◆−dream〜夢〜−エーナ (2003/11/1 17:14:12) No.27858
 ┣dream〜夢〜 一話−エーナ (2003/11/1 19:10:25) No.27859
 ┃┣次を楽しみにしています!!−すぅ (2003/11/1 20:38:47) No.27862
 ┃┗はじめまして−純そば茶屋 (2003/11/1 21:43:19) No.27866
 ┣dream〜夢〜 二話−エーナ (2003/11/2 10:47:46) No.27874
 ┃┗dream〜夢〜 追加裏設定−エーナ (2003/11/2 23:45:14) No.27888
 ┣dream〜夢〜第三話−エーナ (2003/11/7 23:59:17) No.27967
 ┗dream〜夢〜第四話−エーナ (2003/11/9 09:56:03) No.27980


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27858dream〜夢〜エーナ E-mail 2003/11/1 17:14:12




始めまして。エーナです。
もぉとてつもなくしょぼいものですが、それでもかまわない方のみ下の文を読んでいただけるとうれしいな、と。

ってか。皆さんのイメージとエル様が大幅に違います。
読んで拒否反応を起こされても石を投げないでくださいね(おい)。



∞ ∞ ∞ ∞ ∞



dream〜夢〜

プロローグ







――ねえ、幸せ?

「ええ。幸せよ」

――本当に?

「もちろん」

――しょっちゅう魔族に襲われて、怪我をして。それでも幸せ?

「しつこいわね・・・幸せだって言ってるでしょ?」

――・・・そう。『あなた』は、新しい幸せを見つけたのね・・・
でも、『あたし』は、過去にあった幸せを探し続けている・・・あたしは、幸せ?

「知らないわよ。そんなもの。幸せは自分で見つけるのよ。過去に縛られてどうするの。
明日へ歩みださなきゃ、何も見つけられないわ。
でも、気付かない幸せだってあるもの。あたしはそれに気付いた。だから幸せ」

――あなたは、強い。あたしも、強くなれる?

「自分しだいでしょ」

――あたしにはない、その輝き・・・あたしも夢を、見てみようかしら。

「・・・え?」






△ ▲ △ ▲ △





どうでしたか?
・・・って、こんなに短くちゃコメントのしようがないと思いますが。


――あんた、あたしがイメージと違うってどういう意味よ・・・?



にょああっ!?



――天誅っ!


ざっす。


――さて!エセ物書きが沈黙したところで、あたしがあとがきを占領・・・
  ・・・って、ほんとに短いからコメントできないわね・・・
  まあいいわ。このお話はあたしが主役だそうだから。
  アディオス!次も読んでね〜♪







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27859dream〜夢〜 一話エーナ E-mail 2003/11/1 19:10:25
記事番号27858へのコメント




前書き


こんにちは!エーナです。
さて、第一話の始まり始まりぃ〜♪




dream〜夢〜

第一話




こぼれる朝日。小鳥が気持ちよさそうに鳴いている、ゼフィーリアのとある朝。
あたしはむくりと起き上がり、あくびをひとつ。

「・・・さて、と!朝ごはん作んなきゃね〜♪」

着替えを済ませ、あたしは大きく伸びをする。朝の空気が気持ちいい。
とたとたと階下へおり、朝ごはんを作り始める。

「えーっと・・・昨日のシチューがあったわね。それをあっためて、サラダを作って・・・
そうそう。特製ドレッシングも忘れちゃダメよね。
昨日の夕方、おいしそうなお魚さんを買ってきたから・・・さばいて香草蒸しにでもしようかしら」

慣れた手つきで包丁を扱うその手の薬指には、銀色に輝く指輪が。
――そう。結婚指輪だ。

「よぉし!後はテーブルに並べるだけっ。ガウリイ起こして来なきゃね!」

オリハルコンの結婚指輪。
ガウリイのプレゼント。
ガウリイってば、あたしの家に着いて家族が全員そろうなり、

『リナと結婚させてください!』

・・・だもんね。あたしゃびっくりしたぞ。・・・嫌じゃなかったけど・・・いや、むしろうれしかったような・・・
ああもうっ!ここで恥らってどーする!
とにかく。
あたしがルークと戦ってからもうすぐ10年。郷里に帰ってからは9年10ヶ月ほどたつ。
ガウリイの突然の言葉には、意外にも家族全員、
『本人がいいんならいいんじゃないの?』
とのこと。即座に結婚式の日取りが決まり、翌週にはスピード結婚。
あたしもこれにはちょっとあきれた。
そしてあたしには、大切な人が二人。

あたしは今、幸せだ。

「ガウリイ!朝ごはん作ったから起きなさいよ!下りてこなきゃ朝ごはんはなしだかんね!」

どたっ。どたがたどんがらっ!

「お・・・おはよう。リナ」

「・・・あんた・・・転げ落ちる以外に階段下りる方法知らないの?」

 あたしは呆れつつもくすくす笑い、ガウリイに言ってやる。

「だってよぉ・・・リナが、下りてこなきゃ朝メシ抜きだなんていうから・・・」

 いぢけつつも言うガウリイ。

「だってよぉ・・・ぢゃあないわよ。まったく。
父親ともあろう者がそんなことでいいと思ってるの?」

「・・・思わない」

階段の板を踏む軽い音。

「ふぁ・・・母さん、おはよ。父さんまた落っこちたの?」

「ははははは・・・」

ガウリイが乾いた笑いを漏らす。
この子はルキ。あたしとガウリイの子供だ。年は八歳。少し大人びているので十歳くらいに見える。
金髪と紅い瞳を持つ、どうひいき目に見てもかわいい娘である。

「おはよう、ルキ。さ、ご飯食べましょ?」

「うん!」

 にっこりとルキは笑い、三人で朝食。
言うまでもなく――ご飯の争奪戦が繰り出されたことを記しておこう。



食事が終わり、他愛もないおしゃべりをする。

「・・・ねえ、ガウリイ、ルキ」

 あたしは、かねてから考えていた事を口に出そうとしていた。

「旅に行きましょう?」

「お、おい!?ルキはまだ8歳だぞ!?」

「もちろん一人で行かせる訳じゃないわ。三人で行くのよ」

「あたし行きたい!母さんや父さんが見たもの、見たところ、行ってみたい!」

 目をきらきらさせるルキにあたしは微笑む。

「でも・・・」

渋るガウリイ。

「あたし、魔法もいっぱい習ったんだよ?
一生懸命勉強して、実戦も(盗賊つぶし)したよ?
あたし、強くなりたいの!母さんみたいに!」

「・・・ったく・・・しょうがないな・・・」

「いい、ルキ?ひとつだけ約束して。
あたしの言う事はよく聞く事。戦う時は、生き延びる事を第一に考える事。いいわね?
それが守れないのなら、あたしたちはあなたを旅には連れて行けないわ」

「うん!約束する!」

かくして、あたし達の旅は始まった。





後書き


――・・・何?この支離滅裂な文章は。

すみません・・・文才ないんですよ、私・・・

――これ、ほんとにあたしが主役なの?

もちろんです!
お話の説明をするにあたって、リナが出張ってますけど、ちゃんとエル様が主役です。

――まあいいわ。次の話こそあたしを目立たせなさいよ!

仰せのままにっ!(汗)




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27862次を楽しみにしています!!すぅ E-mail 2003/11/1 20:38:47
記事番号27859へのコメント

こんばんあ。はじめまして!
dream〜夢〜 一話読ませていただきました。
子どもとですぁー
面白い展開になりそうですね♪
次を楽しみにしています!
であ、すぅでした☆

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27866はじめまして純そば茶屋 2003/11/1 21:43:19
記事番号27859へのコメント

とりあえず、タイトルに惹かれて読みました。
期待通りです、いや、それ以上
リナとガウリィとその子どもの旅、
これは意外と読みたかったのかもしれません。
これからも期待してます。
短いですが、では、また




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27874dream〜夢〜 二話エーナ E-mail 2003/11/2 10:47:46
記事番号27858へのコメント



前書き

エーナです。今回のお話、ガウリイ出てきません。

――あんた、やる気あるの?

ありますです。もちろん!とにかく評価はお話を見てからに・・・

――・・・・・・・・・。(ジト目でスコップを構える)

そ・・・それではどーぞ!





Dream 〜夢〜 第二話




づごぼぅん!

夜の森に、ド派手な閃光がはなとなって咲き乱れる。
それにまぎれて、こげた油っぽいオヤジたちが逃げ惑う。

「火炎球〔ファイアー・ボール〕!」

 ごぅん!

「さっすがあたしの娘!筋がいいわ!」

母さんがあたしの魔法をほめ、目がぴきーんと光っている。
この状態は、お宝の事で頭の中の5割がたが占められている証拠だ。
ほめてくれるのは嬉しいけど・・・なんだかなぁ・・・
まあ、とにかく。あたしは母さんと恒例の盗賊いぢめに来ている訳だが、ここまでくるのにはそれはもぉ大変だったのだ。
最初、あたしがこうやって盗賊いぢめをするのには、父さんも母さんも反対した。
しかたなく、あたしはポイントを稼いで、夜中、母さんについて行っても大丈夫だという事を証明しなければならなかった。
あるときは盗賊を氷結弾〔フリーズ・ブリッド〕で凍らせ。
あるときは偶然であったデーモンをオリジナルの術でなぎ倒し。
そして!なおも渋る父さんを眠り〔スリーピング〕であっさりと倒して今ここにいる。
ああ、病み付きになりそう・・・
盗賊いぢめの感動よ、永遠なれ!

「母さん、適当に蹴散らしたし、お宝物色いこーよ!」

「ぃよぉっし!んふふふふふふ・・・」

ま・・・間近で見るとちょぉっとばかし怖いかも・・・いや、単に目線が低いからか?
おもいつつ、母さんはあたしを、抱え・・・てぇぇっ!?

「翔風界〔レイ・ウイング〕!」

「か・・・母さんっ!それ使う時は言ってよっ!」

「お宝っ!あたしを待ってるお宝さんっ!今行くからねぇっ!」

き・・・きいちゃいねぇ・・・

「母さん、前、前っ!」

すかんっ!

母さんは黒い人影を無視して問答無用で弾き飛ばし、あたしたちは松明で内部を照らされたお宝こんもりの部屋へ。

「おぉっ!なかなかいけてるじゃない!
オリハルコンのペンダント、プラチナでできた、宝石じゃらじゃらのゴブレット(コップやワイングラスのようなもの)・・・」

魔法を解いてはしゃいでいる母さんを尻目に、あたしは今来た方向を見ていた。
今の人影・・・もしかして・・・

かさり。

あたしは軽い音をその耳にとらえ、足元を見る。
無造作に束ねられた、羊皮紙の束が目に入る。
どうやら、いつの間にか踏んでいたようだ。
あたしはそれを持ち上げ、中身を――

「・・・!」

あたしはそれを閉じ、入り口を凝視する。

「・・・お嬢さん、それを渡していただけませんか?」

その声に、母さんの手がぴたりと止まる。
月明かりに照らされたその影は・・・

「・・・ゼロス」

「おや、リナさんじゃないですか」

「何のよう?」

「そちらのお嬢さんが持っている、『それ』ですよ」

 松明の火が、ぱちりとはぜる。

「ルキ、何を持ってるの?」

「・・・たぶん、写本。異界黙示録〔クレア・バイブル〕の」

「・・・なるほどね。ルキ、それをそいつに渡して・・・ルキ?」

あたしは微動だにしない。目の前にいる魔族を見ているだけ。
その様子を見て、ぴくりとゼロスが反応する。

「・・・はい」

あたしはおとなしく写本を差し出す。

あたしは幸せ。
母さんや、父さんと一緒にいられて幸せ。
ご飯を食べて。おしゃべりをして。盗賊を蹴散らして。
まだ。まだ彼女たちのそばにいたい。
だから、あたしはまだ人間で在らなければならない。
たとえそれが、ほんの少しの間の夢であったとしても。

ゼロスはあたしが差し出した写本をためらいながらも受け取る。
ゼロスはぱらぱらと中を見て・・・そして閉じる。
ぼっと青白い炎が写本にともり、灰も残さず消える。

「・・・それでは、お二人とも。縁があったらまた会いましょう」

「ンな変な縁なんぞいらんわっ!帰れお前は!」

「ええっ!?一期一会ってことわざがあるじゃないですか!出会いは大切にしないと!」

「・・・あたしは腐れ縁は嫌いなのよ!」

「母さん・・・そんな事言ったらゴッキー・ゼロスがかわいそう!」

「さり気にあなたもひどい事言いますね・・・」

「三十匹に増殖しそうなやつに言われたくない」

「しくしくしくしく・・・」

あたしのその言葉に、ついには人魂オプションをつけていぢけるゼロス。

「じゃあ母さん、宿にもどろーか」

「そーね。中間管理職なんてほっといて」

 震える黒い塊を無視して、あたしたち二人は宿へと戻った。




後書き

ど・・・どうでしたか、エル様?

――・・・合格!ちゃぁんとあたしが出張ってるじゃないの!

よかった・・・エル様の凶悪なお仕置きを受けると思うと、寿命が・・・

――誰が凶悪って?ねえ、エーナちゃぁん♪

っひいいいいいいい!

――でぇいっ!

ぞふっ。づがこばどむ。

――さて!エセ物書きも沈黙したところであたしがこのお話の裏設定を説明をするわね。
  このお話は、一話にも書いてあったとおり、ルークと戦ってから10年ほどたった時間を舞台にしてるわ。
  そして、リナが結婚してできた子供、ルキがあたしというわけ。
  みもふたもない言い方をすれば、混沌でリナたちの様子を見るより一緒にいたほうが楽しいかなと思ったあたしが、彼女らの子供として降臨。
  プロローグでしつこくしつこく幸せかと聞いて、リナが幸せだと答えたわけだけど、これは夢の中での話となってるわ。
  リナは覚えちゃいないけどね。まあ、夢なんてそんなものでしょ。
  ちなみに、ルキとしての魔力容量〔キャパシティ〕は伝説とされている魔法、暴爆呪〔ブラスト・ボム〕くらいの術を扱える程度。
  魔力容量〔キャパシティ〕を人間に近づけようと幾重にも封印を自分でかけているんだけど、どうしてもこれが限度。
  でも、人間として暮らすのにはこれくらいがちょうどいいかなあとあたしも思ってるわ。
  しかぁし!この魔力容量〔キャパシティ〕の程度が、とあるいくつかの『前例』にぴったり収まっちゃったわけで、魔族や神族にはしっかり勘違いをされちゃうわけよ。おっと、これはネタばれね。
  ところで、ルキの精神とかそういうのがどうなっているかというと、混沌にある本体の一部を憑依させて、切り離す。この時点だと冥王〔ヘルマスター〕と同じくらいなんだけど、Sくらいでもばれないように隠しながらその上に封印。その間混沌のほうにあるあたしの本体は、意識をこっちに集中させてるから休眠状態。まさしく夢を見てるわけね。
  この時点で出来上がってる設定はこんなものよ。それじゃあ、またね〜♪






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27888dream〜夢〜 追加裏設定エーナ E-mail 2003/11/2 23:45:14
記事番号27874へのコメント



こんにちは。エーナでぐんむ!?

どん。ごがががががが・・・

――さて、しょっぱなからエセ物書きをいらない紙束と一緒にしたところで、追加設定よ。
  ルキについて、もうちょっと詳しく説明するわ♪
  ルキのフルネームは、ルキ=ファー=ガブリエフ。
  ちなみにこの名前、意外にも語源があるのよ。
  それはたぶん本編中で明かすと思うけどね。
  ヒントはつづり。
  これは悪夢を統べる存在〔ロード・オブ・ナイトメア〕の本名と予想される名前を調べたほうが早いと思うわよ。
  それじゃあ、またね♪


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27967dream〜夢〜第三話エーナ E-mail 2003/11/7 23:59:17
記事番号27858へのコメント



どうも!エーナです!
ちょっとばかり間が空きましたが、三話目をアップ。
季節は冬の初め。
それではどーぞ!





Dream〜夢〜
        第三話



とめどなくあふれる鮮血。

倒れる身体。

虚ろな瞳は、もう何も映さず、空から降る光を反射するだけ。


「――っ!」

 あたしは跳ね起き、荒い息をつく。

「・・・夢・・・・・・か。悪夢ね・・・悪夢を統べる存在〔ロード・オブ・ナイトメア〕がこんな夢見てちゃ、世話ないわ・・・」

じっとりと汗ばむ体。
両隣には両親がすやすやと眠っている。

「・・・・・・何が不安なの・・・?あたしは・・・」

再びベッドの中にもぐりこみ、目を閉じるが、眠れそうにない。

「・・・・・・・・・・・・・・・」

あたしはそっと起き上がり、父さんと母さんを起こさないようにベッドから抜け出す。
あれから・・・ゼロスと鉢合わせしてから、どうもあたしは変だ。

「人間二人が死んだからって何?彼女たちがいなくなったらなんだって言うの・・・?」

あたしはテーブルの上においてあるオリハルコンのペンダントを手に取る。
この前、ゼロスと鉢合わせした時に盗賊のアジトにおいてあったものだ。
9歳の誕生日に、母さんがプレゼントしてくれた。
ちゃらりと鎖がなり、あたしはそれを見つめる。

「・・・確かに・・・彼女は強い。・・・でも、人間。ただの・・・人間・・・」

あたしはなんとなく面白そうだと思ったから、今ここにいる。
でも、実際彼女のそばにいて、彼女を見ると・・・

「・・・楽しくない」

彼女は、いつでも前に進もうとしている。それは茨の道。
彼女は後ろを振り返ろうとしない。自らの意思という道しるべのもと、命すら削る道。

「・・・楽しく、ない」

彼女の輝きは、天性のもの。しかし、それを生み出すのはその魂。

「ちょっと・・・風にあたっていこう・・・」

あたしは旅装を着込み、ペンダントをつける。
一階へ下り、ドアを開け・・・

「あ・・・」

雪、だ。

「そういえば・・・こうやって下から見ることはなかったっけ・・・」

あたしは手を伸ばし、雪に触れる。

「・・・冷たい。でも・・・当たり前か・・・」

「今晩は、お嬢さん。そんな格好だと風邪を引きますよ?」

ほんの少しうきうきしていた心が、一気に冷める。

「・・・何のよう?」

「おやおや。つれないお言葉ですね」

あたしのつっけんどんな言葉に、そいつ・・・ゼロスはしょんぼりした口調で言う。
無論、口調だけだ。後ろにいるから表情は読めないが、いつもの笑みを貼り付けているだろう。

「押し売りはお断りよ」

後ろを向くことなく言い放つあたし。

「押し売っているつもりはないんですけどねえ」

・・・こひつ・・・いっぺんシメてやろーか・・・

飄々としたその態度に、あたしのひたいに青スヂが浮かぶ。

「それに、僕はセールスマンじゃなくてですね・・・」

「・・・そうだったわね。ゴッキー・ゼロス」

「だからそれは止めてくださいっ!!」

抗議するゼロス。しかしあたしがまともに取り合うわけもなく・・・

「え?黒光り神官とでも呼べばいいかしら?」

と、返してやる。

「ううう・・・・・・どぉしてそうなるんですか・・・」

「そ・れ・と・も」

あたしはにまぁっと笑い、ゼロスのほうをむいてやる。

「そ・・・それとも、なんですか?」

「あたしみたいなかわいーい子供を誘拐する、ロリコン神官ってのは?」

「うげっ!?」

心底嫌そうに言うと、ゼロスが後ずさる。

なんか・・・からかうと面白いかも。

「んん〜?どうかしたのかなぁ?へ・ん・た・い・し・ん・か・んさん?」

「・・・ゴッキー・ゼロスでいいです」

そうか。変態よりゴキブリのほうがましか。

「さて、本題に入りましょうか。あなたの事だから偶然居合わせたわけじゃないんでしょう?」

「はあ、まあ、そうですね」

「改めて聞くわ。何のよう?獣神官〔プリースト〕ゼロス」

先ほどとは打って変わって無表情に言い放つ。

「・・・おや。リナさんから教えてもらったんですか?」

「あたしだって母さんの子供よ。
『母さんは』あたしに話してくれなかったけど、考えれば分るわ。
まず一つ目に、あなたは魔族。
二つ目に、『ゼロス』という名前。
一つ目に関しては、父さんから受け継がれたカンよ。自信はあるわ。
二つ目は、母さんがあなたの名前を言っていたことから確定される。
魔族は高位になればなるほど人の形に近い姿をとる事ができる。
人間の中で紛れ込んでも違和感がないくらいの高位魔族なら・・・獣王〔グレーター・ビースト〕ゼラス=メタリオムの直属の部下、獣神官〔プリースト〕ゼロスと考えられるってわけ」

当然、あたしは彼がゼラス=メタリオムの部下だと知っていたが、それを口にするのはまずい。
そして、肉体に付与された能力を理由に適当な理由をでっち上げる。

「・・・なるほど。さすがはリナさんとガウリイさんの娘さんですね。
お二人のいいところを受け継いでいらっしゃる。その、自信にあふれる感情も、リナさんに似て・・・」

「これで二人の悪いところを取ったら、短気であほうの子供よ。目も当てられないわ」

「・・・それもそうですね」

妙に納得するゼロス。

「で、三回目なんだけど、何のよう?」

「・・・話をそらそうとしたんですが・・・無理っぽかったですね」

「な・ん・の・よ・う?あ、逃げたり『秘密』ってのはなしよ」

再び質問を繰り返すあたしに、ゼロスはここをかきつつ・・・

「・・・仕方がありませんね・・・実は・・・」

ごがぁぁん!!

「・・・言うより、見てもらったほうが早いですね!」

言いかけたゼロスが杖を構え、とっさに防御する。

どうやら、今の爆発を起こしたやつとは対立しているらしい。
しかも、あたしに死なれてもらっては困るというわけか・・・

球状に散った炎の向こうから、飛び出す異形の存在〔もの〕たち。
体のサイズは30センチといったところだろうか。しかし、それに反して東部は異様にでかく、目はない。
開くと頭部が裂けるような口に鋭く細かい歯が並び、蛇の鳴き声をもっと大きくしたような音をたて、こちらを威嚇しているようだ。
ふわふわと跳ぶそれには足はなく、異様に鋭い爪を持つ腕が四本。

『しあぁあああっ!』

この生物は、この世界でも一部の・・・外の世界のとある場所、影の渓谷〔シャドウ・バレー〕に生息する、人間やゴーストの精神力をすって存在する・・・

「死の餓者〔デス・イーター〕ですか・・・小回りがききますから、飛び回られると厄介ですね・・・久々にこれを見ましたよ」

「・・・何の理由があってあたしを守るのかは知らないけど、あたしが許す程度はともかく、死の餓者〔デス・イーター〕以外に攻撃を当てたら舌噛み切るかんね。死の餓者〔デス・イーター〕による被害を出しても同じよ」

「いいっ!?そうきますか!?」

「なに?あたしに死んでもらっちゃ困るんでしょ?がんばったら?」

「・・・なんか僕・・・体よく使われてるような気が・・・」

 しくしくとゼロスは泣きつつも戦闘態勢に入る。







後書き


――なんだかきな臭くなってきたわね・・・

気に入りました?

――まだまだこれからのシーンでしょ。結構楽しみね♪

そういっていただけると幸いです・・・(よかった・・・生き延びた・・・)

――ん?今なんか聞こえたような・・・

気のせいですたぶんきっといえ絶対ッ!

――あ、そういえばこんなものが家にあったのよね!巨大くるみ割り人形!

うっわ!?全長20メートル!?

――とりあえず割られときなさい。

あたしはクルミじゃ・・・

ばりん。ぼりごりん。

――さて、エセ物書きが殻の柔らかい中身をぶちまけたところで終わ・・・っとと、ちょっとばかり裏設定の補足。
  夢を見ていると表現したけど、混沌の海にあるほうが休眠状態だからと言って、元に戻ってみると忘れちゃった♪・・・なんて事はないわ。ちゃんと実際に体験してる事だからね。
  ・・・そうえば、今回はガウリイもリナもぜんぜん出てこなかったわね・・・代わりにゼロスが出張ってるけど。
  まあとにかく。また読んでね〜♪



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27980dream〜夢〜第四話エーナ E-mail 2003/11/9 09:56:03
記事番号27858へのコメント


エーナです。休日なのでアップ!
ああ、休みってすばらしい・・・
それはおいといて、今回どうなっている事やら!
どうぞ!見てやっておくんなまし!(謎)






Dream〜夢〜
      第四話


死の餓者〔デス・イーター〕に噛みつかれようが、あたしは蚊が刺したほどにも感じない。
・・・そう。肉体があるのに、だ。
これに噛み付かれたら、封印の内側にあるあたしの精神が無理やり引きずり出され、瞬時に傷を治すだろう。・・・混沌の海とじかにつながり、エネルギーをあふれさせて。
こうなれば、人として生活するのは難しい。

「烈閃槍〔エルメキア・ランス〕!」

『しゃぁうっ!?』

飛び回っていた一匹がぼとりと落ちる。

「数が多すぎますね・・・黒魔法とか使えないんですか!?」

「使えんっ!」

数の多さにいらいらしつつ、なかばやけくそに言い放つ。

「どーしてですっ!?」

「どーしてもよっ!」

ゼロスは釈然としないものを感じつつ、それきりそのことは言わなかった。

使おうと思えば、使えない事はない。しかし、前に塵化滅〔アッシャー・ディスト〕を使おうとした時、あたし自身の力とみょうな相互作用を引き起こして、封印が破れそうになったのだ。あのままいけば塵化滅〔アッシャー・ディスト〕で完全版ギガ・スレと同じ効果がでていただろう。あれにはあたしもびっくりしたぞ。

「ルキさん、後ろ!」

いいっ!?

「エルメキ・・・」

あたしはとっさに振り向き、術を放とうとする。・・・が。

間に合わない!?

それは牙を覗かせ、こちらへまっすぐに突進してくる。

「・・・ア、ラン・・・!?」

ぞんっ!

死の餓者〔デス・イーター〕の頭が、断ち割られ、た。

「父さん・・・!?」

「ルキ、大丈夫か!?」

「・・・うん。ありがとう」

「烈閃槍〔エルメキア・ランス〕!」

母さんだ。
どうやら二人とも、爆発の音で飛び起きてきたらしい。

「ルキ、『あれ』やりなさい!」

「うん!援護お願い!」

母さんの声に、あたしはうなづき、呪文を唱え始める。

「――闇よ、光よ。汝の化身らよ。我、悪夢を統べたもう王の名のもとに、今ここに、我が敵を撃て!」

「ゼロス!滅びたくなかったら精神世界面に引っ込んでなさい!」

「え?あ、はい!」

母さんの忠告に、素直に従って虚空へと消えるゼロス。

「闇六望破呪〔ルーン・オブ・ダークネス〕!」

これは、あたしの直属の部下たちの力を『呼び寄せる』呪文。
あたしの意思に従い、周囲六箇所に出現した闇の球は小さな弾をはきだし、それらは次々に浮遊している死の餓者〔デス・イーター〕たちに直撃する。
この前、デーモンたちを葬ったのもこの術だ。もったいないというなかれ。雑魚をいっそうできる上に魔力を消耗しないのだ。
何しろ、これはあたしの部下たちの力を呼び寄せるだけである。何も呪文の形式をとる事はないのだが、『部下B、やれ!』とか、『部下V、ザコを一掃しなさい!』とか、『部下A、やらないとお仕置きっ!』とか混沌の言葉〔カオス・ワーズ〕で言うわけにはいかないのだ。ンなことしたらばれる。絶対。

全ての死の餓者〔デス・イーター〕たちが闇へと還る。

「・・・ふう」

あたしはため息をつく。それと同時にゼロスが姿を現した。

「やりますねえ。さすがはリナさんの子供といったところでしょうか」

「あたしの自慢の娘よ。凡才なわけがないわ!」

母さんが自信たっぷりに言う。

『・・・くくく・・・まさか人間ごときがここまでやるとはな・・・』

くぐもった声が響く。どうやらこの声の主が最初の爆発を起こしたらしい。ゼロスにあっさり防がれていたが。
・・・でも、なんかやな感じ。

「あんた、神族でしょ?出てきたら?」

「それとも、あたしたち人間にやられるのが怖くてでて来れないとか?」

あたしの言葉を継ぐようにして、母さんが言う。

『ふん・・・そちらにはゼロスがいる。そいつ相手では少々きついのでな・・・』

ちっ。引っかからなかったか。

「ほう。じゃあザコね」

『・・・何?』

「だって、ゼロス程度相手にきついなんて言ってるようじゃ、ザコ以外のなんだって言うのよ♪」

「えっと・・・ルキさん?僕ってザコよりちょっとましって程度なんですか?」

「何言ってんのよ。ザコの中でも上のランク程度ってとこかしら。文句ある?ゴッキー・ゼロス」

「しくしくしくしく・・・」

あ、いぢけた。

「うぷぷぷ・・・さすがはあたしの娘っ!ゴッキー・ゼロスと言い切る上にザコ!お腹よじれそう・・・」

「リナ、ゴッキー・ゼロスとザコさんがかわいそうだろ?」

うを、なにげに父さんも言ってるし。

『え・・・ええいっ!我が名はレファグロン!覚えておけっ!』

声はそれきりぷっつりと途絶えた。

あたしはすみで人魂と斜線をオプションにつけていぢけているゼロスの首根っこを引っつかむ。

「どういうことかしら?あたしが神族に理由、話してくれるわよね?」

「・・・ゴッキー・ゼロスって呼ばなくなったら考えてもいいです」

「あ、そ。ぢゃあロリコン神官、理由教えてくれるわよね?」

「もっといやですっ!ゼロスって普通に呼んでください!」

ずるずると引きずられながら、ゼロスは抗議する。

「闇よ、光よ。汝の化身らよ・・・」

「ごめんなさいっ!わがまま言った僕が悪うございました!」

「よろしい。で、ホントに何なの?」

「・・・赤眼の魔王〔ルビー・アイ〕様です」

「・・・ってこら待て!あたしの中にシャブラニグドゥがいるって思ってるわけ!?」

当然、そんなわけがない。あたしは悪夢を統べる存在〔ロード・オブ・ナイトメア〕だ。

「・・・そういうことです。あなたの魔力容量〔キャパシティ〕は人間としては以上に高い。
と、すれば・・・赤眼の魔王〔ルビー・アイ〕様がいる可能性があるかと。
正直言って、神族側は可能性が高いと思っているようですね」

んなもんゼロに決まってる。
しっかし・・・厄介な事になってきたなあ・・・







あとがき

L:さて、お話が進んできたところで、あたしが作者の代理をするわ。

エ:・・・うう・・・

L:ちっ・・・とどめを刺しきれてなかったか・・・部下A!やっておしまい!

A:はい!了解いたしましたわ、L様!

ごすん。

L:ほう、外国の児童図書ではややマイナーなアルテ○ス・ファウルの第二巻の角で沈黙させるとは・・・おぬしも悪よのう。

A:いえ!L様ほどじゃ・・・

びすっ。

L:口は災いの元ね。V、片付けときなさい。

V:・・・了解いたしました。

無言で片付けるV。

L:まあ、作者もアシュタロスも沈黙したところで、ここであとがきはおしまいよ。
  ・・・おっと、Aの本名出しちゃったわ。・・・まあいいか。またよんでね〜♪