◆−ガウリナー。−時水夜 氷沙梓 (2004/2/20 21:51:31) No.29393
 ┗Re:ガウリナー。−capella (2004/2/22 07:21:43) No.29405


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29393ガウリナー。時水夜 氷沙梓 2004/2/20 21:51:31



 涙が出るほど、それはきれいだった。


「・・・ね、ガウリイ」
「ん?」
「『この世で一番きれいなもの』って何だと思う?」
「・・・どうしたいきなり」
「や、別に。」
 生き物の眠る夜の森で。
 彼女が聞いたのは些細な質問。
「リナもさ、最近変わったよな」
「は?」
「受け入れる器がでっかくなったっていうか」
「・・・何それ」
「昔のリナじゃ、そんな事絶対聞かない。」
「言い切れるの?」
「何年連れ添ってると思ってる」
「逆に失礼よ!」
「あはは」
 些細な質問。
 答えは。
「で、何だと思う?」
「え?」
「だから『この世で一番きれいなもの』!あんたはホント変わんないんだから!」
「あーあーそれか。」
「・・・・・・」
「そうだなー。」
 楽しそうに笑いながら。
 彼は。
「・・・『リナ』でもいいんだけど?」
「蹴るわよ?」
 そう言った彼女の顔は赤く。
「何だ不満か?」
「別に・・・不満じゃないんだけどさ・・・」
「じゃあリナ。」
「ぅあ?」
「寝よう!!」
「はっ????」
「明日、教えてやるよ」
「何を?」
「『世界で一番きれいなもの』」




 生き物の声が再び地に響き。
 世界は夜明けを迎え。
 彼らは。
「リナ、起〜き〜ろ〜」
「ん〜〜?」
「教えてやるよ。きれいなもの」
 そう彼女の耳元で言って。
 挨拶代わりに彼女の額にキスをする。
「早くしないと見れないから」
「待って荷物・・・」
「後からまた戻ってくる」
「・・・で、どこ行くの?」
「そのことなんだけどさ」
「何?」
「オレをあこまで連れてってよ」
 彼が指さしたのは。
 森の中でもそれでも目立つ。
 巨大な樹木。
「オレも魔法使えたらいいんだけどな〜」
「いいわよ、魔道士なんて私だけで。天才だし?」
「うん、そこは変わんないな。」
「うっさい!」
 そして降り立つ。
 巨木の上部の枝(幹と言ったほうがいいぐらい太い)。
 空は白んで。
「ねぇ」
「ん?」
「きれいなものって?」
「まぁ見てろよ」
 二人は腰を下ろして。
 暖まらない二人の体にブランケットをかけ。
「・・・ほら」
 東の空。
 紫がかったそらが次第に色を明るくし。
 雲一つない空に。
「・・・・・・」
 雲一つない空に。
 朝が、生まれる。
 太陽が昇る。
 涙が出るほど、それはきれいだった。
「どうだリナ?」
「・・・きれい」
 彼女は笑った。
「久し振りよ、こんなのゆっくり見るなんて」
 穏やかな表情だった。
「オレの思う『世界で一番きれいなもの』は」
「何?」
「『世界』かな。」
「・・・自分で言うのもなんだけどさ」
「ん?」
「・・・『私』は?」
「リナはさ・・・」
 彼女の首筋に手を回して。
 そのまま彼女の顔を引き寄せて。
「『きれい』なだけじゃ足りないかな。」
「何それ」
「『強い』し『怖い』し『意地っ張り』だし『大食い』だしそれに―――」
「あんた意外と言いたい放題ね・・・」
「それに、『世界で一番好き』で『世界で一番大事』かな」
「・・・・・・・・・」
 太陽は、世界に朝を知らせる。
 渡り鳥は、再び太陽へと向かう。
 限りなく続く世界と時間へと。
「あんた・・・恥ずかしい人間だわ」
「でも本音だぞ」
「・・・そう」
 彼女の顔は穏やかで。穏やかで。
「なぁリナ」
「何?」
「キスしていい?」
「・・・・・・ばぁか」


  涙が出るほどきれいな景色も。
  多分。
  私には勝てない。
  なんて事を今だけ本気で思えた。





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 初めましてー!
 って言った方が早いのでそうします。
 実はちょっと古株、ときみやです。
 瞬間的にテーマだけ思いついて後はその時思った感じで書いてみました。
 まぁいわゆる・・・何だ・・・思いつき小説・・・みたいな。苦笑
 ガウリナが一番ナチュラルに書ける(と自分で思いたい)ネタなんで。
 好きです。
 
 何年か振りに書いたんですが。
 たぶんまた1年ぐらいは書かないかと思われるんで・・・たはー。
 私の書いた小説は、過去ログの16〜24らへんでゴロゴロしてる(はず)なんで良かったら(あつかましい!)。
 それではアディオス!

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29405Re:ガウリナー。capella 2004/2/22 07:21:43
記事番号29393へのコメント

 初めまして。カペラと申します。実は今まで時水夜様の作品を何度か読ませて頂いた事がありどれも素敵ですごく好きだったので、また此処で読めて嬉しくて仕方有りません。ホントにもー、ウェルカム カムバック!ってな気分です。今回の作品は、ガウリナなんですね。(殆どが)二人の会話だけなのに、彼等の自然な雰囲気が感じられてよかったです。幾分書き方が変わった気がしますが、時水夜様の感性がよく出ていて(着目する辺りだとか)、私は好きです。
 今は学生業で忙しいのでしょうか?身体にだけは気をつけてくださいね。そして、たまには文章創ってくれると嬉しいです。