◆−夢のつづき−じょぜ (2003/10/23 08:54:03) No.27569
 ┗つづきの夢−じょぜ (2003/10/23 12:56:34) No.27573
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27569夢のつづきじょぜ 2003/10/23 08:54:03


じょぜです。お邪魔します。
セリフとモノローグオンリー話・第二弾はヴァルフィリです。
しかも今まで書いた中で,いちばん短いんですが,
いちばん悲しくて救いようのない話…かも(苦笑)。
書いててこんなに泣きたくなったのは実は初めて。
苦手な方はお気をつけください。ではどうぞ! m(__)m







【夢のつづき】




「おはよう。
 コーヒー入ってますよ」
「おはよ」
「今日も冷えますね」
「そうだな」
「暖炉の火、もっと強くしますね」
「寒がりだな」
「あなたと違って慣れてないんです」



 ───翼を切り落とせば。
 ───今度こそ、私のものになってくれるかしら。
 ───その羽根を一枚ずつ抜き取って。
 ───寝床の上に敷きつめたら。



「───ゆうべ」
「……うん?」
「夜中に私、寒くて火を掻き起こしたんですけど。
 起こしちゃいました?」
「いや、全然気づかなかったけど」
「───そう。
 よかった」



 ───言葉を呑みくだして。
 ───荒く息をするあなたを抱きしめる。
 ───肌を触れあわせれば。
 ───ぜんぶ伝わるから。


「大丈夫よ。
 大丈夫だから。
 ほら、ちゃんとそばにいるでしょう。
 ね、今のは悪い夢だから。
 起きたらぜんぶ忘れているわ。
 だから安心して」
 安心して。
 頬を伝う涙がみえないように。
 抱きしめて。



 ───あなたが悪夢からめざめるたび。
 ───お願いだから私を殺してと叫んでいるのに。
 ───耳には届かない。



「はい、お茶」
「サンキュ」
「ここのところずーっと曇ってますけど。
 明日は晴れるといいですね。
 ずいぶんお陽さまみてないし」
「そういえばさ」
「ええ」
「あんたは夢ってみるほう?」
「……夜にみる夢のことですか?」
「そう」
「……私はあんまり」
「俺も。
 昔はやたらにみたんだけど。
 ここんとこ───みなくなった」
「そう?」
「なんでだろうな。
 なんにもみなくなった。
 なんか不思議なくらい」
「それだけぐっすり眠ってるってことですよ。
 きっと」
「───そうだな」



 ───翼を切り落とせば。
 ───今度こそ、私のものになってくれるかしら。
 ───その羽根を一枚ずつ抜き取って。
 ───寝床の上に敷きつめたら。



「昔はどんな夢をみてたんですか?」
「あんたには言いにくい。
 聞きたくないだろ」
「じゃあ。それ以外で」
「そーだな……。
 ガーヴ様のこととか」
「それから?」
「うーん。
 親……のこととか」
「それから?」
「とりあえず、ゼロスをコテンパンにやっつけるとか」
「あら素敵」
「そーかな。
 あんたは?」
「……さあ、なんだったかしら」



 ───あなたが望むなら待ちましょう。
 ───いつかその苦しみが私を捕らえる日まで。



「全然みないわけじゃないだろ?」
「そーですねえ……。
 ああそう。
 夢は叶ったからもうみなくなったのかも」
「へえ、どんな」
「たとえば好きな人と一緒に、暖炉の前でお茶を飲むとか」
「………あっそう」
「お茶のおかわりを淹れてあげるとか」
「………」
「あら、言ってるそばから。
 もう一回お湯沸かしますね」
 一緒に暮らして。
 夜も一緒に眠って。
 だから、悪夢にうなされるあなたを起こしてあげられる。
 そうよ。
 これ以上のことを望んだら。
 これが私に与えられた償いなら。
 次の朝、あなたがなにも覚えていなくても。



 ───だからせめて、手だけを繋いでいて。
 ───そこからぜんぶ伝わるように。
 ───冷たい敷布の中で。



「おはよ」
「おはよう。
 よく眠れました?」
「……眠れたけど。
 あんたは?」
「私もですよ?」
「嘘つけ」
「え?」
「眼、真っ赤だぞ」
「あ……あら、そう?」
「夜更かしして本でも読んでたんだろ。
 俺にはさっさと寝ろとか言っといて」
「あはは、バレちゃいました?
 顔、洗ってきます」
「ん。コーヒー、俺が淹れといてやるからな」


 食器の触れ合う音。
 幸せな朝の音色。
 そうだ。
 あとで枕のカバーも取り替えなきゃ。
 気づかれないうちに。
 きっとまだ乾いてないだろうから。



 ───翼を切り落とせば。
 ───今度こそ、私のものになってくれるかしら。
 ───その羽根を一枚ずつ抜き取って。
 ───寝床の上に敷きつめたら。

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27573つづきの夢じょぜ 2003/10/23 12:56:34
記事番号27569へのコメント

すいません,やっぱりさっきのだけじゃあんまりなんで(汗)。
ヴァル視点付け加えます。
これはこれで悲しいんですけど,ヴァルが覚えてない分少しだけ明るいです。
んで,いちゃいちゃしてます(笑)。
ヴァルがしゃべるしゃべる。口悪いし(笑)。
言うまでもなくヴァルフィリです。ではどうぞ! m(__)m







【つづきの夢】




「いってー……」
「おはよう、ヴァル」
「あんたなーもうちょっと起こし方考えろ」
「起きないのが悪いんですよ」
「だからって頬を引っ張ることないだろ。しかも思いっきり」
「さっさと起きれば何の問題もありません」



 ───ふっと気づくとあんたがそばにいて。
 ───微笑んで言う言葉。


「あ、そうだ、あとで模様替え手伝ってくださいね」
「……ああ」
「あと薪割り」
「……」
「あ、その前に煙突掃除」
「こき使ってくれるよな」
「冬じたくですよ。寒いの苦手なんです」
「それはもう知ってる」



 ───俺が一番聞きたい台詞を言ってくれる。



「たく。
 寒い寒いってぽんぽん放り込みやがって。まだ秋だぜ」
「とにかく!
 私も手伝いますから」
「ふん、薪割りなんかできんのかよ」
「あなたが割ったのを部屋に運びます」
「………あそ」
「それから窓拭きは私やるとして。台所の食料品チェックして。
 なるべく午後から買い出しに出かけたいんで」
「明日でいいだろ」
「明日は雨が降りますよ」
「なんで」
「勘です」



 ───だから夜明けが来るのが昔ほど厭じゃない。



「まああんたの天気予報が外れた試しはないから信じるけどよ」
「早く食べちゃってください。予定があるんですから」
「へーへー」
「そうそ、髪の毛切りましょうね」
「切れば」
「あなたのですよ。ずいぶん伸びたし」
「いい」
「だめです。見ててうっとーしいのよ」
「結んでるじゃねーか」
「じゃあ三つ編みにするなら許します」
「………ヤダ」



 ───身体中に付けた傷跡が。
 ───いつしか消えて。
 ───身体中に波打つ感情の正体が。
 ───涙だと知ったとき。



「ヴァールー?
 私、あっちで薪拾ってきますから。
 あとお願いねー」
「あんま遠くに行くなよ。
 迷っても知らねーから」
「そしたらレーザーブレスで知らせますから」
「山火事起こす気かっ!!」
「冗談ですってば。さぼっちゃ駄目ですよ」



 ───なあ、頼みごとをしていいか。
 ───あんたなら叶えてくれそうな気がする。



「あーあーあー。
 なーんか一週間分働いた感じ」
「お疲れさま。
 これ飲んだら買い出しね」
「う〜〜〜」
「と、思ったけど、やめましょ。
 私も疲れちゃったし」
「おーおー窓拭きだけでねー。
 確かにキレイになってるけどよ」
「でしょ? 結構大変なんですから」
「………明日は雨降るんじゃなかったのか?」
「降るけど、午後にはやみます」
「マジかよ」
「ええ。勘ですけどね」
「なら信じる」



 ───そうでないと、たぶん、あんたまで。



「ねみー………」
「はいはい、どうぞ」
「……いやベッドで寝るけど」
「今日は特別。
 いっぱい働いてくれたから。膝貸します」
「………」
「ほらほら。
 大丈夫。夕方には起こしますから。
 夜眠れなくなりますからね」
「………」
「───ヴァル? もう寝ちゃったの?」



 ───心のどこかでくすぶっている。
 ───あの感情に捕まりそうになったら。



「………れ」
「あ、起きました?」
「……もう夜じゃん」
「そうです。
 起こしても起きないんですもの」
「ばーか、叩き起こせよこーゆーときは」
「こういうときぐらい───いいじゃないですか」



 ───どうかとどめを。息絶えるまで。
 ───俺が、俺自身を忘れ去るまで。



「……なに、泣いてんの」
「? 泣いてませんよ」
「……いや、なんか」
「なんですか? もう起きたんならどいてくださいっ!」
「いてっ、蹴ることねーだろ!」



 ───身体中に付けた傷跡が。
 ───いつしか消えて。
 ───身体中に波打つ感情の正体が。
 ───涙だと知ったとき。



「もうめんどくさいから、シチューでいいですよね。
 残り物入れちゃうだけで」
「あーなんでもいい。できるやつで」
「じゃあ野菜洗って切って下さい。
 ちゃんとこすってくださいね」
「あのさあ」
「なに? ほら、しゃべりながらでも手は動くでしょ」
「………小姑」
「なにか言いまして?」
「さっき」
「朝焼いたパンあっためて……と。えーとあとは」
「ほんとに泣いてたんじゃねーの?」
「え?」
「だから、さっき……。
 いーや別に、もう」
「もう、うるさいですね。泣いてませんてば。眼の錯覚」
「あっそ。
 ならいい」
「あら、なんか偉そう」
「そう、今日はよく働いたじゃん、俺」
「はいはい」



 ───たぶん、生きててよかったと思う。



「あ」
「え?」
「忘れてました」
「何を」
「髪」
「あーもう明日でいい明日で」
「せっかく今日中にばっさり切っちゃおうと思ってたのにっ」
「よしわかった。
 俺のを切らせるからあんたのも切らせろ」
「何言ってるんですかぁぁぁぁっ! そんなの駄目ですぅぅぅぅっ!」
「じゃあ俺のも駄目ってことで」
「だから三つ編みにして下さい、二つにわけて」
「イヤだっつってんだろ」
「じゃあ私も三つ編みにしますから、二つにわけた」
「……却下」
「なあんでですかあ!」
「似合わんから」
「えー似合いますよ絶対。ヴァルには」
「ボケ、あんたに似合わねーんだよ」
「へ? そ、そうですか?」
「うん」
 流してるほうが好きだから。
 とか言えるわけねーだろ。
 気づけ、バカ。



 ───たぶんあんたに会えてよかったと。 

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27578みきゃー!!(←黄色い悲鳴です)夜宵 吹雪 E-mail 2003/10/23 18:46:29
記事番号27573へのコメント


お久しぶりです〜。
ヴァルフィリ書きたいんですが、話の都合上出せないんで(涙)、これを読んで狂喜乱舞しました。
そうそう、こんなカンジなんです!私のヴァルフィリは!
出来立てほやほやの新婚さん!しかも本当にいそうなところがツボ!
何てゆーか、姉さん女房なフィリアと意地っ張りなヴァル。そんな2人が大好きデスvv
てゆーか!こーゆー単語だけの会話に弱いです。
一言一言に重みがあって、ずしっとくるってゆーか・・・・。
・・・私にゃ到底出来ません。てか甘い話がかけないんです。こーゆー雰囲気が作れない。
精進あるのみだなー、と思いました。

現在、連載中のお話にも、ヴァルフィリを出すので、それまで頑張ってまた書いてください。
私のカンフル剤なのですvv
ではでは!!



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27585うきゃー!!(嬉しい悲鳴です)じょぜ 2003/10/23 22:52:52
記事番号27578へのコメント

おお〜お久しぶりです〜!! ヽ(^o^)〃

え,えへえへ,喜んでもらえたみたいで万々歳ですう。
フィリア視点のほうがあんまり……(泣)だったんでねえ。
なんか最後のほうになるとほんと口がワルになっていって,あれ?って感じでした。バカとかボケとか言ってるし。
そんで,なんかこのしゃべり,どっかで聞いたことあるよーな気がするなーとしばらく考えて気づきました。
キ○タクでした……(笑)。
あーいうしゃべりをちょーっと不良っぽくしたような? えへえへ(思い込み)。

このお話の設定はですね,わかりにくいかも知れないんで解説(笑)。
とりあえず,ヴァルが転生後で,ツノ無しバージョンで。
昔の記憶はちゃんとあります。
でも,ときどき夢(虐殺のことね)にうなされてることは,翌朝になると全然覚えてないんですね。
それをみて涙するフィリアさん……でももちろん言えない。
で,なんかヴァルは忘れてるようなことがあるんだけど,深く考えるとヤバそーなので考えないようにしてる……です。

それにしてもフィリアが口うるさい。あれしてねこれしてねって。
ヴァルもほんとこき使われてるし。
ヴァルに三つ編みは似合うと思う……後ろで一つにまとめるなら(笑)。
カンフル剤ですかあ。よかったよかった。楽しんでもらえて。

「世界の〜」もなんだか超大作になりそうですね。頑張ってください。
 ヴァルフィリ楽しみにしてます。
 あ,最初に買い出しに行くとかのフィリアの台詞は,吹雪さんのヴァルフィリのらぶらぶしょっぴんぐ(ヴァルが単なる荷物持ちとも言う)を思い出して書いてました。
 結局うちのは行きませんでしたけど,次は行かせてみようかなっ。

 では,感想ありがとうございましたー!!m(__)m