◆−白蛇女のデスマッチ−オロシ・ハイドラント (2003/12/12 20:10:11) No.28617 ┣白蛇女のアドベンチャー−オロシ・ハイドラント (2003/12/12 20:56:02) No.28618 ┃┣クライマックス間近……かな?−エモーション (2003/12/12 22:39:24) No.28620 ┃┃┗Re:クライマックス間近のような、そうでもないような……−オロシ・ハイドラント (2003/12/13 21:52:03) No.28631 ┃┗白蛇女のラストラン−オロシ・ハイドラント (2003/12/16 16:50:19) No.28653 ┃ ┗唐揚げの値段、金貨5枚ですね。−エモーション (2003/12/16 20:58:30) No.28659 ┃ ┗Re: やっぱり材料が高いのかな−オロシ・ハイドラント (2003/12/16 21:23:26) No.28660 ┣白蛇女のゴートゥーヘヴン−オロシ・ハイドラント (2003/12/22 19:19:54) NEW No.28745 ┗白蛇女の……−オロシ・ハイドラント (2003/12/22 20:24:49) NEW No.28747 ┗完結、おめでとうございます−エモーション (2003/12/22 22:04:21) NEW No.28748 ┗Re:どうもありがとうございます−オロシ・ハイドラント (2003/12/22 22:40:37) NEW No.28750
28617 | 白蛇女のデスマッチ | オロシ・ハイドラント URL | 2003/12/12 20:10:11 |
これは下の方のツリー(あるいは過去ログ)にある「白蛇女のワンダランド」「白蛇女のラビリンス」の続きです。 興味のある方は是非そちらから。 <@><@><@><@><@><@><@><@><@><@> やはり、その木造の建物は図書館でした。 入り口の真っ赤に塗られた扉を開くと、無数の本棚が目に入りました。 本棚は規則的に並べられておらず、ぐちゃぐちゃに配置されているようで、白蛇女は混沌とした印象を受けました。 無気味な静寂の中、白蛇女は歩き出します。 埃のシャワーを浴びながら、手前の本棚にいき、本を一冊抜き取ろうとしました。 しかし、本は抜けません。 間違いなく本がそこにあるのに、引っ張っても抜くことが出来ないのです。 引き抜く力を強めます。 けれども本は抜けません。 白蛇女はついに諦め、床にへたり込んでしまいました。 本棚を見上げます。 白蛇女の眼は、熱い闘志を帯びていました。 再び立ち上がります。 そして本に手を伸ばし、あらん限りの力で引っ張りました。 「んんっ!」 さらにさらに力を強めます。 命を賭してでもこの本を抜けなければなりません。 それは理屈ではありません。 人の心理を理屈で判断してはいけないのです。 人の心理とは世界以上に複雑なのかも知れないのですよ。 白蛇女は戦います。 全身全霊、一冊の本と戦います。 三日三晩戦いました。 四日四晩戦います。 五日五番戦って、六日六晩戦い、七日七番戦って、ついに白蛇女は敗れました。 意識は真っ白な奈落へと落ちていきます。 白蛇女は夢を見ました。 鳥になる夢です。 鳥になってこの出口の見えない世界を越えていくのです。 どんなに広く果てしなくても、いつかは越えていくのです。 そして世界の果ての辿り着き、最果ての扉を潜って元の世界に戻ると、白蛇女は白蛇女に戻り、そして誰かに殴られると同時に夢が終わりました。 白蛇女は、殴られたことも夢の内だと思っていました。 しかし違ったのです。 目覚めてからしばしの時間が経って、白蛇女はこの場所に自分以外の誰かがいることに気がつきました。 起き上がった白蛇女は後ろを振り向きます。 そこに彼がいました。 「おーほっほっほっほっ」 頭の天辺から足の先まで、すべてが金属で造られた少年は、白蛇女を見るなり即座に≪高笑い≫を上げました。 いきなりのことに戸惑いを隠せない白蛇女ですが、それでも負けじと≪高笑い≫を返しました。 「おーほっほっほっほっ」 「おーほっほっほっほっ」 「おーほっほっほっほっ」 「おーほっほっほっほっ」 高笑いの応酬が、図書館の静謐を破壊します。 白蛇女も金属少年も、ただ笑いで相手を打ち負かすことしか頭にありません。 「おーほっほっほっほっ」 「おーほっほっほっほっ」 「おーほっほっほっほっ」 「おーほっほっほっほっ」 響き合う笑い声。 さながら悪夢です。 攻撃対象を一冊の本から金属少年に変えた白蛇女は、三日笑い続けました。 無機質な仮面の下に、冷徹な意志を秘めているようにも感じられる金属少年も、同じ時間笑いを絶やしませんでした。 さらに戦いは続きます。 敵意に満ちた≪高笑い≫を十日間放ち続け、そして同時に力尽きた彼らの間には自然に強い絆が芽生えていました。 「おーほっほっほっほっ」 「おーほっほっほっほっ」 「おーほっほっほっほっ」 「おーほっほっほっほっ」 また≪高笑い≫を上げた二人ですが、今度の≪高笑い≫は相手を倒すための≪高笑い≫ではありません。 二人は≪高笑い≫で会話をしているのです。 「おーほっほっほっほっ」 「おーほっほっほっほっ」 「おーほっほっほっほっ」 「おーほっほっほっほっ」 白蛇女は金属少年からいくつかのことを教えられました。 その中で一番重要なのが、この森を抜け出す方法でした。 「青鼠のリンゴの樹の下で、真紅の竜の空揚げを食べる」 これがその方法です。 金属少年の情報によると、真紅の竜の空揚げを手に入れるには遥か北の「白い山」までいかねばならず、青鼠のリンゴの樹は遥か南に生えているらしいです。 「おーほっほっほっほっ」 ≪高笑い≫で別れの挨拶を言って立ち去ろうとする白蛇女に、金属少年は自分の口に指を突っ込んで吐き出した物体を手渡しました。 それは方位磁石でした。 これで迷わずに森を進むことが出来ます。 |
28618 | 白蛇女のアドベンチャー | オロシ・ハイドラント URL | 2003/12/12 20:56:02 |
記事番号28617へのコメント 白蛇女は北へ進みました。 ただひらすら北へ。 だがどれほど進んでも、森は変化を見せませんでした。 それでも白蛇女は諦めません。 白蛇女は以前よりずっと忍耐強く、我慢強くなっていたのです。 途中で黒い蛇に出会いました。 黒い蛇は引き返せと言いました。 けれども白蛇女はその忠告を無視しました。 この森を抜け出さねばならないのです。 でなければ永遠にこの不思議の世界の虜囚です。 白蛇女は歩きました。 歩き、歩き、歩き続け、けれどもしっかりと睡眠は取って、空気を良く吸って、北を目指して歩き続けました。 赤い木の実を見つけました。 躊躇せずに食べました。 たとえ空気からエネルギーを摂取可能とはいえ、固形物を欲するのは自然なことです。 けれども木の実はとてつもなく辛く、食べられたものではありません。 舌が、口の中が痺れ、焼けるように熱くなりました。 白蛇女は水を求めて疾走します。 北へ直進します。 こんな時でも、方角は気にしました。 白蛇女は風のように、音のように、光のように走りました。 求めるのはただ水のみです。 水、水、水、水、水…… ≪高笑い≫を上げる余裕などありませんでした。 結局、白蛇女は水を見つけるよりも早く、「白い山」を発見しました。 確かに真っ白です。 頂点が小さくて、底面がかなり大きいです。 というわけで確かに山です。 でも限りなく小さく、白蛇女の全長にすら及びません。 「白い山」は小さかったのです。 「白い山」には確かに真紅の竜がいました。 頂点と中腹にそれぞれ一匹、思い切り小さな赤い竜が。 白蛇女は竜を見下ろしました。 竜は白蛇女を見上げました。 いい加減辛さにも慣れて来ていた白蛇女は、竜に≪高笑い≫を浴びせました。 怒った竜は白蛇女に火を吹きました。 でもガスライターより微弱な炎しか出ませんでしたが。 さて、白蛇女はこの竜を空揚げにしなければなりません。 捕獲は結構簡単そうですが、問題は調理の方です。 どうやれば空揚げが出来るのでしょう。 ……分かりません。 とりあえず捕獲だけはしておきましょう。 白蛇女は真紅の竜に手を伸ばしました。 その時、背後から鋭い声が飛んで来ました。 コラっ! という声です。 驚いた白蛇女は、素早く後ろを振り返りました。 その時、真紅の竜が突進して来たのか、白蛇女はいきなり背中に強い衝撃を受けて、前のめりに倒れました。 見上げる白蛇女の視線の先には、「空揚げ屋」と書かれた看板を手にした中年の男の姿がありました。 |
28620 | クライマックス間近……かな? | エモーション E-mail | 2003/12/12 22:39:24 |
記事番号28618へのコメント こんばんは。 不思議な図書館ですね。もしかしたら、「本」は単なるイメージで、 クレアバイブルみたいに、思考で知りたいデータを引き出す代物、というか 場所だったのかもしれませんね。 そして金属で出来た少年。高笑いが会話……。何だか凄そうです。 図書館での運命的(?)な出会いを経た、ナーガの冒険。 元の世界へ戻るための必須アイテム「真紅の竜の唐揚げ」……。 真紅の竜がミニマムサイズ、というのが何だか妙に気に入りました。 そして現れた「唐揚げ屋」……。どうやら、材料調達に来たようですね。 必須アイテムの材料捕獲はともかく、実際に「唐揚げ」を手に入れるまでは、 何やらまた、一波乱ありそうですね。 ナーガは無事に「真紅の竜の唐揚げ」を食べられるのでしょうか。 ……それ以前に唐揚げ屋さんと、まともな会話が成り立つのかどうかが、 心配ですが……。 おとぎ話的で、不思議でシュールな世界のナーガの冒険。 次はどのように展開するのでしょうか。 続きを楽しみにしていますね。 それでは、この辺で失礼いたします。 |
28631 | Re:クライマックス間近のような、そうでもないような…… | オロシ・ハイドラント URL | 2003/12/13 21:52:03 |
記事番号28620へのコメント >こんばんは。 こんばんは。 > >不思議な図書館ですね。もしかしたら、「本」は単なるイメージで、 >クレアバイブルみたいに、思考で知りたいデータを引き出す代物、というか >場所だったのかもしれませんね。 ……単に全部飾りという可能性も…… >そして金属で出来た少年。高笑いが会話……。何だか凄そうです。 これは結構自信のあるアイデアだったりします。 ついに≪高笑い≫が必要となった場面。 >図書館での運命的(?)な出会いを経た、ナーガの冒険。 >元の世界へ戻るための必須アイテム「真紅の竜の唐揚げ」……。 >真紅の竜がミニマムサイズ、というのが何だか妙に気に入りました。 一口サイズの方が食べやすいと思いまして(待て) >そして現れた「唐揚げ屋」……。どうやら、材料調達に来たようですね。 >必須アイテムの材料捕獲はともかく、実際に「唐揚げ」を手に入れるまでは、 >何やらまた、一波乱ありそうですね。 >ナーガは無事に「真紅の竜の唐揚げ」を食べられるのでしょうか。 >……それ以前に唐揚げ屋さんと、まともな会話が成り立つのかどうかが、 >心配ですが……。 ……それにお金は? さあ、果たしてどうなるでのでしょう。 > >おとぎ話的で、不思議でシュールな世界のナーガの冒険。 >次はどのように展開するのでしょうか。 >続きを楽しみにしていますね。 >それでは、この辺で失礼いたします。 ご感想どうもありがとうございます。 それでは、これで…… |
28653 | 白蛇女のラストラン | オロシ・ハイドラント URL | 2003/12/16 16:50:19 |
記事番号28618へのコメント 「おい姉ちゃん、それわしんのやねん。勝手に取られたら困るんや」 空揚げ屋はもの凄い形相をしていましたため、白蛇女は何も言えませんでした。 「空揚げが欲しいんか?」 白蛇女は一瞬躊躇った後、地面すれすれにあった首を一度上に上げ、それから縦に振りました。 「よし分かった。普通の倍の値段で許しちゃる。20万や」 納得のいかない白蛇女ですが、下手に意見するのは止そうと考えました。 こうして白蛇女は、真紅の竜の空揚げを買い取ることになったのですが、実は白蛇女は無一文です。 空揚げ屋は右手を白蛇女の前に広げて差し出し、お金を要求しているのですが、対する白蛇女は何も出来ません。 手が震えています。 「はよ出せや」 無理です。 うっかり書き忘れていたのですが、「白蛇女のワンダランド」で拾った金貨は一つ残らず消え去っていたのです。 ピンチです。 ここを切り抜けるにはどうしたら良いのでしょう。 「はよ出さんか。時間ないねん」 無理なものは無理です。 どうすれば良いのでしょうか。 真紅の竜の空揚げは絶対に入手しなければなりませんし、お金を持っていないことが分かると怒りそうな気がするので、どうにかしてお金を払わねばなりません。 どうにかして、どうにかしてお金を、お金を……。 と白蛇女が必至で考えていると、 「何や姉ちゃん、ええもん持っとるやないけ」 空揚げ屋は白蛇女の右手を見て言いました。 そこには何と金属少年からもらった方位磁石がありました。 「その磁石と交換や。分かったな」 もう一度白蛇女が頷いた瞬間、取り引きは成立しました。 けれどもどうすれば良いのでしょうか。 方位磁石がなければ、南へ進むことは出来ません。 青鼠のリンゴの樹に辿り着くことが出来ません。 現在、どちらが南かは大体ですが分かっています。 でも森をまっすぐ進むというのは案外難しいものなのです。 直進しているつもりでも、いつの間にか横にそれているといったことがよく起こるのです。 これは砂漠も同様です。 だが迷うことを恐れるわけにはいきません。 たとえ適当でも進むしかないのです。 紙で包んだ空揚げを握り締め、白蛇女は走り出しました。 ≪高笑い≫をすることなど忘れて。 とにかく南へ。 途中で西にそれても、東にそれても構いません。 とにかく南へ。 北にさえ向かわなければそれで良いのです。 青鼠のリンゴの樹がどこにあるのかは分かりませんが、ここよりも南にあることは確かなのです。 途中で黒い蛇にまた出会いました。 黒い蛇は引き返せと言いました。 もう一回引き返せと言いました。 多分語彙がこれしかないのだろうと判断し、白蛇女は疾走を再開しました。 太陽が高速回転し、月日は激流のように流れました。 まさに光陰矢の如し。 けれども青鼠のリンゴの樹は見つかりません。 さっきから白蛇女は、変な老人につき纏われています。 老人は白蛇女のゆく手に待ち構えていて、白蛇女が現れるなり腹減ったと呟くのです。 それを何回も何回も繰り返すのです。 白蛇女はうんざりしていました。 でもこの空揚げを渡すわけにはいきません。 白蛇女は何回も何回も老人を無視しました。 けれども老人は諦めません。 その状態のまま十日が経過しました。 以前老人は白蛇女につき纏っています。 老人から解放されたのは、さらにその翌日でした。 白蛇女が森を歩いていると、また老人が現れて腹減ったと呟きました。 その時です。 「そこにキノコがあるわよ」 白蛇女は老人の近くの地面を指差しました。 そこには本当にキノコがありました。 ただし異様に毒々しい色をしていましたが。 それでも老人はそのキノコを見つかるなり、嬉しそうな表情でキノコをもぎ取り、一気に口の中に放り込みました。 「…………」 白蛇女は硬直してしまいました。 あのキノコには毒があると確信していたからです。 「うまい」 けれども老人は平然としています。 毒に掛かったとは思えません。 いや遅効性の毒なのかも知れませんが。 「お嬢ちゃん。優しいのう」 老人は言いました。 「本当に腹が減って減ってたまらんかったんでのう。本当に美味かったわ」 白蛇女は感謝されているようですが、心境はちょっと微妙です。 「お礼にお嬢ちゃんの願いを一つ叶えてやろう。わしに出来ることなど限られとるがな」 「青緑のイチゴの樹はどこにあるの?」 白蛇女はそう問い掛けました。 もちろん青鼠のリンゴの樹のことです。 白蛇女は名前を間違えてしまいました。 「青鼠のリンゴの樹じゃな」 白蛇女は頷きました。 「それならそこにあるぞ」 「そこ?」 どこにもそれらしいものはありません。 「ほれ後ろを見なされ。後ろじゃ、後ろ」 言われて後ろを見ましたが、リンゴの樹などありません。 白蛇女は回れ右して老人に向き直りました。 その時、すでに奇跡は起こっていました。 「…………」 唖然とする白蛇女。 何とそこには老人の姿などどこにもなく、その代わりとして一本の樹が生えていました。 その樹こそが青鼠のリンゴの樹です。 なぜ分かるかというと、幹の部分に青い字で思いっ切りそう書いてあるからです。 白蛇女はついにこの場所に辿り着くことが出来ました。 早速樹の下に座り込み、すっかり冷め切った空揚げを口に含みます。 素晴らしい味が口の中に広がりました。 その時、 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…… もの凄い音がしたかと思うと、青い塊が白蛇女に向けて突進して来ました。 哀れ白蛇女は突き飛ばされ、高く空に舞い上がります。 気を失う寸前、白蛇女は青い塊の正体を見ました。 それは鼠です。 とてつもなく大きな鼠でした。 多分、この鼠こそが青鼠です。 <@><@><@><@><@><@><@><@><@><@> 多分次回で終わります。 |
28659 | 唐揚げの値段、金貨5枚ですね。 | エモーション E-mail | 2003/12/16 20:58:30 |
記事番号28653へのコメント こんばんは。 普通の倍の値段で20万……。通常10万の唐揚げ……。 でも、スレ世界では通常価格が、金貨2枚と銀貨200枚だと考えると…… ちょっと値が張る、高級食なだけにしか見えないのが不思議です。 スレ世界の物価が高いのか、原作におけるリナたちの金銭感覚が、 微妙に庶民と違うのか……(汗) 磁石と引き替えに、無事に唐揚げをゲットしたナーガ。 金属少年との出会いは、ナーガにとって本当に、助けられることばかりでしたね。 そして、お腹の空いたご老人。相手の望みを叶えると目指すものが現れる……。 童話の基本、王道ですね♪ リンゴの木の下で、唐揚げを食べたナーガ。そして、ナーガを弾き飛ばした青鼠……。 ……一体、どんな鼠なのか、ちょっと知りたいと思ってしまいました。 さて、ナーガは無事に元の世界へ帰れるのでしょうか。 それとも、ラストにもう一波乱あるのでしょうか。 続きを楽しみにしています。 それでは、今日はこの辺で失礼いたします。 |
28660 | Re: やっぱり材料が高いのかな | オロシ・ハイドラント URL | 2003/12/16 21:23:26 |
記事番号28659へのコメント >こんばんは。 こんばんは。 > >普通の倍の値段で20万……。通常10万の唐揚げ……。 >でも、スレ世界では通常価格が、金貨2枚と銀貨200枚だと考えると…… >ちょっと値が張る、高級食なだけにしか見えないのが不思議です。 >スレ世界の物価が高いのか、原作におけるリナたちの金銭感覚が、 >微妙に庶民と違うのか……(汗) まあ20万の下の単位は不明ですけど(笑)、円として考えるとそうなるわけでしょうか。 確かに私達の世界は払い辛く、スレ世界では結構払い易いように思えますね。 リナが依頼報酬として受け取っている額は金貨数十枚、数百枚のこともありますし。 > >磁石と引き替えに、無事に唐揚げをゲットしたナーガ。 >金属少年との出会いは、ナーガにとって本当に、助けられることばかりでしたね。 進むべき道を教えてくれて、役立ちアイテムまでくれる。そのアイテムが後で思う以上に重要になる。 RPGなどでもそうはいないキャラかも知れません。 >そして、お腹の空いたご老人。相手の望みを叶えると目指すものが現れる……。 >童話の基本、王道ですね♪ やっぱり王道的なネタは使いたかったです。 >リンゴの木の下で、唐揚げを食べたナーガ。そして、ナーガを弾き飛ばした青鼠……。 >……一体、どんな鼠なのか、ちょっと知りたいと思ってしまいました。 まあドラゴンが小さいなら、鼠はデカくしよう。青鼠だから身体は青いとして……という風にして生まれたキャラですが(笑)、興味を持っていただけて嬉しいです。 次回にも出て来るかも。 >さて、ナーガは無事に元の世界へ帰れるのでしょうか。 >それとも、ラストにもう一波乱あるのでしょうか。 >続きを楽しみにしています。 >それでは、今日はこの辺で失礼いたします。 意外なようなそうでもないような結末が待ち構えていると思います。 ご感想どうもありがとうございます。 |
28745 | 白蛇女のゴートゥーヘヴン | オロシ・ハイドラント URL | 2003/12/22 19:19:54 |
記事番号28617へのコメント ここはどこなのでしょう。 何も見えません。 何も聴こえません。 白蛇女は真っ暗闇の中にいます。 意識が戻った時からずっと。 白蛇女は暗闇を歩き続けています。 そして歩き続けながら、問い続けています。 ここはどこなのかと。 白蛇女はどれだけ歩いたのでしょう。 全く計りようがありません。 ほんの短い時間なのかも知れませんし、途方もなく長い時間なのかも知れません。 闇の中に長い時間いると、自分という存在が希薄になっていくような気がします。 もしや闇と同化してしまったのではないかと思ってしまうほどです。 それでも信じています。 前に進み続けていることを。 いつか闇が終わることを。 白蛇女は歩きます。 白蛇女は歩き続けます。 一歩を踏み出し、次の一歩へと繋ぐ。 これは戦いです。 途方もない闇との戦い。 白蛇女は勝たねばなりません。 闇という敵に。 こういう言葉があります。 敵に勝つというのは味方に勝つことなり。 味方に勝つというのは己に勝つことなり。 己に勝つというのは精神を以って、肉体に勝つことなり。 闇との戦いは、白蛇女自身の精神と肉体の戦いなのです。 腕を折られ、足を千切られ、身を焼かれても進み続けねばなりません。 白蛇女は歩きます。 白蛇女は歩き続けます。 歩き続けていると、様々な雑念が湧き上がって来ます。 でも今の白蛇女は幻想に身を委ねるほど弱くはありません。 現実逃避という救いの糸を、白蛇女は断ち切りました。 そして歩き続けるのです。 長い時間が経ちました。 さらに長い時間が経ちました。 白蛇女は以前歩き続けています。 まだ闇の中です。 何も変わっていません。 やはり無駄な努力なのでしょうか。 何度歩みを止めたいと思ったことでしょう。 それでも白蛇女は歩き続けます。 脱出したいのです。 この不条理な迷宮から。 長い時間が経ちました。 さらに長い時間が経ちました。 白蛇女はついに倒れました。 もう歩けません。 限界です。 絶望的なほど膨大な闇に見守られながら、白蛇女はゆっくりと眠りに落ちてゆきました。 (次こそ終わり) |
28747 | 白蛇女の…… | オロシ・ハイドラント URL | 2003/12/22 20:24:49 |
記事番号28617へのコメント 暗闇に光が差し込んで来ました。 生きている、と白蛇女は目を瞑ったまま思いました。 生の喜びを感じた途端、白蛇女は自分が知らない場所に来ていることに気がつきました。 生の喜びを感じた途端、白蛇女はここがどこなのか気になりました。 随分と地面が柔らかく、何かが身体に乗せられています。 白蛇女はゆっくりを眼を開き始めました。 白い光が瞳孔を射抜きます。 瞬間的に手で双眸を覆い隠しました。 次第に目が慣れて来ます。 白蛇女は手をどかしました。 世界が広がります。 そこは小さな部屋の中で、白蛇女は寝台の上にいました。 天蓋こそついていませんが、美しい装飾が成されているし、サイズも大きく柔らかい寝台でした。 部屋の明かりは何とシャンデリアです。 この狭い部屋には不釣合いかも知れませんが、今の白蛇女はそんなことなど気にしませんでした。 部屋というからには入るための扉があります。 なければ牢獄と変わりません。 扉はありました。 木の扉が。 白蛇女は扉に歩み寄りました。 扉を開き、外に出ます。 すると、 「メリークリスマス!」 大きな声が響きました。 何重にも重なった声です。 メリークリスマス? そうです、今日はクリスマスの日。 世界最初の赤の竜神の騎士である聖クリスマスがこの世に降り立った日。 そうです。 今日はクリスマスなのです。 伏線はちゃんと張ってあります。 白蛇女のワンダランドの最初の方です。 また村上春樹の「羊男のクリスマス」とほとんど変わらない終わり方です。 村上春樹の名前を出したのは、結末の暗示のつもりだったりするのです。 扉の向こうには別の部屋がありました。 そこは暖炉のある部屋で、中央に大きなテーブルがあり、それを椅子が囲っています。 二匹の羊、モグラ男、ザリガニフクロウ、金属少年、黒い蛇、真紅の竜、空揚げ屋、変な老人、青鼠。 白蛇女が不思議な旅の中で出会った者達が皆そこにいるのです。 先ほどの声は彼らによるものなのでした。 椅子に座れる者は座り、どう考えても座れそうにないものは椅子の上に乗っかっていました。 椅子は一つを除いてすべてが埋まっています。 最後の席に座れということでしょうか。 しばし迷った後、一番奥の席に白蛇女が座ると、白蛇女が先ほど入って来た扉から、一人の男が現れました。 「どうもこんばんは」 白蛇女はその男を知っていました。 この不思議な世界に入る前、白蛇女に羊皮紙を手渡した男に間違いありません。 白蛇女は立ち上がり、相手の男を睨みつつ、歩み寄っていきました。 白蛇女の怒りの形相に気付いてか、男は両手を前に押し出すような仕草をしつつ、 「まあまあ、落ち着いてくださいよ。あっ、そうだ。自己紹介がまだでしたっけ。私、クーンツと申します。「狂える救世主」無料体験キャンペーン担当の……」 「無料キャンペーン担当?」 予想だにしない言葉に、思わず白蛇女は尋ねてしまいました。 「はい。我が社では今、「不思議の国探険ツアークリスマススペシャル」の無料体験キャンペーンを実施しておりまして……」 「無料体験キャンペーンだからって強制的に体験させて許されるっていうの?」 「紙を受け取ったじゃありませんか」 「……そんなもの受け取ったからって、承知したわけじゃないわよ!」 白蛇女は怒鳴りました。 「落ち着いてくださいってば。一年に一度の大切なクリスマスだというのに……」 白蛇女はしばし考えてから言いました。 「そうね。あなたを半殺しにするのは後に回しておくわ」 「……それはどうも」 クーンツという男はゆっくりと頭を下げました。 さて、クリスマスパーティの始まりです。 クーンツという男の他数名が、代わる代わるテーブルに料理を運んで来ました。 高級料理です。 皆で仲良く食べました。 とても美味しい料理でした。 食事が終わると、今度はお酒が運ばれて来ました。 お酒を読んで酔っ払い、白蛇女は≪高笑い≫を連発しました。 金属少年もつられて≪高笑い≫を上げます。 「おーほっほっほっほっ」 「おーほっほっほっほっ」 「おーほっほっほっほっ」 「おーほっほっほっほっ」 二匹の羊はケンカしています。 空揚げ屋は真紅の竜を追い掛け回し、黒い蛇は引き返せと言い続けました。 ザリガニフクロウは飛び回り、モグラ男は大きな大きな青鼠とじゃれ合い、変な老人はそれらの光景を幸せそうな眼差しで見守り続けました。 楽しい楽しいパーティです。 でも白蛇女は始終時間を気にしていました。 なぜならクリスマスは夜中の十二時には終わってしまうのです。 食事が始まったのが七時、食べ終わったのが八時で、今は九時です。 後、三時間しかありません。 せめて幸せな三時間にしようと白蛇女は思いました。 さて、三時間など無情に過ぎてゆくものです。 十二時の鐘が鳴ったその時、世界は泡のように消えてしまいました。 白蛇女は死にゆく光景を目に焼きつけようと、必至で必至で見つめ続けました。 <@><@><@><@><@><@><@><@><@><@> 夢から覚めた彼女は、そのすべてを妹に語った。 「ねえアメリア。私凄い夢見たのよ」 (白蛇女のクリスマス 了) <@><@><@><@><@><@><@><@><@><@> こんばんはハイドラントです。 最初からクリスマスネタにするつもりで書きました。 まだ早いですが、メリークリスマス! さてお次は「スレイヤーズTRY」です。 現在は原稿用紙350枚前後くらい書き終え、ちまちまと推敲をおこなっています。書いている内に作品が肥大化してしまい、プロットはほぼ完璧に出来ているけど、破綻していないか本気で心配です。 でも二十四日には公開出来るはず。うん。きっと。 それではこれで……。 読んでくださったすべての方に幸せな夜が訪れますように。 |
28748 | 完結、おめでとうございます | エモーション E-mail | 2003/12/22 22:04:21 |
記事番号28747へのコメント こんばんは。 ナーガの冒険奇譚。完結おめでとうございます&お疲れさまでした。 どこかシュールで、絵本のようなこのお話、ラストシーンを読み終えて、 やっと「不思議の国のアリス」を思い出しました。 ちゃんと、最初の方でワンダーランドと書いてあったのに(汗) 村上春樹さんの「羊男のクリスマス」。読んだことがないのですが、 こちらも不思議な味わいの作品なのでしょうか。 クーンツさん……ふと、誕生日シリーズのあの方々かと思いました。 彼らは素であのくらいやりそうですし(汗) 12時で終わるクリスマスパーティ。 大変な冒険でしたが、ナーガは最後に、本当に幸せで楽しい時間を過ごしたのですね。 次回作は「スレイヤーズTRY」ですか。 再びラレニェさんたちが動き始めるのですね? ほとんど反則技のような彼女が紡ぐ〃糸〃。 リナ達は多少でも、対抗できるのでしょうか。 ……でも、「降魔戦争」の方とは、設定別モードかもしれませんね……。 何にせよ、楽しみにしています。 それでは、短いですがこの辺で失礼いたします。 |
28750 | Re:どうもありがとうございます | オロシ・ハイドラント URL | 2003/12/22 22:40:37 |
記事番号28748へのコメント >こんばんは。 こんばんは。 > >ナーガの冒険奇譚。完結おめでとうございます&お疲れさまでした。 どうもありがとうございます。無事完結出来たのも読んでくださる方がいたからこそです。 >どこかシュールで、絵本のようなこのお話、ラストシーンを読み終えて、 >やっと「不思議の国のアリス」を思い出しました。 >ちゃんと、最初の方でワンダーランドと書いてあったのに(汗) >村上春樹さんの「羊男のクリスマス」。読んだことがないのですが、 >こちらも不思議な味わいの作品なのでしょうか。 「羊男のクリスマス」は、和製版「不思議の国のアリス」といった感じです。読後感などは似ていました。 >クーンツさん……ふと、誕生日シリーズのあの方々かと思いました。 >彼らは素であのくらいやりそうですし(汗) 確かにやりかねないかも。 作中では入れる部分がなかったので入れていませんが、実はあちらの会社と提携していたりします。 >12時で終わるクリスマスパーティ。 >大変な冒険でしたが、ナーガは最後に、本当に幸せで楽しい時間を過ごしたのですね。 そうでしょうねえ。……クーンツさん半殺しにすることを忘れるくらい(笑)。 ハッピーエンドになって良かったです。ちなみに「ゴートゥーヘヴン」の方で読むのを止めてしまうとバッドエンドに。 > >次回作は「スレイヤーズTRY」ですか。 >再びラレニェさんたちが動き始めるのですね? >ほとんど反則技のような彼女が紡ぐ〃糸〃。 >リナ達は多少でも、対抗できるのでしょうか。 >……でも、「降魔戦争」の方とは、設定別モードかもしれませんね……。 >何にせよ、楽しみにしています。 神魔英雄伝説と設定が同じかどうかは秘密ですが、壮大で複雑な話になりそうです。 > >それでは、短いですがこの辺で失礼いたします。 最後までご感想どうもありがとうございました。 心から感謝致します。 それでは…… |