-黒い魔族はブランケットの夢を見るか-TOM(5/16-17:45)No.2731
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2731黒い魔族はブランケットの夢を見るかTOM E-mail 5/16-17:45

<はじめまして>

 ブランケット万歳!
はじめまして、TOMです。書かせて頂きます。
ゼロリナ激甘になったら…どうしよう。シリアスが売りなのに。

<本文/黒い魔族はブランケットの夢を見るか>

 漆黒のマントを肩まですっぽり被って。
それはそれは気持ちよさそうに彼女は眠っていた。
「…やれやれ」
茶色のマントの肩をすくめて黒衣の神官は呟く。
「ほんと、良く眠ってらっしゃる」

 それはほんの数十分前のことだった。
ぱちぱちと薪がはぜては炎と、傍らの二人の影を揺らす。
「冷えてきたわね」
ぽつりとリナは言った。炎に手をかざして暖を取っているものの、
やはり夜の空気が少し冷たいらしい。
「そうですねぇ」
のほほんとゼロスは応えた。
「今夜は添い寝でもしましょうか?」

 ひゅっ…

小さな小石が耳元をかすめて後方に飛んでいく。
ゼロスはくすりと笑ってぱたぱたと手を振った。
「嫌だなぁ、冗談ですよ、じょうだん」
「うるさいっ、判ってるわよ、そんなことっ」
ぱちり、と薪がはぜて炎が揺れる。
光線の加減か、リナの顔は心なしか赤くなっているような気がした。
 不思議な沈黙が二人の間に気怠く横たわる。
ただ薪がぱちぱちはぜる音だけが流れる時間を告げていた。
 沈黙を破ったのはリナだった。
「…っくしゅん」
これは不可抗力である。なかなか止められるものではない。
リナは自分を呪いつつも小さく鼻をすすった。
「…」
無言のうちに、彼女の肩にふわりと闇が被さる。
「?!」
振り向くと、ゼロスが笑っていた。
「今夜はもう遅いから、もうお休みなさい」
何を掛けたのだろうとリナが触れてみると、それは彼のマントだった。
「ゼロス…これ…」
「すこしは暖かいでしょう?これで」
それとも、僕が添い寝しましょうか?
しつこく言うゼロスにリナは言葉を詰まらせた。
「冗談ですよ。僕が添い寝してもあんまり暖かく無いですし」
そういって、にっこり微笑えむ。
虚言と優しさの交錯した彼の言葉に、リナは少し混乱した。
「…何で?」
特に考えもなく、そう訊く。
「だって、僕は魔族ですから。
 あんまり暖かみのある魔族ってのも…ねぇ?」
炎に照らされても、なお白いその綺麗な顔と、漆黒の髪。
寂し気な感じもするその表情…。
 漆黒のマントの下で、リナはごそごそと肩の留め金をいじった。
少し頬が熱いのが、自分でもわかる。
「何をしてるんです?」
優しく尋ねたゼロスの目の前に、リナは茶色いものを突き出した。
茶色い、自分のマントを。
「これ、貸したげる。」
一瞬きょとんとして、ゼロスは小さく息をついた。
それから、その顔にふわりと微笑みが広がる。
「ありがとうございます、リナさん」
言われてリナは、かぁっと頬を赤らめて、ぷいっとそっぽを向いた。
「あ、あたしはっ、これだけで十分暖かいんだからねっ」
言ってからそうっとこちらを伺って、またそっぽを向く。
ゼロスは受け取ったマントをそっと胸に抱いてぽつりと呟いた。
「…やっぱり、貴方は暖かい」
はっとしてリナが振り向くと、黒衣の神官は微笑んでいた。
気のせいか、とリナは軽く頭を振る。
ゼロスの声が寂しそうだったなんて、ね。
 草の上に横になって、リナは遠い空を仰いだ。
それから寝返りを打ってゼロスの顔を見る。
「…ゼロス」
ぽつりとその名前を呼ぶ。
「何でしょう?」
物腰柔らかく、彼が答える。
「…おやすみ、ゼロス」
不必要にもう一度彼の名を呼んで、リナはにっこり笑った。
そのまま目を閉じる。
 ゆっくりと沈む意識のそこでリナはとても暖かかった。

 視線をものともせず、彼女は眠っている。
そっとゼロスは立ち上がり、リナの傍らに膝をついた。
指先でその頬に触れる。起きる気配はない。
 そのままゼロスは腰をかがめて、リナの唇に自分のそれを重ねた。
暖かな感触が伝わってくる。
 薪がはぜて、炎が揺らいで、ゼロスは何故だかやるせなくなった。
冷たい涙が、止めどなく頬を零れていった。

<あとがき>

 シリアスになって良かった…。
でも甘いっすねぇ。どうしましょ。
これからもこんな感じで行きますので、どうか宜しくお願いします。
感想とか、ご意見とか、お叱りとか頂けると凄く嬉しいです。 
ではではまたいつの日か。               TOM

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2788Re:黒い魔族はブランケットの夢を見るか松原ぼたん E-mail 5/21-22:32
記事番号2731へのコメント
 面白かったです。感想遅れて申し訳ありません。

>「ほんと、良く眠ってらっしゃる」
 なんで?
>「うるさいっ、判ってるわよ、そんなことっ」
 リナにはきつい冗談だった様ですね。
>気のせいか、とリナは軽く頭を振る。
 そんなことないでしょうね。
> 薪がはぜて、炎が揺らいで、ゼロスは何故だかやるせなくなった。
>冷たい涙が、止めどなく頬を零れていった。
 感情ってのはどうしようもないですからねぇ。

 本当に面白かったです。
 ではまた、ご縁がありましたなら。

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2898Re:黒い魔族はブランケットの夢を見るかさぼてん 6/1-19:31
記事番号2731へのコメント
「黒い魔族はブランケットの夢を見るか」感想

><はじめまして>
> ブランケット万歳!
>はじめまして、TOMです。書かせて頂きます。
はじめましてさぼてんで・・・じゃない
掲示板で書かれてた、作品ってこれのことでしょうか?

>ゼロリナ激甘になったら…どうしよう。シリアスが売りなのに。
うーんどうでしょう?どちらでも良いのでは?
要は面白ければいいのですっ


>無言のうちに、彼女の肩にふわりと闇が被さる。
>「?!」
>振り向くと、ゼロスが笑っていた。
>「今夜はもう遅いから、もうお休みなさい」
>何を掛けたのだろうとリナが触れてみると、それは彼のマントだった。
>「ゼロス…これ…」
>「すこしは暖かいでしょう?これで」
魔族なのに凶悪そうに見えないんですよねゼロス様って・・・
優しいときはとことん優しいって感じが・・・


>ゼロスは受け取ったマントをそっと胸に抱いてぽつりと呟いた。
>「…やっぱり、貴方は暖かい」
魔族故の言葉ですかねぇこれは。

> 薪がはぜて、炎が揺らいで、ゼロスは何故だかやるせなくなった。
>冷たい涙が、止めどなく頬を零れていった。
なんか切ないです・・・。

> シリアスになって良かった…。
>でも甘いっすねぇ。どうしましょ。
>これからもこんな感じで行きますので、どうか宜しくお願いします。
了解しました。そのつもりでいまーすっ。
いやーどうもシリアスは感想が書きにくいですね。
私たちが書くのはもっぱらギャグなんです。
自分が作ってるとそこら辺いろいろ分かりますしね。
シリアスは好きなんですが自分では上手く書けないんです。
表現力がないんですねぇ私。
そこんとこいくと感心しますよねぇ。うらやましいですその才能・・・

>感想とか、ご意見とか、お叱りとか頂けると凄く嬉しいです。 
>ではではまたいつの日か。               TOM

かきましたよっ
いつかなんて言わないで近いうちまた書いて下さい。
又レス書きに来ますから。
ではでは