◆−愛が故に ”嫉妬”−蒼 爽耶 (2003/11/30 00:23:16) No.28396 ┗ただ、愛していただけなのに。−星村さゆる (2003/12/1 14:10:38) No.28421 ┗愛のカタチ−蒼 爽耶 (2003/12/5 19:28:38) No.28499
28396 | 愛が故に ”嫉妬” | 蒼 爽耶 E-mail URL | 2003/11/30 00:23:16 |
性懲りもなく、続き物更新せずに書いちゃいます。 ぼけーっとしてたら浮かんだものでして。 忘れないうちに打っておきたいのです。 例によって、ゼルアメです。今回はちょっぴり(?)オリキャラも出ます。 物語風の語りで、シリアスなのか…最初らへんはダーク入ってるような… 自分でも判断しかねる代物です。 では、本編を。 -+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+- あるところにピリーヌという国がありました。 この国には、たった一人、王子がいました。 年のころは十八、短く切り揃えた薄い緑色の髪は風に流れる度に、 さらさらと揺れ、髪とは対照的な紅の瞳は、優しい眼差しをしていました。 ◇ 愛が故に "嫉妬" ◇ ある日、王子は、隣国であるセイルーンの姫とお見合いをすることになりました。 乗り気ではありませんでしたが、第一子として、跡継ぎを残さなければなりません。 王子はセイルーンに向かいました。 王子は馬車の中で考えていました。 どんな姫だろう。 生憎、見合い写真には目を通していませんでした。 だけど、セイルーンの姫の噂は耳にしたことがありました。 笑顔が可愛くて、心が澄んでいる、まっすぐな道の持ち主。 王子は一度会ってみたいと思っていました。 男と女としてではなく、王族としてでもなく。 ただ一人の人間として、国民に愛される姫の姿を見てみたいと思いました。 馬車がセイルーンに近づくにつれ、王子の心は高鳴りました。 自分と同じ緑色、でも濃い緑色の髪を持つメイドに案内されて、 一つの扉の前に着きました。 メイドがノックをして、扉を開けました。 部屋の中には、何度か顔を合わせたセイルーンの王子と、 その隣に、ピンク色のシンプルなドレスを着た少女がいました。 「リクナ殿よくいらっしゃった!長旅で疲れたことでしょう。どうぞ、お座り下さい。」 勧められるままに席につきました。 横ではセイルーン王子と、父王が挨拶を交わしています。 王子は俯いていた顔を上げました。 すると、向かい側に座る姫と目がぶつかりました。 姫は王子に優しく微笑みました。 王子の中で、何かがドクンと波打ちました。 この時、王子の中で想いが芽生えたのです。 やがて、王子と姫は二人きりにされました。 ”若い者同士の方が、話し易かろう” と、父王達は言って、メイド達までが部屋を出て行ってしまったのです。 王子は何を話したら良いのかわからず、ただ手元のカップの紅茶に映る、 自分の顔を見つめていました。 そして、たまに口をつけて。 中心から広がる波紋を、その度に歪む自分の顔を見ていました。 そんな時間が過ぎて。 前触れなく、姫が言いました。 「リクナ王子」 「は、はい」 突然のことだったので、王子の声は少し上擦ってしまいました。 「庭に出てみませんか?」 何事かと思っていたので、王子は胸を撫で下ろしました。 散歩のお誘いです。 断るなんて、王子の選択肢にはありません。 「はい。喜んで」 王子の答を聞いて、姫は”じゃあ案内します!”と嬉しそうに席を立ちました。 王子は姫の後に続きました。 ふと掌を見ると、汗ばんでいるのがわかりました。 身体中、しっとりと汗をかいていました。 王子は緊張していました。 姫の声を初めて聴けたこと、それに散歩のお誘いをされたことに、 王子の心臓は 働きっぱなしでした。 セイルーン王宮の庭は美しい、というのは有名でした。 予想していた以上の風景だったため、王子は呆けたように辺りを見回していました。 「綺麗でしょう?この時期が一番咲きが良いんです」 姫はくるりと回り、笑いました。 その笑顔につられて、王子も頬を緩ませました。 「姫の姿のほうがお綺麗ですよ」 お世辞でも何でもなく、王子は心からそう思ったのです。 色とりどりの花々を背景に、太陽の光を浴びる姫の姿は、 誰もが認めるくらいに輝いていました。 「ありがとうございます」 姫は、照れくさそうにはにかみました。 ”本当ですよ”と王子は付け足します。 一頻り廻った後、一角にある木製のテーブルにつきました。 「良いお天気ですね」 姫が空を見上げます。 「…姫は…このお見合いをどのようにお思いですか?」 すらっと問うた王子は自分でも驚いていました。 「私は…姫と結婚を前提とした付き合いをさせていただきたいと」 姫の瞳を見つめます。 姫は悲しそうに目を伏せました。 「…ごめんなさい。そのお気持ちはとても嬉しいのですが…」 半分わかっていた答でした。 姫が幾度となく見合い話や婚約話を拒否していたことは有名です。 王子は、僅かな希望に託したのですが、同じことだったみたいです。 でも、王子は疑問に思いました。 一国の、それも年頃の姫が、何故婚約を破棄し続けるのか。 それは一つしかないと思いました。 王子は確信を持って訊きました。 「姫の心を捕らえている人とは…誰ですか…?」 姫がはっと顔を上げて、目を見開きました。 ”何故わかったのか”というような表情でした。 姫はゆっくり語り始めます。 待っている人がいるんです その人はいつ戻ってきてくれるのかわかりません でも約束したんです 目的を果たしたら… 必ず…必ず私のところに…セイルーンに来てくれるって… 何年も経つのに、こんな約束信じてるんです 連絡一つないのに でも私は待ち続けます あの人は…約束を破るような人じゃありませんから 姫の瞳からぽろぽろと涙が零れ落ちました。 姫はそれを拭って、また笑顔をつくって言いました。 「ごめんなさい。みっともない姿見せちゃって」 無理な笑顔が痛々しくて。 王子は胸が締め付けられるような想いでした。 「いいえ。お辛いでしょう…」 王子にはかける言葉が見付かりませんでした。 そんな自分が情けなくて。 王子はきつく、きつく拳を握り締めました。 同時に、姫の想い人に嫉妬しました。 こんなにも姫の心を占めるのは、どんな人物なのか。 それ以前に、姫に辛い思いをさせるなど… 王子は悔しくて仕方がありませんでした。 離れていても、尚、姫が想いを寄せる。 その相手が自分なら、いつまでも傍にいてやれるのに。 今や王子の頭の中には、姫のことしかありませんでした。 それきり、姫と会うきっかけは掴めず、王子は自国へ帰国しました。 その日、王子は部屋にこもりっきりでした。 メイドが食事の時間を告げに来ても、弱弱しい ”……いい…” という返事しか返ってきませんでした。 姫…姫姫……… その想いを私に… そうしたら… 絶対悲しませるようなことなんて… 『何を望む』 …え…? 『お前は何を望む』 何をって… 『”姫”とやらの想いが望みか』 っ誰だ…?! 『我のことなど 知る必要もなかろう』 そんなことっ!! 『簡単なこと』 …? 『望むのなら奪えばよい』 なっ 『ウバエバヨイウバエバヨイウバエウバエウバエウバエウバエ』 ………っ… 『さぁ 我に何を望む』 ……………姫を…アメリア姫をここに… 『承知した』 ………ヒメノ…オモイハ…ヒメハワタシノモノダ… ダレニモワタスモノカ 王子は部屋のドアをバァンと開け放ちました。 そして、そ知らぬ顔で食事の席につきました。 王子の様子は変わりませんでした。 ただ一つ、瞳の色が 鮮やかな紅から、どす黒い血の色になっていたこと以外は。 NEXT → ”変貌” -+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+- またちょっと大変なことになりそうです。 何故こんなネタばかり思いつくのか… ホントは、いい加減ほのぼの〜っとしたゼルアメを投稿したいのですよ! はぁ。 とにかく、またツリー落ちないように頑張りたいです。 さぁ!次はもう二つの更新だぁ――!(ヤケあーんど涙) |
28421 | ただ、愛していただけなのに。 | 星村さゆる | 2003/12/1 14:10:38 |
記事番号28396へのコメント 爽耶さん、今日は。 この度は大変失礼な所業をしでかしたことを深くお詫びしたしますm(_ _)m おお、新作ですね☆ 「嫉妬」ですか・・・うーむ、恋愛にはつきものですよね。 愛ってのは面倒ですね。色んなことがついて回るから。 ・・・アメリア、お見合いしちゃうの・・・? フィルさんだってつらいだろうなぁ、と思うのです。愛娘が1人の男性を想い続けていることを、フィルさんも知っていることでしょう。その姿を見て、胸を痛めていたと思います。それでもアメリアは「王女」という立場があります。 「親」と「王子」というジレンマの中で闘っているんですね・・・(隠れフィルさんFAN) >待っている人がいるんです >その人はいつ戻ってきてくれるのかわかりません >でも約束したんです >目的を果たしたら… >必ず…必ず私のところに…セイルーンに来てくれるって… >何年も経つのに、こんな約束信じてるんです >連絡一つないのに >でも私は待ち続けます >あの人は…約束を破るような人じゃありませんから あああああ・・・切ないです><アメリアはゼルを信じ続けているんですね。 一途に、ずっと。いつになるか分からなくても、待ち続けている・・・ 自分で選んだ道だけど、つらいですよね・・・ ゼル!連絡くらい入れろよ!!(怒) >姫の瞳からぽろぽろと涙が零れ落ちました。 >姫はそれを拭って、また笑顔をつくって言いました。 >「ごめんなさい。みっともない姿見せちゃって」 >無理な笑顔が痛々しくて。 でも、つらいよね。淋しいよね。我慢している姿が痛々しいです・・・ 私は王子の気持ちも分かるんです。 嫉妬深さならティン・カーベルも凌ぐというウワサの(え)星村ですから(マジで?) と言うか、爽耶さんの王子の気持ちの描写の仕方がお上手なんですってば! 思わずうんうん、そーなのよと頷いてしまいます。 姫と2人で緊張してるとことか・・・ アメリアの想い人に嫉妬するところとか・・・胸が痛くなります。 自分は、アメリアが一番好きなのに、自分はアメリアの「一番」じゃない。 それは事実。恐らく、変えられない事実。分かっている。だからこそ認めたくない。 「一番になりたい」そう思うのは自然なこと。 大切なことなら、尚更。 あんな奴のどこがいいんだ。貴女をこんなに苦しめて、泣かせて、淋しい思いをさせている奴なんかのどこが・・・!! 愛する故に生まれた感情。「嫉妬」。 >ただ一つ、瞳の色が >鮮やかな紅から、どす黒い血の色になっていたこと以外は。 その心の隙を突かれ、王子はこうなってしまいました。 感情・・・誘惑に身を任せた結果・・・「声」の持ち主は誰なんでしょう? ・・・私の場合は、諦めるだろうなぁ・・・と思います。 好きな人の好きな人を否定することは、その人をも否定することになります。 それに、自分じゃ相手を幸せには出来ない・・・と悟って、泣く泣く諦めるかも・・・ 重荷になるのが一番つらい。嫌われるも嫌。奇麗事にきこえるかも知れませんが、それが私の考えです。 嫉妬・・・身勝手。自己中心。自己顕示欲。独占欲。我侭。 傷つけたくなんかない。だけど、自分を見て欲しい。 そんな醜い部分を思い知らされてしまう・・・ 本当は、ただ。 愛していただけなのに。 王子・・・そうなってしまうんでしょう?「変貌」も待ってます! では。星村でした。 |
28499 | 愛のカタチ | 蒼 爽耶 E-mail URL | 2003/12/5 19:28:38 |
記事番号28421へのコメント さゆるさんこんばんわですっ。 > この度は大変失礼な所業をしでかしたことを深くお詫びしたしますm(_ _)m いえいえvそんなに気にしちゃだめですよ! 私なんか『memory of soul』UPしたら、 ほぼ直後にツリー落ちちゃったんですよ〜(滝涙 うはは〜 > おお、新作ですね☆ 新作ですっ。ネタがふと浮かんじゃったものでして。 > 「嫉妬」ですか・・・うーむ、恋愛にはつきものですよね。 > 愛ってのは面倒ですね。色んなことがついて回るから。 面倒ですけど、障害のない『愛』なんてつまらなくありません? 今回はその障害の一つ、『嫉妬』がテーマなんです。 愛が変化した『嫉妬』それはどんな展開をつくっていくのかっ > 「親」と「王子」というジレンマの中で闘っているんですね・・・(隠れフィルさんFAN) フィルさんとしては、娘の恋路は見守ってやりたいところだと思うのですが… 王族としての義務がありますから… アメリアも辛い想いをしてますが、フィルさんも辛いんです。 > ゼル!連絡くらい入れろよ!!(怒) をぅ…すいません。 姫の想いを引き立てるなら、この設定しかない!と。 私の小説本編(HPにはUPしてないですけど)でも うちの甲斐性なしの魔剣士さんは連絡一つ入れてないのです。ばかっ。 > と言うか、爽耶さんの王子の気持ちの描写の仕方がお上手なんですってば! > 思わずうんうん、そーなのよと頷いてしまいます。 そっそーですか…?う嬉しいです。 文章作るの苦手な性質なので…これでも理数型ですから。みゅう。 > 姫と2人で緊張してるとことか・・・ > アメリアの想い人に嫉妬するところとか・・・胸が痛くなります。 > 自分は、アメリアが一番好きなのに、自分はアメリアの「一番」じゃない。 > それは事実。恐らく、変えられない事実。分かっている。だからこそ認めたくない。 > 「一番になりたい」そう思うのは自然なこと。 > 大切なことなら、尚更。 > あんな奴のどこがいいんだ。貴女をこんなに苦しめて、泣かせて、淋しい思いをさせている奴なんかのどこが・・・!! 全くもってその通りです。 さゆるさんは、私が伝えたいこと全部読み取ってくれていて、 いつも感激してます〜(泣 素晴らしい読解力!!羨ましい!! > 愛する故に生まれた感情。「嫉妬」。 この小説のテーマです。 詳しく言えば『形の違う愛』がテーマなんですけど。 > 感情・・・誘惑に身を任せた結果・・・「声」の持ち主は誰なんでしょう? ネタばれになるので今は伏せておきます。 まぁ、ありきたりな展開ですね。 > ・・・私の場合は、諦めるだろうなぁ・・・と思います。 > 好きな人の好きな人を否定することは、その人をも否定することになります。 > それに、自分じゃ相手を幸せには出来ない・・・と悟って、泣く泣く諦めるかも・・・ >重荷になるのが一番つらい。嫌われるも嫌。奇麗事にきこえるかも知れませんが、それが私の考えです。 さゆるさん素晴らしいですっ!私なんか…うぅ… 意外と独占欲強いほうなので、『自分のことを見てもらいたい』と 必死になるでしょうね。でも、それは表には出さずに心の中でだけ止めておく。 口に出す勇気がないから。何か意見して拒絶されるのが怖いんです。 印象と違って、内面は荒れてるんです。私。 > 嫉妬・・・身勝手。自己中心。自己顕示欲。独占欲。我侭。 > 傷つけたくなんかない。だけど、自分を見て欲しい。 > そんな醜い部分を思い知らされてしまう・・・ > > 本当は、ただ。 > > 愛していただけなのに。 > > 王子・・・そうなってしまうんでしょう?「変貌」も待ってます! > では。星村でした。 王子は―――っといけない。次回のお楽しみです。 いつもいつもレスありがとうございましたvv ※ちこっとお知らせ?※ 近々というかこの週末にサイトをがらりと変えようと思います。(勉強は? なんと無謀な…思ってもやってしまうんですよー。 なんせ全く無知な状態で作ったサイトですから。 今日作成ソフトの解説サイト見付けましてv とにかく、今後とも当サイトをよろしくお願いしますvv |