◆−聖なる夜は、雪と消えて−夜宵 吹雪 (2003/10/28 21:52:38) No.27790
 ┣早っ!!−じょぜ (2003/10/29 20:45:26) No.27806
 ┃┗早めに書かないと、忘れそうで・・・・(汗)−夜宵 吹雪 (2003/10/29 22:40:32) No.27813
 ┗Re:聖なる夜は、雪と消えて−はるか (2003/11/6 22:28:47) NEW No.27953
  ┗乙女チックなL様・・・・、・・・・殺されないかなぁ(ぽつりと)−夜宵 吹雪 (2003/11/7 18:47:18) NEW No.27962


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27790聖なる夜は、雪と消えて夜宵 吹雪 E-mail 2003/10/28 21:52:38





雪が降っていた
血に染まった大地を覆い隠さんと

白が全てを染め上げた

それは聖なる夜だった

しかし、今の時代に、そんなものは存在しない

雪の中、出来ることはただ――――

亡骸を、抱きしめて
大地に生まれたものを、大地に還すだけ


    聖なる夜は、雪と消えて  ――――金色の闇、その隠した想い


外の空気は突き刺すように寒い。
まるで針のように。
今は戦争中で、ここは戦地だった。
兵士の姿はないが、だからと言って危険には変わりない。
彼、レイ=マグナスが立っている場所、そこは彼のかつての故郷だった村だ。
小さく、埃っぽくて、それでも笑顔の絶えない優しい雰囲気の村だった。
「懐かしいな。」
きぃ、と軋んだ音を立て、扉が開く。扉の向こうには誰もいない。
あるのは壊れた糸車と家具一式、そしてかろうじて機能している木造の水車。
ぎしぎしと、何かはらんだ音を立てる水車。レイはこれを聞いて、少年時代を過ごした。
「まだ、あったんだ・・・・・・。」
懐かしく、そして愛しそうにそれに触れ、レイは感傷的な気分になった。
「お前も、懐かしいかな?」
その場にいた者がいれば、彼が虚空にそう問いかけたように見えただろう。しかし実際は違う。
『我に・・・それを聞くか?』
「フフッ、そうですね。」
レイは声の主に向かって苦笑し、改めて家の周りを見回した。
家の中は、すでに風化しつつあった。もはやここは過去の遺物。戦争の傷跡の代表的な場所だった。

そう、レイ=マグナスの故郷のこの村と同じように。

『感傷的になるなど・・・お前らしくもない。』
「そうですか・・・・?」
どこか、遠くを眺めるように。何かを、懐かしむように、寂しげに。


「何シケた顔してんのよ。」


「・・・・・・・・・・・・。」
声のした方を見て、彼は言葉を失う。
女性だ。自分と同い年ほどの。
一言で言うなら、この世の美しい言葉を全て集めたものが人となった、そんな美人だった。
黄金に燦然と輝く腰まで来る長い髪、射抜くかのような挑戦的で何事にも動じない金色の瞳。
黒いピッタリとしたこの時期にはやや寒そうな露出度の高い服のうえに、さらに黒いマントを羽織っていた。
手にはその華奢な手には不釣合いだが、どこか馴染むようにあった大鎌。
口からは吐息が漏れるほどに、見惚れていた。気を抜けば魂すらも吸い取られそうな美女。
誰なのかは。大体想像がついた。
「金色の魔王【ロード・オブ・ナイトメア】・・・・?」
口にしたのはレイの方だ。もう一人の自分である魔王が露骨に驚いている様子が手に取るようにわかる。
レイは彼女のことを知っていた。文献で読んだことがある。




―――全ての闇の母、そして光の母―――

―――魔族たちの真の王、神々を生み出したもの、この世の理を生み出したもの―――

―――闇よりもなお暗き、夜よりもなお深き存在―――

―――空虚な混沌、個であり全であり、世界を統べる者、たゆたいし金色―――

―――完全なる秩序をもたらし、混沌の海―――






――――――すなわち悪夢を統べる存在【ロード・オブ・ナイトメア】






「・・・へぇ、人間でその名前を呼ばれたのは・・・・初めてだったかしら?」
感心したように、悪夢を統べる魔王は微笑む。レイは心臓を鷲づかみにされたような感覚に陥った。
苦痛ではない。鼓動が早くなる。
「・・・・・・名前は?」
「え?」
「名前を聞いてるのよ。」
妖艶に微笑む魔王に、レイは静かに答えた。
「レイ・・・・、レイ=マグナスです。」
「レイ=マグナスね・・・・・。」
その長い髪をもてあそび、それすらもどこかの国の絵画の一シーンと思えるほど仕草で、魔王は微笑む。
「覚えておくわ。それと・・・・・。」
ゆっくりと、魔王はレイの顔を正面からつかむ様にすると、その顔に見入った。
レイはかなり驚き、自分の心臓が壊れそうな思いをしたが、彼女は気にしない。赤眼の魔王【ルビー・アイ】もはらはらとしている。
「滅びを覚悟するのと、滅ぶのは違うわよ?」
「・・・・・・・・え?」
なぜその事を?
それが顔に浮かんだのだろう、魔王は鼻で笑うと手を放し、高らかに言った。
「バーカ、そんなのあたしにはお見通しよ。何年アンタ達を見てきたと思ってるの?単純なのよ、構造が。」
その言葉にレイは苦笑を浮かべた。
「否定できないのが悲しいです・・・・。」
「じゃあ否定できるように精進なさい。命令よ。」
「御意・・・・・。」
敵わないな、と言いたげにレイは苦笑を浮かべる他になかった。
「ああ、それと。」
ぽうっ
手から淡い光が宿る。
小さな、木彫りの箱だ。
「あ・・・・・・・。」
「アンタの?落ちてたわよ?結構綺麗に出来てるから拾ったけど。」
「・・・・すいません。」
びっ!
「あだっ!」
「あのねー!礼儀くらい弁えなさい。こうゆう時はありがとう。はい、言って見なさい!」
でこぴんをされ、頭を押さえるレイに、まるで母親のような口調で叱る。レイは見えないように優しく微笑んだ。
「・・・ありがとうございます。」
「わかればよろしい。」
つん、と猫のように済ました顔で腕を組む。
「・・・・で?それ何?」
「・・・大した物じゃありませんよ。」
そう言ってどこから出したのかゼンマイを取り出す。それを魔王の手に合った箱の裏側にある金具につけて回す。
すると音楽が流れ出した。
澄んだような優しい音色だ。
「・・・・これ・・・・・。」
「小さい頃、作ったんです。結構頑張ったんです。」
音は流れる。今までの主の空白を埋めるように。
繰り返し、繰り返し。
優しく、寂しく。
「・・・・・誰かに贈り物?」
「ええ、母に。でもその日に他界してしまって・・・・。」
レイは顔を潜めた。まるで今にも泣きそうな子供のように。
「過去には・・・戻れませんから。でも、せめて・・・・・・・。」
ゆっくりと、優しい音。それを聞きながら、微笑んで言う。
「せめて、これだけは持っていたかったんです。」
痛々しい心の悲鳴。世界を生み出した魔王はそれが手に取るようにわかった。
「物になった思い出は、私を裏切らない。置いて行かないから。」
「・・・・・・・・・。」
魔王はそれを黙って聞いた。
外から風が吹いた。冷たい、けれど澄んだ空気。
「・・・ちょっと寒いですね。よろしかったらどうぞ。」
ばさっ
そう言ってレイは羽織っていたマントを魔王にかぶせた。
「!?」
「あ、すいません!大きいですよね、今サイズを直しますから・・・・。」
「・・・・・いい。」
魔王の言葉にレイはきょとんとした顔になった。
「これでいいわ。・・・アンタが着てたから、まだあったかい。」
「そうですか。」
そこで会話が途切れる。
どうしたものかと魔王に問いかけたが、彼は答えてくれなかった。しょうがないので、世間話でも始めることにした。
「そういえば今日は雪が降ってますね。」
「アンタの復活のせいね。」
「・・・・寒いですね。」
「当たり前でしょ。雪が降ってるんだから。」
「・・・・・・・・・・・・・。」
思い浮かんだ言葉をあっという間に一刀両断され、レイは言葉に詰まった。
「・・・・・・・・・・・・・ねぇ。」
「はい?」
魔王が、外を見ながら声をかける。
「アンタは、この世界嫌い?」
「え?」
「アンタは、この世界が嫌いなのかって聞いてるの。」
その突拍子のない質問にレイは戸惑い、しばし考え答えをはじき出した。
「そうですね・・・・、嫌い、じゃないと思いますよ。」
「・・・・・・・・・理由付きよね?もちろん。魔族なんだから。アンタ。」
その言葉にやや苦笑しつつ、答える。
「私は世界が愛しい。そして憎んでます。」
「中途半端ね。」
「そうですね、フィブにも言われました。でもだから好きにも嫌いにもなれるんですよ。私達は。」
「・・・・・・・・・・・・・。」
「好きとか嫌いとか、そんなのは両方の気持ちを知らなければわからないんです。私は両方知ってますけど。答えはまだ出せませんよ。」
「・・・・何でまた?」
「・・・・ほんの少しだけ、楽しかったから。」
嘘だ、少しだなんて。
楽しかったくせに、子供たちに囲まれて。色々話をして。知らないことを知って、気付いたら居場所があって。
でも、それは言えない。王だから。
王は常に孤独だから。求めてはいけない。導かなければならない。
ないものねだりをするほど子供でない。かと言って全てを捨てきれるほど大人になったつもりもない。
不安定で、中途半端で、臆病で。
「答えは。最後の最後までとっておきたいんです。」
まだ答えは出せないでいるけど。
いつか。きっと。

「そして、その時は――――」

あなたに聞いてもらいたい。
そう思ったんです。

「わがまま、ですかね?」
そう聞くと、魔王は何も言わずすっくと立ち上がった。
「ど、どかしましたか?」
機嫌を損ねたのだろうか。いや、違う。だとしたら容赦ない鉄拳が自分の顔にクリーンヒットする。
そして魔王は寒さで赤くなった顔を、どこからともなく出現したこれまた黒いマフラーで隠す。
「帰る」
「え?」
「帰るの。寒いし、鬱陶しい魔王はいるし。アンタみたなのと話して時間を無駄にしたわね。」
「あ、あはははは・・・・・。」
笑う以外にどうすることも出来なかったので、レイは乾いた声で笑った。
「それからコレ。気に入ったから持ってくわよ。」
「あ、でもそれは・・・・・・。」
「くだらない思い出なんか引きずるんじゃないわよ。ずっと覚えて、刻み込んで、忘れなきゃいいの。」
強い輝きを灯したような瞳。
それに、逆らうことなんか出来ない。
「もう少し強くなんなさい。そしたら、返してあげる。
 ま、一生無理だろうけど。」
ふん、と鼻で笑って。
くるりと、背を向けて。
「少しは男らしいとこ、見せなさいよ。」
後姿でそう言って。
白い雪が散って。
「ま、待って・・・!!」
追いかけた。
しかし。

手は届かずに。
彼女は消えた。
手に触れた雪のように。

手を見た。
白い雪。
小さな、雪の結晶。

ぎゅっとそれを握り締めて。

「・・・・・・・・待っててくださいね。」

小さく、決意を示して。
彼は微笑みながら。雲の合間から見えた太陽に向かって、大きく微笑んだ。


雪が、とけて。春が、来る。


あとがき
・・・・やりました。じょぜさんのリクエスト作品。
その名も「北の魔王様、ヘタレ返上大作戦!!〜まずはL様とらぶらぶで〜」
うう・・・、やっぱシリアスです。ギャグでも良かったんですが女が一度決めたことを違えるなんて・・・・・ねぇ?(知るか)
しかし・・・・ほぼ北の魔王=レイだなぁ。魔王、ちょびっとしか出てねぇ。ホントにL×Sか?S×Lでも通じるような気がして怖い。
とりあえず、今読んでる本で雪ネタがあったので。
取り入れました。しかし聖夜なんて大層な・・・いえ、我らの文化がこの世界に存在してるんでしょうか。
むう、永遠の謎だ・・・・・。
はっ!今気づいたが、この世界の吸血鬼って十字架苦手なのかしら?新たなテーマになりそうだ!
こんな似非作品でよろしければ・・・、もとい、楽しんでいただければ幸いです。

・・・・・・・・・・・・ヴァルフィリに挑戦しようかなぁ。本気で。
思えば好きとかほざいているくせに、書いてない。いや書いたには書いたが満足してない。
・・・・・学園モノにしようか、パラレル。アイキャッチからヴァルはどっかの組長の息子(笑)、フィリアは看護士。ヴァルは生傷耐えないので常連。片思い。んで芽生え行く愛(笑)
前にそーゆーパラレル小説があったなぁ。
あ、ほかにこーゆー設定で書いてほしいヴァルフィリあったならどうぞ、リクを。
では、最近書いてない長編かリハビリの短編でまた。



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27806早っ!!じょぜ 2003/10/29 20:45:26
記事番号27790へのコメント

 がさごそがさごそがさ。

V「えーっと。
『もうできたんですかっ!? 昨日の今日で!? ありがとうございますううう(感涙)』だとよ」
F「その前にご挨拶。
 こんにちは吹雪さん。今回のレスは私たち二人が返させていただきます」(ぺこり)
「ちっ,めんどくせーな」
 どかん!!
「お……お前……モーニングスターうちに置いてきたはずじゃ……」



>雪が降っていた
>血に染まった大地を覆い隠さんと
>
>白が全てを染め上げた
>
>それは聖なる夜だった
>
>しかし、今の時代に、そんなものは存在しない
>
>雪の中、出来ることはただ――――
>
>亡骸を、抱きしめて
>大地に生まれたものを、大地に還すだけ
>
>
>    聖なる夜は、雪と消えて  ――――金色の闇、その隠した想い

「ああ……なんて素敵な,美しい表現なんでしょう(うっとり)」
「白は好きな色だな俺も」
「雪って冷たいけど降る様子はとても静かできれいですよね。
 そういえばもうすぐですね,ヴァル」
「なにが?」
「聖夜といえば決まってるじゃありませんか♪」



>外の空気は突き刺すように寒い。
>まるで針のように。
>今は戦争中で、ここは戦地だった。
>兵士の姿はないが、だからと言って危険には変わりない。
>彼、レイ=マグナスが立っている場所、そこは彼のかつての故郷だった村だ。
>小さく、埃っぽくて、それでも笑顔の絶えない優しい雰囲気の村だった。
>「懐かしいな。」
>きぃ、と軋んだ音を立て、扉が開く。扉の向こうには誰もいない。
>あるのは壊れた糸車と家具一式、そしてかろうじて機能している木造の水車。
>ぎしぎしと、何かはらんだ音を立てる水車。レイはこれを聞いて、少年時代を過ごした。
>「まだ、あったんだ・・・・・・。」
>懐かしく、そして愛しそうにそれに触れ、レイは感傷的な気分になった。

「部下S登場」
「北の山で氷漬けのロートル魔王,金ラメタキシードを縫いつつあとがきしか出番のない彼にも,こんな少年時代があったんですねえ……(しみじみ)」
「……なにげにヒドイことを……」
「あらそう?」
「俺としてはなんとなくこいつに同情したくなるような……いやなんでもない,なんでもないからモーニングスターはやめろ」



>「何シケた顔してんのよ。」
>
>
>「・・・・・・・・・・・・。」
>声のした方を見て、彼は言葉を失う。
>女性だ。自分と同い年ほどの。
>一言で言うなら、この世の美しい言葉を全て集めたものが人となった、そんな美人だった。
>黄金に燦然と輝く腰まで来る長い髪、射抜くかのような挑戦的で何事にも動じない金色の瞳。
>黒いピッタリとしたこの時期にはやや寒そうな露出度の高い服のうえに、さらに黒いマントを羽織っていた。
>手にはその華奢な手には不釣合いだが、どこか馴染むようにあった大鎌。
>口からは吐息が漏れるほどに、見惚れていた。気を抜けば魂すらも吸い取られそうな美女。
>誰なのかは。大体想像がついた。
>「金色の魔王【ロード・オブ・ナイトメア】・・・・?」
>口にしたのはレイの方だ。もう一人の自分である魔王が露骨に驚いている様子が手に取るようにわかる。
>レイは彼女のことを知っていた。文献で読んだことがある。

「『きゃああああっL様L様ああああっ!!』
 これはじょぜの心の叫びだそうです。私フィリアもL様は大好きです」
「なんで?」
「やはり我らが母ですし,なんといっても北の魔王への毎回毎回の凶器攻撃,すべての女性のあこがれだからですわっ」
「やめてくれ頼むから(泣)」
「あらどうしてあなたが泣くんですか?」



>―――全ての闇の母、そして光の母―――
>
>―――魔族たちの真の王、神々を生み出したもの、この世の理を生み出したもの―――
>
>―――闇よりもなお暗き、夜よりもなお深き存在―――
>
>―――空虚な混沌、個であり全であり、世界を統べる者、たゆたいし金色―――
>
>―――完全なる秩序をもたらし、混沌の海―――
>
>
>
>
>
>
>――――――すなわち悪夢を統べる存在【ロード・オブ・ナイトメア】

「ギガ・スレイブでおなじみの言い回しですね」
「矛盾しまくった名前だな。秩序であり混沌であるとか、闇の母であり金色でもあるとか」
「それがL様ですもの」
「(極めて低い声でぼそぼそ)やっぱムカツクかも」



>「・・・へぇ、人間でその名前を呼ばれたのは・・・・初めてだったかしら?」
>感心したように、悪夢を統べる魔王は微笑む。レイは心臓を鷲づかみにされたような感覚に陥った。
>苦痛ではない。鼓動が早くなる。
>「・・・・・・名前は?」
>「え?」
>「名前を聞いてるのよ。」
>妖艶に微笑む魔王に、レイは静かに答えた。
>「レイ・・・・、レイ=マグナスです。」
>「レイ=マグナスね・・・・・。」
>その長い髪をもてあそび、それすらもどこかの国の絵画の一シーンと思えるほど仕草で、魔王は微笑む。
>「覚えておくわ。それと・・・・・。」
>ゆっくりと、魔王はレイの顔を正面からつかむ様にすると、その顔に見入った。
>レイはかなり驚き、自分の心臓が壊れそうな思いをしたが、彼女は気にしない。赤眼の魔王【ルビー・アイ】もはらはらとしている。
>「滅びを覚悟するのと、滅ぶのは違うわよ?」
>「・・・・・・・・え?」
>なぜその事を?
>それが顔に浮かんだのだろう、魔王は鼻で笑うと手を放し、高らかに言った。
>「バーカ、そんなのあたしにはお見通しよ。何年アンタ達を見てきたと思ってるの?単純なのよ、構造が。」
>その言葉にレイは苦笑を浮かべた。
>「否定できないのが悲しいです・・・・。」
>「じゃあ否定できるように精進なさい。命令よ。」
>「御意・・・・・。」
>敵わないな、と言いたげにレイは苦笑を浮かべる他になかった。

「北の魔王,L様の魅力に捕らわれたが最後,奴隷の道への第一歩ですわね」(凄絶な微笑み)
「……なんか部下Sに恨みでもあんのか?」
「あたりまえでしょう! 魔王ですよ魔王! 生ゴミの親玉!」(こぶしを握りしめて力説)
「そーだけど……なんか俺的にはひたすら同情したくなるというか親近感湧いてくるというか……」



>「ああ、それと。」
>ぽうっ
>手から淡い光が宿る。
>小さな、木彫りの箱だ。
>「あ・・・・・・・。」
>「アンタの?落ちてたわよ?結構綺麗に出来てるから拾ったけど。」
>「・・・・すいません。」
>びっ!
>「あだっ!」
>「あのねー!礼儀くらい弁えなさい。こうゆう時はありがとう。はい、言って見なさい!」
>でこぴんをされ、頭を押さえるレイに、まるで母親のような口調で叱る。レイは見えないように優しく微笑んだ。
>「・・・ありがとうございます。」
>「わかればよろしい。」
>つん、と猫のように済ました顔で腕を組む。

「さすがはL様! そのとおりですわ!
 いーですかヴァル,あなたも誰かに親切にしてもらったらちゃんとお礼を言うんですよ。
 どーも,とか,悪ィ,とか,愛想のない言い方はだめですよ」
「うるせーないちいち小姑みたいに」
「! なんですって!」



>「・・・・で?それ何?」
>「・・・大した物じゃありませんよ。」
>そう言ってどこから出したのかゼンマイを取り出す。それを魔王の手に合った箱の裏側にある金具につけて回す。
>すると音楽が流れ出した。
>澄んだような優しい音色だ。
>「・・・・これ・・・・・。」
>「小さい頃、作ったんです。結構頑張ったんです。」
>音は流れる。今までの主の空白を埋めるように。
>繰り返し、繰り返し。
>優しく、寂しく。
>「・・・・・誰かに贈り物?」
>「ええ、母に。でもその日に他界してしまって・・・・。」
>レイは顔を潜めた。まるで今にも泣きそうな子供のように。
>「過去には・・・戻れませんから。でも、せめて・・・・・・・。」
>ゆっくりと、優しい音。それを聞きながら、微笑んで言う。
>「せめて、これだけは持っていたかったんです。」
>痛々しい心の悲鳴。世界を生み出した魔王はそれが手に取るようにわかった。
>「物になった思い出は、私を裏切らない。置いて行かないから。」
>「・・・・・・・・・。」
>魔王はそれを黙って聞いた。

「レイ=マグナスって器用なんだな。
 なあ,これってオルゴールってやつだろ?」
「魔王の……魔王のくせに……なんでこんな哀しい思い出を語ったりするんですか……」(しくしくと泣きだす)
「おい,どーした?」
「ヴァルっ! 私絶対あなたより長生きしてみせますからねっ!」(がしっと手を握りしめる)
「お……おう」



>外から風が吹いた。冷たい、けれど澄んだ空気。
>「・・・ちょっと寒いですね。よろしかったらどうぞ。」
>ばさっ
>そう言ってレイは羽織っていたマントを魔王にかぶせた。
>「!?」
>「あ、すいません!大きいですよね、今サイズを直しますから・・・・。」
>「・・・・・いい。」
>魔王の言葉にレイはきょとんとした顔になった。
>「これでいいわ。・・・アンタが着てたから、まだあったかい。」
>「そうですか。」
>そこで会話が途切れる。
>どうしたものかと魔王に問いかけたが、彼は答えてくれなかった。しょうがないので、世間話でも始めることにした。
>「そういえば今日は雪が降ってますね。」
>「アンタの復活のせいね。」
>「・・・・寒いですね。」
>「当たり前でしょ。雪が降ってるんだから。」
>「・・・・・・・・・・・・・。」
>思い浮かんだ言葉をあっという間に一刀両断され、レイは言葉に詰まった。

「あらほんと,寒いですね」
「そーか?」
「寒いといえばおこたですよね」
「……どっから取り出したんだ」
「それとみかん」
「……それもどっから」
「日本の冬はこうやって過ごすんですよ」(にっこり)



>「・・・・・・・・・・・・・ねぇ。」
>「はい?」
>魔王が、外を見ながら声をかける。
>「アンタは、この世界嫌い?」
>「え?」
>「アンタは、この世界が嫌いなのかって聞いてるの。」
>その突拍子のない質問にレイは戸惑い、しばし考え答えをはじき出した。
>「そうですね・・・・、嫌い、じゃないと思いますよ。」
>「・・・・・・・・・理由付きよね?もちろん。魔族なんだから。アンタ。」
>その言葉にやや苦笑しつつ、答える。
>「私は世界が愛しい。そして憎んでます。」
>「中途半端ね。」
>「そうですね、フィブにも言われました。でもだから好きにも嫌いにもなれるんですよ。私達は。」
>「・・・・・・・・・・・・・。」
>「好きとか嫌いとか、そんなのは両方の気持ちを知らなければわからないんです。私は両方知ってますけど。答えはまだ出せませんよ。」
>「・・・・何でまた?」
>「・・・・ほんの少しだけ、楽しかったから。」
>嘘だ、少しだなんて。
>楽しかったくせに、子供たちに囲まれて。色々話をして。知らないことを知って、気付いたら居場所があって。
>でも、それは言えない。王だから。
>王は常に孤独だから。求めてはいけない。導かなければならない。
>ないものねだりをするほど子供でない。かと言って全てを捨てきれるほど大人になったつもりもない。
>不安定で、中途半端で、臆病で。
>「答えは。最後の最後までとっておきたいんです。」
>まだ答えは出せないでいるけど。
>いつか。きっと。
>
>「そして、その時は――――」
>
>あなたに聞いてもらいたい。
>そう思ったんです。

「まるであなたみたいですね,部下Sって。
 ほんとは優しいくせにそっけなくて。強がりのくせに甘ったれで。あらなんだか魔王に親しみを感じてきちゃいましたわ」
「お前はあの大鎌女そっくりだよな。
 口悪いし,殴るし,すぐキレるし」
「……え,L様に似てるなんて光栄ですとっても……」
「顔,ひきつってるけど?」(にやにや)



>「わがまま、ですかね?」
>そう聞くと、魔王は何も言わずすっくと立ち上がった。
>「ど、どかしましたか?」
>機嫌を損ねたのだろうか。いや、違う。だとしたら容赦ない鉄拳が自分の顔にクリーンヒットする。
>そして魔王は寒さで赤くなった顔を、どこからともなく出現したこれまた黒いマフラーで隠す。
>「帰る」
>「え?」
>「帰るの。寒いし、鬱陶しい魔王はいるし。アンタみたなのと話して時間を無駄にしたわね。」
>「あ、あはははは・・・・・。」
>笑う以外にどうすることも出来なかったので、レイは乾いた声で笑った。
>「それからコレ。気に入ったから持ってくわよ。」
>「あ、でもそれは・・・・・・。」
>「くだらない思い出なんか引きずるんじゃないわよ。ずっと覚えて、刻み込んで、忘れなきゃいいの。」

「『思い出があるから生きていける───。そんなセリフがとある小説にありましたね』ですって」
「なんつーか強引な女だな」
「L様流の優しさなんですよ。ちょっと早めのクリスマス・プレゼントですねっ」
「むりやり強奪したって気もするが……」



>強い輝きを灯したような瞳。
>それに、逆らうことなんか出来ない。
>「もう少し強くなんなさい。そしたら、返してあげる。
> ま、一生無理だろうけど。」
>ふん、と鼻で笑って。
>くるりと、背を向けて。
>「少しは男らしいとこ、見せなさいよ。」
>後姿でそう言って。
>白い雪が散って。
>「ま、待って・・・!!」
>追いかけた。
>しかし。
>
>手は届かずに。
>彼女は消えた。
>手に触れた雪のように。
>
>手を見た。
>白い雪。
>小さな、雪の結晶。
>
>ぎゅっとそれを握り締めて。
>
>「・・・・・・・・待っててくださいね。」
>
>小さく、決意を示して。
>彼は微笑みながら。雲の合間から見えた太陽に向かって、大きく微笑んだ。
>
>
>雪が、とけて。春が、来る。
>
>
「最後か。
『L様最高! 追いかけるSもなんて純情! 素敵!』」
「舞い散る雪の中,ないすばでぃな金髪の美女,それに魅せられた一人の男! 吹雪様,最高ですっ!』だそうです」
「なんかいい雰囲気だけどよ。
 なんだかんだいって,世界を滅ぼすんだろこの二人」
「そ,そうかもしれませんけど。
 でもっL様は私たち生あるものの王でもあるわけですからね」
「結局はあの女の気まぐれに左右されるってことか……」
「大丈夫です! 部下Sをいつものようにドツキまわしてくださればっ世界は平穏無事ですっ!」
「……いーのかそれで」
「終わりよければすべてよしっ!
 ということで,吹雪様,リクエストに応えてくださってありがとうございましたー」(ぺこり)
「次に書くのは?」
「なんか私たちのお話みたいですよ」
「じゃあこうしてくれ。
 生ゴミとこいつの大喧嘩。見てて面白いから」
「なっ……!! ヴァルっ!!」
「それか俺がリナ=インバースを叩きのめす話」
「ちょっ……ヴァルったら!!」
「それか俺とゼロスのリターンマッチでもいいな」
「待ちなさいっ! なんでそんな殺伐としたお話ばっかりなんですかっ!!」
「じゃあな,書けたら書いてくれ」(瞬間移動)
「に,逃げるなんてひきょーですよ──────っ!!」(ドラゴン形態)





 というわけで,今回はこの二人に任せてみました。
 L様とSにしようかなとも思ったんですけど,それだと、


「そんなっ!! L様がこんなきれいで優しいわけないじゃないですかっ!!」
「そこまでゆーかああああ───っ!!」
 どかばきごげぐしゃっ!!


 ってばっかりになっちゃうんで(笑)。
 ほんとにほんとにありがとうございました。超嬉しいです。
 クリスマスがあるとしたら,それはきっとL様の誕生を祝う日……なんでしょうねきっと。
 おめでとーって言わないと大雪になるとか。
 捧げ物をしないと凶器が空から降ってるとか。
 そんな素敵に恐ろしい日(いやだそんなの)。

>・・・・・学園モノにしようか、パラレル。アイキャッチからヴァルはどっかの組長の息子(笑)、フィリアは看護士。ヴァルは生傷耐えないので常連。片思い。んで芽生え行く愛(笑)
>前にそーゆーパラレル小説があったなぁ。

 あは,もしかしておんなじのを読んだかも。
 あーゆーのもいいですねっ。
 では,何度も何度も言わせていただきます! ありがとー!!でした!

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27813早めに書かないと、忘れそうで・・・・(汗)夜宵 吹雪 E-mail 2003/10/29 22:40:32
記事番号27806へのコメント

> がさごそがさごそがさ。
>
>V「えーっと。
>『もうできたんですかっ!? 昨日の今日で!? ありがとうございますううう(感涙)』だとよ」

吹雪:一発で頭に思い浮かんだので。ちゃっちゃと書いて完成!
白亜:その間3時間。書きたい意欲が溢れてたらしい。

>F「その前にご挨拶。
> こんにちは吹雪さん。今回のレスは私たち二人が返させていただきます」(ぺこり)
>「ちっ,めんどくせーな」
> どかん!!
>「お……お前……モーニングスターうちに置いてきたはずじゃ……」

吹雪:武器の持ち込みは針子さんの針からスカッドミサイルまでOKです。
白亜:相棒は俺でレス返しGO。

>>雪が降っていた
>>血に染まった大地を覆い隠さんと
>>
>>白が全てを染め上げた
>>
>>それは聖なる夜だった
>>
>>しかし、今の時代に、そんなものは存在しない
>>
>>雪の中、出来ることはただ――――
>>
>>亡骸を、抱きしめて
>>大地に生まれたものを、大地に還すだけ
>>
>>
>>    聖なる夜は、雪と消えて  ――――金色の闇、その隠した想い
>
>「ああ……なんて素敵な,美しい表現なんでしょう(うっとり)」
>「白は好きな色だな俺も」
>「雪って冷たいけど降る様子はとても静かできれいですよね。
> そういえばもうすぐですね,ヴァル」
>「なにが?」
>「聖夜といえば決まってるじゃありませんか♪」

吹雪:クリスマス・・・・、それは聖なる夜。
白亜:そして彼女or彼氏がいない良い年した男女がやさぐれる日。
吹雪:情緒もクソもない事を言うんじゃねぇ。

>>外の空気は突き刺すように寒い。
>>まるで針のように。
>>今は戦争中で、ここは戦地だった。
>>兵士の姿はないが、だからと言って危険には変わりない。
>>彼、レイ=マグナスが立っている場所、そこは彼のかつての故郷だった村だ。
>>小さく、埃っぽくて、それでも笑顔の絶えない優しい雰囲気の村だった。
>>「懐かしいな。」
>>きぃ、と軋んだ音を立て、扉が開く。扉の向こうには誰もいない。
>>あるのは壊れた糸車と家具一式、そしてかろうじて機能している木造の水車。
>>ぎしぎしと、何かはらんだ音を立てる水車。レイはこれを聞いて、少年時代を過ごした。
>>「まだ、あったんだ・・・・・・。」
>>懐かしく、そして愛しそうにそれに触れ、レイは感傷的な気分になった。
>
>「部下S登場」
>「北の山で氷漬けのロートル魔王,金ラメタキシードを縫いつつあとがきしか出番のない彼にも,こんな少年時代があったんですねえ……(しみじみ)」

吹雪:彼は結構環境に恵まれてたのではないかと勝手に想像。
白亜:吹雪設定。曰く「父はすでに死に、母は幼い頃に他界。魔道士(手っ取り早く儲かるお仕事)を目指す。」

>「……なにげにヒドイことを……」
>「あらそう?」
>「俺としてはなんとなくこいつに同情したくなるような……いやなんでもない,なんでもないからモーニングスターはやめろ」

吹雪:ヴァルは彼と通ずるものがあるんですよねー。

>>「何シケた顔してんのよ。」
>>
>>
>>「・・・・・・・・・・・・。」
>>声のした方を見て、彼は言葉を失う。
>>女性だ。自分と同い年ほどの。
>>一言で言うなら、この世の美しい言葉を全て集めたものが人となった、そんな美人だった。
>>黄金に燦然と輝く腰まで来る長い髪、射抜くかのような挑戦的で何事にも動じない金色の瞳。
>>黒いピッタリとしたこの時期にはやや寒そうな露出度の高い服のうえに、さらに黒いマントを羽織っていた。
>>手にはその華奢な手には不釣合いだが、どこか馴染むようにあった大鎌。
>>口からは吐息が漏れるほどに、見惚れていた。気を抜けば魂すらも吸い取られそうな美女。
>>誰なのかは。大体想像がついた。
>>「金色の魔王【ロード・オブ・ナイトメア】・・・・?」
>>口にしたのはレイの方だ。もう一人の自分である魔王が露骨に驚いている様子が手に取るようにわかる。
>>レイは彼女のことを知っていた。文献で読んだことがある。
>
>「『きゃああああっL様L様ああああっ!!』
> これはじょぜの心の叫びだそうです。私フィリアもL様は大好きです」
>「なんで?」
>「やはり我らが母ですし,なんといっても北の魔王への毎回毎回の凶器攻撃,すべての女性のあこがれだからですわっ」

吹雪:私は好きですが・・・・魔族はS様が一番好きです。
白亜:何で?
吹雪:人なのに間族になった設定が素晴らしく好きなのさ。

>「やめてくれ頼むから(泣)」
>「あらどうしてあなたが泣くんですか?」

吹雪:わはは、尻にしかれてるなー。
白亜:かかあ天下?

>>―――全ての闇の母、そして光の母―――
>>
>>―――魔族たちの真の王、神々を生み出したもの、この世の理を生み出したもの―――
>>
>>―――闇よりもなお暗き、夜よりもなお深き存在―――
>>
>>―――空虚な混沌、個であり全であり、世界を統べる者、たゆたいし金色―――
>>
>>―――完全なる秩序をもたらし、混沌の海―――
>>
>>
>>
>>
>>
>>
>>――――――すなわち悪夢を統べる存在【ロード・オブ・ナイトメア】
>
>「ギガ・スレイブでおなじみの言い回しですね」
>「矛盾しまくった名前だな。秩序であり混沌であるとか、闇の母であり金色でもあるとか」
>「それがL様ですもの」
>「(極めて低い声でぼそぼそ)やっぱムカツクかも」

吹雪:私のオリジも入っております。
白亜:矛盾する言葉を厳選して選んだんだって。

>>「・・・へぇ、人間でその名前を呼ばれたのは・・・・初めてだったかしら?」
>>感心したように、悪夢を統べる魔王は微笑む。レイは心臓を鷲づかみにされたような感覚に陥った。
>>苦痛ではない。鼓動が早くなる。
>>「・・・・・・名前は?」
>>「え?」
>>「名前を聞いてるのよ。」
>>妖艶に微笑む魔王に、レイは静かに答えた。
>>「レイ・・・・、レイ=マグナスです。」
>>「レイ=マグナスね・・・・・。」
>>その長い髪をもてあそび、それすらもどこかの国の絵画の一シーンと思えるほど仕草で、魔王は微笑む。
>>「覚えておくわ。それと・・・・・。」
>>ゆっくりと、魔王はレイの顔を正面からつかむ様にすると、その顔に見入った。
>>レイはかなり驚き、自分の心臓が壊れそうな思いをしたが、彼女は気にしない。赤眼の魔王【ルビー・アイ】もはらはらとしている。
>>「滅びを覚悟するのと、滅ぶのは違うわよ?」
>>「・・・・・・・・え?」
>>なぜその事を?
>>それが顔に浮かんだのだろう、魔王は鼻で笑うと手を放し、高らかに言った。
>>「バーカ、そんなのあたしにはお見通しよ。何年アンタ達を見てきたと思ってるの?単純なのよ、構造が。」
>>その言葉にレイは苦笑を浮かべた。
>>「否定できないのが悲しいです・・・・。」
>>「じゃあ否定できるように精進なさい。命令よ。」
>>「御意・・・・・。」
>>敵わないな、と言いたげにレイは苦笑を浮かべる他になかった。
>
>「北の魔王,L様の魅力に捕らわれたが最後,奴隷の道への第一歩ですわね」(凄絶な微笑み)

吹雪:その笑みはちと怖いな・・・(汗)
白亜:そう?(平気)

>「……なんか部下Sに恨みでもあんのか?」
>「あたりまえでしょう! 魔王ですよ魔王! 生ゴミの親玉!」(こぶしを握りしめて力説)
>「そーだけど……なんか俺的にはひたすら同情したくなるというか親近感湧いてくるというか……」

吹雪:・・・・・ヴァル、本気でS様と話す機会を作って話し合いさせてぇ。
白亜:意気投合しそう。

>>「ああ、それと。」
>>ぽうっ
>>手から淡い光が宿る。
>>小さな、木彫りの箱だ。
>>「あ・・・・・・・。」
>>「アンタの?落ちてたわよ?結構綺麗に出来てるから拾ったけど。」
>>「・・・・すいません。」
>>びっ!
>>「あだっ!」
>>「あのねー!礼儀くらい弁えなさい。こうゆう時はありがとう。はい、言って見なさい!」
>>でこぴんをされ、頭を押さえるレイに、まるで母親のような口調で叱る。レイは見えないように優しく微笑んだ。
>>「・・・ありがとうございます。」
>>「わかればよろしい。」
>>つん、と猫のように済ました顔で腕を組む。
>
>「さすがはL様! そのとおりですわ!
> いーですかヴァル,あなたも誰かに親切にしてもらったらちゃんとお礼を言うんですよ。
> どーも,とか,悪ィ,とか,愛想のない言い方はだめですよ」
>「うるせーないちいち小姑みたいに」
>「! なんですって!」

吹雪:小姑というより教育ママですな(笑)
白亜:帰ったら手を洗いましょー。

>>「・・・・で?それ何?」
>>「・・・大した物じゃありませんよ。」
>>そう言ってどこから出したのかゼンマイを取り出す。それを魔王の手に合った箱の裏側にある金具につけて回す。
>>すると音楽が流れ出した。
>>澄んだような優しい音色だ。
>>「・・・・これ・・・・・。」
>>「小さい頃、作ったんです。結構頑張ったんです。」
>>音は流れる。今までの主の空白を埋めるように。
>>繰り返し、繰り返し。
>>優しく、寂しく。
>>「・・・・・誰かに贈り物?」
>>「ええ、母に。でもその日に他界してしまって・・・・。」
>>レイは顔を潜めた。まるで今にも泣きそうな子供のように。
>>「過去には・・・戻れませんから。でも、せめて・・・・・・・。」
>>ゆっくりと、優しい音。それを聞きながら、微笑んで言う。
>>「せめて、これだけは持っていたかったんです。」
>>痛々しい心の悲鳴。世界を生み出した魔王はそれが手に取るようにわかった。
>>「物になった思い出は、私を裏切らない。置いて行かないから。」
>>「・・・・・・・・・。」
>>魔王はそれを黙って聞いた。
>
>「レイ=マグナスって器用なんだな。
> なあ,これってオルゴールってやつだろ?」

吹雪:器用な方だと思うんですよ。ただ心の方は不器用なカンジで。

>「魔王の……魔王のくせに……なんでこんな哀しい思い出を語ったりするんですか……」(しくしくと泣きだす)

吹雪:魔王を受け入れるほどの人ですから、色々と経験してるんですよ。
白亜:傷ついた分だけ、人は優しく強くなれるんだよね。

>「おい,どーした?」
>「ヴァルっ! 私絶対あなたより長生きしてみせますからねっ!」(がしっと手を握りしめる)
>「お……おう」

吹雪:がんばれフィリア!君ならあと数千年は軽いぞ!(待て)
白亜:ご長寿竜(笑)

>>外から風が吹いた。冷たい、けれど澄んだ空気。
>>「・・・ちょっと寒いですね。よろしかったらどうぞ。」
>>ばさっ
>>そう言ってレイは羽織っていたマントを魔王にかぶせた。
>>「!?」
>>「あ、すいません!大きいですよね、今サイズを直しますから・・・・。」
>>「・・・・・いい。」
>>魔王の言葉にレイはきょとんとした顔になった。
>>「これでいいわ。・・・アンタが着てたから、まだあったかい。」
>>「そうですか。」
>>そこで会話が途切れる。
>>どうしたものかと魔王に問いかけたが、彼は答えてくれなかった。しょうがないので、世間話でも始めることにした。
>>「そういえば今日は雪が降ってますね。」
>>「アンタの復活のせいね。」
>>「・・・・寒いですね。」
>>「当たり前でしょ。雪が降ってるんだから。」
>>「・・・・・・・・・・・・・。」
>>思い浮かんだ言葉をあっという間に一刀両断され、レイは言葉に詰まった。
>
>「あらほんと,寒いですね」
>「そーか?」
>「寒いといえばおこたですよね」
>「……どっから取り出したんだ」
>「それとみかん」
>「……それもどっから」
>「日本の冬はこうやって過ごすんですよ」(にっこり)

吹雪:こたつ・・・か。もう何年も家にいた姿は見てねぇな。
白亜:・・・・家、狭いもんね。
吹雪:いいもんいいもん!猫を湯たんぽ代わりにするもん!

>>「・・・・・・・・・・・・・ねぇ。」
>>「はい?」
>>魔王が、外を見ながら声をかける。
>>「アンタは、この世界嫌い?」
>>「え?」
>>「アンタは、この世界が嫌いなのかって聞いてるの。」
>>その突拍子のない質問にレイは戸惑い、しばし考え答えをはじき出した。
>>「そうですね・・・・、嫌い、じゃないと思いますよ。」
>>「・・・・・・・・・理由付きよね?もちろん。魔族なんだから。アンタ。」
>>その言葉にやや苦笑しつつ、答える。
>>「私は世界が愛しい。そして憎んでます。」
>>「中途半端ね。」
>>「そうですね、フィブにも言われました。でもだから好きにも嫌いにもなれるんですよ。私達は。」
>>「・・・・・・・・・・・・・。」
>>「好きとか嫌いとか、そんなのは両方の気持ちを知らなければわからないんです。私は両方知ってますけど。答えはまだ出せませんよ。」
>>「・・・・何でまた?」
>>「・・・・ほんの少しだけ、楽しかったから。」
>>嘘だ、少しだなんて。
>>楽しかったくせに、子供たちに囲まれて。色々話をして。知らないことを知って、気付いたら居場所があって。
>>でも、それは言えない。王だから。
>>王は常に孤独だから。求めてはいけない。導かなければならない。
>>ないものねだりをするほど子供でない。かと言って全てを捨てきれるほど大人になったつもりもない。
>>不安定で、中途半端で、臆病で。
>>「答えは。最後の最後までとっておきたいんです。」
>>まだ答えは出せないでいるけど。
>>いつか。きっと。
>>
>>「そして、その時は――――」
>>
>>あなたに聞いてもらいたい。
>>そう思ったんです。
>
>「まるであなたみたいですね,部下Sって。
> ほんとは優しいくせにそっけなくて。強がりのくせに甘ったれで。あらなんだか魔王に親しみを感じてきちゃいましたわ」
>「お前はあの大鎌女そっくりだよな。
> 口悪いし,殴るし,すぐキレるし」
>「……え,L様に似てるなんて光栄ですとっても……」
>「顔,ひきつってるけど?」(にやにや)

吹雪:そうなんです!S様もL様もとっても不器用な人だと思うんですよ!!
白亜:そして凶暴。
吹雪:じ、自殺発言・・・。

>>「わがまま、ですかね?」
>>そう聞くと、魔王は何も言わずすっくと立ち上がった。
>>「ど、どかしましたか?」
>>機嫌を損ねたのだろうか。いや、違う。だとしたら容赦ない鉄拳が自分の顔にクリーンヒットする。
>>そして魔王は寒さで赤くなった顔を、どこからともなく出現したこれまた黒いマフラーで隠す。
>>「帰る」
>>「え?」
>>「帰るの。寒いし、鬱陶しい魔王はいるし。アンタみたなのと話して時間を無駄にしたわね。」
>>「あ、あはははは・・・・・。」
>>笑う以外にどうすることも出来なかったので、レイは乾いた声で笑った。
>>「それからコレ。気に入ったから持ってくわよ。」
>>「あ、でもそれは・・・・・・。」
>>「くだらない思い出なんか引きずるんじゃないわよ。ずっと覚えて、刻み込んで、忘れなきゃいいの。」
>
>「『思い出があるから生きていける───。そんなセリフがとある小説にありましたね』ですって」
>「なんつーか強引な女だな」
>「L様流の優しさなんですよ。ちょっと早めのクリスマス・プレゼントですねっ」
>「むりやり強奪したって気もするが……」

吹雪:まあまあヴァルちゃん。そう言わず(笑)

>>強い輝きを灯したような瞳。
>>それに、逆らうことなんか出来ない。
>>「もう少し強くなんなさい。そしたら、返してあげる。
>> ま、一生無理だろうけど。」
>>ふん、と鼻で笑って。
>>くるりと、背を向けて。
>>「少しは男らしいとこ、見せなさいよ。」
>>後姿でそう言って。
>>白い雪が散って。
>>「ま、待って・・・!!」
>>追いかけた。
>>しかし。
>>
>>手は届かずに。
>>彼女は消えた。
>>手に触れた雪のように。
>>
>>手を見た。
>>白い雪。
>>小さな、雪の結晶。
>>
>>ぎゅっとそれを握り締めて。
>>
>>「・・・・・・・・待っててくださいね。」
>>
>>小さく、決意を示して。
>>彼は微笑みながら。雲の合間から見えた太陽に向かって、大きく微笑んだ。
>>
>>
>>雪が、とけて。春が、来る。
>>
>>
>「最後か。
>『L様最高! 追いかけるSもなんて純情! 素敵!』」
>「舞い散る雪の中,ないすばでぃな金髪の美女,それに魅せられた一人の男! 吹雪様,最高ですっ!』だそうです」

吹雪:純真街道一直線(笑)
白亜:とても長編で薔薇キャラを作ったとは思えない人の文章。
吹雪:ほっとけよ。

>「なんかいい雰囲気だけどよ。
> なんだかんだいって,世界を滅ぼすんだろこの二人」
>「そ,そうかもしれませんけど。
> でもっL様は私たち生あるものの王でもあるわけですからね」
>「結局はあの女の気まぐれに左右されるってことか……」

吹雪:S様は迷ってます。人間の部分がありますからね。大半支配してるのもレイの方だし。
白亜:Lも似たり寄ったりだけどね。
吹雪:神であり魔である存在だしね。

>「大丈夫です! 部下Sをいつものようにドツキまわしてくださればっ世界は平穏無事ですっ!」
>「……いーのかそれで」
>「終わりよければすべてよしっ!
> ということで,吹雪様,リクエストに応えてくださってありがとうございましたー」(ぺこり)

吹雪:いえいえ、書いてて楽しかったです。恋愛系統は初挑戦かな?
白亜:良く書けたよね。本当に。

>「次に書くのは?」
>「なんか私たちのお話みたいですよ」
>「じゃあこうしてくれ。
> 生ゴミとこいつの大喧嘩。見てて面白いから」
>「なっ……!! ヴァルっ!!」
>「それか俺がリナ=インバースを叩きのめす話」
>「ちょっ……ヴァルったら!!」
>「それか俺とゼロスのリターンマッチでもいいな」
>「待ちなさいっ! なんでそんな殺伐としたお話ばっかりなんですかっ!!」
>「じゃあな,書けたら書いてくれ」(瞬間移動)
>「に,逃げるなんてひきょーですよ──────っ!!」(ドラゴン形態)

吹雪:うっふっふ、了解。ゼロスとフィリアの大喧嘩。
白亜:んでリナを叩きのめす話・・・。
吹雪:それはギャグオチっぽいな。
白亜:ゼロスへリターンマッチ。
吹雪:それもギャグオチっぽいなぁ。そうだなぁ、王道でもやるか。
白亜;王道?
吹雪:・・・・・・クックックックッ(怪しい邪悪な笑い)

> というわけで,今回はこの二人に任せてみました。
> L様とSにしようかなとも思ったんですけど,それだと、
>
>
>「そんなっ!! L様がこんなきれいで優しいわけないじゃないですかっ!!」
>「そこまでゆーかああああ───っ!!」
> どかばきごげぐしゃっ!!
>
>
> ってばっかりになっちゃうんで(笑)。

吹雪:十分ありえますな(笑)いや、それはそれで面白いかも!?

> ほんとにほんとにありがとうございました。超嬉しいです。
> クリスマスがあるとしたら,それはきっとL様の誕生を祝う日……なんでしょうねきっと。
> おめでとーって言わないと大雪になるとか。
> 捧げ物をしないと凶器が空から降ってるとか。
> そんな素敵に恐ろしい日(いやだそんなの)。

吹雪:個人的に血の雨(待てや)

>>・・・・・学園モノにしようか、パラレル。アイキャッチからヴァルはどっかの組長の息子(笑)、フィリアは看護士。ヴァルは生傷耐えないので常連。片思い。んで芽生え行く愛(笑)
>>前にそーゆーパラレル小説があったなぁ。
>
> あは,もしかしておんなじのを読んだかも。
> あーゆーのもいいですねっ。
> では,何度も何度も言わせていただきます! ありがとー!!でした!

吹雪:いえ、どういたしまして。では・・・今度はヴァルフィリ短編で!!
白亜:またねー。

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27953Re:聖なる夜は、雪と消えてはるか 2003/11/6 22:28:47
記事番号27790へのコメント

こんばんは。はるかです。
ヴァンパイヤが十字架ダメかどうか・・・・・・か。
15巻エイプリルの事件簿みたらわかるかも・・・。
(プライド・オブ・ダークネス)

う〜ん。L様かわゆいっす!(L様ファン)
凶暴なL様(ど失礼)も母親L様もいいけど、少女L様もいい〜!!

新しいL様を見つけられた作品でした。(笑)

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27962乙女チックなL様・・・・、・・・・殺されないかなぁ(ぽつりと)夜宵 吹雪 E-mail 2003/11/7 18:47:18
記事番号27953へのコメント

どうも貴重な情報せんくすです!
んー、十字架が苦手ってことは、やっぱ十字架は竜神信仰において使われてるんでしょうか。
そこいらが気になってます。
すぺしゃるは読破しておりますが何分だいぶ前なので・・・・記憶は彼方にあります。

・・・こんな似非Lサマでよろしいのでしょうか?
いや、ホント苦情が来るのかなって思いました。
読み直してこれは誰だ!と叫びましたし・・・・・・(汗)

ま、喜んでいただければ幸いかな、と。

こんな私ですか、いつかまたお会いできることを祈って・・・・・。