◆−Encounter〜邂逅〜第六話−エーナ (2003/12/18 15:41:14) No.28684 ┣Encounter〜邂逅〜第三話について、さらに訂正(汗)−エーナ (2003/12/18 16:07:23) No.28685 ┣Encounter〜邂逅〜第七話−エーナ (2003/12/20 09:15:45) No.28707 ┣Encounter〜邂逅〜第八話−エーナ (2003/12/20 12:46:50) No.28711 ┣Encounter〜邂逅〜第九話−エーナ (2003/12/21 10:00:40) No.28721 ┣Re:Encounter〜邂逅〜第十話−エーナ (2003/12/22 10:30:48) No.28731 ┣Re:Encounter〜邂逅〜第六話−エーナ (2003/12/24 09:52:11) No.28765 ┣どんちゃんさわぎっ!?クリスマスっ! 前夜−エーナ (2003/12/24 18:23:36) No.28778 ┃┣すったもんだっ!?クリスマスっ!−エーナ (2003/12/25 10:12:39) No.28784 ┃┣空前絶後っ!?クリスマスっ!−エーナ (2003/12/25 22:38:52) No.28804 ┃┣遊んでみましょうっ!?クリスマスっ!−エーナ (2003/12/26 19:22:35) No.28813 ┃┗祝福しましょうっ!!クリスマスっ!−エーナ (2003/12/26 20:51:53) No.28815 ┗Encounter〜邂逅〜第十二話−エーナ (2003/12/28 19:46:37) NEW No.28843 ┗Re:遅刻レス。(遅刻です(笑))−はるか (2003/12/29 11:46:14) NEW No.28849
28684 | Encounter〜邂逅〜第六話 | エーナ E-mail | 2003/12/18 15:41:14 |
6年後、もしかしたら、この人たちと同じ服装をした人間がやってくるかもしれないわ。 そのときは、快く迎え入れてあげてね? Encounter〜邂逅〜 第六話 竜たちの峰〔ドラゴンズ・ピーク〕から、ほんの少し離れた場所の岩陰。 「・・・ふぅっ」 かぱりと仮面を外し、漆黒のローブを脱ぐ。 それをぎゅっと握り締めると、ぼしゅうっと音をたて、ローブが消えた。 「あれ?はずしちゃっていいんですか?」 ゼロスがたずねると、イブリースはいともあっさりと・・・ 「いいのよ。彼にあたしの印象を別の形で残したかっただけだからね。 『金髪で、紅い瞳の女魔剣士』じゃなくって、『黒いローブの仮面をつけた怪しい女』ってね。 この眼は特徴的だから。インバース家の家系にしか現れない特殊な色だそうよ。 まあ、それはおいといて・・・何か聞きたい事があるんじゃないかしら?」 ちらりと二人を見る。 「ここ、どこよ」 簡潔に。しかし、的を射た問いがサミィから発せられる。 「ここは、惑星テラ。その一角にある結界内部のカタート山脈のふもと。 もっと大雑把に言ってしまうと・・・あなたたちの住んでいたところではない、別の銀河。 ・・・と、言うところかしら」 どさりと手ごろな岩に腰掛け、足を組むイブリース。 「次に、あなたたちは誰?」 『別の銀河』という答えは予想していたらしく、表情を変えずにサミィが再び問う。 「あたしはイブリース。分かるとおり、偽名よ。こっちはゼロス。さっきの紺色の髪のあの子はアシュタロス。 あなたたちの名前も聞いておこうかしら」 「・・・サミィ。サミィ=マリオン」 「イーザーだ。イーザー=マリオン」 「・・・あら、ずいぶん変わったファミリー・ネームね。『人形〔マリオネット〕』だなんて」 「・・・ほっといてくれない?」 サミィの目つきが、ほんの少し剣呑なものになり、イーザーがぴくりと眉を跳ね上げる。 「あら、聞いちゃいけないことだったみたいね・・・」 ほんの少し申し訳なさそうに肩をすくめ、イブリースが言った。 「ところで、さっきのあれは何? 金色と黒色の大きいの。そのうち一匹が、人間になったように見えたけど・・・あなたたちもお仲間?」 「ん〜、そうともいえるし、そうでないともいえるわね」 「はぐらかさないで」 「あの生物はドラゴン。分かるでしょう?物語や神話、伝説なんかに出てくるあれよ。 次に、あたしたちが彼らの仲間かというと・・・違うと答えるわね」 「――ドラゴン!? 映画とか、小説とか・・・絵本とか・・・そんな、おとぎ話でしか登場してこない伝説の生き物が・・・なんで存在してるの!?」 「おとぎ話・・・ですか?僕らにとっては普通だと思うんですけど・・・」 「・・・ゼロス、あんたあたしが昔言った事忘れてない? 『ドラゴンとエルフは消えてしまうわ。きっと。非効率的過ぎるのよ。寿命が長すぎて、環境の変化に対応できなくなる。』 ・・・ってね」 「あなたが風邪を引いたあの時のこと・・・覚えていたんですか?」 「あいにくあたしは記憶力はいいのよ。それこそ母さんよりね。 それはおいといて・・・あたしが今言ったとおり、あのドラゴンという種族をふくめ、この惑星の上にいる固有種は、どれもこれもアンバランスなものばかり。 小さいものは酸イモ虫〔アシッド・クロウラー〕からオーク、オーガ、エルフ、サイクロプス、クラーケン、そしてドラゴンにいたるまで。 普通の進化をとげていない、『完成された種』として太古の昔に大地にうえつけられた生き物たち・・・ ――そして、最も存在し難いのが」 ぴっとイブリースはゼロスを指差す。 「へ?僕ですか?」 「ゼロスやアシュタロス・・・そしてあたしのような、精神生命体」 「・・・悪いけど、彼らはその指輪を渡すためだけに来たの。もうここにはいないわ」 ルナは肩をすくめ、そういった。 「・・・じ・・・じゃあ・・・」 目に見えて落胆するレティシア。 「・・・でも・・・もしかしたら、別の方法があるかもしれない」 「本当!?」 伏せていた目線を跳ね上げ、大声で問う。 「異界黙示録〔クレアバイブル〕よ」 「クレア・・・?何それ?」 「この世界における神の一つが、滅びるときに残した置き土産。 水竜王〔アクア・ロード〕の意思の欠片と、莫大な知識を引き出せるもの」 「・・・は?神?」 レティシアは眉をひそめ、繰り返す。 「ああ、そうね。あなたたちには不思議な事かもしれないわ。住む場所が違う。歴史も、技術も違う・・・ 最初から説明しましょう。この場所・・・惑星における世界観を。とりあえず、座って話をしましょう」 言って、ルナは二人をテーブルにつかせ、話を始めた。 「はるか過去、年を数えるほど無意味な大昔。 その太古から存在する『混沌の海』と呼ばれるものには、いくつもの杖が立ち、その杖のひとつの上にある部分・・・それがあたしたちの世界というのがこの地での定説。・・・そうそう、その部分には、あなたたちの銀河も含まれるわね。 さらに、この地図・・・・・・」 見せたのは、結界中の地図。 カタート、ディルス、ライゼール、ラルティーグ、カルマート、セイルーン、沿岸諸国連合、エルメキア・・・ 「この国々の周囲、『北の拠点』、『魔海』、『群狼の島』、『滅びの砂漠』・・・この四つの地点に、高位魔族が居座り、そこで千年ほど前から結界を張っていたの」 「・・・魔族?それに・・・『いた』?」 『魔族』と呼ばれる一族や、人種か何かがいるのだろうか。 ふとそう思いながらもレティシアはたずねた。 「魔族についてはおいおい説明するわ。この地点・・・『滅びの砂漠』にある結界の拠点は、3年前に破られているの。 だから、結界は無効化されているのだけど・・・このことは、ほとんど誰も知らないわ」 「なぜ?」 それが『誰も知らない』ことについてか、『破られた』ことについてかの問いかは分からなかったが、ルナは言葉を続ける。 「ここに存在したはずの冥王〔ヘルマスター〕が滅んだから、その力が途切れ、消えた。人間が滅ぼしたの。 それが数人の冒険者だって言うから、話はあまり伝わってはいないわ。もっとも、やすやすと話せる内容でもないしね」 「なら、何であなたが知っているの?」 「・・・その、『やすやすと話せるような内容でもない』情報が耳に入る立場だからよ。 あまり言うと、混乱するでしょうから、それだけ言っておくわ。 ――次に、魔族と神族・・・ 彼らは、『神』と『魔』の二つの勢力に分かれ、世界でそれぞれ戦っているのよ。 この世界の魔王は赤目の魔王〔ルビー・アイ〕シャブラニグドゥ。対して、神は赤の竜神〔フレア・ドラゴン〕スィーフィード。 その二つの存在が率いる勢力がぶつかり合い、人間の進歩を押しとどめてきたわ。 人間という『種』の誕生自体は、あなたたちの銀河とほぼ同じ時間。 まあ、進歩を押しとどめるのが本来の役割なのだけれど・・・あなたたちは、偶然にも見逃された場所で進化し、進歩し、宇宙に進出する術を見い出したみたいね。本当なら、そちらにも力が及ばなくてはならないわけだけど・・・ X座標、Y座標、Z座標・・・この惑星を中心としてそれを定めるのはお互いの銀河のスピードが速すぎてまず無理ね。 今回、それが偶然にも交わったらしいけど・・・・・・計算ではまだ20年弱早いはずなのよ。 ・・・おっと、話がそれそれてしまったわね。 『神』と『魔』のそれぞれの役割だけど、神はこの世界を護り、魔族は混沌の海に沈めるのが役割。そのバランスをとって、人間の進歩を押しとどめるわけだけど、そのバランスが崩れつつあるわ。 まあ、それはあまり気にしないでちょうだい。 さて、話を戻しましょう。 4000年ほど前、神魔戦争という、神と魔王の戦争があったわ。そしてその二つの存在・・・魔王は七つに分断され、人間の魂に封印され、神は混沌に沈み、4つの分身を残した。それが、それぞれ、火竜王〔フレア・ロード〕ウラバザード、地竜王〔アース・ロード〕ランゴート、空竜王〔エア・ロード〕バールウィン、水竜王〔アクア・ロード〕ラグラディア。 それから、魔王には腹心がいて、さっき言った冥王〔ヘルマスター〕フィブリゾ、魔竜王〔カオス・ドラゴン〕ガーヴ、獣王〔グレーター・ビースト〕ゼラス=メタリオム、海王〔ディープ・シー〕ダルフィン、覇王〔ダイナスト〕グラウシェラー。 この五つの存在の中でも最も強かったフィブリゾが、魔王が封印された時に仮にリーダーとなっていたようね。 そして1000年前、降魔戦争・・・これは一部では歴史の本にも残っている戦争よ。そのときに戦争に加わったドラゴンが、今なお生存しているわ。この戦争は、フィブリゾが起こした戦争でね・・・魔族の中でも、最下級のデーモンを幾千、幾万と野に放ち、人間を疲弊させ、その人間の魂に封じられたシャブラニグドゥを復活させるのが目的だった。 案の定、シャブラニグドゥの一体が復活し、当時、ラグラディアの聖地であったここ・・・カタートに攻め入った。 だけど、魔王の力は7分の1、対してラグラディアは4分の1・・・このままでは、圧倒的な力の差で、魔族が負けるのは目に見えていたわ」 「・・・腹心たちが加わっても?」 「ええ。そう。魔族と神族・・・それら全てを表す言葉として、精神生命体という言葉があるわ。そして、その精神生命体はピンからキリまであってね。完全なシャブラニグドゥとスィーフィードの力を物質の大きさで現すとしたら、この銀河くらいの大きさ。対して、最下級の魔族、亜魔族はそこら辺の石ころくらいね。腹心は・・・この恒星系くらいと言えば分かるかしら」 悪夢を統べる存在〔ロード・オブ・ナイトメア〕を同じようにたとえたら、それこそ宇宙を包んでいる混沌の大きさになってしまうけどね・・・とは心のうちだけでつぶやき、ルナは言葉を続ける。 「・・・そんなに?」 「ええ、そんなにも差があるの。・・・ちなみに、普通の人間は石ころよりさらに小さくて、砂粒といったところかしら」 「だったら、何故人間がフィブリゾってヤツに勝てたの?」 「・・・うっ・・・・・・それはその・・・えぇと・・・なんとゆーか・・・敵を倒すには、それより大きい力を持ってするべし・・・ってね・・・・・・あはははははv」 レティシアの至極もっともな質問に、ルナは笑ってごまかそうとする。 「神族の力でも借りたの?」 「それは・・・さっきも言ったとおり、その当時は結界が張られていたから、神の魔法は使えないようになっていたのよ」 「・・・魔法って・・・掌から火の玉出したり、凍らせたりとか?・・・あたし、最初は奇術師の集団かと思ったわよ。 驚くべき事に、それが実在したわけだけど・・・それって、あたしたちにも使えるの?」 目の前の事実は否定しない。すでに遺伝子操作による、『ヒトの形をしたヒトではない兵器』を・・・そしてその力を幾度も目の当たりにしているのだから。 こういうことも、ありうるのかもしれない・・・そう思ってしまう自分の思考回路は、どこかネジが一本欠けているのではないかという考えがレティシアの頭をよぎった。 「魔力があれば、呪文を唱えるだけで初級もいいとこのものなら使えるけど・・・それ以上になると、知識も求められるからね」 「・・・そう。・・・それで・・・結局フィブリゾをどうやって倒したの?」 「それは・・・えー・・・あー・・・あ、あたしに聞くより、妹に聞いたほうが早いわねっ!じゃあそういうことでっ!」 どぎゅばたむ。がたんっ・・・ すさまじいスピードで走り出し、ドアを駆け抜け・・・その後にルナが座っていた椅子が倒れる。 「・・・行っちゃった」 レティシアは呆然としてつぶやいた。 ・・・ちなみに、今まで一度もセリフが出てこなかったメニィは、据え置きされたクッキーをかじり続けていた。 そのメニィが、口にくわえていたクッキーをほおりこんで、ふと・・・ 「妹って・・・あたしたちがここに来てから最初に話しかけてきた、リナでしょ? その妹に聞いたほうが早いってことは・・・フィブリゾを倒した冒険者本人が彼女って考え方が妥当なトコだと思うんだけど」 「あんた・・・・・・たまに鋭いこというわね」 レティシアは、とりあえずリナのところへ向かうことにした。 「ねえ、くれあばいぶるって言うのがあるところがどこか、聞いてなかったね、レティ」 「そ・・・そぉいえば・・・」 あとがき エ:うあああああっ!最近更新ペースがめちゃくちゃ遅いっ! L:ほほぉぉう? エ:・・・はぅ!ごめんなさいっ!次はもっと早く書くから許してぇぇっ! L:ふっ・・・まあいいわ。次回の更新が楽しみねぇ〜。うふふふふふふふ・・・v エ:(コワいっ・・・コワすぎる・・・!) |
28685 | Encounter〜邂逅〜第三話について、さらに訂正(汗) | エーナ E-mail | 2003/12/18 16:07:23 |
記事番号28684へのコメント 「――小さいほうは18年前の・・・リナ=インバースがルーク=シャブラニグドゥを倒したほんの少し後で、大きいほうは21年前、リナ=インバースとガウリイ=ガブリエフが出会う直前――」 というセリフがありましたが、年代が違います。 〜ルークと戦ってからもうすぐ10年。郷里に帰ってからは9年10ヶ月ほど〜 というセリフが第一部にあったのも関わらず、年数を気にしていないというこの大雑把ぶり・・・あああっ!石投げないでっ! ・・・とにかく、正しくは。 「――小さいほうは19年前の・・・リナ=インバースがルーク=シャブラニグドゥを倒したほんの少し後で、大きいほうは25年前、リナ=インバースとガウリイ=ガブリエフが出会う直前――」 ・・・です。 ちなみにルキの年齢は17プラス半年。 ・・・ちがう・・・めっちゃちがうっ! 年の計算ができてないっ! あああああああっ! 原作本編13巻にミルさんが、 『そういえば、二年ほど前にも強い『魔』の気配を感じたことがあったが・・・・・・』 ・・・とか言ってたり、ガウリイの、 『二年ほど前・・・・・・って、ひょっとして、オレたちがシャブなんとかって魔王倒したころのことじゃなかったっけか?』 とか言うセリフがあったのにっ! 『小さいほうは19年前の・・・リナ=インバースがルーク=シャブラニグドゥを倒したほんの少し後で、大きいほうは25年前、リナ=インバースとガウリイ=ガブリエフが出会う直前』 ・・・っておいこら!6年も時間があるじゃないかっ! 長く見積もっても、一巻最初から十五巻終了まで3年だぞっ! ウラ設定を実現させるために調整したつもりが・・・あうう・・・ ・・・結局最終訂正。 『小さいほうは19年前の・・・リナ=インバースがルーク=シャブラニグドゥを倒したほんの少し後で、大きいほうは22年前、リナ=インバースとガウリイ=ガブリエフが出会う直前』 ・・・です。 |
28707 | Encounter〜邂逅〜第七話 | エーナ E-mail | 2003/12/20 09:15:45 |
記事番号28684へのコメント Encounter〜邂逅〜 第七話 「精神・・・生命体・・・?」 「そ。精神生命体って言うのは、この世界に薄紙一枚隔てた別の空間としてこの世界に重なっている場所に住んでいるイキモノの事。 それらは肉体を持たず、純粋なる『意思』と『力』と『魔力』のみを持ち合わせた存在」 「・・・は?『別の空間』・・・って・・・それに、肉体を持たない?ちゃんと、こうして目の前にいるし、人間にしか見えないわよ?」 ぴっとゼロスを指差し、サミィは問う。 「話は最後まで聞くものよ、サミィ。 精神生命体は、大雑把に分けて3種類。魔族、神族、そしてそのどちらにも属さない存在。 三つ目の存在の数はほとんどないから、たいてい出会うのはこのどちらか・・・特に、結界内であるこの区域は魔族ばかりね。 精神生命体は、本来薄紙一枚隔てた別の空間に住んでいて、物質世界側〔マテリアル・サイド〕であるこちら側と、向こう側の精神世界側〔アストラル・サイド〕の間にある、その薄紙一枚の『壁』が邪魔してこっちへ来られない・・・はずなんだけどね。 そこは『精神』生命体というだけあって根性でこっちに顔を出してるの。で、自力で顔を出せるくらい強い『意思』と『力』がない多くの精神生命体は、小動物なんかの自我が弱い生き物に憑依してこっちに顔を出しているわ。 それが亜魔族と呼ばれ、魔族において最下級のレッサー・デーモンと、ブラス・デーモンよ。 ああ、神族はもともと絶対数が少ないからこういうのはいないわ。 で、残りの精神生命体・・・約5パーセントくらいの存在は、こちらに顔を出せるくらいに・・・それなりに強い力を持った精神生命体で、『純魔族』、と神族ね。 で、純魔族にもランクがあってね。それは大体見た目で分かるわ。人間の絶対数が多いからヒトの姿を取ると便利だからね。 さっき言った最下級のデーモン。人間の姿を取れない下級魔族。人間の姿は取れるけどダメージを受けるとその姿が保てなくなる中級魔族。ダメージを受けてもヒトの姿を保てる上級魔族。そして、腹心直属の神官〔プリースト〕・将軍〔ジェネラル〕よりいっこしたあたりからが高位魔族。ちなみに神族は高位魔族と同等以上の存在しかいないから。 まあ、こんなところかしら」 「・・・わざと人間に憑依するものすごい高位の方もいらっしゃいますけどね」 最後にポツリと付け加えたのはゼロスだ。当然目の前の女性のことを言っている。 「あ、ついでに言うと、ゼロスは魔族で腹心直属の獣神官〔プリースト〕。腹心と魔王を抜いたら一番強いわね」 「・・・・・・今現在その腹心クラスの力を持っているのはどこのどなたでしたっけ?」 「ここのあたしv」 イブリースは自分をさし、ゼロスの言葉を茶化す。 「じゃあ・・・魔族!?二人とも・・・もしかして、さっき宇宙船と一緒にいなくなったアシュタロスってヒトも・・・」 「ゼロスは魔族。あたしは魔族でも神族でもないわ。アシュタロスも同じ。まあ、魔族でも神族でもないのは立った5つの存在しかいないしねー。あたしたちのことはほとんど誰も知らないわ。 ちなみに何であたしについてゼロスが何でおとなしくしているかって言うと、あたしが権力振りかざしてるからv いやぁ。権力っていいわねっ♪」 この言葉に、ゼロスとサミィは脱力した。 「まあ・・・それはそれとしてですね・・・どうやって帰るんです?」 「行きはよいよい帰りは怖い・・・ってね。別に怖くはないんだけどさぁ。それがちょっとばかり厄介なのよね・・・ 今のあたしの力じゃ金色の『力』をとっかかりとして時空間転移しなきゃいけないわけだけど、今存在してるのは・・・イルマードね」 むぅとうなってイブリースが言う。 「沿岸諸国のイルマード公国ですか・・・?あそこはただの観光地・・・」 「・・・『死の入り江』よ。あんた、この情報つかんでないの?仕事でいろんなところぶらぶらしてるはずなのに」 「死の入り江ですか? たしか、マックレーン家所有のプライベートビーチが、ちょっとしたいざこざの後に、一瞬でとある《女の魔導士》の放った未知の魔法で海岸が一部『消滅』し・・・・・・って、あ゛。」 ゼロスが懐から冊子を取り出し、読んではっと気がついた。 「・・・は・・・はっはっはっはっはっは・・・・・・『あの人』、こんなことしてたんですね・・・」 ゼロスのほほがあきらかに引きつっている。芸がなかなか細かい。 「そういうことね。じゃあ、そろそろ行きましょうか」 「空間転移はしないんですか?」 「やだ。疲れる。人間二人も抱えて百何十キロも転移すると結構エネルギー使うのよ。帰れなくなっても知らないからね」 「よくはわからんが・・・それは困る」 今まで沈黙を通してきたイーザーが言った。 「時間をかけて歩いて移動するの?」 「そゆこと。だいせーかいよ」 サミィの言葉に、イブリースが微笑んだ。 地図を指差し、リナ=インバース・・・もとい、新婚ほやほやのリナ=ガブリエフが言った。 「――ここは、ゼフィーリアのここに位置するゼフィール・シティ。 西に行って、カルマート王国を抜けてディルス王国に行きなさい。 ディルス王国の西のほう・・・そこに竜たちの峰〔ドラゴンズ・ピーク〕があるから、そこへ。 そこにある異界黙示録〔クレアバイブル〕へと導いてもらえるかもしれないわ」 「・・・異界黙示録〔クレアバイブル〕・・・」 レティシアがその名をつぶやき、考えるポーズを作る。 「その竜たちの峰〔ドラゴンズ・ピーク〕にも異界黙示録〔クレアバイブル〕へと通じる道があったんだけど・・・ 1年半くらい前のいざこざでなくなっちゃってね・・・こういうのも変だけど、もう少し前なら通してくれたかもしれないわ。 ドラゴンたちが他の場所を知っているといいけど」 肩をすくめ、リナが言う。 「おー。でっかいトカゲがいっぱいいるところか」 「・・・ドラゴンよ。ガウリイ・・・」 ぴくつくこめかみをおさえ、リナはガウリイに言った。 ――こんこん。 「うみゅ?」 玄関のドアをノックする音に、リナが顔を上げる。 リナはリビングから出て、ドアを開け―― 「ね・・・姉ちゃん?」 何をしに来たのだろうと思いつつ、リナは疑問符を浮かべる。 「・・・行って来なさい」 「へ?」 「いいから、彼女たちと一緒に行くのよ。いいわね?」 「は・・・はひっ・・・!」 ずごごごご。というような擬音をバックに背負う姉のすさまじいオーラに気おされ、即答する。 それきりルナはきびすを返すと、玄関の外へと出てゆく。 「なんだぁ?リナ・・・あれ?ルナさんじゃ・・・」 さすが感覚天才男。ドアが閉まる直前の一瞬見ただけで誰が来たかが分かるとは。 「・・・・・・旅に出るわよガウリイ。とりあえず竜たちの峰〔ドラゴンズ・ピーク〕までっ!!」 「お・・・おう」 冷や汗と脂汗を同時に流しているリナを前に、ガウリイも同じように答えてしまった。 あとがき エ:こんかいはちょっと早めにアップ。冬休みだからバンバン書くぞ! L:まあ良しとしましょう。 エ:しかも初雪っ!めでたいぞっ! L:あんた、やたらと雪が好きね。第一部に降らせてたし。 エ:寒いのは嫌だけど、見るのはすきvリナの設定がこんな感じだと分かったからさらにすきv L:そういえば、あんたすきなキャラはなんなの? エ:一番が当然L様(半分オリジナル化)!二番がゼロスというひねくれた性格。三番がリナ。ただしリナ=L様もしくはリナ∽(これは図形の形が同じだけどサイズが違う時に使う『相似』という記号)L様の図式が成り立つ場合急に一位に浮上っ!もちろんL様はそのままっ!以下、シェーラ、ゼルガディス、アメリア、ミルガズィア、Sと続きます。 L:いや・・・数式じゃあるまいし。リナ=あたしはわかるとして、リナ∽あたしって何? エ:リナがL様と同等、もしくは同じ性質を持ってめっちゃ強いとか、リナが分身だとか部下だとか欠片(おい)だとか。 L:・・・ほう。じゃあこのシリーズのリナは? エ:みての通りノーマル。 L:・・・ふぅん。そういえば、ゼロスの『――マックレーン家所有のプライベートビーチが、ちょっとしたいざこざの後に、一瞬でとある《女の魔導士》の放った未知の魔法で海岸が一部『消滅』し――』ってセリフがあったけど、それってすぺしゃるの『PB攻防戦』よね? エ:そうです。今回金色の力を利用して時空間の移動を行うという事なので都合よく利用しました。 L:まあいいけど。そういえばアシュタロス《モーニング・スター》といっしょに帰っちゃったけど。 エ:ああ、それはですね。『普通の人間ならばそれこそ数百人連れて行っても大丈夫ですが、今の状態の・・・混沌と力の切り離しを行っている状態のL様を送るとなると、自分自身とL様・・・それに、腹心の部下の神官・将軍クラスを一人、と言った所でしょうか』とアシュタロスが言ったように、それでぎりぎりなんです。ましてやゼロスは腹心の次に強くてアシュさんもう大変! ・・・ですから、まさかサミィたちを置いていくわけにもいかない。L様やゼロスでも同様。とりあえず船だけを持って先に帰ったわけです。 L:意外と考えてあるわね・・・それで、これからどうなるの? エ:考えてません。 ごじゃあっ!! エ:げぶぉっ!?・・・五寸釘の雨あられは止めてください・・・・げふっ・・・ L:どういうことかしらぁ? エ:いえ・・・途中までは考えてあるんです・・・ラストがどうなるかも。ただ、その間でどうなるかが分からない、と。 L:ふっ・・・まあいいわ。次を楽しみにしてるわよ。 |
28711 | Encounter〜邂逅〜第八話 | エーナ E-mail | 2003/12/20 12:46:50 |
記事番号28684へのコメント エ:イブリースたちは沿岸諸国へ移動。 それでは、お楽しみください! Encounter〜邂逅〜 第八話 朝ごはんの時間をほんの少し過ぎたころ。ここ、復興しつつあるサイラーグにて。 「・・・シルフィール=ネルス=ラーダ殿、と言ったな」 「え?は・・・はい」 ミルガズィアが、長い黒髪の女性――シルフィールにサイラーグの魔導士協会前で声をかけた。 「あの・・・どちら様でしょうか?」 「リナ=インバース・・・いや、今はリナ=ガブリエフだったな・・・その彼女の知り合い、と言えばわかるか?」 「・・・はあ。まあ分かりますが・・・とりあえずそこのカフェでお話しましょう」 シルフィールは、協会のちょうど向かい側のカフェを指差し、ミルガズィアは、表情を変えぬままその言葉に従った。 「私の名はミルガズィア。カタートのふもとにある竜たちの峰〔ドラゴンズ・ピーク〕のドラゴンたちを束ねる任にあるものだ」 「それでは・・・!?竜王〔ドラゴン・ロード〕の方ですか・・・?」 「いかにも、私は黄金竜〔ゴールデン・ドラゴン〕だ。この姿はかりそめに過ぎん」 「それで・・・何故私会いに来られたのです?」 「・・・少々・・・たずねたい事があってな。未来から来た存在たち・・・と言うのに心当たりはないか?」 「さあ・・・それはさっぱり。 ・・・ただ」 シルフィールは、そこで少し口ごもる。 「ただ?」 「・・・ただ・・・先ほど魔導士協会で、隔幻話〔ヴィジョン〕で・・・・・・遠い遠い・・・この地の・・・いえ、結界の中でも外でもどこにも属さない、はるか遠い場所から来た二人組の帰る方法を探している、と・・・とりあえず異界黙示録〔クレアバイブル〕のあった竜たちの峰〔ドラゴンズ・ピーク〕を訪ねたいので、今日の午後出発して道中このサイラーグによる、とリナさんから連絡がありまして・・・・・・」 「・・・・・・ふむ・・・・・・それでは話は早い。今すぐゼフィーリアへと向かおう」 「え・・・!?」 今からゼフィーリアへいくというのだろうか? シルフィールは少し目を丸くする。 「人間の女よ、おぬしも来るか?」 「でも・・・入れ違いに・・・」 「飛んでいけば2時間もせずにつく。昼には十分間に合う」 「あ・・・。分かりました。お言葉に甘えさせていただきます」 この人がドラゴンだということを忘れていた。確かに、飛んでゆけば十分間に合うだろう。 「連れが独りいるのでな。少々ここで待っていてくれぬか?」 「はい」 その返事を聞き、ミルガズィアは席を立ち店を後にする。 「あら、おじ様!」 店のドアから出てきたミルガズィアに、メフィことメンフィスが気付く。 「メフィ、ここにいたのか」 「ええ・・・あの人間の女性は見つかりましたの?」 「ああ、今そのカフェで話をしていたところだ。今すぐゼフィーリアへたつ」 「分かりましたわ」 「それでは・・・行こう」 お昼の少し前。もうすぐ正午になろうかと言うところで、それはリナたちの家に訪れた。 「シルフィール!?ミルガズィアさん・・・ついでにメフィも!」 いきなりの訪問者に、リナは思わず声を上げる。 「・・・ついでに・・・ってところがきになるところですが、今はそんな場合ではありませんわ」 ひくひくとこめかみを引きつらせながらも、冷静さを保とうしながらメフィがいった。 「・・・そんな場合って・・・何かあったの?」 「それは・・・ミルガズィアさんからお聞きになってください」 シルフィールがいい、ミルガズィアがリナの前に出る。 「・・・この箱を見てくれ」 「箱?」 差し出された黒い小箱を受け取り、開けてみる。 中に入っていたのは・・・ 「手紙・・・と、もう一個、箱・・・?えーと、手紙のほうは・・・・・・」 『ミルガズィア殿。 この小箱が開くころ、おなじように未来から来た異邦人がゼフィーリアに到着します。 きっとあなたと会うことになるでしょう。 ――イブリース』 それだけ。ただそれだけの簡潔な手紙。 リナはその手紙を読み上げ、ぴくりと眉を跳ね上げる。 「・・・イブリース・・・・・・」 「小箱には言っていたその箱は、なにをしても開く事はなかった。材質は外側の箱と同じ」 「手紙には二枚目がある。読んでみるか?」 かさりと取り出されたそれは、羊皮紙ではなく・・・ 「・・・何これ・・・羊皮紙じゃない・・・」 その『紙』を受け取ると、リナはつぶやいた。 「植物性のものらしい。 ――今の世の中にはまったく出回って・・・いや、開発すらされていない代物だ」 『この紙はひとつの象徴。人間への警告。 これは一年草で作ったものだけれど、コストが安くなるからとか、使いやすいとか、そんな理由で樹木を切り倒してははダメ。 学びなさい。この世界のリングを。全ては全てをおぎない、繰り返され、続いてゆく。 それを壊してはならない。原因があり、結果を招く。よく考えて進歩しなければ・・・滅びに埋もれるのはあなたたちよ』 「警告・・・!?イブリースって言うのが誰だか知らないけれど、すさまじい知識を持ってるやつね・・・」 「娘よ、おぬしもそう思うか。・・・そのイブリースは・・・3年前、シャブラニグドゥが現れる数ヶ月前に我々の元を訪れ、自分たちは未来から来たといい、未来から来た異邦人とやらを連れて行った。その二人組みの言語はこの地の者とはまったく似ても似つかぬものだった。 そしてイブリースは・・・ゼロスすらも従えていた」 「――!?」 その事実に目を見開く。その事実に、一人ゼロスと面識のないシルフィールがいぶかしげな顔をする。 「あの・・・話の腰を折ってすみませんが・・・ゼロスさんとおっしゃる方は、一体・・・?」 「・・・魔族よ。魔王の腹心、獣王〔グレーター・ビースト〕が、本来二つに分けるはずの、部下に込める力・・・それを収束させて作られたのが、獣神官〔プリースト〕ゼロス。 そしてそのゼロスは・・・腹心の次に強い」 「ええっ!?」 「これは下手をすると・・・腹心クラス、もしくはそれ以上のヤツとことを構えることになるかもしれないわね・・・・・・」 「その可能性は・・・否定できん」 リナの言葉に、ミルガズィアは重々しくうなずいた。 「いやっほぉう!こうやって風を気って飛んでくのって結構気持ちいいわねぇ、ゼロス!」 風を切り、足元にいる紫色の龍(龍であって竜ではない)にあたしは声をかける。 『・・・僕を乗り物代わりにして言わないでください・・・』 「まあそう硬い事いいっこなしよ!」 イブリースははけらけらと笑い、姿を変えて飛ばさせているゼロスに言ってやる。 イブリースははゼロ龍(決定)の頭の部分に陣取り、眼下の景色を眺めながら機嫌よくはしゃいでいる。 「乗り心地はどう?サミィ、イーザー」 「・・・こんな乗り方するなんて・・・落ちたらどうすんのよっ!」 ゼロ龍の背中に乗り、必要以上に毛をわしづかみながらサミィが叫ぶ。 「あれま。ご機嫌斜め?でも大丈夫よ。あたしが風の精霊に干渉して落ちないようにしてあるから」 「ならば問題ない」 「問題あるわよぉぉおっ!!」 その絶叫は、風がうなる轟音にかき消された。 『皆さん、そろそろイルマードです』 「じゃあ、死の入り江に突っ込んで」 『えええっ!?本気ですかっ!?』 「ちょとぉっ!?」 「大丈夫よ。あたしが言ってるんだから」 『しくしくしくしく・・・』 「き・・・聞いてない・・・・・・」 ゼロスとサミィは無性に泣きたくなったらしい。 「それじゃあ、呪文いくからスピードと高度落として」 『・・・分かりましたよう・・・』 なくなくゼロスがその言葉に従う。 イブリースの表情が、無邪気なものから真剣なものへと変わり・・・ 「まことあらざるは時の呪縛。 われ、ここにそれを解き放つ。 在りしは金色の扉。 開かれるのは未来への道。 越えんとするは空間の垣根。 われ、鍵を持つもの。 望む時、望む場所、全てはわが意のままに! ――時縛壊〔ブラスト・オブ・クロノ〕!」 目の前が、金色に染まる。 あとがき エ:おおおおおっ!一日に二話もアップ!冬休みサイコーっ! L:でも補習。 エ:しくしくしくしく・・・・・・ L:番外であるこのシリーズが本編より長くなりそうなのもダメダメよね。 エ:ぐさっ! L:しかも魔法なんて今まで出ふたつしか出てないし。長いくせにもっとダメね。 エ:ぐさぐさぐさっ! L:勉強しろ。文もめちゃめちゃ。 エ:・・・がふぅっ・・・・・・ L:あ。倒れた。まあいいわ。言う事は言ったし。それじゃあ次回もお楽しみにっ! |
28721 | Encounter〜邂逅〜第九話 | エーナ E-mail | 2003/12/21 10:00:40 |
記事番号28684へのコメント エ:前回、ガウリイ、レティシア、メニィの三人は買出しでおでかけでした。なんだか問題ありそうなメンバー・・・ Encounter〜邂逅〜 第九話 「・・・わっぷ!」 金色の光が途切れ、無事空中で目を開けるサミィ。 「イブリース!今の地面衝突ぎりぎりだったじゃないのよっ!」 「まあ細かい事は気にしないv」 「重要でしょうが!思いっきり!」 イブリースの言葉にサミィがどなる。 「それはそうとして・・・もうすぐ見えるはずよ。ゼフィール・シティが」 いつの間にか漆黒のローブを纏い、ふたたび仮面をつけているイブリース。 『ううっ・・・僕ここにいい思い出がないんですよね・・・』 「確かにあんな奇妙な街にしたのは誰かしらね〜」 「――あなたでしょう?L様」 緑色の髪の寡黙な雰囲気の青年が虚空から現れ、そういった。 「えっ!?」 「・・・誰だ?」 サミィが驚き、イーザーが半ば戦闘体勢に入り、イブリースに問う。 「部下よ。ベリアルって言うの」 笑みはそのままに、一瞥すらせずにイブリースが言った。 「・・・そうか」 「それで、ベリアル。どうしたの?あなたにはベルゼと一緒に彼女たちのことを頼んでおいたはずだけど」 「・・・・・・それが・・・・・・ベルゼが――」 「またぁ!?・・・ったく・・・暇さえあればナンパばっかりしてるんだからあいつ・・・!」 「・・・すみません。止めようとしたんですが・・・・・・」 「・・・いいわ。後でお仕置きしておくから。仕方ないからあんたはベルゼの足止め。いい?」 「――仰せのままに」 そのまま虚空に姿を消すベリアル。 「サミィ、イーザー、あなたたちにちょっと頼みたい事があるのよ。 たいしたことじゃないけどね」 「なに?」 「あなたたちのお仲間と合流して欲しいのよ。できたらこれで連絡して」 ぽいっと無造作にサミィに投げ渡す。 それは手の平に収まる程度のもので・・・ 「・・・煙弾?」 少し不恰好なペンのような形をしたそれは、先端にあるピンを抜いて上に放り上げると音と共に色のついた煙を吐き出し、垂直にしばらく飛びながら現在位置を知らせるものだ。 「使い方は分かる?」 「ええ・・・まあ」 「そう。それじゃあゼロスはあたしと一緒に来て。・・・彼女たちを足止めする」 『わざわざあなたが出なくても・・・』 「逆よ。逆!あんた手加減するなんて器用なまねできないでしょーが」 『・・・はあ』 そこら辺には納得するところがあるのか、ゼロスはそう返事した。 「・・・お?なんだぁ?」 猛スピードで、とび来る物体がひとつ。 ガウリイはその気配を感じ取ると、空中に視線を移し、視覚で確認する。 「・・・ゼロス?」 買い物かごを持ったままポツリとつぶやき、ガウリイは足を止める。 「上にいるのは一人、二人、三人・・・」 そこまで分かるのか。あんた。 「ガウリイ、なんか見えるの?」 きょとんとした目でガウリイを見やるのはメニィだ。二人が足を止めた気配に気付き、レティシアも足を止める。 「どうかしたのかしら?」 「あれ・・・」 レティシアの問いに、ガウリは空を指差す。当然、その先は・・・ 「なんかおっきそう。紫色でちかちかしてる」 「・・・あたし・・・点にしか見えないんだけど」 レティシアの普通人のセリフは、次の瞬間には否定される事となった。 ・・・大きくなってきている。 「えーと・・・近づいてきてるような気がするんだが・・・」 「・・・これってやばくない?」 「に・・・逃げるわよっ!」 『どこに?』 「・・・・・・・・・」 普通人のレティシアの言葉に、普通人ではない二人が訪ねると、彼女は何も言えることがなかった。 「・・・って・・・言ってる場合じゃないわよ・・・どんどん近づいてるんだけど・・・!」 「このままだと衝突コースだね。レティ」 「何事もないように言うなぁぁぁっ!」 レティシアの大声と、ガウリイの見る先。 それにようやく通行人が気付いた。 「お・・・おい、あれ!」 「どんどん近づいてくるぞ!」 「騒ぎが起きるのはいつもの事だろ。それがたまたま空から近づいてきるだけだって」 「それもそうだな」 ・・・ちなみに。前半のセリフは旅行者のもの、後半はこの街の人たちのものだ。 なんておおらかなんだろう。(違) 「すまん。ちょっとこれもっててくれ。下におくとリナに起こられそうだからな」 「うん」 大量の買い物を(全部食料)投げ渡されても顔色ひとつ変えずに、メニィは軽く返事をした。 「い・・・今から逃げてももう遅いわよ」 「逃げても仕方がないさ。それにオレ、どこをどういったらいいか、ぜんぜんわかんねえしな」 レティシアの言葉にガウリイはふっと笑い、剣を抜く。 その体躯が・・・ 動いた。 「ぅおおおおっ!!」 「おー。」 「うそっ!?」 ガウリイが雄たけびを上げ、民家の壁を取っ掛かりにして空へと駆け上がった! そしてそれをみて、それぞれ違う声を上げる二人。 そしてガウリイの目の前には・・・ゼロ龍。 『ガ・・・ガウリイさん!?』 「ぅげっ!?」 「サミィ、飛ぶぞ」 「りょーかいっ」 金と銀、二つの残滓を残してサミィとイーザーが飛び降りる。 それを瞬時に見て取ったイブリースは、その周囲だけ風の精霊を解放する。 べぃん。 奇妙な音を立ててはじかれたのはガウリイ。 前方にまとわりついていた風に弾き飛ばされたようだ。 「ぅおおおおっ!?」 さっきとは違う意味で声を張り上げるガウリイ。 「あぁもう・・・ゼロス・・・助けてあげて」 イブリースが頭を押さえる。 『はい・・・』 ぐい。 首の辺りの服をゼロ龍につかまれ、猫のようにぶら下がるガウリイの格好はなんともこっけいだった。 「まあとにかく・・・このまま行くわよ。目指すは・・・あたしの実家!」 びしぃっとイブリースが指差すその先には、小ぢんまりとしたきれいな一軒家がひとつ。 家族4・5人程度が暮らすのにはちょうどいいくらいの大きさだ。 あとがき エ:ガウリイ猫化っ!? L:ちがうでしょ。それ。 エ:とにもかくにも第九話、ここのお送りいたしました! L:そういえば降魔戦争ってこうませんそうと入力すると子(仔)馬戦争になるから『ご』うませんそうって入力しなきゃなんないのよね。 エ:いいぢゃん。そんな事。 L:魔族や神族にとっては死活問題よっ! 神と魔が戦ってるのに子馬だなんて・・・! 精神ダメージ食らって滅びちゃうじゃない! エ:そ・・・そこまで・・・ でもンなこといったら神様が親戚になっちゃうじゃん。 『親族』って。 L:いいのよっ!神も魔も親戚みたいなモンなんだから! エ:・・・そういう問題じゃないような気が・・・・・・ L:まあそれはおいといてっ!そろそろ終わりそうな気がするんだけど。 エ:ええ。このお話は結構最初のほうから考えてたんですけど、途中すっ飛ばして終わらせていただきます。 L:で、結局どういう流れになるの? エ:リナvsイブリース!・・・ってことで。 L:で、結果は? エ:それは秘密vという事で。 L:おいこら!逃げるなっ! |
28731 | Re:Encounter〜邂逅〜第十話 | エーナ E-mail | 2003/12/22 10:30:48 |
記事番号28684へのコメント エ:番外編のくせについに大台・・・だめぢゃん。 Encounter〜邂逅〜 第十話 こぉぉぉぉ・・・ 風を切り、うなる音。 「魔族・・・・!?」 ミルガズィアさんは、『それ』にはっと気付き、窓の外を見やる。 「この気配・・・高位魔族ですわ!」 「え・・・!?」 メフィの言葉に、シルフィールは驚愕に顔を引きつらせた。 「竜・・・いや、龍か・・・!」 「シルフィール、貴方はここにいて!」 装備をすばやく着込み、あたしは家を飛び出す。 それに続き、ミルガズィアさんとメフィも。 ごぉっ・・・ 紫色の巨体が屋根瓦の一部を吹き飛ばし、その上から漆黒の人影が落ちて・・・いや、降りてくる。 とんっ。 なんとも軽い音をたて、金髪の、仮面をつけた女性は着地する。 ・・・べしゃっ。 ・・・なんとも情けない音をたて、あたしたちのそばにガウリイが無様に顔面着陸する。 紫色の巨体をくねらせて、上空を通過した紫の龍はその身を翻し、空中でその姿を人へと変え、仮面の女の隣に着地する。 「・・・ゼロス!?」 「お久しぶりですね、リナさん」 相変わらずの笑みで言ったそいつは、相変わらずの口調でそういった。 「お前は・・・イブリース」 「何ですって!? あの・・・ゼロスを蹴り飛ばしそうなヤツナンバーワンの!?」 ずべっ。 あ。二人ともこけた。 「いつの間に作ったのよそんなランクっ!!」 「いまさっきこの場で。」 金髪女はむくりと起き上がるなり抗議し、あたしが言ってやると頭を押さえた。 「あ・・・相変わらずですね・・・リナさん・・・」 「何か文句ある?」 「いえ・・・ないです・・・」 にっこり微笑んで言ってやると、ゼロスはびくぅっと反応して後ずさり、イブリースはため息をついた。 「まあ、前置きは面倒だし。 ・・・ちゃっちゃとやるわよ」 そう笑って言ったイブリースが、一歩、こちらに近づく。 びくんっ!と、メフィとミルガズィアさんが反応し・・・後ずさる。 「ちょ・・・二人とも・・・どうしたのよ!?」 「あ・・・あの・・・女・・・・・・魔族では・・・ない・・・!」 「何で・・・何でよ・・・魔族じゃないのに・・・人間に見えるのに・・・・・・」 メフィは小さく震え、ミルガズィアさんですら冷や汗を一筋流している。 それを聞いたイブリースが、一瞬、きょとんとした表情になったかと思うと、笑みを深くする。 「・・・なんだぁ?・・・そんなに怖いやつには見えないけどなぁ・・・」 横でガウリイが首をかしげる。 「・・・なんにしても・・・気を抜けない事だけは確かね」 たたんっ! 軽やかな音と共に、猫のようなしなやかさを持って二人が着地する。 「さて・・・あの二人はどこ・・・に・・・って!」 「サミィ!?イーザー!?」 前髪だけが金色に輝く漆黒の髪の女性・・・レティシア驚愕の声で言い、その後ろにはメニィが。 「レティシア!メニィ!」 ひょうるるる。 「・・・意気込んで飛び降りてきたのはいいけど・・・ぜんぜん意味がなかったわね」 サミィはちょっぴり自分が情けなくなった気がした。 「・・・そういえば、あなたたち、なんで・・・ ・・・そんな荷物持ってるの?」 「・・・買い物よ。・・・・・・全部食料だけど・・・・・・」 「んとね、リナとガウリイがいっぱい食べるの〜」 ・・・そんなにいっぱい食べる人って・・・どんな姿してるんだろう・・・・・・ などとふと思ってしまうサミィだった。 「そ・・・そうだ! あなたたち、さっきの紫色の龍に乗ってきたみたいだったけど・・・ガウリイがそれに引っかかって言っちゃたのよ! ・・・追わなきゃ!」 買い物袋を持ったまま、レティシアが。そしてメニィがついて駆け出す。 「あ、ちょっと!」 「追うぞ、サミィ」 「分かってる!」 そしてこの二人も追って駆け出した。 あとがき L:うっわ中途ハンパっ!短っ! エ:それは言わないやくそくっ! L:次こそリナとバトルよ! エ:もちろんです。ちなみに次回、意外な人物(?)が登場します。 それではまた今度〜♪ |
28765 | Re:Encounter〜邂逅〜第六話 | エーナ E-mail | 2003/12/24 09:52:11 |
記事番号28684へのコメント エ:ああっ!?前回のタイトルが・・・頭のところはずすの忘れてたっ!! ・・・まあそれはおいておいて。話の数もぞろ目!さぁて今回は意外な人物がっ!? Encounter〜邂逅〜 第十一話 「青魔烈弾破〔ブラム・ブレイザー〕!」 一直線に飛ぶ術を軽やかによけるイブリース。 「・・・まったく・・・!」 いくら魔血玉〔デモン・ブラッド〕を失ったからと言って、お粗末過ぎる。 そんな攻撃に少々嫌気がさすが、まさか攻撃に移るわけにもいかない。 「カオティク・ディスティングレイト!」 「どんな攻撃も、当たらなければ意味がありませんよ」 同じくゼロスもガウリイ、メンフィス、ミルガズィアの攻撃をひょいひょいとかるぅくよけている。 「火炎球〔ファイアー・ボール〕!」 火球がジグザグにコントロールされながらイブリースのほうへ向かう。 イブリースが半歩横へずれる。それを見たリナがふっと笑い・・・ 「ブレイクっ!」 いくつもの火球に分裂させる!・・・が。 ぱんっ。 軽い音を立ててそのことごとくが消滅した。 「ふぅん?」 「・・・あたしだって勉強してるんだからねっ!崩霊裂〔ラ・ティルト〕!」 青い光の柱が直撃し・・・何事もなかったのようにその中から歩み出る。 「・・・悪いけど、あなたがこの術を使えることは知ってるわ」 けろりと言い放たれ、リナはいささかむっとする。 「あんた・・・何が目的?これはただの足止め・・・違うかしら?」 「御名答!いいわ。あなたに免じて教えてあげる。 ――あたしたちは・・・貴方のところにいるあの遠い地の住人を連れ戻しに来たの。渡してくれないかしら?」 「言われてはいそうですかと渡せるほどあたしは諦めが悪くなくってね。 それに、あんたの事も信用できない」 「やっぱりね。予想通りの答えだわ。だからあたしは交渉をすっ飛ばしてあなたたちと遊んでる。 まあ、むこうから連絡が来ない限りはこの不毛な戦闘は続くのだけれど・・・」 「・・・不毛?黒いローブにその仮面!オリジナリティのない悪役の格好! どうぞ自分をしょっ引いてくださいって言わんばかりの格好をしたヤツに言われたくないわね!」 「ほほぉぉう?チビでぺちゃぱいで四次元胃袋の上に短気の呪文バカに言われたくないわね!」 ぴしぃっ! 二人の間に流れていた空気が、一瞬にして凍りつく。 その空気を察して、戦闘を続けていた四人も凍りつく。 「・・・なんだか・・・すさまじく嫌な予感がするのだが・・・人間の男よ、この気配、感じぬか?」 「いや感じないほうがおかしいだろ。というか、逃げるが勝ちとか・・・?」 「ど・・・同感ですわ。これはさすがに・・・」 「み・・・皆さん珍しいですね。僕も右に同じです・・・」 そう言ったゼロスの胸に、ふとある言葉が思い浮かんだ。 ――これは世にも稀で、凄絶なる親子喧嘩。と。 「それに、あんたを倒さなきゃ・・・あの二人はやばい事になりそうね。 ――だったら」 リナが唇を動かす。かすかな声が、そこから漏れ・・・イブリースは、そのこえをしっかりと耳にとらえた。 「――闇よりもなお昏きもの・・・夜よりもなお深きもの・・・」 「ちょっ・・・正気!?あなた、そんな術を街中で・・・!」 「悪夢の王のひとかけよ・・・凍れる黒き、虚ろの弓矢・・・ 混沌の海よ、たゆたいしもの・・・金色なりし闇の王・・・滅亡は汝への道となる」 「――!?」 問答無用で詠唱され続ける呪文に顔をしかめるイブリース。 避ければこの後ろにある町並みが、防げば虚無が飛び散り周囲の町並みが、人々が虚無に飲み込まれる。そして一瞬で混沌へと飲み込まれる。 この時代の混沌は今の彼女の管轄ではない。過去の彼女は魂たちをすぐに転生させるだろう。 ・・・過去が変わる。それだけは避けなければならない。 「わが前に立ちふさがりし、全ての愚かなる者に・・・等しく、滅びを与えん事を! ――神滅矢〔テラ・スレイブ〕!」 「・・・ちっ・・・!」 迎撃して、完全相殺するしかない。 イブリースは舌打ちする。その両手には、金色の燐光が集う。 そして虚無の矢は放たれ・・・ 『いっけぇぇぇぇっ!』 二つの声が、重なる。 ひゅぼっ。 少々かび臭いそこに、紫色の炎がともる。 やがて、それはひとつの巻物と共に溶け消える。 「・・・さて、次の場所へ・・・・ん?」 そこで『彼』はふと違和感に気付く。 「強い・・・何か?一体どういう・・・まさか、腹心クラスの魔族が来ているとでも・・・」 『彼』は空間をわたり、建物の地下から、屋根の上へとうつる。 気配のするほうを眺めると、小さな爆発音が時々聞こえる。 戦闘をしているのだろうか。 ふと足元のほう・・・大通りのほうを見ると、人ごみを掻き分け、その流れに逆らう4人の人間。 「ああもうっ!」 追っていた金髪の少女が、いらいらとした様子で叫び・・・飛び上がる。それに続いて銀髪の青年も。 人ではありえない力で飛び上がった二人は、『彼』の目の前へと迫り・・・ 「・・・へっ!?」 「ゼ・・・ゼロ・・・っ!?」 ごぢぃん。 ・・・なんとも痛そうな音を立てて、サミィと『彼』・・・もとい、ゼロスはぶつかった。 「・・・サミィ、大丈夫か?」 「あー・・・うん。大丈夫。おでこずきずきするけど」 少々赤くなったひたいをさすり、サミィはゼロスのほうへと目をむける。 「にしても・・・ゼロス!あんた、何でここに!」 「・・・はい?」 「イブリースに言われてこっちに来たの? あの二人、みつけたはいいけど向こうのほうへ走って行っちゃって・・・」 「えぇっと・・・僕のこと、知ってるんですか?」 遠くに見える二人の姿を確認しつつ、方向を指さすサミィにゼロスはいぶかしげに尋ねる。 「何言ってるのよ。さっきまで一緒に・・・」 「――サミィ。彼は・・・どうやら我々の言う『ゼロス』ではないようだ」 「イーザー?それじゃあ・・・」 「・・・ずいぶんと興味深いですね・・・あなた方は、僕が、もう一人いるなどというんですか?」 すっとその瞳が開かれ・・・背筋がぞくりとする。 「よろしいでしょう。その偽者のお知り合いのようですから、その偽者に会うまであなた方にお付き合いしましょう」 「いやあの・・・なんていうか・・・・・・」 「それは助かる」 サミィの言葉をさえぎり、そう言い放ったのはイーザー。 「ちょっとイーザー!いくらなんでも・・・」 「今は彼女たちを見つけるのが先決だ。後はどうにかすればいい」 「・・・分かったわ。そこまで言うんなら」 サミィは軽くお手上げのポーズを作り、イーザーに同意する。 「行くぞ」 「オッケー!」 数歩助走をつけ、二人は跳躍する。 屋根のいくつかを軽々と飛び越えてゆく。 「ちょ・・・二人ともっ!?」 あまりのスピードに目を見開くゼロス。 あわてて空間転移を連続で発動させて、何とか二人についてゆく。 「・・・ああもうっ!邪魔っ!」 人ごみをかき分けつつ、逆らった方向へ向かうのは至難の業だ。 案の定、レティシアとメニィは苦戦していた。 「っぷはっ!」 ようやく、人ごみが途切れがちになり、まっすぐ走れるようになった。 「――止まれ!」 かかったのは、イーザーの制止。 いくら人ごみでもたついていたとはいえ、こうもあっさりと追いついてくるとは・・・ 「止まってる暇なんてないわよ!じゃないとあの二人が・・・!」 「彼女たちがやっているのはただの足止めよ! 戦闘であっても彼女たちに向こうの側の人を殺す意思なんて微塵もないわ!」 「たとえそうでもモノのはずみってものがあるでしょうが!」 「だからって・・・ああもうじれったい!」 サミィはピンを抜き、煙弾を垂直に放り上げる。 ひゅるるるるる・・・ぽんっ! 赤い煙が空中ではじける。 ――づがぁぁんっ!! それと同じくして起こる爆発。 もちろんすでにはじけた煙弾からなどではない。 場所は・・・リナの家のそばだ。 「イブリース!ゼロス!」 「リナ!ガウリイっ!?」 サミィとレティシアの二つの声が重なった。 あとがき L:まぁぁだ決着ついてないわけっ!? エ:次でつきます。 L:ふ・・・まあいいわ。そこまであっさりといわれちゃあね・・・ ところで、二人目のゼロスが出てきちゃってるんだけど? エ:偶然ここに写本の処理に来てました。 そこで、自分の気配を感じたので変に思って顔を出したらサミィとごっちん。 L:・・・ふぅぅん・・・ ところでさ、最初のほうでスレイヤーズの惑星を『テラ』って言ってたけど、神滅矢〔テラ・スレイブ〕の『テラ』ってそれ? エ:いえ。ちがいます。惑星の『テラ』は『母星』もしくは『地球』という意味だったと思います。 それで神滅矢〔テラ・スレイブ〕の『テラ』はキロ(K)・メガ(M)・ギガ(G)・テラ(T)とかの単位です。 ほら、キロバイト(KB)とかメガバイト(MB)とかギガバイト(GB)とか。 L:・・・テラバイト(TB)って聞いた事ないけど。 エ:単位が大きすぎて普通のコンピューターのメモリーじゃあまずありえませんから。 L:・・・単にあんたの誤認だったりして。 エ:はぅおっ!コンピューターの事には疎いから否定できない・・・っ! L:と、ゆーわけだから皆さんこの呪文の『テラ』は信用しないでねー。 これであとがきを終わりますっ! |
28778 | どんちゃんさわぎっ!?クリスマスっ! 前夜 | エーナ E-mail | 2003/12/24 18:23:36 |
記事番号28684へのコメント どんちゃんさわぎっ!?クリスマスっ! 前夜 緑がうっそうと茂り、その森の中は昼でも暗い。 そして重苦しく立ち込める障気。そこに二人の青年が立っていた。 『ヤッホー、ゼロス!今度クリスマスパーティーをやるからうちに遊びに来なさいよっ!』 「と、いうわけだ」 ここは群狼の島。魔族の結界の拠点だった場所だ。 おいそれと誰かが入れるような場所ではない。 ましてや、ただの手紙の配達人が・・・・・・ 「ええっと・・・どなたですか?」 「ベリアルだ。L様の命令で手紙を二通届けに来た。 お前の分と、獣王〔グレーター・ビースト〕の二つだ」 「ぇえええええええええっ!?ル、ル、ル、ルキさんがクリスマスパーティを開くんですかっ!?」 「正確には、インバース家主催のパーティーだ。 L様の祖父の言葉によれば、大勢いたほうが楽しいから、知り合いを全員呼べということだ。 当然、お前にもくる事になる。獣王〔グレーター・ビースト〕にはお前から渡しておけ。 私は他の者にも届けなければならん」 「あ、ひとつお尋ねしたい事があるんですが・・・」 「なんだ?」 「一体ルキさんは何名招待するつもりなんですか?」 「ミカエル、アシュ、ベルゼ、そして私の四人で手紙を渡せといわれたのは、腹心残り三人と、将軍・神官クラスではお前だけ。それから北の魔王にウラバザード、バールウィン、ランゴート・・・そうそう。特別に時間制限つきでラグラディアも呼ぶそうだ。 ついでに黒の竜神〔ナイト・ドラゴン〕ヴォルフィード、闇を撒くもの〔ダークスター〕デュグラディグドゥ、青の竜神〔アクア・ドラゴン〕ルセルフィード、蒼穹の王〔カオティック・ブルー〕ザラルドグドゥ、白の竜神〔スカイ・ドラゴン〕白霧〔デス・フォッグ〕リケルディラドゥ・・・こんなところか。ちなみに我々も出席する」 ゼロスはその壮絶なメンツにくらくらとしてきた。 しかし、ゼロスはそこではっと気がつく。 今のセリフの中に、レオンさんの名前はないっ!となればルキさんに近寄るちゃぁぁんす! 「それでは私はこれで失礼する」 めらめらと炎をバックに背負っているゼロスを尻目に、ベリアルはその場を立ち去った。 「いくわっ!当然行かせてもらうわっ!」 手紙を読んだ獣王〔グレーター・ビースト〕の第一声がこれだ。 「・・・へ?人間にかまっている暇があるのなら、仕事をやれといつもなら仰るのに・・・」 ・・・ちなみに、ゼロスはルキが悪夢を統べる存在〔ロード・オブ・ナイトメア〕だと報告してはいない。 彼女と会う機会が少なくなりそうだからだ。公私混同もここまでくれば立派かもしれない。 「だぁってぇっ!ルキちゃんとのおしゃべり楽しいんだもんっ! 去年あんたを押しのけて会いに行った時はお仕事だったけど、今度はプライベートよ!ぷらいべぇとっ!」 ギャップが激しいぞ獣王〔グレーター・ビースト〕。 それでいいのか魔王の腹心。 「は・・・はあ」 きゃぴきゃぴさわぐ上司を前に、ゼロスはそう返事をするしかなかった。 「ミカエルくんっ!?何でここにっ!?」 「君のためだよマイハニーv・・・と、言いたいところなんだけど・・・実はお仕事なんだ。はいこれ」 海王〔ディープ・シー〕のところに着くや、バックに薔薇を背負って瞳をきらきらさせるミカエル。 このセリフで分かるように、この二人は恋仲だ(をい)。 「・・・なんですの?この手紙は・・・?」 「パーティーの招待状だよマイハニー!僕も出席するから、ぜひ君も来てくれよ!」 「ミカエル君v」 「ダルフィンv」 か・・・完全に二人の世界にひたっている。すぐそばで部下が脱力しているのが見えていない。 そしてダルフィンも、このパーティーが誰によって仕組まれたものか考えがいたらないようだ。 次行こう。次。 「・・・パーティー?人間主催の?・・・そんなものに出席するほど私はヒマではないのです。 アシュタロス様、申し訳ありませんが、お断りさせていただきます」 「相変わらず鈍いわね。あたしがわざわざ来たってことは、どこの誰のご命令か分かるものでしょう?」 覇王〔ダイナスト〕相手に深くため息をつき、アシュタロスはそういった。 「・・・ってまさか!?」 「そのとーりよっ!今回は豪華キャストなのよっ!あたしたちももちろん参加するわっ! それからぁ、L様がどこかに紛れ込んでるから、L様を見つけて本名を呼べば、豪華プレゼントがもらえるそうよっ! ただし、魔王・神以上のクラスは一発で分かっちゃうからこのイベントには参加不可だけどっ!」 「おおおおおおおっ!?ならば私にももれなくっ!?」 「見つけられればの話だけどねっ!」 アシュタロスがそう付け加えるが、その豪華商品に目がくらみ、妄想を膨らませた覇王〔ダイナスト〕には聞こえなかった。 魔族って・・・どいつもこいつも・・・・・・ 「スィーに会えるっvv」 「いや・・・あんたの反応はこんなもんだと思ってたけどよ・・・・・・」 氷の中で、手を組み乙女ちっくなポーズで目を潤ませるレイ=マグナス=シャブラニグドゥを見て、ベルゼバブがずっこけた。 当然、ここはカタートで、魔族の総本山なのだが・・・雰囲気ぶち壊し。英断王もさぞかし無念だろう。 「スィーv、絶対行くからね〜v」 魔王が・・・魔王が壊れた。 あとがき L:なんぢゃこりゃあぁぁぁあっ!? エ:完全ギャグテイストでお送りします。 L:『完全ギャグテイストでお送りします。』ぢゃないっ! なによこの魔族の壊れっぷりは! エ:さて、次回からパーティーが始まりますっ! L様の豪華プレゼントは誰の手にっ! L:聞けこらっ! エ:ちなみに神族も壊れてます。 L:よけい悪いわぁぁあっ!! ずごしゃぁっ! L:ぜー、はー、ぜー、はー・・・ アルファベット表記シリーズの番外中の番外とはいえ・・・へぼもへぼ。駄文の中の駄文。 キングオブ駄文とはこのことよっ!しかも続くしっ! 皆さん、この続きは読まなくてもいーです。 それじゃあさようならっ! |
28784 | すったもんだっ!?クリスマスっ! | エーナ E-mail | 2003/12/25 10:12:39 |
記事番号28778へのコメント エ:・・・すいません。白の竜神〔スカイ・ドラゴン〕の名前が抜けていました。 彼女の名前はフェリフィードです。 すったもんだっ!?クリスマスっ! 「明かり〔ライティング〕明かり〔ライティング〕明かり〔ライティング〕明かり〔ライティング〕明かり〔ライティング〕明かり〔ライティング〕明かり〔ライティング〕明かり〔ライティング〕明かり〔ライティング〕明かり〔ライティング〕っ!」 明かり〔ライティング〕の魔法の連発で、大きな樹木に明かりが次々にともる。 飾りつけはすでに終わり、いかにもクリスマスツリーといったもみの木が堂々と中庭に構えていた。 「リナ、テーブルとイスは運び出したぞぉ!」 「こっちの料理の準備もほぼ終わったわ!後は皿にもって運び出すだけ!」 「ガウリイ、ルキ、ご苦労様!何とか間に合ったわね!」 リナが今にも沈みそうな夕日を見やり、二人に声をかける。 「――リナさぁん!」 「アメリア!」 薄水色の美しいシルク地のドレスを着た黒髪の女性・・・アメリアが駆け出してくる。 「アメリアおばさんお久しぶり!レオンとセラーネ、それにゼルガディスおじさんは?」 「実は、あたしが先に抜け出して来ちゃったんですよ。みんなは後できます!」 「そっか・・・じゃあ、母さん、あたしちょっと着替えてくるね」 「分かったわ。 ああ、ガウリイも今のうちに行っておきなさい」 「おう」 二人が引っ込み、中庭にはアメリアとリナだけになった。 「ふふふっ、こうやって話すのは何年ぶりかしら」 真紅のドレスにコートを着込み、イスに腰掛けるリナ。そしてその向かいにアメリア。 「そうですね・・・ルキちゃんをあたしのところに連れてきた時以来ですから・・・ かれこれ8年ぶりですね」 「そんなになるのかぁ・・・ そうだ!アメリアのところのレオンとセラーネもかっこよかったり、かわいくなってるんでしょ? 今夜の主役はあの子達にしましょ!きっとパーティーの華になってくれるわ!」 「それいいわ!リナ、それやりましょうよ!」 「他の人には秘密よ」 「もちろん」 くすくすと笑いあい、ひそひそと話を決定する女性二人。 「あのぉ・・・すみません」 赤い法衣を纏い、丁寧に声をかけてくる男性が一人。 若いといえば若いかもしれないし、それなりに年をとっているといえばそうだと納得してしまいそうな雰囲気の男性だ。 「ええっと・・・どなた?」 「はあ・・・ルキ=ファー=ガブリエフという女性から招待状が届いたのですが・・・インバース家主催のパーティーというのは、ここで開かれるんですよね?」 「そうですけど・・・招待状を見せていただけます?」 「え?ああ、これです」 ひらりと出したそのカードには・・・ 『toレイ=マグナス=シャブラニグドゥ殿。 貴殿をインバース本家のクリスマスパーティーにご招待させていただきます。 ちなみに悪夢を統べる存在〔ロード・オブ・ナイトメア〕の許可もあります。 パーティーを通してのゲームがありますが、貴殿は参加できない事を最初から了承させていただきます。 ・日時 12月24日午後7時〜25日午前1時までの6時間。 ・持参品 クリスマスプレゼント(全員にじゃなくても可) fromルキ=ファー=ガブリエフ。 PS.スィーも参加するから来たほうがいいと思うわよ?』 『でぇぇぇぇぇええっ!?』 あて先の名前を見て、アメリアとリナの絶叫が重なる。 「あ、申し遅れました。私はレイ=マグナス=シャブラニグドゥと申します」 「・・・まぢ?」 ぺこりと頭を下げるシャブラニグドゥに引きつった顔でつぶやくリナ。 しかしアメリアの反応は違い・・・だむっ!と、テーブルの上に足を乗せてびしぃっと魔王を指差す。 「生きとし生けるものの天敵!魔族の王がここに何用ですかっ!」 「アメリア、足」 「あ、すいません。・・・とにかくっ!一体ここに何の用ですか!」 リナの注意にあっさりと足を下ろし、言い直すアメリア。 「ですから、パーティーに参加しに来たんです」 「信用できません!無用な争いを招こうというのですね!」 「スィーに会えるのにそんなことするわけないじゃないですかッ!」 「あのさ、スィーって・・・一体誰の事・・・」 「シャブっ!!?」 大きな声が響いた。 「スィー!?4000年ぶりですねっ!!ああ・・・ようやく会えた・・・! その短い黒髪も素敵ですよっ!」 「そんな・・・!あなたの赤い法衣も似合っているわ・・・!」 「ルナ・・・姉ちゃん・・・?」 呆然とするリナ。アメリアも指差したまま固まっている。 二人はそんなリナたちにはかまわず、はっしと手を取り合い、二人の世界に入ってしまっている。 「・・・ねえ、リナさん」 「・・・何?アメリア・・・」 「この世界って・・・・・・知らないほうがいいことっていっぱいあるんですね・・・・・・」 「・・・・・・そぉね」 インバース家、とある廊下。ルキが着替えを済ませて部屋から出てきたところに、それは存在していた。 「デューv」 「ヴォルv」 「あたしの目の前で何さらしとるっ!!」 ルキが他人の家の中でばかっぷるぶりを炸裂させていた闇を撒くもの〔ダークスター〕&黒の竜神〔ナイト・ドラゴン〕ペアを一括する。 「人の恋路を邪魔するとは!一体・・・誰で・・・あろう、と・・・・・・?」 闇を撒くもの〔ダークスター〕の言葉が、途中でとぎれる。 「まさか・・・L様・・・?」 黒の竜神〔ナイト・ドラゴン〕がポツリとそういいながら冷や汗をだらだらと流している。 「まさかも何も、あんたら魔王・神クラスなんだから一発で分かるでしょうに。 まあ、金色の力を持ってるから『存在のオリジナル化』した存在だと思ってたおばかな魔王(仮)もいるけどね」 「もももももも申し分けございませんっ!」 「今のあたしに対してのセリフは聞かなかった事にしてあげる。今日はイブよ?どうせなら楽しみたいじゃない。 それから、廊下でばかっぷるをやるのはやめておきなさい。せめて個室にしておきなさいよ。通行の邪魔だわ」 「は・・・はひ・・・・・・」 けろりとした言葉に感謝しつつも、腰を低くして返事をする二人。 「あ、そうそう。招待状に書いてあったゲームって言うのはあたしを見つけることだから。 他の奴らにに教えちゃダメよ」 「了解しました・・・」 「あ!ひとつお尋ねしてよろしいでしょうか?」 「ん?」 「私たち、ルキ=ファー=ガブリエフという方にご招待されたのですけれど・・・L様のお知り合いでしょうか?」 「あたしよ」 『えええええええええっ!?』 L様自身が招待状をっ!?と、驚く二人。 「ああ、それからね、会場でのいちゃいちゃもオーケーよ。全員が全員家の中でいちゃいちゃしてたら会場が寂しくなっちゃうわ」 『あ・・・ありがとうございますっ!』 今度は目をきらきらさせて、バックに蝶を飛び回らせている。 「それじゃ、あたしは表に行くからね」 そんな二人の様子に嘆息しつつ、ルキは会場へと出る。 そこには、続々と客が集まってきていた。 ――刹那。 ぱっ!ぱぱぱっ! スポットライトがルキの姿を照らす。 「・・・へ?」 照らされたその姿は、スレンダーな漆黒の絹のドレスに、あつらえてある金と銀の縫い取り。その縫い取りは超のつくほど古代の文字でびっしりとドレスを縁取りするように布を飾り、一国の女王よりもすばらしい気品をかもし出している。 ピジョン・ブラッドのような瞳の輝きの中には、深海のような奥深さがあるにもかかわらず、炎のような苛烈さがあり、流れる金の髪は光を反射して天使の輪を織り成している。その上、母親は黙っていればそんじょそこらの『かわいい子』に優り、父親もボケをかまさなければ貴族や王族のお坊ちゃまというような気品があふれかえっているため顔立ちも整い、彼女はどんな表情でも輝きを放ち、見る存在を魅了する。 悪夢を統べる存在〔ロード・オブ・ナイトメア〕としての姿は妖艶な絶世の美女といった感じだが、愛らしい顔立ちのこの姿もすばらしい。 『――それでは!全員スポットライトの中心を見てください!』 リナが音声拡大の呪文で声を会場中に響かせる。 『これでようやくパーティーの主役が三人集いました!一人目は――』 アメリアの口上と共に、かっ!と、ひとつのスポットライトの光がさらに強くなる。 『セイルーン王家第一王位継承者、セラーネ=リセ=ケーナ=セイルーンです!』 ぱちぱちと拍手が会場に響いてゆく。 『二人目は!セイルーン王家第二王位継承者、レオナルド=デュー=レシア=セイルーン!』 レオンのライトが強烈になり、これまた拍手が響く。 『そして最後に!数々の二つ名をささげられたリナ=インバースと、その夫でありパートナーでもあるガウリイ=ガブリエフの愛娘! 魔を滅せしもの〔デモン・スレイヤー〕二世、第二のドラまた、そして、『美しき堕天使』の・・・』 かっ!とルキを照らすライトの光が強くなる。 『ルキ=ファー=ガブリエフ!』 「・・・あらま」 刹那一部の人(魔王・神たちがこの時点で気付いた)が凍りつき、次の瞬間には先ほどより盛大な拍手を送っている。 そして、してやられた母親のほうを見て、少し呆れたようにくすりと笑った。 ◆◇今回は諸事情のためあとがきを省かせていただきます◇◆ |
28804 | 空前絶後っ!?クリスマスっ! | エーナ E-mail | 2003/12/25 22:38:52 |
記事番号28778へのコメント 「おやおや、王族のお坊ちゃまが何でこんなところにいるんですかねぇ?」 紫がかったタキシードを着込んだゼロスが、にぃぃっこりと微笑みながら言った。 「ふふふふふ・・・魔族の君には似つかわしくない場所だよ?ここは。 僕はインバース家の正式な招待状を受け取ってるんだ。君はしがない中間管理職。 どちらが彼女にふさわしいか、分かるだろう?」 レオンも白いタキシードを着て、ひらひらと招待状を見せ付けてふふんっ、と鼻で笑う。 「おや!僕も招待状を持っていますよ?ルキさん個人から送られたじきじきの招待状をね!」 こちらも招待状をひらりと出し、黒い笑みを見せる。 「ふっ・・・僕はインバース家公認なんだよ。君みたいにルキが哀れんで仕方なく招待状を送ったのとはわけが違うのさ!」 「ほぉ。面白い事を言いますねぇ。ルキさんは僕の親戚(魔族とか)たちにもたくさんの招待状を送っています。それも特別な方法で。 そんじょそこらの手紙の配達人が配達したただの招待状とは、格が違いますよ。格が!」 「でも、君はただの神官。僕は第二王位継承者。どちらがふさわしいかはそれだけで分かるというものさ!」 「おやぁ?愛は勝つんですよ?地位や富より、愛を選んだほうが幸せになれるに決まっているじゃないですか!ルキさんがそんなものに目がくらむわけがありません!」 「ふ・・・魔族の君に、これ以上の歯の浮くセリフはないだろうね!」 「おおっと、何か誤解していらっしゃいませんか?魔族、神族では恋愛はご法度どころか推奨すらされているのですよ! ――あれをみたらどうです!」 ぴっとゼロスが指差した向こうには、二人だけの世界を作ってしまっている魔族、神族がいっぱい。 「あのかたがた全て、魔族と神族・・・あるいはもっと上の存在です。スィーフィードとシャブラニグドゥ様のカップルがあるくらいです。 僕とルキさんが結ばれてもおかしくないんですよ!」 「でも、ルキは人間だよ。君らの常識なんて通用しないのが分からないのかい?」 「その点に関しては、僕のほうが有利ですよ?何しろ、ルキさんはあなた方人間よりむしろ僕ら魔族や神族に近いのですから! その上、魔族や神族などの精神生命体の恋愛を推奨しているのは、ほかならぬルキさんなのです! 愚かな事を言っているあいだに、母親と一緒に正義ごっこでもしていたらどうです?ん?」 「でたらめをよくそんな軽々しく・・・」 「あんたたち・・・何やってるのよ。他の客がひいてるじゃない」 不毛な口げんかは、まがまがしい雰囲気を断ち切ろうと声をかけにきたルキによってさえぎられた。 空前絶後っ!?クリスマスっ! 「ルキさぁぁんv」 「ルぅぅキぃっv」 ある種の凄絶な雰囲気を漂わせる二人に、声をかけられたルキはびくぅっと反応する。 「な・・・何かしら?ふたりとも?」 あっという間に思考がピンクに改造された二人を目の前に後ずさる。 『今夜は僕と一緒に・・・』 「ルキちゃんっ!」 「あれ?ゼラスじゃない」 シルバーのドレスを着た、ぼんきゅっぼん(笑)!な美女がゼロスとレオンの言葉をさえぎって出てきた。 「ぐ・・・獣王〔グレーター・ビースト〕様・・・?」 「ええっ!?この美人が魔族の腹心っ!?」 「あら坊や、うれしい事を言ってくれるじゃないの! いかにも、あたしが獣王〔グレーター・ビースト〕ゼラス=メタリオムよ♪」 「あ、レオン。紹介するわね。 ・・・ゼロスにはいまさらだけど・・・この魔族は獣王〔グレーター・ビースト〕ゼラス=メタリオム。 あたしの友達♪」 「よろしく!あなた、ルキちゃんの友達?」 「え・・・?は・・・はあ・・・まあそんなところです・・・」 「友達の友達は友達よ♪今からぼうやとあたしは友達♪いいわね?」 「は・・・はいぃ・・・・・・」 ふっとゼロスが陰で笑った。 「それじゃあ、ゼラスとレオンは仲良く一緒にパーティーを楽しんでてね! お邪魔むしなあたしたちは消えるから♪」 ゼロスの手を引っ張り、ルキたちは人ごみの中へと消えてゆく。 ああ・・・無知って残酷。 「る・・・ルキ・・・?」 自分は魔族と一緒になってしまった。どうしようどうしようどうしよう・・・・・・ ゼロスとルキが二人っきり。どうしようそうしようそうしよう・・・・・・ レオンの脳内割合、前者・・・5%。後者・・・91%。その他および現実逃避・・・4%。 そんなレオンを尻目に、ゼロスは意識の中でファンファーレを盛大に鳴らしていた。 「ええっと・・・よし!時間は8時57分! ゼロス、鬼ごっこをしましょ?」 ルキは懐中時計を取り出し、時間を確認する。 「へ・・・?鬼ごっこ・・・ですか?」 「そう!ルールは簡単」 『――お集まりの紳士淑女その他もろもろの皆様!これからゲームを開始いたします!』 ルキがあでやかに微笑むと同時に、拡声の呪文で増幅された声が響く。 「・・・これはあんたにとってはサービスゲーム。だから鬼ごっこって条件をつけたの! ・・・ほら、壇上に注目なさい!」 いわれてゼロスはツリーの根元にある急ごしらえの団の上にいる人に注目する。 「いいっ!?魔王様!?」 そこには、手縫いの金ラメタキシードを着た魔王が立っていた。 『招待状に記載されていた『ゲーム』!その内容は・・・『L様を探せ!』ゲームっ!』 『はアァっ!?』 一部の人たち(人じゃないけど)が驚愕に声を張り上げる。 『参加できる存在は以下のふたパターン! その1!人間である事!ただしインバース家、ガブリエフ家はのぞくっ! その2!精神生命体は、魔王、神以上のクラスではない事! そしてルールは簡単!このパーティー会場、すなわちインバース家の敷地内に紛れ込んでいる悪夢を統べる存在〔ロード・オブ・ナイトメア〕さまを見つけ、その『本名』を呼ぶ事!時間制限は12時まで! ただし!インバース家とガブリエフ家の人間、魔王や神以上のクラスの精神生命体に悪夢を統べる存在〔ロード・オブ・ナイトメア〕さまが誰かを尋ねてはいけません!』 「悪夢を統べる存在〔ロード・オブ・ナイトメア〕なんてヤツの本名なんて知らないぞっ!」 どこかの誰かの、至極もっともな反論。 『おおっと失礼!ここに悪夢を統べる存在〔ロード・オブ・ナイトメア〕さまの本名を発表いたします! その名も・・・ ――Luciferさまですっ!』 ざわざわと会場がざわめく。 魔族や神のばカップルたちも、さすがに悪夢を統べる存在〔ロード・オブ・ナイトメア〕の名前を聞いて現実世界に引き戻されていたからだ。 まさか、一般の普通人が大勢いるこんなゲームで自分の本名を公にするとは思わなかったようだ。 ・・・魔族や神族をこのパーティーに呼んでいる時点でかなりとんでもない気はするが。 『さぁてそれでは張り切って・・・ゲームスタート!』 ごぉん・・・ごぉん・・・ごぉん・・・ インバースの屋敷が、8時の鐘を打った。 続く ◆◇今回は諸事情のためあとがきを省かせていただきます◇◆ |
28813 | 遊んでみましょうっ!?クリスマスっ! | エーナ E-mail | 2003/12/26 19:22:35 |
記事番号28778へのコメント 遊んでみましょうっ!?クリスマスっ! ――悪夢を統べる存在〔ロード・オブ・ナイトメア〕 その存在は異界黙示録〔クレア・バイブル〕によってディルスで伝えられている。 金色の魔王。人はそう呼ぶ。 しかし、その実体は・・・魔族の母であり、闇の母であり、神族の母であり、光の母であり、全ての存在の母であり・・・ ・・・かなりお騒がせな存在である。(こら) 「悪夢を統べる存在〔ロード・オブ・ナイトメア〕はどこだぁぁぁぁっ!」 「いたか!?」 「こっちにはいないぞっ!」 「こっちにもそれらしき人影は見当たらないわっ!」 「ぷっ・・・くすくすくすくす・・・あーおかしい!」 時計台の屋根の上で、足をぶらぶらするルキ――もとい、悪夢を統べる存在〔ロード・オブ・ナイトメア〕。 ざわざわと騒ぐ人間と魔族。それらが入り乱れてひとつの目的を奪い合うなどめったにない。 「さぁて。あたしもちょっと遊びますか」 すっと立ち上がり、その口から鈴を転がしたような声音で呪文をつむぐ。 「風よ、我が望むものを導け。いざなえ。来たれ。 天を見透かす純白の羽。舞い降りるは白の灯火。はかなき美しさ。祝福の踊り子! ――白の天舞〔ホワイト・ダンシング〕!」 この辺一体の空中の水分が凝結し、風によってこの屋敷一体の上空に運ばれる。 そしてその水分の温度が一気に零下にまで下がり、白いふわふわとした美しいものを生み出す。 雲がないのに舞い降りる雪。 星の輝きが重なり、幻想的な空の舞。 「この場にいる全員に・・・メリークリスマス。こんな日は『奇跡』があってもいいでしょう?」 この呪文の効果はしばらく・・・パーティーが終わるまでくらいは続く。 ルキは自分が生み出した白い踊り子に満足しながらも、もうひとつの『奇跡』を思い浮かべる。 明日が今日になり、今日が昨日になるその瞬間。自分はもうひとつの『奇跡』を生み出す。 それはこの空からの贈り物よりも珍しく、ゼフィーリアであってもめったに見られないもの。 それを見た全員の反応が楽しみで、ルキはくすくすとまた笑い出した。 そのとき。 ぽんっと肩に手を置かれる。 「あら、ゼロス」 顔だけを後ろに振り向かせるルキが、見慣れた笑顔を見つけた。 「鬼ごっこは僕の勝ちですね。ルキさん」 「うーん。そうみたいね。でも、ゲームが始まってからまだ1時間もたってないわよ?」 「まあ、いいんじゃないんですか?僕が一番のり、という事で。 ・・・でも、さすがにこれは面白くありませんねえ・・・・・・」 ふぅむと考えるしぐさをするゼロス。 「――なら、皆さんにも鬼ごっこをやっていただく・・・というのは?」 「ルールの変更?面白そうね。早速シャブに言っておくわ。ちょっとだけ待っててね♪」 ふわりと屋根から飛び降り、刹那、姿が掻き消える。 そして、着地したのはレイ=マグナス=シャブラニグドゥの隣。 「やっほー。S」 「エエエエエエエエLさむぐっ!?」 「バカ!そんなの大声で言わないでよね!ルールの変更よ。 かくれんぼじゃなくて、鬼ごっこにしましょう♪ 『見つけて』あたしの名前を言うんじゃなくて、『捕まえて』あたしの名前を言うのよ」 シャブラニグドゥの口を押さえて言うルキ。 「りょ・・・了解しましたっ!今すぐ放送で流します! ・・・ですがLさ・・・いやいや、ルキ殿。それではあなたが悪夢を統べる存在〔ロード・オブ・ナイトメア〕だとばれる可能性が格段に大きくなりますよ?」 「大丈夫よ♪悪夢を統べる存在〔ロード・オブ・ナイトメア〕の格好をして出て行くから♪」 「・・・はあ。それならよろしいのではないかと・・・」 「んじゃあね♪」 再び虚空に消える。 金の髪はさらに長く。瞳も金に染め。マントを羽織り。服装も変える。そして外見すらも変え・・・ そしてゼロスの隣へ。 すとん。と軽い音を立てて着地する。 「ル・・・ルキさん・・・ですよね?」 「そのとぉり!シャブからルールの変更が発表されるからそれからスタートよ! ゼロス、あんたが発案者なんだから付き合うわよね?」 「もちろんです!」 『――えー。ただいま悪夢を統べる存在〔ロード・オブ・ナイトメア〕さまからルールの変更のお達しがありました。 かくれんぼから、鬼ごっこへと変えるとおおせつかり、不肖、この私シャブラニグドゥから発表させていただきます! あのお方を見つけて本名を呼ぶのではなく、あのお方を捕まえて本名を呼ぶ事に変更いたしました!』 放送が終わるタイミングを見計らい、ルキは大きく息をすう。 「あたしが悪夢を統べる存在〔ロード・オブ・ナイトメア〕よっ!捕まえられるものなら捕まえてみなさいっ!」 びしぃっとだれにともなく中庭に向けて指をさし、大声を張り上げる。 「悪夢を統べる存在〔ロード・オブ・ナイトメア〕!?あれが!?」 「すげぇ美人!こりゃあ豪華プレゼントも期待できるぞ!」 今まであまり乗り気でなかった人間たちも色めきたった。 「行くわよゼロス!」 「はいっ!」 ――さあ。再びゲームは始まった。 「明かり〔ライティング〕よ!」 ぱぅっ! 『ぅわわぁあっ!』 「ほらほら!走って走って!」 「了解です!」 屋敷の中。中庭。外側。屋上。 さまざまなところで駆け回る。 「――見つけたぞ!」 「残念でしたっ!」 通行人・・・えーと・・・何人目立ったか忘れたけどいおうAってことで。 そいつが廊下で目の前に立ちふさがった時も、ルキはあわてず騒がずぱちんと指を鳴らすと・・・ がぅらんっ! ・・・たらいが頭部にクリティカルヒット。 「あたしを捕まえたいんなら、完全装備でもしてくることね!おほほほほほほほっ!」 無意味に高笑いをあげつつ、ルキはゼロスを引っ張り走る。 「あら、ゼロスじゃないのっ!?」 がびーんといった感じで、ゼラスが横手で叫ぶ。 「獣王〔グレーター・ビースト〕様っ!?ついでにレオンさんっ!?」 「あら?あなたも鬼なの?獣王〔グレーター・ビースト〕」 「不敬かもしれないけどその通りよっ!捕まえさせてもらいますわっ!」 「待てこらゼロスっ!!」 「今夜は無礼講よっ!だけど待てといわれて待つわけないわっ!と、ゆーわけだから逃げるわよゼロスっ!」 「はいっ!」 言って二人が虚空に消えた。 「あぁん!ゼロスずるいっ!」 「ゼロスのやつっ!豪華プレゼントをルキに渡してらぶらぶvになるつもりだったのにっ!」 「・・・うーん。結局捕まえられなかったわね〜」 「何言ってるんですか。本気で逃げてたんでしょうに」 「それもそうなんだけどねー」 場所が変わって再び時計塔。 時間は・・・23時56分。 「――でも、僕はあなたを捕まえましたよ」 「じゃあ、あたしの名前を呼んでみる?」 「・・・ふむ。・・・やめておきましょう。 僕は悪夢を統べる存在〔ロード・オブ・ナイトメア〕様と一緒にいたのではなく、ルキさんと一緒にいたつもりですから」 ゼロスはしれっとそう言ってみせた。 「あら。うれしいこと言ってくれるじゃない?ゼロス。 ん〜。でもあたしを捕まえたのに何もナシってのはちょっとあれよねぇ・・・ ――そだ♪」 ポン。と、わざとらしく手を打ってみせる。 chu☆ 「・・・へっ?」 あまりの展開に、ゼロスの理解力が追いつかない。 「ほらっ!もっとうれしそうな顔しなさいよ。 あたしのキスよ?悪夢を統べる存在〔ロード・オブ・ナイトメア〕の祝福っ! うれしいでしょ?」 「は・・・はいっv」 額に残る感触に、じぃぃん、と感動しながら極上の笑みをうかべる。 ごぉん・・・ごぉん・・・ごぉん・・・ 「あ、これでゲームセットね。 あたしからみんなへのプレゼント第二段、行ってみましょうか!」 鐘の音が響く中、ルキが楽しげに言った。 「第二段・・・?」 「そ。今降ってる雪、あたしが降らせてるのよ?気付かなかった?」 「それはまた・・・雲がないのに雪が降ってるなんておかしいと思いましたよ」 肩をすくめてゼロスは言う。 「それじゃあ・・・」 「あ、ちょっと待ってください」 「何?すぐに呪文唱えなきゃなんないんだけど」 「すぐ終わりますよ♪」 chuっv 「ひゃへっ!?」 ほほをゼロスについばまれ、なんとも間抜けな声を出す。 「あ・・・あんた・・・何を・・・っ!?」 ほっぺたを手で押さえ、ルキは耳の先まで真っ赤にする。 「誓いのキスですよ。ほらほら、呪文を唱えるんでしょう?」 「・・・ったく・・・・・・それじゃあ行くわよっ!」 力が集い、意思の力が乱舞する。 続く ◆◇今回は諸事情のためあとがきを省かせていただきます◇◆ |
28815 | 祝福しましょうっ!!クリスマスっ! | エーナ E-mail | 2003/12/26 20:51:53 |
記事番号28778へのコメント 祝福しましょうっ!!クリスマスっ! 「天空の奇跡。宇宙の風よ。星よりもなお近く、虚空よりもなお遠い。 光の衣〔ころも〕よ。たなびくは我が願いにて。望みよ。我が意思よ! ――天翻星布〔レインボウ・クリスタル〕っ!」 力があふれる。 星屑が集まったような・・・天空のカーテン。 「これは・・・すばらしい・・・! この惑星の磁力圏と太陽を刺激してオーロラを作るなんて・・・・・・」 「はぁ〜・・・つっかれたぁっ! ・・・やっぱり、この太陽系全体を刺激させるような呪文は今の状態じゃあんまり使うもんじゃあないわねー」 そう言いながらもルキは天空を眺めつつ、その光景に満足する。 ぽんっ。 何かがはじけるようなかるい音。 「あら。こっちも呪文の効果がきれちゃったみたいね」 服装が元のドレスに戻り、視線も低くなっている事に気がつく。 「さて、パーティーも佳境だし、そろそろ戻りましょーか」 「そうですね♪ ――エスコートしますよ。お嬢さん」 すっとゼロスからさせだされた手に、るきはくすりと笑う。 「あなた、意外にフェミニスト?」 「ルキさんにだけですけど」 こっちもくすりと笑った。 「あらぁ。きれいねぇ・・・オーロラを作るなんて、あのお方粋な事するじゃない」 ゼラスがつぶやき、きらきらと色が変わりゆく天のカーテンを眺める。 「ルキへのプレゼントが・・・ぱぁ。くすん」 いじけるレオンをちょっと困ったように見る。 「負の感情はおいしいけど・・・友達泣かしたみたいでやだわ・・・あたしのせいじゃないけど」 言ってゼラスはレオンから視線をはずし、同僚を見る。 「ダルフィンv」 「ミカエル君v」 「スィーv」 「シャブv」 「ヴォルv」 「デューv」 ばらとかはぁとまぁくを背負い、きらきらと別次元にトランスしている同僚や上司、そしてその同僚たち。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。どいつもこいつも・・・・・・ばかっぷるばっかり・・・」 神や魔族がこんなんでいいのか。と、ふと長いあいだ持っていた疑念を再燃させる。 そしてその疑問が無駄なものだという事も思い出す。 「・・・全てはあのお方の御心のままに、か・・・」 初めて会ったあのお方。 それは鬼ごっこというとんでもないゲームの中でだったけれど。 自分に微笑んでくれた。声をかけてくれた。 ・・・手を引っ張られていたゼロスはすごくうらやましいけど。 「まあ、良しとしましょう。結構楽しかったし」 「――あら、ゲームが楽しかったの?それはよかったわ」 「ロー・・・っ!? あ・・・ルキちゃん?」 鈴を転がすような声が背後から聞こえ、思わずゼラスは悪夢を統べる存在〔ロード・オブ・ナイトメア〕と呼びそうになる。 振り向いて間違いだった事に気付き、あらためて名前を呼ぶ。 「メリークリスマス。ゼラス」 「ええ、メリークリスマス・・・ルキちゃん」 シャンパンが注がれたグラス同士がぶつかり、高いすんだ音がなる。 「メリークリスマス。獣王〔グレーター・ビースト〕様」 「ゼロスっ!あんたどこに行ってたのよ!」 「いやあ。ちょっと・・・」 「ずるいわよっ!あたしだってL様と一緒にいたかったのにっ!」 ゼラスがゼロスに食って掛かる。 「まあまあ。楽しかったんでしょ?だったらいいじゃない・・・」 「ゼ・ラ・ス・ちゃぁ〜んっvv」 『げ。』 ルキとゼラスの声が重なる。 赤髪の軽薄男、乱入。 ベルゼバブはゼラスの手をとり、目をうるうるさせる。 「ねえねえゼラスちゃんっ!L様ったらひどいんだよ!?オレを・・・」 「みなさぁぁん!ここに女の敵がっ!恋人の貞操の危機の原因がっ! たこ殴りにしちゃってくださいっ!」 ルキの声と共に・・・ ぎぬろっ! いっせいに敵意のまなざしがベルゼバブにむく。 「えっ!?ちょっ!?それひどっ・・・」 「死ねやおらっ!」 「きぃぃぃいっ!」 「嫌い嫌い嫌いっ!」 「ちぇすとぉぉっ!」 づがぼすげしぼかどごん。 数々の魔王、神にたこ殴りにされ、同僚や腹心に足蹴にされる。 哀れなり。ベルゼバブ。 後には痙攣するベルゼバブが。そして妙にすっきりした表情のばかっぷるたちが再び自分たちの世界に入り浸る。 「・・・忠告したはずよねぇ?ベルゼ? ここは恋人たちが大勢集まるパーティー会場。そこに無粋なお邪魔虫たちがいれば、こうなる。って」 「・・・ふぇぇん・・・・・・」 こうして、パーティーはベルゼバブたこ殴り大会(違うって)で幕を閉めたのだった。 あとがき エ:よし終わったっ! L:機嫌こしまくってるけどね。 エ:がげふっ! L:しっかし『遊んでみましょう』ではバリバリゼロL・・・ エ:だってクリスマスなんだものv L:くねるな踊るな目を潤ませるなっ! がずっ! エ:ぐげろっ!? L:・・・ふっ。いつも通りエセ物書きが沈黙したところであとがきを終わりますっ! ――Melly X‘mas.And A happy new year. |
28843 | Encounter〜邂逅〜第十二話 | エーナ E-mail | 2003/12/28 19:46:37 |
記事番号28684へのコメント エ:あああっ!またやってしまった!あたしってもしかして・・・うっかりはちべえ? Encounter〜邂逅〜 第十二話 ――づがぁぁん! 爆発音と共に黒と金がぶつかる。 凍れる虚無と、輝く金色が交じり合い、空中でせめぎ合う。 それらはお互いに相殺し、周りに被害は出ていない・・・が、その力がまとう神々しさは見る者を支配し、その光景に惹きつける。 「う・・・そ・・・」 メンフィスがポツリとそう声を漏らし、呆然とする。 虚無だけでは、絶対的な力しか感じなかったそれが、金色の力と合わさってこの光景をかもし出しているのだ。 「・・・・・・・・・・・・もう少しこの光景を見ていたいのですが・・・・・・やれやれ・・・」 空中に舞う紅い煙を発見し、ゼロスは惜しみながらもその場を後にする。 「このような・・・悪夢を統べる存在〔ロード・オブ・ナイトメア〕の力同士のせめぎあいだと・・・!?」 ミルガズィアは、つぶやきながらも目の前の光景に見入り、立ち去ったゼロスに気付かない。 やがて、リナのほうがひざをつき・・・虚無が消える。 それとほぼ同時に金色の力も引いた。 リナの髪は、ひと房白銀に染まっていた。 「・・・っ・・・これを相殺するなんて・・・なんてヤツ・・・!」 息を切らせながらも、意志の強い光を放つ瞳でリナはイブリースをねめつける。 「・・・ゼロスあたりがこれを喰らってたら、確実に滅んでたわね・・・・・・腹心も『死』んじゃうだろうし。 今、力がそがれて弱体化してる覇王〔ダイナスト〕あたりが喰らったら滅んでたかもね。 けどおあいにく様。あたしは特殊でね。簡単にやられはしないわよ」 ・・・と言っても、今は混沌からのエネルギーの供給が時空間移動によって絶たれている状態だから、かなりエネルギーを消耗したんだけど・・・ という言葉は胸の底にしまう。 「・・・でも、あんた今この街をかばってたでしょ?」 「まあ、ね。この街は、あたしにとって特別だから・・・」 それと同時にこの世界も。と、イブリースは心の奥で付け加えた。 「それに、いくらゼフィーリアが殻って、あんな術を街の中で放つなんて感心しないわよ?」 「あんたは未来の存在。 だったらあんたが干渉してきたってことは、少なからずあんたの未来を変える原因となる・・・ だからあんた相手に術を放てば、それをとどめようとするのは当然ね」 「・・・聡いわね。今はその聡明さが少々邪魔なのだけれど・・・・・・かといって・・・ん?」 鼻にかすかに引っかかる・・・火薬のにおい。 この火薬のにおいはイブリースが特別に調合したもの。今この場でそれが使用されている可能性はただひとつ。 「――ゼロス・・・いないわね」 イブリースがポツリとつぶやく。 その呟きが、他の三人にも聞こえたようで、リナ、ミルガズィア、メンフィスの三人が辺りを見回す。 「・・・先に行ったのかしら・・・?だとしたら・・・・遅い」 すっと意識を集中させ、ゼロスの気配を探る。 「――!?」 はっと顔を上げ、そちらに目線を向ける。 民家に邪魔をされ、あまり意味はない、が。それでもそちらを見続ける。 「・・・何?」 「二人、いる・・・かち合ったんだわ!」 確かに、その気配は二つ。 過去と、未来の二人のゼロス。 過去と未来の同一の個・・・その二つが直接触れれば、『結果』である未来の存在が消える。 いや、まだ消滅していないという事は・・・ 「・・・間に合え・・・っ!」 「待ちなさいっ!」 立ち去ろうとするイブリースに、リナが声をかける。 「悪いけど事情が変わったのよ。眠ってちょうだい」 ぱたりとリナが倒れる。 「リナっ!?」 ガウリイはあわてて駆け寄るが・・・リナは呼吸を繰り返し、ゆっくりと胸を上下させるだけ。 そして、そのままイブリースは虚空へと消えた。 「悪いですが、ここで足止めさせてもらいますよ。サミィさん。イーザーさん。ご苦労様」 ふっと現れる紫のシルエット。 「ほう、あなたが偽者ですか?」 「偽者・・・・・・?おやまあ・・・ということは・・・・・・」 静かに立つ二つのシルエット。 過去の『ゼロス』と未来のゼロス。 「――話しても無駄、ですよ」 「成る程。ならお遊びはやめておきましょう」 ぴりぴりとした空気が辺りを包む。 その中で笑顔の存在が異様な雰囲気をかもし出していた。 その場にいる、四人の背筋に冷たいものが走る。 その空気が、刹那か、それとも長いあいだ続いたのかは分からない・・・ 「――ねえっ、彼女!一緒にお茶しない?」 すとん。と、屋根から飛び降りて、レティシアに声をかけてきたのは赤髪短髪の優男。 『・・・・・・は?』 見事に緊張感と冷気をぶち壊してくれたそいつに、イーザーを除く6人は見事に同じ言葉をぶつけたのだった。 ・・・・・・・・・。・・・・・・『6』人? イーザーを除いて、サミィ、メニィ、レティシア、ゼロス、『ゼロス』・・・ 「あたしの目の前で何さらしとるおまえはっ!!」 ごめっ。 いつの間にか現れていた六人目、すなわちイブリースに、そいつはとび蹴りを喰らっていた。 「い・・・いったぁぁいっ!」 「いたいことあるかっ!ただの物理攻撃よっ! 泣くないじけるな人魂のオプションつけるなぁぁっ!!」 「・・・・・・イブリースさん、いつごろからいたんです?」 「あんたたちがにらみ合ってる時。『ゼロス』がゼロスを偽者呼ばわりしたあたりからよ」 『だったら止めろっ!』 サミィとレティシアの声が見事に重なる。 「いやだってつかれたし。あの状態だと動きそうにないからちょっとは大丈夫かなーなんて。 第一、あたしだってどうしたものかと考えてたわけだし」 さらりとイブリースが言い放つ。 「・・・・・・リナさんみたいなことをよくそんな平気でいえますねぇ・・・・・・」 「え?なに?リナ=インバースを侮辱する気?『死』なない程度にボコってあげようか? てゆーかさ、あたしの前で母さんを侮辱するなんて自殺にも等しいわよ?」 「お・・・落ち着いてくださいよっ!!」 『ゼロス』に言われ、イブリースが鬼の形相で微笑み、ゼロスがそれをなだめる。 なんとも不思議な構図だ。 「と、ゆーわけだから、今の爆発とか、みんなこいつのせいにしちゃって記憶消してとんずらこくわよ。 ベルゼ、これ以上逆らったら2年前のクリスマスの時みたいにばかっぷるの中に放り込んであげるからね」 「それは勘弁してくれっ!!」 ずざざざざっ!と、顔を青ざめながらベルゼバブが後ずさる。精神生命体ゆえ、演技ではあるが、気持ちは本物。 よほどのトラウマになったらしい。 「・・・僕を無視しないでくださいっ!」 『ゼロス』が抗議し、イブリースがそちらをちらりと見やる。 「そーね。このままにしておくのもなんだから・・・ ――忘れなさい」 その言葉と同時に、『ゼロス』が凍りついたように動かなくなる。 「い・・・イブリース、あなた今、何したのよ?」 「ちょっとばかり記憶操作。今の出来事を忘れてもらったわ。 さ、帰るわよ」 「あなた何者!?あなたが今ここにいるって事は、リナはどうなったのよ!」 レティシアの叫びにも近いその問い。 「リナ=ガブリエフ・・・彼女はちょっとこの事件のことを忘れさせてから眠ってもらったわ。 後はルナおばさんやミルガズィア殿あたりがフォローしてくれるでしょ」 「・・・ガウリイは?」 「彼は・・・何も処置をしてないけど問題ないわね。クラゲだし」 顔色ひとつ変えずにけろりと言った。 「これであなたの問いには答えたわ。帰るわよ」 「・・・最初の質問に答えてもらってないわ」 「あ、ばれた?やっぱり言わなくちゃダメ?」 くすくすと笑って言ったその言葉に、レティシアは沈黙を返すだけ。 「・・・分かったわよ。イーザーとサミィには言ったけど、イブリースって言うのは偽名。 本名は・・・ ――ルキ=ファー=ガブリエフ」 その名前に、レティシアとメニィに緊張が走る。 「・・・ガブリエフ、ですって!?それじゃあ・・・」 イブリース・・・もとい、ルキは仮面をとる。 真紅の瞳と、リナとガウリイ、その両方に似た顔立ちが現れた。 「どうして・・・!?何でこんなことを・・・!」 「・・・そもそもの原因といえば・・・ほらみんな!いるんでしょ!出てきなさいよ」 サミィに問われ、言ったルキのその言葉に、出現するのはみっつの影。 「自己紹介なさい。あんたたち。ベルゼも」 「分かったよ。 僕の名はミカエル」 にこりと微笑み、簡潔な自己紹介。 「あたしはアシュタロス。アシュって呼んでね♪」 きゃるん☆といった感じで笑うアシュタロス。 「・・・私はベリアルだ」 そっけなく、ベリアル。 「オレはベルゼバブ。ま、ベルゼって呼んでくれや」 最後のベルゼバブが肩をすくめた。 「で、一番最初の原因といえば、彼らなのよね〜。 いくらこの四人が別格だからって、あたしの命令見事に無視してくれちゃってさ。 おかげであなたたちがこの惑星に引き寄せられたり時空間移動した直接の原因であるエネルギーがあふれるあふれる! で、あたしが直接尻拭いって訳。はぁ。出来が悪い部下を持つと大変よねー」 「それにしては、何もお咎めなしだったようだけど?」 「うっさいわねミカエル。 あれは結果オーライだったからいいようなものの、本来なら格下げものよ? 反省して来いっ!て、人間に転生させて荒波にもまれてもらってもいいんだけど?」 「ちょ・・・ちょっと待ってよ。 『惑星に引き寄せられたり時空間移動した』・・・って、最初に音声の警告をしてきたのは、あなたたち!?」 「あ、それあたしでーす☆」 何が楽しいのか、サミィの言葉ににぱっとわらって答えるアシュタロス。 その様子に、なんだか脱力するサミィとレティシア。意外とこの二人って気が合うのかもしれない。 「それって要するに・・・・・・異界黙示録〔クレア・バイブル〕とか色々探して帰る方法を見つけようとしてたあたしたちの努力って・・・・・・全部無駄?」 「・・・メニィ・・・・・・それは言わないで」 ・・・レティシアは、なんだか悲しくなった。 あとがき エ:よしここまで来ましたっ! L:次か、その次くらいで終わりかしら。 エ:そんなところです。 L:まあ、最後は予想つくけど・・・・・・途中で色々ウラ設定って言ってたじゃない。あれはどうなったの? エ:あれですか?この番外編が第二部として続くようなら出してもいいんだけど・・・・・・ 他にもやりたい話ができちゃったし。 L:というと? エ:L様の過去話。外伝ですね。 要するに天使『ルシフェル』としてのお話。キャラの性格がぜんっぜん違うし・・・あ、同じなのはミカエルくらいか。 混沌ができる前、すなわち悪夢を統べる存在〔ロード・オブ・ナイトメア〕になる前のお話で、別名L様初恋物語v L:おいこらまて。 エ:ベースはキリスト教。でもめちゃくちゃ大雑把。信用しないでねv L:たしか、キリスト教のルシフェルは・・・ 主(神)が炎から創った天使の一人。 ルシフェルは、ミカエルと対(もしくは同等)の存在で、明けの明星という別名と、三枚の羽を持っていた。 ルシフェルの役目は、人間を誘惑する事で・・・ってあれ? たしか主(神)が土から人間を作り、そこに命を吹き込む。 で、主(神)がこの人間に跪けと言うんだけれど、たくさんの天使の中、ルシフェルだけが『土から作られた人間より、炎から創られた天使であるあたしのほうがえらいっ!んなことできるかっ!』と反抗して堕天使になる。 そこで、ルシフェルは自分につき従う堕天使と一緒に神々に戦いを仕掛けて、結局主(神)から武器を与えられたミカエルに負けて・・・って、あれ?あれれ? L:失楽園と聖書が一緒になってるような・・・・・・ エ:うっ・・・・・・そ、そりはもろフィクションという事でっ!気にしないでっ!! L:ま、いーか。今までのストーリーもほぼオリジナル化してるし。 いぢめるのも楽しみだしね〜♪ と、ゆーわけで、ここであとがきを終わります☆ |
28849 | Re:遅刻レス。(遅刻です(笑)) | はるか | 2003/12/29 11:46:14 |
記事番号28843へのコメント はるか:レスおくれてすみませんっ!!マヂでもうっ!! アメリア:お詫びはこれで・・・・・・・・・・ はるか:!!そ・・・・・・それは期末の答案用紙っ!!返せ返せ〜〜〜!!! アメリア:こんなもの隠すから悪いんですっ!! はるか:だからって勝手に部屋に侵入して取り出すなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! アメリア:正義のためには全てよしっ!! はるか:そっちのほうがよっぽど悪っ!! アメリア:人をむやみに悪呼ばわりする!それこそすなわち悪っ!!成敗あるのみ!! はるか:人のこと言えるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!! アメリア:私はいいのですっ!! はるか:良くない良くない絶対良くないっ! アメリア:むぅっ・・・・・・・・・・・・・・。ああいえばこういう・・・・・・・・。 はるか:それはあんただぁぁぁぁぁぁぁぁ!! アメリア:まぁ、それはともかく置いといて、エーナさん、すごいですねぇ。こんなものが書けるなんて。月とすっぽんですよ。 はるか:誰と。 アメリア:あなたがすっぽんでエーナさんが月に決まってるじゃぁないですか!! はるか:いや否定しないけど・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 アメリア:戦闘シーンなんかボロボロのズタズタ。 はるか:はうっ!!それはいうなぁぁ!! アメリア:っということは自覚アリですねっ!? はるか:当たり前じゃッ!!戦闘シーンにギャグがはいってどぉするって感じだもんっ!! アメリア:自覚あるなら改善しましょう!! はるか:・・・・・・・・・・・・痛いお言葉ですぅ・・・・・・・・・・・・・・・・・。 アメリア:がんばってくださいね♪ はるか:なんか励ましの言葉がトドメのよぉにきこえるぅ〜。 アメリア:それは気のせいです。 はるか:キッパシいいましたねアメリアさん・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 アメリア:キッパリ、はっきり、これぞ真実!これぞ正義!! はるか:なんか違うような気がする・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 アメリア:ま、それでは♪ここらへんで♪ はるか:はいっ!なんか長々とした意味不明な中身のないレスになってしまいましたが♪ はるか&アメリア:し〜ゆ〜あげいんっ!! ――――『正義一発』と大きく書かれた幕が下がる―――― |