないぞ」
>「そ、そうかしら……」
> そうなのかも知れない。
> 実は今、あたしはもの凄く緊張している。なぜそうなのかは分からない。
> ガウリイにプレゼントを渡さなければならないというのが原因だろうが、このあたしがそんなことで緊張するものだろうか。
> 何にしろ今、あたしは緊張している。

リナちゃん。か、可愛い……v 
何故緊張しているのか、自覚していない辺りがポイント高し!!

> 沈黙。だが勇気を振り絞り、あたしは震えた手でテーブルの下に置いてあったそれを掴む。
> これはただの誕生日プレゼントだ。それ以上でも以下でもない。
>「ガウリイ……」
> あたしは包装された小さな箱を取り出し、
>「これ……誕生日おめでとう」
> 思い切ってガウリイに手渡した。
>「良いのか?」
> 頷く。

おおっ! 可愛いいいいいいいっ!!

>「……俺の誕生日、来月なんだがなあ」

ちゅどーん!(爆)……ぷすぷすぷす……
こういうオチでしたか(笑)
でも、ガウリイ、嬉しいだろうなあ。
何はともあれ、リナとガウリイに幸あれ! ですね♪

> こんばんはラントです。
> 今回は何なのでしょう?
> ガウリイが結構まともなんです。ボケさせても良いんですけど、雰囲気の保持のために結構まともにしてみました。

ガウリイは何となく、わざとボケているようなところがありますからね〜。
でも普通にしていても、ガウリイはガウリイでしたよ。

> さて次回はゼルガディス編になると思います。
> その次がアメリア、続いてゼロスとなるはずです。
> ラストはヴァル、フィリア、ディルギア、ハイランド(オリジ)のどれかになると思います。
> ちなみにどの誕生日もいつだか分からないようになっています。

ゼルとアメリアたちはともかく……ゼロス……?(汗)
いえ、獣王に創りだされた日、というのはあるのでしょうけれど、
お祝いするのでしょうか……(想像できない……)
どうなるのか、楽しみになってきました。

> それではこれで失礼致します。

今日も楽しませていただきました。
次の話も楽しみです。
それでは、この辺で失礼いたします。

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26817Re:リナちゃん、ぷりてぃvオロシ・ハイドラント URL2003/8/25 16:11:52
記事番号26804へのコメント

>こんばんは。
こんばんは。
>
>カウントダウン4ですね。
>ガウリイの誕生日に絡めて、前回の謎解きでしたか。
やはり一応の解決はしておこうと思いまして。
>謎の方々の正体が分かって、なるほどと思いつつ、何故か生暖かい笑みが(笑)
>どーいう会社なんでしょう……。
一番謎なのは、あれだけ凄いことをする力(財力?)を持っているのかでしょうね。
>
>
>> そして、今挙げたもの以上に苦手なものが一つある。恐れているものとも言い換えることが出来るであろうそれは……姉である。
>
>普通でも兄やら姉という存在は、弟妹にとって、頭の上がらない相手であることが
>多々あるのですが……。それがそらにルナさんでは……(^_^;)
絶対に敵いませんね。
>
>> 姉ちゃんから受けた被害を全部挙げようものなら、一冊の本が完成してしまうほどであろう。
>
>分かる気はします……。もっとも、リナが周囲に与えた被害も似たようなものだと
>思いますが……。(笑)
……確かに。
犠牲者は多数いますからね。
>
>> 今日はあたしの旅の仲間にして、脳みそクラゲの戦闘マシーン、ガウリイ・ガブリエフ君の誕生日なのである。いつか彼が言ったのを、あたしはしっかりと覚えている。
>> あたしは彼を宿に監禁……じゃなくて、放置……でもないな、とにかく宿で休ませておいて一人で買いものに出掛けていた。
>
>相手の誕生日を覚えておくのは基本ですね♪ 
>でも、リナちゃん、監禁や放置って……(笑)
>ガウリイが一緒に行く、と言ったのを断ったのでしょうか。
>……想像すると、何だか可愛いです。
ちょっぴりガウリナ。
>
>> ガウリイ相手には、やはり武器防具の類が良いと思うのだが、祝福すべき――あたし意外の人間にとっては――誕生日にそんな物騒なものを渡すというのはどうかと思う。
>> ならばガウリイの好きな食べものかといわれても、やはり形の残るものが良いに決まっている。
>> 宝石なんて柄じゃないだろうし、花買っても食べられそうだし、人形とかは興味なさそうだし……う〜んどうしようか。
>
>リナちゃん、悩んでますね〜。
>しかも、何だか迷っている様子が、無茶苦茶可愛いです。
まあ、この辺はリナ→ガウっぽくさせようかなあと思っていました。
>
>> 肩を掴んであたしを持ち上げ、回転するように投げて、路地へと放り込む。こんなこのが人間に可能なのだろうか。
>> まずかなりの力が必要だろうし、正確な狙いも要求される。しかもあれはかなりの早業だった。
>
>確かに、何だか凄そうな力業……。
いくらリナが小柄とはいえ……
>
>>「ですが当社にはこれ以上のものは……」
>>「これ以上のものがあっても困るわいっ!」
>> ちなみに何を見せられたかというと、ガウリイの誕生日プレゼントのカタログである。
>> だが、ただのカタログではなかった。
>>「ほら。このプランA「快楽殺人鬼と過ごす戦慄の一夜コース」なんて……」
>> そう。内容が無茶苦茶なのだ。
>> ちなみにプランは三種類あって後の二つは、プランB「巨大ハンマーでゆく霊界探険&地獄巡りコース」、プランC「街に仕掛けられた大規模爆破装置を解除しようコース」といったものである。
>
>……いったい、どんな趣味の人のために作られた、プランで、コースなのでしょう……(汗)
さあ? 依頼自体、果たして来るのでしょうかねえ。
>確かにこれ以上のものがあったら、激しく嫌ですね(滝汗)
誕生日ほど恐ろしいものはない、という気持ちになりかねない?
>
>>「何で……あんなことをしたのかしら」
>> だが、男はそれでも、
>>「お気に召しませんでしたでしょうか?」
>>「気に入らん決まっとるわ!」
>
>……何で「お気に召す」と思えるのでしょう……(汗)
それがゼフィーリア人の感覚?
>
>> 何と彼はゼフィーリアの誕生日企画会社「地獄の聖天使」という企業の社員であり、会社の宣伝広告のモデルになったうちの姉ちゃんに頼まれて、無償であたしの誕生日を演出することになったのだという。
>
>会社名も凄いものがありますね……(汗)
>それ以前に、何故これで依頼が来るようになると思えるのでしょう……。
もしかしてゼフィーリア人には意外にうけてるのかも知れません。
>
>> それにしても、住人を全員避難させて、ドラゴンけしかけて街を大規模破壊するということをやってのける企業って。……可能かどうかを別にしても凄ひ。
>
>確かに凄いですが……グローバルな会社にしたいのなら、企画内容が
>マニアックすぎなうえに、ゼフィーリアぐらいにしか通用しそうにない、
>人間の耐久度を基準にしてはいけませんよねぇ(笑)
おお正論ですね。「地獄の聖天使」が人の意見を訊く相手かどうかは分かりませんけど……。
>
>>「ところでリナ……」
>>「何?」
>>「ちょっと顔色良くないぞ」
>>「そ、そうかしら……」
>> そうなのかも知れない。
>> 実は今、あたしはもの凄く緊張している。なぜそうなのかは分からない。
>> ガウリイにプレゼントを渡さなければならないというのが原因だろうが、このあたしがそんなことで緊張するものだろうか。
>> 何にしろ今、あたしは緊張している。
>
>リナちゃん。か、可愛い……v 
>何故緊張しているのか、自覚していない辺りがポイント高し!!
鈍めなところがあるのもリナの魅力?

>
>> 沈黙。だが勇気を振り絞り、あたしは震えた手でテーブルの下に置いてあったそれを掴む。
>> これはただの誕生日プレゼントだ。それ以上でも以下でもない。
>>「ガウリイ……」
>> あたしは包装された小さな箱を取り出し、
>>「これ……誕生日おめでとう」
>> 思い切ってガウリイに手渡した。
>>「良いのか?」
>> 頷く。
>
>おおっ! 可愛いいいいいいいっ!!
頷くって仕草が良いですよねえ。
>
>>「……俺の誕生日、来月なんだがなあ」
>
>ちゅどーん!(爆)……ぷすぷすぷす……
>こういうオチでしたか(笑)
こういうオチって結構ありますけど、ガウリイでやったら新鮮かなあと思ってやってみました。
>でも、ガウリイ、嬉しいだろうなあ。
中身が何であれ、ですね。
>何はともあれ、リナとガウリイに幸あれ! ですね♪
これから先も二人は少しずつ……少しずつ近付いてゆくのでしょうね。
誕生日シリーズでこの二人が出て来る話はもうないと思いますが、この先も二人の旅は続いてゆくのでしょう。
私からも祝福を……。
>
>> こんばんはラントです。
>> 今回は何なのでしょう?
>> ガウリイが結構まともなんです。ボケさせても良いんですけど、雰囲気の保持のために結構まともにしてみました。
>
>ガウリイは何となく、わざとボケているようなところがありますからね〜。
確かに、そう考えられる場所もありますね。
>でも普通にしていても、ガウリイはガウリイでしたよ。
おおっそれは良かったです。
>
>> さて次回はゼルガディス編になると思います。
>> その次がアメリア、続いてゼロスとなるはずです。
>> ラストはヴァル、フィリア、ディルギア、ハイランド(オリジ)のどれかになると思います。
>> ちなみにどの誕生日もいつだか分からないようになっています。
>
>ゼルとアメリアたちはともかく……ゼロス……?(汗)
>いえ、獣王に創りだされた日、というのはあるのでしょうけれど、
>お祝いするのでしょうか……(想像できない……)
確かに魔族はそんなものを祝わないような。かといってリナ達もゼロスの誕生日は知らないだろうし……。ううむ。
>どうなるのか、楽しみになってきました。
それは非常に光栄でございます。
ご期待に背かぬよう、努力させていただきます。
>
>> それではこれで失礼致します。
>
>今日も楽しませていただきました。
>次の話も楽しみです。
>それでは、この辺で失礼いたします。
今回もご感想をいただけて非常に嬉しく思います。大変励みになってくれそうです。
どうもありがとうございました。

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26805ゼルガディスの誕生日〜悪夢の序章〜(カウントダウン3)オロシ・ハイドラント URL2003/8/24 21:13:57
記事番号26780へのコメント

 二章から始まっているのは誤植ではありませんので……。
◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆

 
 2
 無明の闇を前にして、小さな明かりはあまりにも儚いものである。
 巨大なる洞窟内部。美貌の魔剣士ゼルガディスは一歩ずつ、確実に歩みを進めていった。
 闇を恐れてなるものか。
 闇はしょせん何もすることが出来ないのだ。
 闇など恐れるに足らない。
 絶対に最奥地に辿り着くのだ。
 ゆっくりとゆっくりと進んでいく。
 だが突然、手をついていた壁がごっそりと崩れた。
 何とかバランスを整えることに成功したがその瞬間、大地が揺れた。
 激しい音が聴こえる。
 そして頭につぶてが落ちて来た。
(まずい!)
 ゼルガディスは駆け出す。引き返すのではなく闇の果てに向けて。
 ゼルガディスは洞窟の奥地へ向けて、疾走し続けた。
 諦めるわけにはいかないのだ。
 やがて洞窟が崩れるよりも早く、広い空間に辿り着くことが出来た。
 そこは洞窟の一部分であるようだが、一向に崩れようとはして来ない。安心した。
 そこは円形となった空間で、他の場所と違って明るい。どうやら天井に出口がついているようだった。帰り道を心配する必要はなかったようだ。もっとも、ここから入っていれば危ない思いをすることはなかったのだが。
 どうやら、これ以上進む道はなさそうだ。もしや、ここが最奥地ではないだろうか。
 ゼルガディスは空間の中央で輝くそれを見詰め、確信に至った。


 1
 ゼルガディスは、その話を嘘臭いとは思ったのだが、それでも一応信用してみることにした。
 それは情報提供者が悪辣な人間ではないことを知っていたからだ。
 毎日通っている酒場の親父がその話をしてくれたのだ。
 何でも、この近くに異界黙示録の写本があるという。
 その写本はさるキメラ学者が元々手にしていたものだが、彼が亡くなる間際に、その写本を封印してくれと身近な人間に頼んだらしい。
 そしてその写本は、ある洞窟に隠されることとなったらしい。
 隠すために必要となった資金は、キメラ学者が遺した財産でどうにかなったという。
 それが約七十年前だという。
 そして隠された写本の内容は「究極のキメラ作成法と中和術」と言われている。
 究極のキメラには興味はなかったが、ゼルガディスは中和術の方に魅せられた。
 これで自分も元に戻れるかも知れない。
 ゼルガディスは店の親父に金貨を払い、引き換えとして洞窟の場所を示した地図を手に入れた。
 ゼルガディスは、キメラ(合成生物)である。
 ある男の悪意によって石人形(ロック・ゴーレム)、邪妖精(ブロウ・デーモン)と合成され、肉体を異形のものと変えられてしまったのだ。
 岩石の入り混じった蒼白い肌、針金の如き髪……美しくも見えるものの、ゼルガディスはその肉体を激しく嫌悪していた。
 だが、それももう終わる。
 新しき人生の記念日。
 もしもあの話が本当ならば、彼は人間の身体を取り戻すことが出来るはずだ。
 半信半疑を努めたが、ゼルガディスの顔は確実に綻んでいた。
「それにしても奇遇だな。俺の誕生日その日に、人間の姿を手にすることが出来るやも知れんな」
 ゼルガディスの誕生日は近い。
 その日こそが人間に還るに相応しき日であろう。
「いかん。……まだこの話が真実と決まったわけじゃない」
 ただの噂話かも知れないし、創り話である可能性も残っている。
 それに、たとえ話が真実だとして、今でも写本が残っているかどうかは分からない。
 ゼルガディスは気を引き締めた。
 そして翌日、ゼルガディスは洞窟に向けて旅立った。


 3
 広い空間の中央には、まさしく宝箱と呼ぶに相応しきものがあった。
 棺ほどもある巨大な金色の箱。
 そこには宝石が散りばめられており、蓋の部分は半円を描くように膨れ上がっていた。
 ゼルガディスはそれを見詰めた。
 美しい輝きを放っている。人を酔わす魔性の輝きを。
 それから蓋にそっと手を掛ける。
 ゆっくりと禁断の扉を開きに掛かった。
 だが、そこには期待していたものなどなかった。
 それでも失望や絶望には至らなかった。
 そこには、下へ続く梯子が架けられていたのだ。
「まだ続くのか」
 ゼルガディスは溜息を吐いたが、
「まあ良い。どうせ食料は過剰に持って来た」
 梯子に手を掛け、さらなる深部へと向かっていった。


 4
 そこはまさしく迷宮であった。
 今まで通って来た場所と違い、随分しっかりとした造りとなっている。
 岩石を削って通路を作成したのだろう。かなり手間が掛かっているはずだ。
 よくこんなものを造れたものだ。
 明かりの呪文を唱えたゼルガディスは、迷宮の奥へと進み始めた。
 光を発することの出来る特殊な粘液を壁に塗りつけ、それを道標にして進んでいった。この粘液は結構な量を持って来ている。この迷宮がどれだけ広いかは分からないが、これがあればひとまず安心だ。
 だが、迷宮は想像以上に巨大なもので、随分な時が流れても、一向に進んだ気配がなかった。
 やがて空腹を感じ、食事を摂った。
 今は何時頃だろうか? 時間間隔は完全に狂ってしまった。
 さらにしばらく歩いてから、ゼルガディスは就寝した。
 目覚めはあまり良いものではなかった。
 それでもすぐに起き上がり、さらに迷宮探険に向かう。
 この迷宮は、かなり奥深くまで続いているようだ。道の枝分かれは随分と多かった。
 話に出て来たキメラ学者とやらは、一体どれほどの財産を持っていたのだろうか。
 それに、その写本はそれほどまでに隠しておきたいものだったのだろうか。
 あの話が真実とは限らないが、この時になってゼルガディスはそれをほぼ完全に信じていた。それを信じねば、絶望してしまうと考えたのだろうか。
 さらに彼にとっての夜が訪れ、彼にとっての朝が訪れても、彼は迷宮を彷徨い続けていた。
 このまま一生を終えてしまうのだろうか。
 今年の誕生日は、人間の姿を取り戻す記念日ではなく、屍と化す記念日になってしまうのではないか。
 だがそれでも不安を打ち消し、進んだ。
 すでにゼルガディスは、帰り道のことを考えてはいなかった。
 粉を塗りつけることも忘れ、ただひたすら進んでいった。
 そして彼は金色に輝く巨大な扉を発見した。
 絶望が希望に転化させられる。
 重い扉を押し開けると、淡い光が差し込んだ。
 中には明かりが灯されており、四角形のかなり広い空間となっている。
 ゼルガディスは歓喜の表情を浮かべ、室内へと入っていった。


 5
 その部屋には全く何もないと言えた。
 ただ、一番奥に入って来たものと同じ造りの扉があるのみ。
 ここは無意味なスペースなのだろうか。だが、罠が仕掛けられているという可能性もなくはない。
 ゼルガディスは慎重に、一歩ずつ歩んでいった。
 だが、それは杞憂だったようで罠などどこにもありはしなかった。
 奥の扉に辿り着いたゼルガディスは、金色の巨体に手を掛けた。
 ゆっくりと開く扉の向こうにも、同じように明かりが照っているようだ。
 それにしても本当に重い扉だ。先ほどのものとは比べものにならない。
 それでも何とか押し切り、扉を完全に開いた瞬間、突風が襲った。
 吹き飛ばされるゼルガディス。
 驚きに見開いた眼の先には、黒い影がちらりと映った。
 仰向けに倒れこむ寸前、どうにかバック宙を決め、体勢を立て直したゼルガディスは、それと対峙した。
 真っ黒な石像。緻密な細工が施されており、二本の角と翼を持った悪魔に見える。
 ガーゴイル。その名が浮かんだ。魔力によって偽りの生命を与えられた怪物。
 どうやらそのガーゴイルが、ここの番人であるらしい。
「ちょうど良い」
 腕がなまっていたところだ。
 ゼルガディスは剣を抜き、構えた。
 どうやらこのスペースは、ガーゴイルと戦うために用意されたものであるらしい。
 ガーゴイルを見据える。石造りにも関わらず、非常に濃密な殺意を感じさせる。
 もしや、ただのガーゴイルではないのかも知れない。
 そう思っていると、ガーゴイルは突進を始めた。
「炎の矢(フレア・アロー)!」
 迫り来る敵に、ゼルガディスは術を浴びせた。
 だが燃え盛る矢はどれも、石の肉体には通用しなかった。
「ちっ」
 舌打ちし、剣を翳す。
 激しい音が響いた。ゼルガディスの剣は、ガーゴイルの右腕によって防がれる。
 そして魔獣の左腕が襲い掛かる。ゼルガディスは一時後退し、呪文を唱えると、
「烈火球(バースト・フレア)!」
 強烈な術を解き放った。
 ガーゴイルが巨大な焔の球に包まれ、爆発をもろに受ける。
「……やったか」
 だが安堵を手にした瞬間、左腕に激痛が走った。
「ぐっ」
 素早く身を捩り傷を浅くしたものの、その威力は随分なものであろう。岩の成分を含んだ肉体を傷つけたのだ。
 続けて襲い掛かって来るのは、紛れもなく漆黒のガーゴイル。
 灼熱の火焔に耐え切り、反撃に出ている。
 ガーゴイルの猛攻をどうにか剣でさばいてゆくものの、攻撃に出ることは出来ず、どんどん隅の方へと追いやられてゆく。
(……まずい)
 かなりの強敵だ。
 より強烈な攻撃呪文を浴びせれば、倒すことも可能かも知れないが、その隙を全く与えてくれない相手である。攻撃のスピードは、彼が戦ったどんな戦士をも超越していた。
 どんどん身体に傷が増えてゆく。
 大魔法を唱える隙さえあれば……。だが、好機は訪れそうにない。
 死。そんな一単語が脳裏をよぎった。
 だめだ。こんなところで死ぬわけにはいかない。
 勝つのだ。
 ゼルガディスは全身全霊の力を込めた一撃を放った。だが自体は簡単には好転しない。
 むしろ強撃は隙を生むはめとなり、腹部に痛烈な一撃を受けることとなった。
 鮮血を迸らせ、倒れ込むゼルガディス、そこへガーゴイルのさらなる一撃。
「ぐっ!」
 何とかかわすが、身に響いた。そして無理矢理、背後へ逃げる。
「爆裂陣(メガ・ブランド)!」
 簡単な術によって追撃を阻み、そして剣を構え直した。
「はあ……はあ……」
 満身創痍のゼルガディス。だが絶対に負けはしない。
 勝つのだ。勝って望む姿を手に入れるのだ。
 鬼神の如き形相で、ゼルガディスはガーゴイルを睨んだ。
 だが石の魔獣は無反応で、ゼルガディスに襲い掛かって来る。
「魔皇霊斬(アストラル・ヴァイン)!」
 ゼルガディスは、どうにかその呪文を唱えた。
 あれほどの熱攻撃を防ぐのならば、直接魔力を叩き込んで斬る。
 だがゼルガディスの剣はガーゴイルの腕に何らダメージを与えることはなく、先と同じように激しい音が響いたのみ。
 だがこれで諦めるつもりではない。
 ゼルガディスは必死に攻撃した。
 剣技は斬り込むごとに鋭さを増し、疲労を通り越した身体には活力が漲って来る。
 魔力を宿した剣の攻撃は、通常のそれと違い、微かながらも相手にダメージがあるようだ。
 やがてガーゴイルは隙を見せた。
 このガーゴイルには、どうやら感情というものがあるらしく、焦りを感じて無理な反撃に出たのだ。
 その隙にゼルガディスは、強力な呪文の詠唱に取り掛かる。
 無事、魔力結界がゼルガディスを取り包み……
「覇王雷撃陣(ダイナスト・ブラス)!」
 純魔族さえ打ち倒す強烈な雷撃が、ガーゴイルを襲った。
 異形の魔剣士を死の淵に追いやった魔獣は、いとも簡単に消失させられてしまった。

 
 6
 ゼルガディスは、奥の部屋へ進む。
 今いた部屋より手狭な空間は、厳粛な空気に包まれていた。
 床には金と銀が構成する唐草模様の絨毯が敷かれ、壁にはところどころに蒼や赤の宝石がはめこまれていた。
 ここが最奥地であるのだろう。もう番人はいない。
 この空間の一番奥には、小さな宝箱が置かれていた。
 この中に写本があるのだろう。ゼルガディスは、すでに写本の存在を信じて疑わなかった。
 宝箱へと近付いていく。
 ゆっくりと、勝利の道を進んでいく。
 淡い輝きに照らされ、勇者はついに秘宝へと……。
 宝箱に向かうと、軽く屈んだ。黄金製の宝箱で、宝石の装飾は梯子を隠していたもの以上に派手である。
 ゼルガディスはそれに手を掛けた。
 いよいよ禁断の秘宝が暴かれる。
 蓋が開いた。
「っ!!」
 ゼルガディスは宝箱の中を見入る。
 だがそこには、望んでいた宝などなかった。
 宝箱は空であり、ただ底の部分に「Happy Birthday」と刻まれていたのみであった。
 その日が、彼の誕生日であったかどうかは定かではない。


 7
「……というプランはいかがでしょうか?」
「ふざけるな!!」
 馴染みの酒場で今日の一杯を味わっていたゼルガディスは、突然現われて変なことを話して来た黒服の男に、精一杯の怒鳴り声を浴びせた。



◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆


 こんばんはラントです。
 おやっ、もう折り返し地点ですか?
 ……ううむカウントダウンが終わると同時に夏休みだって終わるんだよなあ。
 まあそんな暗い話は止めにしまして……今回はゼルガディス編になります。
 洞窟探険と、戦闘シーンを書いてみました。
 実は私、結構ダンジョンみたいなものが好きだったりします。
 ドラクエだったり、シレンやトルネコだったり、ウィザードリィだったり、地下迷宮を探険するのが大好きです。……ドラクエは戦闘多くて敵うざいけど。
 そして戦闘シーンですが、これにどれほどのリアリティがあるのかは分かりません。あんり深く考えずに読み流すのがベストじゃないかと思います。


 さて、次回はアメリアの誕生日になります。
 どんなものになるかは、おぼろげにしか決まっていません。
 それではこれで失礼致します。


 ところで、もしも書いて欲しいキャラクターの誕生日がありましたら、どうぞ(先着二名様になりますが)。


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26809ゼルくん、不幸……(^_^;)エモーション E-mail 2003/8/24 22:59:55
記事番号26805へのコメント

他の方へのコメントを付けていましたら、カウントダウン3発見!!
ということで、立て続けレスです♪


> 無明の闇を前にして、小さな明かりはあまりにも儚いものである。
> 巨大なる洞窟内部。美貌の魔剣士ゼルガディスは一歩ずつ、確実に歩みを進めていった。
> 闇を恐れてなるものか。
> 闇はしょせん何もすることが出来ないのだ。
> 闇など恐れるに足らない。
> 絶対に最奥地に辿り着くのだ。
> ゆっくりとゆっくりと進んでいく。

シリアスな展開ですね。ある意味ゼル好みの。

> そこは洞窟の一部分であるようだが、一向に崩れようとはして来ない。安心した。
> そこは円形となった空間で、他の場所と違って明るい。どうやら天井に出口がついているようだった。帰り道を心配する必要はなかったようだ。もっとも、ここから入っていれば危ない思いをすることはなかったのだが。
> どうやら、これ以上進む道はなさそうだ。もしや、ここが最奥地ではないだろうか。
> ゼルガディスは空間の中央で輝くそれを見詰め、確信に至った。

ある意味、ラッキーヒットですね。この場面の部屋、ふと時計館<旧館>の
広間を彷彿しました。
……あれと同じ仕掛けがされてたら、怖い(笑)

> 1
> ゼルガディスは、その話を嘘臭いとは思ったのだが、それでも一応信用してみることにした。

2章を頭に持ってきて、そこから1章を振り返る形の形式になっているのですね。
私は最初はてっきり、次に予定されているアメリア編と合わせて、
犀川&萌絵のシリーズの「幻惑の死と使途」と「夏のレプリカ」のような
関係の話になるのかと思いました。

> そして隠された写本の内容は「究極のキメラ作成法と中和術」と言われている。
> 究極のキメラには興味はなかったが、ゼルガディスは中和術の方に魅せられた。

それはまあ、無理もありませんね。何気に、そんな話を持ちかけて、よく頼んだ相手に
持ち逃げされなかったなあと、ふと思ってしまいますが。

> もしもあの話が本当ならば、彼は人間の身体を取り戻すことが出来るはずだ。
> 半信半疑を努めたが、ゼルガディスの顔は確実に綻んでいた。
>「それにしても奇遇だな。俺の誕生日その日に、人間の姿を手にすることが出来るやも知れんな」
> ゼルガディスの誕生日は近い。
> その日こそが人間に還るに相応しき日であろう。

確かに、誕生日に元に戻れたら最高ですし、戻るのに最も相応しい日ですよね。

>「いかん。……まだこの話が真実と決まったわけじゃない」
> ただの噂話かも知れないし、創り話である可能性も残っている。
> それに、たとえ話が真実だとして、今でも写本が残っているかどうかは分からない。
> ゼルガディスは気を引き締めた。

つい、嬉しくなってしまうゼル。ゼルはこう言うところが、何か可愛いですよね。

> そこには、下へ続く梯子が架けられていたのだ。
>「まだ続くのか」
> ゼルガディスは溜息を吐いたが、
>「まあ良い。どうせ食料は過剰に持って来た」
> 梯子に手を掛け、さらなる深部へと向かっていった。

うーん、さすがに隠す方は徹底していますね。

> そこはまさしく迷宮であった。
> 今まで通って来た場所と違い、随分しっかりとした造りとなっている。
> 岩石を削って通路を作成したのだろう。かなり手間が掛かっているはずだ。
> よくこんなものを造れたものだ。

ベフィス・ブリングを応用したとしても、かなりの手間ですよね。
設計&制作者は中○青○でしょうか(笑)

> あの話が真実とは限らないが、この時になってゼルガディスはそれをほぼ完全に信じていた。それを信じねば、絶望してしまうと考えたのだろうか。

ここまで徹底されると、事実じゃないとは、思いたくないでしょうね……(汗)

> 仰向けに倒れこむ寸前、どうにかバック宙を決め、体勢を立て直したゼルガディスは、それと対峙した。
> 真っ黒な石像。緻密な細工が施されており、二本の角と翼を持った悪魔に見える。
> ガーゴイル。その名が浮かんだ。魔力によって偽りの生命を与えられた怪物。
お宝の前には、やはりそれを守る番人がいるものですね。
> どうやらこのスペースは、ガーゴイルと戦うために用意されたものであるらしい。

……用意がいいというより、「欲しければ戦って、勝て」という感じですね。
作った側からの「これも試練じゃ」の声が聞こえてきそうです。

>「烈火球(バースト・フレア)!」
> 強烈な術を解き放った。
> ガーゴイルが巨大な焔の球に包まれ、爆発をもろに受ける。
>「……やったか」
> だが安堵を手にした瞬間、左腕に激痛が走った。
>「ぐっ」
> 素早く身を捩り傷を浅くしたものの、その威力は随分なものであろう。岩の成分を含んだ肉体を傷つけたのだ。

強敵ですね。そして、さすがにゼルガディスに傷を負わせるくらいの力は
持っているのですね。

> むしろ強撃は隙を生むはめとなり、腹部に痛烈な一撃を受けることとなった。
> 鮮血を迸らせ、倒れ込むゼルガディス、そこへガーゴイルのさらなる一撃。
>「ぐっ!」
> 何とかかわすが、身に響いた。そして無理矢理、背後へ逃げる。
>「爆裂陣(メガ・ブランド)!」
> 簡単な術によって追撃を阻み、そして剣を構え直した。

絶体絶命ですね。本当に強いです。このガーゴイル……。

> このガーゴイルには、どうやら感情というものがあるらしく、焦りを感じて無理な反撃に出たのだ。
> その隙にゼルガディスは、強力な呪文の詠唱に取り掛かる。
> 無事、魔力結界がゼルガディスを取り包み……
>「覇王雷撃陣(ダイナスト・ブラス)!」
> 純魔族さえ打ち倒す強烈な雷撃が、ガーゴイルを襲った。
> 異形の魔剣士を死の淵に追いやった魔獣は、いとも簡単に消失させられてしまった。

満身創痍の状態とはいえ、それなりに冷静だったのが勝因ですね。
この辺り、ゼルガディスだな〜と思いました。
 
> この空間の一番奥には、小さな宝箱が置かれていた。
> この中に写本があるのだろう。ゼルガディスは、すでに写本の存在を信じて疑わなかった。
> 宝箱へと近付いていく。
> ゆっくりと、勝利の道を進んでいく。

感慨深いものがありますよね、こういうのって……。

> ゼルガディスはそれに手を掛けた。
> いよいよ禁断の秘宝が暴かれる。
> 蓋が開いた。
>「っ!!」
> ゼルガディスは宝箱の中を見入る。
> だがそこには、望んでいた宝などなかった。
> 宝箱は空であり、ただ底の部分に「Happy Birthday」と刻まれていたのみであった。

……何て言いますか……。この瞬間、ゼルガディスは真っ白に燃え尽きたのでしょうね……。
あの苦労は一体……。ああ不幸……。

> その日が、彼の誕生日であったかどうかは定かではない。
……もう、それもどうでも良いと言う感じですね。
>「……というプランはいかがでしょうか?」
>「ふざけるな!!」
> 馴染みの酒場で今日の一杯を味わっていたゼルガディスは、突然現われて変なことを話して来た黒服の男に、精一杯の怒鳴り声を浴びせた。

ここにも現れましたか、「地獄の聖天使」……。顧客獲得のための、
営業活動でしょうか。
それにしても、あれではゼルガディス、怒りますよ(汗)
何だかこれだけでも、ゼルガディスが思いっきり不幸のような……。

> こんばんはラントです。
> おやっ、もう折り返し地点ですか?
> ……ううむカウントダウンが終わると同時に夏休みだって終わるんだよなあ。
> まあそんな暗い話は止めにしまして……今回はゼルガディス編になります。
> 洞窟探険と、戦闘シーンを書いてみました。
> 実は私、結構ダンジョンみたいなものが好きだったりします。
> ドラクエだったり、シレンやトルネコだったり、ウィザードリィだったり、地下迷宮を探険するのが大好きです。……ドラクエは戦闘多くて敵うざいけど。
> そして戦闘シーンですが、これにどれほどのリアリティがあるのかは分かりません。あんり深く考えずに読み流すのがベストじゃないかと思います。

順調にカウントダウンしていってますね。それだけでも凄いな、と思います。
洞窟探検と戦闘シーン、もう本当に迷宮の、あの鬱陶しさがちゃんと表されていますし、
戦闘も迫力ありました。
それだけにお宝には脱力ですね……。例えセールストーク上とはいえ、
ゼル君、不幸! ですね(笑) 

> さて、次回はアメリアの誕生日になります。
> どんなものになるかは、おぼろげにしか決まっていません。
> それではこれで失礼致します。

はい、こちらも楽しみにしています。
やはり「地獄の聖天使」が絡んでくるのでしょうか。
王族を巻き込んでどこまでできるかが、ある意味見所かもと思っています。

> ところで、もしも書いて欲しいキャラクターの誕生日がありましたら、どうぞ(先着二名様になりますが)。

そうですねー、ルナさんもいいかな、と思ったのですが……彼女は笑いながら、
「地獄の聖天使」のプランを楽しみそうですしね……。
あ、では、ルークをお願いします。
それでは、つらつらと妙なコメントつけましたが、この辺で失礼いたします。


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26818Re:ゼルくん、不幸……(^_^;)オロシ・ハイドラント URL2003/8/25 16:38:07
記事番号26809へのコメント

>他の方へのコメントを付けていましたら、カウントダウン3発見!!
>ということで、立て続けレスです♪
おおっ連続レスとは……大変嬉しいです。
>
>
>> 無明の闇を前にして、小さな明かりはあまりにも儚いものである。
>> 巨大なる洞窟内部。美貌の魔剣士ゼルガディスは一歩ずつ、確実に歩みを進めていった。
>> 闇を恐れてなるものか。
>> 闇はしょせん何もすることが出来ないのだ。
>> 闇など恐れるに足らない。
>> 絶対に最奥地に辿り着くのだ。
>> ゆっくりとゆっくりと進んでいく。
>
>シリアスな展開ですね。ある意味ゼル好みの。
確かにこういうの好きそうですね。
お茶目なキャラにもなってますけど、やはりこっちが本業。
>
>> そこは洞窟の一部分であるようだが、一向に崩れようとはして来ない。安心した。
>> そこは円形となった空間で、他の場所と違って明るい。どうやら天井に出口がついているようだった。帰り道を心配する必要はなかったようだ。もっとも、ここから入っていれば危ない思いをすることはなかったのだが。
>> どうやら、これ以上進む道はなさそうだ。もしや、ここが最奥地ではないだろうか。
>> ゼルガディスは空間の中央で輝くそれを見詰め、確信に至った。
>
>ある意味、ラッキーヒットですね。この場面の部屋、ふと時計館<旧館>の
>広間を彷彿しました。
>……あれと同じ仕掛けがされてたら、怖い(笑)
さらに洞窟内で発見した水の中には……とか。
>
>> 1
>> ゼルガディスは、その話を嘘臭いとは思ったのだが、それでも一応信用してみることにした。
>
>2章を頭に持ってきて、そこから1章を振り返る形の形式になっているのですね。
>私は最初はてっきり、次に予定されているアメリア編と合わせて、
>犀川&萌絵のシリーズの「幻惑の死と使途」と「夏のレプリカ」のような
>関係の話になるのかと思いました。
奇数のみの本と、偶数のみの本で同時進行されてたりするやつですね。
さすがにそれは思いつきませんでした。
>
>> そして隠された写本の内容は「究極のキメラ作成法と中和術」と言われている。
>> 究極のキメラには興味はなかったが、ゼルガディスは中和術の方に魅せられた。
>
>それはまあ、無理もありませんね。何気に、そんな話を持ちかけて、よく頼んだ相手に
>持ち逃げされなかったなあと、ふと思ってしまいますが。
信頼されてたんですかねえ。
それとも高い知能を持ったキメラを遺しておいて、頼んだ相手に持ち逃げされないように見張らせたとか……。
>
>> もしもあの話が本当ならば、彼は人間の身体を取り戻すことが出来るはずだ。
>> 半信半疑を努めたが、ゼルガディスの顔は確実に綻んでいた。
>>「それにしても奇遇だな。俺の誕生日その日に、人間の姿を手にすることが出来るやも知れんな」
>> ゼルガディスの誕生日は近い。
>> その日こそが人間に還るに相応しき日であろう。
>
>確かに、誕生日に元に戻れたら最高ですし、戻るのに最も相応しい日ですよね。
二重の記念になりますから。
>
>>「いかん。……まだこの話が真実と決まったわけじゃない」
>> ただの噂話かも知れないし、創り話である可能性も残っている。
>> それに、たとえ話が真実だとして、今でも写本が残っているかどうかは分からない。
>> ゼルガディスは気を引き締めた。
>
>つい、嬉しくなってしまうゼル。ゼルはこう言うところが、何か可愛いですよね。
それがゼルらしさというものでしょうね。
>
>> そこには、下へ続く梯子が架けられていたのだ。
>>「まだ続くのか」
>> ゼルガディスは溜息を吐いたが、
>>「まあ良い。どうせ食料は過剰に持って来た」
>> 梯子に手を掛け、さらなる深部へと向かっていった。
>
>うーん、さすがに隠す方は徹底していますね。
……宝箱に奥への道を隠すことによって、嫌がらせも兼ねてますし。
>
>> そこはまさしく迷宮であった。
>> 今まで通って来た場所と違い、随分しっかりとした造りとなっている。
>> 岩石を削って通路を作成したのだろう。かなり手間が掛かっているはずだ。
>> よくこんなものを造れたものだ。
>
>ベフィス・ブリングを応用したとしても、かなりの手間ですよね。
>設計&制作者は中○青○でしょうか(笑)
ということは、あちらこちらに秘密の通路が?
>
>> あの話が真実とは限らないが、この時になってゼルガディスはそれをほぼ完全に信じていた。それを信じねば、絶望してしまうと考えたのだろうか。
>
>ここまで徹底されると、事実じゃないとは、思いたくないでしょうね……(汗)
そりゃあそうですね。無理矢理にでも信じたくなるでしょう。
>
>> 仰向けに倒れこむ寸前、どうにかバック宙を決め、体勢を立て直したゼルガディスは、それと対峙した。
>> 真っ黒な石像。緻密な細工が施されており、二本の角と翼を持った悪魔に見える。
>> ガーゴイル。その名が浮かんだ。魔力によって偽りの生命を与えられた怪物。
>お宝の前には、やはりそれを守る番人がいるものですね。
>> どうやらこのスペースは、ガーゴイルと戦うために用意されたものであるらしい。
>
>……用意がいいというより、「欲しければ戦って、勝て」という感じですね。
>作った側からの「これも試練じゃ」の声が聞こえてきそうです。
確かに、トラップというよりは試練のようなものに見えますね。
>
>>「烈火球(バースト・フレア)!」
>> 強烈な術を解き放った。
>> ガーゴイルが巨大な焔の球に包まれ、爆発をもろに受ける。
>>「……やったか」
>> だが安堵を手にした瞬間、左腕に激痛が走った。
>>「ぐっ」
>> 素早く身を捩り傷を浅くしたものの、その威力は随分なものであろう。岩の成分を含んだ肉体を傷つけたのだ。
>
>強敵ですね。そして、さすがにゼルガディスに傷を負わせるくらいの力は
>持っているのですね。
並の剣じゃ切れない肌をあっさり切り裂くわけですから。
>
>> むしろ強撃は隙を生むはめとなり、腹部に痛烈な一撃を受けることとなった。
>> 鮮血を迸らせ、倒れ込むゼルガディス、そこへガーゴイルのさらなる一撃。
>>「ぐっ!」
>> 何とかかわすが、身に響いた。そして無理矢理、背後へ逃げる。
>>「爆裂陣(メガ・ブランド)!」
>> 簡単な術によって追撃を阻み、そして剣を構え直した。
>
>絶体絶命ですね。本当に強いです。このガーゴイル……。
実はキメラかも? 正直、あまり考えていませんでしたが。
>
>> このガーゴイルには、どうやら感情というものがあるらしく、焦りを感じて無理な反撃に出たのだ。
>> その隙にゼルガディスは、強力な呪文の詠唱に取り掛かる。
>> 無事、魔力結界がゼルガディスを取り包み……
>>「覇王雷撃陣(ダイナスト・ブラス)!」
>> 純魔族さえ打ち倒す強烈な雷撃が、ガーゴイルを襲った。
>> 異形の魔剣士を死の淵に追いやった魔獣は、いとも簡単に消失させられてしまった。
>
>満身創痍の状態とはいえ、それなりに冷静だったのが勝因ですね。
>この辺り、ゼルガディスだな〜と思いました。
この戦いはゼルでなければ難しかったかも知れません。まあガウリイの剣であっさり斬れる可能性もありますけど。
> 
>> この空間の一番奥には、小さな宝箱が置かれていた。
>> この中に写本があるのだろう。ゼルガディスは、すでに写本の存在を信じて疑わなかった。
>> 宝箱へと近付いていく。
>> ゆっくりと、勝利の道を進んでいく。
>
>感慨深いものがありますよね、こういうのって……。
ボスを倒して……って感じですから。
>
>> ゼルガディスはそれに手を掛けた。
>> いよいよ禁断の秘宝が暴かれる。
>> 蓋が開いた。
>>「っ!!」
>> ゼルガディスは宝箱の中を見入る。
>> だがそこには、望んでいた宝などなかった。
>> 宝箱は空であり、ただ底の部分に「Happy Birthday」と刻まれていたのみであった。
>
>……何て言いますか……。この瞬間、ゼルガディスは真っ白に燃え尽きたのでしょうね……。
>あの苦労は一体……。ああ不幸……。
果たして生きて帰ることが出来るのか……。
>
>> その日が、彼の誕生日であったかどうかは定かではない。
>……もう、それもどうでも良いと言う感じですね。
>>「……というプランはいかがでしょうか?」
>>「ふざけるな!!」
>> 馴染みの酒場で今日の一杯を味わっていたゼルガディスは、突然現われて変なことを話して来た黒服の男に、精一杯の怒鳴り声を浴びせた。
>
>ここにも現れましたか、「地獄の聖天使」……。顧客獲得のための、
>営業活動でしょうか。
それともルナさんのご依頼か、というところでしょうね。
>それにしても、あれではゼルガディス、怒りますよ(汗)
>何だかこれだけでも、ゼルガディスが思いっきり不幸のような……。
長々と不幸話を語り出されて……うんざりでしょうね。
>
>> こんばんはラントです。
>> おやっ、もう折り返し地点ですか?
>> ……ううむカウントダウンが終わると同時に夏休みだって終わるんだよなあ。
>> まあそんな暗い話は止めにしまして……今回はゼルガディス編になります。
>> 洞窟探険と、戦闘シーンを書いてみました。
>> 実は私、結構ダンジョンみたいなものが好きだったりします。
>> ドラクエだったり、シレンやトルネコだったり、ウィザードリィだったり、地下迷宮を探険するのが大好きです。……ドラクエは戦闘多くて敵うざいけど。
>> そして戦闘シーンですが、これにどれほどのリアリティがあるのかは分かりません。あんり深く考えずに読み流すのがベストじゃないかと思います。
>
>順調にカウントダウンしていってますね。それだけでも凄いな、と思います。
>洞窟探検と戦闘シーン、もう本当に迷宮の、あの鬱陶しさがちゃんと表されていますし、
>戦闘も迫力ありました。
それは良かったです。ありがとうございます。
>それだけにお宝には脱力ですね……。例えセールストーク上とはいえ、
>ゼル君、不幸! ですね(笑) 
あんな体験は嫌ですね。訊くだけでも気分が悪くなると思います。
>
>> さて、次回はアメリアの誕生日になります。
>> どんなものになるかは、おぼろげにしか決まっていません。
>> それではこれで失礼致します。
>
>はい、こちらも楽しみにしています。
>やはり「地獄の聖天使」が絡んでくるのでしょうか。
>王族を巻き込んでどこまでできるかが、ある意味見所かもと思っています。
四作目は何か落ち着いたものになりそうです……いや、未だに書いてみないと分からない状態ですが。
>
>> ところで、もしも書いて欲しいキャラクターの誕生日がありましたら、どうぞ(先着二名様になりますが)。
>
>そうですねー、ルナさんもいいかな、と思ったのですが……彼女は笑いながら、
>「地獄の聖天使」のプランを楽しみそうですしね……。
>あ、では、ルークをお願いします。
分かりました。挑戦してみます。
>それでは、つらつらと妙なコメントつけましたが、この辺で失礼いたします。
いえ、非常に嬉しかったです。
ご感想どうもありがとうございました。
>
>

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26813Re:ゼルガディスの誕生日〜悪夢の序章〜(カウントダウン3)まりあ 2003/8/25 02:04:55
記事番号26805へのコメント


> 無明の闇を前にして、小さな明かりはあまりにも儚いものである。
> 巨大なる洞窟内部。美貌の魔剣士ゼルガディスは一歩ずつ、確実に歩みを進めていった。
いきなり物語りスタートですか!?

> 闇を恐れてなるものか。
> 闇はしょせん何もすることが出来ないのだ。
> 闇など恐れるに足らない。
こうやって考えてる時点で恐れてるよおな気がします。

> ゼルガディスは空間の中央で輝くそれを見詰め、確信に至った。

> ゼルガディスは、その話を嘘臭いとは思ったのだが、それでも一応信用してみることにした。
ゼルといえばっ! 異会黙示録ですね。

> それは情報提供者が悪辣な人間ではないことを知っていたからだ。
> 毎日通っている酒場の親父がその話をしてくれたのだ。
それって、嘘は言ってないだろうけど本当の可能性が低いのでは? 本当でもゼロスが回収してるだろうし。

> 何でも、この近くに異界黙示録の写本があるという。
あ、やっぱり。

> 隠すために必要となった資金は、キメラ学者が遺した財産でどうにかなったという。
本を隠すために遺産を使うとは・・・。遺族の人たち、えらいですね。

> ゼルガディスは店の親父に金貨を払い、引き換えとして洞窟の場所を示した地図を手に入れた。
金貨、払うんですか。ますます、うそ臭いです。

> ある男の悪意によって石人形(ロック・ゴーレム)、邪妖精(ブロウ・デーモン)と合成され、肉体を異形のものと変えられてしまったのだ。
異形のもの、ですか。カッコ良くて良いと思うんですけどね。

> もしもあの話が本当ならば、彼は人間の身体を取り戻すことが出来るはずだ。
> 半信半疑を努めたが、ゼルガディスの顔は確実に綻んでいた。
期待を持つと後でつらいです。

>「それにしても奇遇だな。俺の誕生日その日に、人間の姿を手にすることが出来るやも知れんな」
> ゼルガディスの誕生日は近い。
ていうか、誕生日覚えてたんですか。意外とまめなんですね。

>「いかん。……まだこの話が真実と決まったわけじゃない」
> ただの噂話かも知れないし、創り話である可能性も残っている。
残っているというか、その可能性のほうが高いと思います。

> それに、たとえ話が真実だとして、今でも写本が残っているかどうかは分からない。
ゼロスみたいなのもいますしね。

> ゼルガディスはそれを見詰めた。
> 美しい輝きを放っている。人を酔わす魔性の輝きを。
そう思うのは気分のせいでは?

> だが、そこには期待していたものなどなかった。
> それでも失望や絶望には至らなかった。
> そこには、下へ続く梯子が架けられていたのだ。
なんか、いかにも冒険への道! って感じがします。

> 岩石を削って通路を作成したのだろう。かなり手間が掛かっているはずだ。
> よくこんなものを造れたものだ。
相当金持ちだったのでしょうね。キメラ学者さんは。

> それに、その写本はそれほどまでに隠しておきたいものだったのだろうか。
なんのために隠したのかが謎ですね。

> 今年の誕生日は、人間の姿を取り戻す記念日ではなく、屍と化す記念日になってしまうのではないか。
誕生日に死ぬというのは縁起が悪いですね。

> すでにゼルガディスは、帰り道のことを考えてはいなかった。
> 粉を塗りつけることも忘れ、ただひたすら進んでいった。
それ、絶対に帰れませんよ。

> ガーゴイル。その名が浮かんだ。魔力によって偽りの生命を与えられた怪物。
> どうやらそのガーゴイルが、ここの番人であるらしい。
わなは扉を開けたところにあったんですね。

> どうやらこのスペースは、ガーゴイルと戦うために用意されたものであるらしい。
いちいち、そんなスペース作る必要はないのでしょうね。まめですね。

> だが燃え盛る矢はどれも、石の肉体には通用しなかった。
焼け石になったというわけですか。

> 素早く身を捩り傷を浅くしたものの、その威力は随分なものであろう。岩の成分を含んだ肉体を傷つけたのだ。
・・・・強いですね。

> より強烈な攻撃呪文を浴びせれば、倒すことも可能かも知れないが、その隙を全く与えてくれない相手である。攻撃のスピードは、彼が戦ったどんな戦士をも超越していた。
ガウリイよりもですか?

> 勝つのだ。
望みがあると、人は強くなれます。

> 鬼神の如き形相で、ゼルガディスはガーゴイルを睨んだ。
顔はいつも怖いです(笑)性格はおちゃめだけど。

> やがてガーゴイルは隙を見せた。
> このガーゴイルには、どうやら感情というものがあるらしく、焦りを感じて無理な反撃に出たのだ。
感情があるとは、すごいです。

>「覇王雷撃陣(ダイナスト・ブラス)!」
うあ、ホントに大技だし。

> ゆっくりと、勝利の道を進んでいく。
> 淡い輝きに照らされ、勇者はついに秘宝へと……。
自称魔剣士の勇者ですか。

> 宝箱は空であり、ただ底の部分に「Happy Birthday」と刻まれていたのみであった。
> その日が、彼の誕生日であったかどうかは定かではない。
嬉しいような悲しいような。とりあえず、帰れないと思います。

>「……というプランはいかがでしょうか?」
>「ふざけるな!!」
> 馴染みの酒場で今日の一杯を味わっていたゼルガディスは、突然現われて変なことを話して来た黒服の男に、精一杯の怒鳴り声を浴びせた。
また、この男ですか! あやしさ大爆発の会の社員。

> こんばんはラントです。
こんばんわ。

> おやっ、もう折り返し地点ですか?
> ……ううむカウントダウンが終わると同時に夏休みだって終わるんだよなあ。
あ、いいですね。私は、もう夏休み終わってるんですよ。ちなみに明後日が修学旅行です。

> まあそんな暗い話は止めにしまして……今回はゼルガディス編になります。
> 洞窟探険と、戦闘シーンを書いてみました。
> 実は私、結構ダンジョンみたいなものが好きだったりします。
ダンジョンですか。チョコボと不思議なダンジョンなら持ってますね。

> ドラクエだったり、シレンやトルネコだったり、ウィザードリィだったり、地下
>迷宮を探険するのが大好きです。……ドラクエは戦闘多くて敵うざいけど。
そうですか? 私はドラクエ好きですよ。・・・直ぐに全滅するけど。

> さて、次回はアメリアの誕生日になります。
> どんなものになるかは、おぼろげにしか決まっていません。
おぼろげに決まってるんですか。楽しみですね。

> それではこれで失礼致します。
最後のオチが面白かったです。次もがんばってください。

> ところで、もしも書いて欲しいキャラクターの誕生日がありましたら、どうぞ(先着二名様になりますが)。
はい! I LOVE フィブです♪ あ、できたらで良いです。


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26820Re:ゼルガディスの誕生日〜悪夢の序章〜(カウントダウン3)オロシ・ハイドラント URL2003/8/25 17:08:11
記事番号26813へのコメント

>
>> 無明の闇を前にして、小さな明かりはあまりにも儚いものである。
>> 巨大なる洞窟内部。美貌の魔剣士ゼルガディスは一歩ずつ、確実に歩みを進めていった。
>いきなり物語りスタートですか!?
いきなりスタートになっています。
>
>> 闇を恐れてなるものか。
>> 闇はしょせん何もすることが出来ないのだ。
>> 闇など恐れるに足らない。
>こうやって考えてる時点で恐れてるよおな気がします。
確かにそうでしょうね。
>
>> ゼルガディスは空間の中央で輝くそれを見詰め、確信に至った。
>
>> ゼルガディスは、その話を嘘臭いとは思ったのだが、それでも一応信用してみることにした。
>ゼルといえばっ! 異会黙示録ですね。
今回はそれネタになりました。
異色ものかと思いますけど。
>
>> それは情報提供者が悪辣な人間ではないことを知っていたからだ。
>> 毎日通っている酒場の親父がその話をしてくれたのだ。
>それって、嘘は言ってないだろうけど本当の可能性が低いのでは? 本当でもゼロスが回収してるだろうし。
>
>> 何でも、この近くに異界黙示録の写本があるという。
>あ、やっぱり。
ゼルを動かすにはこれが最適だと思いました。
>
>> 隠すために必要となった資金は、キメラ学者が遺した財産でどうにかなったという。
>本を隠すために遺産を使うとは・・・。遺族の人たち、えらいですね。
まさしく遺族の鑑です(何じゃそりゃ)
>
>> ゼルガディスは店の親父に金貨を払い、引き換えとして洞窟の場所を示した地図を手に入れた。
>金貨、払うんですか。ますます、うそ臭いです。
確かに嘘臭いですよねえ。でもゼルなら信じても仕方のないことかも。
>
>> ある男の悪意によって石人形(ロック・ゴーレム)、邪妖精(ブロウ・デーモン)と合成され、肉体を異形のものと変えられてしまったのだ。
>異形のもの、ですか。カッコ良くて良いと思うんですけどね。
確かに良いと思いますね。人間の姿だとどうなのかは分かりませんが。
>
>> もしもあの話が本当ならば、彼は人間の身体を取り戻すことが出来るはずだ。
>> 半信半疑を努めたが、ゼルガディスの顔は確実に綻んでいた。
>期待を持つと後でつらいです。
確かに。
でも、それでも信じるというのには勇気ある証でしょう。
>
>>「それにしても奇遇だな。俺の誕生日その日に、人間の姿を手にすることが出来るやも知れんな」
>> ゼルガディスの誕生日は近い。
>ていうか、誕生日覚えてたんですか。意外とまめなんですね。
まあ私も、家族のは忘れますけど自分のは忘れませんし……。
>
>>「いかん。……まだこの話が真実と決まったわけじゃない」
>> ただの噂話かも知れないし、創り話である可能性も残っている。
>残っているというか、その可能性のほうが高いと思います。
そりゃあ実際はその可能性が高いです。でもゼルから見れば創り話というのは絶対に捨てたいですし。一度その考えを捨てたのでしょう。
>
>> それに、たとえ話が真実だとして、今でも写本が残っているかどうかは分からない。
>ゼロスみたいなのもいますしね。
手に入る可能性は極めて少ないでしょうね。
>
>> ゼルガディスはそれを見詰めた。
>> 美しい輝きを放っている。人を酔わす魔性の輝きを。
>そう思うのは気分のせいでは?
まあそうかも知れませんね。でも、宝石とか金とか使ってますし。
>
>> だが、そこには期待していたものなどなかった。
>> それでも失望や絶望には至らなかった。
>> そこには、下へ続く梯子が架けられていたのだ。
>なんか、いかにも冒険への道! って感じがします。
心理的嫌がらせとも取れますけどね。
>
>> 岩石を削って通路を作成したのだろう。かなり手間が掛かっているはずだ。
>> よくこんなものを造れたものだ。
>相当金持ちだったのでしょうね。キメラ学者さんは。
あくどいこともしていたのでしょうかねえ。
>
>> それに、その写本はそれほどまでに隠しておきたいものだったのだろうか。
>なんのために隠したのかが謎ですね。
それほどまでに危険なものだったと考えられますけど、ならば焼いた方が……。
あるいはシャドウ・リフレクターみたないな感じだったとか。
>
>> 今年の誕生日は、人間の姿を取り戻す記念日ではなく、屍と化す記念日になってしまうのではないか。
>誕生日に死ぬというのは縁起が悪いですね。
確かに何か嫌ですねえ。
>
>> すでにゼルガディスは、帰り道のことを考えてはいなかった。
>> 粉を塗りつけることも忘れ、ただひたすら進んでいった。
>それ、絶対に帰れませんよ。
すでに自棄になってるのかなあ……それで良いのかゼルガディス。
>
>> ガーゴイル。その名が浮かんだ。魔力によって偽りの生命を与えられた怪物。
>> どうやらそのガーゴイルが、ここの番人であるらしい。
>わなは扉を開けたところにあったんですね。
そうなります。
>
>> どうやらこのスペースは、ガーゴイルと戦うために用意されたものであるらしい。
>いちいち、そんなスペース作る必要はないのでしょうね。まめですね。
造らされる方は大変だったでしょうね。
>
>> だが燃え盛る矢はどれも、石の肉体には通用しなかった。
>焼け石になったというわけですか。
そうなりますね。
>
>> 素早く身を捩り傷を浅くしたものの、その威力は随分なものであろう。岩の成分を含んだ肉体を傷つけたのだ。
>・・・・強いですね。
かなりの強敵のようです。
>
>> より強烈な攻撃呪文を浴びせれば、倒すことも可能かも知れないが、その隙を全く与えてくれない相手である。攻撃のスピードは、彼が戦ったどんな戦士をも超越していた。
>ガウリイよりもですか?
スピードの面でいえばガウリイ以上なのでしょう。
>
>> 勝つのだ。
>望みがあると、人は強くなれます。
向上心は力になりますからねえ。
>
>> 鬼神の如き形相で、ゼルガディスはガーゴイルを睨んだ。
>顔はいつも怖いです(笑)性格はおちゃめだけど。
この時のゼルはさぞ恐ろしいものなのでしょう。
>
>> やがてガーゴイルは隙を見せた。
>> このガーゴイルには、どうやら感情というものがあるらしく、焦りを感じて無理な反撃に出たのだ。
>感情があるとは、すごいです。
究極のキメラとは、感情というものを合成した魔獣ということなのかも知れません。
……オチがアレですから、そうじゃなさそうな気もしますけど。

>
>>「覇王雷撃陣(ダイナスト・ブラス)!」
>うあ、ホントに大技だし。
竜破斬ほどでないにしろ、魔族さえも倒せますしね。
>
>> ゆっくりと、勝利の道を進んでいく。
>> 淡い輝きに照らされ、勇者はついに秘宝へと……。
>自称魔剣士の勇者ですか。
まあ勇者はほとんど比喩ですけどね。
>
>> 宝箱は空であり、ただ底の部分に「Happy Birthday」と刻まれていたのみであった。
>> その日が、彼の誕生日であったかどうかは定かではない。
>嬉しいような悲しいような。とりあえず、帰れないと思います。
……これからどうなるのでしょう。
>
>>「……というプランはいかがでしょうか?」
>>「ふざけるな!!」
>> 馴染みの酒場で今日の一杯を味わっていたゼルガディスは、突然現われて変なことを話して来た黒服の男に、精一杯の怒鳴り声を浴びせた。
>また、この男ですか! あやしさ大爆発の会の社員。
また出してみました。
>
>> こんばんはラントです。
>こんばんわ。
こんばんは。また会うこととなって嬉しいです。
>
>> おやっ、もう折り返し地点ですか?
>> ……ううむカウントダウンが終わると同時に夏休みだって終わるんだよなあ。
>あ、いいですね。私は、もう夏休み終わってるんですよ。ちなみに明後日が修学旅行です。
おおっそうなのですか。良い思い出になると良いですね修学旅行。
>
>> まあそんな暗い話は止めにしまして……今回はゼルガディス編になります。
>> 洞窟探険と、戦闘シーンを書いてみました。
>> 実は私、結構ダンジョンみたいなものが好きだったりします。
>ダンジョンですか。チョコボと不思議なダンジョンなら持ってますね。
それは私もやりました。
1が好きですね。
チタンの爪に、がまんの爪とキャンセルクロー合成して……とか。
>
>> ドラクエだったり、シレンやトルネコだったり、ウィザードリィだったり、地下
>>迷宮を探険するのが大好きです。……ドラクエは戦闘多くて敵うざいけど。
>そうですか? 私はドラクエ好きですよ。・・・直ぐに全滅するけど。
私は超レベル上げ魔でした。弟はそれをさらに越してますが。
>
>> さて、次回はアメリアの誕生日になります。
>> どんなものになるかは、おぼろげにしか決まっていません。
>おぼろげに決まってるんですか。楽しみですね。
多分、今までと雰囲気の違うものになると思います。
>
>> それではこれで失礼致します。
>最後のオチが面白かったです。次もがんばってください。
どうもです。がんばらせていただきます。
>
>> ところで、もしも書いて欲しいキャラクターの誕生日がありましたら、どうぞ(先着二名様になりますが)。
>はい! I LOVE フィブです♪ あ、できたらで良いです。
挑戦してみます。フィブは私も好きなキャラですので、良いものに仕上げたいと思います。
>
>
それでは、ご感想どうもありがとうございました。

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26815Re:リナの誕生日(カウントダウン5)どら・ゴン 2003/8/25 14:02:02
記事番号26780へのコメント

こんにちは。
部活が無いという、幸福な時間を噛み締めているどらです(笑)
> ある日の――だが、あたしにとっては大事な日の黄昏時。あたしとガウリイはランザック・シティという街の高級レストラン「薔薇十字園」にいた。
こ、高級レストラン・・美味しけりゃ何でもいいって言うリナが・・
>「なあ、リナ」
> ガウリイが話し掛けて来る。それにしても黒タキシードが全然似合っていない。
似合わないですかね?けっこう似合いそうだけど・・・
ハ:真剣な時はに会うだろうけど、それ以外はちょっと苦しいよ?
・・確かに・・あんがと。ハーリー
> 確かに、見るからにそこらの食堂とはケタが違う。
>「良いじゃないのよ」
> あたしが遠慮なく言うのには理由がある。
> 今日は大事な日なのだ。
> そう、誕生日である。
誕生日・・・ですか・・・
ハ:十歳の時から、一回も祝ってもらった事が無いな(十三だけど)
> あたしとガウリイはお店の人が戸惑うほどの猛スピードで料理にかぶりついていった。
戸惑うほどって、あんた・・・・
ハ:むしろすごいですよ。ポーカーフェイス
> そして一時間後。
>「子羊のステーキ四人前と、スペシャルステーキ三人前ね!」
>「俺も同じやつ!」
むしろ十人前くらい行っちゃえば良いのに
ハ:僕、あんまり食べないな。頑張っても二人前だと思う
> 正直、あたしはあれを恐れている。
何がくるんだろ?リナが怖いものって
ハ:リナさんの苦手な物・・・Lが言ってた、スィーフィード・ナイトかな
あ、多分あたりだ
> ちなみにあれというのは、毎年の誕生日に送られて来る故郷の姉ちゃんからのプレゼントのことである。なぜか姉ちゃんは、実家にいながら、あたしの居場所を手に取るように把握することが出来てしまうのだ。
よしっ!当たり!
ハ:スレイヤーズを読んでる人なら、あ、これは・・ですね
うん。ヤッパ。故郷の姉ちゃんは伝説の人だから
> 一昨年は自家製爆弾だった。
> 去年はナメクジの詰め合わせだった。
ナメクジ入れた箱に、爆薬入れれば良かったのに。
ハ:・・止めて下さい。本当に送られたことがあるんです・・・
でも、アレは・・・入ってたの、猛毒の・・・
> それはただの黒竜ではなかった。
> 途轍もなく巨大。この街さえも簡単に破壊することが出来るであろう。
> となると、さっきの攻撃は――魔法だかブレスだか知らないが――手加減したものになるのではないか。
・・・でっかいデーモンと同じくらいの大きさですかね?(シェーラが作ったもの
> 黄昏よりも昏きもの 血の流れよりも紅きもの
> 時の流れに埋もれし 偉大なる汝の名において
> 我ここに闇に誓わん 我らが前に立ち塞がりし
> すべての愚かなるものに 我と汝が力もて
> 等しく滅びを与えんことを
>
>
>「竜破斬(ドラグ・スレイブ)!」
> 魔王竜(ディモス・ドラゴン)でさえも倒しうる一撃を、あたしは放った。
> 閃光が迸る。血の如く赤き閃光が。その光は世界を覆い尽くし、同時に爆発が生まれた。
> 空間に破壊の意志が満ちる。
> 血に飢えた死神は殺戮を限りを尽くした。
>
>
> しかし、竜は平然としていた。
>「…………」
> 呆然となるあたし。
・・・・はっ?
ハ:・・竜破斬は、確か黒魔術最強の呪文でしたよね?・・赤竜の騎士は、本気でリナさんを殺す気なんですかね?
それは無いと思うけど・・・でも、それでも倒せないんなら、重破斬か神滅斬しかないな・・・
> あたしは夜空を見上げ、滅多に信じることのなかった神様に祈りを捧げた。
> だが信心深くないあたしを助けようとする神なんて、どこにもいない。祈りは通じなかった。
お姉さん、一応神族なんですがね・・しかも、神がそれを送ってきたし
> もうダメだ。
> そう思った時、
>「リナぁああああああああああ」
キャァァァァっ!カッコいいぃぃぃ!
ハ:狙ったとしか思えないですね。このタイミングは
> ガウリイが語ったのは、あの竜が襲い掛かって来る少し前のことである。
> 彼の泊まっていた部屋に、来客があったという。
> 客は三十ほどの特徴のない男で、ガウリイに向けて、危険だから街から逃げろといったという。
> 戸惑っているとその男は、無理矢理ガウリイを連れ出したらしい。
> そして街から避難した途端、黒い影が街に降り立ったいう。
> あろうことか避難場所には明かりが灯されており、街の住人――総勢数十万人がいため、ガウリイはひどく驚いたらしい。
> それからさらにしばらくして、男はガウリイに、その黒い影と戦って来るように言われたらしい。
> そしてガウリイは、浮遊呪文を掛けられ、街の方へ吹き飛ばされたらしい。
・・・誰?
ハ:こんなことが出来るのは、そう多くないし・・・オリジナルですかね?
> そして黒い影――竜に襲われているあたしを見つけて、ああ叫んだという。
> それにしても、よく襲われているのがあたしだと分かったもんだ。さすが野生児ガウリイ君というべきだろう。
本当にすごい。人間の視力じゃない。
ハ:言いすぎでしょうが・・・すごいですね。確かに
> にしても……まさか!
>「どうしたリナ?」
>「ううん。何でもないわ」
> これこそが……姉ちゃんからのプレゼント?
>「それより……ガウリイ」
>「何だ?」
>
>
>「……助けてくれてありがとう」
・・・・・故郷のお姉さん、感服しました・・・・
ハ:成る程・・・・しかし、これをみて更に赤竜の騎士が人外に思える
あ、それもそうだよね・・・これだけの情報収集能力があったら、戦争なんて楽勝だもん。
ハ:通信手段が発達した現代でも難しい事を、あっさり実現するってのが凄いですね
> これは突発的に書いた短編であります。
> なぜ書いたかと言いますと、実は八月二十七日が私の誕生日でして、それを勝手に記念して誕生日のその日まで、一日一作の短編を綴り続けたいと思っていたからです。
> 今回がカウントダウン5となります。でも本当に続けられるか自信激薄。
> まあがんばってみます。
>
>
> 見直しなしの駄作ですが、読んでいただけると嬉しく思います。
> それではこのあたりで……。
私、突発的な小説しかない。思いつきだけで書くから、あんなにへたくそだけど、ここまでうまく書く人もいるんだと改めて実感しました。
ハ:文章力の差がありすぎますね。
精進します
> ところで、これガウリナなんですが、そう見えたでしょうか?
・・・・それ以外には、考えられませんでした。
ハ:そうですね。面白かったです。前半が特に
そう?私は後半が良かったな。「リナぁああああああああああ」なんか最高だし、「……助けてくれてありがとう」なんか・・・もう・・・(ハンカチを目に当てつつ
ハ:ほらほら、そこで笑ってないで
・・・・ばれた?(笑)


面白かったです!ラブコメって感じですかね?
ハ:使いもしない台詞は、できるだけ控えたほうが良いですよ
分かってるって。じゃあ、ロクでもないレスですが、これで終わります。さようなら!






追加
ハ:ねえ、僕の話は?
うぐぅっ!
ハ:もだえてないで。ねぇったら。
ぐ、ぐ、ぐ・・・・
ハ:部活なんかサボって書いてよ


この後、数時間に渡りいやみが続いたとか続かなかったとか・・・・


今度こそ、さようなら。

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26822Re:リナの誕生日(カウントダウン5)オロシ・ハイドラント URL2003/8/25 17:33:28
記事番号26815へのコメント

>こんにちは。
こんにちは。
>部活が無いという、幸福な時間を噛み締めているどらです(笑)
部活ですか。
私も昔はやっていましたけど本当に辛いですね。
大切な時間を、大切にお使いください。
>> ある日の――だが、あたしにとっては大事な日の黄昏時。あたしとガウリイはランザック・シティという街の高級レストラン「薔薇十字園」にいた。
>こ、高級レストラン・・美味しけりゃ何でもいいって言うリナが・・
大事な日ですから。
>>「なあ、リナ」
>> ガウリイが話し掛けて来る。それにしても黒タキシードが全然似合っていない。
>似合わないですかね?けっこう似合いそうだけど・・・
>ハ:真剣な時はに会うだろうけど、それ以外はちょっと苦しいよ?
>・・確かに・・あんがと。ハーリー
まあ顔には似合うと思いますけど、剣士という風格が邪魔しそうな気が……。
>> 確かに、見るからにそこらの食堂とはケタが違う。
>>「良いじゃないのよ」
>> あたしが遠慮なく言うのには理由がある。
>> 今日は大事な日なのだ。
>> そう、誕生日である。
>誕生日・・・ですか・・・
>ハ:十歳の時から、一回も祝ってもらった事が無いな(十三だけど)
実は結構シビアなご両親をお持ちとか?
>> あたしとガウリイはお店の人が戸惑うほどの猛スピードで料理にかぶりついていった。
>戸惑うほどって、あんた・・・・
>ハ:むしろすごいですよ。ポーカーフェイス
やはりこれが二人らしいと思います。
>> そして一時間後。
>>「子羊のステーキ四人前と、スペシャルステーキ三人前ね!」
>>「俺も同じやつ!」
>むしろ十人前くらい行っちゃえば良いのに
>ハ:僕、あんまり食べないな。頑張っても二人前だと思う
十人前も食べるとやはり飽きるでしょう。
>> 正直、あたしはあれを恐れている。
>何がくるんだろ?リナが怖いものって
>ハ:リナさんの苦手な物・・・Lが言ってた、スィーフィード・ナイトかな
>あ、多分あたりだ
正解です。
>> ちなみにあれというのは、毎年の誕生日に送られて来る故郷の姉ちゃんからのプレゼントのことである。なぜか姉ちゃんは、実家にいながら、あたしの居場所を手に取るように把握することが出来てしまうのだ。
>よしっ!当たり!
>ハ:スレイヤーズを読んでる人なら、あ、これは・・ですね
>うん。ヤッパ。故郷の姉ちゃんは伝説の人だから
正解おめでとうございます。
>> 一昨年は自家製爆弾だった。
>> 去年はナメクジの詰め合わせだった。
>ナメクジ入れた箱に、爆薬入れれば良かったのに。
>ハ:・・止めて下さい。本当に送られたことがあるんです・・・
えっ……送られたって……
>でも、アレは・・・入ってたの、猛毒の・・・
猛毒? え!? ……何かもの凄く気になると同時に恐い。
>> それはただの黒竜ではなかった。
>> 途轍もなく巨大。この街さえも簡単に破壊することが出来るであろう。
>> となると、さっきの攻撃は――魔法だかブレスだか知らないが――手加減したものになるのではないか。
>・・・でっかいデーモンと同じくらいの大きさですかね?(シェーラが作ったもの
多分それほどに巨大かと。
>> 黄昏よりも昏きもの 血の流れよりも紅きもの
>> 時の流れに埋もれし 偉大なる汝の名において
>> 我ここに闇に誓わん 我らが前に立ち塞がりし
>> すべての愚かなるものに 我と汝が力もて
>> 等しく滅びを与えんことを
>>
>>
>>「竜破斬(ドラグ・スレイブ)!」
>> 魔王竜(ディモス・ドラゴン)でさえも倒しうる一撃を、あたしは放った。
>> 閃光が迸る。血の如く赤き閃光が。その光は世界を覆い尽くし、同時に爆発が生まれた。
>> 空間に破壊の意志が満ちる。
>> 血に飢えた死神は殺戮を限りを尽くした。
>>
>>
>> しかし、竜は平然としていた。
>>「…………」
>> 呆然となるあたし。
>・・・・はっ?
>ハ:・・竜破斬は、確か黒魔術最強の呪文でしたよね?・・赤竜の騎士は、本気でリナさんを殺す気なんですかね?
>それは無いと思うけど・・・でも、それでも倒せないんなら、重破斬か神滅斬しかないな・・・
絶体絶命ですね。
>> あたしは夜空を見上げ、滅多に信じることのなかった神様に祈りを捧げた。
>> だが信心深くないあたしを助けようとする神なんて、どこにもいない。祈りは通じなかった。
>お姉さん、一応神族なんですがね・・しかも、神がそれを送ってきたし
祈る神すらなし、と。
>> もうダメだ。
>> そう思った時、
>>「リナぁああああああああああ」
>キャァァァァっ!カッコいいぃぃぃ!
>ハ:狙ったとしか思えないですね。このタイミングは
まさしくナイトですね。
>> ガウリイが語ったのは、あの竜が襲い掛かって来る少し前のことである。
>> 彼の泊まっていた部屋に、来客があったという。
>> 客は三十ほどの特徴のない男で、ガウリイに向けて、危険だから街から逃げろといったという。
>> 戸惑っているとその男は、無理矢理ガウリイを連れ出したらしい。
>> そして街から避難した途端、黒い影が街に降り立ったいう。
>> あろうことか避難場所には明かりが灯されており、街の住人――総勢数十万人がいため、ガウリイはひどく驚いたらしい。
>> それからさらにしばらくして、男はガウリイに、その黒い影と戦って来るように言われたらしい。
>> そしてガウリイは、浮遊呪文を掛けられ、街の方へ吹き飛ばされたらしい。
>・・・誰?
>ハ:こんなことが出来るのは、そう多くないし・・・オリジナルですかね?
オリジナルになります。
>> そして黒い影――竜に襲われているあたしを見つけて、ああ叫んだという。
>> それにしても、よく襲われているのがあたしだと分かったもんだ。さすが野生児ガウリイ君というべきだろう。
>本当にすごい。人間の視力じゃない。
>ハ:言いすぎでしょうが・・・すごいですね。確かに
まるでフクロウ?
>> にしても……まさか!
>>「どうしたリナ?」
>>「ううん。何でもないわ」
>> これこそが……姉ちゃんからのプレゼント?
>>「それより……ガウリイ」
>>「何だ?」
>>
>>
>>「……助けてくれてありがとう」
>・・・・・故郷のお姉さん、感服しました・・・・
>ハ:成る程・・・・しかし、これをみて更に赤竜の騎士が人外に思える
>あ、それもそうだよね・・・これだけの情報収集能力があったら、戦争なんて楽勝だもん。
>ハ:通信手段が発達した現代でも難しい事を、あっさり実現するってのが凄いですね
生き別れの人を探したりするのに役に立つことでしょうねえ。
>> これは突発的に書いた短編であります。
>> なぜ書いたかと言いますと、実は八月二十七日が私の誕生日でして、それを勝手に記念して誕生日のその日まで、一日一作の短編を綴り続けたいと思っていたからです。
>> 今回がカウントダウン5となります。でも本当に続けられるか自信激薄。
>> まあがんばってみます。
>>
>>
>> 見直しなしの駄作ですが、読んでいただけると嬉しく思います。
>> それではこのあたりで……。
>私、突発的な小説しかない。思いつきだけで書くから、あんなにへたくそだけど、ここまでうまく書く人もいるんだと改めて実感しました。
>ハ:文章力の差がありすぎますね。
そんなことないですよ。欠点だらけですし。
>精進します
がんばってください。
うまくなるには向上心がもっとも大切だと思います。
>> ところで、これガウリナなんですが、そう見えたでしょうか?
>・・・・それ以外には、考えられませんでした。
>ハ:そうですね。面白かったです。前半が特に
>そう?私は後半が良かったな。「リナぁああああああああああ」なんか最高だし、「……助けてくれてありがとう」なんか・・・もう・・・(ハンカチを目に当てつつ
>ハ:ほらほら、そこで笑ってないで
>・・・・ばれた?(笑)
おおっ嬉しいです。
私が思う以上にガウリナなようでよかったです。
>
>
>面白かったです!ラブコメって感じですかね?
>ハ:使いもしない台詞は、できるだけ控えたほうが良いですよ
>分かってるって。じゃあ、ロクでもないレスですが、これで終わります。さようなら!
いえ、会話形式でこちらが逆に楽しませていただきました。
レスどうもありがとうございました。
>
>
>
>
>
>
>追加
>ハ:ねえ、僕の話は?
>うぐぅっ!
>ハ:もだえてないで。ねぇったら。
>ぐ、ぐ、ぐ・・・・
>ハ:部活なんかサボって書いてよ
>
>
>この後、数時間に渡りいやみが続いたとか続かなかったとか・・・・
口ゲンカは(仲が良いか悪いかは別として)兄妹関係が破綻してない証拠です。

>
>
>今度こそ、さようなら。
それでは、さようなら。

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26827アメリアの誕生日(カウントダウン2)オロシ・ハイドラント URL2003/8/25 22:13:37
記事番号26780へのコメント

 0
 変化というのは、時ではなく人がもたらすものである。
 幼き日に訊いた台詞が、脳裏にふと黄泉返る。
 奇跡というものを初めて体験してから十八年、アメリアは窓の外から天を見詰めていた。
 透き通るような蒼。質量感を持った白。
 王者の風格を持った太陽が照りつける。
 今も変わらない。
 あの頃と何も変わらない空。
 だが、地上世界は激しく変わってしまった。
 だから、あの空には過ぎし日の思い出が残っている。


 1
 一人の人間が、一年に一度祝福される日。この世に生を受けしその日。誕生日。
 その日、セイルーンの王宮では、盛大な祝宴がもよおされた。
 何しろ今日は一国の姫の誕生日であるのだ。各地の領主達も、一斉にこの地に集まって来た。
 宴は正午に始められた。そして真夜中……いや明日の朝まで続く。
 庭園には多数のテーブルや椅子が置かれ、豪勢な食事が並んだ。早くも酒を呑む者までいる。
 貴族や高位の神官達は会話を交わし合い、親交を深め合おうとしている。
 その中の一角、上空から俯瞰したならば、ちょうど中央に当たると思われる位置に、彼女はいた。
 彼女の名はアメリア。アメリア・ウィル・テスラ・セイルーンという。肩口で切り揃えられたしなやかな黒髪と、大きな碧眼、白くはあるも健康的な肌……まだ幼いが、幼さゆえの愛らしさを十二分に発揮していると言える。彼女がこの宴の主役なのである。
「アメリア、どうした食わぬのか?」
 彼女に話し掛けたのは、まるで山人種(ドワーフ)の如き風貌の男であった。だが彼こそがこの国の第一王位継承者……すなわち王子フィリオネルである。
「あんまりお腹が……」
 今年で齢十となるアメリア姫は、小さくそう答えたのみであった。
「そうか。ならば退屈するじゃろう。一つ話を聞かせてやるとするか」
 フィリオネルはアメリアの父に当たる。その凄まじい風貌に似合わず、正義と平和を愛し、この国を最も愛す者の一人である。そしてアメリアを最も大切にしている者でもある。
「あれはわしが旅をしておった時に、さる盗賊団と出会った時の話じゃが……」
「その話はもう何度も訊きましたわ」
 フィリオネルの話を遮ったのは、アメリアではなかった。
 アメリアとどこか似た顔の造りをした少女だが、漂う雰囲気はまるで違った。清楚な印象を与えながらも、鋭利さを兼ね備えている。
 彼女の名はグレイシア。アメリアの実姉に当たる。四つ歳が離れており、その分落ち着いて見える。
「そうかの。仕方ないならば……」
 フィリオネルはしばし悩み、
「そうじゃ、ならばデーモンを呼び出す悪の魔道士との死闘の話はどうじゃ」
「もう飽きるほど訊きましたわ」
「……そうか」
 フィリオネルは項垂れた。本気で落ち込んだわけではないが、いささかショックではあったはずだ。
「アメリア。たくさん食べないと太るわよ」
「姉さん……それ違う」
 グレイシアはその指摘には反応せず、遠くへ去っていった。


 2
 アメリアのいるテーブルには五人の人間がいた。アメリアとフィリオネル以外の者の内、二人はフィリオネルの兄弟であるクリストファとランディオーネ、そして残る一人はフィリオネル達の父、すなわちセイルーンの国王である。実際、グレイシアとクリストファの子であるアルフレッドもこのテーブルにつくこととなっているのだが、この二人は貴族達の子と遊びにいっているのだ。
「父さん……」
 アメリアが寂しそうに言った。
「どうした?」
 するとアメリアはしばし沈黙した後に、
「私も遊びにいって良い?」
「もちろんじゃ。皆に挨拶して来るが良い」
 フィリオネルは即答した。
 アメリアはゆっくりと歩き出した。
 今もクリストファとランディオーネは、二人の会話に興じていた。


 3
 標的が動き出した。
 無事に成功させる自信はあった。
 大丈夫だ。
 言い聞かせる。
 難しい役割ではない。
 必ず成功させる。
 黒服の男は陰から祝宴の場を見詰めていた。


 4
 アメリアは、グレイシアとは違い、交友関係というものが極めて薄い。
 基本的には内気な性質で、初対面の人間と話すのを苦手としている。
 だから自分から相手に話し掛けるということはなかった。挨拶されれば返事をする。誘ってくれたりすれば付き合う。その程度だ。
 この宴の主役にも関わらず、彼女は最も輝いた存在とは言えなかった。
 挨拶や祝辞の言葉は飛んで来るものの、誘いに来てくれる者はいなかった。
 密かに嫌われているのではないだろうか。アメリアはそんな考えを持ってまでもいた。
 そしてそんな考えを持つと、挨拶するのさえ困難となる。だが、無視してしまえばより嫌われる。
 少し息苦しくなった。上流階級の者達の明るい声や柔和な表情の下には、一体どのような感情が隠れているのだろうか。
 王女であるから、せめて愛想だけはと考えている。そうではないのか?
 だが、そんなアメリアにも心を許せる者もいた。
「アルフレッド」
 彼女はその名を呼んだ。彼女の従兄に当たる者の名を……。
 名前を呼ばれた少年は、声の主を見つけるなり、
「やあ、アメリアじゃないか」
 陽気な声を掛けて来た。
 まだ十二、三ほどだと思うが、周りには十代から二十代の女性が群がっている中でも、緊張した様子がない。随分と慣れている。
 そして女性というものに限らず、何から何まで、アメリアよりずっと慣れた風に感じられる。
 そんな彼に対して持つ感情は、しかし嫉妬ではなく憧憬であった。幼さゆえのことかも知れぬが。
「どうしたの?」
 アメリアは長く沈黙していたようだ。それは、ここがプライヴェートな空間でなかったゆえであろう。
 親戚のアルフレッドとは親しく、よく会話を交わすが、こういった大勢の人間がいる場所で話すのは、アメリアにとっては辛いことだ。
「君もこっち来ない?」
 その言葉は非常に嬉しかった。一度誘われれば、少しは気が楽になるだろう。
 アメリアは少女達とアルフレッドで構成されたグループに混ざった。
 アルフレッドは幼いが、どう見ても会話の中心であった。
 宴の主役のアメリアは、主役であるがゆえに完全無視はされなかったが、やはり会話のほとんどはアルフレッドに向いていた。
 くだらない会話だったが、そこに混ざるというのは悪いものではない。
「君、可愛いけど整形でもしたの?」
「やだあ。整形なんてどうやるの?」
「それより、アルフレッド君。今度デートしようよ」
「ははっ、考えとくよ」
「それよりさあ……」
 とても将来人の上に立つこととなる者達の会話とは思えないとアメリアは思った。


 5
 そろそろ時間が来るだろう。
 もう少しの辛抱だ。
 もう少し待てば……。
「ふふっ」
 男は小さく笑った。
(もうすぐですよ。……アメリア姫)
 現在も標的は捉え続けている。
 その眼には一人の少女以外は見えていない。
(最高のお誕生日プレゼントを差し上げますから)


 6
 アルフレッド達はすでに料理を食べ尽くしていたようであった。
 後一時間もすれば、お菓子やティーが並べられることになるだろうが、すでに空腹だったアメリアは、一時自分のテーブルに戻ることにした。
 アルフレッド達に別れを告げ、歩き出した。
 彼らと別れても、寂しいという気持ちにはならなかった。まで宴は終わっていないのだ。むしろ本領発揮は夜からなので、始まってすらないと言える。
 ただ解放感があっただけだ。
 元々、独りでいるのが好きなのである。友達付き合いは苦手なだけで嫌いではないのだが、落ち着くといえばやはり独りの時だ。
 まだ始まって二時間ほどであるにも関わらず、各席は随分と賑わっている。これで明日の朝までもつのだろうか。そんなことを考えながら、ゆっくりと歩いた。
 それにしても空が蒼い。透明感があって美しい。白い雲も雄大だ。
 アメリアはこの空が大好きだった。
 曇り空や夜空ではなく、この不変なる真昼の空が……。
 鳥が飛んでいる。白い鳥だ。名前は何というのだろうか。
 過ぎ去った。もう見えない。二度と会えない……白い鳥。
 だが新たな一羽が、アメリアの見る世界に訪れて来た。
 たくさんいる。同じ鳥達。だけど違う名前を持っているはず。
 父がある日言っていた。この国の人間は平等ではないと。だが誰もが平等に幸せを得る権利があると。
 だがそのためには、悪を滅ぼさねばならないとも言っていた。それはとても悲しいことだとも。
 たとえ正義がこちらにあるとしても、相手を裁くという行為は絶対的な悪である。たとえ罪を犯した者であっても、本来ならば裁くべきものではない。
 だが、裁かねばならないのだ。さもなければ多数の人間が幸せを失う。
 他者に損害を与えた者に罰を与えねば、悪人という人種は激増する。そうすれば多くの人間がその犠牲となってしまう。
 だからこそ、罰というシステムが必要なのだ。
 そして悪意を持った他国も同じだ。
 アメリアは父の言葉を完全に理解していたわけではない。
 だが、少なくともこれだけは分かる。父は正義の人なのだと。正義の人に間違いないのだと。
 アメリアは父を尊敬していた。何よりも一番に尊敬していた。
 アメリアは視線を前方に戻した。
 広い庭園、それにして何人の人間がいるのであろうか。
 知っている人間がいないかと、ちょっと探ってみる。
 だが、それを実行して間もなく、凄まじい爆音が両耳を揺さぶった。


 7
 時間だ。
 ついに来た。
 相棒はうまくやってくれたようだ。元々、成功を信じて疑わなかったが。
 この機に乗じて一気に……。
 黒服の男は駆け出した。


 8
 爆発は王宮の方で起こった。
 それほど大したものではなかったが、貴族連中の注意をそちらに向けるには充分すぎた。
 アメリアはいきなりのことに驚き、立ち竦んでいた。
 なぜ?
 なぜ王宮が?
 硬直して、ただ爆発のあった方を見詰めていた。
 こんなことは初めてである。
 この宮殿が爆破された?
 信じられないことだ。
 想像すらしたことすらなかった。
(どうして……)
 どうしてこんなことが……。
 爆発自体は大したことはない。しかし、爆破されたということは重大な意味を持っている。
 秩序の崩壊。
 アメリアは、この爆発が悪意ある人間によって故意におこなわれたものだとしか考えていなかった。
 事故という考えは全く浮かんでいなかった。そこに思考が辿り着かなかったのである。
 そしてそれは正解であった。
 今、この機に乗じて彼女を狙う者が、すでに彼女に背後に迫っていた。
 そして突然、口を塞がれた。


 9
 男は標的を抱えると、全速力でその場を離脱した。
 我ながら素早い仕事だ。
 風の如く現われ、風の如く去る。
 誰も捕まえられはしない。
 足には自信があるのだ。
 しかも自身が開発した高速移動の術を駆使している。
 茂みに入り、森林部を通って、城壁近くまで走り、飛行呪文で飛び越えて、王宮を抜ける。
 不可能ではない。侵入は容易であったのだ。多少警備が増えたとして、誰が自分を止められよう。
 一度抜け出してしまえば、彼らのアジトは簡単には見つかるまい。安心である。
 男は森林部を走っていた。
 ここは観賞用に造られた森であり、深い森などではない。
 多少広いがそれだけだ。足場はけして悪くない。
 任務は成功だ。
 後は……。


 10
 フィリオネルは駆け出していた。
 アメリアが誘拐されたという事実は、それが実行された直後、彼にも伝わった。
 やはりすべての者が爆発に注目してわけではない。
 犯行は迅速におこなわれたとはいえ、誰の目にも映らないというわけはあるまい。
 だが捕まえられるかどうかは、また別の問題だ。
 厳しい警備を潜り抜けて、庭園に侵入することの出来た相手だ。
 果たして、並の兵士の手に負えるものであろうか。
 信用は出来ない。ならば自分が出るのみ。
 絶対に娘を取り返すのだ。
 フィリオネルは必死で走った。
 その速度は、巨体に似合わず途轍もなく速い。
 さらにその勢いは凄まじいものがある。
 彼は森に入っていった。ここに逃げ込んだのは知っている。
 森を進み、城壁まで向かって飛行呪文で飛び立つ、これが相手の考えだろう。
 森にも警備兵はいるが、頼りにはなりそうもない。
 大木すら吹き飛ばす勢いでフィリオネルは森を駆け抜け、ついにその相手を発見した。



 11
 まずい。
 もの凄い形相で追いかけて来る男がいる。
 なぜそれほどまでに速いのだろうか。
 高速移動の呪文を唱えた自分すら凌ぐ超絶的なスピード。
 すでに人間の域を脱している。
 化けものだ。
(こうなれば……)
 男は呪文を唱えた。
「翔封界(レイ・ウイング)!」
 天蓋を越え、大空へと飛び立とう。
 空を飛ぶ相手に対する対策は充分すぎるほどになされているだろうが、この際仕方がない。
 相手は対空攻撃以上に恐ろしいのだ。
 風の結界が纏われ、男は見えぬ翼を得た。
 だが、離陸する寸前に、
「させるかぁぁっ!」
 跳躍したフィリオネルが風の結界を拳で打ち砕き、彼に迫って来た。
「うわああああああああ」
 男は情けない悲鳴を上げて転倒する。
「人畜無害キィィィィック!」
 そしてそこへフィリオネルの足蹴りが炸裂した。


 12
 やがて夜が更け、場の盛り上がりは最高潮に達した。
 しかし、フィリオネルの顔は暗く沈んでいた。
 アメリアを誘拐しようとした男は、アメリアの身柄と引き換えに大金を要求し、それを彼フィリオネルに運ばせ、そしてそこで彼を暗殺しようと企んでいたのだ。しかもアメリアの命まで奪おうとしていたらしいのだ。
 これはすべて、男の口から語られたものである。
 それだけ言って男は自害した。フィリオネルを嘲笑いつつ。
 依頼者の名前は出て来なかった。
 彼はそのことがまだ、心に残っているのだ。
 人の死を間近で見たことは何度もある。自分が殺したも同然の者もいる。
 だがそれでも、人の死というものを簡単に受け止めることが出来ない。
 あの男は死んだのだ。自分が殺したのだ。
 たとえ娘を助けるためという理由があったとしても、自分が相手を殺したことは紛れもない事実である。
 人の持つ正義とは常に悪を孕んでいる。ゆえにそれは真の意味での正義ではない。
 だがその偽りの正義を振り翳さねばならないのだ。王族として、国を総べる運命にある者として。
 フィリオネルはアメリアに言った。
「アメリアよ。世の中を変えるのは、時の流れではない……人のおこないじゃ。
じゃが、世の中を良くしようと思うものも、また悪人には違いない。人を殺すも同然のことをしなければ、世の中は決して変わろうとはせぬからな」
 自分もまた悪人だと言った。
「父さんは悪くないよ。父さんはいい人だよ」
 アメリアはそう答えてくれた。
 それからフィリオネルは強くなったのだと思う。



 13
 あの日、フィリオネルの言葉でアメリアは生まれ変わった。
 性格も随分変わったものだと思う。本来の気質が、内気なものではなかったのかも知れないが。
 アメリアは強くなった。
 自分が正しいのかは分からない。
 でも自分は信じている。正義を信じている。
 たくさんの人が犠牲になるなら、せめてそれ以上の人を幸せにしたい。
 悪人だと言われても構わない。
 絶対の正義は人間の中には存在しないのだから。
 今、フィリオネルは王位を継ぎ本格的に国を治めている。
 彼の評判は非常に良い。
 やはり、彼女の父は正義の人なのだ。そうに違いない。


◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆◇◆☆◇◆


 こんばんはラントです。
 今回はシリーズを逆手に取ったといえなくもないものです。
 今回の話は、……と一切関係ないものです。
 第四作目でこういうタイプの話だと、とあるシリーズが浮かぶかも知れませんが……すみません。意識してました。


 それにしても今回は非常に時間が掛かってしまいました。
 長編(神魔)の方の修正をする時間さえなくなるほどでした。
 というわけで、もう時間がありませんので、これでさようなら。


 (ちなみにセイルーンに関しての知識はデタラメっぽいです)

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26835テーマのレベルが高いですエモーション E-mail 2003/8/26 22:30:34
記事番号26827へのコメント

こんばんは。
カウントダウン2、アメリア編ですね♪
今回もあの某企業(笑)が出てくるのかと思っていましたら……
シリアス、シリアスで、内容も良かったです。
アメリア姫にとっての転換期となった出来事。
裏と表を知った上で、正義を選ぶ……。
フィルさんとアメリア、本当に強い方々です。


> 変化というのは、時ではなく人がもたらすものである。
> 幼き日に訊いた台詞が、脳裏にふと黄泉返る。
> 奇跡というものを初めて体験してから十八年、アメリアは窓の外から天を見詰めていた。

えっと、この場面のアメリアって……28歳ですか?
ちょっと、メインになっている10歳の時の出来事を「奇跡」といっているのかと、
思ったので……(^_^;)
奇跡が単純に、自分の生まれた日を意味するのでしたら、(すべての命の誕生は、
当然に見える奇跡だと思うので)18歳なのでしょうけれど。

>「アメリア。たくさん食べないと太るわよ」
>「姉さん……それ違う」
> グレイシアはその指摘には反応せず、遠くへ去っていった。

……「大きくなれない」という注意と、「食べ過ぎは良くない」の注意が、
一緒くたになってますね(笑)

> 標的が動き出した。
> 無事に成功させる自信はあった。
> 大丈夫だ。
> 言い聞かせる。
> 難しい役割ではない。
> 必ず成功させる。
> 黒服の男は陰から祝宴の場を見詰めていた。

当初、ああ、出やがった(←言葉遣いが悪いです、減点20)「地獄の聖天使」。
今度は何をしでかす気なのだろう、と思いました。(そう言う意味では、私は
前作を引きずってしまいました)

> 密かに嫌われているのではないだろうか。アメリアはそんな考えを持ってまでもいた。
> そしてそんな考えを持つと、挨拶するのさえ困難となる。だが、無視してしまえばより嫌われる。
> 少し息苦しくなった。上流階級の者達の明るい声や柔和な表情の下には、一体どのような感情が隠れているのだろうか。
> 王女であるから、せめて愛想だけはと考えている。そうではないのか?

わずか10歳でそう思う辺り、かなり賢いですね。さらに繊細な神経を
持っているとも分かります。
神経が繊細で賢い子供には、否応なしに大人の世界を見ることになる環境は、
苦痛でしかないし、おとなしくもなるよなあ、と思いました。

> まだ十二、三ほどだと思うが、周りには十代から二十代の女性が群がっている中でも、緊張した様子がない。随分と慣れている。
> そして女性というものに限らず、何から何まで、アメリアよりずっと慣れた風に感じられる。

アルフレッドも割合賢い方なのでしょうね。ただ、こちらは周囲の意図を
知っていても、要領よく振る舞うだけの図太さがあるのでしょう。
……マイナスの方に転ばなければ、王位に就けなくても、セイルーンにとって、
なくてはならない重要人物になれたでしょうに……。

> まだ始まって二時間ほどであるにも関わらず、各席は随分と賑わっている。これで明日の朝までもつのだろうか。そんなことを考えながら、ゆっくりと歩いた。

> 父がある日言っていた。この国の人間は平等ではないと。だが誰もが平等に幸せを得る権利があると。
> だがそのためには、悪を滅ぼさねばならないとも言っていた。それはとても悲しいことだとも。
> たとえ正義がこちらにあるとしても、相手を裁くという行為は絶対的な悪である。たとえ罪を犯した者であっても、本来ならば裁くべきものではない。
> だが、裁かねばならないのだ。さもなければ多数の人間が幸せを失う。
> 他者に損害を与えた者に罰を与えねば、悪人という人種は激増する。そうすれば多くの人間がその犠牲となってしまう。
> だからこそ、罰というシステムが必要なのだ。
> そして悪意を持った他国も同じだ。

「正義」のパラドックスですね。相手と同じレベルに堕ちなくては、できないという……。
何となく、こういう面を理解しているかいないかが、「正義」の名の下に
暴走するかしないかを決めるような気がします。

> もの凄い形相で追いかけて来る男がいる。
> なぜそれほどまでに速いのだろうか。
> 高速移動の呪文を唱えた自分すら凌ぐ超絶的なスピード。
> すでに人間の域を脱している。
> 化けものだ。

正義の心&父の愛……の相乗効果なのでしょうけれど……フィルさん、凄い……(^_^;)
男もさすがに自分を追っているのが、一国の王子だとは思わなかったでしょうね……。

> 人の持つ正義とは常に悪を孕んでいる。ゆえにそれは真の意味での正義ではない。
> だがその偽りの正義を振り翳さねばならないのだ。王族として、国を総べる運命にある者として。
> フィリオネルはアメリアに言った。
>「アメリアよ。世の中を変えるのは、時の流れではない……人のおこないじゃ。
>じゃが、世の中を良くしようと思うものも、また悪人には違いない。人を殺すも同然のことをしなければ、世の中は決して変わろうとはせぬからな」
> 自分もまた悪人だと言った。
>「父さんは悪くないよ。父さんはいい人だよ」
> アメリアはそう答えてくれた。
> それからフィリオネルは強くなったのだと思う。

フィルさんは本当に優しくて、そして物事の本質が分かっている人なのだと思います。
そうでなければ、こんな風に悩んだり思い煩ったりしないでしょうから。
そしてアメリアの言葉。フィルさんにとって、これ以上支えになる言葉はないでしょうね。

> アメリアは強くなった。
> 自分が正しいのかは分からない。
> でも自分は信じている。正義を信じている。
> たくさんの人が犠牲になるなら、せめてそれ以上の人を幸せにしたい。
> 悪人だと言われても構わない。
> 絶対の正義は人間の中には存在しないのだから。
> 今、フィリオネルは王位を継ぎ本格的に国を治めている。
> 彼の評判は非常に良い。
> やはり、彼女の父は正義の人なのだ。そうに違いない。

正義を信じて、でも、絶対的な正義は存在しないと知っている。
ある種の開き直りでもありますが、アメリア、そしてフィルさんには、
必要なものなのだとしみじみ思いました。

> こんばんはラントです。
> 今回はシリーズを逆手に取ったといえなくもないものです。
> 今回の話は、……と一切関係ないものです。
> 第四作目でこういうタイプの話だと、とあるシリーズが浮かぶかも知れませんが……すみません。意識してました。

火村&アリスが、駆けめぐっていきました(笑)

> それにしても今回は非常に時間が掛かってしまいました。
> 長編(神魔)の方の修正をする時間さえなくなるほどでした。
> というわけで、もう時間がありませんので、これでさようなら。

> (ちなみにセイルーンに関しての知識はデタラメっぽいです)

テーマ、としてはかなり難しいものだったと思います。
明確な答がでない、BestではなくBetterをとるしかないもののことですから。
色々考えさせられました。

あ、あともう数時間もすれば27日ですね。
早めですが、
「Happy Birthday!!」

では、この辺で失礼します。

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26842Re:テーマのレベルが高いですオロシ・ハイドラント URL2003/8/27 11:05:43
記事番号26835へのコメント

>こんばんは。
こんばんは。
>カウントダウン2、アメリア編ですね♪
>今回もあの某企業(笑)が出てくるのかと思っていましたら……
>シリアス、シリアスで、内容も良かったです。
最近はシリアスが私の色みたいになっているので、これはいけると思いました。
でも実際は意外に大変な部分が多く、枚数も多くなってしまいましたので、実際一番苦労した作品になります。
>アメリア姫にとっての転換期となった出来事。
>裏と表を知った上で、正義を選ぶ……。
>フィルさんとアメリア、本当に強い方々です。
王族とはやはり強いものです。腐ってるのもいますが……
>
>
>> 変化というのは、時ではなく人がもたらすものである。
>> 幼き日に訊いた台詞が、脳裏にふと黄泉返る。
>> 奇跡というものを初めて体験してから十八年、アメリアは窓の外から天を見詰めていた。
>
>えっと、この場面のアメリアって……28歳ですか?
>ちょっと、メインになっている10歳の時の出来事を「奇跡」といっているのかと、
>思ったので……(^_^;)
>奇跡が単純に、自分の生まれた日を意味するのでしたら、(すべての命の誕生は、
>当然に見える奇跡だと思うので)18歳なのでしょうけれど。
……これってまさか両方取れるのでは……。
ううむ予定外。
私の意図は、誕生した瞬間=奇跡の方でしたけれど。
>
>>「アメリア。たくさん食べないと太るわよ」
>>「姉さん……それ違う」
>> グレイシアはその指摘には反応せず、遠くへ去っていった。
>
>……「大きくなれない」という注意と、「食べ過ぎは良くない」の注意が、
>一緒くたになってますね(笑)
それとも、食べる時に、食べないと結果的には太るということを言っているのでしょうかねえ。
>
>> 標的が動き出した。
>> 無事に成功させる自信はあった。
>> 大丈夫だ。
>> 言い聞かせる。
>> 難しい役割ではない。
>> 必ず成功させる。
>> 黒服の男は陰から祝宴の場を見詰めていた。
>
>当初、ああ、出やがった(←言葉遣いが悪いです、減点20)「地獄の聖天使」。
>今度は何をしでかす気なのだろう、と思いました。(そう言う意味では、私は
>前作を引きずってしまいました)
紛らわしく書くように心掛けました。
>
>> 密かに嫌われているのではないだろうか。アメリアはそんな考えを持ってまでもいた。
>> そしてそんな考えを持つと、挨拶するのさえ困難となる。だが、無視してしまえばより嫌われる。
>> 少し息苦しくなった。上流階級の者達の明るい声や柔和な表情の下には、一体どのような感情が隠れているのだろうか。
>> 王女であるから、せめて愛想だけはと考えている。そうではないのか?
>
>わずか10歳でそう思う辺り、かなり賢いですね。さらに繊細な神経を
>持っているとも分かります。
>神経が繊細で賢い子供には、否応なしに大人の世界を見ることになる環境は、
>苦痛でしかないし、おとなしくもなるよなあ、と思いました。
十歳って実に微妙なんですよねえ。
どんな感じなのか掴めず、結果的にこのようか感じになりました。
>
>> まだ十二、三ほどだと思うが、周りには十代から二十代の女性が群がっている中でも、緊張した様子がない。随分と慣れている。
>> そして女性というものに限らず、何から何まで、アメリアよりずっと慣れた風に感じられる。
>
>アルフレッドも割合賢い方なのでしょうね。ただ、こちらは周囲の意図を
>知っていても、要領よく振る舞うだけの図太さがあるのでしょう。
>……マイナスの方に転ばなければ、王位に就けなくても、セイルーンにとって、
>なくてはならない重要人物になれたでしょうに……。
そうですよね。スレイヤーズ本編四巻では大変なことをしたりせねば……。
>
>> まだ始まって二時間ほどであるにも関わらず、各席は随分と賑わっている。これで明日の朝までもつのだろうか。そんなことを考えながら、ゆっくりと歩いた。
>
>> 父がある日言っていた。この国の人間は平等ではないと。だが誰もが平等に幸せを得る権利があると。
>> だがそのためには、悪を滅ぼさねばならないとも言っていた。それはとても悲しいことだとも。
>> たとえ正義がこちらにあるとしても、相手を裁くという行為は絶対的な悪である。たとえ罪を犯した者であっても、本来ならば裁くべきものではない。
>> だが、裁かねばならないのだ。さもなければ多数の人間が幸せを失う。
>> 他者に損害を与えた者に罰を与えねば、悪人という人種は激増する。そうすれば多くの人間がその犠牲となってしまう。
>> だからこそ、罰というシステムが必要なのだ。
>> そして悪意を持った他国も同じだ。
>
>「正義」のパラドックスですね。相手と同じレベルに堕ちなくては、できないという……。
>何となく、こういう面を理解しているかいないかが、「正義」の名の下に
>暴走するかしないかを決めるような気がします。
フィクションでもノンフィクションで正義の暴走と呼べるものは結構あったりしますからねえ。
>
>> もの凄い形相で追いかけて来る男がいる。
>> なぜそれほどまでに速いのだろうか。
>> 高速移動の呪文を唱えた自分すら凌ぐ超絶的なスピード。
>> すでに人間の域を脱している。
>> 化けものだ。
>
>正義の心&父の愛……の相乗効果なのでしょうけれど……フィルさん、凄い……(^_^;)
>男もさすがに自分を追っているのが、一国の王子だとは思わなかったでしょうね……。
確かに……。
そういえば、セイルーン王家って王族らしくない風貌の人が結構いるような。
>
>> 人の持つ正義とは常に悪を孕んでいる。ゆえにそれは真の意味での正義ではない。
>> だがその偽りの正義を振り翳さねばならないのだ。王族として、国を総べる運命にある者として。
>> フィリオネルはアメリアに言った。
>>「アメリアよ。世の中を変えるのは、時の流れではない……人のおこないじゃ。
>>じゃが、世の中を良くしようと思うものも、また悪人には違いない。人を殺すも同然のことをしなければ、世の中は決して変わろうとはせぬからな」
>> 自分もまた悪人だと言った。
>>「父さんは悪くないよ。父さんはいい人だよ」
>> アメリアはそう答えてくれた。
>> それからフィリオネルは強くなったのだと思う。
>
>フィルさんは本当に優しくて、そして物事の本質が分かっている人なのだと思います。
>そうでなければ、こんな風に悩んだり思い煩ったりしないでしょうから。
>そしてアメリアの言葉。フィルさんにとって、これ以上支えになる言葉はないでしょうね。
この時、二人は良き変化への第一歩を踏み出す。
めでたしめでたしです。
>
>> アメリアは強くなった。
>> 自分が正しいのかは分からない。
>> でも自分は信じている。正義を信じている。
>> たくさんの人が犠牲になるなら、せめてそれ以上の人を幸せにしたい。
>> 悪人だと言われても構わない。
>> 絶対の正義は人間の中には存在しないのだから。
>> 今、フィリオネルは王位を継ぎ本格的に国を治めている。
>> 彼の評判は非常に良い。
>> やはり、彼女の父は正義の人なのだ。そうに違いない。
>
>正義を信じて、でも、絶対的な正義は存在しないと知っている。
>ある種の開き直りでもありますが、アメリア、そしてフィルさんには、
>必要なものなのだとしみじみ思いました。
一般の方ならばともかく、一国の王になる人間ですから、やはり必要だと思います。
>
>> こんばんはラントです。
>> 今回はシリーズを逆手に取ったといえなくもないものです。
>> 今回の話は、……と一切関係ないものです。
>> 第四作目でこういうタイプの話だと、とあるシリーズが浮かぶかも知れませんが……すみません。意識してました。
>
>火村&アリスが、駆けめぐっていきました(笑)
ヒムアリといえば……火村助教授の過去話って何か気になる。
……もしかしてすでにあったり?
>
>> それにしても今回は非常に時間が掛かってしまいました。
>> 長編(神魔)の方の修正をする時間さえなくなるほどでした。
>> というわけで、もう時間がありませんので、これでさようなら。
>
>> (ちなみにセイルーンに関しての知識はデタラメっぽいです)
>
>テーマ、としてはかなり難しいものだったと思います。
>明確な答がでない、BestではなくBetterをとるしかないもののことですから。
>色々考えさせられました。
テーマに関しましては、自転車に乗りながら考えた、「人間という種族が、平和で平等な社会を造ることは、本当に可能なのか」の一部を文章化したような感じのものです。
それにしてもこういうことはたまに考えるけど、常識が思いっきり欠落してるアホな私。
>
>あ、あともう数時間もすれば27日ですね。
>早めですが、
>「Happy Birthday!!」
おおっ、どうもありがとうございます。
嬉しいです。
>
>では、この辺で失礼します。
本当にどうもありがとうございました。
それでは……。

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26834ルークの誕生日(カウントダウン1)オロシ・ハイドラント URL2003/8/26 21:37:45
記事番号26780へのコメント

 0
 「……ルーク、愛してる」
 あの時言われたあの台詞を、ルークは今でも覚えている。


 1
 荒涼とした大地。渇いた風が、砂を乗せて流れてゆく。
 一人の男がいた。
 精悍たる顔付きをした、黒く染まった髪を持つ若い男。その腕には一振りの長剣。
 男は天を仰いだ。黄金色に輝く、焼けるような眼差しの太陽。天空の覇者に勝利を誓い、それから視線を落としてゆく。
 視線の先に影が映った。
 砂塵が晴れる。
 その先には男の敵がいた。
 粗野な風貌の男。手には大刀が握られている。
 そしてその背後には、十字架が立っていた。
 荒野に聳え立つ一本の十字架。そこには一人の女が磔にされていた。
 美女と呼べる部類だろう。貴金属の如く輝く銀髪に、透明感のある白い肌。憔悴して見えるが、その表情もまた一種の魅力を迸らせている。
 男は敵を睨んだ。口は沈黙、眼は雄弁。
 だが敵は男を恐れようとはしない。
 男が動いた。素早い動きだ。
 風のように荒野を駆け、獲物へと迫る。
 男は斬撃を放った。
 火花が散る。
 大刀は男の一撃を受け止めている。敵はそれを追いかけた。
 すると男は真横へ跳んで、剣をかわす。
 巧みなステップに惑う暇もなく、敵の剣士は男の一撃を受けて倒れた。
 血が吹き出る。それが哀れな敗者の身を覆った。
 勝敗は一瞬にして決した。
 勝利。男は勝利を手にしたのだ。
 拘束された美女の顔が綻ぶ。
 男は再び天を仰ぐ。太陽はまだそこにいた。
「カァァット!!」
 そして世界は崩壊した。


 2
「いやあ、お疲れ様です」
 黒服を着た男は、剣士を演じた男、ルークに向けてそう言った。
 十字架に縛り付けられていた美女も、他にいた黒服の男達数人によって解放されていた。
「本当に良い出来でしたよ」
「そうか?」
 黒服の賛辞に対して、ルークは照れ気味な表情で言った。
「でも、ホントにこれだけで良いのか?」
「ええ結構ですとも」
 黒服の男は随分と嬉しそうだ。
「何せ、そこらのプロよりずっとプロらしいではない演技でしたから」
 するとルークは、
「いやあ、これも全部ミリーナの愛のお陰……ぐべぼっ!」
「馬鹿なこと言わないで」
 ルークの脳天に振り下ろされた拳。それは先ほどまで囚われの身を演じていた美女、ミリーナのものであった。
「報酬貰って帰るわよ」
「痛て……分かったよ」
 二人は多額の報酬を手にし、ただ広い荒野を後にした。まだ陽は高いが、油断をしていれば、簡単に日が暮れてしまうだろう。最寄の村へは、ここから三時間ほど歩かなければ辿り着かないのだ。
「それにしても、たったこれだけでこんなに貰えるとはな」
「まともな仕事……とは言えないけど、まあ報酬は大きかったわね。ルークもたまには役に立つわ」
「これもお前の愛の……」
「しつこい男は嫌いよ」
「……ごめんなさい」
 彼ら二人は宝探し(トレジャー・ハント)を生業としている。
 ルークとミリーナ。それほど名の知られていないが、その手腕は並の同業者を軽く凌ぐ。
 そんな彼らはたった今、路銀稼ぎの撮影の仕事を終えたばかりである。
 撮影は高性能な――どのように高性能なのかは聞かされなかったが――メモリー・オーブを使っておこなわれた。
 依頼者は「地獄の聖天使」と名乗る謎の集団。撮影した映像は、宣伝か何かに使うらしい。
 仕事はかなり朝早くから始められたが、実際撮影時間はそれほど長くなく、撮り直しはほんの数回であった。これはルークの演技が良かったからであろう。
時間の大部分は、移動と撮影に最適な場所を探すのに使われたのだ。
 やがて村に辿り着いた二人は、宿にチェック・インし、同じ建物の一階の食堂で夕食を摂った。
 食事が終わるとミリーナは――どうやら疲れたらしい――そそくさと二階へ上がっていった。
 残されたルークは、外へ散歩にいくこととにした。


 3
 ルークは散歩中に「地獄の聖天使」に属する男と遭遇したのは、偶然ではあったものの、相手は彼に会いに来る途中だったらしいので、必然とも言い換えられよう。
 村は静寂のヴェールに包まれていた。
 闇と微かな光のカクテル。空はまだ明るさを保っており、その色彩はどこか神秘的で美しいと思えた。
 冷たい風が身に染み込んで来る。火照った身体を癒してくれる。
 太陽が最後の抵抗を見せるこのような時が、彼にとっては最高の時間帯であった。
 そしてしばらく歩いていると、急に背後から声が掛かった。
 ルークさんという声に振り向くと、そこには黒服の男がいた。
「こんばんはルークさん」
「おっ……おう」
 曖昧な返事を送る。それにしても怪しい風体だ。
 実は探していたんですよ……男はルークにそう告げた。
「探してた?」
 男は軽く頷く。
「ええ、少々お話がありまして……」
「話か」
 ルークはしばし考え、
「俺の宿の方で聞こうか」


 5
「で、話してもらおうか」
 宿の一階、食堂のテーブルに二人はついた。すぐさまルークが切り出す。
「分かりました」
 男が頷き、
「……確か、明日はルークさんのお誕生日ではないかと」
 言葉が止まると、ルークは確かな動揺を示していた。
「お前……」
「調べさせて頂きました」
 どうやって調べた? この俺の誕生日を……。
「まあとにかく、お誕生日でしたら当社から一つお祝いの品を……と」
「……祝いの品か。どういったものになるんだ?」
「お気に召すものかと思われますが……」
 黒服の男はそう言って微笑した。
 ルークは熟考の末に、
「……よし、分かった頼むぜ」
「承知致しました」


 6
 真夜中。
 微かな物音によって、ルークはふと目を覚ました。
 夢と現実が溶け合ったまま。思考はうまく働かない。
 それでも、五感はある程度機能しており、扉を叩く音は確かに感知されていた。
 眠気は感じない。ルークは起き上がった。
 扉の方へ導かれるように進む。
 鍵を外し、扉を開いた。
 廊下の冷気が入り込んで来る。睡眠時にかいた汗を冷却する。
 外には誰もいなかった。だが、それを不思議とは思わずに、ルークは廊下へと出る。
 この宿の二階の廊下は一直線に続いている。片方の端に一階への階段、もう片方には屋上への階段が造られている。また両方の側に扉がついており、部屋は合計八つあることとなるようだ。廊下には微かな明かりが灯っている。この地方では使われることの多い魔力の明かりである。
 ルークはこの廊下で、人影を発見することとなった。
 屋上への階段がある方に、幽鬼の如し影が見えた。
 彼を誘うように、影は屋上へと昇ってゆく。ルークは一瞬戸惑った後、後を追った。
 廊下を抜け、階段を昇りきっても、未だ意識ははっきりとしない。
 屋上は長方形の空間であった。隅の方には背の低い手すりがついている。
 闇に覆われた天から、月明かりが振り注いでいる。
 影は彼の正面にいた。距離は随分離れており、ちょうど対岸――、一階への階段がある場所の上部に位置していた。
 ルークはゆっくりとそこへ向かっていった。
 直線状に、半分ほどの距離を進むと、突然影は振り返った。
 その容貌を月が照らす。ルークの瞳に映し出されたのは……
「……ミリーナ」
 フィルターを通して見たかのように、その姿はどこか現実離れしていた。
 その影は、誰もが美女だといえるような顔付きをしていた。
 肌には薄い夜着を纏ったのみ。
 ルークは接近を続ける。
「ルーク」
 浴びせられる囁きは甘い。
「……ルーク、愛してる」


 7
 これは夢なのか?
 夢なのではないのか?
「……ルーク、愛してる」
 宿の屋上でその言葉を囁かれた時、ルークの脳裏に夢という言葉がよぎった。
 すぐに目が覚めてしまうのではないのか。
 嫌だ。それは止めてくれ。
 だが無情にも眩い光が迸り、すべての幻想を洗い流してゆき……


 8
 今、俺はどこにいる?
 冷たい風が吹く。身体の熱を奪ってゆく。
 ここはどこだ?
 闇。
 闇が深く覆っている。
 暗い。
 だがただ暗いわけではなく……
 月。
 月が世界を照らしている。
 今、俺はどこにいる?
 そうだ。宿屋の屋上。
 俺は夢を見ていたんだ。
 短い夢。
 夢を見ていた。
 夢から覚める夢。おかしな夢だった。
「ルーク、愛してる」
 声が掛かった。
 正面に声の主がいた。
(……ミリーナ)
 すでにフィルターは取り払われ、そこにはリアルな実像が浮かんでいた。
 これは現実だ。ルークは確信に至り、
「俺も愛してるぜ」
 目標へと向かっていった。
 そして両手で抱き締める。
 柔らかい感触が伝わって来た。
 顔を覗き込む。
 そして唇を寄せていった。
 熱い口付けを交わす。
(……ミリーナ)
 甘美なる味わい。
 熱が伝わり合う。
 二人を照らす月も恥じらい、翳りを見せた。
(俺は気付いていたんだぜ。……お前の気持ちにな)
 ずっとずっと気付いていた。
 見通していたんだ。
(……本気で愛してるぜ)


 9
 築かれた世界は崩壊した。
「カァァァット!!」
 声が響く。
 夜の静寂は、その大声に強く揺さぶられた。
 背後を振り返り、階段を上がって来た黒服達数人を見て、ルークは唖然とした。
「いやあ、迫真の演技でしたねえ」
 黒服の一人がルークに近付いて、昼間の時のように絶賛を浴びせる。
「…………」
「しっかり撮らせて頂きましたよ。いくらお仕事を引き受けて頂いた方とはいえ、無償でプレゼントを差し上げるわけにはいかないですし」
 ……そういうことか。日付がすでに変わっているのか。
 これは誕生日プレゼントであり、同時に第二の撮影でもあったということなのだろう。
 しかし、そんなことならば一向に構わない。
「それにしても、やはり演技派! ルークさん、その業界でやっていけますよ」
 ルークは平静を手に入れた。
 映像くらい好きに流させてやろうではないか。
 夢ではなく、現実で口付けをすることが出来たのだから。
「それに、ミリーナ役のジェイムズさん。……あなたの演技も最高でしたよ」
「え?」
 ……まさか。
 硬直するルーク。
「ジェイムズさんは、声真似と変装が得意なんですよ」
 そしてルークは崩壊を迎えた。


 10
「……ルーク、愛してる」
 あの時言われたあの台詞を、ルークは今でも覚えている。
 あれは最悪の思い出だった。出来れば夢であって欲しかったと今は思う。


<@><@><@><@><@><@><@><@><@><@>


 こんばんはラントです。
 今回は第五作目になります。
 前回は結構シリアスっぽかったし、今度はがんばって、喜劇的要素を入れたものにしようと思い至りこんな感じになりました。
 実を言いますとミリーナってほとんど書いたことないんですよね。
 ゼルやアメリアは結構書いてますけれど。


 さて次回はフィブリゾ編になります。
 ラストはラストらしいものにしたいと思っています。
 それでは読者の皆様に感謝しつつ……さようなら。


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26837禍福はあざなえる縄のごとしエモーション E-mail 2003/8/26 23:32:43
記事番号26834へのコメント

コメントをつけていたら……再び!
ということで、立て続けレスです。

ルーク編、ありがとうございます。
シリアスな雰囲気を持ちつつ、しっかり不幸(汗)
何となく、ルークとゼルは同じ特性なのかもしれないと思いました。


> 「……ルーク、愛してる」
> あの時言われたあの台詞を、ルークは今でも覚えている。

シリアスな展開……を思わせる台詞です。……それが……ああ……(^_^;)

> ルークとミリーナ。それほど名の知られていないが、その手腕は並の同業者を軽く凌ぐ。
> そんな彼らはたった今、路銀稼ぎの撮影の仕事を終えたばかりである。
> 撮影は高性能な――どのように高性能なのかは聞かされなかったが――メモリー・オーブを使っておこなわれた。
> 依頼者は「地獄の聖天使」と名乗る謎の集団。撮影した映像は、宣伝か何かに使うらしい。

シリアスな展開、そして囚われのミリーナ。一体何が……と思えば、彼らの
宣伝の撮影……(爆)
リナやガウリイ、ゼルのことを考えると、まだマシな関わり方ですよね。

> 仕事はかなり朝早くから始められたが、実際撮影時間はそれほど長くなく、撮り直しはほんの数回であった。これはルークの演技が良かったからであろう。

ミリーナが囚われのヒロイン、助けるのは自分、という設定では、ルークの
やる気ゲージはMAXを軽く越えまくっているでしょうしね(笑)
何より演技の必要がないです(笑)

> ルークは散歩中に「地獄の聖天使」に属する男と遭遇したのは、偶然ではあったものの、相手は彼に会いに来る途中だったらしいので、必然とも言い換えられよう。

彼らの顧客選びの人選は、一体どんなルートから得た情報なのでしょう……。

>「……確か、明日はルークさんのお誕生日ではないかと」
> 言葉が止まると、ルークは確かな動揺を示していた。
>「お前……」
>「調べさせて頂きました」
> どうやって調べた? この俺の誕生日を……。
>「まあとにかく、お誕生日でしたら当社から一つお祝いの品を……と」
>「……祝いの品か。どういったものになるんだ?」
>「お気に召すものかと思われますが……」
> 黒服の男はそう言って微笑した。
> ルークは熟考の末に、
>「……よし、分かった頼むぜ」
>「承知致しました」

プランとしてはまとも、だったのですよね。この時点では。
それにしても……本当に凄い情報力……。さすがゼフィーリア……。
当然、フルネームも知っているんでしょうね。
……実はファミリーネームがスカイウォーカー(爆)とか。(よくあるネタ)

> ルークはゆっくりとそこへ向かっていった。
> 直線状に、半分ほどの距離を進むと、突然影は振り返った。
> その容貌を月が照らす。ルークの瞳に映し出されたのは……
>「……ミリーナ」
> フィルターを通して見たかのように、その姿はどこか現実離れしていた。
> その影は、誰もが美女だといえるような顔付きをしていた。
> 肌には薄い夜着を纏ったのみ。
> ルークは接近を続ける。
>「ルーク」
> 浴びせられる囁きは甘い。
>「……ルーク、愛してる」

不思議で神秘的……ですよね。そして何気に良いムードです。

> これは夢なのか?
> 夢なのではないのか?
>「……ルーク、愛してる」
> 宿の屋上でその言葉を囁かれた時、ルークの脳裏に夢という言葉がよぎった。
> すぐに目が覚めてしまうのではないのか。
> 嫌だ。それは止めてくれ。

ルーク……ミリーナに対しては、普段押しまくっているくせに、いざとなると純情です。
夢なら覚めてほしくないという気分が、伝わります。

> すでにフィルターは取り払われ、そこにはリアルな実像が浮かんでいた。
> これは現実だ。ルークは確信に至り、
>「俺も愛してるぜ」
> 目標へと向かっていった。
> そして両手で抱き締める。
> 柔らかい感触が伝わって来た。
> 顔を覗き込む。
> そして唇を寄せていった。
> 熱い口付けを交わす。
>(……ミリーナ)
> 甘美なる味わい。
> 熱が伝わり合う。
> 二人を照らす月も恥じらい、翳りを見せた。
>(俺は気付いていたんだぜ。……お前の気持ちにな)
> ずっとずっと気付いていた。
> 見通していたんだ。
>(……本気で愛してるぜ)

浸ってますよね……。ルーク、思いっきり幸せを噛みしめてますね〜。

> 築かれた世界は崩壊した。
>「カァァァット!!」
> 声が響く。
> 夜の静寂は、その大声に強く揺さぶられた。
> 背後を振り返り、階段を上がって来た黒服達数人を見て、ルークは唖然とした。

本当に……一体何が、と思いました。
うーん、どこにでもでてくる「地獄の聖天使」……(笑)

>「いやあ、迫真の演技でしたねえ」
> 黒服の一人がルークに近付いて、昼間の時のように絶賛を浴びせる。
>「…………」

しかも、ルークの方は演技じゃないんだけど……(笑)

>「しっかり撮らせて頂きましたよ。いくらお仕事を引き受けて頂いた方とはいえ、無償でプレゼントを差し上げるわけにはいかないですし」
> ……そういうことか。日付がすでに変わっているのか。
> これは誕生日プレゼントであり、同時に第二の撮影でもあったということなのだろう。

一石二鳥というわけですね。確かに、宣伝にはとても良いかも。

> ルークは平静を手に入れた。
> 映像くらい好きに流させてやろうではないか。
> 夢ではなく、現実で口付けをすることが出来たのだから。
>「それに、ミリーナ役のジェイムズさん。……あなたの演技も最高でしたよ」
>「え?」
> ……まさか。
> 硬直するルーク。
>「ジェイムズさんは、声真似と変装が得意なんですよ」
> そしてルークは崩壊を迎えた。

私もルークと一緒に石になりました(笑)一瞬ですが。
確かにさすがにミリーナはOKしないでしょうけれど……よりにもよって男……(笑)
ミリーナじゃなかったとしても、せめて女性ならまだ良かったのでしょうに。
「ミリーナには絶対見せるな、ばらすなーーっ!!」でしょうから。
それなのに、相手は男……。崩壊もしますよね。ルーク、不幸!!

>「……ルーク、愛してる」
> あの時言われたあの台詞を、ルークは今でも覚えている。
> あれは最悪の思い出だった。出来れば夢であって欲しかったと今は思う。

忘れたいのに、ミリーナの顔と声で言われた愛の言葉だけに、忘れられない……。
ふ、不憫な……(ほろり)
ほとんど、「青春の光と陰を弄びやがってぇぇぇぇぇぇぇ!!」という気分かも。

> こんばんはラントです。
> 今回は第五作目になります。
> 前回は結構シリアスっぽかったし、今度はがんばって、喜劇的要素を入れたものにしようと思い至りこんな感じになりました。
> 実を言いますとミリーナってほとんど書いたことないんですよね。
> ゼルやアメリアは結構書いてますけれど。

面白かったですーー!!
まさかこーゆーオチとは思いませんでした。
リナやガウリイやゼルとは違って意味で不幸な誕生日……。
「地獄の聖天使」恐るべし!!
ルークとミリーナは、本当にキャラを掴むのが難しいと思います。
見た目通りではないでしょうし。
リクエストに応えてくださいまして、本当にありがとうございますm(__)m

> さて次回はフィブリゾ編になります。
> ラストはラストらしいものにしたいと思っています。
> それでは読者の皆様に感謝しつつ……さようなら。

ついにラストですね。フィブリゾ編……。楽しみです。
また、アメリア編のコメントで書いてしまったのですが、こちらでも。
「Happy Birthday!!」

それでは、これで失礼します。

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26843Re:至福は転落の前奏曲オロシ・ハイドラント URL2003/8/27 11:36:22
記事番号26837へのコメント

>コメントをつけていたら……再び!
>ということで、立て続けレスです。
おおっ今回も二つ頂けるとは!
本当に幸せな気分です。
>
>ルーク編、ありがとうございます。
>シリアスな雰囲気を持ちつつ、しっかり不幸(汗)
>何となく、ルークとゼルは同じ特性なのかもしれないと思いました。
確かに、結構同じような扱いしているような気がします。
雰囲気というのが、どこか似ているからでしょうかね。
>
>
>> 「……ルーク、愛してる」
>> あの時言われたあの台詞を、ルークは今でも覚えている。
>
>シリアスな展開……を思わせる台詞です。……それが……ああ……(^_^;)
ミステリーで得た「騙し」の手法に今回は正面から挑戦してみました。
どれだけ上手くいっているのか分かりませんけど。
>
>> ルークとミリーナ。それほど名の知られていないが、その手腕は並の同業者を軽く凌ぐ。
>> そんな彼らはたった今、路銀稼ぎの撮影の仕事を終えたばかりである。
>> 撮影は高性能な――どのように高性能なのかは聞かされなかったが――メモリー・オーブを使っておこなわれた。
>> 依頼者は「地獄の聖天使」と名乗る謎の集団。撮影した映像は、宣伝か何かに使うらしい。
>
>シリアスな展開、そして囚われのミリーナ。一体何が……と思えば、彼らの
>宣伝の撮影……(爆)
>リナやガウリイ、ゼルのことを考えると、まだマシな関わり方ですよね。
ここまでは良いお付き合いでした。でも、この仕事のこと自体、油断させるための罠だとか。
>
>> 仕事はかなり朝早くから始められたが、実際撮影時間はそれほど長くなく、撮り直しはほんの数回であった。これはルークの演技が良かったからであろう。
>
>ミリーナが囚われのヒロイン、助けるのは自分、という設定では、ルークの
>やる気ゲージはMAXを軽く越えまくっているでしょうしね(笑)
>何より演技の必要がないです(笑)
確かに素でいっているでしょうね。
>
>> ルークは散歩中に「地獄の聖天使」に属する男と遭遇したのは、偶然ではあったものの、相手は彼に会いに来る途中だったらしいので、必然とも言い換えられよう。
>
>彼らの顧客選びの人選は、一体どんなルートから得た情報なのでしょう……。
永遠の謎かも知れませんね。
どこかで秘密が明らかになるかも知れませんけど。
>
>>「……確か、明日はルークさんのお誕生日ではないかと」
>> 言葉が止まると、ルークは確かな動揺を示していた。
>>「お前……」
>>「調べさせて頂きました」
>> どうやって調べた? この俺の誕生日を……。
>>「まあとにかく、お誕生日でしたら当社から一つお祝いの品を……と」
>>「……祝いの品か。どういったものになるんだ?」
>>「お気に召すものかと思われますが……」
>> 黒服の男はそう言って微笑した。
>> ルークは熟考の末に、
>>「……よし、分かった頼むぜ」
>>「承知致しました」
>
>プランとしてはまとも、だったのですよね。この時点では。
>それにしても……本当に凄い情報力……。さすがゼフィーリア……。
>当然、フルネームも知っているんでしょうね。
>……実はファミリーネームがスカイウォーカー(爆)とか。(よくあるネタ)
フォースの代わりに魔王化で!!
>
>> ルークはゆっくりとそこへ向かっていった。
>> 直線状に、半分ほどの距離を進むと、突然影は振り返った。
>> その容貌を月が照らす。ルークの瞳に映し出されたのは……
>>「……ミリーナ」
>> フィルターを通して見たかのように、その姿はどこか現実離れしていた。
>> その影は、誰もが美女だといえるような顔付きをしていた。
>> 肌には薄い夜着を纏ったのみ。
>> ルークは接近を続ける。
>>「ルーク」
>> 浴びせられる囁きは甘い。
>>「……ルーク、愛してる」
>
>不思議で神秘的……ですよね。そして何気に良いムードです。
ムード造りには結構こだわっている方なので、非常に嬉しいお言葉です。
>
>> これは夢なのか?
>> 夢なのではないのか?
>>「……ルーク、愛してる」
>> 宿の屋上でその言葉を囁かれた時、ルークの脳裏に夢という言葉がよぎった。
>> すぐに目が覚めてしまうのではないのか。
>> 嫌だ。それは止めてくれ。
>
>ルーク……ミリーナに対しては、普段押しまくっているくせに、いざとなると純情です。
>夢なら覚めてほしくないという気分が、伝わります。
こういう風な状況は夢であることが多いですからね。私も夢から覚めて後悔した経験などたくさんあります。今日(昨日?)もそんな夢見ましたし(内容は忘却)。
>
>> すでにフィルターは取り払われ、そこにはリアルな実像が浮かんでいた。
>> これは現実だ。ルークは確信に至り、
>>「俺も愛してるぜ」
>> 目標へと向かっていった。
>> そして両手で抱き締める。
>> 柔らかい感触が伝わって来た。
>> 顔を覗き込む。
>> そして唇を寄せていった。
>> 熱い口付けを交わす。
>>(……ミリーナ)
>> 甘美なる味わい。
>> 熱が伝わり合う。
>> 二人を照らす月も恥じらい、翳りを見せた。
>>(俺は気付いていたんだぜ。……お前の気持ちにな)
>> ずっとずっと気付いていた。
>> 見通していたんだ。
>>(……本気で愛してるぜ)
>
>浸ってますよね……。ルーク、思いっきり幸せを噛みしめてますね〜。
ルーク至福の時……しかし運命とはそれほど優しくはなかった。
>
>> 築かれた世界は崩壊した。
>>「カァァァット!!」
>> 声が響く。
>> 夜の静寂は、その大声に強く揺さぶられた。
>> 背後を振り返り、階段を上がって来た黒服達数人を見て、ルークは唖然とした。
>
>本当に……一体何が、と思いました。
>うーん、どこにでもでてくる「地獄の聖天使」……(笑)
神出鬼没で被害をばら撒く……魔族より先に駆除すべき存在かも?
>
>>「いやあ、迫真の演技でしたねえ」
>> 黒服の一人がルークに近付いて、昼間の時のように絶賛を浴びせる。
>>「…………」
>
>しかも、ルークの方は演技じゃないんだけど……(笑)
?でいっぱいになったでしょうねルーク。
>
>>「しっかり撮らせて頂きましたよ。いくらお仕事を引き受けて頂いた方とはいえ、無償でプレゼントを差し上げるわけにはいかないですし」
>> ……そういうことか。日付がすでに変わっているのか。
>> これは誕生日プレゼントであり、同時に第二の撮影でもあったということなのだろう。
>
>一石二鳥というわけですね。確かに、宣伝にはとても良いかも。
これですべてならば良かったんですけど……
>
>> ルークは平静を手に入れた。
>> 映像くらい好きに流させてやろうではないか。
>> 夢ではなく、現実で口付けをすることが出来たのだから。
>>「それに、ミリーナ役のジェイムズさん。……あなたの演技も最高でしたよ」
>>「え?」
>> ……まさか。
>> 硬直するルーク。
>>「ジェイムズさんは、声真似と変装が得意なんですよ」
>> そしてルークは崩壊を迎えた。
>
>私もルークと一緒に石になりました(笑)一瞬ですが。
>確かにさすがにミリーナはOKしないでしょうけれど……よりにもよって男……(笑)
>ミリーナじゃなかったとしても、せめて女性ならまだ良かったのでしょうに。
多分、男しかいなかったんでしょうね。「地獄の聖天使」は恐らく男だけで構成されていますから。
>「ミリーナには絶対見せるな、ばらすなーーっ!!」でしょうから。
>それなのに、相手は男……。崩壊もしますよね。ルーク、不幸!!
一気に転落。これは人生というものの何分の一かを縮小したものといえなくもないかも。
>
>>「……ルーク、愛してる」
>> あの時言われたあの台詞を、ルークは今でも覚えている。
>> あれは最悪の思い出だった。出来れば夢であって欲しかったと今は思う。
>
>忘れたいのに、ミリーナの顔と声で言われた愛の言葉だけに、忘れられない……。
>ふ、不憫な……(ほろり)
>ほとんど、「青春の光と陰を弄びやがってぇぇぇぇぇぇぇ!!」という気分かも。
これが世界への憎悪の原因だったりして(笑)
>
>> こんばんはラントです。
>> 今回は第五作目になります。
>> 前回は結構シリアスっぽかったし、今度はがんばって、喜劇的要素を入れたものにしようと思い至りこんな感じになりました。
>> 実を言いますとミリーナってほとんど書いたことないんですよね。
>> ゼルやアメリアは結構書いてますけれど。
>
>面白かったですーー!!
ありがとうございます。
>まさかこーゆーオチとは思いませんでした。
>リナやガウリイやゼルとは違って意味で不幸な誕生日……。
やはりルークだとミリーナを利用した罠が最適かなと思いこうなりました。
>「地獄の聖天使」恐るべし!!
本人達の意思は一体どうなのでしょうかねえ? 作者のくせに気になってます。
>ルークとミリーナは、本当にキャラを掴むのが難しいと思います。
>見た目通りではないでしょうし。
冒頭の台詞も、果たしてミリーナのものに見えるのかって本当に不安でした。ミリーナがあんなこと言うものかと思われたら、それでおしまいですし。
>リクエストに応えてくださいまして、本当にありがとうございますm(__)m
いえ、ネタを思いついた時は、思わずニヤリとしてしまいましたし。
>
>> さて次回はフィブリゾ編になります。
>> ラストはラストらしいものにしたいと思っています。
>> それでは読者の皆様に感謝しつつ……さようなら。
>
>ついにラストですね。フィブリゾ編……。楽しみです。
一応、ラブストーリーというものを目指したいと思います。
>また、アメリア編のコメントで書いてしまったのですが、こちらでも。
>「Happy Birthday!!」
おおっ二重でありがとうございます。
>
>それでは、これで失礼します。
本当の本当のありがとうございました。
いつも楽しくて、しかも的確なコメントを頂けて本当に嬉しいです。本当に書いた私より、内容を理解しているんじゃないかって発言もあったりして。
それでは、これで……。

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26847Re:ルークの誕生日(カウントダウン1)びたちょこ 2003/8/27 17:25:07
記事番号26834へのコメント

はじめまして。ルクミリ愛者びたちょこです。
毎回拝見させていただいています。こんどはルーク編ですね。

> 「……ルーク、愛してる」
> あの時言われたあの台詞を、ルークは今でも覚えている。
おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ

> 荒涼とした大地。渇いた風が、砂を乗せて流れてゆく。
> 一人の男がいた。
> 精悍たる顔付きをした、黒く染まった髪を持つ若い男。その腕には一振りの長剣。
ルークさんですね。
> 男は天を仰いだ。黄金色に輝く、焼けるような眼差しの太陽。天空の覇者に勝利を誓い、それから視線を落としてゆく。
> 視線の先に影が映った。
> 砂塵が晴れる。
> その先には男の敵がいた。
> 粗野な風貌の男。手には大刀が握られている。
> そしてその背後には、十字架が立っていた。
> 荒野に聳え立つ一本の十字架。そこには一人の女が磔にされていた。
> 美女と呼べる部類だろう。貴金属の如く輝く銀髪に、透明感のある白い肌。憔悴して見えるが、その表情もまた一種の魅力を迸らせている。
なんておいしいシュチュレーション
> 男は敵を睨んだ。口は沈黙、眼は雄弁。
> だが敵は男を恐れようとはしない。
> 男が動いた。素早い動きだ。
> 風のように荒野を駆け、獲物へと迫る。
> 男は斬撃を放った。
> 火花が散る。
> 大刀は男の一撃を受け止めている。敵はそれを追いかけた。
> すると男は真横へ跳んで、剣をかわす。
> 巧みなステップに惑う暇もなく、敵の剣士は男の一撃を受けて倒れた。
> 血が吹き出る。それが哀れな敗者の身を覆った。
> 勝敗は一瞬にして決した。
> 勝利。男は勝利を手にしたのだ。
> 拘束された美女の顔が綻ぶ。
> 男は再び天を仰ぐ。太陽はまだそこにいた。
かっかこいいですぅ。
>「カァァット!!」
> そして世界は崩壊した。
カット?
>
> 2
>「いやあ、お疲れ様です」
> 黒服を着た男は、剣士を演じた男、ルークに向けてそう言った。
> 十字架に縛り付けられていた美女も、他にいた黒服の男達数人によって解放されていた。
>「本当に良い出来でしたよ」
>「そうか?」
> 黒服の賛辞に対して、ルークは照れ気味な表情で言った。
>「でも、ホントにこれだけで良いのか?」
>「ええ結構ですとも」
> 黒服の男は随分と嬉しそうだ。
>「何せ、そこらのプロよりずっとプロらしいではない演技でしたから」
> するとルークは、
>「いやあ、これも全部ミリーナの愛のお陰……ぐべぼっ!」
>「馬鹿なこと言わないで」
> ルークの脳天に振り下ろされた拳。それは先ほどまで囚われの身を演じていた美女、ミリーナのものであった。
ルークさん・・・・たのしんでたんですねぇ。
>「報酬貰って帰るわよ」
>「痛て……分かったよ」
> 二人は多額の報酬を手にし、ただ広い荒野を後にした。まだ陽は高いが、油断をしていれば、簡単に日が暮れてしまうだろう。最寄の村へは、ここから三時間ほど歩かなければ辿り着かないのだ。
>「それにしても、たったこれだけでこんなに貰えるとはな」
>「まともな仕事……とは言えないけど、まあ報酬は大きかったわね。ルークもたまには役に立つわ」
>「これもお前の愛の……」
>「しつこい男は嫌いよ」
>「……ごめんなさい」
ここがとってもいいです。
> 彼ら二人は宝探し(トレジャー・ハント)を生業としている。
> ルークとミリーナ。それほど名の知られていないが、その手腕は並の同業者を軽く凌ぐ。
> そんな彼らはたった今、路銀稼ぎの撮影の仕事を終えたばかりである。
> 撮影は高性能な――どのように高性能なのかは聞かされなかったが――メモリー・オーブを使っておこなわれた。
> 依頼者は「地獄の聖天使」と名乗る謎の集団。撮影した映像は、宣伝か何かに使うらしい。
またでましたね。つーか宣伝て・・・

> 3
> ルークは散歩中に「地獄の聖天使」に属する男と遭遇したのは、偶然ではあったものの、相手は彼に会いに来る途中だったらしいので、必然とも言い換えられよう。
なんかミステリアス。

>「で、話してもらおうか」
> 宿の一階、食堂のテーブルに二人はついた。すぐさまルークが切り出す。
>「分かりました」
> 男が頷き、
>「……確か、明日はルークさんのお誕生日ではないかと」
> 言葉が止まると、ルークは確かな動揺を示していた。
>「お前……」
>「調べさせて頂きました」
> どうやって調べた? この俺の誕生日を……。
>「まあとにかく、お誕生日でしたら当社から一つお祝いの品を……と」
>「……祝いの品か。どういったものになるんだ?」
>「お気に召すものかと思われますが……」
> 黒服の男はそう言って微笑した。
> ルークは熟考の末に、
>「……よし、分かった頼むぜ」
>「承知致しました」
怪しいふいん気が・・・・
>
> 6
> 真夜中。
> 微かな物音によって、ルークはふと目を覚ました。
> 夢と現実が溶け合ったまま。思考はうまく働かない。
> それでも、五感はある程度機能しており、扉を叩く音は確かに感知されていた。
> 眠気は感じない。ルークは起き上がった。
> 扉の方へ導かれるように進む。
> 鍵を外し、扉を開いた。
> 廊下の冷気が入り込んで来る。睡眠時にかいた汗を冷却する。
> 外には誰もいなかった。だが、それを不思議とは思わずに、ルークは廊下へと出る。
> この宿の二階の廊下は一直線に続いている。片方の端に一階への階段、もう片方には屋上への階段が造られている。また両方の側に扉がついており、部屋は合計八つあることとなるようだ。廊下には微かな明かりが灯っている。この地方では使われることの多い魔力の明かりである。
> ルークはこの廊下で、人影を発見することとなった。
> 屋上への階段がある方に、幽鬼の如し影が見えた。
> 彼を誘うように、影は屋上へと昇ってゆく。ルークは一瞬戸惑った後、後を追った。
> 廊下を抜け、階段を昇りきっても、未だ意識ははっきりとしない。
> 屋上は長方形の空間であった。隅の方には背の低い手すりがついている。
> 闇に覆われた天から、月明かりが振り注いでいる。
> 影は彼の正面にいた。距離は随分離れており、ちょうど対岸――、一階への階段がある場所の上部に位置していた。
> ルークはゆっくりとそこへ向かっていった。
> 直線状に、半分ほどの距離を進むと、突然影は振り返った。
> その容貌を月が照らす。ルークの瞳に映し出されたのは……
>「……ミリーナ」
> フィルターを通して見たかのように、その姿はどこか現実離れしていた。
> その影は、誰もが美女だといえるような顔付きをしていた。
> 肌には薄い夜着を纏ったのみ。
> ルークは接近を続ける。
>「ルーク」
> 浴びせられる囁きは甘い。
>「……ルーク、愛してる」
やー春がききましたねー。(ゼロス口調)
>
> 7
> これは夢なのか?
> 夢なのではないのか?
>「……ルーク、愛してる」
> 宿の屋上でその言葉を囁かれた時、ルークの脳裏に夢という言葉がよぎった。
> すぐに目が覚めてしまうのではないのか。
> 嫌だ。それは止めてくれ。
> だが無情にも眩い光が迸り、すべての幻想を洗い流してゆき……
ルークさん・・・覚めてほしくないんですね・・・
>
> 8
> 今、俺はどこにいる?
> 冷たい風が吹く。身体の熱を奪ってゆく。
> ここはどこだ?
> 闇。
> 闇が深く覆っている。
> 暗い。
> だがただ暗いわけではなく……
> 月。
> 月が世界を照らしている。
> 今、俺はどこにいる?
> そうだ。宿屋の屋上。
> 俺は夢を見ていたんだ。
> 短い夢。
> 夢を見ていた。
> 夢から覚める夢。おかしな夢だった。
>「ルーク、愛してる」
> 声が掛かった。
> 正面に声の主がいた。
>(……ミリーナ)
> すでにフィルターは取り払われ、そこにはリアルな実像が浮かんでいた。
> これは現実だ。ルークは確信に至り、
>「俺も愛してるぜ」
> 目標へと向かっていった。
> そして両手で抱き締める。
> 柔らかい感触が伝わって来た。
> 顔を覗き込む。
> そして唇を寄せていった。
> 熱い口付けを交わす。
>(……ミリーナ)
> 甘美なる味わい。
> 熱が伝わり合う。
> 二人を照らす月も恥じらい、翳りを見せた。
>(俺は気付いていたんだぜ。……お前の気持ちにな)
> ずっとずっと気付いていた。
> 見通していたんだ。
>(……本気で愛してるぜ)
かっこいいですね。でもすこし自分によってませんか。
>
> 9
> 築かれた世界は崩壊した。
>「カァァァット!!」
へ?カット?
> 声が響く。
> 夜の静寂は、その大声に強く揺さぶられた。
> 背後を振り返り、階段を上がって来た黒服達数人を見て、ルークは唖然とした。
>「いやあ、迫真の演技でしたねえ」
> 黒服の一人がルークに近付いて、昼間の時のように絶賛を浴びせる。
>「…………」
>「しっかり撮らせて頂きましたよ。いくらお仕事を引き受けて頂いた方とはいえ、無償でプレゼントを差し上げるわけにはいかないですし」
> ……そういうことか。日付がすでに変わっているのか。
> これは誕生日プレゼントであり、同時に第二の撮影でもあったということなのだろう。
> しかし、そんなことならば一向に構わない。
>「それにしても、やはり演技派! ルークさん、その業界でやっていけますよ」
> ルークは平静を手に入れた。
> 映像くらい好きに流させてやろうではないか。
> 夢ではなく、現実で口付けをすることが出来たのだから。
>「それに、ミリーナ役のジェイムズさん。……あなたの演技も最高でしたよ」
>「え?」
> ……まさか。
> 硬直するルーク。
>「ジェイムズさんは、声真似と変装が得意なんですよ」
> そしてルークは崩壊を迎えた。
不幸ですねぇ。けど男でよかったです。
ルークさんがミリ−ナさん以外にそういうことするのは嫌ですし。
>
> 10
>「……ルーク、愛してる」
> あの時言われたあの台詞を、ルークは今でも覚えている。
> あれは最悪の思い出だった。出来れば夢であって欲しかったと今は思う。
みごとなオチでした。
>
><@><@><@><@><@><@><@><@><@><@>
>
>
> こんばんはラントです。
> 今回は第五作目になります。
> 前回は結構シリアスっぽかったし、今度はがんばって、喜劇的要素を入れたものにしようと思い至りこんな感じになりました。
> 実を言いますとミリーナってほとんど書いたことないんですよね。
> ゼルやアメリアは結構書いてますけれど。
よかったですぅ。
>
> さて次回はフィブリゾ編になります。
> ラストはラストらしいものにしたいと思っています。
> それでは読者の皆様に感謝しつつ……さようなら。
楽しみにしています。
>

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26854Re:ルークの誕生日(カウントダウン1)オロシ・ハイドラント URL2003/8/27 22:14:23
記事番号26847へのコメント

>はじめまして。ルクミリ愛者びたちょこです。
はじめまして。オールカップリング愛者(?)ラントです。
>毎回拝見させていただいています。こんどはルーク編ですね。
読んでくださって大変嬉しく思います。
>
>> 「……ルーク、愛してる」
>> あの時言われたあの台詞を、ルークは今でも覚えている。
>おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ
実は恐ろしい事実が隠されていたり……
>
>> 荒涼とした大地。渇いた風が、砂を乗せて流れてゆく。
>> 一人の男がいた。
>> 精悍たる顔付きをした、黒く染まった髪を持つ若い男。その腕には一振りの長剣。
>ルークさんですね。
そうなります。シリアスに書かれていると思います。
>> 男は天を仰いだ。黄金色に輝く、焼けるような眼差しの太陽。天空の覇者に勝利を誓い、それから視線を落としてゆく。
>> 視線の先に影が映った。
>> 砂塵が晴れる。
>> その先には男の敵がいた。
>> 粗野な風貌の男。手には大刀が握られている。
>> そしてその背後には、十字架が立っていた。
>> 荒野に聳え立つ一本の十字架。そこには一人の女が磔にされていた。
>> 美女と呼べる部類だろう。貴金属の如く輝く銀髪に、透明感のある白い肌。憔悴して見えるが、その表情もまた一種の魅力を迸らせている。
>なんておいしいシュチュレーション
ルークは燃えるでしょうね。
>> 男は敵を睨んだ。口は沈黙、眼は雄弁。
>> だが敵は男を恐れようとはしない。
>> 男が動いた。素早い動きだ。
>> 風のように荒野を駆け、獲物へと迫る。
>> 男は斬撃を放った。
>> 火花が散る。
>> 大刀は男の一撃を受け止めている。敵はそれを追いかけた。
>> すると男は真横へ跳んで、剣をかわす。
>> 巧みなステップに惑う暇もなく、敵の剣士は男の一撃を受けて倒れた。
>> 血が吹き出る。それが哀れな敗者の身を覆った。
>> 勝敗は一瞬にして決した。
>> 勝利。男は勝利を手にしたのだ。
>> 拘束された美女の顔が綻ぶ。
>> 男は再び天を仰ぐ。太陽はまだそこにいた。
>かっかこいいですぅ。
どうもありがとうございます。
雰囲気にどうにか心掛けてみました。
>>「カァァット!!」
>> そして世界は崩壊した。
>カット?
すべてを虚構に変えてしまう恐怖の言葉。
>>
>> 2
>>「いやあ、お疲れ様です」
>> 黒服を着た男は、剣士を演じた男、ルークに向けてそう言った。
>> 十字架に縛り付けられていた美女も、他にいた黒服の男達数人によって解放されていた。
>>「本当に良い出来でしたよ」
>>「そうか?」
>> 黒服の賛辞に対して、ルークは照れ気味な表情で言った。
>>「でも、ホントにこれだけで良いのか?」
>>「ええ結構ですとも」
>> 黒服の男は随分と嬉しそうだ。
>>「何せ、そこらのプロよりずっとプロらしいではない演技でしたから」
>> するとルークは、
>>「いやあ、これも全部ミリーナの愛のお陰……ぐべぼっ!」
>>「馬鹿なこと言わないで」
>> ルークの脳天に振り下ろされた拳。それは先ほどまで囚われの身を演じていた美女、ミリーナのものであった。
>ルークさん・・・・たのしんでたんですねぇ。
そりゃあまあ。
>>「報酬貰って帰るわよ」
>>「痛て……分かったよ」
>> 二人は多額の報酬を手にし、ただ広い荒野を後にした。まだ陽は高いが、油断をしていれば、簡単に日が暮れてしまうだろう。最寄の村へは、ここから三時間ほど歩かなければ辿り着かないのだ。
>>「それにしても、たったこれだけでこんなに貰えるとはな」
>>「まともな仕事……とは言えないけど、まあ報酬は大きかったわね。ルークもたまには役に立つわ」
>>「これもお前の愛の……」
>>「しつこい男は嫌いよ」
>>「……ごめんなさい」
>ここがとってもいいです。
ここは何度か修正を加えてみたりした場所だったりします。お気に召していただいて、またまた嬉しいです。
>> 彼ら二人は宝探し(トレジャー・ハント)を生業としている。
>> ルークとミリーナ。それほど名の知られていないが、その手腕は並の同業者を軽く凌ぐ。
>> そんな彼らはたった今、路銀稼ぎの撮影の仕事を終えたばかりである。
>> 撮影は高性能な――どのように高性能なのかは聞かされなかったが――メモリー・オーブを使っておこなわれた。
>> 依頼者は「地獄の聖天使」と名乗る謎の集団。撮影した映像は、宣伝か何かに使うらしい。
>またでましたね。つーか宣伝て・・・
>
>> 3
>> ルークは散歩中に「地獄の聖天使」に属する男と遭遇したのは、偶然ではあったものの、相手は彼に会いに来る途中だったらしいので、必然とも言い換えられよう。
>なんかミステリアス。
出会うべくして出会った。そしてそれが……
>
>>「で、話してもらおうか」
>> 宿の一階、食堂のテーブルに二人はついた。すぐさまルークが切り出す。
>>「分かりました」
>> 男が頷き、
>>「……確か、明日はルークさんのお誕生日ではないかと」
>> 言葉が止まると、ルークは確かな動揺を示していた。
>>「お前……」
>>「調べさせて頂きました」
>> どうやって調べた? この俺の誕生日を……。
>>「まあとにかく、お誕生日でしたら当社から一つお祝いの品を……と」
>>「……祝いの品か。どういったものになるんだ?」
>>「お気に召すものかと思われますが……」
>> 黒服の男はそう言って微笑した。
>> ルークは熟考の末に、
>>「……よし、分かった頼むぜ」
>>「承知致しました」
>怪しいふいん気が・・・・
傍から見ると、すこぶる怪しいでしょうね。
>>
>> 6
>> 真夜中。
>> 微かな物音によって、ルークはふと目を覚ました。
>> 夢と現実が溶け合ったまま。思考はうまく働かない。
>> それでも、五感はある程度機能しており、扉を叩く音は確かに感知されていた。
>> 眠気は感じない。ルークは起き上がった。
>> 扉の方へ導かれるように進む。
>> 鍵を外し、扉を開いた。
>> 廊下の冷気が入り込んで来る。睡眠時にかいた汗を冷却する。
>> 外には誰もいなかった。だが、それを不思議とは思わずに、ルークは廊下へと出る。
>> この宿の二階の廊下は一直線に続いている。片方の端に一階への階段、もう片方には屋上への階段が造られている。また両方の側に扉がついており、部屋は合計八つあることとなるようだ。廊下には微かな明かりが灯っている。この地方では使われることの多い魔力の明かりである。
>> ルークはこの廊下で、人影を発見することとなった。
>> 屋上への階段がある方に、幽鬼の如し影が見えた。
>> 彼を誘うように、影は屋上へと昇ってゆく。ルークは一瞬戸惑った後、後を追った。
>> 廊下を抜け、階段を昇りきっても、未だ意識ははっきりとしない。
>> 屋上は長方形の空間であった。隅の方には背の低い手すりがついている。
>> 闇に覆われた天から、月明かりが振り注いでいる。
>> 影は彼の正面にいた。距離は随分離れており、ちょうど対岸――、一階への階段がある場所の上部に位置していた。
>> ルークはゆっくりとそこへ向かっていった。
>> 直線状に、半分ほどの距離を進むと、突然影は振り返った。
>> その容貌を月が照らす。ルークの瞳に映し出されたのは……
>>「……ミリーナ」
>> フィルターを通して見たかのように、その姿はどこか現実離れしていた。
>> その影は、誰もが美女だといえるような顔付きをしていた。
>> 肌には薄い夜着を纏ったのみ。
>> ルークは接近を続ける。
>>「ルーク」
>> 浴びせられる囁きは甘い。
>>「……ルーク、愛してる」
>やー春がききましたねー。(ゼロス口調)
しかしそれは偽りの春だということに、ルークはまだ気付いていないのであった。
>>
>> 7
>> これは夢なのか?
>> 夢なのではないのか?
>>「……ルーク、愛してる」
>> 宿の屋上でその言葉を囁かれた時、ルークの脳裏に夢という言葉がよぎった。
>> すぐに目が覚めてしまうのではないのか。
>> 嫌だ。それは止めてくれ。
>> だが無情にも眩い光が迸り、すべての幻想を洗い流してゆき……
>ルークさん・・・覚めてほしくないんですね・・・
そりゃあもう。覚めて欲しくない夢って結構あるものですから。
>>
>> 8
>> 今、俺はどこにいる?
>> 冷たい風が吹く。身体の熱を奪ってゆく。
>> ここはどこだ?
>> 闇。
>> 闇が深く覆っている。
>> 暗い。
>> だがただ暗いわけではなく……
>> 月。
>> 月が世界を照らしている。
>> 今、俺はどこにいる?
>> そうだ。宿屋の屋上。
>> 俺は夢を見ていたんだ。
>> 短い夢。
>> 夢を見ていた。
>> 夢から覚める夢。おかしな夢だった。
>>「ルーク、愛してる」
>> 声が掛かった。
>> 正面に声の主がいた。
>>(……ミリーナ)
>> すでにフィルターは取り払われ、そこにはリアルな実像が浮かんでいた。
>> これは現実だ。ルークは確信に至り、
>>「俺も愛してるぜ」
>> 目標へと向かっていった。
>> そして両手で抱き締める。
>> 柔らかい感触が伝わって来た。
>> 顔を覗き込む。
>> そして唇を寄せていった。
>> 熱い口付けを交わす。
>>(……ミリーナ)
>> 甘美なる味わい。
>> 熱が伝わり合う。
>> 二人を照らす月も恥じらい、翳りを見せた。
>>(俺は気付いていたんだぜ。……お前の気持ちにな)
>> ずっとずっと気付いていた。
>> 見通していたんだ。
>>(……本気で愛してるぜ)
>かっこいいですね。でもすこし自分によってませんか。
確かに。でもまあそれもルークらしいかと。
>>
>> 9
>> 築かれた世界は崩壊した。
>>「カァァァット!!」
>へ?カット?
急にこれを言わせることによって、驚かせるように心掛けてみました。どれだけうまくいってるかな。
>> 声が響く。
>> 夜の静寂は、その大声に強く揺さぶられた。
>> 背後を振り返り、階段を上がって来た黒服達数人を見て、ルークは唖然とした。
>>「いやあ、迫真の演技でしたねえ」
>> 黒服の一人がルークに近付いて、昼間の時のように絶賛を浴びせる。
>>「…………」
>>「しっかり撮らせて頂きましたよ。いくらお仕事を引き受けて頂いた方とはいえ、無償でプレゼントを差し上げるわけにはいかないですし」
>> ……そういうことか。日付がすでに変わっているのか。
>> これは誕生日プレゼントであり、同時に第二の撮影でもあったということなのだろう。
>> しかし、そんなことならば一向に構わない。
>>「それにしても、やはり演技派! ルークさん、その業界でやっていけますよ」
>> ルークは平静を手に入れた。
>> 映像くらい好きに流させてやろうではないか。
>> 夢ではなく、現実で口付けをすることが出来たのだから。
>>「それに、ミリーナ役のジェイムズさん。……あなたの演技も最高でしたよ」
>>「え?」
>> ……まさか。
>> 硬直するルーク。
>>「ジェイムズさんは、声真似と変装が得意なんですよ」
>> そしてルークは崩壊を迎えた。
>不幸ですねぇ。けど男でよかったです。
>ルークさんがミリ−ナさん以外にそういうことするのは嫌ですし。
確かに、そんな考え方も出来なくもないですね。
ルークが不幸なのには変わりないですけど。
>>
>> 10
>>「……ルーク、愛してる」
>> あの時言われたあの台詞を、ルークは今でも覚えている。
>> あれは最悪の思い出だった。出来れば夢であって欲しかったと今は思う。
>みごとなオチでした。
ありがとうございます。
最初に浮かんだオチが今一つ弱くて、色々考えている内にこんな風になりました。
>>
>><@><@><@><@><@><@><@><@><@><@>
>>
>>
>> こんばんはラントです。
>> 今回は第五作目になります。
>> 前回は結構シリアスっぽかったし、今度はがんばって、喜劇的要素を入れたものにしようと思い至りこんな感じになりました。
>> 実を言いますとミリーナってほとんど書いたことないんですよね。
>> ゼルやアメリアは結構書いてますけれど。
>よかったですぅ。
誕生日シリーズの中で、この回はかなり気に入っていたりします。
>>
>> さて次回はフィブリゾ編になります。
>> ラストはラストらしいものにしたいと思っています。
>> それでは読者の皆様に感謝しつつ……さようなら。
>楽しみにしています。
まことに嬉しいお言葉です。
>>
>
ご感想をいただけて本当に嬉しく思い、非常に感謝しています。
どうもありがとうございました。

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26852フィブリゾの誕生日(ハッピーバースデイ)オロシ・ハイドラント URL2003/8/27 21:54:13
記事番号26780へのコメント



「ヤケルが消えたとき、それは絶望的につらかったわ。どう説明したらいいのか、あたしにはうまくいえない。あたしったら、さっきからそんなふうにことばが見つからないだのうまい表現がないだの、そんなことばっかりいってるけど。でも、ほんとうだからさ。ほんとうにほんとうだからさ。ただね、あたしはね、ヤケルには感謝しているの。あたしは世界なんてものがフィクションだってことを教えてもらったもの。ヤケルに、あたしのまわりにあるのが莫迦げた書き割りだって教えてもらったもの。きっとヤケルに――あの日、あの上野駅で――遇わなかったら、あたしは知らないでいたよ。どんな感情にも順うことができないでいたよ。ヤケルと暮らさなかったら、あたしが解放されることはなかったんだって、思うんだ。
 (中略)
 あたしは自由になったの。ヤケルと出遇たおかげで。精神が、自由になったの。いまのあたしはつよいし、いまのあたしは解き放たれている。あたしは、もう、何者からも威かされない。
 あたしを威かすものがあったら?
 あたしは、それを滅ぼすわ。
 ありがとう。ヤケルのお姉さんのあなた。もしもヤケルに出会えることがあったら、つたえてね。あたしには悔いはないって。あたしには、きっと無念なんてないって」
 引用:「沈黙」古川日出男


 1
 僕にとって、その日は特別な一日であった。
 僕は朝起きて身内と一緒に朝食を摂り、それから宮殿の屋上へ向かった。
 朝の空気は清々しい。僕の気分は随分と良くなった。
 蒼い空は綺麗だ。滅びを撒くだけの魔族にも、空の美しさを讃える権利はあると思う。
 それにしても変わらない。
 神魔戦争という大規模な戦いが終わった時は、その戦争に負けないくらい大規模な改革がおこなわれたのだが、それ以降は同じような毎日が続くだけ。
 たまに神々との戦いはあるけれど、そんなものは滅多にない。
 あれからダラダラと千年の年日が流れた。
 それでも何の変化もないのだから、大魔族王国連合管理界域――魔界というのは、非常につまらない場所だと思う。
 だからこそ友人というものが必要である。
 しかし高位魔族である僕には、友人というものが限られている。
 友人というのは同程度の階級の魔族とほとんど決まりきっているのだ。これは規則ではなく、心理的な問題である。
 それでも寂しいとは思わない。僕は楽しく暮らしている。


 2
 私は決心した。
 冥王様にプレゼントを届けるのだ。
 お誕生日プレゼント。
 冥王様のお誕生日を覚えている魔族なんて私くらいしかいないと思う。戦後の改革で魔族社会での自由度は高くなったが、誕生日祝いというのはまだ誰もした者がいない。
 もしかしたら拒絶されてしまうかも知れない。
 でももう決めたことだ。どんな結果になっても良い。ただ逃げてはいけない。
 午前十一時、私は冥王様の元へ向かった。


 3
 僕は彼女が好きだ。
 覇王将軍シェーラ。それほど出会ったことはない。話をしたことはあるが、深い仲ではありえない。
 彼女は僕の想いを知らないだろう。
 僕のことなんか眼中にないのかも知れない。
 でも僕は彼女が大好きだ。
 本当に愛している。
 魔族に愛というものは必要ないと思っていたけれど、それはどうやら違ったようだ。
 僕は彼女を愛しているのだから。
 いつか告白しよう。
 この愛を彼女に伝えよう。
 こんな子供の姿をした僕を好きになってくれるかは分からないが、それでも伝えてみたいと思う。
 迷惑がられるかも知れないな。そうなったらすぐに愛を捨てよう。その覚悟はある。
 ……ん? 誰か来た。


 4
 私は嬉しかった。
 冥王様はプレゼントを受け取ってくれた。
 受け取ってくれただけだが、それだけで充分に嬉しい。
 私は幸せだ。
「シェーラ、ありがとう」
 笑顔でそう言ってくれた。
 愛らしくて、強くて、誇り高い冥王様。
 今度は私の想いを告げたい。
 私は冥王様が好き。愛している。
 この病から早く解放されたい。
 でも、急にそんなことを言っても、冥王様の機嫌を損ねるだけだろう。
 私は一度、覇王宮に帰ることにした。
 覇王宮は険しい山岳地帯に立っている。これは雰囲気造りでしかないのだが……。
 部屋に戻る途中に出会った覇王様に挨拶した時も、私は幸せそうな表情をしていたと思う。


 5
 午後十一時半、僕は自室に戻り、もらったチョコレートを食べていた。
 やはり手作りチョコレートは美味しい。
 食べ終えた後、読書を始める。
 新書判の小説、タイトルは「愛と専制主義」。
 すでに半分ほど読んである。かなり面白い本だと思う。
 だが三十ページほど読み進んだ頃、突然禁断症状に襲われた。
 シェーラへの熱い想い。それはすでに異常なほどに膨れ上がっている。
 最近、こんな状態が発作的に起こるのだ。
 これでは変態ではないか。
 早く想いを伝えたい。
 でも、いざ伝えるとなると躊躇ってしまう。
 いや、それではいけない。
 今日こそ想いを伝えるのだ。
 ……やっぱり明日にしよう。
 と思い掛けたが……それはダメだ!
 今日出来ることは今日おこなうべきだ。
 後回しは絶対にいけない。
 やるのだ。
 今日こそ絶対に告白するのだ。
 僕はやる。
 僕はやるのだ。
 覇王宮へ向かおう。そして告白するのだ。
 シェーラ、待っていて。
 僕は空間を渡り、宮殿を後にした。


 6
 戦後、この世界の景観は大きく変わった。
 かつてはこの蒼い空などなく、ただ虚無に近い空間だけがあった。
 そして魔族社会も変わった。自由になった。
 魔王シャブラニグドゥ様が七つに断ち切られ、地に堕とされたため、かつての腹 心の部下である冥王様、獣王様、海王様、魔竜王様、そして私の主である覇王様の五人によって統治されることとなった。
魔界――大魔族王国連合管理界域。この名は、五人の王様がそれぞれの地区を別々に治めており、そして五つの王国が結びついて一つとなっているからこそつけられた名前だ。
 今、この世界の頂点に立つのは五人の王様。そして彼らには直属の部下がいる。
 冥王軍――冥神官ノーチェ、冥将軍アマネセル。
 獣王軍――獣神官ゼロス。
 海王軍――海王将軍スィヤーフ、海王神官セフィード。
 魔竜王軍――竜神官ラルターク、竜将軍ラーシャート。
 我が軍――覇王女ネージュ、覇王神官ダイ、覇王将軍ノースト、覇王神官グラウ、そして私、覇王将軍シェーラ。
 この十七人が最高位の魔族と言える。
 その内、私とのそれなりの交友関係があるのは身内を除けば、アマネセルさんと、ゼロスと、セフィード君と、ラルターク殿くらい。
 誰にでも優しいアマネセルさん。いつも楽しそうなゼロス。数回しか話をしたことはないけれど、子供の姿をしていて可愛いセフィード君。知識豊富なラルターク殿。
 ……たった四人であるが、その誰もが良い人だと思う。
 身内ではダイ兄様やノースト兄様には、優しくしてもらっている。ネージュ姉様は覇王様やノースト兄様に占領されているし、グラウ兄様は自己中心的であまり構ってもらえていない。もっとも、すでに彼らに甘えるような歳ではないが。
 私は今、自室で本を読んでいる。
 本のタイトルは「愛と専制主義」。一国の王に片想いする女性の物語である。
非常に面白い小説だ。筋が特別良いわけではないが、極上の文章は琴線に触れ、心を激しく揺さぶる。
 冥王様は読んでくれるかな?


 7
 僕は今、覇王宮の前に立っていた。
 僕の住む華やかな宮殿とは違い、外観は強固な造りをしている。背は随分と高い。
 僕は勇気を出して中へと入った。
 僕ほどの高位魔族ならば、すんなりと目的の場所に通してもらえるだろう。
 僕はシェーラの部屋へ向かう。
 すでにプレゼントは用意してある。
 花である。陳腐だが、これが最適だと僕は思う。
 真っ白な百合。彼女はこれを気に入ってくれるだろうか。
 僕は、シェーラの部屋の扉の前に立った。
 震える心に合わせて、身体も小刻みに揺れる。
 僕はドアのノブへと手を伸ばした。
 だが手は思い通りには動かない。
 ああ、天にも昇りそうな気分だ。いや地獄に堕ちそうな気分かも。
 緊張に汗が滲み出ている。熱い海に溺れてしまいそうだ。
 だが勇気を振り絞る。逃げることはもう出来ないのだ。
 決めたことだ。絶対にやる。
 僕は必ず想いを伝えるのだ。
 シェーラ。今いくからね。
 僕は思い切ってノブを回した。
 ……鍵が掛かっている。って当たり前か。
 ノックに切り替える。
 すぐにその扉は開いた。


 8
 私が冥王様を初めて好きになったのは、戦場でのことだった。
 あれは冥王軍と覇王軍の二軍が、高位神族ティディアスの軍との戦いの時、蛮勇ティディアスの軍は単なる力押しによって、魔族一の戦略家である冥王様と、魔族一の戦術家である覇王様の軍を圧倒していた。
 前半はまともな戦いを繰り広げていたが、後半になって乱戦状態に陥いり、最強の神族ティディアスは猛威を振るった。
 ティディアスの標的にされた私は、滅びを覚悟した。
 しかし冥王様は、この私を庇ってくれたのである。
 冥王様は深手を負った。あの冥王様が……。
 争いが最終局面に達した時には、すでにティディアスと冥王様の一騎討ち状態になっていた。
 冥王様はティディアスを撃退することに成功したが、兵の消耗は圧倒的に魔族軍の方が大きかった。
 あの戦いは完全な敗北だと冥王様は私に言った。
 私は必死で謝った。……私を庇ったから。私が足手纏いであったから。
 すると冥王様は、「あそこで君が滅んでいたら、戦況はもっと悪くなっていたよ」と言ってくれた。
 凄く嬉しかった。何も言わなかったが、本当に嬉しかった。
 もっと冥王様の期待に答えたい。
 本のページをめくる手を止め、そんなことを考えていた私の耳に、訪問者があるとの連絡があったのはその時であった。
 それからしばらくして、ノックの音が聴こえた。


 9
 扉の内側の世界にはシェーラがいた。
 緊張感が膨れ上がる。
 僕は彼女に挨拶をした。
 彼女も僕に言葉を返して来た。
 僕は中に招かれることとなった。
 嬉しかった。でも緊張は未だ解けない。
 僕はぎこちない歩き方で、部屋の中へと入っていった。
 中は綺麗な造りであった。少し寂しい気もするが、品の良さを感じさせる。
 部屋は、横長の直方体の空間であった。赤字に黄色で唐草模様を描いた絨毯が敷かれている。
奥は一面、窓になっており、美しい景観を見下ろすことが出来る。
 入り口は部屋の左隅にあり、右側にすぐガラス製のテーブルが置かれている。さらに右側には冷蔵庫があった。
 奥の方の右隅には、天蓋つきの寝台があった。
 僕達二人は、ガラスのテーブルを挟んで向かい合う。
 座る椅子は高級木材を使ったもので、柔らかいクッションが敷かれている。
 沈黙を破る一言は、シェーラの方が切り出した。
「久しぶりね」
「うん。久しぶり」
 僕は言葉を返した。
「元気だった?」
 それからさらに訊く。
「ええ。……セフィード君の方はどう?」
「兄様が最近うるさくて疲れるけど、そうじゃない時は元気だよ」
 兄様とは、海王将軍スィヤーフのいう馬鹿のことである。
 シェーラは微かに笑った。
 それからしばらく会話が続く。くだらない話だ。なかなか本題が切り出せない。
 焦りが膨らむ。拡張を続ける宇宙のように。
 話はどんどん切り替わる。
 最近の出来ごとや、上司についての話。
「今日、海王様にチョコレートもらったんだ」
「え? バレンタインじゃないのに?」
 ちなみにバレンタインとは、バレンタイン・デーの略で、とある日に男性が女性にチョコレートをプレゼントする神族の風習である。当然、僕らはそんなことはしない。
「海王様はお菓子作りに凝っているんだよ。たまに作って僕に食べさせてくれる。すんごく美味しいんだ」
「ふふっ。良い家族ね」
 ああ早くしないと。
 さらに話題は、小説「愛と専制主義」のものに移った。
「あれ? シェーラも「愛専」読んでるんだ?」
「え? もしかしてセフィード君も?」
「良い本だよねえ。僕はまだ半分ちょいしか読んでないけど」
「私もよ。今、二百五十ページ目くらい」
「そうかあ……僕は序盤の竜と勇者が戦うシーンが好きだなあ。迫力があって」
「ジェーヌと、その女性を好きになったローレンスの会話シーンが私は好きね」
「あっあそこは僕も好きだよ。結局ローレンスはフラれたんだよね」
「でも諦めてないみたいだわ」
「どうなるのか気になるよね」
「そうね」
 チャンスはどうにも訪れない。
 やがてシェーラはこう切り出した。
「あっ、そろそろ私……」
 一時の別れ。僕にはそれが永遠のものに思えた。
 これはまずい。
「あっ……待って」
 僕は慌てて、言葉を発した。
「何?」
 僕は、虚空から白百合を取り出す。
 僕の大好きな真っ白な百合。それを彼女に手渡して、
「僕は……君のことが好きなんだ」
「…………」
 シェーラは沈黙。
「ずっと好きだったんだ。シェーラ愛してる。……つき合おう」
「…………」
 シェーラは動かない。
「理屈じゃない。僕は君を愛していたんだ。好きだ。好きなんだ。たまらないほど、僕は君が好きなんだ。僕じゃ不足か? こんな子供の姿は嫌かい?」
 あまりにもしつこいかも知れない。でもこれが僕の本音だ。
 シェーラに伝わってくれると良い。
 伝わってくれ。
 今の僕は、君がいないと生きてゆけない。
「……ごめんなさい」
 だが無情な返事が返って来た。


 10
「ごめんなさい」
 その言葉は、まさしく私の真意である。
 セフィード君は、悪い人だとは思わない。趣味も結構合うし、明るくて優しくて好きだ。
 でも、私には冥王様がいる。冥王様がいるのだ。
 「愛と専制主義」の登場人物の一人、ジェーヌは国王に片想い抱いていた。ローレンスはそんな彼女を好きになった。
 ローレンスはジェーヌに想いを打ち明けた。
 しかしジェーヌは、国王を想うがゆえに、ローレンスを拒絶した。
 しつこく口説いて来るローレンスを罵倒した。
 私はジェーヌではない。
 ジェーヌは国王への片想いが知れるのを嫌い、ローレンスを拒絶した。
 私は違う。
 セフィード君の嫉妬の矛先が、冥王様に向かないように。そのために私はセフィード君を拒絶した。
 ……すべては冥王様のために。
 でも、セフィード君のくれた百合は決して捨てはしない。
 これが彼の想いなのだ。
 私はそれを受け止めよう。
 たとえ私を想ってくれている者が他にいようとも、私は冥王様だけが好きだという意思の表明として。
「ごめんなさい」
 それが私の本音だ。
 もう一度言う。
 私は冥王様が好き。愛している。


 11
 僕は崩壊した。
 愛を失った。
 ……シェーラ。君に拒絶された。
 僕は一度滅びた。
 でもすぐに立ち直れそうだ。
 「愛と専制主義」が僕という存在を再構成してくれた。
 そうだ。僕は国王になりたい。
 ジェーヌに好かれた王様。
 暴走して悪政に走っても、なおジェーヌに好かれ続けた王様。
 僕もそんな支配者になりたい。
 彼女のためではない。すでに愛を失ったのだからそれは違う。
 僕は自分のために絶対なる支配者となる。
 力が欲しいのだ。
 力。
 冥王様のような力。
 僕はそれに憧れる。
 狂っているのかも知れない。
 でも、僕は力が欲しい。


 その日は僕の特別な日。僕が生まれ変わった特別な日である。


 12
 あれから四千年ほどの時が流れて、冥王様は混沌の海へと還った。
 その日はちょうど、フィブリゾ様の誕生日であった。
 私は泣いた。
 九百九十九度の灼熱の奔流に飲まれ、私の肉体が溶けてゆくようだった。


 私は今でもフィブリゾ様を愛している。
 そして、これからもずっと愛し続けるのだと決めている。
 

<@><@><@><@><@><@><@><@><@><@>


 ついに誕生日を迎えました。こんばんはラントです。
 今回の誕生日編、いかがでしたでしょうか。
 多分、すべての皆様がお気に召すものではないと思います。
 ですが、紛れもないフィブシェラ小説だと私は思います。
 ちなみに私の愚作、「カオティック・サーガ――神魔英雄伝説――」のキャラクタを使用させて頂きました。そちらを読む必要は全くないのですが、こちらは一応「神魔英雄伝説」のサイド・ストーリーでもあったりします。


 ところで、この誕生日シリーズも、すでに原稿用紙百枚分にも達しました。
 これで一時の完結となります。
 復活はありえなくないと思います。気に入ってしまいましたから。


 それではこれで失礼致します。
 今まで応援してくださった皆様、本当にどうもありがとうございました。

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26855私の誕生日(あとがき)オロシ・ハイドラント URL2003/8/27 22:32:16
記事番号26780へのコメント

 ここには私がいた。
 私がいた。
 だが私は消え、新たな私がここに生まれた。
 六日間常に六つの焔に焼かれ続け、ついに燃え尽きてしまった私は、私の中でのみ生き続けている。
 ここには私がいた。
 そして私がいる。
 私は新たな存在として、新たな道を歩んでゆく。
 その先に見えるのは、未来への恐怖。
 それでも私は歩んでゆく。
 一筋の輝きを幸せと信じて。


 颪月夜ハイドラントことオロシ・ハイドラント

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26856お疲れ様でしたどら・ゴン 2003/8/28 09:58:03
記事番号26855へのコメント

お疲れ様でした。
未来の恐怖・・・誰しもが持つ、存在自体が持つ恐怖です。
うちの兄貴は、「未来とは、確定できない物である」とかほざいてますが、今回はそれも当たってるかな?と思います。
誰しもが、一秒後には死んでしまう可能性を持っていれば、二時間後には億万長者になっている可能性も持っているんですから
わたしにとって、未来なんか存在してないのかもしれません。
どんなに変わろうとも、わたしはわたしですし

それでは、愛読者から、作者様へ
今度こそ、お疲れ様でした。お誕生日、おめでとうございます。

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26864Re:お疲れ様でしたオロシ・ハイドラント URL2003/8/31 16:51:01
記事番号26856へのコメント

こんばんは


>お疲れ様でした。
>未来の恐怖・・・誰しもが持つ、存在自体が持つ恐怖です。
>うちの兄貴は、「未来とは、確定できない物である」とかほざいてますが、今回はそれも当たってるかな?と思います。
過去の事象をすべて調べていけば確定出来なくもないような気もしますけど、少なくとも人間如きが出来ることではないでしょうし……
>誰しもが、一秒後には死んでしまう可能性を持っていれば、二時間後には億万長者になっている可能性も持っているんですから
まあ極端なこと言えば……
>わたしにとって、未来なんか存在してないのかもしれません。


でもまあ、良い方に考えることが大切だと思います。
未来の恐怖、死の恐怖をごまかして生きてゆくことが大切なのでしょう。
と思っていても難しいのが人間ってやつですがね。
>どんなに変わろうとも、わたしはわたしですし
そうっすね。
自分だけの武器を持って戦い続けましょう。
>
>それでは、愛読者から、作者様へ
>今度こそ、お疲れ様でした。お誕生日、おめでとうございます。
どうもありがとうございます。
それではこれで……

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26857Re:私の誕生日(あとがき)氷月椋佳 E-mail URL2003/8/28 10:58:52
記事番号26855へのコメント

どうもこんにちは師匠。
誕生日の数々の話とてもたのしかったです。

> ここには私がいた。
> 私がいた。
> だが私は消え、新たな私がここに生まれた。
> 六日間常に六つの焔に焼かれ続け、ついに燃え尽きてしまった私は、私の中でのみ生き続けている。
> ここには私がいた。
> そして私がいる。
> 私は新たな存在として、新たな道を歩んでゆく。
> その先に見えるのは、未来への恐怖。
> それでも私は歩んでゆく。
> 一筋の輝きを幸せと信じて。
そうですよね。私はもう昨日の私とは違うような存在ですし、でも今の私は昨日の私がいるからこそいるんですし…あぁ、だんだん自分がなに言ってるんだかわかんなくなってきた…。

まぁそれはおいといて…
こんな私が言うのもなんですが、誕生日、おめでとうございます。


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26865Re:私の誕生日(あとがき)オロシ・ハイドラント URL2003/8/31 16:52:33
記事番号26857へのコメント


>どうもこんにちは師匠。
>誕生日の数々の話とてもたのしかったです。
こんばんは。
どうもありがとうございます〜
>
>> ここには私がいた。
>> 私がいた。
>> だが私は消え、新たな私がここに生まれた。
>> 六日間常に六つの焔に焼かれ続け、ついに燃え尽きてしまった私は、私の中でのみ生き続けている。
>> ここには私がいた。
>> そして私がいる。
>> 私は新たな存在として、新たな道を歩んでゆく。
>> その先に見えるのは、未来への恐怖。
>> それでも私は歩んでゆく。
>> 一筋の輝きを幸せと信じて。
>そうですよね。私はもう昨日の私とは違うような存在ですし、でも今の私は昨日の私がいるからこそいるんですし…あぁ、だんだん自分がなに言ってるんだかわかんなくなってきた…。
まあ大切なのは、考えることでも語ることでもなく生きてゆくことでしょうから。
>
>まぁそれはおいといて…
>こんな私が言うのもなんですが、誕生日、おめでとうございます。
どうもありがとうございます!
>
>
それではこれで……

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26862お疲れさまでしたエモーション E-mail 2003/8/28 21:17:07
記事番号26855へのコメント

こんばんは。

カウントダウンで、毎日書かれていた短編の無事終了、おめでとうございます。
毎日あれだけ話を考えついて書ける、というのは本当に凄いです。(私には真似できません)
しかも、どれも趣向を凝らしていましたし。
フィブリゾの誕生日、も本当に何気に推理物の趣向を凝らしていましたね。
森博嗣氏の短編で、私がよく引っかかるタイプ(笑)の形式でした。
……はい、この話でも見事に引っかかりました(笑)

フィブリゾ君はほとんど作中に出てきませんでしたが、シェーラちゃんの
健気さが、何とも言えないです。
ハイドラントさんの書かれるシェーラちゃんは、目着苦茶可愛くて好きです。

> 私は新たな存在として、新たな道を歩んでゆく。
> その先に見えるのは、未来への恐怖。
> それでも私は歩んでゆく。
> 一筋の輝きを幸せと信じて。

ふと昔読んだ那須雪絵さんのマンガを思い出しました。
「フラワー・デストロイヤー」シリーズのシリーズ最終作「ダーク・エイジ」と言う作品です。
「ダーク・エイジ」中の重要キャラの少女が、当時の自分にとても近い思考と感覚の
キャラだったので、印象に残っているんです。
「分からないものは、分からないから怖いのよ。だから、知らなくちゃね」
事件が終わった後、主人公が彼女に言ったこの言葉。私の座右の銘の一つです。

今の世の中どこか大変だけれど、不安もいつの時代にだってあるけれど、
がんばっていきましょうね。
これからのハイドラントさんに、平和と良きことがありますように。

それでは、短いですが、この辺で失礼します。

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26867Re:お疲れさまでしたオロシ・ハイドラント URL2003/8/31 17:09:10
記事番号26862へのコメント


>こんばんは。
こんばんは。
>
>カウントダウンで、毎日書かれていた短編の無事終了、おめでとうございます。
>毎日あれだけ話を考えついて書ける、というのは本当に凄いです。(私には真似できません)
どうやら、私は数時間から数日で話を作ることに向いているんじゃないかと思います。話の良し悪しは別として……。
でも即興で作れるわけでなし、じっくり考えるのも苦手な方、ですから向き不向きというものじゃないでしょうか。
>しかも、どれも趣向を凝らしていましたし。
まあ悪戯心というか何というか……。
>フィブリゾの誕生日、も本当に何気に推理物の趣向を凝らしていましたね。
一人称で書き始めた時、邪な考えがふと浮かびまして……。
>森博嗣氏の短編で、私がよく引っかかるタイプ(笑)の形式でした。
森氏の短編は未読ですねえ。
私は麻耶氏のある作品の完璧に騙されたトリックを元にして書きました。
>……はい、この話でも見事に引っかかりました(笑)
結構バレるかなあと心配だったりしました。
それにしてもトリックの必然性が薄かったように思えます。フィブリゾに神秘性みたいなものを持たせられたんじゃないかなあ、とか後から理由付けしてましたけど(笑)
>
>フィブリゾ君はほとんど作中に出てきませんでしたが、シェーラちゃんの
>健気さが、何とも言えないです。
>ハイドラントさんの書かれるシェーラちゃんは、目着苦茶可愛くて好きです。
……何でこうなっちゃったんでしょうかねえ。
メッキーのせいだとは思いますけれど。
>
>> 私は新たな存在として、新たな道を歩んでゆく。
>> その先に見えるのは、未来への恐怖。
>> それでも私は歩んでゆく。
>> 一筋の輝きを幸せと信じて。
>
>ふと昔読んだ那須雪絵さんのマンガを思い出しました。
>「フラワー・デストロイヤー」シリーズのシリーズ最終作「ダーク・エイジ」と言う作品です。
>「ダーク・エイジ」中の重要キャラの少女が、当時の自分にとても近い思考と感覚の
>キャラだったので、印象に残っているんです。
ううむ。漫画はギャグ漫画ばっかり読んでましたから知らないですねえ。
>「分からないものは、分からないから怖いのよ。だから、知らなくちゃね」
>事件が終わった後、主人公が彼女に言ったこの言葉。私の座右の銘の一つです。
私の座右の銘は……忘れました。あるんだけどいつも忘れてる。
ちなみに好きな言葉なら「密室」(笑)
>
>今の世の中どこか大変だけれど、不安もいつの時代にだってあるけれど、
>がんばっていきましょうね。
>これからのハイドラントさんに、平和と良きことがありますように。
どうもありがとうございます。
>
>それでは、短いですが、この辺で失礼します。
多数のご感想、本当に嬉しかったです。
どうもありがとうございました。
それではこれで……

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26880Re:私の誕生日(あとがき)RIN URL2003/9/3 00:49:05
記事番号26855へのコメント

 こんばんは、ラント様、ご無沙汰しておりました、RINです<(_ _)>
 お誕生日遅くなりましたが、おめでとうございます(^_^)v
 久し振りにゆっくりと『書き殴り』様に来る事が出来ましたので、読んでいなかった小説の続きを読んでいて気付き、少し遅くなりましたが…遅すぎると言う程でも無いかと思いカキコさせて頂きました。
 『リナの誕生日』についてはかなり早く読んでいたのですが、あいにくレスをする時間が無くて…続きが書かれてる事に気が付いたのは今日(…基もう昨日ですね…)の事でした…
 『リナの誕生日』を読んだ時には…僅かに冷や汗等垂らしながら…「…サスガ…ルナ姉ちゃん…」等と思わず呟いてしまいました…
 『ガウリイの誕生日』を読んで「地獄の聖天使」が出てきた時には…「…流石…ゼフィーリア…」等とやはり意味不明の感想を漏らし感嘆してしまいました…
 ゼルとルークは「可哀相だなぁ」と思い、アメリアは…「まあ本人満足そうだし…」等と思い…
 そして『フィブリゾの誕生日』では「魔族の世界も色々何だなあ…」と遠い目をしつつ…「最後はフィブリゾが滅んでシェーラが悲しい感じだけど…ああ…でもシェーラも滅ぶから混沌の海で会えるのか…」等と考えた後…フッとL様を思いだし…「…おしおき…されてるんだろうなぁ…」等とまたしても遠い目をしつつ考えてしまいました…
 
 …何だか長くなってしまいましたので…最後は短めに…最後の詩…未来への恐怖とでも、それでも希望を失わないと言う感じでとても素敵でした。

 …これからも頑張って下さい!

 ―それでは改めて…お誕生日遅ればせながらおめでとうございますv

 ―それではまたの機会に―RIN―

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26883Re:私の誕生日(あとがき)オロシ・ハイドラント URL2003/9/3 20:47:49
記事番号26880へのコメント


> こんばんは、ラント様、ご無沙汰しておりました、RINです&lt;(_ _)>
こんばんは。お久しぶりです。
> お誕生日遅くなりましたが、おめでとうございます(^_^)v
ありがとうございます!
> 久し振りにゆっくりと『書き殴り』様に来る事が出来ましたので、読んでいなかった小説の続きを読んでいて気付き、少し遅くなりましたが…遅すぎると言う程でも無いかと思いカキコさせて頂きました。
凄く嬉しいです。ホントに!
> 『リナの誕生日』についてはかなり早く読んでいたのですが、あいにくレスをする時間が無くて…続きが書かれてる事に気が付いたのは今日(…基もう昨日ですね…)の事でした…
そして一気に読んでくださったとは……本気で幸せです。
> 『リナの誕生日』を読んだ時には…僅かに冷や汗等垂らしながら…「…サスガ…ルナ姉ちゃん…」等と思わず呟いてしまいました…
粋(?)なプレゼントっすよねえ。活きが良いだけかも知れませんけど。
> 『ガウリイの誕生日』を読んで「地獄の聖天使」が出てきた時には…「…流石…ゼフィーリア…」等とやはり意味不明の感想を漏らし感嘆してしまいました…
ゼフィーリアはほとんど魔境な気がしますしねえ。
> ゼルとルークは「可哀相だなぁ」と思い、アメリアは…「まあ本人満足そうだし…」等と思い…
ゼルとルークは不幸が許されるキャラらしいので(笑)
まあアメリアはあれで良いかと……
> そして『フィブリゾの誕生日』では「魔族の世界も色々何だなあ…」と遠い目をしつつ…「最後はフィブリゾが滅んでシェーラが悲しい感じだけど…ああ…でもシェーラも滅ぶから混沌の海で会えるのか…」等と考えた後…フッとL様を思いだし…「…おしおき…されてるんだろうなぁ…」等とまたしても遠い目をしつつ考えてしまいました…
果たしてそうだと幸せなのか? 感動の再会はしても、きついおしおき……

> 
> …何だか長くなってしまいましたので…最後は短めに…最後の詩…未来への恐怖とでも、それでも希望を失わないと言う感じでとても素敵でした。
ありがとうございます。
一応誕生日なのでポジティブなものを書こうかと思いまして……
>
> …これからも頑張って下さい!
はい。何とかがんばってゆきます。
>
> ―それでは改めて…お誕生日遅ればせながらおめでとうございますv
ありがとうございます!
>
> ―それではまたの機会に―RIN―
>
それではこれで……
本当にレスありがとうございました。

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26868本来のあとがきオロシ・ハイドラント URL2003/8/31 17:56:32
記事番号26780へのコメント

こんばんはラントです。
今回は各話の裏話みたいなやつです。


>リナの誕生日
これは実は、最初はゼルやアメリアも登場する予定だったんです。
でも、書き始めた途端リナとガウリイだけに。
四人の場合、食堂で昼飯というシーンから始まる予定だったんですけど、そこへドラゴンが襲い掛かって来るのは今以上に無茶な展開な気がしまして。
まあ出来上がったものも、無茶苦茶なことには変わりないんですよね。
簡単に粗が見つかるんじゃないかと。


>ガウリイの誕生日〜リナの誕生日 解決編〜
前回のリナの誕生日があまりにもひどかったので、フォローのために書いたとも言えます。
でも内容が薄く、良いものとは言い難いです。
「地獄の聖天使」の正体が知れるため、ゼルガディスの誕生日を理解するための一作でもあると思います。
オチはガウリイがあんなことを言ったら意外じゃないかなあと思って書きました。


>ゼルガディスの誕生日〜悪夢の序章〜
一応、サブタイトルは結末部の暗示のつもりです。
ゼルについて色々すでにご存知と思われることが語られていますが、あれは、私がスレイヤーズを全く知らない読者にも読めるものを書きたいと思っているからです。
逆に戦闘シーンでそんな解説を入れなかったのは、戦闘シーンはノリで読むものだと思いましたので。
私的には誕生日シリーズ六作の中で、一番気に入っている話です。
ちなみに扉を開けた途端にガーゴイルに襲われるというのは、ウィザードリィ(*1)のパクりです。


>アメリアの誕生日
一番苦労した話でしょう。時間的にはゼルガディスの誕生日の方が掛かったと思いますけど、あれは楽しんで書けたので……。
辛かったのは何気ないシーン。こういうのを書くのって意外に難しいんですよね。
むしろ正義についてアレコレなところの方が筆が進みました。


>ルークの誕生日
ゼルガディスの誕生日に次いで私が好きな話。でも語ることはそんなになし。
とりあえず、叙述トリック(*2)みたいなものに挑戦してみました。


>フィブリゾの誕生日
元は本格恋愛小説の予定でした。
でも書き始めた途端に異色に。
でもこれはこれで良かったかも。
ちなみに作中に登場する愛と専制主義という本は、愛と資本主義(*3)をもじったものです。


*1:テーブルトークRPGダンジョンズ&ドラゴンズをコンピュータゲーム化した元祖RPGの一つ。
ダンジョンを探険しつつキャラを成長させてゆくタイプのゲームで、シナリオは単純だがシステム面が凄い。


*2:推理小説で使われることのあるトリックの一つ。
地の文で誤解を招く描写などをして読者を故意に勘違いさせる手法(たとえば男性を女性と錯覚させるなど)。
魔族の発言も似たようなもの?


*3:中村うさぎの著作。実は読んだことはない。


それではこれで失礼致します。