◆−またまた、新作…(汗)−猫斗犬 (2003/11/16 18:46:30) No.28157 ┣偽りの双子たち】 〜Select Target Slayers 2〜:プロローグ−猫斗犬 (2003/11/16 18:47:15) No.28158 ┣【偽りの双子たち】 〜Select Target Slayers 2〜:1話−猫斗犬 (2003/11/16 18:48:13) No.28159 ┗【偽りの双子たち】 〜Select Target Slayers 2〜:2話−猫斗犬 (2003/11/16 18:51:27) No.28160 ┗Re:【偽りの双子たち】 〜Select Target Slayers 2〜:2話−はるか (2003/11/16 19:35:22) No.28163
28157 | またまた、新作…(汗) | 猫斗犬 E-mail URL | 2003/11/16 18:46:30 |
こんにちは猫斗犬です。 今回はまたまた新しい作品の投稿です。 作品名 【偽りの双子たち】 〜Select Target Slayers 2〜 です。 と、ここで、この作品の説明をば。 この作品はタイトルでもわかるとおり、先週から始めさせていただいた、 【Select Target Slayers】 の第2部に当たる物です。 つまり…続編ということ…(汗) いや…まあ…そう言っても…1部とは別物と読める用に作りますけど… では…では… |
28158 | 偽りの双子たち】 〜Select Target Slayers 2〜:プロローグ | 猫斗犬 E-mail URL | 2003/11/16 18:47:15 |
記事番号28157へのコメント 【偽りの双子たち】 〜Select Target Slayers 2〜 プロローグ とある街に、とっても仲の良い双子の姉妹が住んでいました。 お姉さんは明るくて行動力があり、妹思いの女の子。 妹はおとなしくて優しく、お姉さんを慕うちょっぴり泣きむしな女の子。 本当に仲の良い姉妹。 しかし、2人が中学卒業した矢先、お姉さんが行方不明になってしまいました。 彼女に家出をする理由がありませんでした。 事故が起こったという形跡もありませんでした。 ただ、妹とおそろいのキーホルダーがとある道端で落ちていたと言う事実だけ。 妹はお姉さんが無事に帰ってくることを願いました。 何度も── 何度も── 何度も── 無事でいることを願いました。 何度も── 何度も── 何度も── 会いたいと願いました。 何度も── 何度も── 何度も── そして──半年── 神様が動き始めました。 彼女の純粋な願いの為に── |
28159 | 【偽りの双子たち】 〜Select Target Slayers 2〜:1話 | 猫斗犬 E-mail URL | 2003/11/16 18:48:13 |
記事番号28157へのコメント 【偽りの双子たち】 〜Select Target Slayers 2〜 第1話 最近、あたしは夢を見る。 眠っているときに見るものじゃなくて、あこがれたりするほうの夢── それはごく普通の生活── ちょっとした事で、笑ったり、泣いたり、怒るの。 友達は結構いたとしても、親友と呼べる人は2人?ううん…3人ぐらいかしら? そんな彼女たちといるといつも楽しい気分になるんだ。 そして…いつかは恋をして、その人を思うだけで赤くなる。 いいなあ…きっと…かなうよね…きっと…いつか… あたしにだって── 1.『あたしの名はリナ=………ガブリエフ…です』 〜LINA〜 レイナ=ガブリエフ、4才とその父はいつも家族でよく来る草原に来ている。 と、言っても今回あたしは用事があったので、一緒に行けないから本当にそこに行っているのかは定かじゃないけど…夫が行くって告げていたから多分そこに行っているとは思う…道に迷っていなければ…の話だけど… きっと、レイナはスポット(レイナが命名した1年前から飼い始めている犬の名前…ある意味その名前を聞くと笑ってしまう者もいるかもしれない)と駆けっこをして、その姿を見ながら父親は微笑み、今ごろ妻は「どうしてるんだろう」とか「暴れてなければいいが…」などと考えているのだろうか… ──で──その夫の心配はまだ起きてはいなかったが、あたしはそのような近い状態までに達していた。 もし、昔のあたしならすでに火炎球か爆裂陣かなにかでその場をふきとばしていたと思う…大人になったものね、あたしも… あたしことリナ=ガブリエフ、旧姓インバースの両隣では、おもいっきし唾なんぞを飛ばしつけながら60になるかならないかの2人のじいさんが口論し続けている。 我慢の限界に達しようとしているあたしは拳をわなわなと震わせ、思わずその手に魔力をともらせようとしているのだが… 増幅アイテム(手作り)である左手のブレスレットが、その魔力に過敏に反応し、淡い光を生み出している。 「やはりここは一挙にカタート山脈に攻め入るべきじゃ!」 「いいや、今ではまだ勢力がたりん、もっと時間を稼ぐべき!」 セイルーン国に在籍を置く、北魔道士協会評議長と南魔道士協会評議長がお互いをにらみつけ叱責する。 この二人、事あるごとに喧嘩をする。 できれば二人の間に座っているあたしの身もすこしは考えてほしいものだが… 「この、弱虫じじいが!」 「なんじゃと頑固じじい!」 …まずむりか… この2人のじいさんの他に、この部屋には西の評議長であるこのあたしに東の評議長。この国の大神官であるシルフィールの叔父グレイさんにそのしたっぱ、東の神官長のシルフィール、その他の西南北の神官長。この国の魔道士協会をまとめる…ようするにあたしの上司かな?…評議会長でありセイルーン第一王女のグレイシア=エイル=ウェヌス=セイルーン、通り名は白蛇のナーガ…こいつが会長になった時、本気で評議長を辞退して故郷に帰ろうかと思ったわよ、あたしゃあ…このセイルーン王国の国王フィリオネル=エル=ディ=セイルーン。そして昔のあたしの旅仲間、セイルーン第二王女のアメリアと、つい最近に彼女との婚約が決まったゼルガディス…人間バージョン…がいる。 ちなみにゼルガディスはあたしがしっている昔の邪妖精や石人形と合成された時の姿ではなく、一人の普通の人間としての姿をしている。 といってもまだ完全な人間に戻れたわけではない。ゼルが言うには、事細かな説明は全部省いて「ある物を代償に邪妖精や石人形を体の中に封印した」だそうである。 その説明で理解できない人に補足説明をするとすれば、「視力を代償に魔王シャブラニグドゥを封印されたレゾくんの方法と同じ事をした」である。 さて…今の説明で理解できなかった人、あたしが小包輸送した炎の矢をセットに、ガウリィ=ガブリエフ脳を持つ人間って命名してあげよっか(ハート) ほんきだからね…………………こほん…とりあえず、話を戻そうか… 『うぬぬぬぬぬぬぬ…』 二人のじいさんたちのにらみ合いはまだ続いている。 二人が喧嘩になったのはここ数日の間にあらゆる国で起こっている事件が原因だった。 それは魔族がらみの事件──例えば、ある国の国王が命をねらわれたとか、ある国の一角が爆音と共に破壊されたとか、数多くのレッサーデーモンらしいものによる被害に、小さいが数百の隕石が国中を襲った、などなど。 まあ…実際には魔族の存在は確認されていないって、言われているけど… それに被害が建物関連だけで直接、人による被害…死亡者や怪我人…はいっさいないというのはちょっと気になるんだけどね。 というわけでまだ被害が起こっていないにしろ、やはりこれだけの大国もきっと狙われるってんでいきなし収集がかかったわけなのだが…ここで北の評議長がすぐにアストラル世界とこっちの世界の通り道であるカタート山脈に責めるべきじゃと言い、それに反して南の評議長が反対したというわけ… 『うぬぬぬぬぬぬうううぅぅぅ』 「…あのぉ〜2人ともそろそろ…」 あたしは二人の間に割って入り止めようとしたが… 「せめる!」 「だめじゃ!」 むに…むにゅ… 「んにぃひゃっ!」 突如、胸からダイレクトに伝わってきた2つの感覚に、あたしは思わずわけの分からん悲鳴を上げる。 「おおー…これは…」 「…見事に整った…さすがリナ殿」 スケベそうな顔をして口元をゆるませる2人。 「ぬうわにがさすがだ!爆裂陣!!!」 きゅごどあぁ!!! そして、会議は一時中断とされた── 「…え…え〜と…それでは改めて…」 「攻める!」 「だめじゃ!」 懲りないじいさんたちである… 「…おや…おや…何か楽しそうなお話をなさってますねぇ〜皆さん(はあと)」 いつもどおりにそれは唐突。 誰もいない、空けられた1つの空席に座る人、一人。 その空白の席に、ニコ目にニコ目を深く重ねた、おかっぱ頭の男。 「だ、誰だきさまわ!!」 護衛兵が慌てて身構える。 「あら?ゼロスじゃない。久しぶりねぇ〜いつからいたの?」 「そこのお二方がリナさんの胸を触って吹き飛ばされるところからです♪」 『ゼ!ゼロスうぅーーーー!!!!!』 ずざざざざーーーーーー!!!! あ(はあと)おもしろい(はあと) ゼロスの名前に過剰反応した数人が、椅子ごと後ずさりしてる♪ 起用ねえ〜♪ 『???』 魔道知識を持つものたちなら彼の名前だけで気付いたのだろうが、さすがその手に薄そうな護衛兵はその姿に?マークを浮かべている。 「リナ殿。この者をご存知で?」 「うん♪とっても見えないだろうけど、魔族さん♪」 『はい?』 「だから、魔族なのよ。彼♪」 『…え?あの…魔族って…あの魔族?』 「うん♪そう♪その魔族♪」 『…………………』 沈黙。 『どっしぇーーーーーー!!!!!!』 ずざざざざーーーーーー!!!! …あ…ムーンウォーク… 「あ…お久しぶりです。ぜロスさん」 いつもと変わらぬ笑顔で、ぺこりお辞儀までして挨拶をするアメリア。 「いやあ〜久しぶりですねぇ〜アメリアさん。それにゼルガディスさん。この度はご婚約おめでとうございます。ゼラス様とダルフィン様からのお祝いの品は届いていらっしゃるでしょうか?」 「あ。はい。いただいてます。あんな高価なものをありがとうございます」 ゼロスの言葉に思わず頬を朱に染めるアメリア。その姿がとても可愛い。 そういや…とっても綺麗な布をもらったって言ってたわねぇ〜アメリア。 「…一様、礼を言っておく…」 『…魔族の婚約祝い…(汗)』 「アメリア様。下がっていてください!」 何とか勇気を振り絞りアメリアを下がらせようとする1兵士。 「え?何故ですか?」 「何を言ってるんです!魔族ですよ!魔族!危険なんです!!」 「危険?」 その言葉に首をかしげるアメリア。彼らの言う意味が理解できていないのだ。 ゼルガディスも何事もないかのように紅茶を静かな動作で飲んでいる。 「ゼルガディス様も何を落ち着いていらっしゃるんです!」 「…そう言われてもな…いまさらゼロスが現れたところで何をあせる必要がある?」 『…ななななななな…』 更に動揺する大多数。 その中でも、まったく動揺していないのがあたしとゼルにアメリア。 昔はこいつと旅をした中でもあり、あまりにも身近な奴だったから…一様、彼が魔族とわかっていても怖いと言うイメージが重ならないのである。 まあ…こういっちゃ可愛そうだが…あたしたちにとって…今や…彼は小物扱い…あたしの場合は便利なアイテムでもあるが… 何せ、あたしたちはゼロスに会う前に、魔王と一戦やらかしてるし…ゼロスとあった時期は魔竜王一派に命狙われるは、フィブリゾにちょっかいを受けるは、そん時に金色の魔王を降臨さしちゃうとか…果ては、異世界の魔王とも戦ったし… そんな経験をしたあたしたちに、今更ゼロスを見て怯えるほうが、どだい無理な注文なのである。 「おーーーほっほっほっほっほっ!」 あ…ナーガも動揺してない…つーか…ゼロスのこと理解してないだけかも? 「…リ…リナさん…ま…魔族って…」 震える声であたしに問い掛けるシルフィール…あ…そう言えば彼女ってゼロスとあったことはあるけど…彼の詳しいことは知らないんだっけ? 「何、怯えてんのよシルフィール。仮にもあんた冥王フィブリゾに竜破斬をぶっ放したことあるでしょうが…それに比べれば彼なんて小さい小さい♪」 『…巫女が竜破斬…それに小さいって…』 「あ…」 あたしの言葉に彼女は手を一つぽんと打つと、 「それもそうですね…」 にっこり。 『納得してるし!』 いや〜昔と比べてシルフィールもたくましくなったわねぇ〜 「…ところで…お話を戻させていただきますが…リナさん……随分と面白そうなお話をなさっているようですが…」 ゼロスの目がある一ヶ所へと向けられる。その目は相変わらずのニコ目ではあるが… 「…ひ…ひいぃぃぃぃぃ…」 その目に怯えるじいさん。 「…なんでも…カタートに攻め入るとか…」 「そうよ…くっだらないでしょ?」 『…リ…リナ殿!!』 あたしの言葉に驚く一同。 「くだらないとは何じゃ。くだらないとは!」 「だったら質問するけど…」 「何じゃ!」 「…あたし一人でカタート山脈に特攻をかけろって言うのかしら?あんたらは?」 『…は?…』 「…だな…言い換えれば…今…高位魔族たちに有効な手段はリナにしか使えん…」 冷静にあたしの後を受け継ぐゼル。 『…あ…』 「で…ゼロス…今回は何の用?」 「もちろん…」 「ちなみに、秘密です。なんって言ったら即効であれだから♪よろしく♪」 指を口元に寄せて言い切る前に、あたしの言ったその一言に、彼は一瞬にして固まり、顔を青ざめる。 「で?何の用かしら?早く言わないと…」 「ああっ!言います!言います!だからあれだけは!!」 「あれって何でしょう?」 「神滅斬だろう…」 「…あ…そうか…」 ふふふふふ…ゼル…アメリア。それは外れよ♪ 今ここにはあたし、ゼル、アメリアの3人しかいない。 先ほどまでいたほとんどのメンバーは彼、ゼロスに怯え即効で退出し、唯一怯えることが無かった国王フィリオネル、ナーガ、シルフィールは他にも仕事があったため仕方なく退出している。 「…じ…実はですね…今回、神族と魔族…そして、人間との和平協定を願いたく、僕が魔族側の使者としてこちらにお伺いさせていただきました」 『はい?』 「ですから…和平協定を…」 『和平協定!!』 「はい。そのとうりです」 全員が驚き立ち上がって繋いだ見事なハーモニーにゼロスはにっこり微笑んで返事を返した。 「ちょっとまてーーーー!!!和平協定って!なんで!そんな話が突然わいてくるのよ!!」 「…そう言われましても…上司からの命令な物で…」 「…上司からって…魔王が考えたわけ?和平協定を?」 「…え…え〜と…その…実はですね…聞くところによると…更に上からのご命令らしく…」 『はい?』 …お…おい…ちょっとまて…更に上って… 「僕にも詳しいことは解らないのですが…ゼラス様が言うには…あのお方からのご命令だそうで… もちろん…そう言えばリナさんたちにどなたのことかは、わかりますよね」 『…………………………………』 「…いや〜…いきなり和平協定だなんて僕も困ってるんですよ…はっはっはっはっはっ…」 …いや…全然、困ってるようには見えないし… 「…も…もしかしてですけど…ゼロスさん…最初に"ロ"の字がつきますか?」 そう言いだしたのはアメリア。 「そのとうりです」 「…確実だな…」 …これって…金色の魔王(ロード・オブ・ナイトメア)からの命令………ってことよね… 「それでですね…」 「って…何?まだなんかあるわけ…」 「ええ…協定とは別件なんですが…実は、とある方がリナさんにお仕事の依頼をしたいと…リナさんと直接知ってる僕が使者のついでに仲介役にもなってるわけで…」 『依頼?』 「…はい……あのお方の伝言を直接届けに参った方でもあるのですが…」 「──いいかげんに出てきてもいいかしら?ゼロス──」 その声が…女性と思われる澄んだ声が…空間から響き渡った。 「ああーーー!すみません!すみません!すみません!すみません!どうぞお出になってくださいませ!」 『…なんか…ゼロスが怯えてるし…』 「当然です!仮にもあのお方に使える方でもあって、魔王様より高位なお方でもあるんですよおおぉぉ!!!!」 『……………………こ…高位って…(汗)』 |
28160 | 【偽りの双子たち】 〜Select Target Slayers 2〜:2話 | 猫斗犬 E-mail URL | 2003/11/16 18:51:27 |
記事番号28157へのコメント 【偽りの双子たち】 〜Select Target Slayers 2〜 第2話 運命── これも運命── 運命との出会い── それは人が現実から逃避する時用いる言葉。 運命とは何? あたしのこれも運命と言う物なのか? 悲しい時に用いる物? 辛い時に用いる物? やっぱりこれが運命なの? あたしはそんな物、欲しくは無かった── **********『伊井田理奈』********** 〜LINA〜 ふっと気付いたら、見知らぬところに居た。 アスファルトの道を挟み、立ち並ぶ民家。 学校への行き帰りに必ず見かける風景。 そこで、おかしな事を思い出す。 あたしはここを通ったことは一度も無いはず… けど、何で見たことがあるのだろう?ここを? おかしいといえば他にも… ──アスファルトの道を挟み、立ち並ぶ民家── このアスファルトって物の名前をあたしは何で知っていたのだろう? 手頃な石版を敷き詰めた道は通ったことはある。けど、このように舗装された道を通ったことはあたしは無いはずなのだ。 あたし? ん?あたしの名? …………えっと……あれ? 「気が付きましたか?」 そんな言葉をかけられ、あたしはやっとその人物の存在に気付いた。 あたしとほとんど横並びに歩いていた一人の男。 歳は20代半ば。多少ぼさぼさの黒髪にわりかし美形と言えるその容姿。背は高く、ガウリィ程ありそうだが、彼の鍛えられた体とは対照的に全体的に細身で、胸のふくらみさえあれば女性ともとれたであろう。 そして、一番目立つのが彼の着ている真っ白な白衣。 あたしらしくも無い。 なんでもっと早く彼に気付かなかったんだろうか? 剣士であり天才美人魔道士であるこのあた…………は?魔道士?剣士? あたしってば何言ってるんだろ? そりゃ…呪符を作ることぐらいできるし…けどそういうのは魔呪符士と呼ぶ訳で… ………………………………………………… えっと…でも…以前は魔道士だったような?ないような? ごじゃごじゃになり、ハッキリしない頭の中を一生懸命整理していく。 …確か…そうだ…あたしは魔道士だったはず。 でも…父と母…そしてあたしとは双子の妹との4人家族…のただの…普通の女の子。 ? ん?妹? …あたしに妹?んなのいたっけ?あたしにはねーちゃんがいるのよね? あれ?あれあれあれあれ?どうなってんの? 何で?2つの記憶があるの?あたしに? 落ち着け。落ち着け、あたし! あたしの名は! …………………………………………………だれ? 「どうされたんですか?リナさん?」 「え?」 白衣の男がたずねてきた。 ……………リナ? そうだ…あたしはリナ……伊井田(いいだ)……いいえ…違うわ…リナ=インバースよ… …そう…天才美人魔道士リナ=インバース! ………………………………………………て…あれ? でも、伊井田理奈?これもあたしの名よね?真っ先に思い出した名前だし? …………………………………………………ああああああああーーーー!!! やっぱし!あたしってばっ!! なんか、2つの記憶があるしいぃぃーーーーー!!!! 「あの〜…」 再び、白い服を着込んだ男の姿が目に入る。 「………………………………………………………………………………」 「………………………………………………………………………………」 「………………………………………………………………………………」 「………………………………………………………………………………」 「………………………………………………………………………………」 ぐわしいぃ! 「…あんた…なんか知ってるんでしょ…」 「え?あの…何かって?」 「とぼけないで!さあ!言いなさい!どういうことよ!」 「ちょっ…ちょっ…ちょっ…ちょっ…ちょっと理奈さん!」 「白状、しなさい!あんたは誰?ここはどこ?そしてあたしはどっち?リナ=インバース?伊井田理奈?」 「…く…苦しんですけど…」 「そう言っておきながら何笑ってんのよ!」 「…も…もともとこういう顔なんですよお〜」 「もともとだろうとなかろうと。なんか知んないけど!生ゴミ・ゼロスを見てるみたいで凄くむかつく!!だからちゃっちゃと話なさい!!」 「そんな!無茶苦茶なあ!それに生ゴミ・ゼロスってなんですかああぁぁーーーー!!!」 「あんたの親戚!」 「そんな名前の親戚いませんよおおおおぉ!!!」 その場に彼の悲鳴が暫く続いた── ぱくっ 「………………………………………………………はうぅ(はあと)」 思わず心が舞い上がる。 くあああああああああ♪ 甘くて♪ちめたくて♪おいしいぃ〜♪ 「ね♪ね♪ね♪ね♪このパフェって言うの?初めて食べたんだけど。すんごくおいしいわあ♪あたし、気に入っちゃった♪」 「…そ…それは良かったです(冷や汗)」 「悪いわね♪…え〜と…」 「柴ロ守(しばぐち・まもる)…と言います…」 「あっそ…守。ありがとね♪おごってもらちゃって(はあと)」 「…いえ……殺されるよりはずっと…ましかと…」 「あら?何?今度は火炎球の直撃が欲しいって?」 「滅相も無いっ!!って言ってませんよ!そんな事!!」 「ん〜にゃ。心の中で叫んでた♪」 「すいません…全面的に誤りますから…どうかごじひを…」 「よろしい♪とっ言う訳でもう一個注文していい?」 「…どうぞ(泣)」 「すいませーーーーん♪これと同じ物をもう一つ(はあと)」 「…しくしくしくしく…」 何泣いてるんだろ?爆裂陣。1つや2つ食らった程度で? 「で?話して?まずは…あたしは誰?伊井田?それともインバース?」 「…多分。伊井田さんではないほうです…」 「多分?ではない?」 「ええ…結論から言います…あなたは暫く、伊井田理奈さんになってもらうためにここに来ていただいているはずです…だから…彼女の記憶を持っています」 「伊井田理奈になる?何よそれ?」 「何って?あのお方から説明を受けませんでしたか?」 「…あ〜…ちょっと待って…今、思い出すから…え〜と…あのお方…あのお方………って…あのお方って誰よ…」 「あなたに依頼をお持ちした方ですが」 …依頼……依頼…う〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん… 一生懸命…過去から記憶を探ってみる。 けど、過去を探っても全く違う2つの記憶があるんで…なんか…気味が悪い。 と言うかそんなに昔のわけがない。出会ってるとしたらほんの少し前だろう。そしてリナ=インバースとして… 何とかしながらも、あたしの脳裏に一人の女性が浮かぶ。思い当たるとしたら彼女しかいないが。 「ねえ…その人って…金髪で物凄い美人だったりする?エルとかって言う?」 「ええ……と言っても見た目は関係ないのですが…」 あたしの質問に彼は苦笑する。 「なによ?それ?って言うかやっぱり彼女も魔族みたいに姿は関係ないの?」 だって…あの子が働いていた会長だって言ってたけど… 「気になさらないで下さい。この仕事には関係ないことですので…それで依頼のことは思い出されました?」 「思い出したも何も、あたしはボディガードとしての依頼しか受けてないけど…」 「は?ボディガードの依頼?」 「そうよ」 「それだけですか?」 「それだけしか聞いてない」 そう言って、パフェの…トロトロとしたチョコレートがかかった白い冷たい物体をスプーンですくい口に放り込む。伊井田理奈から記憶をたどると、白いのはバニラアイスなる名前の物のようだが… 「…えっと…どなたのボディガードをするのかって言うことは?」 「聞いてない」 「…ある人物になってボディガードをするとか…」 「その人物ってーのが伊井田理奈ってこと?」 「聞いてないんですか?」 「聞いてない♪」 「……………………………はう…そうですか…」 盛大なため息とともに彼はそう呟いた。 ホント。おいいしなあ〜これ♪ …あとで作り方覚えてこう…向こうで売れそうだし♪ 「これって…リナさんに記憶をすり込んでおくから、後は僕に任せたって…ことなんでしょうか?」 ん?記憶? 「…ちょ…ちょっと待って。記憶をすり込むって…なにそれ…そんなことが出来るの彼女?」 「ええ…あのお方なら簡単です…っと言うより…経験済みじゃないですか…リナさんは…」 「…あ…そっか…伊井田理奈の記憶があるんだもんね…」 …でも…簡単って言うけど… …いや…まあ…最初に会ったときから、彼女。只者じゃないとは思ってたけど…気配とか雰囲気的に…それに腐っても魔族のゼロスがあの人のこと高位なお方って言ってたしね… 「……な…何者なの?彼女って?」 「それは僕の口からはお話すことは出来ません…恐れおおくて…お会いしたときにでもあなたから直接、お聞きください」 「??????」 …恐れおおくもって? 同じセリフをのたまったことのある一匹の顔が頭を掠めた。 ……………はは…ま…まさかね…だいたい…あれの使いって言ってたし… 「まあ…とにかく…これであなたが先ほどパニックに陥った理由がわかりました」 「パニクってたかな?あたし?」 「しっかりと…そうでなければ……魔法で人を吹き飛ばしたりしませんよ…」 う〜にゅ…そうかな?いつもどおりの行動なんだけど… 「説明の何もなしで、突然、自分の物とは関係の無い記憶をもつ事になる。しかも、全く世界観さえ違う。 これでは記憶に混乱が生じるのは当然ですね…」 「どういう意味よ…」 「人の脳。その中に海馬と言うものがあります。こめかみのあたりにあるとされているのですが…ここは視床内側部とともに入ってくる感覚情報を皮質へ中継する重要な役目をになっていて、記憶を司る特別な領域でもあるといわれているんです」 「………………………………………おい…」 「この部位に損傷が起きた場合、記憶がままならなくなるわけですが…」 「………………………………………ねぇ…」 「…ただ…今回のケースは…無理矢理、記憶を埋め込まれたので…損傷は無いと思っても差し支えないでしょう…」 「………………………………………ちょっと…」 「ちなみに…その障害というのは…単に【なにかを思い出せない】というような状態ではなく」 「………………………………………だから…」 「たとえば【動くものが認知できない】とか【その日のことしか覚えていられない】といったことも…」 …ぷちっ… 「やめい!」 べきっ 「…有り得るら…あう…………………って何するんですか?…リナさん…」 「だあああああぁぁぁぁ!何するんですか?じゃない!…あんたね!んな説明しても、全然!何言ってんのか解んないわよ!」 「ああ…すみません…職業柄…つい…つまりですね……今回、記憶を追加されたことによって、一時的にその脳の海馬が交通渋滞を起こしてしまい、情報伝達がうまくいかなくなった…まあ…そういうことです…」 「そう、簡単に説明すればいいのよ」 「解ってくれたみたいですね♪」 「全然わかんない♪っていうか全然聞いてなかった♪」 「……………………………………………………」 おや? 守のやつ、どうしたんだろ…ぶつぶつ言いながら冷めたコーヒーをスプーンでかき回してるけど… 「それより、職業柄って言ってたけど?何?そういう仕事してんのあんたって?」 「…あ…ええ…と言うかこの格好でわかりませんか?」 そう言って彼は白衣の裾を正す。 「どう見ても、医者の格好でしょ♪ほとんどの科目を取り扱えますが、僕の専門は精神科医です♪」 「へえ〜あたしはてっきり…魚屋のウェイトレスか何かかと思ってた♪」 どぐわかしゃっ! 椅子ごと彼はひっくり返った。 「うわあ〜派手なリアクション。やるわね守も」 「って…何をやるんですか何を!……じゃなく…それよりも…魚屋のウェイトレスってなんなんですかあぁぁ!!」 「いや〜あったら、面白いかなあぁ〜♪なんて…てへ♪」 「てへって…真面目にやりましょうよ…リナさん…」 「つまんないから、やっ♪」 ***************************************************** と…とりあえず今回はここまで…次回の投稿は…… 何になるでしょうか? 多分、【Select Target Slayers】の二話目かな… ではでは来週あたりに、お会いしましょう♪ |
28163 | Re:【偽りの双子たち】 〜Select Target Slayers 2〜:2話 | はるか | 2003/11/16 19:35:22 |
記事番号28160へのコメント あ、リナだ・・・・・・・・・・。 思ったことはこれでした♪ なんか最初読んだだけでも面白さ満載♪ってかんじで。 STSもこちらも続き、まってま〜す!! (おい!自分のはどうした!?) ・・・・・・レス短くてすいません。でも、 このすばらしき作品にコメントできるほど偉くないですわたしゃ。 それではこの意味不明な極短レスを終わらせていただきます♪ |