◆−チルドレン 第一章:四話−○かほ○ (2004/3/11 20:33:11) No.29595 ┣チルドレン 第一章:五話−○かほ○ (2004/3/13 17:00:30) No.29604 ┣チルドレン 第一章:六話−○かほ○ (2004/3/26 21:03:54) No.29709 ┗チルドレン 第一章:七話−○かほ○ (2004/3/31 18:54:25) No.29736
29595 | チルドレン 第一章:四話 | ○かほ○ | 2004/3/11 20:33:11 |
−街道− 「へへっ、お嬢ちゃん達、命が惜しかったら金だし―――」 ぱちんっ。 辺りを森に囲まれた静かな街道。 茂みの中からぞろぞろといきなり現れた男達。 もちろん盗賊さん達である。 その頭らしき人の言葉を遮って、エルツの指の音が鳴った。 …………ばたっ。 途端にばたばたと倒れていく男達。 それと同時に安らかな寝息も聞こえてくる。 「…すごい!」 「…ありがとう。」 目を輝かせるミナ。 本日何度目かのこの言葉。 エルツは、曖昧な表情をしながら御礼を言った。 ――と、言っても表情などあまり見えないのだが……。 彼女は、フ−ドを目深にかぶっている。 顔は、ほとんど隠れているのだ。 二人が出会ってから、早三日目の朝である。 ゼフィ−リアへと続く街道。 なかなか静かな人通りの少ない街道なのだが……。 これまた、盗賊さんがでるわでるわうじゃうじゃと。 今回で、もう軽く2桁はいっているであろう。 にしても――― 「にしても、あの盗賊さん達、あのままほったらかしといていいの?」 歩きながら、先ほど盗賊達を眠らせた場所を振り返りながら問うミナ。 もう小さくしか、盗賊達の姿は見えない。 ミナは、ずっと疑問に思っていた。 根性のひねくれた盗賊達をあのままにしといていいのかを。 起きれば、また通りかかる人達を襲うだろうし、 寝てたら寝てたで、通行人は、これまたビックリするだろう。 「いいの?」 隣を歩くエルツを見上げながらまたもや聞くミナ。 エルツは、ミナの方を向くと、真面目顔で言った。 「大丈夫、辺りの木々の栄養になるから。」 ……………………………… 「へぇ〜。」 最近ほとんどこんな感じだ。 エルツは――――以外ときつい冗談を言う。 「………はぁ。」 町に着く頃には、日が暮れていた。 宿屋の一室。 エルツは、ベッドに寝っ転がりながらため息をついた。 あと、10日もすればゼフィ−リアに着く。 「あと………10日……。」 「…………ん…。」 窓から差し込む月明かりで目が覚めた。 いつの間にか眠っていたようだ。 「ふ………あ………。」 軽く、あくびと伸びをする。 「……………ん?」 顔を横下に向けると、ベッドの横のテ−ブルに夕飯が置いてあった。 サラダにポタ−ジュとカレ−。 多分ミナが持ってきてくれていたのだろう…。 「起こしてくれても良かったのに…。」 呟いた刹那。 「――――――!」 ぞくっ。 背中に走る寒気。 どうしようもないほどの恐怖感。 宿に面した森。 その中から最悪の気配を感じた。 −続く− −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 眠いので!さようなら! ○:久しぶりに書いたと思ったら… ●:まったく… では! |
29604 | チルドレン 第一章:五話 | ○かほ○ | 2004/3/13 17:00:30 |
記事番号29595へのコメント −二人のL2− どくん。 心臓の音が鳴る。 息が苦しい。 身体のふるえが止まらない。 「…う……。」 吐き気。 めまいがする。 「……う…………!」 拳に力がこもる。 ――が、次の瞬間退いた。 途端に体中の力が抜けていくのを感じた。 身体が浮いている感じ。 ぼんっと背中にベッドが当たる感じがする。 覚えているのはそこまでだった―――。 頭の奥で声がする。 昔の夢を見た。 ――――困ったわねぇ…。 どうしました?L様。 このごろL2が手に負えないわ。 あぁ、そのことですか…。 あの子は強すぎる…。 えぇ…。 私じゃ…、止めきれない…。 ………L1様は? L1は神族よ?L2は、魔族…。あの子の愛とやらに殺されちゃうわ。殺したくはない。止めたいだけ。 …………なら…、 ――――新しく創ればいいじゃないですか。 ――――――――しばしの月日…… 混沌の世界。 立派な、ギリシャ神話にでてきそうな建物。 その建物の一室。 光度が高い、明るすぎる部屋。 部屋の中には、机が一個あるだけで他は、何もない。 真っ白な部屋。 部屋の真ん中にある机の上には、綺麗な少女が眠っているように横たわっている。 不意に、少女がゆっくりと目を開けた。 寝たまま、辺りを瞳を動かして伺い。 そのままゆっくりと起きあがる。 「できたわ!」 その時、虚空からいきなり女性が現れた。 綺麗な金髪の女性。 「あら、L様にそっくり。」 またもや虚空で声がして、もう一人女性が現れた。 肌と髪の色が黒い、金髪の女性にはほど遠いが、これまた綺麗な女性。 「そりゃ、あたしの子ですもの。」 とても綺麗な一人の少女。 その顔を、見つめる2人の女性。 少女は、何も分からず目をぱちくりして、二人の女性を見つめている。 「あのね、私はあなたのお母さんよ。」 にっこり笑って話しかける一人の女性。 少女は、首を傾げる。 「…かあ……さん?」 「そう!で、あなたの名前はねぇ―――」 「もう、考えてたんですか?L様。」 話を中断されて、少し不機嫌そうな顔になるL様。 「もちろんよ!」 言うと、すぐさま少女の方に顔をもどし、にっこりと笑う。 「…で、あなたの名前はね――――――――――――――――――――L2よv」 −続く− −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− L2とL2、読み方の違いですね。 すみません、時間がないんで。 |
29709 | チルドレン 第一章:六話 | ○かほ○ | 2004/3/26 21:03:54 |
記事番号29595へのコメント 「―――ん…」 ごろん。 ずる…どさっ! …………… 「―――痛…」 ぱか、と目を開けるエルツ。 天井が少し遠く見える。 ベッドから落ちたみたいだ。 小鳥のさえずりも聞こえてくる。 「………朝。」 仰向けになったまま、天井をみつめた。 昨晩のことが思い出される。 夢を見た。 自分が生まれたときの夢を見た。 どこから夢だったのだろうか――。 「…森からの気配……、あれも夢――?」 言いながら、むくりと起きあがる。 ふと、テ−ブルの上に目がいった。 手を全くつけていない料理。 「…料理が同じ…」 夢と現実の料理が同じなわけないか…。 夢――じゃない。 なら森の気配――あれも――… とんとん。 「!」 エルツの思考を中断し、 ふいに、扉の音がなった。 がちゃ。 扉が少し開く。 そこから、ひょこ、と顔を覗かせる少女。 「エルツ、起きたぁ?」 「…ミナ。」 「早く、出発しよっ」 にっこりと笑うミナ。 ――ゼフィ−リアまであと9日。 盗賊さん達がうじゃうじゃと出る昼下がり。 やっぱり森行く静かな街道。 「お嬢ちゃん達、命が惜しかったら有り金全部渡してもらおうか…。」 やっぱり出てきた男達。 これで何回目だろうか…。 いつもなら、ここでエルツが指を鳴らして、眠り出すのだが――…。 今日は、盗賊さん達眠るタイミングがやたらと遅い。 なぜなら――… 「………」 「エルツ、エルツ」 エルツの服の端をくいくい引っ張るミナ。 今回で何度目だろうか、 「………」 しかし、反応はない。 「エルツ!」 「ん!あ?何?」 「盗賊さん達。」 「…あぁ……」 やっと、気づくエルツ。 今日は、ずっとこんな感じだ。 エルツの顔をのぞき込むミナ。 「大丈夫?何か今日へんだよ」 「………」 「ぼ−−っ、としてて…って、ほら!」 「………ん?何?」 「………」 これは、今回初めてだ。 思わず絶句するミナ。 ここまで、呆けてくるとは…。 どんどん悪化してきているような気がするミナだった。 「ホント大丈夫?あ、熱でもあるんじゃ――…」 言って、エルツの額に手を伸ばしたその時、 「いつまでも無視してんじゃねぇ!!」 しびれをきらした盗賊その1が剣を抜いて、突っ込んできた。 「!エルツ!!」 エルツの肩をがくがくと揺さぶるミナ。 が、 「………」 反応無し。 「!!!」 完全にからっぽだ! 目が死んでる! どうしよう! 「うおおおおおお!」 そうしている間にも盗賊その1は迫ってきている。 「!エルツぅ!!!!」 「………」 「―――!」 ―――ヤバイ! 剣が、振り下ろされた。 −続く− |
29736 | チルドレン 第一章:七話 | ○かほ○ | 2004/3/31 18:54:25 |
記事番号29595へのコメント −使命− ――エルツ様、今日はお兄様がいらっしゃいますよ。 エルツが創られた翌日。 エルツは、黒のシンプルなワンピ−スを着て、混沌の城の大広間にいた。 大きな円柱形の柱が何本も玉座へと続く紅いカ−ペットにそって並んでいる。 その柱の一本によりかかり、エルツは深いため息をついた。 「…L様。」 「何?」 エルツから少し離れた所にある玉座。 黒い女性はエルツの方を見つめながら、玉座の椅子に座る金髪美女に話しかけた。 にっこりと、言葉を返す金髪美女。 黒い女性は反対に、冷たい眼差しを金髪美女に向ける。 「創った直後に、あの事…エルツ様に言いましたね?」 「そうよ?」 「………っ」 「自分が創られた理由くらい知ってたほうがいいでしょ?」 歯をぎり、と噛みしめる黒い女性とは裏腹にしれっ、と返す金髪美女。 またにっこりと笑う。 拳を握りしめる黒い女性。 「いくら何でも早すぎでは……!あの子はまだ産まれたばかりなんですよ!?」 「…だってエルワン達、今日来るって言うんだもん。」 「また今度来るときでいいじゃないですか! まだあの子は…楽しいことも何もかも一度たりともしたり感じたりしたことがないんですよ!? 母親という存在すら何なのか知らない…」 「わたしでしょ?」 「…っ!」 神族はダメだ。 あの子を殺してしまう。 竜族もダメ。 力不足。 エルフ族もダメ。 かよわすぎる。 魔族――…。 そうだ、魔族を止められるのは魔族! 魔族にしましょう! 名前は――、L2(エルニ)の為の存在なんだからL2(エルツ)! 「あなたの名前はね―――――エルツよv 滅びるまでずっと、エルニのために―――――――」 −続く− |