◆−時を超えた想い−闇竜翔&遙 琥珀 (2004/1/10 23:53:10) No.28971
 ┣岐路に立つ−闇竜翔&遙 琥珀 (2004/1/10 23:56:01) No.28972
 ┃┣一つの選択−遙 琥珀 (2004/1/10 23:59:57) No.28973
 ┃┗幸せに、なれますように。−遙 琥珀 (2004/1/11 00:02:20) No.28974
 ┗運命の分岐一歩前−遥琥珀&闇竜翔 (2004/1/11 22:44:43) No.28979
  ┣裁きの時−闇竜翔 (2004/1/11 22:46:46) No.28980
  ┣運命の分かれ、選択は二つに一つ−闇竜翔 (2004/1/11 23:19:58) No.28981
  ┗永遠の花嫁−闇竜翔 (2004/1/11 23:23:16) No.28982


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28971時を超えた想い闇竜翔&遙 琥珀 E-mail 2004/1/10 23:53:10


遙琥珀です。
本日はお日柄も良く、めでたく新ツリーということで…

フィアナ:………………………で?
琥珀:…………………………え…あの…いや…だから…
フィアナ:………………………そ・れ・で?
琥珀:…あの…
   …ごめん私が悪かった。
フィアナ:解れば宜しい。
琥珀:…そんな訳で…ようやく続きなのです。



お久方ぶりの闇竜です。
  
レン:おそらくほとんどの人が知らないだろうな
アセルト:うんうん、全部闇竜の怠け心の賜物だね
闇竜:・・・・・・ごめんなさい。僕が悪かったです。







フィアナ:つーか本気で遅い。遅すぎる。できてないのならまだしもできてるのに投稿しなかったのが許せん。
…と、うるさいウチのお嬢。
アセルト:確かにね〜、闇竜なんてできるのさえ遅かったくせに・・・・・
賛成している焔の妖魔さん・・・・・・
オルエン:もういつものことと言ってしまえばそうだが…
レン:・・・・・・闇竜、言い残すことはあるか?
闇竜:ちょい待て、その右腕に構えられている黒い刃は一体いいいいい!?
琥珀:まぁまぁ穏便に。
レン:・・・・・・仕方ない。琥珀さんの言うことが今は一番だ・・・・・・穏便にしよう
琥珀:…投稿…思い出しただけでマシ?
フィ&オル:説得力無いわ馬鹿者ッ!
闇竜:う〜ん、それに一票!
琥珀:時々ふっと忘れそうになるもんこの話の存在v
オルエン:貴様がサボっとるからだっ!
闇竜:いや〜、僕なんて時々忘れてますから
アセルト:忘れるな!
フィアナ:(閻魔帳に書き込み中)琥珀…救い様ナシ…と。
琥珀:こらっ!不吉なことを言うんじゃないっ!
レン:・・・・・・(カシャッ)大丈夫、痛みすら感じない・・・・・・
闇竜:ちょっと待て!お前何言ってるんだ!
琥珀:(手を組み、うるうる目で)ごめんなさい翔さん私逃げます。
フィアナ:うあコラ!逃げるな待てぇぇ!(追う)
オルエン:あっ、ちくしょー!(更に追う)
闇竜:ちょ、ちょっと置いて行かないでください!
アセルト:空間は渡らせないぞ!(追う)
レン:・・・・・・絶対に逃がさん・・・・・・(追う)
琥珀:それじゃ本編であいましょぉぉ!(声のみ)
闇竜:はいいいいい(これまた声のみ)
フィ&オル:それじゃまた後でー!
レン&アセ:それでは、後で――!

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28972岐路に立つ闇竜翔&遙 琥珀 E-mail 2004/1/10 23:56:01
記事番号28971へのコメント

「…あー…頭クラクラする」
「大丈夫か?」
額を押さえているレンの背中を、ぽんぽん叩くジェリィ。
「ウチの家族いっつもあんなのだから。あんまりマジに付き合ってるとカラダが持たない」
「…みたいだな」

あの後、飲酒量とかどれだけ長い間水に顔浸けてられるかとか、一通り訳の解らない競技をやらされたレン。
…断ればいいのに、マトモに付き合っている辺りがなんともはや。
…因みに、同じコトをしたガウリイは、階下でノビている。
勝負の決着ポイントは…『若さ』であろう。やっぱり。
そして、今。
二人は、ジェリィの部屋に引っ込み、色々話し合っていた。
「あ」
ジェリィが、ぽんと手を打つ。
「ちょっと待ってて、渡したいものがっ」
「?」
ジェリィは、置いてあった小さなナップザックに手を突っ込み、しばらくごそごそ掻き回していたが…
「あった!」
ぽい、と、レンの方に…何かキラキラ光るものを投げる。
反射的にキャッチするレン。
「……………?」
手の中でキラキラ光る…髪飾り。
金細工に、赤や緑の石が付いた、豪華だが悪趣味ではないつくりのもの。
「私の遺品」
ぶっ。
何故か胸張って言う彼女に、レンは、思わず、口に含んだコーヒー(ブラック)を吹き出した。
「あああ!シミになっちゃうじゃないか!レンのバカ!」
何処からか雑巾を取り出し、ごしごしと絨毯を拭くジェリィ。
ぐい、と服の袖で口元を拭うレン。
コーヒーカップを持った手が、かくかく微妙に震えている。
「…遺品…って…
 普通、死んだ後言わないか?」
「んー」
ジェリィは、少し考えた。
「もうすぐ死ぬから。私。」
「…………」
顔をしかめる彼。
「…どうして、死に急ぐ?」
「…私が、今までその為に生きてきたから」
彼女の言葉に迷いは無かった。
「…………死ぬ為に?」
「それは違う」
レンの言葉に、驚いた様に首を振る。
「目的を達すると、自動的に命を失うだけのことだから…
 死にたいのとは、ちょっと違うかな」
「……結果的には、同じだ」
「そうかもね」
ふぅ、と息を付く彼女。
「…死ぬ、て解ってても…やり遂げたいこと、だから…
 ユズレナイオモイ、って奴かな?」


―――――――――――――――――譲れない想い、ね―――――――――――――――――


心の中で溜息を付くレン。
何かが―――――――――――――――――
吹っ切れた気がした。
「…………」
黙って立ち上がる。
「レン?」
不審そうに、彼の動きを目で追うジェリィ。
レンは、ジェリィの両肩に、手を置き…
正面から、彼女の顔を見据える。
「譲りたくないのはこっちも同じだ」
「え?」
「……………………………………………………………………………………………
 ……言いにくいな畜生。
 ……今まで、散々遠回しに言ったし、行動もした。
 ……だけど……気付いてないのか気付いてない振りしてるのかは知らないが…散々とぼけられてばっかりだ……
 ……とぼけられないように、キッパリ言ってやる……
 ……行・く・な!」
「………………」
ぷい、と顔を背ける彼。
ぽかん、とした様子の彼女。
「……レン?」
「…………」
「…………」
彼女は、目を伏せた。
何かを、考え込んでいる様子だった。
やがて…顔を上げ…
レンと目を合わせる。
そして、一言。
「…………………………………………………………………………………………………………………バカ。」
がく。
崩れそうになるレン。
「…バカ…って…」
言い返そうとして。
気が付いた。
ジェリィが…無表情なことに。
「そういうこと言われると、どうしていいか解らなくなるから」
無表情のまま。
淡々と声に出す。
「…私だって、海王様に逢いたいだけで、死にたい訳じゃ無いんだ。
 ……迷ってる人間に、そういう事言うもんじゃ無いよ……
 踏み切りが付かなくなる」
「付かなくていい。」
キッパリ即答するレン。
「行くな」
自分でも驚く程、キッパリと言う。
「…………」
ジェリィは、再び目を伏せる。
静かに見守るレン。


辛くないハズがない。
大切なひとに逢う為とはいえ。
自ら死にに行く様なものなのだから。

魔族の転生体とは言え、今は人間なのだから。
生きているのだから。
人間としての『居場所』…………
彼女が、求め、追い続けてきた、『幸せ』………
『幸せになる条件』が揃った場所を、見付けてしまったのだから。


「答えろ。
 …本当に、そこまでして、海王に逢いたいのか?」
「…………逢いたい」
ジェリィは、ハッキリ言った。
「…………でも…………
 生きていたい」
静かに…ハッキリと言う彼女。
「海王様は、いつまでも…私にとって、特別な方だ」
「…………」
「………だけど」
ジェリィは、溜息を付いた。
「……未練が無いと言えば、ウソになる……」
「…………」
レンは、何も言わなかった。
じっと、彼女の言葉を待っていた。
「……海王様に、逢いたいけど……
 リナとか、ガウリイとか、兄上様とか…
 沢山、他にも、大切なひと、出来ちゃって……
 不忠義かもしれないけど……どうしようもなくて……」
「…不忠義…じゃ、無いと思う」
レンは、優しく、諭す様に声を掛けた。
「…お前は、前世で死ぬまで…
 海王に尽くしたハズだ。
 あの時のお前を詳しく知っている訳では無いが…お前を見ているとそう思う。
 …死ぬ間際まで、尽くしたハズだ。
 ……だから……新しく手に入れた生活まで、海王の為に尽くすことは無いと思う」
「…………私…………
 もう…………自分が何したいのか…………わかんなくて…………」
涙を浮かべた彼女は、『海王将軍』では無かった。
一人の、小さな、少女だった。
「…………海王様に…………逢いたいのに……………
 逢いに行ったら、きっと後悔する気がする」
「…………」
「…………海王様と…………同じくらい…………
 …………大切なひと…………できてしまった…………」
ジェリィは、声を絞り出す様にして言った。
「…………」
ジェリィは、顔を上げた。
もう一度、真正面から、レンを見詰めた。
「…………レン…………」

ジェリィは……最後まで言わせて貰えなかった。
レンは、彼女の唇を塞ぎ、そのまま、彼女の上に覆い被さった。
彼女は、抵抗せずに…大人しく、彼を受け入れた。
服のボタンが外されていくのに気付いてない訳でも無いのだろうが……
黙ったまま…じっとレンの顔を見上げていた。

ぷちん。

最後のボタンがはずれた。
彼女は目を閉じ、彼に身を任せた。




時間が、やけにゆっくりと過ぎていった。















言い訳あんど言い逃れ。



琥珀:いやー、とうとう抱かれちゃったねー(遠い目)
オルエン:……う……うっさいなぁ……(赤面)
琥珀:初めて彼女の『本当の顔』書いた様な気がするよ。
   ……強くて凄い彼女なんだけど……
   なんで『強くて凄い』かというと、それは『一生懸命頑張ってるから』。
   女の子なんですよ。オルエンも。
   レンは、それを解ってくれてるんですね。きっと。
オルエン:……解ってるのかなぁ……?
琥珀:……理解している……というよりも……『本能的に感じてる』……?
オルエン:……動物か……?レンは……?
琥珀:はい、ではまた次回お逢いしましょ。
オルエン:……逃げやがった……




                                                      幕。

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28973一つの選択遙 琥珀 E-mail 2004/1/10 23:59:57
記事番号28972へのコメント

腕の中に残る、柔らかい香り。
肌が覚えている、優しい温もり。
「…………」
レンは、うっすらと目を開けた。
無防備に寝息を立てている少女が視界に入る。
彼女を起こさない様に気を遣いながら…彼女の頬に唇で触れる。
「…ん」
小さく声を出し、もぞ、と動く彼女。
起こしてしまった様である。
「…レェン…?」
妙に甘い瞳と声。
未だ少し寝惚けているのだろうか。
間近にあるレンの顔に、少し戸惑った様に目をぱちくりさせる。
「…今、何時?」
「…六時少し前くらいだ」
ちら、と明るくなった窓の外を見て答えるレン。
「…そか…」
ジェリィは、身を起こし掛け…すぐ、ぽふ、とベッドに倒れた。
「…レンー」
ジェリィは、ぴたっとレンに躰をくっつけた。
妙に間延びした声を出す。
「…私…
 本当は、今日行くつもりだったんだ…
 暗い内に、家出て…行くつもりだった」
「!」
「…でも、行けなかった。
 …行きたくなかったのかも」
「?」
ジェリィの言葉の真意がつかめず、首を傾げるレン。
ジェリィは、上目遣いでレンを見た。
「…だから…
 延期することにしたよ…
 どうしても、行きたくて、堪らなくなるまで…
 ここに、転生してきた時…その時と同じ気持ちになる時まで…」
「…………」
ぽん、と、レンは、毛布の上からジェリィの背中を叩いた。
ジェリィは、何が可笑しいのか…クス、と笑った。
「…レンに抱かれたら…もう思い残すこと無いと思ってたのに…
 余計に未練できちゃった…
 …はは、間抜けだよな」
「…それで?」
慎重に確認するレン。
「…それで…
 もうしばらく、よろしく…ってことで…」
言い残し…もう一度目を閉じるジェリィ。
「…………」
レンは、しばらく…ジェリィ入り毛布を、じぃっ、と見詰めていたが…
ぎう。
次の瞬間、毛布ごと彼女を抱き締めた。
「にょえっ!?」
照れか、恥か、それともギャグか。
顔真っ赤にして妙な声を出すジェリィ。
それもそうである。
昨夜は『あのまま』寝てしまった。
…つまり…
服着てねェのである。
「…ちょっと…レン…」
ジェリィは、恥ずかしそうに、レンの腕の中から逃れようと藻掻く。
「…………」
「レン……
 …………………」
……みしっ……
「え゛。」
ぎうううううううううう。
みしめしっ。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっ!?」
ジェリィは、自分の骨の軋む音を聞いた。
「暗殺稼業の者のカラダナメちゃいかんよ君」
抑揚のない声で淡々と棒読みするレン。
「…わがっだがら離しで…」
ぱっ、と彼女を解放するレン。
ゲホゲホ咳き込むジェリィ。
「…何をするんだ、全く」
「口先でごまかされたくない」
「は?」
ぐ。
彼女の両手首を捕まえる。
そして…
昨夜の情景再び。
もう一度押し倒されるジェリィ。
レンは…ねらりっ、とした笑みを浮かべる。
「…………」
金魚の様に…口をぱくぱくさせる彼女。
「…………」
やがて、観念したのか…
目を瞑り…ぽつり、と小声で呟く。
とても小さな声。
だけど、それだけで、レンには充分であった。
彼女の耳元で…やっぱり小声で…何事か囁く。
ジェリィは、嬉しさと照れの混じった表情で、彼を見る。
レンも同じ様な表情をしていたり。
「……で……レン……」
ジェリィの頬を、つぅっ、と汗が伝った。
「………………………………………離してv」
にっこり笑って言うジェリィ。
彼女のいる場所…レンの躰の下。
レンは、つられるかの様ににっこり笑い…
迷わず、首を横に振ったのだった。











言い訳あんど言い逃れ。



ジェリィ圧死寸前(笑)
昨夜の今朝で服着てないのに…
…余り詳しく想像しない様に。其処の方。

次回で遂に最終回?です。
何故?かというと、確信持てないから。
作者の都合で伸びたり縮んだりします(苦笑)

それではまた次回!


                                          幕。

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28974幸せに、なれますように。遙 琥珀 E-mail 2004/1/11 00:02:20
記事番号28972へのコメント


ぴんぽーん。

オレンジの沢山入った紙包みを抱えて、チャイムを鳴らすレン。
『二階。』
何かの細工がしてあるのだろう。
何処かからつっけんどんなリナの声がする。
言われた通りに…玄関に入り、二階への階段に進む。
部屋の前で止まり、とんとんとノックした。
『入っ…ごほっ!』
『喋るんじゃ無いのッ!…入って』
ドア越しに親子の声が聞こえる。
きぃ…と、ドアを開け、恐る恐る中を覗くレン。
「…大丈夫か?」
「これが大丈夫に見えるなら目医者行った方がいいわよ」
「…うう〜…」
おデコにぬれタオル乗せ、呻いているジェラルディーン嬢。
リナの言葉に反論できずに立ち尽くすレン。
しばらくして…こそこそと部屋の中に入り、ぺたんとベッドの傍に正座してみる。
「この子が体調崩すなんて珍しいのよねぇ」
リナが、ふぅ、と溜息を付く。
「二歳のハシカ以来の高熱」
「…十七年振りか…なんかそこまで行くと逆にめでたい様な気もするな」
「バカ言ってんじゃないわよ」
呑気なガウリイを睨む。
「この調子だと…ちょっと予定をズラさなきゃいけないかしら」
深刻な様子で呟くリナ。
「とことんツイてないわねー…この子…」
「中止するとか」
「ダメッ!絶対ダメッ!」
ぼそっと呟いたレンを、きっと睨むリナ。
「盛大にぱーっとやらなきゃこういうのは!」
「…かーさま…にーさまのウラミ…わたしたちではらさないで…」
「あら何のことかしら」
譫言の様にいうジェリィ。
遠い目で、ほほほと笑うリナ。
「…………」
そーゆーことか…と、なんだかヤケに納得するレン。
つまりが…上の息子は駆け落ちしてしまったので、『盛大にぱーっと』できなかったのだ。
その分を下の娘で晴らすつもりなのだろう。
レンにとっては何とも迷惑な話である。
「オルエン」
リナが廊下に出た隙に、ささっと近づき、ジェリィの額に手を置くレン。
熱さに顔をしかめる。
「…『予定通りに』…は無理だな…やっぱり」
「…うん…ちょっぴり安心したけど」
はは、と笑う彼女。
「リナ、こういうことはなんだか妙に張り切るから。
 気持ち、わかんないこともないんだけどね…」
「…………」
『じぇらるぅ?』
急に、なんだか良く知った声が掛けられた。
「…………?」
『ここ、ここ。ここだよっ、開けてっ』
振り返るレン。
目に入ったのは…
「…………
 それで、どれくらいで治りそうだ?」
「…一週間もあれば…」
『無視してんじゃないッ!
 この僕を無視する権利が君にあるとでも思ってるのちょっと!』
「…病人に冷たい空気は良くない」
「…レン…
 あのかたきっと窓壊してでも入ってくるから…開けて…」
「…そう言うなら」
露骨に嫌そうな顔をして立ち上がるレン。
ぱちん、と窓の鍵を開ける。
「あー、寒かったぁ」
白い息吐きつつ窓から部屋の中に入ってくる彼。
ジェリィが十九なのだから、現在二十八歳のハズなのだが…ヘタすりゃ十代に見えそうな化け物お兄様。
フィリーである。
「玄関から入って来いよ。
 お前の家だろう、ここ」
「リナに見付かるとうるさいでしょ?だからね」
てへ☆と笑う。
「…ありゃ、ジェラル風邪かぁ。
 それじゃダメかなぁ」
「…何が?」
「トモダチとの待ち合わせ場所にここ指定したんだ。
 『人間の家とは思えない程強い波動が感じられる家』って。解りやすい目印でしょ」
「…そりゃ、まぁ…」
リナやらガウリイやら海王将軍転生体やらが居るのである。
精神世界面から見ても目立った場所かもしれない。
「初めはゼフィーリアの王城前にしようかと思ったんだけど」
「…待ち合わせ場所が城の前って…」
「世界にひとつしか無いもん。間違えようがないでしょ」
日本で言うと、国会議事堂前を指定するようなもんであろうか。
「でも、あの子、ヒトのいっぱい居る所だと目立っちゃうから。
 ね、ジェラル、少しだけ。
 彼女が来るまで、いい?」
「…いいけど…彼女…?女のひと…?
 …シェーラにチクっちゃいますよ」
「もー、そういうのじゃ無いんだってば」
あはは、と笑う彼。
「きっとびっくりするよ。
 とびきりの美人さん」

ぱっ。

フィリーの言葉が終わるか終わらないかの内に…
不意に、部屋の中に何かが出現した。

べち。

少し高い所に出現したそれは…床で顔を強打する。
「…あいたたた…着地失敗…」
「…相変わらずっスね。フィアナさん。」
呆れた様に笑うフィリー。
「や、元気してた?」
フィアナは、にこっ、と笑い、軽く手を挙げた。
あの時とは違い…長い髪は女の子の好みそうな綺麗な髪飾りで留められているし、白い口紅も付けていない。
服も、神官服では無く、エプロンドレス、というもの。
「…神族・姉。」
「…『フィアナ』。」
ジト目で淡々と言うジェリィに、抗議の声を上げる。
「それはそうと…オミヤゲ」
何処からか菓子折を取り出す彼女。
パッケージには『あのファクト様も絶賛!異様にうまい!混沌まんじゅう』と書かれていたりする。
「…なんかめちゃくちゃ食べたくないねv」
「…異様…って…」
「食べたら逝きそう。」
「…遊んだな…アイツ…」
冷静に正直に言うフィリー。
なにやら遠い目のレン。
正直な感想を漏らすジェリィ。
虚空に向かって拳を握りしめるフィアナ。
「アイツ?」
「未だにあっちのことあんまりよくわからないから。
 ダンナにオミヤゲ選んで貰ったんだけど…
 ま、死ぬことは無いと想うから取り敢えずとっといてよ」
「…そう信じたいね」
脳裏に『ダンナ』の顔が浮かび…より不安になる元冥王様であった。
レンも、『ダンナ』になんとなく心当たりがあったが…
取り敢えず、口に出さずにおいた。
「まぁ、その様子だと元気な様で何より…変わらないねぇ、フィアナは…」
「そっちこそ…て、なんか大分面変わりしてるけど…」
「んー。色々あって今は人間です、完璧に」
「ふーん♪
 あれから何年だっけ?」
「えーと…降魔戦争始まって直ぐ後以来だから…
 いち、にぃ、さん…
 …千百年くらいかな?」
「もうそんなに経つのかぁ」
話に花を咲かせる二人。
「久し振りにお墓参りしようと思って帰ってみたんだ。
 ホントはアセルトも来るって言ってたんだけど、ちょっと都合が、ね。
 だからここに来れたんだけど…」
フィアナがにこにこと機嫌良さそうに話していると…
不意に、玄関のチャイムが鳴った。
魔力設備で…来客の声が部屋に届く。
『ジェラル風邪引いたんだって?
 お見舞いに果物持ってきたんだけど』
……………………………………………………………………………………………………………………
一瞬、部屋の中の(元)魔族二人が硬直した。
「ルナだぁぁぁぁぁっっっ!!!」
おろおろ慌てるフィリー。
「…………」
布団の中に潜り込むジェリィ。
「ん?なに?なに?」
きょとん、としているフィアナ。
さぁっ、とフィリーの顔から血の気が引く。
「フィアナっ!隠れてっ!ベッドの下!」
「きゃっ!」
フィリーにベッドの下に押し込まれるフィアナ。
フィリーは慌ててクローゼットに入る。
何年経っても苦手らしい。
沈黙の中…
とん、とん、とん、とん。
階段を上ってくる足音が近付いてくる。
『あ、姉ちゃん』
『や、リナ。果物持ってきたんだけど』
『わぁ。
 ジェリィなら部屋で寝てるよ』
『じゃ、挨拶してこうかしら』
ドアの外のやりとり。
そして…ドアが開く。
布団に潜り込んでいるジェリィ。
ベッドに腰掛けて此方を向いているレン。
「…なんか、大慌てしてなかった?」
「…っ…気のせいっ、気のせい…っ…げほっ」
慌てて首を振り、ついでに咳き込むジェリィ。
「そぉ?
 …カラダ、調子どう?もうすぐオヨメにいく躰なんだから大事にしなきゃダメよ。
 ビタミンCがいいのよね、風邪には」
「うんっ、ありがとうっ」
『早く行ってくれ』と思いつつこくこく頷くジェリィ。
「アンタも彼女の為に果物剥くくらいの甲斐性見せなさいよ」
ルナが、レンに果物カゴを渡す。
そのまま何やら説教を始めるルナ。
…時、既に遅し。
「…全く、もう…なんなんだ…」
事情を飲み込めていないフィアナが、ベッドの下から這い出した。
…………………………………………………………………………………………………………………………………………………
時が、止まった。
目を合わせたまま、硬直するルナとフィアナ。
最初に気づいたのは、フィアナだった。
「…………………………………………………………………………………
 っきゃああああああああああああああっっっ!!!!」
叫んで窓を開け、飛び出す。
「フィアナっ!」
クローゼットを蹴り開けて飛び出すフィリー。
「……っあああああああ!!!」
びしっ、とフィアナを指さすルナ…赤の竜神の…力の欠片、そして意識を収めた器。
「フィアナぁぁぁ!なんでアンタがこんな所に!」
「こっちのセリフですっっ!!!あああ、もー貴女と関わらなくても済むと思ったのにっっ!!!」
半泣きで答えるフィアナ。
「待ちなさいっ!」
「待ちませぇぇぇん!!!」
「止まりなさいっ!」
「止まりませぇぇぇん!!!」
「どっちかにしなさいっ!」
「決められませぇぇぇん!!!」
泣きながら飛んでいくフィアナ。
追っていく赤の竜神…もとい、ルナ。
「……あーあ…」
溜息を付くフィリー。
「…なんだったんだ…?」
「…さぁ…」
レンの問いに、ジェリィは答える術を持たなかった。
「…神族か…」
ぽつり、と呟くジェリィ。
「…幸せかな?」
「…きっとね」
フィリーは、口の端に笑みを浮かべた。
「限りなく永遠に近い命…が必ず幸せなことかどうかは解らないけど…
 きっと、あの子は幸せだ。約束したもん」
「…………」
ジェリィは、ぎゅ、とレンの手を握った。
熱を持った手に、レンの冷たい手が心地よかった。










それから半年。

春。

二人はようやく想いを遂げた。

思いも掛けず盛大になってしまった式も、『これも親孝行…』という、ジェリィの妙に悟りきった一言の所為で決行となった。

参列客の中に、赤毛のカップルがいたり金髪ねーちゃんがいたりしたが…二人は見て見ぬ振りをした。





―――――――――――――――――そして―――――――――――――――――…





「レーン」
「ん?」
自分を呼ぶ声に、振り返るレン。
…実は…『レン』は本名では無いのだが…『今更呼び方を変えるのも変』というジェリィは、未だ『レン』と呼んでいる。
レンも、別にそれでもいいと思うし、自分も彼女を『オルエン』と呼ぶのでお互い様である。
振り返った家の前で、新妻が手を振っている。
伸ばし始めた髪は、水色ではない。
魔族…『海王将軍オルエン』では無く…女の子として、ジェラルディーンとしての本来の髪の色。
父親から受け継いだ、輝く金髪。
「次はいつ帰れるー?」
「できるだけ早く帰るっ!」
「この間もそんなこと言ってたぞーっ」
ホーム・ドラマに出てくる様な風景。
ありきたりで平凡な風景だが、レンは満足だった。


『普通』が、一番幸せなことだったりするのである。意外と。


「いつまで一緒にいられるかなー」
ジェリィは、一人で空を見上げた。
この青空の下、自分の大切なひとも歩いているのだろう。
「それを試してみるのもいいかもね…」
ふぅ、と息を付き…少し大きくなったおなかに触れた。











神でも無いし、魔でもない。




いつか終わりが訪れる。




与えられた時間は限られているけど。




時の許す限り共にいたい。




死が二人を分かつまで。




運命の祝福絶えるまで。




ずっと、傍にいて。




私が二番目に愛したひと。


















『幸せに、なれますように』。

































FINE  Or  D.C?


























言い訳あんど言い逃れ。




と言うわけで、最終回でした(笑)
オルエンの言う『二番目に大切なひと』というのに微妙に哀愁を感じますね(汗)
そうか…。レンはやっぱり二番目なのか。
…っていっても、多分建前上のこととは思われますが(笑)
愛の質が違うんですよ、愛の質が(笑)

…あっ、これで終わりではありません!
二人の子供の話も用意してるんですよ〜(笑)



…一応説明しておくと…最後の『FINE Or D.C』。
『フィーネ オア ダ・カーポ』。
音楽用語ですが、解りますよね?
『終わる?それとも繰り返す?』です。



                                                          幕。

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28979運命の分岐一歩前遥琥珀&闇竜翔 E-mail 2004/1/11 22:44:43
記事番号28971へのコメント

時を超えた思い 運命の分岐一歩前




フィアナが目を覚ましたのはアセルトが目を覚ましてから3日後だった。
なかなかタフな娘である。
アセルトは三日間ずっとフィアナの側についていた。
ファントムが仕事が遅れるといって嘆いていたがまったく聞こえない振りをしていた。
そのせいでパショカとゼムは通常の倍以上の仕事をやらされているが・・・・・・
ちなみに、ファクトの宮殿内では時間が通常の何倍にも引き延ばされているため実際の時間は更に過ぎていたりもする。
「で、大丈夫なのか?」
フィアナがアセルトに聞く。
「ああ、これでも丈夫にできているからな」
アセルトが答える。
「そうか・・・・・・」
アセルトが見つかるまでの二ヶ月間、フィアナはアセルトが滅んだと思い何度も自殺をしようとしていたのだ。
しかし、その事に気づいたファントムが眠りの結界の中にアセルトが見つかるまでの二ヶ月間ほど閉じ込めていた事は二人とも知らない。
さておき、フィアナ一人の力では異界の混沌を『飛ぶ』事はできない。
せいぜいパショカやゼム程度の力がないと鏡の間を『飛ぶ』事はできないのである。
もし無理に鏡の間で『飛ぶ』ような事をすると、魂が消滅してしまう可能性がある。
それゆえに悪夢の王の到着を待っているのだ。
現在は鏡の間の接続率が悪い為悪夢の王はまだ着てない。
まあ、来たら来たらでフィアナがいるわけが無いが・・・・・・
「しかし、ここもいい所だな」
フィアナが言う。
彼女はパショカに連れられてファクトの宮殿内を案内もとい探検したのだ。
途中二度ほど警報装置を作動してしまい大変な事になったが・・・・・・
「そうか・・・・・・感想は?」
「うん?はっきり言うとおもしろい」
フィアナが単純明解とばかりに言う。
「おもしろい?」
「そうだ。冥王城には扉を開けたらいきなりケルベロスが出てくるなんて事は無かったぞ。とは言ってもかなり人懐っこかったがな」
「ははは、そりゃどうも」
苦笑するアセルト。苦笑もしたくなる。フィアナが開けたのは冥土の間。そこの番人のケルベロスが居てもおかしくない。
しかし、本当はケルベロスは番人。それゆえに邪悪な意志をもってあの扉を開けたらケルベロスにすぐさま魂から食いちぎられてしまう。
それをフィアナはケルベロスを見、
『ほほう、おもしろい仕掛けだな』
で終わらしたのである。
パショカは驚きのあまり蒼白となっているにもかかわらずフィアナはケルベロスの頭を撫でるとそのままじゃれていたのだ。
ケルベロスは敵意が無いと感じて一緒になっていたが・・・・・・
もちろん、パショカからその報告を受けたアセルトが引き離したのである。
(あのケルベロスに問題があるな。ファクト様に言っておこう)
心の中でアセルトは決めていた。
しかし、その様子を見たフィアナはアセルトの顔が悩んでいる顔になっていたので声を掛けた。
「どうしたアセルト、何かあったのか?」
心配そうに首を傾げるフィアナを前にアセルトはにっこり笑い、
「いやなんでもないよ」
そう言うと無償にフィアナに抱きつきたくなる感覚があったがどうにか理性で止めるアセルト。
と、そこに、
「あら、こんな所に居たのね」
悪夢の王ことL様がやってきた。




「ごめんねファクト。遅れちゃって」
「仕方あるまい。混沌の間にアクシデントがあったのだったら・・・・・・」
謁見の間で話しをしているファクトとL様。
アセルト達は本当は居てはいけないのだが今はフィアナと共に一緒にいる。
「焔の君、無事でよかったわ」
通常は見せない本心からの笑顔を見せるL様。結果、怖すぎてアセルトが固まった。
「あ、ありがたき言葉」
そう消えそうな声で言うのが精一杯だった。
「さあ、帰りましょうフィアナ」
「は、はい」
L様に言われ、渋々鏡の間に行くフィアナ。
そして、
「じゃあ、また来るがいい」
ファクトがそう言う。
「身体に気をつけろよ〜」
ファントムがそう言って手を振る。
「じゃあまた行くから」
アセルトがそう言いフィアナの手を取る。
「多分すぐ行くよ」
そう言って手を離す。
「ふむ、楽しみにしておこう」
フィアナがどこか嬉しそうに言った。
そして、L様の後を歩いていくフィアナ。そして、鏡の間の一つのゲートが閉じた。
ファクトは悪夢の王が見えなくなると帰ろうとしたがアセルトが動かない。
「どうした?アセルト」
そう声を掛けるファクト。アセルトは首を振り、
「いえ、なんでもありません。ただ・・・・・・」
「ただ、どうした?」
アセルトは首をもう一度振り、
「いいえ、何もありません」
そう言うとファクトの後についていった。
『フィアナが一生消えてしまいそうな気がしたので・・・・・・』という言葉の後半を飲み込んで・・・・・・




数ヶ月間、アセルトはファクトの監視の元仕事をしていた。
そうでもしないと根性でファクトの結界を破りフィアナの所に行ってしまうからである。
まあ、そういう事で彼は仕事をしていた。
実は、アセルトが数日と感じていたのはファクトが時間軸を狂わし、通常の三倍程度引き延ばした時間なのだ。
実際には一年以上過ぎている。ファクトの宮殿内の時間で・・・・・・
ファントムは邪妖の大群と対決している為帰還にまだしばらくかかる状況だ。
まあ、アセルトは何も知らずに仕事を片付けている。
アセルトのこなす仕事の基準は無い。
果てや邪妖を片付けた時の始末書の製作。果てやなぜかL様の所からファクトの所に送られてくる重要書類の数々。果てや断罪の一族の騒動の取りまとめの記述。果てや・・・・・・
言っているときりが無いので、簡単に言うと彼は雑用をこなしていたのである。
それも通常の5倍以上のスピードで・・・・・・
「ええっと、ここはこうして、あああああ、何でL様の所の重要書類が!?ってこれはファクト様宛の手紙だし!そういえばこの邪妖の始末の仕方はどうやったっけ?」
忙しい事この上ないのである。その甲斐あってかどんどん少なくなる書類の山。
そして、彼は全ての書類の山を片付けた。
「WIN!」
なぜか英語でそう言いガッツポーズを作ると、
「お〜いアセルト、これ頼む、俺はこれからちょっと外出するから」
そう言うと同時に姿を消すファクト。
後には一冊の封筒に入れられた書類が残された・・・・・・
「ちょ、ちょっと待って下さいよ〜〜〜〜〜〜僕の休暇は!」
怒鳴ってもファクトの気配はもうしない。
アセルトはがっくりうなだれると再び机に向かい、書類を広げ、
「なんだこりゃ」
出てきた文字に目を丸くしたのだった。
アセルトはそれと十分程度にらみ合いを続けると、
「ああ、そういえば悪夢の王様の文字って読みにくいんだった」
そこに書かれているのはただ単なる混沌文字だった。
ただし、かなり達筆の・・・・・・
「普通読めないよなこんなの・・・・・・」
そう言うと共に読み始めるアセルト。
その顔が青くなるのにあまり時間は必要ではなかった。
そこには、赤の世界の神族が不穏な動きをしていて、それに対し魔族も対抗する為に冥王の指揮のもと赤眼の魔王の欠片を集める為に暗躍しだし、またもや全面戦争になる可能性があるということが書かれていた。
後の人間で言う降魔戦争である。
冥王が赤眼の魔王の7分の1の欠片を探す為に策略の種を撒いたのだ。
そして、一人の男がその条件に満ちたのだ。
名は・・・・・・レイ=マグナム。このとき大賢者として名を馳せ、さまざまな術を作りだした偉大なる魔導士である。
「そんな、魔族と神族の全面対決だと!?」
驚愕の表情になるアセルト。彼の脳裏に蘇る、愛する者の影。
「やばい!冥王が指揮なら必ずフィアナも戦争に出る!」
アセルトは立ち上がった。
そして、突如彼の脳の中に浮かび上がる疑問、
『どうして神族がいきなり動き出したか』
という疑問である。
そして、その答えが行き着いた先は・・・・・・
「まさか、俺のせい?」
アセルトを倒す為にフィアナを人質に取ろうとして冥王城にこの頃二度ほど大きな戦闘が行われた。
原因はアセルトが断罪した。しかし、魔族もそのせいで幾らか弱体化している。
神族はその隙を見て動き出したのでは無いか・・・・・・
「もしそうなら、俺の動きを読んでいる奴がいる」
アセルトはそう言うと拳を握り締める。
もちろんアセルトの動きを読む奴なぞそうそう居ない。
もちろん神族や魔族にいるわけが無い。
邪妖だ・・・・・・それもある程度力のある妖魔の君クラスの・・・・・・
「すぐに出発だ」
彼はそう言うと共に装備を固める。
亜空が乱れているため、鏡の間に急ぐが・・・・・・
「飛べないだと!?」
「申し訳ございません。現在接続率が著しく低下しております。原因は他の断罪の一族などが調べておられますがもうしばらく『飛ぶ』為には時間が必要です」
そう言う鏡の部屋の門番、流沙の君。
「どうにかならないのか」
アセルトが慌てた声で言うが、
「申し訳ございませんがどうしようもございません。落ち着いて下さいませ焔の君様」
表情を崩さず言う流沙の君。
「しかし・・・・・・」
アセルトは粘るが、
「しかしも何もありません。もうしばらくの辛抱です。ここでお休みになられたらどうです?この頃まったく休まれずに仕事をやっていたのでしょう。それも病み上がりに」
そう言われてはアセルトは反論できない。アセルトが言葉を詰まらせているのを見て流沙の君は更に言う。
「それに、病み上がりではあまり力が出ません。そして、もう少し心に余裕を持たなければ軍師としてもランクは下がりますぞ」
そう言われては仕方ない。渋々アセルトは諦め鏡の間の控え室で仮眠を取る事にした。
アセルトが控えの間に消えた直後、
パッキィィィイイイン
乾いた音がして流沙の君のタリスマンが何の前触れもなしに割れた。
「・・・・・・不吉な。一体何が・・・・・・」
彼は自らの武器である槍を構えながら辺りを見渡した。
彼らは知らない。その時、レイ=マグナムの中に封じられていた赤眼の魔王が目覚め、ついに降魔戦争が始まってしまった事を・・・・・・








あとがきらしき物体


闇:あはははは、神魔大戦と降魔戦争の間って4000年もあいてるんですよね
焔:まさか最初の宮殿内では時間が引き延ばされるというのは・・・・・・
闇:いや〜時間を考えて無かったですね〜
焔:もう少し頭使え!
煉:無駄だろうこいつには・・・・・・
闇:ひどい言われよう・・・・・・まあいいけどさ
焔:でも今回異様に短いね
闇:仕方ありません。ある事情があります
煉:・・・・・・あれか
焔:アレのことだね
闇:そうそう、アレのことです。という訳でぼろ出さないうちに終わりましょう。それでは今回はこれで・・・・・・

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28980裁きの時闇竜翔 E-mail 2004/1/11 22:46:46
記事番号28979へのコメント

時を越えた思い 裁きの時


「何だと!もう戦いは開始しているだと!?」
アセルトが叫ぶ。
彼が今いる場所は悪夢の王の宮殿だ。
そこで近くにいた召使(実は他の世界の魔神)を捕まえて赤の地がどうなってるかを聞いたのだ。
「ええ、悪夢の王様は邪妖の気配がするとも言われてましたが・・・・・・」
『やはりか・・・・・・』
内心納得しながらアセルトは今まで掴んでいた手を離すと、(彼は襟首を掴んでいたのだ)
「ありがとよ。邪魔したな」
そう言うと共に亜空に消えた。
「えっと・・・・・・なんだったんでしょう」
白の地の魔神、デスフォッグは首をかしげながら帰ってこない答えに頭を悩ました。


「・・・・・・聖域の光、今、邪なるものを現せ」
彼がそう言うと彼の持つ地図に共に突如現れる赤い光。
高速連動魔導式『特定』だ。
「ちっ、やっぱり神族に潜り込んでやがる。って言うかこれってかなりやばくねえか?」
そう言うと共に彼は更に呪文を唱える。
「今、その邪なる者の、命の印、教えたまえ」
そう言うと共に一つの画面が彼の前に現れる。
高速連動魔導式『検索』だ。
彼は出てきた画面を食い入るように見、
「最悪だ」
そう言うと共に頭を抱えた。
現れたのは一つの最上級邪妖の顔。
幻夢の君と呼ばれる存在だ。
実力ならば幻の君と同等であろう。
「不意打ちっきゃねえな」
アセルトはそう言うと立ち上がり足の下を眺めた。
「・・・・・・行くか」
そう言うと共に彼は自らの愛する者の戦場。そして、自らの敵のいる戦場に向かって一気に加速した。


「くっ、何でここはこう抵抗が激しいんだ」
フィアナが後方から力を放出しながら言う。
今フィアナ達がいる場所は水竜王ラグラディアの住む宮殿である。
そこで魔族軍は思わぬ抵抗にあっているのだ。
各場所の水竜王の神殿は壊されているはずなのに宮殿の抵抗が恐ろしいほど強いのだ。
「どーなってるんだまったく・・・・・・」
こんな時でもマイペースに怒るフィアナ。そして、
「な、何だあれは」
突如真後ろから超高速で飛んでくる一つの物体。赤い髪を持つ男。
フィアナに一つの解答が浮かぶが、
「そんなわけ無いな。アセルトがこんな所に・・・・・・」
そこまで呟いた途端、その希望はあっさり砕かれた。
「フィアナ!良かった。まだ突入してなかったんだな」
そう言って地面に降り立つアセルト。
冥王城に仕えている者達は『ああ、またか』と言う表情をしてすぐさま宮殿に向き合ったが、
「何者だ!」
他の者達が知るはずも無い。
あっという間にアセルトは取り囲まれてしまった。
「あの〜」
アセルトが申し訳なさそうに何かを言おうとするがそれを言わす前にフィアナが声を上げる。
「大丈夫だ。敵じゃないことは保証しよう」
『フィアナの恋人です』と言おうとしていたアセルトは舌打ちをしたが、
「・・・・・・そう言われるのなら・・・・・・」
そう言って取り囲んでいた者達はそれぞれの配置についた。
「・・・・・・それで、何をしに来たんだ?」
フィアナが小声で言う。
「・・・・・・ちょっとな」
そうアセルトが言った時、辺りに響き渡る一つの声。
『待ってたぞ』
そして、フィアナとアセルトの回りの空間が歪む。
「強制空間移動!?」
「何だそれは!」
アセルトが驚きの声を上げフィアナがそれに怒鳴るが、怒鳴りあった所で何が変わるわけでもない。
そのまま二人は無理やり空間移動させられた。


着いた場所は見覚えの無い場所。
どこか異空間を思わせるところだ。
そして、目の前には一人の男・・・・・・
「幻夢の君だな」
「いかにも」
アセルトが立ちながら言うとそれをあっさり肯定する幻夢の君。
「幻夢の君とは何だ?」
フィアナがアセルトに聞く。
「幻夢の君。昔は幻の君様と同等の力を持つ親しい妖魔だったけど数億年前に突如邪妖として行方をくらました。そして、今現在邪妖を束ねる存在にまで上り詰めているって事だ」
そう言うと共にラグナログを抜く。
「それで、どうするんだ?アセルト。所詮貴様では私は倒せんぞ」
幻夢の君がそう言うとともに二本の剣を取り出す。
「ちっ」
そう言うと共にフィアナを後ろにかばってアセルトも剣を構える。
そして、幻夢の君はアセルトと対峙し、
「ほう、女性まで戦うとは勇ましい事だな」
そう言った。
「えっ?」
そう言ってアセルトが振り返ると、そこにはレイピアを構えたフィアナの姿が・・・・・・
「フィアナ、あのな〜」
「私も戦う」
フィアナが決意の表情で言う。
「いつまでも守ってもらってばっかりじゃ私じゃないからな」
フィアナはそう言うと共に幻夢の君を睨みつけ、
「絶対倒す」
そのセリフを聞いて幻夢の君はふっと笑い、アセルトは肩を竦め、
「まったく、俺のお姫様はじっとしてられないのかね」
そう言ったが、
「私は守られるだけのお姫様にはならないぞ。自らも戦いつづけるパートナーだ」
そう断言した。
「・・・・・・ふっ、まったく」
そう言うと共にアセルトはもう一度幻夢の君を睨み、
「まあ、ファントム様などに連絡はしてあるからその内来てくれるだろう。それまで持たせればいいだけのことだ」
そう言って一度目を閉じ、
「行くぞ!」
そう言って目を見開いた。


「紅の炎、今永久に!」
高速連動魔導式『煉獄』発動。
アセルトがそう言うと共に炎が立ち上り幻夢の君を飲み込もうとする。しかし、
「無駄だ」
そう一括すると共に幻夢の君は自らの力で霧散させる。それにもめげずアセルトはさらに唱える。
「氷の女帝、氷結の王よ!」
高速連動魔導式『烈氷』発動。
その瞬間、幾つのも氷の塊が幻夢の君に向かって解き放たれる。しかし、それらも幻夢の君によって霧散される。
「効かん、効かんぞ!」
幻夢の君がそう言うがアセルトはさらに呪文を詠唱する。
「荒れ狂え風と雷、今ここに我と汝との契約の元に集え!」
そう唱え終えると共に彼の掌から放たれる恐るべき嵐。しかし、
「そんなもので我を傷つけようなどとは笑止!」
幻夢の君がそう言うと共に自らの力を解放する。
その瞬間、嵐は逆にアセルスとフィアナを襲う。
「ちっ」
アセルトがそう言って防御結界を張る。
その瞬間、フィアナが嵐を回避するような形で幻夢の君をレイピアで吹き飛ばす。
もちろんそんな事をしたら普通の鉄でできているレイピアなどは簡単に折れてしまうだろうがそこは魔族の武器である。
幻夢の君は一瞬の隙を突かれ吹き飛ばされた。そこにアセルトの呪文が畳み込まれる。
「烈雷を表せ!」
高速連動魔導式『アポカリプス』発動。流石の幻夢の君もいきなりの攻撃に体制を崩している最中に純粋な力の塊を食らったのだ。防げるわけが無い。結果、

ドゴオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォン・・・・・・・・・

幻夢の君がいた辺り一面にクレータができた。
しかしアセルトもフィアナもその程度で緊張を解くほど抜けては無い。
すぐさま背中合わせになり戦闘体勢をとる。
そして、
「ぐはっ」
何の前触れもなくフィアナが吹き飛ばされる。やったのはもちろん幻夢の君。
アセルトはそのフィアナが飛んだのと逆の方向に向かって手を突き出し・・・・・・
「滅びをあらわせ!」
高速連動魔導式『ハウレス』発動。
そして、アセルトはフィアナの横に移動する。
「大丈夫かフィアナ?」
「ああ、このくらい平気だ」
フィアナはそう言って起き上がる。
「しかし・・・・・・何処にいるのだ?」
煙が晴れて見晴らしがよくなったが幻夢の君の姿は何処にも無い。
「さあな。まあ亜空からの直接攻撃じゃないってことだけは確かだ」
アセルトはそう言うと共にフィアナに向かい、
「戦女神よ祝福を・・・・・・」
高速連動魔導式『聖鎧』発動。
フィアナの周りに白い光が集う。
「これは?」
フィアナが首をかしげると、すかさずアセルトが説明をする。
「聖鎧っていってそれさえあれば俺ぐらいの力になれる」
そう言った。
正確には呪文詠唱者の力に合わせてその力の加減も変わり、最高でも詠唱者以上の力にはなれないというものである。
まあそれでも結構な力になるが・・・・・・
「高速連動魔導式は使えないけど本来の力が数千倍にはなってると思うから使用には気をつけろよ」
そう言うと共に彼はさらに呪文を唱える。今度はちゃんとしたカオス・ワーズだ。
「光よりなお眩きもの、闇よりなお暗きもの、
混沌の海よ虚ろなりしもの、暗黒なりし断罪者、
我ここに汝に誓う、我ここに汝に望む、
汝の血より生み出されし、焔の心の名において、
我等が前に立ち塞がりし、全ての愚かなる者に、
汝の慈悲と力似て、久しく滅びを与えん事を!」
その瞬間、彼の突き出した手に白銀色の天秤が姿を表す。
その中央に掛かれている紋章は断罪の意味を表すファクトの紋章である。
簡単な話である。
アセルトは自らを作り出した大いなるものの力を召喚したのだ。
天秤という確定している物として・・・・・・
「最後の審判(ラスト・ジャッジ)!」
アセルトが力ある言葉を解き放つと共に風景が一気に変わった。
いや、アストラル界に変わると言う言い方は変かもしれない。
言うならばその雰囲気が変わったというべきであろう。
どう変わったか、それは・・・・・・
「何だと!?」
今まで身を隠していた幻夢の君の姿が現れる。
その身には十三本の細い鎖が戒めている。
否、その場にいる者達の精神の鎖が彼に巻き付いているのである。
その場にはアセルトとフィアナのほかに十人の騎士達が揃っている。
その中にはファントムや流沙の君の姿もある。
「あれは?」
フィアナがアセルトに聞く。
「審判の座。さっきのファクト様の力の結晶によって作り出されたこの空間に罪人、つまり今の場合は幻夢の君をそれぞれの生命の鎖によって束縛してその場にいる十二人の者達によって裁くって言う場所だ」
アセルトがこっそり教える。
もちろん今の彼の格好も少しばかりフィアナが見慣れている格好では無い。
彼が着ているのは鎧だ。
赤い炎のようなショルダーガードに焔をイメージさせるブレスアーマー。
赤いガントレットに朱色の足具。
ラグナログは変わってないが彼の背中には大きな鞘がついている。
額にはサークレットを着け、首には白銀の鎖でできたネックレス。
そして、断罪の一族を表す天秤の印がブレスアーマーに書かれている。
まあ、正装と言ってしまえばそうではあるが・・・・・・
「驚いたな。そんな格好をするとは・・・・・・」
フィアナが呆れ半分関心半分でそう言うが、
「フィアナもかなりの格好してるじゃないか」
アセルトのセリフによってフィアナは自らの格好を見る。
そこには、アセルトと似ている紅の鎧に、金色の髪飾り。
その髪飾りについている小さい宝珠にはあの御方の力の気配がするのは気のせいだろうか・・・・・・
女性に見合った紅色の鎧でフィアナの身体にぴったりフィットしている。
そして、彼女のいつも身に付けているレイピアは少しばかり混沌の力が含まれているようにも感じ取れる。
アセルトはフィアナの姿を見てからすぐさま真剣な表情に戻る。何をするかを思い出したのだ。
彼は顔を幻夢の君に向け、
「我焔の君アセルト。このものを断罪す為十三の裁きを与える!」
そう言うと共に一人目が動き始めた。

続く

########################################
闇:お久しぶりの闇竜です
焔:・・・・・・
闇:ええっと、ちょっとばかり間があいたのは色々忙しかった為です
焔:どー言う風に?
闇:ええっと、三年になったり、部活の方の大会があったりと色々
焔:ふ〜ん、じゃあ、あっちゃこっちゃの小説(色々な系統)読み漁っていたというのは僕の気のせいかな?
闇:ぎくっ
煉:・・・・・・琥珀さんにもかなり迷惑かけてるぞお前
闇:ぎくぎくぎく
焔&煉:・・・・・・(冷たい目線)
闇:ええっと、言い訳は次回に繰り越しって訳でこれにて!
焔&煉:逃がすかばか者――――――!!!!!!

(闇竜が逃走していってその後にラグナログを構えたアセルトとホークスを構えたレンが追いかけていく・・・・・・)

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28981運命の分かれ、選択は二つに一つ闇竜翔 E-mail 2004/1/11 23:19:58
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時を越えた思い 運命の分かれ、選択は二つに一つ


まず一人目は自らの力の鎖を切ると共にすぐさま攻撃にはいる。
「金色の眠り」
その一言共に周りが金色に光爆発するという大きな魔法が叩き込まれる。
と、すぐさま二人目が動き、自らの剣で幻夢の君を切り裂く。
そして、三人目・・・・・・槍のような武器で幻夢の君を突き刺した後すぐさま四人目が呪文を唱え・・・・・・
「風刃の理!」
叩き込む。
いくつもの刃が幻夢の君を切り裂くが彼に回復の時間は与えれない。
五人目が間髪いれずにその斧を振り下ろす。
そして、六人目と七人目が同時に動き、
「天雷の理!」
「逃れれぬ罪!」
二つの呪文が叩き込まれる。
この二人にフィアナも見覚えがあった。
そう、火竜の君ことゼムと水竜の君ことパショカだ。
ゼムが天雷の理を、パショカが逃れれぬ罪を唱えたのだ。
大きな雷の形をした力の結晶といくつもの光の形をした力の塊が幻夢の君に直撃する。
間髪いれずに次の攻撃が彼につきささる。
八人目は弓だった。
闇によって形状された弓の嵐が幻夢の君に突き刺さる。
そして、九人目に引っ張られたのはアセルト・・・・・・
彼はその手に一つの本を取り出し、その本の一説を読み上げる。
「焔の君の名の元に、今永久なる使命を果さん、
 今こそいにしえの封印解き放ちたまえ
 大地の底に眠りし
 赤き心もつ炎達よ
 今一度我が力似て
 すべてを滅ぼす業火の焔と成りたまえ!」
そして、彼は本を閉じ、
「業火の理!」
その瞬間、大地より噴き出したる大いなる炎の塊が一気に幻夢の君に直撃する。
その力ゆえに何時頃か呼ばれつづけていた呪文書・・・・・・神将器フォルブレイス(業火の理)
持ち主は焔の君にして断罪の一族のアセルト・・・・・・
そして、十番目に引っ張られたのは・・・・・・
「えっ?」
フィアナだった・・・・・・


フィアナは突然引っ張られアセルトの隣に導かれた。
そして、その目の前に出てくる一冊の本・・・・・・
黒き本・・・・・・どこから見ても闇に属する本・・・・・・
「ええっと・・・・・・」
フィアナが戸惑う。
当り前であろう。突然引っ張り出されて訳も分からない状況にもってこられたのだから。
しかし、そんな彼女を落ち着ける一つの存在・・・・・・
「大丈夫。第一節を読み上げれば良いだけだから」
アセルトがそう言ってからフィアナの手を取って闇の呪文書を開く。
そして、フィアナの目に飛び込んできたのは一説が黒く光っている文字だった。
暗くでは無いが決して明るくない闇の光・・・・・・
そう、言うならば光であったものが闇に導かれてそこにいるという感じである。
フィアナは一つ深呼吸をした後にその一説を読み上げ始める。
「我は汝に選ばれし者、闇を導く光の心
 今こそいにしえの封印解き放ちたまえ・・・・・・」
その瞬間、幻夢の君の周りの空間が歪んだようにフィアナは見えた。
「天空の底に眠りし
 すべてを飲み込む闇の穴よ
 今一度我が力似て
 すべてを飲み込む、暗黒の楔と成りたまえ!」
その瞬間、一気に闇の筋が特殊な印字を幻夢の君の周りに書き始める。
そして、
「黙示の闇!」
その瞬間、闇の穴が一気に全ての存在を飲みつくさんとするかのように吸い込む。
幻夢の君は吸い込まれなかったまでもかなりのダメージを食らったようだ。
業火の理と同等の力持つ神将器が一つアポカリプス(黙示の闇)・・・・・・そのあまりの強さ、禍々しさゆえに誰一人使おうとしなかった神将器。逆に下手な物ではその力で邪妖に成ってしまうほどの危険があったのだ・・・・・・しかし、ついにアポカリプス自身が持ち主を選び出したのだ。
神将器を使う事・・・・・・それはフィアナ自身は分かってないが事実上妖魔として受け応えらたという事だ。
「くっ、おのれ、おのれ!」
ここに来てようやく声を出す幻夢の君。しかし、裁きはまだ終わってないのだ。
十一人目・・・・・・それは断罪の王にして幻の君ファントム・・・・・・
その手には光を表す一つの呪文書・・・・・・
「幻の君の名の元に、今永久なる使命を果さん、
 今こそいにしえの封印解き放ちたまえ
 宇宙の果てより来たりしもの
 拒絶を表す光の柱よ
 今一度我が力似て
 すべてを裁く、烈光の網となりたまえ!」
ファントムもまた開けていたその呪文書を閉じると共に最後の言葉を発動させる。
「至高の光!」
天上より暖かな光が幻夢の君を包み・・・・・・やがてそれは冷たき一筋の光の線となった。
そして、瞬間的に落ちてきた光の塊に続き幾筋もの光の線がすべてを裁く・・・・・・
これもまたフォルブレイスやアポカリプスと同じ神将器アーリアル(至高の光)。
そして、これら三つにはそれぞれ言い伝えが合った。
業火はすべての不純を焼き尽くし、新しき再生の道を与える。
黙示は何も語らない。拒絶に見えるその闇はすべてをうまく包み込む。
至高はその光によりて祝福するかのように拒絶する。その先にあるのは滅びのみ・・・・・・
理は光を打ち下し、闇は理を飲み込む、光は闇を打ち払い、やがて再び理が光を打ち下す。
伝説ではこう言われている。
ファントムたちはこれをファクトに聞いたのだが、ファクトが作ったのでは無いということのみを知っている。
しかし、彼らは知らない。業火の理、黙示の闇、至高の光・・・・・・この三つが絶火、闇夜、邪眼と呼ばれる三つの統べし者の力から作られたことを・・・・・・
この話はさておき、ファントムがその場所を譲る。
そして、その次に出てきたのは・・・・・・
「毎回思うんだけど何であいつが十二番目なんだ?」
「あいつって?」
フィアナがアセルトに聞く。
アセルトはフィアナのほうを向くとこういった。
「混沌と混沌の間の空間を司る傍観の妖魔、通常流砂の君・・・・・・断罪の一族じゃないのに毎回12番目に入ってるんだ」
そうアセルトが言った時に流砂の君は自らの杖を振り上げた。
その瞬間、その杖自身が光を発し、そして一振りの剣となる。
砂漠の君はそれを2、3回頭の上でまわした後その切り先を、幻夢の君に向けた。
その瞬間、あらゆる力がねじれ、その余波が幻夢の君を襲う。
まあ、余波とは言えどその威力は絶大・・・・・・ただで済むはずは無い。
言葉も出なく、倒れそうになる幻夢の君を引き止めたのは最後の鎖・・・・・・
「来られた・・・・・・」
そう言ってアセルトと他の十人の戦士が跪く。その様子を見て慌てて跪くフィアナ。
鎖の先にいたのは異世界の創造神・・・・・・断罪の主にして絶対者。
「我はファクト。汝に罪を与える」
絶対的な声が響く。
十三人目の戦士・・・・・・それは全ての罪と咎を与える権利をもつもの・・・・・・
名はファクト。混沌を統べるもの・・・・・・


ファクトのもつ一振りの剣が大いなる混沌を飲み込み始める。
『始まりにして終わりの剣』と呼ばれる剣である。
その威力は絶大・・・・・・
一振りにしてその世界を消す事さえできるのである。
そして、それは再生の剣でもある。
『始まりにして終わりの剣』と呼ばれる理由がそこにあるのだ。
その剣はあらゆる命を狩る事もできるし、あらゆる命を創り出す事もできるのだ。
ファクトはそれを正眼に構えると共に鎖を放し、
「行け、剣よ」
その一言と共に剣が飛び、一瞬にしてその場が消滅した。
そう、完全な消滅である。
『始まりにして終わりの剣』・・・・・・その終わりが発動したのだ。
しかし、その場の全ての者達が『見た』剣が幻夢の君に直撃する寸前に幻夢の君は異空間を渡ってその直撃を受けずに姿を消したというのを・・・・・・
「・・・・・・逃がしたか。まあ良い」
ファクトはそう言うと共にアセルト達に背を向け・・・・・・
「後始末はしておく事。それとアセルトとフィアナは少し来い」
そう言うと共にファクトは姿を消した。
「・・・・・・」
残された戦士達は無言で異空間を渡っていく。
そして、ファントムはアセルトに一瞬目配せした後にその姿を異空に渡した。
「・・・・・・じゃあ行こうかフィアナ」
「・・・・・・そうだな」
そう言うと共に二人は空間移動をしてファクトがいるであろう宮殿にその身を飛ばした。


宮殿の謁見の間にファクトはいた。
その前に二人の男女がいる。
もちろんアセルトとフィアナだ。
彼らはファクトの前に立っている。
「まずはフィアナ・・・・・・」
ファクトが声を掛ける。
「突然の事だったから疲れたであろう。ナイトメアとの世界が繋がる鏡の間の接触が少し悪いゆえ少々アセルトの部屋で休むが良い。急な事ゆえに部屋は用意できていないゆえな」
そう言うと共に今度はアセルトの方に顔を向け、
「分かってるな。今現在赤の地での戦闘は激化している。その中でどのようなことが起ころうとも我等は決して手を出さんぞ」
そう言うと共に立ち上がり、
「ご苦労だった。二人とも部屋に戻ってしばらく休め」
そう言うと共にその姿を消した。
アセルトは無言でフィアナを部屋に連れて行く。


『気が狂いそうだ・・・・・・』
部屋で流石に疲れていたのであろうフィアナはすぐさま寝てしまった。
その横でアセルトは一人黙々とグラスを傾けている。
ファクトの言ってる事は一つ・・・・・・フィアナが赤の地に戻ったら次は会えないかも知れないという事だ。
それが指す事は滅び・・・・・・
そして、それを止める方法は・・・・・・
『彼女に俺の血を与える・・・・・・それによる『契約の魂』を樹立させる・・・・・・』
それはフィアナを妖魔にするという意味・・・・・・
それは神将器を扱った事によって彼女が妖魔になるのは別段反発は無いと思われる。
しかし、妖魔の一番の苦しみ・・・・・・それは、半永久的な生・・・・・・それは半分以上辛さの方が大きい・・・・・・
それはアセルト自身が一番良く身に染みて分かってる事なのだ。
『フィアナに同じ苦しみを味わって欲しくない・・・・・・』
『だが、彼女が滅んでしまうのはもっと嫌だ・・・・・・』
二つの対局する意見が彼の心を悩ませる。
時間は刻一刻と迫る・・・・・・
答えは二つに一つ・・・・・・
オールオアナッシング・・・・・・すべてを手に入れるか、或は・・・・・・
そんな言葉が彼の中で回ってるのだ。
『ふざけるな。彼女が選んでも無い道を・・・・・・俺は無理やり決めるのか?』
そう思い頭を抑えれば、
『ならば彼女に許可を貰えばいいだけの話だ』
また最初に逆戻り。

アイシテイルカラ

カノジョニハシアワセニナッテホシイ

ミズカラノココロデ

カノジョガツカメタライイトセツニネガウ

アマリニモアイシスギタカラ

クルシミハアタエタクナイ

そして・・・・・・
ついに彼は答えを出す。
『俺は・・・・・・』


続く


########################################
闇:ってな訳でここで分かれます
煉:何が
闇:ええっと、バットエンドとハッピーエンドに分かれるはずです
煉:はず?
闇:まあ、一応内容は話したくないんで・・・・・・
煉:ふむ、俺のほうもあるのか?
闇:琥珀さんはあるって言ってましたけど・・・・・・
煉:・・・・・・
闇:・・・・・・
煉:・・・・・・
闇:ええっと、話すこと無いんで今回はこれにて・・・・・・
煉:・・・・・・

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28982永遠の花嫁闇竜翔 E-mail 2004/1/11 23:23:16
記事番号28979へのコメント

時を越えた思い 永遠の花嫁


『俺は彼女を妻に迎えたい・・・・・・』
通常『契約の魂』を結んだ相手は上下関係・・・・・・つまり部下か寵姫のどちらかに属される。
そして、妖魔界では通常妻という概念は無い。
まず二つのどちらかに属されてしまうのである。早い話しが一夫多妻のような感じである。
幻の君ファクトや焔の君アセルトと言ったように力があるのに寵姫を持ってないのは妖魔としては珍しいのである。
「彼女の苦しみは大きいかもしれない。それでも・・・・・・」
『それでも、その半分は俺が背負ってやる』
言葉の後半は胸の奥に隠す。だが、今彼女をゆすり起こすのは幾らなんでも可哀想なのでやめているのである。
『業火の理』『黙示の闇』『至高の光』・・・・・・それは魔力が数千倍にも高くなっている断罪の空間でのみ使用可能な魔法である。そして、妖魔だからこそ――膨大な魔力を持った存在であるから――扱いきれるものである。
魔族であるフィアナが使うのは相当な疲労感が残っているはずである。
それも闇の魔法の中でも最上級の魔法である。
下級の魔法を少しずつ覚えていったのでは無いのでよけい疲れていることはアセルトにも予想がつく。
「今しばらく眠りな」
ワインなどを虚空に返し、慈悲の表情を浮かべ、フィアナの髪を自らの手で撫でる。
幸せな時である。
本来、アセルトは戦う事を嫌っていた。
しかし、育ててくれたファントムに追いつきたいという思いから彼も戦いの中に生きるような生活になったのである。
しかし、彼はこの生活を嫌っているわけでは無い。
断罪の君になってなければ異界を旅することなくフィアナに会う事もなかった。
戦いに生きることが無ければ彼女を守ることもできなかった。
なにより、今を生きてなければすべては終わっていたかもしれない。
「後はフィアナが決める事だ・・・・・・そこから後はどうしようもないな」
そう言って彼はひたすら彼女を慈しみの目で見つづけていた。


「う〜んっ」
フィアナが目を覚ます。
しばらく辺りを見渡し、
「おはようフィアナ。目は覚めたか?」
アセルトがフィアナににっこり微笑む。
フィアナはしばらく考え・・・・・・
「そうか、そういえばお前の部屋に泊まってたんだったな」
「おいおい、忘れてたのかよ」
あまりと言っちゃあまりのセリフにアセルトが苦笑する。
それにつられてフィアナも笑う。
二人でしばらく笑い続けた後(表でやったら変人)アセルトは急に真面目な表情になってフィアナに話し出す。
「なあフィアナ。お前は俺の事が好きか?」
「うん?好きだぞ。それにお前がいなければ今ごろ私は自らの命を絶ってるが・・・・・・」
フィアナが当然のようにそう言う。
アセルトは最後のセリフを聞いてふうとため息をつき、
「なら、自らの世界と俺とを比べたらどうする?」
「?どう言うこと?」
フィアナが良く分からないという顔をしてアセルトに聞き返す。
しかし、アセルトは真剣な顔をさらに真剣みをましてフィアナに話し掛ける。
「早い話しが今までお前が住んできた場所を棄てて俺の今住んでる場所にくるか、今住んでる場所に戻って俺と別れるかと聞いてるんだ」
あまりにも静かな言葉、そしてあまりにも過酷な選択・・・・・・
「だから・・・・・・どういう・・・・・・」
頭では理解しながらフィアナは選択の重さに口がうまく回らないのを理解していた。
アセルトはあくまでも静かにフィアナに今を語る。
「悪夢の王様が来てあっちの世界の門が開きお前が向こうの降魔戦争に戻ればお前が生き残る確率は限りなく0に近い。お前が望んでいた滅びが待ってるだろう。だが俺はお前に滅んで欲しくない」
そこまで言って一息つく。
「だからこの世界に残って俺と共にいるか向こうの世界に戻っていってしまうか選んでくれ。・・・・・・ただ、俺はお前と共に永久に生きたい」
そこまで言ってアセルトは黙る。
この言葉はアセルトにとってプロポーズである事は普通に考えても分かる事である。
フィアナはしばらく黙った後・・・・・・突如涙を流してアセルトから離れる。
これは拒絶したのでは無い。
嬉しいのと驚いたのと他にも色々な感情が混ざり混ざってこうなったのである。
しかし、アセルトにとってはこういう場面での涙は拒絶としか映らない。
「はは・・・・・・ごめんな。そうだよな、そんなに都合よく行く訳無いよな。ごめん、忘れてくれ、俺が悪かった」
そういって立ち上がろうとするアセルトにフィアナは手を伸ばし、

バシッ

結構痛い音がしてアセルトの頬に真っ赤な紅葉ができる。
「・・・何考えて言ってるんだか知らないけど・・・・・・私は別に嫌って言った訳じゃ無いよ?」
フィアナの台詞に、アセルトは再び目線をフィアナに戻す。
「ただ、いきなり言われて少し・・・・・・いや、ものすごく驚いただけ・・・・・・」
そのフィアナの台詞にアセルトは負けたような笑みを浮かべ・・・・・・
「参ったな。やっぱり俺じゃ君にかなわないな」
そう言って、彼はフィアナを抱きしめたのだった。


その後、しばらくしてからアセルトはフィアナの血を吸い、自らの魂と血をフィアナに入れることで『契約の魂』を成立させた。
フィアナはその時だけ目が紫になったが、アセルトの力が元々強かったのですぐさま体に起きた変化は消えた。
その後、フィアナはアセルトに自分に押された烙印が消えるかどうか聞いた。
「その場所を見てみないとわからないけど・・・・・・」
そう言いながらアセルトはその場所を見て、
「ああ、これならどうにかなるね。この部分の魂ごと時間を烙印を押される前まで戻してその後に烙印がないまま再生させれば良いんだ。まあ、妖魔の血が再生はやってくれるから実質は時間を戻すだけだね」
そう言ってアセルトは呪文を紡ぎだす。
「混沌に眠りし・時紡ぐきまぐれの女神よ・今焔の君の名において・古の契約の元・その義務を果たせ・我が望みし・時の流れ・逆より流れ・今再び元に戻さん!」
そう言って、アセルトは言葉を一旦区切り、
「時間逆流(タイムワープ)」
その直後、フィアナのその部分だけ皮膚がどんどん元に戻り、そして烙印が消えた。
烙印が消えると同時にフィアナの中の妖魔の血が皮膚を周りとあわせるために再生し始める。
そして、たった数秒間でフィアナを長いこと苦しめていた傷は消え去った。
「さっと、これで終わりっと。ってフィアナ!どうしたの!?」
「ごめん。でも少しこうさせて」
突然抱きついて泣き出したフィアナをアセルトは無言で受け入れたのだった。


数年後・・・・・・
いつもどおり朝起きたら妖魔界新聞がポストに入っているのをフィアナはとった。
その新聞の端から一枚の紙が落ちたのに気づいたのはアセルト。
内容はなぜかファクト様の暇つぶしのためのアンケート。
「なになに、生まれ変わっても今の恋人と結ばれたいか?」
「YES!」
フィアナの問いに0,001秒ぐらいの即答でアセルトが答える。そして、
「フィアナは?生まれ変わっても今の恋人といたい?」
アセルトの何気ない―――だが本心は見え見えである―――答え。
「・・・・・・(間)・・・・・・うん(ハート)」
「ねえフィアナ、今の(間)は一体?」
「ははははは、いちいちそんなことを気にしてたら生きてられないよ」
「・・・・・・フィアナ」
「あ、あはははは」
その後、二人はしばらく止まっていたという・・・・・・


さらに数百年後・・・・・・
「ははははは、父さんこれくれるの?」
「ああ、母さんと父さんの力で創ったレイピアだ。強いぞ・・・・・・たぶん」
『アセルト様!これでも意思持つ剣なんですから強いですよ!』
「け、剣がしゃべった」
一人の少女と父親らしき者が話をしている。
まあ、語ってる内容が剣のことだから珍しいといえば珍しいが・・・・・・
「確かにそれを作った後、しばらく倒れかけたから・・・・・・相当な力はあるはずよ」
突如虚空から出現する一人の女・・・・・・フィアナである。
「まあね。フィアナの闇魔法と俺の理魔法に2人の妖魔法を組み合わせて作ったから・・・・・・普通の妖魔以上の力はあるな」
いまだ変わらない父親らしき者・・・・・・アセルトがそういって頭をぽりぽりかく。
「ありがと、父さん。母さん!」
そういって笑う少女の・・・・・・アセルトとフィアナの愛娘である。その名をセルティアナと言う。アセルトとフィアナが『血の契約』を交わしてから数十年後(結構時間がかかった)セルティアナが生まれたのだ。まあ、生まれてからもいくつかどたばたがあったのだが・・・・・・
「それじゃ、あまりミレーデを待たせたらいけないでしょう。行ってきなさい」
「ガーディアン、頼んだぞ」
「はい、母さん!」
『分かりました。焔の君様、焔の花嫁様!』
二人に挨拶してセルティアナは虚空に己の剣とともに消えた。
「・・・・・・行ったな」
「ああ、そうだな」
二人がそうしみじみと言いながら愛娘の旅立ちを見送った。
「しっかし、あっという間だったな。セルティが大きくなるまでに・・・・・・」
「まあ、仕方ないな。ティアナは私に似て美人だから・・・・・・」
微妙に話が噛み合ってないようにも感じるが、そこはご愛嬌。
「さて、しばらく二人っきりだなフィアナ」
「ああ・・・・・・アセルト、何を考えてる」
なんとなくいやな予感を感じてフィアナがアセルトの方を振り向いたときには、時すでに遅し、
「それじゃ、家に戻ろう(ハート)」
「こ、こら!抱き抱えるな!」
フィアナをらくらくと抱き抱えて(俗に言うお姫様抱っこ)アセルトはるんるんと虚空に消えた。もちろん、フィアナが何かを言おうとしていたが、それはすでに聞こえなくなっていた。


「セルティ遅い!」
「ごめんねミレーデ」
突如虚空から現れたセルティアナにミレーデと呼ばれた少女が顔を膨らませる。
「あっ、フィオロも居たんだ」
「・・・・・・ああ、父からセルティとミレーデの二人旅じゃ危険だからって僕も付いていくことにしたんだ。確かにセルティは『高速連動魔道式』持ってるし、ミレーデのあの馬鹿力から繰り出される一撃は強力だと思うんだけどね」
「なによ!その馬鹿力って!ただ、あんたの力が弱いだけじゃない!」
「ふん、僕はミレーデと違ってデリケートなんだ。『時魔法』を使うのは恐ろしいぐらい魔力の消費が激しいからね」
「な、私の影魔法だって比べ物にならないわよ!」
「えっと・・・・・・どうでも良いけど出発しない?二人とも・・・・・・」
セルティアナの遠慮深い声で二人の喧嘩(毎度のこと)は一時中断となったのだった。
「じゃあ、最初はどこに行くんだ?セルティ」
「う〜ん、風の吹くまま、気の向くままってことで・・・・・・」
「・・・・・・セルティ、それで前に邪妖と戦って危なく死に掛けたの忘れたの?」
そうなんとも普通の会話をしながら三人はフラフラと歩き始めたのだった。
風の吹くまま、気の向くまま・・・・・・今自分達がどこにいるのかさえ理解せずに・・・・・・
「まあ、どうにかなるよ・・・・・・多分」
「・・・・・・はあ、まあ良い」
「まあ、確かにどうにかはなるわね」
そんな気楽な会話を続けながら・・・・・・
「行こっ!」
セルティアナの旅・・・・・・は始まったばかり。

追記 この数年後、焔の君アセルトはレンと名乗る一人の不思議な青年に出会う。




後書き

闇:いや〜、一体何ヶ月かかったかな〜
焔:・・・・・・で?最後はどうなったの?
闇:う〜ん、この後はまた違うときにってことで・・・・・・
焔:なんでこんなに遅くなったの?
闇:もろ期末が重なりました。ってか成績やばかったので・・・・・・
焔:日ごろの勉強してなかったのが祟ったね
闇:あう〜・・・・・・ってこんな風にいつも通りだらだらと終わっていいわけがない!
焔:・・・・・・ちっ、気づいたか
闇:・・・・・・さて!気を取り直して!今まで結構(かなり)長い間この物語に付き合ってくれた方(居られるのか?)本当―――にありがとうございました
焔:どうやらまたあほなことを考えてはいるようであるけどこれで一応アセルトとフィアナの最初の章は終わりということらしいです
闇:まあ、折角できたんだし・・・・・・終わらすの勿体無いって琥珀さんも言っておられるし
焔:何より自分は?
闇:もちろん、許可さえあれば続ける予定・・・・・・というわけで、一応ここで終わりとは言いますが別段本当に終わらす気はないというわけです
焔:とまあ、結構長く後書きを書いたところで今回はここら辺にするか?
闇:そーですね。それでは、再び皆様と再び出会える日を祈りつつ・・・・・・
焔:いつか会えるとそう思いつつ・・・・・・
闇&焔:さようなら〜