◆−異邦の彼方より (23)−棒太郎 (2004/3/22 11:36:47) No.29668 ┣因縁が絡み合ってますね−エモーション (2004/3/23 00:33:37) No.29672 ┃┗ようやく核心部分が−棒太郎 (2004/3/23 11:20:48) No.29673 ┣異邦の彼方より (24)−棒太郎 (2004/3/23 18:14:40) No.29675 ┃┗新たな舞台の登場ですね−エモーション (2004/3/23 22:08:51) No.29677 ┃ ┗ようやくここまで来ました−棒太郎 (2004/3/23 23:07:20) No.29678 ┣異邦の彼方より (25)−棒太郎 (2004/3/24 00:33:22) No.29681 ┃┗超時空要塞……(笑)−エモーション (2004/3/24 22:12:41) No.29692 ┃ ┗ヤック・デカルチャ−棒太郎 (2004/3/25 22:12:22) No.29702 ┣異邦の彼方より (26)−棒太郎 (2004/3/30 17:36:28) No.29723 ┃┣Re:異邦の彼方より (26)−エモーション (2004/3/31 00:30:25) No.29728 ┃┃┗皆、キレてます−棒太郎 (2004/4/3 00:36:05) No.29753 ┃┗Re:異邦の彼方より (26)−ハイドラント (2004/4/3 14:40:26) No.29754 ┃ ┗お久しぶりです−棒太郎 (2004/4/3 22:29:02) No.29761 ┣異邦の彼方より (27)−棒太郎 (2004/4/8 15:28:58) No.29794 ┃┗脳内イメージ映像:ぱ○えんアタック(絶対違う)−エモーション (2004/4/8 22:48:53) No.29796 ┃ ┗落ちものゲーはテト○スどまり・・・・・・−棒太郎 (2004/4/9 22:34:47) No.29798 ┗異邦の彼方より (28)−棒太郎 (2004/4/10 01:25:29) No.29799 ┗悪人顔(笑)の陰陽師を呼びましょう−エモーション (2004/4/10 22:29:56) No.29806 ┗「よみがえれ、将○ーっ!!」(BY 加藤保憲)−棒太郎 (2004/4/11 23:40:36) NEW No.29811
29668 | 異邦の彼方より (23) | 棒太郎 | 2004/3/22 11:36:47 |
こんにちは、棒太郎です。 しばらくぶりの続きでございます。 それでは、どうぞ。 ************************************* 『異邦の彼方より』 (23) ――地獄を信ずるが故に天国を信じ始めた。だが、長い間親しく心に思い描くことができるのは地獄だけだった―― グレアム・グリーン 『掟なき道』 「ふっ、どうした?それだけ雁首そろえて、ひと一人殺れないのか?」 剣を正眼に構えながら、ゴットフリードは目の前の黒狩人に嘲笑を向けた。 ゴットフリードの身にも、細かな傷が幾つもついているが、致命傷となるようなものはなかった。 単に技術の差だけなら向こうの方が上であろうが、気迫という点ではゴットフリードの方が上であった。 「アメリア様・・・・・・・我々はもう歩み寄ることはできませんな・・・・・・・・・」 「そんな・・・・・・・・ゴットフリードさん・・・・・・・・」 ゴットフリードの言葉に、アメリアの顔が悲嘆にくれる。 「アメリアッ!!」 そのとき、部屋の中にゼルガディスが飛び込んできた。 そして、そのまま刃は黒狩人を切り裂いた。 「ゼルガディスさんっ!!」 「ふむ・・・・・・ナイトの登場か・・・・・・・・」 ゴットフリードは刃を地面に垂らし、ゼルガディスに目を向けた。 「ゼルガディス殿・・・・・・アメリア様を連れて早いところ、ここから出るんだ。最早幕は切って落とされた」 「もう・・・・・どうにもならないのか?」 「・・・・・・・・・・・・・」 「ゴットフリードさん!まだ・・・・・まだ道はあるはずです!」 「いえ・・・・・道はもうこれしかないのですよ・・・・・・・」 そう言い、手にしたプレートを握り締める。 「私とて・・・・・・・・・堪えてきたのです。しかし、中央は何も理解しようとせず、何も変わらない・・・・・・・貴女の御母上の想いを踏みにじっても・・・・・・・」 「館のほうはどうなった?」 残った兵をまとめ、アルベルトは状況を確認しようとした。 黒狩人まで動くことは、彼でさえも知らなかった。 (バルトロメオ様・・・・・何故・・・・・・・) 上司への疑問が頭に浮かんだ時、 「隊長!」 兵士の一人が慌しく駆け寄ってきた。 「どうした?」 兵士が何かを告げようとしたとき、館へ向かう大通りから馬に乗った人影がやって来た。 それを見た瞬間、アルベルトの顔に驚愕の表情が浮かんだ。 「あ、あなた様は――――!?」 「母さんの想い・・・・・?ゴットフリードさん、それは―――」 だが、ゴットフリードは哀しげな微笑を浮かべるのみで、何も語らなかった。 「さあ、行ってください。アメリア様。最早私は反逆者です。」 だが、二人は動かなかった。 そして、ゼルガディスは静かに剣を構えた。 「なにを―――?」 「俺には国家がどうのなんて関係ないが・・・・・・・・目の前にいる大バカ者を無視するほど、人間は腐っちゃいないんでね」 「・・・・・・地獄に堕ちることなど、とっくの昔に覚悟は決めている。例え永劫に、地獄の業火に灼かれようとも、私の意志は揺るがぬ」 ゴットフリードも静かに剣を構える。 「力ずくで悪いが・・・・・・・止めるぞ」 「やれるものならな!」 火花を飛び散らせて刃がぶつかり合った。 (この男・・・・・やるな) ゴットフリードの剣の腕に、ゼルガディスは正直感嘆した。 (ぼっちゃん剣法じゃない、何度か実戦を経験した剣だ。だが―――) 潜った修羅場の数なら、ゼルガディスのほうが遥かに上である。負ける相手ではなかった。 「くっ!?」 ゼルガディスの剣がゴットフリードを押しはじめた。 「おのれっ!」 一旦二人は大きく離れ、そして再びぶつかり合おうとしたとき――― 「そこまでっ!!!」 突如、大音声が響き渡った。 「なっ!?」 「!?」 何事かと二人が振り返るや、驚きに目を見開いた。 「あ、あなた様は―――」 「な―――」 「と、父さん―――!?」 そこにはアメリアの父、フィリオネルがいた。 「フィ、フィリオネル王子・・・・・・・何故・・・・・・・」 ゴットフリードは半ば呆然とした表情を見せている。 「アーデンハイル卿・・・・・・」 静かにフィリオネルが言葉を紡ぎだした。 「何故そのようなことを・・・・・・・?責められるならまずこのワシが真っ先に責められるべきであろう?」 「・・・・・・・・いえ、あなた様は今でもあの御方との約束を果たそうとしてらっしゃることは分かっています」 「では何故―――?」 「私も・・・・・あなた様を信じて、これまで堪えてきました。しかし、周りの連中は何も変わりはしない。これではアルティシア様は犬死ではありませんか!」 ゴットフリードの叫びに、フィリオネルは沈黙したままだった。 「父さん・・・・・一体何が――――」 アメリアが父に問いかけた。 じっとアメリアの顔を見つめていたフィリオネルはやがて静かに語り始めた。 「アメリア・・・・・・アルティシアは―――お前の母は・・・・・旧王家の血を引く最後の末裔だったのだ・・・・・・」 「え―――」 「あれはちょうど、私たちの婚約が決まった時期だった―――」 X年前―――アーデンハイル邸 『フィリオネル王子・・・・・一体何事でしょうか?王子自らがこちらにおいでになるとは・・・・・』 思わぬ来訪者に、その当時まだ領主であったゴットフリードの父、先代アーデンハイル卿は困惑と驚きを浮かべていた。 それは同席したゴットフリード少年も同じであった。 『実は卿に会いたい、とアルティシアが言っておるのだ』 『アルティシア?ああ、王子の御妃となられる御方でしたな。いかし、何ゆえ私どもに―――?』 そのとき、一人の女性が部屋の中に入ってきた。 『初めまして、アーデンハイル卿。アルティシアでございます』 『これは畏れ入ります。私がヴェルトナード=ギル=アーデンハイルです。こちらが息子のゴットフリードです』 『ゴットフリードでございます』 ヴェルトナードとゴットフリードが挨拶を済ませると、アルティシアはひとつの巻物を取り出し、ヴェルトナードに手渡した。 『これを・・・・・私の家に代々密かに伝えられてきたものです』 受け取った巻物を広げたヴェルトナードは、すぐに驚きの色を浮かべた。 『こ、これは・・・・・・まさか―――!?』 『父上・・・・・・これは・・・・・・』 『ア、アルティシア様・・・・・・・あなた様も旧王家の末裔―――それも主家筋に当たられるとは・・・・・・この血筋はあの忌まわしき事件のときに絶えたとばかり・・・・・・・』 ヴェルトナードとゴットフリードは、驚きと興奮に包まれた。 『なんということだ・・・・・旧王家の再興が・・・・・・これほど目の前に・・・・・・』 感極まった声を上げるヴェルトナードだったが、アルティシアは静かに言った。 『申し訳ありませんが・・・・・・アーデンハイル卿。私は・・・・・旧王家の再興を第一に願っているわけではありません』 『なんですとっ!?』 『全く願っていない、というわけではありません。しかし、私はまず長きに渡り縛り続けている憎しみの鎖を断ち切りたいのです』 『何を仰います!現王家が旧王家にしたこと、知らないわけではありますまい!』 興奮し、机を激しく叩きながらヴェルトナードは叫んだ。 『勿論、知っています。私とて憎しみの感情がまったくないわけではありません。けれど、旧王家も現王家ももとはひとつの一族。それに、わずかに残った子孫が憎しみの鎖に縛り付けられ、憎しみの道だけを歩むのは哀しいではありませんか』 『しかし―――』 『わかっています・・・・・・・とても困難なことであることは・・・・・・しかし、まずは歩み寄ることから始めねば、ずっと平行線のままです・・・・・それに王子も――――』 アルティシアの言葉に、ヴェルトナードはフィリオネルの方に顔を向けた。 『すべて・・・・・アルティシアから話は聞いた・・・・・・我が先祖の罪は・・・到底償いきれるものではない。だが、これからのことは・・・・・・共に新たな道を歩んで行きたいとおもうのだ』 『・・・・・・・・・・・・・・』 「結局、長い話し合いの末、父はしぶしぶ承諾しました。」 ゴットフリードが静かに言葉を継いだ。 「私も・・・・・・夢物語と思いましたが、もしかしたらという思いもありましたよ。しかし―――」 「志半ばにしてアルティシアは・・・・・・・・」 「・・・・・ただの病死なら私たちも悲嘆だけで終わったでしょうが―――」 「何―――?」 ゴットフリードの言葉に、フィリオネルが顔を上げた。 「どういうことなのだ?」 「・・・・・・・・・・・・・・・」 何かを考えるようにゴットフリードは沈黙していたが、やがてゆっくりと口を開いた。 「あのとき・・・・・王室はちょっとしたお家騒動が起こっていました・・・・・・・その混乱に乗じて、アルティシア様は・・・・・・・・・・・・・暗殺されたのです・・・・・・・・・・」 「なっ―――!?」 「そんな―――!?」 フィリオネルとアメリアに驚愕が走る。 「カーライルから聞きました。彼は別の仕事に関わっていたので詳しくは分からないとのことでしたが・・・・・・そういう話を耳にしたと・・・・・・」 「そんな・・・・・母さんが・・・・・・」 「病死に見せかけた暗殺・・・・・・方法はいくらでもあります。勿論これに確固たる証拠があるわけではありません。しかし、アルティシア様が旧王家の末裔だということを何かしら知った者がいたとしたら―――」 「なんと・・・いうことだ・・・・・・」 フィリオネルが呆然とした声を上げた。 「それを知った父は怒り、そしてどこからかこのプレートについて調べ上げたのです。現王家への復讐として――――けれど、父が亡くなり後を継いだ私は、動かなかった」 「それは・・・・・・・」 「憎しみと怒りはあったが・・・・・・アルティシア様が心から信じたフィリオネル王子を、私も信じてみたのですよ。きっとアルティシア様の想いを継いでくれていると」 「なら、何故急にプレートを?」 今まで黙って話を聞いていたゼルガディスが、ゴットフリードに訊ねた。 「アルフレッド様の事件だよ。あれを聞いて私は怒りを通り越して呆れかえった。周りの連中は何も分かろうとはしない。それこそ、あのときから少しもな。だからおのれらの所業を、封印した闇の歴史を思い知らせてやろうとな。ひたすら隠してきた汚れた出来事をな。」 再びゴットフリードの目に怒りの炎が宿った。 「フィリオネル王子・・・・アメリア様・・・・・あなた様たちには申し訳ないと思っています。しかし、もう限界です。いったん入ったひびは、どんなことをしてももう癒らないのです」 「やめるのだ、アーデンハイル卿!あれもそのようなことは望んでおらん!」 「もう、サイは投げられたのです!」 そのとき――― パチ パチ パチ パチ 「いやぁ、なかなかの波乱万丈なお話でございましたねぇ」 部屋の隅にいつの間にか、一人の男が立ち、拍手を送っていた。 「お前は―――!?」 黒子衣装に身を包んだその男は、薄い笑みを浮かべた。 「ジゴマ!?バカな、お前はあのとき―――」 倒れたはず―――そう言ったゼルガディスにひとつ笑みを向けた。 「やつがれはからくり師で」 人を食った様な笑みであった。 「あのカーライルという男は?」 「きちんと始末いたしました。なかなか惜しかったが、仕方ありませんや」 その言葉にゴットフリードの瞳が揺れた。 「カーライル・・・・・」 「さて、厄介なのを足止めしているうちに済ませてしまいますかね」 そうして、ゴットフリードの方を向くとニィッと笑みを浮かべた。 ゴットフリードが剣を構えるや、ヒュッと空を切り裂く音が聞こえた。 ゴトリと床に何かが落ちた。 それはプレートを握ったゴットフリードの手であった。 「ぐおおっ!?」 斬り口を見せる手首を押さえながら、ゴットフリードは驚きの色を浮かべた。 「カ、カーライル!?」 ジゴマのすぐ前に仕込み杖を握る友人の姿があった。その後ろでジゴマは薄い笑みを浮かべていた。 「ジゴマさん!何を―――!?」 「申し訳ございませんねぇ、アメリア様。これもやつがれの仕事でございまして」 すまなそうな笑みを浮かべ、「命までは取りは致しませんよ」とジゴマはそう言った。 「くっ!」 出血に顔を蒼ざめさせながらも、ゴットフリードは剣を手に取り構えた。 「あまり抵抗しないほうがよござんすがねぇ」 ジゴマの指がクイッと動いたかと思うと、カーライルが仕込みを抜いた。 「ゴットフリード様!!」 そのとき、サナが部屋の中に飛び込んできた。 「!まずい!」 珍しく慌てた声を上げたジゴマだったが、カーライルの剣はもはや軌道に乗っており、勢いを完全に殺すことは出来なかった。 「ああっ!?」 剣はサナの脇腹を切り裂いた。 「サナッ!?」 「あちゃ〜〜、剣は急には止まれねえってのに」 まいったね――と頭を掻くジゴマであったが、それでもあまり気に掛けることはないようだった。 「まあ、こいつを手に要れりゃ仕事は終わりだ。後はあちらさんに任せるか」 そう言うや、床に落ちているゴットフリードの手に近づいていった。 ************************************* 久々の続きでした。 また次から急展開になるやもしれません。 そしてやっぱり出てきたジゴマ。えっ?予想通りでした? それではまた次回 |
29672 | 因縁が絡み合ってますね | エモーション E-mail | 2004/3/23 00:33:37 |
記事番号29668へのコメント 棒太郎様、こんばんは。 続きですね。 ゴットフリードさんが今になって行動を始めた理由、そしてアメリアの母上が 絡んだ複雑な因縁。話がどんどん核心に近づいてきましたね。 そして……ああ、やっぱし、ですね、ジゴマさん(笑) >「アメリアッ!!」 >そのとき、部屋の中にゼルガディスが飛び込んできた。 >そして、そのまま刃は黒狩人を切り裂いた。 >「ゼルガディスさんっ!!」 >「ふむ・・・・・・ナイトの登場か・・・・・・・・」 おおっ、間に合った!! ゼル偉いっ! 誰が見ても、確かにナイトです。 >「ゴットフリードさん!まだ・・・・・まだ道はあるはずです!」 >「いえ・・・・・道はもうこれしかないのですよ・・・・・・・」 >そう言い、手にしたプレートを握り締める。 >「私とて・・・・・・・・・堪えてきたのです。しかし、中央は何も理解しようとせず、何も変わらない・・・・・・・貴女の御母上の想いを踏みにじっても・・・・・・・」 もういい加減、我慢の限界、ということですね。 正直、最低でも百年以上前と思われる王位の簒奪や、それに伴う殺戮による 先祖から継いだ恨みより、延々と続く執拗な仕打ちの方が、「恨み」を補強して、 持続させる一番の要因だと思いますし。 >残った兵をまとめ、アルベルトは状況を確認しようとした。 >黒狩人まで動くことは、彼でさえも知らなかった。 >(バルトロメオ様・・・・・何故・・・・・・・) いくら表立って行動出来ることではない、と言っても、味方にすら秘密に事が 行われている、と言う点は、ひたすら疑問と不審を感じるでしょうね。 >「俺には国家がどうのなんて関係ないが・・・・・・・・目の前にいる大バカ者を無視するほど、人間は腐っちゃいないんでね」 >「・・・・・・地獄に堕ちることなど、とっくの昔に覚悟は決めている。例え永劫に、地獄の業火に灼かれようとも、私の意志は揺るがぬ」 >ゴットフリードも静かに剣を構える。 >「力ずくで悪いが・・・・・・・止めるぞ」 アメリアの気持ちもあるけれど、ゼルとしても見ていられない気持ちなのでしょうね。 >ゴットフリードの剣の腕に、ゼルガディスは正直感嘆した。 >(ぼっちゃん剣法じゃない、何度か実戦を経験した剣だ。だが―――) >潜った修羅場の数なら、ゼルガディスのほうが遥かに上である。負ける相手ではなかった。 ただ単に鍛えていただけでなく、実戦に通用する剣……。一応修業の旅のようなことを してきたのか、動いていようといまいと関係なく、命を狙われる事が多かったのかな、 と思いました。 >「なっ!?」 >「!?」 >何事かと二人が振り返るや、驚きに目を見開いた。 >「あ、あなた様は―――」 >「な―――」 >「と、父さん―――!?」 >そこにはアメリアの父、フィリオネルがいた。 出た……フィルさん……。 確かに、よくよく考えれば、この方もこんな事件が起きているのに、 城でじっとしているタイプではないですよね……(^_^;) そのあたりも、やはりフィルさんの偉いところですが……つくづくそっくり親子ですね、 フィルさんとアメリア……。 >「何故そのようなことを・・・・・・・?責められるならまずこのワシが真っ先に責められるべきであろう?」 >「・・・・・・・・いえ、あなた様は今でもあの御方との約束を果たそうとしてらっしゃることは分かっています」 >「では何故―――?」 >「私も・・・・・あなた様を信じて、これまで堪えてきました。しかし、周りの連中は何も変わりはしない。これではアルティシア様は犬死ではありませんか!」 ゴットフリードさんは、フィルさんに対しても恨みや悪感情を、持っていないのですね。 何となく、今回事を起こすことで、本当の狙いは別でも結果として、フィルさんに 反逆する形になるのが、一番悩んだ部分だったのかもしれない、と思いました。 >じっとアメリアの顔を見つめていたフィリオネルはやがて静かに語り始めた。 >「アメリア・・・・・・アルティシアは―――お前の母は・・・・・旧王家の血を引く最後の末裔だったのだ・・・・・・」 アメリアにとっての衝撃の事実、その2ですね。アメリアと姉のグレイシアは、 両方の血を引いているわけで……。 それを一つの区切り、もしくは決着の形の一つと見る者もいれば、 現王家、旧王家のどちらの側だろうと、それは絶対にあってはならない、許せないこと、 と見る者もいるでしょうね。 ある意味、どちら側にとっても微妙な存在ですね、この姉妹は。 > ヴェルトナードとゴットフリードが挨拶を済ませると、アルティシアはひとつの巻物を取り出し、ヴェルトナードに手渡した。 > 『これを・・・・・私の家に代々密かに伝えられてきたものです』 > 受け取った巻物を広げたヴェルトナードは、すぐに驚きの色を浮かべた。 > 『こ、これは・・・・・・まさか―――!?』 > 『父上・・・・・・これは・・・・・・』 > 『ア、アルティシア様・・・・・・・あなた様も旧王家の末裔―――それも主家筋に当たられるとは・・・・・・この血筋はあの忌まわしき事件のときに絶えたとばかり・・・・・・・』 フィルさんの奥さんは、フィルさんが修業で旅をしていたときに出会った、と 裏設定があるそうですが、何とか生きのびたアルティシアさんの先祖は、 ひっそりと民間に紛れて、血筋を残してきたのでしょうか。 ある程度旧王家と関わりがある、と知られているアーデンハイル家の者すら 気づけなかった(大っぴらに捜索なんてできないでしょうけれど)くらいですから、 相当、慎重に慎重を重ねていたのでしょうね。 > 『全く願っていない、というわけではありません。しかし、私はまず長きに渡り縛り続けている憎しみの鎖を断ち切りたいのです』 > 『何を仰います!現王家が旧王家にしたこと、知らないわけではありますまい!』 > 興奮し、机を激しく叩きながらヴェルトナードは叫んだ。 > 『勿論、知っています。私とて憎しみの感情がまったくないわけではありません。けれど、旧王家も現王家ももとはひとつの一族。それに、わずかに残った子孫が憎しみの鎖に縛り付けられ、憎しみの道だけを歩むのは哀しいではありませんか』 アルティシアさんは、互いに互いを滅ぼしあい、憎しみ合う形でしか成立出来ない 「旧王家の再興」など、したくなかったのですね。 そして、当然のようにフィルさんも。 出会ったときに、互いの先祖絡みの因縁を知っていたかどうかはわかりませんが、 二人とも、互いに自分の家のこと、予想される周囲の反発など、いろいろ考え 悩んだ末に、困難でも手を取り合う道を選んだ……純愛です。 ……って、思いっきりロミジュリだったのですね、フィルさんとアルティシアさん。 >「あのとき・・・・・王室はちょっとしたお家騒動が起こっていました・・・・・・・その混乱に乗じて、アルティシア様は・・・・・・・・・・・・・暗殺されたのです・・・・・・・・・・」 >「なっ―――!?」 >「そんな―――!?」 >フィリオネルとアメリアに驚愕が走る。 >「カーライルから聞きました。彼は別の仕事に関わっていたので詳しくは分からないとのことでしたが・・・・・・そういう話を耳にしたと・・・・・・」 >「そんな・・・・・母さんが・・・・・・」 >「病死に見せかけた暗殺・・・・・・方法はいくらでもあります。勿論これに確固たる証拠があるわけではありません。しかし、アルティシア様が旧王家の末裔だということを何かしら知った者がいたとしたら―――」 仮にも王太子(と言って良いはず……第一王位継承者ですし)の妃ですから、 暗殺なら相当秘密裏に行われたこととは思いますが……。手段選ばないですね、ほんと。 また、確かに暗殺だとしても、立場的に考えると、セイルーンの敵対国の仕業の可能性も ゼロじゃないだけに、ゴットフリードさんとしても、疑いつつもどちらとも言えないとは 思ったでしょうね。 >「なら、何故急にプレートを?」 >今まで黙って話を聞いていたゼルガディスが、ゴットフリードに訊ねた。 >「アルフレッド様の事件だよ。あれを聞いて私は怒りを通り越して呆れかえった。周りの連中は何も分かろうとはしない。それこそ、あのときから少しもな。だからおのれらの所業を、封印した闇の歴史を思い知らせてやろうとな。ひたすら隠してきた汚れた出来事をな。」 あの事件はゴットフリードさんからすれば、過去の再現にしか思えなかったのですね。 まして、旧王家の者だから、と言う理由でアルティシアさんが暗殺されたのだとすれば、 そう言った側にとって、グレイシアやアメリア、もしくはこの2人の子どもが 王位に就く可能性があるのは、けして許せないことでしょう。そうなると、 アルフレッド側に手を貸していた可能性はかなり高いですから……もういい加減にしろと 言いたくなりますね、確かに。 > パチ パチ パチ パチ > >「いやぁ、なかなかの波乱万丈なお話でございましたねぇ」 >部屋の隅にいつの間にか、一人の男が立ち、拍手を送っていた。 >「お前は―――!?」 >黒子衣装に身を包んだその男は、薄い笑みを浮かべた。 >「ジゴマ!?バカな、お前はあのとき―――」 >倒れたはず―――そう言ったゼルガディスにひとつ笑みを向けた。 >「やつがれはからくり師で」 >人を食った様な笑みであった。 一瞬、誰と思いつつ、ああ、やっぱり(笑) 雰囲気を一気に粉砕しましたね……ジゴマさん……(^_^;) ゼルとしては、ひたすらツッコミ入れたいでしょうね。 >ゴットフリードが剣を構えるや、ヒュッと空を切り裂く音が聞こえた。 >ゴトリと床に何かが落ちた。 >それはプレートを握ったゴットフリードの手であった。 >「ぐおおっ!?」 >斬り口を見せる手首を押さえながら、ゴットフリードは驚きの色を浮かべた。 >「カ、カーライル!?」 >ジゴマのすぐ前に仕込み杖を握る友人の姿があった。その後ろでジゴマは薄い笑みを浮かべていた。 ジゴマさん、さっそくカーライルさんの人形を造ったのでしょうか。 それとも……(ちょっと怖い考えに……(汗)) 仕事、ってプレートを取り戻すようにバルトロメオさん辺りから、依頼されていたのでしょうか。 >ジゴマの指がクイッと動いたかと思うと、カーライルが仕込みを抜いた。 >「ゴットフリード様!!」 >そのとき、サナが部屋の中に飛び込んできた。 >「!まずい!」 >珍しく慌てた声を上げたジゴマだったが、カーライルの剣はもはや軌道に乗っており、勢いを完全に殺すことは出来なかった。 サナさんが……(汗)どうしても、心配で来ないではいられなかったのでしょうけれど……。 ジゴマさんもさすがに本来関係ない者を、無意味に傷つける気はないのですね。 >まいったね――と頭を掻くジゴマであったが、それでもあまり気に掛けることはないようだった。 >「まあ、こいつを手に要れりゃ仕事は終わりだ。後はあちらさんに任せるか」 >そう言うや、床に落ちているゴットフリードの手に近づいていった。 ……ジゴマさんにとっては、舞台上のアクシデント、というところでしょうか。 まあ、アメリアがいる以上、何とかなるとは思いますが……。 さすがというか、マイペースですね。 ……何か引き上げようと向き直ったところを、フィルさんとアメリアから 〃正義のお説教〃を親子でされそうな気も……。 >久々の続きでした。 >また次から急展開になるやもしれません。 >そしてやっぱり出てきたジゴマ。えっ?予想通りでした? >それではまた次回 いろいろな因縁が出てきましたね。ゴットフリードさんの気持ちも分かりますが、 アルティシアさん……彼女はこの様子を、心を痛めながら見ているのかもしれないと思いました。 原作設定でもフィルさんの奥さんは暗殺で亡くなってますが、こちらの方が 因縁絡みで重いですね。 フィルさんとアメリアは後日、事実確認するのでしょうけれど、いろいろと辛いですね。 さて、プレートを取っていこうとするジゴマさん。 プレートそのものの謎が、どう展開していくのでしょうか。 続きを楽しみにしています。 それでは、今日はこの辺で失礼いたします。 |
29673 | ようやく核心部分が | 棒太郎 | 2004/3/23 11:20:48 |
記事番号29672へのコメント >棒太郎様、こんばんは。 > >続きですね。 >ゴットフリードさんが今になって行動を始めた理由、そしてアメリアの母上が >絡んだ複雑な因縁。話がどんどん核心に近づいてきましたね。 >そして……ああ、やっぱし、ですね、ジゴマさん(笑) こんにちは、エモーションさん。 ようやく核心部分にまで来ることが出来ました。 因縁が絡み合いすぎて大変ですが・・・・・ >>「ゼルガディスさんっ!!」 >>「ふむ・・・・・・ナイトの登場か・・・・・・・・」 > >おおっ、間に合った!! ゼル偉いっ! >誰が見ても、確かにナイトです。 屋敷の中に潜入した黒狩人はほとんどタイタスが駆逐したので、ゼルは余計な足を引っ張られずに済みました。 >>「私とて・・・・・・・・・堪えてきたのです。しかし、中央は何も理解しようとせず、何も変わらない・・・・・・・貴女の御母上の想いを踏みにじっても・・・・・・・」 > >もういい加減、我慢の限界、ということですね。 >正直、最低でも百年以上前と思われる王位の簒奪や、それに伴う殺戮による >先祖から継いだ恨みより、延々と続く執拗な仕打ちの方が、「恨み」を補強して、 >持続させる一番の要因だと思いますし。 後にも書いてますが、アルティシアやフィル王子を信頼して我慢していましたが、中央のやり口にもう限界となりました。 >>残った兵をまとめ、アルベルトは状況を確認しようとした。 >>黒狩人まで動くことは、彼でさえも知らなかった。 >>(バルトロメオ様・・・・・何故・・・・・・・) > >いくら表立って行動出来ることではない、と言っても、味方にすら秘密に事が >行われている、と言う点は、ひたすら疑問と不審を感じるでしょうね。 所詮、この人の駒のひとつとして扱われてますから。 >>「俺には国家がどうのなんて関係ないが・・・・・・・・目の前にいる大バカ者を無視するほど、人間は腐っちゃいないんでね」 >>「・・・・・・地獄に堕ちることなど、とっくの昔に覚悟は決めている。例え永劫に、地獄の業火に灼かれようとも、私の意志は揺るがぬ」 >>ゴットフリードも静かに剣を構える。 >>「力ずくで悪いが・・・・・・・止めるぞ」 > >アメリアの気持ちもあるけれど、ゼルとしても見ていられない気持ちなのでしょうね。 自分をガンガラ締めに縛り付けているゴットフリードの生き方に、彼としても手を出さずにはいられません。 >>ゴットフリードの剣の腕に、ゼルガディスは正直感嘆した。 >>(ぼっちゃん剣法じゃない、何度か実戦を経験した剣だ。だが―――) >>潜った修羅場の数なら、ゼルガディスのほうが遥かに上である。負ける相手ではなかった。 > >ただ単に鍛えていただけでなく、実戦に通用する剣……。一応修業の旅のようなことを >してきたのか、動いていようといまいと関係なく、命を狙われる事が多かったのかな、 >と思いました。 命を狙われるというところまではなかったですが、それなりのスキルを身につけておかないとやってられませんので。 >>「と、父さん―――!?」 >>そこにはアメリアの父、フィリオネルがいた。 > >出た……フィルさん……。 >確かに、よくよく考えれば、この方もこんな事件が起きているのに、 >城でじっとしているタイプではないですよね……(^_^;) >そのあたりも、やはりフィルさんの偉いところですが……つくづくそっくり親子ですね、 >フィルさんとアメリア……。 タイプ的にもそうですし、アメリアも城からいなくなったので、もしやと思いやってきました。 >>「では何故―――?」 >>「私も・・・・・あなた様を信じて、これまで堪えてきました。しかし、周りの連中は何も変わりはしない。これではアルティシア様は犬死ではありませんか!」 > >ゴットフリードさんは、フィルさんに対しても恨みや悪感情を、持っていないのですね。 >何となく、今回事を起こすことで、本当の狙いは別でも結果として、フィルさんに >反逆する形になるのが、一番悩んだ部分だったのかもしれない、と思いました。 人間的に尊敬しています。 ゴットフリードにしてもそこが一番辛いところでしょうね。 >>じっとアメリアの顔を見つめていたフィリオネルはやがて静かに語り始めた。 >>「アメリア・・・・・・アルティシアは―――お前の母は・・・・・旧王家の血を引く最後の末裔だったのだ・・・・・・」 > >アメリアにとっての衝撃の事実、その2ですね。アメリアと姉のグレイシアは、 >両方の血を引いているわけで……。 >それを一つの区切り、もしくは決着の形の一つと見る者もいれば、 >現王家、旧王家のどちらの側だろうと、それは絶対にあってはならない、許せないこと、 >と見る者もいるでしょうね。 >ある意味、どちら側にとっても微妙な存在ですね、この姉妹は。 未だ、闇の歴史を封印しようとしていますから、現王家にとってはあまり嬉しいものじゃないでしょうね。 >> 『ア、アルティシア様・・・・・・・あなた様も旧王家の末裔―――それも主家筋に当たられるとは・・・・・・この血筋はあの忌まわしき事件のときに絶えたとばかり・・・・・・・』 > >フィルさんの奥さんは、フィルさんが修業で旅をしていたときに出会った、と >裏設定があるそうですが、何とか生きのびたアルティシアさんの先祖は、 >ひっそりと民間に紛れて、血筋を残してきたのでしょうか。 >ある程度旧王家と関わりがある、と知られているアーデンハイル家の者すら >気づけなかった(大っぴらに捜索なんてできないでしょうけれど)くらいですから、 >相当、慎重に慎重を重ねていたのでしょうね。 そうえすね。奇跡的に生き延びた彼女の先祖は民間の中に紛れて、密かに細々と血筋を残してきました。 アーデンハイル家も既に絶えてしまったと思っていましたから、まさか生き残りがいるとは思いませんでした。 >> 『勿論、知っています。私とて憎しみの感情がまったくないわけではありません。けれど、旧王家も現王家ももとはひとつの一族。それに、わずかに残った子孫が憎しみの鎖に縛り付けられ、憎しみの道だけを歩むのは哀しいではありませんか』 > >アルティシアさんは、互いに互いを滅ぼしあい、憎しみ合う形でしか成立出来ない >「旧王家の再興」など、したくなかったのですね。 >そして、当然のようにフィルさんも。 >出会ったときに、互いの先祖絡みの因縁を知っていたかどうかはわかりませんが、 >二人とも、互いに自分の家のこと、予想される周囲の反発など、いろいろ考え >悩んだ末に、困難でも手を取り合う道を選んだ……純愛です。 >……って、思いっきりロミジュリだったのですね、フィルさんとアルティシアさん。 現実においても、いろいろと過去の遺恨や確執による対立が続いていますが・・・・・・ 非情に困難なことですが、やはり矛を収めて歩み寄らねばずっと平行線のままですし。でも、頭で理解しても心の感情は別なので、とても難しいですが。 >>「病死に見せかけた暗殺・・・・・・方法はいくらでもあります。勿論これに確固たる証拠があるわけではありません。しかし、アルティシア様が旧王家の末裔だということを何かしら知った者がいたとしたら―――」 > >仮にも王太子(と言って良いはず……第一王位継承者ですし)の妃ですから、 >暗殺なら相当秘密裏に行われたこととは思いますが……。手段選ばないですね、ほんと。 >また、確かに暗殺だとしても、立場的に考えると、セイルーンの敵対国の仕業の可能性も >ゼロじゃないだけに、ゴットフリードさんとしても、疑いつつもどちらとも言えないとは >思ったでしょうね。 確固たる証拠がないので断定は出来ませんが、ゴットフリードもヴェルトナードも中央の仕業と思っています。 >>「アルフレッド様の事件だよ。あれを聞いて私は怒りを通り越して呆れかえった。周りの連中は何も分かろうとはしない。それこそ、あのときから少しもな。だからおのれらの所業を、封印した闇の歴史を思い知らせてやろうとな。ひたすら隠してきた汚れた出来事をな。」 > >あの事件はゴットフリードさんからすれば、過去の再現にしか思えなかったのですね。 >まして、旧王家の者だから、と言う理由でアルティシアさんが暗殺されたのだとすれば、 >そう言った側にとって、グレイシアやアメリア、もしくはこの2人の子どもが >王位に就く可能性があるのは、けして許せないことでしょう。そうなると、 >アルフレッド側に手を貸していた可能性はかなり高いですから……もういい加減にしろと >言いたくなりますね、確かに。 それもありますし、結局権力しか眼中にないのか、という失望感もあります。 これでもう、堪忍袋の緒が切れました。 >>「やつがれはからくり師で」 >>人を食った様な笑みであった。 > >一瞬、誰と思いつつ、ああ、やっぱり(笑) >雰囲気を一気に粉砕しましたね……ジゴマさん……(^_^;) >ゼルとしては、ひたすらツッコミ入れたいでしょうね。 やっぱりでてきました、この男。 >>「カ、カーライル!?」 >>ジゴマのすぐ前に仕込み杖を握る友人の姿があった。その後ろでジゴマは薄い笑みを浮かべていた。 > >ジゴマさん、さっそくカーライルさんの人形を造ったのでしょうか。 >それとも……(ちょっと怖い考えに……(汗)) >仕事、ってプレートを取り戻すようにバルトロメオさん辺りから、依頼されていたのでしょうか。 このカーライル、ちょっと怖い考えのほうですね。 ジゴマにとっては自分の作品のひとつと言えますから。 >>「!まずい!」 >>珍しく慌てた声を上げたジゴマだったが、カーライルの剣はもはや軌道に乗っており、勢いを完全に殺すことは出来なかった。 > >サナさんが……(汗)どうしても、心配で来ないではいられなかったのでしょうけれど……。 >ジゴマさんもさすがに本来関係ない者を、無意味に傷つける気はないのですね。 舞台に観客が飛び込んできた感じです。勝手に事故られてはかなわん、といった感じです。 >>まいったね――と頭を掻くジゴマであったが、それでもあまり気に掛けることはないようだった。 >>「まあ、こいつを手に要れりゃ仕事は終わりだ。後はあちらさんに任せるか」 >>そう言うや、床に落ちているゴットフリードの手に近づいていった。 > >……ジゴマさんにとっては、舞台上のアクシデント、というところでしょうか。 >まあ、アメリアがいる以上、何とかなるとは思いますが……。 >さすがというか、マイペースですね。 >……何か引き上げようと向き直ったところを、フィルさんとアメリアから >〃正義のお説教〃を親子でされそうな気も……。 舞台や役者のアクシデントなら別にどうとでもするのですが、観客が舞台に乱入してきたというアクシデントなので、彼としてちょっと勘弁してくれよ、という感じです。 まあ、それでペースを崩される人ではありませんが。 >>久々の続きでした。 >>また次から急展開になるやもしれません。 >>そしてやっぱり出てきたジゴマ。えっ?予想通りでした? >>それではまた次回 > >いろいろな因縁が出てきましたね。ゴットフリードさんの気持ちも分かりますが、 >アルティシアさん……彼女はこの様子を、心を痛めながら見ているのかもしれないと思いました。 >原作設定でもフィルさんの奥さんは暗殺で亡くなってますが、こちらの方が >因縁絡みで重いですね。 >フィルさんとアメリアは後日、事実確認するのでしょうけれど、いろいろと辛いですね。 >さて、プレートを取っていこうとするジゴマさん。 >プレートそのものの謎が、どう展開していくのでしょうか。 >続きを楽しみにしています。 >それでは、今日はこの辺で失礼いたします。 今回でなんとかプレート絡みの因縁を書くことが出来ました。 後はプレートそのものの謎ですね。一応設定は出来てるので、あとは細かい部分の調整をするだけです(それが大変ですが) また一波乱あると思います。 それでは、どうもありがとうございました。 |
29675 | 異邦の彼方より (24) | 棒太郎 | 2004/3/23 18:14:40 |
記事番号29668へのコメント こんにちは、棒太郎です。 最近また寒暖の差が激しいので、イヤになってます。 昨日は3月も後半なのに、あまりの寒さに夕食は鍋でした。 それでは続きをどうぞ。 ************************************* 『異邦の彼方より』 (24) ―――できごとは、もう結末がついたように見えるとき、実際はやっと始まったばかりのことがよくあるものだ――― ノヴァーリス 『青い花』 「まあ、こいつを手に要れりゃ仕事は終わりだ。後はあちらさんに任せるか」 そう言うや、ジゴマは床に落ちているゴットフリードの手に近づいていった。 「待て、ジゴマ殿とやら」 フィリオネルがジゴマを呼び止めた。 「おや?どうかなさいましたか、フィリオネル殿下?」 「お主・・・・・そのプレートをどうする気なのだ?」 フィリオネルの言葉に、ジゴマはニッと笑みを浮かべた。 「どうもこうもありませんやね。プレートを手に入れる、というのがやつがれの仕事でございますから」 ジゴマがそう言ったとき、床に倒れ伏していたサナの身体がピクリと動いた。 (プレート・・・・・?) ボゥッとする意識を奮い起こし、サナの視線は床に落ちているゴットフリードの手に向けられた。 (プレート・・・・・・あれが・・・そうなの・・・・?・・・・・・・・タイタス・・さん・・の・・・・・言ってた・・・・・・・・・・) サナの頭の中にタイタスの言葉が蘇っていった。 『プレート・・・・ですか?』 『そうだよ。ゴットフリードさんはそれを集めていたのさ。』 火かき棒を杖のようにしてもたれかかりながら、タイタスは人差し指を立てて言った。 『それが今回の騒動のモトさ。まぁ、ゴットフリードさんも全てを知ってるってわけじゃないみたいだけどね』 そして、タイタスはゴットフリードの行動の経緯について語りだした。 『この国の中央とアーデンハイル家は、大昔に大きな確執があったみたいでね。今に至るまで折り合いは悪いんだけどね。その確執絡みで、ゴットフリードさんはそのプレートを集めだしたようだね。まあ、中央も馬鹿じゃないからさ、反逆の意ありとしてこんなことをしてきたのさ。』 『は、反逆―――!?ゴットフリードさんがそんな―――!?』 『理由はどうあれ、向こうから見たらそうなんだよ。ま、今の段階だとまだ疑わしいってところなんだけど、この状況を見ると、向こうも何かしら後ろめたいところがあるみたいだね』 ま、そうでなかったら、一領主を国のお偉いさんがずっと監視する訳ないし―――肩を竦めてタイタスはそう言った。そしてまた、サナの名を呼んだ。 『サナちゃんはゴットフリードさんのこと好きなんでしょ?従者としてじゃなく、一人の女性として』 タイタスのその言葉に、サナの顔は真っ赤に染まった。 その様子に微笑ましく笑みを浮かべると、懐から大きなメダルを取り出し、サナに渡した。 『タイタスさん、これは―――?』 『君に渡しておくよ。どうするかはサナちゃん自身が決めるといい。』 『え、どういう―――』 『それをゴットフリードさんに渡せば、そこに刻まれる文を参考にプレートを使うことができるかもしれない。その場合、この国との全面戦争は必至だろうけどね。それともゴットフリードさんを止めるか――それでも中央は恐らく彼を逃しはしないだろうけどね』 『そ、そんな・・・・・・わ、私がそんなこと―――』 『僕は直接そういったことには関われないんでね。あくまでその人の意志が重要なのさ。それに君はこの国の人間じゃない。愛国心や忠誠心なんていう余計な心に邪魔されず、その人の事を見ることができるしね』 そう言うと、タイタスは火かき棒を逆手に持ち、暗がりの向こうに向かって投げつけた。 『!?』 無言の叫びが聞こえたそこには、黒狩人が一人、火かき棒に貫かれ、壁に縫い付けられていた。 『ま、難しく考えなくていいよ。君の心のままにするといい。僕はもう少し、掃除するから早いところ行くといい』 そうして、タイタスはサナを二階へと送り出した。 (あれが・・・・そう・・・・・・・) サナは視線をタイタスの方に向けた。 先程、部屋の外から彼の――アーデンハイル家のことについて耳にした。 (ゴットフリード様・・・・・・・・) 自分には何が正しいのかなどよくは分からない。だが、彼に新たな人生を与えてもらった大きな恩がある。到底払いきれないほどの―――― そう思うや、彼女は身体を起こし、プレートに向かって走り出した。 「ん?」 ジゴマはそれに気付くや、クイッと指を動かした。 それに反応するかのようにカーライルが動いた。 「悪いが、観客は大人しく席についててもらいましょうかね」 ジゴマがそう言った瞬間――― ドッ! 「なっ?」 ジゴマの胸にカーライルの仕込が突き刺さった。 サナはプレートを握った手を拾うと、あのメダルと共にゴットフリードへと渡した。 ゴットフリードが受け取るや、サナは気を失って倒れこんだ。 「サナッ!?」 ゴットフリードがサナに駆け寄ろうとした時、 「ゴット・・フリー・・・・ド・・・・・・・・」 ジゴマに仕込みを突き刺したカーライルがかれのほうをに顔を向けた。 「そ・・・それを・・・・・・・・使う・・・・ん・・だ・・・・・・・その・・・・メダルが・・・・・・・・・」 何かを理解したように、カーライルが呟き声を上げる。 「やれやれ。前もそうだったが、人の想いってのは侮れねぇもんだな」 そう言って、ジゴマはニィッと笑みを浮かべた。 「ジゴマさん!待って―――」 「ジゴマ殿―――」 ジゴマの笑みに何かを理解したのか、アメリアとフィリオネルが声をあげた。 「はや・・く・・・・・・足止め・・・してい・・る・・・・・う―――っ!?」 そのとき、ジゴマの貫手がカーライルの身体に潜り込んだ。 「さて、カーライル様。カーテンフォールでございます」 中でなにやら手が蠢き、カーライルの身体がビクリと痙攣した。 「カーライルッ!!」 唇を噛み、ゴットフリードはメダルに目を落とした。 Quo vadios 汝、何処へ行き給うや 「ん、始まったか。どうやら”契約”は有効らしい」 空気の震えを感じ取り、タイタスは呟いた。 「さて・・・・・・久方ぶりの帰郷といきますか」 「!?」 「こいつは?」 対峙していたリュウゼンとフー・マンチューも大気の震えを感じ取り、その中心に目をやった。 「ふむ、”案内人”が来よるか・・・・・・若いの、この勝負どうやら 持ち越しじゃの」 そうフー・マンチューが言った瞬間、館を中心に異様な空間の震えと歪みが発生し、包み込んだ。 そしてそれは二人の姿も包み込んだ。 「う・・・・・・・」 酩酊するような感覚が消え失せ、ゼルガディスは身を起こした。 「何が・・・・起こった・・・・?」 頭を振り払い、辺りを見回した。 「なんだ・・・・・ここはっ!?」 ゼルガディスは驚きの声を上げた。 今自分のいる場所は、あの館の部屋ではなかった。目の前には巨大な石造りの建物が聳え立っていた。 見回すと、それは城のようであった。自分のいる場所も、その一角――テラスのようなところだった。 テラスの際から下を覗き込むと、その眼下には更に城の建物が続いていた。 その果ては測り知れなかった。 「!?アメリア!?フィル王子!?」 あの場にいたなら、自分と同じくここの何処かにいるはずであった。 「へ〜〜〜、まさかこの目でお目にかかれようとはねぇ」 「!?」 その声に振り返ると、城の建造物を見ながら感嘆の声をあげているジゴマの姿があった。 「ジゴマッ!?」 「これはこれは、ゼルガディス様。どうやらご無事のようで」 ジゴマは笑ってそう言ったが、ゼルガディスは微妙であった。なにせ優先順位から言って、一番下に当たる奴が一番最初に見つかったのだから。 「ジゴマ・・・・・お前はここが何処だか知っているのか?」 その感情を押し留め、ゼルガディスはジゴマに訊ねた。 「まあ、こいつは想像でございますがね。やつがれも実際には初めてでございますし」 愉しげに笑いながらジゴマは言った。 「何処とも知れぬ時、何処とも知れぬ場所にあるという果て無き巨大な石造りの城―――――恐らくここが伝説のゴーメンガーストでしょうな」 ************************************* 続きでした。 ようやく、プロローグで出していた伏線が出てきました。 モデルはズバリ、『ゴーメンガースト』という小説からです。 実際に読んだことはありません(図書館で探してもなかった・・・・・) 大まかな設定だけ借りてアレンジしてるので、実際呼んだことのある方、「こんなんちゃうわ!」とお思いになるでしょうが、ご容赦ください。 タイタスもこの小説の主人公の名前です。 やっとここまできたという感じです。まだ長くなりそうですが、よかったらお付き合いください。 それではまた次回。 |
29677 | 新たな舞台の登場ですね | エモーション E-mail | 2004/3/23 22:08:51 |
記事番号29675へのコメント 棒太郎様、こんばんは。 さっそく続きが♪ とうとう発動したプレート。 何気にタイタスさんが、鍵を持っていたようなものだったのですね。 >最近また寒暖の差が激しいので、イヤになってます。 たださえこの時期は、変わり目だけに寒く感じやすいのに、それとは関係なしに 寒いですよね、ほんとに。 うちの犬も、冬毛を落とし始めた途端に寒くなったので、家に入れると ヒーターの前を占領してます(^_^;) >そして、タイタスはゴットフリードの行動の経緯について語りだした。 >『この国の中央とアーデンハイル家は、大昔に大きな確執があったみたいでね。今に至るまで折り合いは悪いんだけどね。その確執絡みで、ゴットフリードさんはそのプレートを集めだしたようだね。まあ、中央も馬鹿じゃないからさ、反逆の意ありとしてこんなことをしてきたのさ。』 >『は、反逆―――!?ゴットフリードさんがそんな―――!?』 サナさんじゃなくても、普通はプレートを集めることが反逆になるとは思いませんよね。 またタイタスさんは状況は分かっても、さすがに「確執」については何となく程度で、 詳しくは知らないのですね。 >『そ、そんな・・・・・・わ、私がそんなこと―――』 >『僕は直接そういったことには関われないんでね。あくまでその人の意志が重要なのさ。それに君はこの国の人間じゃない。愛国心や忠誠心なんていう余計な心に邪魔されず、その人の事を見ることができるしね』 ほとんど「取り扱い説明書」なメダルを、サナさんに渡すタイタスさん。 余計な「愛国心」や「忠誠心」はなくても、「その人」を「恋愛」のフィルター越しで 見ている人に、判断をまかせるのはどうかと思いますが、タイタスさんとしては、 サナさんに委ねたいのですね。 >「サナッ!?」 >ゴットフリードがサナに駆け寄ろうとした時、 >「ゴット・・フリー・・・・ド・・・・・・・・」 >ジゴマに仕込みを突き刺したカーライルがかれのほうをに顔を向けた。 >「そ・・・それを・・・・・・・・使う・・・・ん・・だ・・・・・・・その・・・・メダルが・・・・・・・・・」 >何かを理解したように、カーライルが呟き声を上げる。 >「やれやれ。前もそうだったが、人の想いってのは侮れねぇもんだな」 >そう言って、ジゴマはニィッと笑みを浮かべた。 サナさんとカーライルさんの連携に、出し抜かれた感じのジゴマさん。 侮れないけれど、だから面白いと思ってそうですね。 ……それにしても、相変わらずの不死身っぷり(笑) でも、今回は何気に刺されたり、斬られたりが多いですね。 >そのとき、ジゴマの貫手がカーライルの身体に潜り込んだ。 >「さて、カーライル様。カーテンフォールでございます」 >中でなにやら手が蠢き、カーライルの身体がビクリと痙攣した。 勿体ないけれど、これ以上勝手に動かれたら困るので停止、というところでしょうか。 >「ん、始まったか。どうやら”契約”は有効らしい」 >空気の震えを感じ取り、タイタスは呟いた。 >「さて・・・・・・久方ぶりの帰郷といきますか」 帰郷……ですか。タイタスさんは思いっきり関わりがあったのですね。 >対峙していたリュウゼンとフー・マンチューも大気の震えを感じ取り、その中心に目をやった。 >「ふむ、”案内人”が来よるか・・・・・・若いの、この勝負どうやら 持ち越しじゃの」 >そうフー・マンチューが言った瞬間、館を中心に異様な空間の震えと歪みが発生し、包み込んだ。 そしてフー・マンチューさんも、しっかり関わりがある……と。(^_^;) タイタスさんと知り合いなのですから、当然なのでしょうけれど。 それにしても……ずっと二人の世界にいたのですね。 >今自分のいる場所は、あの館の部屋ではなかった。目の前には巨大な石造りの建物が聳え立っていた。 >見回すと、それは城のようであった。自分のいる場所も、その一角――テラスのようなところだった。 >テラスの際から下を覗き込むと、その眼下には更に城の建物が続いていた。 >その果ては測り知れなかった。 ゴットフリードさんがプレートを使った結果、とは分かっても、いきなり 全然知らないところに来ていたら、驚きますよね。 >その声に振り返ると、城の建造物を見ながら感嘆の声をあげているジゴマの姿があった。 >「ジゴマッ!?」 >「これはこれは、ゼルガディス様。どうやらご無事のようで」 >ジゴマは笑ってそう言ったが、ゼルガディスは微妙であった。なにせ優先順位から言って、一番下に当たる奴が一番最初に見つかったのだから。 優先順位……(笑) 当然一番はアメリアで、2番はフィルさん。3番目にサナさん(ケガしているので) 4番目辺りにゴットフリードさんがいて……何故か無意味に空位が続いて、 最下位に(笑)ジゴマさんが配置されているのですね。 真っ先に「どーでもいい奴」を見つけてしまう(遭遇してしまう)、 間の悪さというか運の悪さ辺りが、ゼルだなあと思いました。 >「まあ、こいつは想像でございますがね。やつがれも実際には初めてでございますし」 >愉しげに笑いながらジゴマは言った。 >「何処とも知れぬ時、何処とも知れぬ場所にあるという果て無き巨大な石造りの城―――――恐らくここが伝説のゴーメンガーストでしょうな」 さすがのジゴマさんにとっても、聞いたことはあっても、来るのは初めての場所、 ゴーメンガースト。どんなところなのでしょう。 ジゴマさんは、ゼルをからかうより、珍しい体験が出来ると楽しんでいるようですね。 >続きでした。 >ようやく、プロローグで出していた伏線が出てきました。 >モデルはズバリ、『ゴーメンガースト』という小説からです。 >実際に読んだことはありません(図書館で探してもなかった・・・・・) >大まかな設定だけ借りてアレンジしてるので、実際呼んだことのある方、「こんなんちゃうわ!」とお思いになるでしょうが、ご容赦ください。 >タイタスもこの小説の主人公の名前です。 >やっとここまできたという感じです。まだ長くなりそうですが、よかったらお付き合いください。 >それではまた次回。 「ゴーメンガースト」……初めて知りました。ファンタジー……なのでしょうか。 プレートを使ったことで現れた、というよりゴーメンガーストに飛ばされた感じですが、 セイルーンの建国に役に立っていたわけですから、どんな力や秘密があるのやら。楽しみです。 そして……多分、プレートを持っているゴットフリードさんは貴賓扱いかもしれませんが、 それ以外の方々はどうなっているのか……。 ゼルはアメリアと無事に会えるでしょうか。ケガをしているサナさんも心配ですし。 では、今日はこの辺で失礼いたします。 続きをお待ちしています。 |
29678 | ようやくここまで来ました | 棒太郎 | 2004/3/23 23:07:20 |
記事番号29677へのコメント >棒太郎様、こんばんは。 > >さっそく続きが♪ >とうとう発動したプレート。 >何気にタイタスさんが、鍵を持っていたようなものだったのですね。 こんばんは、エモーションさん。 ついにここまで来ました。長かった・・・・・・ タイタスが鍵を持っていたというか、まあ彼は(ごにょごにょ) >>最近また寒暖の差が激しいので、イヤになってます。 > >たださえこの時期は、変わり目だけに寒く感じやすいのに、それとは関係なしに >寒いですよね、ほんとに。 >うちの犬も、冬毛を落とし始めた途端に寒くなったので、家に入れると >ヒーターの前を占領してます(^_^;) もう暖かくなってもいいはずなのに、逆行しますよね。 たまらんです、ほんとに。 >>『この国の中央とアーデンハイル家は、大昔に大きな確執があったみたいでね。今に至るまで折り合いは悪いんだけどね。その確執絡みで、ゴットフリードさんはそのプレートを集めだしたようだね。まあ、中央も馬鹿じゃないからさ、反逆の意ありとしてこんなことをしてきたのさ。』 >>『は、反逆―――!?ゴットフリードさんがそんな―――!?』 > >サナさんじゃなくても、普通はプレートを集めることが反逆になるとは思いませんよね。 >またタイタスさんは状況は分かっても、さすがに「確執」については何となく程度で、 >詳しくは知らないのですね。 いきなり知った驚愕の事実ですからね。 タイタスも口にはしてませんが、だいたいの経緯は知っているようです。 >>『僕は直接そういったことには関われないんでね。あくまでその人の意志が重要なのさ。それに君はこの国の人間じゃない。愛国心や忠誠心なんていう余計な心に邪魔されず、その人の事を見ることができるしね』 > >ほとんど「取り扱い説明書」なメダルを、サナさんに渡すタイタスさん。 >余計な「愛国心」や「忠誠心」はなくても、「その人」を「恋愛」のフィルター越しで >見ている人に、判断をまかせるのはどうかと思いますが、タイタスさんとしては、 >サナさんに委ねたいのですね。 まあ、確かに恋愛というフィルター越しで見てるのもまた、正確な判断が下せるとは思えませんが、自分が関われないので第三者に任せようとしてます。 >>「やれやれ。前もそうだったが、人の想いってのは侮れねぇもんだな」 >>そう言って、ジゴマはニィッと笑みを浮かべた。 > >サナさんとカーライルさんの連携に、出し抜かれた感じのジゴマさん。 >侮れないけれど、だから面白いと思ってそうですね。 >……それにしても、相変わらずの不死身っぷり(笑) >でも、今回は何気に刺されたり、斬られたりが多いですね。 前回でも直接見てませんが、人形がそんなことしてましたから。 今回は前回以上に表に出てますから、その分切ったはったも多いです(笑) >>そのとき、ジゴマの貫手がカーライルの身体に潜り込んだ。 >>「さて、カーライル様。カーテンフォールでございます」 >>中でなにやら手が蠢き、カーライルの身体がビクリと痙攣した。 > >勿体ないけれど、これ以上勝手に動かれたら困るので停止、というところでしょうか。 そうですね。とりあえず強制終了と。 >>「ん、始まったか。どうやら”契約”は有効らしい」 >>空気の震えを感じ取り、タイタスは呟いた。 >>「さて・・・・・・久方ぶりの帰郷といきますか」 > >帰郷……ですか。タイタスさんは思いっきり関わりがあったのですね。 次で明らかになりますが、プレートが招く先に関わりがあります。 >>「ふむ、”案内人”が来よるか・・・・・・若いの、この勝負どうやら 持ち越しじゃの」 >>そうフー・マンチューが言った瞬間、館を中心に異様な空間の震えと歪みが発生し、包み込んだ。 > >そしてフー・マンチューさんも、しっかり関わりがある……と。(^_^;) >タイタスさんと知り合いなのですから、当然なのでしょうけれど。 >それにしても……ずっと二人の世界にいたのですね。 フー・マンチューもタイタスと同じような関係者です。 >>テラスの際から下を覗き込むと、その眼下には更に城の建物が続いていた。 >>その果ては測り知れなかった。 > >ゴットフリードさんがプレートを使った結果、とは分かっても、いきなり >全然知らないところに来ていたら、驚きますよね。 気が付いたらいきなり違う場所にたってますからね。 >>ジゴマは笑ってそう言ったが、ゼルガディスは微妙であった。なにせ優先順位から言って、一番下に当たる奴が一番最初に見つかったのだから。 > >優先順位……(笑) >当然一番はアメリアで、2番はフィルさん。3番目にサナさん(ケガしているので) >4番目辺りにゴットフリードさんがいて……何故か無意味に空位が続いて、 >最下位に(笑)ジゴマさんが配置されているのですね。 >真っ先に「どーでもいい奴」を見つけてしまう(遭遇してしまう)、 >間の悪さというか運の悪さ辺りが、ゼルだなあと思いました。 ジゴマはもう底辺も底辺ですから。というか気にも掛けていませんでした(笑) >>「何処とも知れぬ時、何処とも知れぬ場所にあるという果て無き巨大な石造りの城―――――恐らくここが伝説のゴーメンガーストでしょうな」 > >さすがのジゴマさんにとっても、聞いたことはあっても、来るのは初めての場所、 >ゴーメンガースト。どんなところなのでしょう。 >ジゴマさんは、ゼルをからかうより、珍しい体験が出来ると楽しんでいるようですね。 ジゴマも話にしか聞いたことがありません。 そして仰るとおり、珍しい体験が出来て愉しんでます。 >「ゴーメンガースト」……初めて知りました。ファンタジー……なのでしょうか。 >プレートを使ったことで現れた、というよりゴーメンガーストに飛ばされた感じですが、 >セイルーンの建国に役に立っていたわけですから、どんな力や秘密があるのやら。楽しみです。 >そして……多分、プレートを持っているゴットフリードさんは貴賓扱いかもしれませんが、 >それ以外の方々はどうなっているのか……。 >ゼルはアメリアと無事に会えるでしょうか。ケガをしているサナさんも心配ですし。 > >では、今日はこの辺で失礼いたします。 >続きをお待ちしています。 『ゴーメンガースト』はマーヴィン・ピークというイギリスの作家の作品です。 99年にBBCでドラマ化されたとのことですが、原作は読んだことないので、ほんと形だけ借りて自分勝手にアレンジしてます。 いきなり敵陣に飛び込んだような感じでもあるわけですから、他の人は大変かも。 それでは、どうもありがとうございました。 |
29681 | 異邦の彼方より (25) | 棒太郎 | 2004/3/24 00:33:22 |
記事番号29668へのコメント こんばんは、棒太郎です。 ようやく書こうと思ってた場面まで来ることが出来ました。 長い道のりでしたが、収拾のめどはまだ立ってません。 それでは続きをどうぞ。 ************************************* 『異邦の彼方より』 (25) 思考の停止した闇の中から、急速に意識が浮かび上がっていく。 ハッと覚醒した意識が、混乱した思考の中からも状況を確認しようとする。 「こ、ここは・・・・・?」 落ち着いた調度の部屋の中で、適度な柔らかさのベッドに寝かされているのを理解した。 上半身を起こしたゴットフリードは、額に手をあて、これまでのことを思い返した。 「確か・・・・・あのとき、プレートを――――」 Quo vadios 汝、何処へ行き給うや その一文と共に、突如プレートが何かに反応したようだった。 驚きの色を浮かべながらも、口は次々と言葉を詠唱するのをやめようとはしなかった。 どんどんと辺りの空間が振るえ、奇妙に歪んでいくのが感じられた。 『な!?これはっ!?』 『へぇ、こりゃ凄い』 驚きの声をあげ、身構えるゼルガディスに対し、ジゴマは相変わらず暢気な声を上げていた。 『くっ!』 空気が帯電したように緊張し、やがて空間の向こうから何かがやってくるように感じた。 空間の振るえと歪みに、意識も同調するかのように酩酊していく。 ”来たれ” そう声がしたように感じた瞬間、弾けるように意識は途絶えた。 「そうだ・・・・・他の皆は・・・・・・?」 そう気付いた時、ドアをノックする音が聞こえ、中に二人の男が入ってきた。 「気が付きましたか、ゴットフリードさん」 声をかけた人物は、彼のよく知る者であった。 「タ、タイタス・・・・?」 「斬りおとされた手首の具合もいいみたいですね。流石はプルーンスクワラー医師」 「ハハハ、それほどでもそれほどでも。褒めても何も出ませんよ、フワハハハ」 プルーンスクワラーと呼ばれた男は、気取ったような笑い声をあげた。 ゴットフリードは言われて、斬りおとされたはずの手が元通りにくっついていることに気が付いた。2,3度拳を握る動作をしたが、以前となんら変わりなかった。 「経過は良好みたいですな。結構結構。その分なら完治も早い」 笑ってそう言って、プルーンスクワラーは部屋を出て行った。 「タイタス・・・・・これは一体・・・・・?」 「まあまあ、順を追って話しましょうか」 ニッと笑って、ゴットフリードの横に腰掛けた。豪奢ともいえる礼服を着たタイタスは、ゴットフリードの知る彼とは違い、統治者としての威厳が備わっていた。 「ああ、サナさんなら安心してください。別の部屋でプルーンスクワラー医師の治療を受けて休んでます」 タイタスの心を読んだように、そう告げた。 「さて、改めましてようこそ。ゴットフリード=ヴァン=アーデンハイル卿。僕はこのゴーメンガースト城の第77代当主、タイタス=グローンと申します」 「ゴーメンガースト?」 ゼルガディスがジゴマに聞き返した。 「ええ、聞いたことはございませんか?迷宮のごとき巨大な石の城。ま、なかば突拍子のない御伽噺のようにとられておりますが。」 愉しげな笑みを浮かべそう言うジゴマに、ゼルガディスはこれまで目にしてきた文献の記憶を思い返した。 が、その”ゴーメンガースト”に関しては、聞いたような気もするし、そうでない気もした。 「この巨大な石造りの城が、この世界そのものなのですよ。その果ては誰も知らず、とね」 「ここは、異世界なのか?」 「ま、そうとも言えますでしょうね。やつがれたちの世界の空気ではございませんし」 「あのプレートがここへ?」 「そうでございましょう。案内人のようなものが現れましたからね。しかし、セイルーンの成り立ちにゴーメンガーストが関わっていたとは興味深い」 ニィッと笑ったジゴマであったが、ゼルガディスの意識は彼のほうを向いてはいなかった。 (アメリアとフィル王子は・・・・・・無事か?) 「当主・・・・・お前が・・・ここの・・・・・・?」 未だ頭は混乱していたが、ゴットフリードはなんとか呟きを発した。 「ええ。まあもっとも、僕が貴方の所にいたのと、貴方がプレートを集めていたのは本当に偶然なんですがね。」 「何故・・・・・私の所に・・・・・・?」 「僕は結構城を抜け出してあちこち行ってましてね。まあ、当主として見聞を広めておくのは重要だと思ってますので。貴方の領地に来て、貴方の人柄を気に入りましてね。少し傍で見させてもらおうと思いまして。」 タイタスがそう言ったとき、部屋のドアが開きまた人影が入ってきた。 「ひょ、ひょ。気が付いたかい。領主殿」 猿を思わせる小柄な老人――フー・マンチューであった。 「な!?何故、貴方もここに!?」 驚きの声を上げるゴットフリードに、フー・マンチューはカラカラと笑みを浮かべた。 「なぁに、わしゃ、元々ここの住人じゃ」 「この城は無数の部屋を有していましてね。僕もその果てはよく知らないんですよ。貴方のご先祖はどういう経緯か知りませんが、当時のゴーメンガーストの当主と契約を結んでいましてね。この城の住人の力を借りて、周りの列強国の脅威から国を守り抜いたようですよ」 タイタスの言葉に、ゴットフリードは納得した。 フー・マンチューのような者が数人いるだけでも、物凄い脅威と成り得るだろう。確かに、現王家がその力を借りて更なる領土の拡大を、と言うのも分かる気がした。 「それにしてもタイタスよ。案内人にもう少し、融通を利かすようにできんか?」 「おや、どうしました?フー大人」 「どうしたもこうしたもあるかい。折角久方ぶりに出会えた燃える相手がどっか行ってしまったわい。それにあそこにいた者もみんな、こちらにやって来とるわ」 「なっ!?」 フー・マンチューの言葉にゴットフリードは驚いた。 「ま、まさか、フィリオネル王子やアメリア様も!?」 「それはちょっと困りましたね。とりあえず危害を加えないようには伝えますが、どの辺りにいるのやら」 やれやれと肩を竦めてタイタスは椅子から立ち上がった。 「う・・・・・・」 朦朧とした意識の混濁から、アメリアは目を覚ました。 「おお、気が付いたか。アメリア」 「父さん!」 傍に腰掛けていたフィリオネルが、目を覚ました娘に声をかけた。 「父さん・・・・・ここは?」 「分からん。気が付いたときには我々はここに居た」 アメリアは周りを見回した。 そこは自分達の城の倍はあろうかという、大きな回廊であった。 床には厚手の赤い絨毯が敷かれ、遥か先まで続いていた。 天井には豪華な造りのシャンデリアが等間隔に吊るされていた。 「ゼルガディスさんたちは無事かしら・・・・・・」 アメリアが心配そうな声を上げた。 そのとき――― 「あら珍しい。誰なのかしら?」 「あら珍しい。誰なのかしら?」 ステレオサウンドで声が聞こえてきた。 周りを見回しても誰も居ない。 「そういえば、タイタスが客人を連れて来ていたけれど関係があるのかしら?」 「そういえば、タイタスが客人を連れて来ていたけれど関係があるのかしら?」 また声は聞こえてくる。 声の所在を探していたが、ふと上を見上げてアッと声を上げた。 二人の女性が天井を地面のようにして立っていた。 豪華な白いドレスを着た女性達の姿はまるで瓜二つであった。 「どうやら”外”の世界の者のようね」 「どうやら”外”の世界の者のようね」 全く同じ声で、同時に言葉を発し、笑った。 「貴女方はここの館の者ですか?」 フィリオネルが女性達に声をかけた。 「私はセイルーン王国第一王子のフィリオネル、この娘は私の娘でアメリアと申す」 だが、フィリオネルの名乗りにも二人の女性は何やら別のことを話していた。 「クラリス、どうしましょうか?」 「コーラ、どうしましょうか?」 互いにクラリス、コーラと呼んだ女性達は、ひそひそとなにやら話していたかと思うと、やがてにこりと笑みを浮かべた。 「とりあえず排除しましょう」 「とりあえず排除しましょう」 そう言うや、二人は懐から大きな扇を取り出し、開いた。 扇の骨のひとつひとつが鋭い刃となっている物騒なものであった。 「それじゃあ♪」 「それじゃあ♪」 そう言うと、二つの影は天井を蹴って、フィリオネルとアメリアに向かっていった。 ************************************* 続きでした。 のっけからアメリアとフィルさん、ピンチです。 まだ城の住人は出てくるかもしれませんが、原作も住人は奇妙な奴らばかりのようなので、奇妙な者にしていきたいです。 それではまた次回。 |
29692 | 超時空要塞……(笑) | エモーション E-mail | 2004/3/24 22:12:41 |
記事番号29681へのコメント ……でも、実はまともに見たことないです、「マクロス」(笑) 「霧のむこうは不思議の国でした……」の方が良かったかな。 「ゼルとアメリアの神隠し(爆)」ということで。(何だそりゃ) 棒太郎様、こんばんは。 連日の投稿ですね(^.^) 伝説の「ゴーメンガースト」は……不思議と言うより妙な方々の住まうところのようで……(^_^;) レスをお読みして、先程、検索をしてみましたが、作者の死去により、 未完に終わった作品だったのですね。(最終巻の覚え書きは残っているそうですが) BBC製作のドラマ……見てみたいですね。NHKBS辺りで放送しないかな。 BBCだから、かなり凝っているでしょうね。(ホームズもポアロも、キャスティングどころか、 些細な小道具一つに至るまで、滅茶苦茶凝ってましたからね) >「気が付きましたか、ゴットフリードさん」 >声をかけた人物は、彼のよく知る者であった。 >「タ、タイタス・・・・?」 >「斬りおとされた手首の具合もいいみたいですね。流石はプルーンスクワラー医師」 >「ハハハ、それほどでもそれほどでも。褒めても何も出ませんよ、フワハハハ」 >プルーンスクワラーと呼ばれた男は、気取ったような笑い声をあげた。 >ゴットフリードは言われて、斬りおとされたはずの手が元通りにくっついていることに気が付いた。2,3度拳を握る動作をしたが、以前となんら変わりなかった。 やはりプレート持っていたゴットフリードさんは貴賓扱いでしたか。 それにしても、あの切り落とされた腕をくっつけてしまう……。 現代医学でもなかなか出来そうにないどころか、ほとんど不都合を感じさせない……。これだけでも凄い技術ですね。 スレ世界なら……高レベルの技術を持つ魔法医数人がかりで行えば、出来そうな気もしますが、 患部がおかしくなる前に、そのレベルの魔法医にかかれるような状況にいないとダメでしょうしね。 >ニッと笑って、ゴットフリードの横に腰掛けた。豪奢ともいえる礼服を着たタイタスは、ゴットフリードの知る彼とは違い、統治者としての威厳が備わっていた。 >「ああ、サナさんなら安心してください。別の部屋でプルーンスクワラー医師の治療を受けて休んでます」 >タイタスの心を読んだように、そう告げた。 >「さて、改めましてようこそ。ゴットフリード=ヴァン=アーデンハイル卿。僕はこのゴーメンガースト城の第77代当主、タイタス=グローンと申します」 思いっきり今回の重要人物ですね、タイタスさん。 そして実は何気に身分高いと。 >「ええ、聞いたことはございませんか?迷宮のごとき巨大な石の城。ま、なかば突拍子のない御伽噺のようにとられておりますが。」 >愉しげな笑みを浮かべそう言うジゴマに、ゼルガディスはこれまで目にしてきた文献の記憶を思い返した。 >が、その”ゴーメンガースト”に関しては、聞いたような気もするし、そうでない気もした。 ゴーメンガーストに関しては、スレ世界でもほとんど、知る人ぞ知る、な知識なのでしょうね。 大概はおとぎ話としか思わないでしょうし、レゾがおとぎ話くらいしか思っていなければ、 ゼルが重要な知識として気にかけることもないでしょうから。 >「この巨大な石造りの城が、この世界そのものなのですよ。その果ては誰も知らず、とね」 何故か某イ○ルローンを思い出しました。球形で一応限界はありますが(^_^;) >「な!?何故、貴方もここに!?」 >驚きの声を上げるゴットフリードに、フー・マンチューはカラカラと笑みを浮かべた。 >「なぁに、わしゃ、元々ここの住人じゃ」 >「この城は無数の部屋を有していましてね。僕もその果てはよく知らないんですよ。貴方のご先祖はどういう経緯か知りませんが、当時のゴーメンガーストの当主と契約を結んでいましてね。この城の住人の力を借りて、周りの列強国の脅威から国を守り抜いたようですよ」 部屋ごとにいろんな住人がいるのでしょうか。 そしてフー・マンチューさんもこちらの方……。 本当に、このレベルの方がごろごろいたら、堪りませんね(汗) 旧王家の方々は、初めは「他国の脅威から国を守る」ために住人の協力を 得ていたとしても、そのうち自分たちでもその力が怖くなったのではないかと思いました。 また、他国の脅威に晒されなくなった代わりに、逆に周囲の国から孤立したんじゃないかとも。 異常なまでに強すぎて、今度は逆にセイルーンの他国への侵略等が警戒されるでしょうから、 周囲の国々が「対セイルーン」の包囲網のような同盟を結んでもおかしくないですし。 内陸の国だけに、セイルーンはこれをやられたらキツイでしょうね。 >「それにしてもタイタスよ。案内人にもう少し、融通を利かすようにできんか?」 >「おや、どうしました?フー大人」 >「どうしたもこうしたもあるかい。折角久方ぶりに出会えた燃える相手がどっか行ってしまったわい。それにあそこにいた者もみんな、こちらにやって来とるわ」 >「なっ!?」 >フー・マンチューの言葉にゴットフリードは驚いた。 >「ま、まさか、フィリオネル王子やアメリア様も!?」 >「それはちょっと困りましたね。とりあえず危害を加えないようには伝えますが、どの辺りにいるのやら」 >やれやれと肩を竦めてタイタスは椅子から立ち上がった。 案内人……あの霧みたいなもののこと……でしょうか。 それにしてもあの場にいた者、全員を無差別に連れてくる……。 確かに融通きかせた方が良いのかも……。 >朦朧とした意識の混濁から、アメリアは目を覚ました。 >「おお、気が付いたか。アメリア」 >「父さん!」 >傍に腰掛けていたフィリオネルが、目を覚ました娘に声をかけた。 >「父さん・・・・・ここは?」 >「分からん。気が付いたときには我々はここに居た」 基本的に、あの時近くにいた者は一緒にいるようですね。 一人きりじゃなかっただけ、マシでしょうか。 >「そういえば、タイタスが客人を連れて来ていたけれど関係があるのかしら?」 >「そういえば、タイタスが客人を連れて来ていたけれど関係があるのかしら?」 >また声は聞こえてくる。 >声の所在を探していたが、ふと上を見上げてアッと声を上げた。 >二人の女性が天井を地面のようにして立っていた。 >豪華な白いドレスを着た女性達の姿はまるで瓜二つであった。 >「どうやら”外”の世界の者のようね」 >「どうやら”外”の世界の者のようね」 >全く同じ声で、同時に言葉を発し、笑った。 ……「幸せ荘のオコジョさん」に出てきた双子を思い出しました。 「へ〜んなの〜。へ〜んなの〜」とゆらゆら踊る妙なお子様を。 何にせよ、リアルでやられたらうんざりしそうですね、この光景。 >「貴女方はここの館の者ですか?」 >フィリオネルが女性達に声をかけた。 >「私はセイルーン王国第一王子のフィリオネル、この娘は私の娘でアメリアと申す」 さすがに、フィルさんは礼儀正しいですね。 >「とりあえず排除しましょう」 >「とりあえず排除しましょう」 >そう言うや、二人は懐から大きな扇を取り出し、開いた。 >扇の骨のひとつひとつが鋭い刃となっている物騒なものであった。 >「それじゃあ♪」 >「それじゃあ♪」 >そう言うと、二つの影は天井を蹴って、フィリオネルとアメリアに向かっていった。 あああああああ、何でいきなり「排除しましょう」に(汗)しかも、何か楽しそう(滝汗) 固有名詞以外はハモリまくった言動だけでも、頭痛そうな気分になると思うのに、 この思考回路もよく分からない(汗) まさに「常に最悪の事態を想定して行動しろ。奴はその斜め上を行く(by「レベルE」)」ですね。 フィルさんとアメリアピンチです。タイタスさんの通達が間に合うか、 ゼルが愛のパワー(笑)で駆けつけるか、通りすがりのリュウゼンさんが現れるか、 さて、どうなるでしょう。 >続きでした。 >のっけからアメリアとフィルさん、ピンチです。 >まだ城の住人は出てくるかもしれませんが、原作も住人は奇妙な奴らばかりのようなので、奇妙な者にしていきたいです。 >それではまた次回。 今回も楽しませていただきました。 それにしても……城の住人、もしかしてみんな「斜め上」の方々ですか……(汗) それはちょっと違う意味で怖いぞ、ゴーメンガースト(^_^;) ……そしてタイタスさんはその総元締め(笑) さて、ゼルは無事にアメリアと再会出来るのでしょうか。 続きが楽しみです。 それでは、今日はこの辺で失礼いたします。 |
29702 | ヤック・デカルチャ | 棒太郎 | 2004/3/25 22:12:22 |
記事番号29692へのコメント >……でも、実はまともに見たことないです、「マクロス」(笑) >「霧のむこうは不思議の国でした……」の方が良かったかな。 >「ゼルとアメリアの神隠し(爆)」ということで。(何だそりゃ) > >棒太郎様、こんばんは。 > >連日の投稿ですね(^.^) >伝説の「ゴーメンガースト」は……不思議と言うより妙な方々の住まうところのようで……(^_^;) >レスをお読みして、先程、検索をしてみましたが、作者の死去により、 >未完に終わった作品だったのですね。(最終巻の覚え書きは残っているそうですが) >BBC製作のドラマ……見てみたいですね。NHKBS辺りで放送しないかな。 >BBCだから、かなり凝っているでしょうね。(ホームズもポアロも、キャスティングどころか、 >些細な小道具一つに至るまで、滅茶苦茶凝ってましたからね) こんばんは、エモーションさん。 わたしも「マクロス」はきちんと見たことないです。ただ「デカルチャー!」と言う言葉はよく覚えてます。 「ゴーメンガースト」は3部作まで出てますが、その後は作者の死去で未完の大作となっております。 BBCのドラマ、ゴーメンガーストの使用人筆頭を演じるのはあのクリストファー・リーだそうです。 >>プルーンスクワラーと呼ばれた男は、気取ったような笑い声をあげた。 >>ゴットフリードは言われて、斬りおとされたはずの手が元通りにくっついていることに気が付いた。2,3度拳を握る動作をしたが、以前となんら変わりなかった。 > >やはりプレート持っていたゴットフリードさんは貴賓扱いでしたか。 >それにしても、あの切り落とされた腕をくっつけてしまう……。 >現代医学でもなかなか出来そうにないどころか、ほとんど不都合を感じさせない……。これだけでも凄い技術ですね。 >スレ世界なら……高レベルの技術を持つ魔法医数人がかりで行えば、出来そうな気もしますが、 >患部がおかしくなる前に、そのレベルの魔法医にかかれるような状況にいないとダメでしょうしね。 ゴーメンガーストの道を開いたのは彼ですし、タイタスもいますから。 ここは奇妙な住人ばかりですから、技術もスレ世界では測れない面もあります。 >>「さて、改めましてようこそ。ゴットフリード=ヴァン=アーデンハイル卿。僕はこのゴーメンガースト城の第77代当主、タイタス=グローンと申します」 > >思いっきり今回の重要人物ですね、タイタスさん。 >そして実は何気に身分高いと。 重要人物です、タイタス。 セイルーンの成立に大きな力となったゴーメンガーストの総大将ですし。 >>愉しげな笑みを浮かべそう言うジゴマに、ゼルガディスはこれまで目にしてきた文献の記憶を思い返した。 >>が、その”ゴーメンガースト”に関しては、聞いたような気もするし、そうでない気もした。 > >ゴーメンガーストに関しては、スレ世界でもほとんど、知る人ぞ知る、な知識なのでしょうね。 >大概はおとぎ話としか思わないでしょうし、レゾがおとぎ話くらいしか思っていなければ、 >ゼルが重要な知識として気にかけることもないでしょうから。 異世界のことですし、そうそいけるところではありませんから。 >>「この巨大な石造りの城が、この世界そのものなのですよ。その果ては誰も知らず、とね」 > >何故か某イ○ルローンを思い出しました。球形で一応限界はありますが(^_^;) 原作読んでないのでよく知りませんが、果てはないようにしています。 >>「この城は無数の部屋を有していましてね。僕もその果てはよく知らないんですよ。貴方のご先祖はどういう経緯か知りませんが、当時のゴーメンガーストの当主と契約を結んでいましてね。この城の住人の力を借りて、周りの列強国の脅威から国を守り抜いたようですよ」 > >部屋ごとにいろんな住人がいるのでしょうか。 >そしてフー・マンチューさんもこちらの方……。 >本当に、このレベルの方がごろごろいたら、堪りませんね(汗) >旧王家の方々は、初めは「他国の脅威から国を守る」ために住人の協力を >得ていたとしても、そのうち自分たちでもその力が怖くなったのではないかと思いました。 >また、他国の脅威に晒されなくなった代わりに、逆に周囲の国から孤立したんじゃないかとも。 >異常なまでに強すぎて、今度は逆にセイルーンの他国への侵略等が警戒されるでしょうから、 >周囲の国々が「対セイルーン」の包囲網のような同盟を結んでもおかしくないですし。 >内陸の国だけに、セイルーンはこれをやられたらキツイでしょうね。 この城に様々な人間が住んでいます。 フー・マンチューもタイタスのようにちょくちょく外へ出かけていってます。 その一端で、裏世界で暴れてみたりしてます。 旧王家の反応は、そんな感じだと思います。軽々しく用いてはならないと思ったんでしょうね。抑止力として使っていましたが。 >>「ま、まさか、フィリオネル王子やアメリア様も!?」 >>「それはちょっと困りましたね。とりあえず危害を加えないようには伝えますが、どの辺りにいるのやら」 >>やれやれと肩を竦めてタイタスは椅子から立ち上がった。 > >案内人……あの霧みたいなもののこと……でしょうか。 >それにしてもあの場にいた者、全員を無差別に連れてくる……。 >確かに融通きかせた方が良いのかも……。 案内人、姿は見せてませんが。あまりに久しぶりなので、つい力が大きくなってしまった、というところです。 >>「父さん・・・・・ここは?」 >>「分からん。気が付いたときには我々はここに居た」 > >基本的に、あの時近くにいた者は一緒にいるようですね。 >一人きりじゃなかっただけ、マシでしょうか。 次の展開を考えると、そうですね。 >>「どうやら”外”の世界の者のようね」 >>「どうやら”外”の世界の者のようね」 >>全く同じ声で、同時に言葉を発し、笑った。 > >……「幸せ荘のオコジョさん」に出てきた双子を思い出しました。 >「へ〜んなの〜。へ〜んなの〜」とゆらゆら踊る妙なお子様を。 >何にせよ、リアルでやられたらうんざりしそうですね、この光景。 どういう話か気になりますね、「幸せ荘のオコジョさん」。 確かにリアルでやられたら、ブチギレそうですね。 >>「貴女方はここの館の者ですか?」 >>フィリオネルが女性達に声をかけた。 >>「私はセイルーン王国第一王子のフィリオネル、この娘は私の娘でアメリアと申す」 > >さすがに、フィルさんは礼儀正しいですね。 人間できた人は礼儀もきちんとしているでしょうから。 >>「とりあえず排除しましょう」 >>「とりあえず排除しましょう」 >>そう言うや、二人は懐から大きな扇を取り出し、開いた。 >>扇の骨のひとつひとつが鋭い刃となっている物騒なものであった。 >>「それじゃあ♪」 >>「それじゃあ♪」 >>そう言うと、二つの影は天井を蹴って、フィリオネルとアメリアに向かっていった。 > >あああああああ、何でいきなり「排除しましょう」に(汗)しかも、何か楽しそう(滝汗) >固有名詞以外はハモリまくった言動だけでも、頭痛そうな気分になると思うのに、 >この思考回路もよく分からない(汗) >まさに「常に最悪の事態を想定して行動しろ。奴はその斜め上を行く(by「レベルE」)」ですね。 >フィルさんとアメリアピンチです。タイタスさんの通達が間に合うか、 >ゼルが愛のパワー(笑)で駆けつけるか、通りすがりのリュウゼンさんが現れるか、 >さて、どうなるでしょう。 物騒なこと言ってますが、本人達は遊びの感覚です。 つまり、珍しいオモチャみたいに見られてますね。フィルさんとアメリア。 さて誰がこのピンチに駆けつけてくるでしょうか。お楽しみに。 >>続きでした。 >>のっけからアメリアとフィルさん、ピンチです。 >>まだ城の住人は出てくるかもしれませんが、原作も住人は奇妙な奴らばかりのようなので、奇妙な者にしていきたいです。 >>それではまた次回。 > >今回も楽しませていただきました。 >それにしても……城の住人、もしかしてみんな「斜め上」の方々ですか……(汗) >それはちょっと違う意味で怖いぞ、ゴーメンガースト(^_^;) >……そしてタイタスさんはその総元締め(笑) >さて、ゼルは無事にアメリアと再会出来るのでしょうか。 >続きが楽しみです。 >それでは、今日はこの辺で失礼いたします。 原作はどれほどか知りませんが、わたしのやつの場合はみんな「レベルE」と思ってもらってもいいかもしれません。 そんな連中の大将やってるタイタス、だからこそ一癖も二癖もあるのかも。ある意味ジゴマといい勝負かもしれません。 それでは、どうもありがとうございました。 |
29723 | 異邦の彼方より (26) | 棒太郎 | 2004/3/30 17:36:28 |
記事番号29668へのコメント こんにちは、棒太郎です。 ここ最近疲れが溜まっているのか、異様に身体が重いです。 ああ、何処か遠くへ行きたい・・・・・・・ それでは続きをどうぞ。 ************************************* 『異邦の彼方より』 (26) 「それじゃあ♪」 「それじゃあ♪」 ハモッた声をあげて、二人の女性――クラリスとコーラは、天井を蹴ってフィリオネルとアメリアに襲い掛かった。 「むっ!?」 アメリアを背後に庇うようにして、フィリオネルは身構える―――が、二つの影は軌道の途中で空を蹴って、左右に分かれた。 「♪」 「♪」 右と左から僅かの遅れもなく、同時に斬撃が襲い掛かった。 身を捻り、フィリオネルは見事にその攻撃を躱すが、左右からの挟撃は止むことなく襲い掛かってきた。 「とうさん!」 アメリアが父の名を叫ぶと、クラリスとコーラは今度はアメリアに向かっていった。 「アメリアッ!!」 フィリオネルが二人の後を追う。 クラリスとコーラが、ちょうどアメリアのところで交わるように扇を構え、突進した。 「っ!?」 アメリアが身構えるより僅かに早く、二つの影がクロスしようとした。 だがその瞬間、二つの影は力のベクトルが逆に働いたように、後方に大きく吹き飛んだ。 「きゃっ!?」と声を上げながらもなんとか体勢を立て直して、地面に着地した。 「一体何かしら?」 「一体何かしら?」 そう顔を上げたその視線の先に、一人の老人が立っていた。 「お、おじいさん・・・・・?」 アメリアは呆然とした驚きの声を上げた。目の前にあの老人――フー・マンチューが立っていた。 「二人とも、タイタスからの通達じゃ。この者たちに手出ししてはならん」 フー・マンチューの言葉に、ふたりは口を尖らせて不満気な声を上げた。 「折角の楽しい遊び相手なのに」 「折角の楽しい遊び相手なのに」 ぶつくさと呟くふたりに、フー・マンチューが鋭い視線を向けた。 「そんなに遊びたいのなら、ワシが遊び相手になってやるがの」 その言葉を聞くや、ふたりはバツの悪そうな顔をして、そそくさと滑るように廊下の奥へと消えていった。 「やれやれ、仕様のない双子じゃ」 ひとつ呟くと、アメリアとフィリオネルの方を振り向き、いつもの笑みを浮かべた。 「ひょ、ひょ。すまんかったのぅ、二人とも。まぁ、勘弁しておくれ」 「おじいさんがどうして此処にいるんですか!?」 「ひょ、ひょ、ひょ。ワシャ、もともと此処の住人じゃてな」 「御老人・・・・・此処は一体どこなのだ?」 「ま、おいおい話すわい。ひとまずは連れを探さんといかんじゃろ?あのキメラの若いの――――」 フー・マンチューの言葉に、アメリアはハッとなった。 「ゼルガディスさんはどこにいるんですか!?」 「そう遠くにはおらんよ。ワシも久々の好敵手を探しとるところじゃて」 ついてくるがええ―――そう言って歩き出したフー・マンチューの後姿を、アメリアとフィリオネルは追いかけていった。 「くそ!どうなってるんだ、この城は!」 怒りの声を上げながら、ゼルガディスは城の中を進んでいた。 アメリアとフィリオネルの姿を求めて、先程から城の内外を捜し歩いているが、何処を行っても、石、石、石の集合体が続いていた。 セイルーンの王宮の倍はありそうな空間がどこまでも続いている。 その果てのなさに、ゼルガディスは苛立った声を上げているのだった。 「まあ、今までごくごく僅かの者しか来たことがないでしょうからねぇ。此処の住人でさえもその果てを知っているのかどうか―――」 愉しげな声の色を隠そうともせずに、ゼルガディスのすぐ後ろに連いているからくり師のジゴマが言った。 彼でさえ初めてお目にかかるというこの”ゴーメンガースト”に、なにやらジゴマの心は弾んでいるようにも思えて、ゼルガディスは憮然とした表情を露わにした。 別段どーでもいい奴が真っ先に見つかって、肝心の本命がなかなか見つからない今の状況に、眉間に皺が寄ってくる。 そうした運の悪さを感じながら、先にある扉を開けると、そこは幾つめかの中庭であった。 レンガの敷き詰めた歩道の左右に広い花壇があり、折々の花が咲き誇り、周りには幾つもの木々があり、その枝を大きく伸ばしていた。 「おや?”外”からの客人とは珍しい♪」 不意に声が聞こえ、丸テーブルと椅子の置かれた木の上から、ひとつの影が降りてきた。 白のシャツの上に、ブラウンのベストを着、赤い蝶ネクタイを締め、シルクハットを被った男が、ニッと笑みを浮かべて立っていた。 此処に来て、初めて会う人であった。 「お前は・・・・・・この城の者か?」 ゼルガディスは左手を腰の剣にかけながら、静かに問いかけた。 「いかにもその通りで。アタシはゴーメンガーストの住人、”帽子屋”マッド・ハッターと言います♪」 男――マッド・ハッターは帽子に手をあて、軽く会釈した。 「このゴーメンガースト以外の人間は本当に久しぶりだ。久々に”マッド・ティー・パーティー”ができますな♪」 そう言ってマッド・ハッターが笑った瞬間、ゼルガディスは剣を抜いて身構えた。 奇妙な雰囲気に、これまで幾度となく修羅場を潜り抜けたゼルガディスの身体が反応したのだった。 その後ろではジゴマが、この状況に愉しげな笑みを浮かべていた。 「今日はアタシの誕生日じゃないが、それでもパーティーはパーティー。パァッといきましょ♪」 マッド・ハッターの右手にはティーカップが握られていた。 「?」 ゼルガディスがいぶかしむ間もなく、そのティーカップから大量の液体が溢れ出した。そしてそれは生き物の如く、ゼルガディスたちに襲い掛かった。 「くっ!?」 かろうじてゼルガディスは横へ飛び退いた。液体に触れたマントの裾が、食いちぎられたように破れた。 「なにっ!?」 「ただの液体じゃございませんねぇ」 ふむ、と暢気にジゴマが呟いた時、その背後から液体が覆いかぶさった。 「ジゴマッ!?」 ジゴマを包んだ液体は、ジゴマの身体を砕きながら圧縮していった。 肉が飛び散り、骨が砕ける音が響きながら、液体はティーカップの中へ戻り、ティーカップは赤茶色の液体に満たされていた。 「まずは乾杯といきましょうか♪」 そう言うと、マッド・ハッターはティーカップに口付け、中の液体を飲み下した。 「っ!?」 途端、マッド・ハッターは大きく咽びかえった。 「な、なんだ、これは!?これは人間じゃな―――」 「煮ても焼いても食えない奴―――ってとこでしょうかねぇ」 上から声がするのを見上げると、木の枝にジゴマが腰掛け、ニヤリと笑っていた。 それを見たマッド・ハッターは、口元を押さえながら再びティーカップをジゴマに向けたが、その瞬間銀光が宙を疾った。 「え―――?」 ザンッと何かが通り抜けてような感覚が走ったかと思うと、マッド・ハッターの視界が上下にずれた。 それを認識する間もなく、彼の身体は縦に真っ二つに割れて、地面に倒れた。 「兜割りの秘剣ってやつですかね。相変わらず見事なものですなぁ」 ジゴマが感心した声を上げた先、マッド・ハッターの背後に当たる位置に、黒笠を被った青年が剣を振り下ろした体勢で立っていた。 (こ・・・この男・・・・・・) 先程の青年の一刀に、ゼルガディスの身体に戦慄が走った。 柔らかい胴を横一文字に真っ二つにするならばともかく、縦に斬るのは容易ではない。頭蓋骨に食い込み、途中で止まってしまうからだ。 しかし、青年の剣はまるで紙を切るように、二つに断ち切ってしまったのだった。 (強い・・・・・ガウリイの旦那以上か・・・・・・) 「リュウゼンさん、お前さんも無事で良かった。ま、お前さんをどうにかできる奴なんてそうはいないだろうが―――」 木の枝から飛び降りたジゴマが、背中に背負った櫃を下ろし、その蓋を開けた時、 「ひょ、ひょ。流石よのぅ」 中庭の入り口にフー・マンチューが立っていた。 「マッド・ハッターをああも簡単にあしらうとはの。ひょ、ひょ、ほんに血が躍るわい」 ニィッと笑ったフー・マンチューにゼルガディスが思わず剣を構えた。そのとき、フー・マンチューの背後からふたつの影が現れた。 「ゼルガディスさん!!」 「!?アメリアッ!フィル王子!」 「とりあえず再会できたの。とは言え、まだ根本的なことが解決しとらんがの」 再会を果たしたゼルガディスたちを他所に、フー・マンチューの言葉が静かに響いた。 ************************************* 続きでした。 とりあえず、無事再会できました。 今回出てきたマッド・ハッターは『不思議の国のアリス』の帽子屋をモデルにしました。 今見てみるとあの物語って結構不条理ドラマですね。 それに作者のルイス・キャロルってロリコンだと聞きました。 それではまた次回。 |
29728 | Re:異邦の彼方より (26) | エモーション E-mail | 2004/3/31 00:30:25 |
記事番号29723へのコメント 棒太郎様、こんばんは。 続きをお待ちしていました♪ お疲れですか……。年度末ですしね。 無理をせず、ゆっくり体を休めてくださいませ。 >右と左から僅かの遅れもなく、同時に斬撃が襲い掛かった。 >身を捻り、フィリオネルは見事にその攻撃を躱すが、左右からの挟撃は止むことなく襲い掛かってきた。 娘のアメリアを庇い、尚かつW攻撃を避ける……。 修業の旅などをしていただけあって、さすがです、フィルさん。 でも相手が女性だけに、フィルさんとしては反撃しづらいでしょうね。 >「一体何かしら?」 >「一体何かしら?」 >そう顔を上げたその視線の先に、一人の老人が立っていた。 >「お、おじいさん・・・・・?」 >アメリアは呆然とした驚きの声を上げた。目の前にあの老人――フー・マンチューが立っていた。 >「二人とも、タイタスからの通達じゃ。この者たちに手出ししてはならん」 アメリアの危機に間に合ったのは、フー・マンチューさんでしたか。 通達込みなので、半分予想が外れ、半分当たり♪(←待て、こら) また、確かに「通達」を告げて歩くのに、もっとも適している人選ですね。 >「折角の楽しい遊び相手なのに」 >「折角の楽しい遊び相手なのに」 >ぶつくさと呟くふたりに、フー・マンチューが鋭い視線を向けた。 >「そんなに遊びたいのなら、ワシが遊び相手になってやるがの」 >その言葉を聞くや、ふたりはバツの悪そうな顔をして、そそくさと滑るように廊下の奥へと消えていった。 さすがにこの双子もフー・マンチューさんと「遊ぶ」気はないのですね。 >「ま、おいおい話すわい。ひとまずは連れを探さんといかんじゃろ?あのキメラの若いの――――」 >フー・マンチューの言葉に、アメリアはハッとなった。 >「ゼルガディスさんはどこにいるんですか!?」 >「そう遠くにはおらんよ。ワシも久々の好敵手を探しとるところじゃて」 >ついてくるがええ―――そう言って歩き出したフー・マンチューの後姿を、アメリアとフィリオネルは追いかけていった。 ある意味、一番の護衛かも……。フー・マンチューさんは、リュウゼンさんを 探したかったこともあって、「通達」を告げて回る役になったのでしょうか。 >彼でさえ初めてお目にかかるというこの”ゴーメンガースト”に、なにやらジゴマの心は弾んでいるようにも思えて、ゼルガディスは憮然とした表情を露わにした。 >別段どーでもいい奴が真っ先に見つかって、肝心の本命がなかなか見つからない今の状況に、眉間に皺が寄ってくる。 延々と続く似たような風景。しかも本命はなかなか見つからず、一緒にいるのは、 今のところは敵じゃなくて、知らない相手よりはマシという程度の怪しい人物。 とどめに「交友値(笑)0」ですからね。 これは確かに苛つきます。がんばれ、ゼル。 >「お前は・・・・・・この城の者か?」 >ゼルガディスは左手を腰の剣にかけながら、静かに問いかけた。 >「いかにもその通りで。アタシはゴーメンガーストの住人、”帽子屋”マッド・ハッターと言います♪」 >男――マッド・ハッターは帽子に手をあて、軽く会釈した。 >「このゴーメンガースト以外の人間は本当に久しぶりだ。久々に”マッド・ティー・パーティー”ができますな♪」 >そう言ってマッド・ハッターが笑った瞬間、ゼルガディスは剣を抜いて身構えた。 >奇妙な雰囲気に、これまで幾度となく修羅場を潜り抜けたゼルガディスの身体が反応したのだった。 >その後ろではジゴマが、この状況に愉しげな笑みを浮かべていた。 人の話を聞かない「斜め上」の方々、その2、ですね(^_^;) とっさに身構えるゼル。警戒色バリバリになってしまう空気を感じたのですね。 そしてやはり楽しげなジゴマさん……。ほとんど観光気分なのでは(^_^;) >ゼルガディスがいぶかしむ間もなく、そのティーカップから大量の液体が溢れ出した。そしてそれは生き物の如く、ゼルガディスたちに襲い掛かった。 >「くっ!?」 >かろうじてゼルガディスは横へ飛び退いた。液体に触れたマントの裾が、食いちぎられたように破れた。 >「なにっ!?」 >「ただの液体じゃございませんねぇ」 硫酸、のようなものでしょうか。スレ世界にはなさそうな代物ですので、 見たら驚きますね。……分かってても驚きつつ、激しく嫌ですが。 >ジゴマを包んだ液体は、ジゴマの身体を砕きながら圧縮していった。 >肉が飛び散り、骨が砕ける音が響きながら、液体はティーカップの中へ戻り、ティーカップは赤茶色の液体に満たされていた。 >「まずは乾杯といきましょうか♪」 >そう言うと、マッド・ハッターはティーカップに口付け、中の液体を飲み下した。 ……すいません。真っ先に「原材料がジゴマさんな飲み物なんて、飲んだら お腹壊しそう」と思いました。 >ザンッと何かが通り抜けてような感覚が走ったかと思うと、マッド・ハッターの視界が上下にずれた。 >それを認識する間もなく、彼の身体は縦に真っ二つに割れて、地面に倒れた。 >「兜割りの秘剣ってやつですかね。相変わらず見事なものですなぁ」 >ジゴマが感心した声を上げた先、マッド・ハッターの背後に当たる位置に、黒笠を被った青年が剣を振り下ろした体勢で立っていた。 リュウゼンさん、登場……。 とりあえず今の〃帽子屋〃への攻撃は、ジゴマさんの命令でしょうか。 厄介な方でしたが、とりあえず〃帽子屋〃さんへ、合掌。 >先程の青年の一刀に、ゼルガディスの身体に戦慄が走った。 >柔らかい胴を横一文字に真っ二つにするならばともかく、縦に斬るのは容易ではない。頭蓋骨に食い込み、途中で止まってしまうからだ。 >しかし、青年の剣はまるで紙を切るように、二つに断ち切ってしまったのだった。 >(強い・・・・・ガウリイの旦那以上か・・・・・・) ゼルとしては「できれば戦いたくない」と思う相手、でしょうね。 相変わらず見事なリュウゼンさんの剣技。 別れた時点での、ガウリイの腕しか知らないゼルから見れば、確かにガウリイ以上の腕、 と判断しますよね。……まさかそのガウリイがリュウゼンさんと同じレベルに なっているとは、さすがに思わないでしょうし。 >「リュウゼンさん、お前さんも無事で良かった。ま、お前さんをどうにかできる奴なんてそうはいないだろうが―――」 ……今一瞬、笑いながら攻撃してくるゴーメンガーストの住人を、冷静に 斬って歩いているリュウゼンさんが脳裏に浮かびました……。 >「マッド・ハッターをああも簡単にあしらうとはの。ひょ、ひょ、ほんに血が躍るわい」 >ニィッと笑ったフー・マンチューにゼルガディスが思わず剣を構えた。そのとき、フー・マンチューの背後からふたつの影が現れた。 >「ゼルガディスさん!!」 >「!?アメリアッ!フィル王子!」 >「とりあえず再会できたの。とは言え、まだ根本的なことが解決しとらんがの」 >再会を果たしたゼルガディスたちを他所に、フー・マンチューの言葉が静かに響いた。 無事に再会できましたが……フー・マンチューさん。お願いですから、いきなりここで 戦い始めたりしないでくださいね……(^_^;) とりあえず説明と、タイタスさんの所へ連れて行くくらいは必要でしょうし。 >続きでした。 >とりあえず、無事再会できました。 >今回出てきたマッド・ハッターは『不思議の国のアリス』の帽子屋をモデルにしました。 >今見てみるとあの物語って結構不条理ドラマですね。 帽子屋さんは、あの基地の外(汗)の帽子屋がモデルですか……。 「不思議の国のアリス」は、確かに不条理なお話ですからね。そして夢オチ。 子どもの頃はあまり気にしないですし、大概の人は絵本(イメージ的に ディ○ニー版のアリスを連想する人の方が多いと思います)でしか、読んだことないと 思いますから、尚更、改めて物語としての「アリス」を読むと面食らいますね。 >それに作者のルイス・キャロルってロリコンだと聞きました。 ……ロリコンです(^_^;) 何でも、アリスのモデルになった少女にプロポーズして、彼女の両親から当然の如く 拒絶され、今後、二度と彼女に近づくなと、家への出入り禁止をくらったそうです。 最近のロリコンさんと違って、相手の意思を完璧に無視して危害を加えたり、 犯罪行為を行ってないだけ、マシとは言えますが。(その手の発想は無かったっぽいですし) >それではまた次回。 フー・マンチューさんがいきなり戦い出すのでは、と気にしつつ、続きを 楽しみにお待ちします。 それでは、今日はこの辺で失礼します。 |
29753 | 皆、キレてます | 棒太郎 | 2004/4/3 00:36:05 |
記事番号29728へのコメント >棒太郎様、こんばんは。 > >続きをお待ちしていました♪ >お疲れですか……。年度末ですしね。 >無理をせず、ゆっくり体を休めてくださいませ。 こんばんは、エモーションさん。 ようやく新年度に入ったのですが・・・・・・のっけから7連勤でございます。 末からおそらくまた忙しくなるだろうし。 休みが切実に欲しいです。 >>右と左から僅かの遅れもなく、同時に斬撃が襲い掛かった。 >>身を捻り、フィリオネルは見事にその攻撃を躱すが、左右からの挟撃は止むことなく襲い掛かってきた。 > >娘のアメリアを庇い、尚かつW攻撃を避ける……。 >修業の旅などをしていただけあって、さすがです、フィルさん。 >でも相手が女性だけに、フィルさんとしては反撃しづらいでしょうね。 何かを守りながら戦うのは、本当に難しいものです。 この人なら体術も一般レベルいじょうでしょうし。 >>アメリアは呆然とした驚きの声を上げた。目の前にあの老人――フー・マンチューが立っていた。 >>「二人とも、タイタスからの通達じゃ。この者たちに手出ししてはならん」 > >アメリアの危機に間に合ったのは、フー・マンチューさんでしたか。 >通達込みなので、半分予想が外れ、半分当たり♪(←待て、こら) >また、確かに「通達」を告げて歩くのに、もっとも適している人選ですね。 危機にやってきたのは、この人でした。 別の用事があるのでそのついでに、という事で告げに来ました。 >>「そんなに遊びたいのなら、ワシが遊び相手になってやるがの」 >>その言葉を聞くや、ふたりはバツの悪そうな顔をして、そそくさと滑るように廊下の奥へと消えていった。 > >さすがにこの双子もフー・マンチューさんと「遊ぶ」気はないのですね。 フー・マンチューの実力はゴーメンガーストでも超一級のものですので。 >>「そう遠くにはおらんよ。ワシも久々の好敵手を探しとるところじゃて」 >>ついてくるがええ―――そう言って歩き出したフー・マンチューの後姿を、アメリアとフィリオネルは追いかけていった。 > >ある意味、一番の護衛かも……。フー・マンチューさんは、リュウゼンさんを >探したかったこともあって、「通達」を告げて回る役になったのでしょうか。 探し人を求めて、ついでにアメリアたちも拾いました。 >>彼でさえ初めてお目にかかるというこの”ゴーメンガースト”に、なにやらジゴマの心は弾んでいるようにも思えて、ゼルガディスは憮然とした表情を露わにした。 >>別段どーでもいい奴が真っ先に見つかって、肝心の本命がなかなか見つからない今の状況に、眉間に皺が寄ってくる。 > >延々と続く似たような風景。しかも本命はなかなか見つからず、一緒にいるのは、 >今のところは敵じゃなくて、知らない相手よりはマシという程度の怪しい人物。 >とどめに「交友値(笑)0」ですからね。 >これは確かに苛つきます。がんばれ、ゼル。 ゼル、イライラが沸点に近づいてます。 まあ隣にいるのが何考えてるのかわからん奴ですしね。 >>そう言ってマッド・ハッターが笑った瞬間、ゼルガディスは剣を抜いて身構えた。 >>奇妙な雰囲気に、これまで幾度となく修羅場を潜り抜けたゼルガディスの身体が反応したのだった。 >>その後ろではジゴマが、この状況に愉しげな笑みを浮かべていた。 > >人の話を聞かない「斜め上」の方々、その2、ですね(^_^;) >とっさに身構えるゼル。警戒色バリバリになってしまう空気を感じたのですね。 >そしてやはり楽しげなジゴマさん……。ほとんど観光気分なのでは(^_^;) コーラとクラリスと同じくマッド・ハッターも”遊び”の感覚です。 ジゴマは本当に観光気分でしょうね。 >>かろうじてゼルガディスは横へ飛び退いた。液体に触れたマントの裾が、食いちぎられたように破れた。 >>「なにっ!?」 >>「ただの液体じゃございませんねぇ」 > >硫酸、のようなものでしょうか。スレ世界にはなさそうな代物ですので、 >見たら驚きますね。……分かってても驚きつつ、激しく嫌ですが。 酸というか、食肉の液体ですね。 >>ジゴマを包んだ液体は、ジゴマの身体を砕きながら圧縮していった。 >>肉が飛び散り、骨が砕ける音が響きながら、液体はティーカップの中へ戻り、ティーカップは赤茶色の液体に満たされていた。 >>「まずは乾杯といきましょうか♪」 >>そう言うと、マッド・ハッターはティーカップに口付け、中の液体を飲み下した。 > >……すいません。真っ先に「原材料がジゴマさんな飲み物なんて、飲んだら >お腹壊しそう」と思いました。 そう思って正解でしょう。 恐らくO−157並にヤバイと思います。 >>「兜割りの秘剣ってやつですかね。相変わらず見事なものですなぁ」 >>ジゴマが感心した声を上げた先、マッド・ハッターの背後に当たる位置に、黒笠を被った青年が剣を振り下ろした体勢で立っていた。 > >リュウゼンさん、登場……。 >とりあえず今の〃帽子屋〃への攻撃は、ジゴマさんの命令でしょうか。 >厄介な方でしたが、とりあえず〃帽子屋〃さんへ、合掌。 マッド・ハッターへの一撃は、彼の判断です。 結果的にマスターを護る形になりましたが。 >>先程の青年の一刀に、ゼルガディスの身体に戦慄が走った。 >>柔らかい胴を横一文字に真っ二つにするならばともかく、縦に斬るのは容易ではない。頭蓋骨に食い込み、途中で止まってしまうからだ。 >>しかし、青年の剣はまるで紙を切るように、二つに断ち切ってしまったのだった。 >>(強い・・・・・ガウリイの旦那以上か・・・・・・) > >ゼルとしては「できれば戦いたくない」と思う相手、でしょうね。 >相変わらず見事なリュウゼンさんの剣技。 >別れた時点での、ガウリイの腕しか知らないゼルから見れば、確かにガウリイ以上の腕、 >と判断しますよね。……まさかそのガウリイがリュウゼンさんと同じレベルに >なっているとは、さすがに思わないでしょうし。 確かに「戦いたくない相手」ですね。 向こうはまだ本気を出していませんし。 >>「リュウゼンさん、お前さんも無事で良かった。ま、お前さんをどうにかできる奴なんてそうはいないだろうが―――」 > >……今一瞬、笑いながら攻撃してくるゴーメンガーストの住人を、冷静に >斬って歩いているリュウゼンさんが脳裏に浮かびました……。 やりかねません、このお人なら。 >>ニィッと笑ったフー・マンチューにゼルガディスが思わず剣を構えた。そのとき、フー・マンチューの背後からふたつの影が現れた。 >>「ゼルガディスさん!!」 >>「!?アメリアッ!フィル王子!」 >>「とりあえず再会できたの。とは言え、まだ根本的なことが解決しとらんがの」 >>再会を果たしたゼルガディスたちを他所に、フー・マンチューの言葉が静かに響いた。 > >無事に再会できましたが……フー・マンチューさん。お願いですから、いきなりここで >戦い始めたりしないでくださいね……(^_^;) >とりあえず説明と、タイタスさんの所へ連れて行くくらいは必要でしょうし。 フー・マンチューのおかげで無事に再会です。 フー・マンチューも目的はリュウゼンのほうですから、他の者をどうにかするというようなことはありませんし。 いきなり戦い始める・・・・・・ありえるかもしれません。 >>続きでした。 >>とりあえず、無事再会できました。 >>今回出てきたマッド・ハッターは『不思議の国のアリス』の帽子屋をモデルにしました。 >>今見てみるとあの物語って結構不条理ドラマですね。 > >帽子屋さんは、あの基地の外(汗)の帽子屋がモデルですか……。 >「不思議の国のアリス」は、確かに不条理なお話ですからね。そして夢オチ。 >子どもの頃はあまり気にしないですし、大概の人は絵本(イメージ的に >ディ○ニー版のアリスを連想する人の方が多いと思います)でしか、読んだことないと >思いますから、尚更、改めて物語としての「アリス」を読むと面食らいますね。 あのキ○ガイのやつです。 どこか線が切れてるようなのを出したかったので。 『アリス』は今読みますと本当にう〜む、と思いますね。ラストは夢オチかよ!って叫びたくなりますし。 まあ、夢の中の話と見たら、あの突拍子のなさも頷けますが。 >>それに作者のルイス・キャロルってロリコンだと聞きました。 > >……ロリコンです(^_^;) >何でも、アリスのモデルになった少女にプロポーズして、彼女の両親から当然の如く >拒絶され、今後、二度と彼女に近づくなと、家への出入り禁止をくらったそうです。 >最近のロリコンさんと違って、相手の意思を完璧に無視して危害を加えたり、 >犯罪行為を行ってないだけ、マシとは言えますが。(その手の発想は無かったっぽいですし) ロリコンなんですよね〜、ルイス・キャロル。 それで教授だったんだから、また驚きです。 まあ、犯罪犯してないだけマシでしょうね。 >>それではまた次回。 > >フー・マンチューさんがいきなり戦い出すのでは、と気にしつつ、続きを >楽しみにお待ちします。 >それでは、今日はこの辺で失礼します。 とりあえずは状況説明はすると思いますが。 久々に血が燃え滾っているようですし、お爺さん。 それでは、どうもありがとうございました。 |
29754 | Re:異邦の彼方より (26) | ハイドラント | 2004/4/3 14:40:26 |
記事番号29723へのコメント こんばんは。 感想書くたびにお久しぶりになってハイドラントです。 >ここ最近疲れが溜まっているのか、異様に身体が重いです。 >ああ、何処か遠くへ行きたい・・・・・・・ 何かもの凄くよく分かるような…… 私にしても体調が良くないのが普通になってますから。 小説を書く行為ってなかなか精神力を要求されるんだと思わされます。 急展開に次ぐ急展開。 その中で、セイルーンの裏歴史が明かされたかと思えば、舞台は奇妙な城の中へ。 このスピード感はなかなか凄いです。 どんなに魅力的、衝撃的、感動的な結末を用意していても、過程がつまらなく、展開が緩慢であれば誰もそこまで読んでくれませんからね。 それでいて、魅力的なシーンがあり、「肉体」のある登場人物が多数出て来て、謎も配置されていますから、軽薄な印象を受けることもありませんから、面白いです。 それにしても奇妙な城ですね。 タイタスさんやフー・マンチュー老がこの城の関係者であったことにも素直に驚きましたが。 城の中身についても予想と全然違っていたので意表をつかれた気分です。 まさか「不思議の国のアリス」とは……。 それでいてただ奇妙なだけでなく、 >「この城は無数の部屋を有していましてね。僕もその果てはよく知らないんですよ。貴方のご先祖はどういう経緯か知りませんが、当時のゴーメンガーストの当主と契約を結んでいましてね。この城の住人の力を借りて、周りの列強国の脅威から国を守り抜いたようですよ」 という言葉(前回)が示す通り、なかなか戦力としても使えそうな人材が揃っていますね。 帽子屋さんなんかは、さすがに歩く人外魔境と呼ぶべきジゴマ氏や、リュウゼンさんのような凄腕には及ばなかったみたいですけど、まだまだ凄いやつがいそうですし。 >「煮ても焼いても食えない奴―――ってとこでしょうかねぇ」 これが今回の最もお気に入りな台詞です。 かなり無気味ではありますが、ジゴマ氏らしい台詞。 >今見てみるとあの物語って結構不条理ドラマですね。 「鏡〜」の方は綿密な計算に基いて書かれていると言われますけどね。 「赤の女王理論」とやらも確か遺伝子か何かに関することで取り上げられていたようでしたし。 >それに作者のルイス・キャロルってロリコンだと聞きました。 そうみたいですね。 直接そう書いてある文章は読んだことないですけど、私の読んだ訳にはそれらしいことを思わせる言葉が綴られていました。 さて今後の展開が気になるところです。 城の連中との戦いになるのか、あるいは…… 続き楽しみにしていますね。 |
29761 | お久しぶりです | 棒太郎 | 2004/4/3 22:29:02 |
記事番号29754へのコメント >こんばんは。 >感想書くたびにお久しぶりになってハイドラントです。 >>ここ最近疲れが溜まっているのか、異様に身体が重いです。 >>ああ、何処か遠くへ行きたい・・・・・・・ >何かもの凄くよく分かるような…… >私にしても体調が良くないのが普通になってますから。 >小説を書く行為ってなかなか精神力を要求されるんだと思わされます。 こんばんは、お久しぶりです。 今はましになってますが、しばらくはほんと疲れが抜けませんでしたよ。 それにクリエイティブな行為は肉体以上に精神力を使いますしね。 >急展開に次ぐ急展開。 >その中で、セイルーンの裏歴史が明かされたかと思えば、舞台は奇妙な城の中へ。 >このスピード感はなかなか凄いです。 >どんなに魅力的、衝撃的、感動的な結末を用意していても、過程がつまらなく、展開が緩慢であれば誰もそこまで読んでくれませんからね。 >それでいて、魅力的なシーンがあり、「肉体」のある登場人物が多数出て来て、謎も配置されていますから、軽薄な印象を受けることもありませんから、面白いです。 客観的に見たら展開が二転、三転しすぎかなぁ、とも思ったりもしましたが、最初かゴーメンガーストまで舞台を持ってくる気でした。 今回は七人の刺客などのように、バトルメインの展開でいこうと思ってましたので、なるべくアクションシーンをいれるようにしてます。 勿体無いお言葉、ありがとうございます。 >それにしても奇妙な城ですね。 >タイタスさんやフー・マンチュー老がこの城の関係者であったことにも素直に驚きましたが。 >城の中身についても予想と全然違っていたので意表をつかれた気分です。 >まさか「不思議の国のアリス」とは……。 >それでいてただ奇妙なだけでなく、 >>「この城は無数の部屋を有していましてね。僕もその果てはよく知らないんですよ。貴方のご先祖はどういう経緯か知りませんが、当時のゴーメンガーストの当主と契約を結んでいましてね。この城の住人の力を借りて、周りの列強国の脅威から国を守り抜いたようですよ」 >という言葉(前回)が示す通り、なかなか戦力としても使えそうな人材が揃っていますね。 >帽子屋さんなんかは、さすがに歩く人外魔境と呼ぶべきジゴマ氏や、リュウゼンさんのような凄腕には及ばなかったみたいですけど、まだまだ凄いやつがいそうですし。 タイタスは元ネタの『ゴーメンガースト』の登場人物で主役ですので。 フー・マンチューは別格の刺客ということで、ゴーメンガーストの住人にしました。 城の中身については、わたしも原作読んだことないので、もうわたしの好き勝手にしています。 とりあえず、奇妙な能力者がいっぱい居ると思っていただければ。 >>「煮ても焼いても食えない奴―――ってとこでしょうかねぇ」 >これが今回の最もお気に入りな台詞です。 >かなり無気味ではありますが、ジゴマ氏らしい台詞。 何考えてるか分からない愉快犯ですから。 >>今見てみるとあの物語って結構不条理ドラマですね。 >「鏡〜」の方は綿密な計算に基いて書かれていると言われますけどね。 >「赤の女王理論」とやらも確か遺伝子か何かに関することで取り上げられていたようでしたし。 『鏡〜』の方はきちんと読んだことないんですよ。 こちらも夢オチだったような・・・・・ >>それに作者のルイス・キャロルってロリコンだと聞きました。 >そうみたいですね。 >直接そう書いてある文章は読んだことないですけど、私の読んだ訳にはそれらしいことを思わせる言葉が綴られていました。 ロリコンですね。 昔、何かの本で読んだことがあります。 >さて今後の展開が気になるところです。 >城の連中との戦いになるのか、あるいは…… >続き楽しみにしていますね。 一応、ラストのプロットは出来てるので、それを目指して進むだけですが。 タイタスも参戦してきます。 それでは、どうもありがとうございました。 |
29794 | 異邦の彼方より (27) | 棒太郎 | 2004/4/8 15:28:58 |
記事番号29668へのコメント こんにちは、棒太郎です。 ようやく暖かくなってきたので、嬉しい限りです。 話のほうが、少し修正点がでたのでどういう風にバランスを取っていこうか迷ってます。 しかし、いつも通り書きながら考えていくことにします。 それでは続きをどうぞ。 ************************************* 『異邦の彼方より』 (27) フー・マンチューに引き連れられ、ゼルガディス達一行はゴーメンガースト城の中を歩いていた。 あのとき、フー・マンチューとリュウゼンの二度目の邂逅に、あわや一触即発か――と思われたが、フー・マンチューが「おぬしらをタイタスのところへ連れて行かんといかんからの」と言い、リュウゼンもあっさりと大人しく櫃の中へと入っていった。 途中、アメリアとフィリオネルは自分達が今居るところは、”ゴーメンガースト”と言う異世界であるということ、そして旧王家は当時のゴーメンガースト当主と契約を交わしたことを聞かされた。 「セイルーンの成り立ちには・・・・・・貴方方も関わっていた、ということですか・・・・・・・」 「ま、そうなるかの。流石にワシもその頃はまだ生まれとらんでな、詳しくは知らんが。当時まだ国力の小さかったセイルーンがここの住人の力を借りて、領土を護ったのは確かじゃて。旧王家は抑止力としてのみ、ゴーメンガーストの力を借りてたようじゃが、現王家は更なる覇権の拡大を目論んで、その力を使おうとしたみたいじゃな」 それで身内のいざこざが起こったというわけじゃ―――フー・マンチューはかかかと笑った。 「ま、強大な力を持っておれば、それを使いたくなるのも人間の性じゃ」 フー・マンチューの皮肉めいたような言葉は、どこか重くゼルガディス達(からくり師除く)に圧し掛かった。 「ゴットフリードさん、フー大人に任せておいて大丈夫ですよ」 ゴットフリードのやや曇った表情を見透かすように、タイタスが声をかけた。 「フー大人はこのゴーメンガーストでも超一流の腕前ですからね。下手なちょっかいかける者はおりませんよ」 「あ、ああ――――」 「それと先程書庫からセイルーンの旧王家が契約を交したことを記す文書も見つけましたよ」 そう言って、ニッと笑みを浮かべた。 「では―――――」 「ええ、ゴーメンガースト城第77代当主、タイタス=グローンの名の下に、ゴーメンガーストに住まう者皆、ゴットフリード=ヴァン=アーデンハイル卿にその力を貸しましょう」 そのとき、あたりから「ホーーホホホ!ホーホホ!」「ほっほっほ」「ホーホホ、ホホホホ――――」と笑い声らしきものが聞こえてきた。 「では行きましょうか」 タイタスが椅子から立ち上がった。 「どこへ行くのだ?」 「先程契約が確認された時に、これまでずっと閉ざされていた開かずの間が開きましてね。文書によれば、そこにセイルーン王家との契約に関するものがあるとのことです」 そう言って歩き出したタイタスの後を、ゴットフリードはついていった。 しばらく歩いていくごとに、その後ろにひとつ、ふたつと人影が連なっていった。 しばらく歩いたゼルガディス達は、豪華な調度品で飾られた応接間に通された。 包み込むような柔らかな座り心地のソファに腰掛けると、まるで陶器の人形のような白い肌のメイドがお茶の入ったティーカップを運んできた。 「ひょ、ひょ、ひょ。しばらくここでゆっくりしとるといい。じきにお前さんたちの世界へ帰してやるわい」 部屋を出ようとしたフー・マンチューをアメリアが呼び止めた。 「どうした?お嬢ちゃん」 「あの・・・・ゴットフリードさんは何処に?」 「あ、それなら――――「御安心ください。別室にいらっしゃいますよ」 別の声が間に入った。 「あ、貴方は―――――」 「いやいや、案内人のせいでご迷惑をおかけしましたね」 にっこり笑うタイタスに、一同(からくり師除く)は大なり小なり驚きに包まれた。 「改めまして皆さん。僕がこのゴーメンガースト城第77代当主のタイタス=グローンです」 「お、お前もここの人間だったのか・・・・・・・」 「ええ、そうです。」 「こやつは放浪癖があっての。しょっちゅう城を抜け出してアチコチ行っとるのよ」 フー・マンチューが横から口を挟んだ。 「放浪癖だなんて言い草はないでしょう、フー大人。己の見聞を広めるためなんですから」 「さして変わりはないわ」 やれやれと肩を竦めるタイタスに、フー・マンチューはからからと笑いながら言った。 「タイタス様。このゴーメンガーストと旧王家は契約を交しておられたそうですが、それは今現在も有効なんでございましょうかねぇ」 これまで黙っていたジゴマが口を開いた。 「ええ、それは。先程契約は確認されましたし」 タイタスもそう言ってニッと笑みを浮かべる。なんだか狐と狸の化かし合いを見ているようにも見えた。 「契約に基づいて、ゴーメンガーストはゴットフリードさんに力を貸すことになりました」 「そんな―――どうしてゴットフリードさんを止めてくれなかったんですか!?」 叫ぶアメリアを宥めるように落ち着かせ、タイタスはソファに腰を下ろした。 「契約を行使するのはゴットフリードさんの意思であり意志であって、僕達がそれにどうこう言うことはないんですよ。僕達はあくまで契約に基づき、力を貸すのであって、直接その意志や意思に干渉するようなことはできませんよ」 「では、本人に会わせて貰いたい」 フィリオネルがはっきりとした口調でそう言った。 「本人に、ですか?」 「うむ。契約を行使するのがアーデンハイル卿の意思であり意思であるなら、直に本人と話し合ったほうが良いだろう」 「・・・・・・・・・・いいでしょう。フィリオネル王子のいうことも最もです。契約の行使に関して、僕達は第三者に過ぎませんからね」 ではこちらへどうぞ――――と、タイタスは一行を開かずの間であったところへ案内していった。 その部屋は奇妙なところだった。 これまで目にしてきた様々な調度品に飾られた部屋と異なり、何もないがらりとした空間だった。あちこちには朱のロープが通され、そこに何かしらの文字の書かれた護符のようなものが幾つも垂れ下がっていた。 そして、その向こうに下へと降りてゆく階段がぽっかりと口を開けていた。 螺旋状になっているその階段はまるで地の底まで通じているかのように、遥か下まで続いていた。 タイタス、フー・マンチューを先頭に一同は階段を下り始めた。 どのくらい下ったのか―――時間の感覚も半ばぼやけてきたとき、一行の目の前に城門のような頑強な造りの扉が現れた。 異様な雰囲気が漂っていた。冷風が一行の頬をヒヤリと撫でる。 「ひょ、ひょ。こいつはなかなかの霊気じゃな」 フー・マンチューは愉しげな笑みを浮かべた。 タイタスは片手を扉に当てると、ムンッと静かに気合を込めた。 すると不動の如き雰囲気の扉は、滑るように開いていった。 吹き付ける風に、冷ややかさとそして異質さが増した。 かつて体験したあの『闇の向こう側より来たるもの』と似たような不気味さだった。 目の前には大きな石舞台が広がっており、その中央にゴットフリードが立っていた。 その周りには奇妙な円陣が描かれていた。 「ゴットフリードさん!!」 アメリアが叫んだそのとき、 「!?アメリアッ!!」 ゼルガディスがアメリアを引き寄せ、庇った。 アメリアのいた空間を何かが通り過ぎていった。 「なっ!?」 「これはっ!?」 いつのまにかそこには、見たこともないような半透明の怪物が姿を現していた。 ************************************* 続きでした。 いよいよクライマックスへ向けてスパートです。 最近、久々に『帝都物語』を読んだので、その影響が出ないようにするのが一苦労です。下手したら、ゴットフリードと加藤保憲が重なってきそうで・・・・・(復讐の念で行動してるってのが同じだから) それではまた次回。 |
29796 | 脳内イメージ映像:ぱ○えんアタック(絶対違う) | エモーション E-mail | 2004/4/8 22:48:53 |
記事番号29794へのコメント 棒太郎様、こんばんは。 >こんにちは、棒太郎です。 >ようやく暖かくなってきたので、嬉しい限りです。 こちらもやっと桜の開花宣言がでました♪ やっと春です。ああやっと……(感涙) ……先週4月だというのに、いきなり雪が降りまして(爆)真っ白な窓の外を見て、 「エイプリルフールは昨日なんだけど」と、思わず呟いたりしましたが(^_^;) >話のほうが、少し修正点がでたのでどういう風にバランスを取っていこうか迷ってます。 何故かこういうのは、プロット段階で見落としてたのが、書いていると いきなり出てくるんですよね……。不思議なことに……(汗) ちょっとした事柄なら、そのまま修正で済みますが、根本に関わっていると、 頭抱えて必死で考えるしかないと……(^_^;) ほんとに気分は「お話の神様、プリーズ降臨」ですよね(苦笑) >あのとき、フー・マンチューとリュウゼンの二度目の邂逅に、あわや一触即発か――と思われたが、フー・マンチューが「おぬしらをタイタスのところへ連れて行かんといかんからの」と言い、リュウゼンもあっさりと大人しく櫃の中へと入っていった。 後で一戦するのでしょうね(^_^;) 大人しく櫃にもどるリュウゼンさんが、 何故か微笑ましく思えました。 >「ま、強大な力を持っておれば、それを使いたくなるのも人間の性じゃ」 >フー・マンチューの皮肉めいたような言葉は、どこか重くゼルガディス達(からくり師除く)に圧し掛かった。 これは大なり小なり、誰にでもある面ですからね。誰も反論は言えないでしょう。 ジゴマさんはほんとに関係なさそうですが。 「その必要があって、使えるなら使う。でも要らないときは要らない」と、 その辺りはすっぱりと、割り切ってるようですし。 ……存在としてそうなのか、ジゴマさん個人の性格かは、分かりませんが。 >「先程契約が確認された時に、これまでずっと閉ざされていた開かずの間が開きましてね。文書によれば、そこにセイルーン王家との契約に関するものがあるとのことです」 >そう言って歩き出したタイタスの後を、ゴットフリードはついていった。 >しばらく歩いていくごとに、その後ろにひとつ、ふたつと人影が連なっていった。 知らないうちにひとつふたつと、人影が増えていく……。 何気にホラーチックな場面ですね。「ほーほっほっほっほっほ」な笑い声で、 思わずあの高笑いの方(笑)を連想してしまいましたが。 開いた開かずの部屋……セイルーン王家との契約では、その部屋にあるものを使うと 決められているのでしょうか。 >「タイタス様。このゴーメンガーストと旧王家は契約を交しておられたそうですが、それは今現在も有効なんでございましょうかねぇ」 >これまで黙っていたジゴマが口を開いた。 >「ええ、それは。先程契約は確認されましたし」 >タイタスもそう言ってニッと笑みを浮かべる。なんだか狐と狸の化かし合いを見ているようにも見えた。 >「契約に基づいて、ゴーメンガーストはゴットフリードさんに力を貸すことになりました」 状況を整理するのが手一杯なゼルたちに代わって、何気に重要な点を最初に訊ねるジゴマさん。 単にジゴマさんとしては、興味優先の質問だったのかもしれませんが。 でも、質問する方される方、どちらも人物が人物だけに、確かにキツネとタヌキの 化かし合いみたいですね(笑) >「契約を行使するのはゴットフリードさんの意思であり意志であって、僕達がそれにどうこう言うことはないんですよ。僕達はあくまで契約に基づき、力を貸すのであって、直接その意志や意思に干渉するようなことはできませんよ」 思いっきりビジネスライクですね。それだけに、行使する側がとんでもない人間だと、 とんでもない事態にしかならないと思いますが、「意思に干渉しない」というのは、 ある意味正しい姿勢なのかも。それが場合によっては、腑に落ちる事かどうか別問題ですが。 >「うむ。契約を行使するのがアーデンハイル卿の意思であり意思であるなら、直に本人と話し合ったほうが良いだろう」 >「・・・・・・・・・・いいでしょう。フィリオネル王子のいうことも最もです。契約の行使に関して、僕達は第三者に過ぎませんからね」 さすがにフィルさんは、次期国王&国王に代わって政務を行っているだけのことはありますね。 状況から見てタイタスさんと「交渉」&「説得」するのは時間の無駄でしかなく、 誰と「交渉」し「説得」するべきなのか、すぐに判断したのですね。 >その部屋は奇妙なところだった。 >これまで目にしてきた様々な調度品に飾られた部屋と異なり、何もないがらりとした空間だった。あちこちには朱のロープが通され、そこに何かしらの文字の書かれた護符のようなものが幾つも垂れ下がっていた。 >そして、その向こうに下へと降りてゆく階段がぽっかりと口を開けていた。 >螺旋状になっているその階段はまるで地の底まで通じているかのように、遥か下まで続いていた。 ……何かの儀式か召喚でもするための場所みたいで、不気味ですね。 それにしても……ひとつの部屋がひとつの別の時空間になっているのでしょうか。 >吹き付ける風に、冷ややかさとそして異質さが増した。 >かつて体験したあの『闇の向こう側より来たるもの』と似たような不気味さだった。 あのはた迷惑な異世界の……(汗)何だかそれだけで無茶苦茶嫌な感じです。(^_^;) >ゼルガディスがアメリアを引き寄せ、庇った。 >アメリアのいた空間を何かが通り過ぎていった。 >「なっ!?」 >「これはっ!?」 >いつのまにかそこには、見たこともないような半透明の怪物が姿を現していた。 ……キン○スライム……もしくはぷ○ぷ○……違うっ!(爆) でもあれに押しつぶされて倒されるのは、ちょっと悲しい……。(只今ドラクエVちまちまプレイ中) ぱ○えんアタックで、大量のぷ○に潰されているゼル……しまった、ちょっと見たいかも(笑) 謎の儀式をしていたゴットフリードさん。そして現れている謎の怪物……。 はたして、多少なりとも話し合いができるのか、それとも、もう無理なのでしょうか。 >続きでした。 >いよいよクライマックスへ向けてスパートです。 >最近、久々に『帝都物語』を読んだので、その影響が出ないようにするのが一苦労です。下手したら、ゴットフリードと加藤保憲が重なってきそうで・・・・・(復讐の念で行動してるってのが同じだから) >それではまた次回。 ゼルとアメリアはゴットフリードさんを止められるのか、ここから先が 正念場になるのですね。 契約によって、旧セイルーン王家の人々が得たものは何だったのか、楽しみです。 それでは、続きを楽しみにしつつ、今日はこの辺で失礼いたします。 |
29798 | 落ちものゲーはテト○スどまり・・・・・・ | 棒太郎 | 2004/4/9 22:34:47 |
記事番号29796へのコメント >棒太郎様、こんばんは。 >こちらもやっと桜の開花宣言がでました♪ やっと春です。ああやっと……(感涙) >……先週4月だというのに、いきなり雪が降りまして(爆)真っ白な窓の外を見て、 >「エイプリルフールは昨日なんだけど」と、思わず呟いたりしましたが(^_^;) こんばんは、エモーションさん。 ようやく暖かくなって来ましたが、まだ少し風が冷たいですね。 それにしても雪とは・・・・・・本当に今年は変な天気ですね。 >>話のほうが、少し修正点がでたのでどういう風にバランスを取っていこうか迷ってます。 > >何故かこういうのは、プロット段階で見落としてたのが、書いていると >いきなり出てくるんですよね……。不思議なことに……(汗) >ちょっとした事柄なら、そのまま修正で済みますが、根本に関わっていると、 >頭抱えて必死で考えるしかないと……(^_^;) >ほんとに気分は「お話の神様、プリーズ降臨」ですよね(苦笑) わたしの場合は大まかに考えて、それで書き出してますので、途中で辻褄が合わなくなりそうなことが多々あります。 根本に関わってきてるので、ちょいと参ったね、こりゃ、と思ってるところです。 >>あのとき、フー・マンチューとリュウゼンの二度目の邂逅に、あわや一触即発か――と思われたが、フー・マンチューが「おぬしらをタイタスのところへ連れて行かんといかんからの」と言い、リュウゼンもあっさりと大人しく櫃の中へと入っていった。 > >後で一戦するのでしょうね(^_^;) 大人しく櫃にもどるリュウゼンさんが、 >何故か微笑ましく思えました。 いずれ一戦やらかすでしょう。 互いに格好の相手ですし。 >>「ま、強大な力を持っておれば、それを使いたくなるのも人間の性じゃ」 >>フー・マンチューの皮肉めいたような言葉は、どこか重くゼルガディス達(からくり師除く)に圧し掛かった。 > >これは大なり小なり、誰にでもある面ですからね。誰も反論は言えないでしょう。 >ジゴマさんはほんとに関係なさそうですが。 >「その必要があって、使えるなら使う。でも要らないときは要らない」と、 >その辺りはすっぱりと、割り切ってるようですし。 >……存在としてそうなのか、ジゴマさん個人の性格かは、分かりませんが。 他の人より少し優れた力があると、ついついやってしまいますからね。それを抑えるように自制心を鍛えなくてはいけないのですが。 ジゴマは愉快犯ですからね。別段そんなこと気にも留めてないでしょう。 >>「先程契約が確認された時に、これまでずっと閉ざされていた開かずの間が開きましてね。文書によれば、そこにセイルーン王家との契約に関するものがあるとのことです」 >>そう言って歩き出したタイタスの後を、ゴットフリードはついていった。 >>しばらく歩いていくごとに、その後ろにひとつ、ふたつと人影が連なっていった。 > >知らないうちにひとつふたつと、人影が増えていく……。 >何気にホラーチックな場面ですね。「ほーほっほっほっほっほ」な笑い声で、 >思わずあの高笑いの方(笑)を連想してしまいましたが。 >開いた開かずの部屋……セイルーン王家との契約では、その部屋にあるものを使うと >決められているのでしょうか。 人影は増えていくシーンはちょっとその辺りを意識しました。影はもちろんゴーメンガーストの住人です。 >>タイタスもそう言ってニッと笑みを浮かべる。なんだか狐と狸の化かし合いを見ているようにも見えた。 >>「契約に基づいて、ゴーメンガーストはゴットフリードさんに力を貸すことになりました」 > >状況を整理するのが手一杯なゼルたちに代わって、何気に重要な点を最初に訊ねるジゴマさん。 >単にジゴマさんとしては、興味優先の質問だったのかもしれませんが。 >でも、質問する方される方、どちらも人物が人物だけに、確かにキツネとタヌキの >化かし合いみたいですね(笑) 特に深い意味はなく、ジゴマとしては興味本位の質問です。 しかし質の悪い愉快犯と奇人たちの総大将ですから、裏の裏まで読んでいそうな雰囲気が漂っていることでしょう。 >>「契約を行使するのはゴットフリードさんの意思であり意志であって、僕達がそれにどうこう言うことはないんですよ。僕達はあくまで契約に基づき、力を貸すのであって、直接その意志や意思に干渉するようなことはできませんよ」 > >思いっきりビジネスライクですね。それだけに、行使する側がとんでもない人間だと、 >とんでもない事態にしかならないと思いますが、「意思に干渉しない」というのは、 >ある意味正しい姿勢なのかも。それが場合によっては、腑に落ちる事かどうか別問題ですが。 契約に関しては、それ以上でも以下でもありませんから。ゴーメンガーストにしてみれば、要請に応じて動くと言うだけのことですので。 契約の公正性を守っているだけです。 >>「うむ。契約を行使するのがアーデンハイル卿の意思であり意思であるなら、直に本人と話し合ったほうが良いだろう」 >>「・・・・・・・・・・いいでしょう。フィリオネル王子のいうことも最もです。契約の行使に関して、僕達は第三者に過ぎませんからね」 > >さすがにフィルさんは、次期国王&国王に代わって政務を行っているだけのことはありますね。 >状況から見てタイタスさんと「交渉」&「説得」するのは時間の無駄でしかなく、 >誰と「交渉」し「説得」するべきなのか、すぐに判断したのですね。 瞬時の状況判断と選択決定が、上に立つ者にとって必要な要素ですからね。 >>その部屋は奇妙なところだった。 >>これまで目にしてきた様々な調度品に飾られた部屋と異なり、何もないがらりとした空間だった。あちこちには朱のロープが通され、そこに何かしらの文字の書かれた護符のようなものが幾つも垂れ下がっていた。 >>そして、その向こうに下へと降りてゆく階段がぽっかりと口を開けていた。 >>螺旋状になっているその階段はまるで地の底まで通じているかのように、遥か下まで続いていた。 > >……何かの儀式か召喚でもするための場所みたいで、不気味ですね。 >それにしても……ひとつの部屋がひとつの別の時空間になっているのでしょうか。 不気味さを醸し出すための描写でしたが、雰囲気が出てたのならよかったです。 タイタスでさえその果てを知らないところですから。エッシャーの版画のような不可思議な空間のようなイメージも入れてます。 >>吹き付ける風に、冷ややかさとそして異質さが増した。 >>かつて体験したあの『闇の向こう側より来たるもの』と似たような不気味さだった。 > >あのはた迷惑な異世界の……(汗)何だかそれだけで無茶苦茶嫌な感じです。(^_^;) あれは確かに迷惑そのものですから。 >>ゼルガディスがアメリアを引き寄せ、庇った。 >>アメリアのいた空間を何かが通り過ぎていった。 >>「なっ!?」 >>「これはっ!?」 >>いつのまにかそこには、見たこともないような半透明の怪物が姿を現していた。 > >……キン○スライム……もしくはぷ○ぷ○……違うっ!(爆) >でもあれに押しつぶされて倒されるのは、ちょっと悲しい……。(只今ドラクエVちまちまプレイ中) >ぱ○えんアタックで、大量のぷ○に潰されているゼル……しまった、ちょっと見たいかも(笑) >謎の儀式をしていたゴットフリードさん。そして現れている謎の怪物……。 >はたして、多少なりとも話し合いができるのか、それとも、もう無理なのでしょうか。 ドラクエシリーズ、きちんとプレイしたことがないです・・・・・・ スライムやぷよに押しつぶされてるゼル・・・・・・様になりませんね(笑) >>続きでした。 >>いよいよクライマックスへ向けてスパートです。 >>最近、久々に『帝都物語』を読んだので、その影響が出ないようにするのが一苦労です。下手したら、ゴットフリードと加藤保憲が重なってきそうで・・・・・(復讐の念で行動してるってのが同じだから) >>それではまた次回。 > >ゼルとアメリアはゴットフリードさんを止められるのか、ここから先が >正念場になるのですね。 >契約によって、旧セイルーン王家の人々が得たものは何だったのか、楽しみです。 >それでは、続きを楽しみにしつつ、今日はこの辺で失礼いたします。 いよいよクライマックスに入ります。 そして、ジゴマやタイタスも動き出す・・・・・・かも知れません。 それでは、どうもありがとうございました。 |
29799 | 異邦の彼方より (28) | 棒太郎 | 2004/4/10 01:25:29 |
記事番号29668へのコメント こんばんは、棒太郎です。 物語はクライマックスに入ってきましたが、さてどうなることやら。 それでは続きをどうぞ。 ************************************* 『異邦の彼方より』 (28) ちょうど、フーマンチューがゼルガディス達と出会った頃――― 地の底まで続いていると思えるような石造りの螺旋階段を、ふたつの人影が降りていた。 前を行く人影はタイタス、その後ろの人影はゴットフリードであった。 張り詰めたような静寂が辺りを支配し、ただ二人の靴音の残響が高く響くのみであった。 どこまでと続くか分からぬ階段を降りながら、ゴットフリードの心の中に不安の影が差してゆく。 そこいらの貴族とは違い、ゴットフリードは肝の据わった男ではあるが、そんな彼にしてもこの奈落の底へ呑みこまれてゆくかのような錯覚を起こしそうな風景に、漠然とした恐怖が浮き出てくるようだった。 前を歩くタイタスは、そんな気配をまるで感じさせないのが、何かしらの安堵感をもたらしていた。 やがて階段が終わり、その先に大きな扉が現れた。 まるで城門のような分厚い鉄の扉だった。 来る者をすべて拒むかのような、近寄りがたい空気を発していた。 「・・・・・・・・・」 言葉もなくゴットフリードがその扉を眺めていると、同じく扉を見回していたタイタスが扉の向こうへ声をかけた。 「その昔交された、古の契約に基づいてやって来た!この門を守りし者よ、応えよ!」 声は、大きく辺りに響いた。 返事はなく、しばらく沈黙が続いたが、やがて――― 「だ・れ・だ・・・・・・?」 静かに声が聞こえた。 その瞬間、ゴットフリードは辺りの空気が凍りついたように感じた。 「我が名はタイタス=グローン。ゴーメンガースト城第77代当主の者」 再び沈黙が流れた。 そして、扉の向こうから声がした。 「グローン・・・・・・おお、ゴーメンガーストの当主!その・・・・・その御方がここに来たということは―――――」 「言ったはずです。古の契約に基づきやって来た、と」 扉の向こうの声が震えた。 「では、刻が来たと!おお、どれほどこの日を待ちわびたか・・・・・・・」 「紹介しましょう。こちらが契約を行使なされる方―――ゴットフリード=ヴァン=アーデンハイル卿です」 「ゴットフリード?聞かぬ名だが―――――」 声がそう言ったとき、ゴットフリードは深く呼吸をし、搾り出すように声をあげた。 「今は滅びし、ホーエンハルムの末裔(すえ)です」 「!ホーエンハルム!王家の血に連なる者にして、王を守護し奉ってきたあの守護騎士の一族!」 扉の向こうで、おお―――という声があがった。 と同時に、固く閉ざされていた扉が音もなく開いた。 そこから現れたのは一人の老人であった。 古風な、だが華麗な装飾の衣服を観に纏っていた。 老人を見たゴットフリードは無意識に唇をわななかせた。青白い血の気のないその顔はまさに死人であった。 「久しい歳月、この日を待ち望んでおった。ゴットフリード殿とやら、あの忌まわしき簒奪者に追われた者がよくぞ此処に来てくれた」 老人の声が弾んでいた。 「わしの名はラダガストと申す、王家にお仕えしていた家臣の者。そして此処のお護りを宿世づけられたる亡霊にござる。我ら王家の臣はすべて死に絶えておる。しかし、王家を守護せしホーエンハルムの末裔が我らの悲願を受け継ぐとはなんという僥倖―――」 「此処には・・・・・・一体何があるのです・・・・・?」 「此処は王家の者の無念の叫び、想いが眠りし場所。そしてその怨念が今も鎮まることなく蹲っておるところにござる」 静かに冷風が吹き、どことなく空気がおどろおどろしさを増した。 「ラダガストさん、ひとつ訊きたいのですが?」 横合いからタイタスが声をかけた。 「なんでしょうかな?タイタス殿」 「何故、貴方方はこのような所に?契約に基づきゴーメンガーストの力を借りて、逆襲しなかったのですか?」 「そうお思いになるでしょうが、極めて単純なことです。我らは不意をつかれ、プレートを使う間もなく彼奴らに奪われてしまったのです。しかし、当時の当主殿が契約とは別に個人的に力を貸してくれたのです。ゴーメンガーストの住人を動かすことはできないが、我らを此処に鎮め、我らの大義を継ぎし生き残りの者が必ずや来ると信じ、待つ時と場を与えてくださったのです」 ラダガストの言葉にタイタスはやれやれと笑った。 「契約に基づいて力を貸すだけなのに・・・・・・契約外のことをやっちゃうなんて、困ったご先祖様だ」 タイタスの苦笑を他所に、ラダガストはゴットフリードを見つめて言った。 「ゴットフリード殿。我らの無念の想い、怨念を受け継ぎ彼奴らに思い知らせてくだされ。己が欲望のために我らを滅ぼした彼奴らを―――――」 「・・・・・・・覚悟は決めております。彼らを覆すこの一任、私の思いすべてを懸けています」 「おお!それでこそ、ホーエンハルムの末裔にござる!」 ラダガストは喝采をあげた。 「ならばこちらへ。我らの深く、激しく燃える怨念、怒れる御魂をその御身に受け継ぎたまえ」 現れた半透明の怪物が咆哮をあげた。 まるで陽炎の揺らめきのようなそれは、4本の牙と鋭く禍々しい爪を持つ魔獣の姿を見せていた。 「なんだ、こいつは!?」 ゼルガディスが剣を抜いて構えた。 怪物の襲い来る爪を避け、剣を斬りつける――――が、 「!?」 肉を斬るという手応えが感じられなかった。 まるで幻影のように、刃は魔獣の身体を通り過ぎていった。 「幻覚か?」 そう思ったが、幻覚は催眠術のような類のものではなかった。 「こいつは・・・・・・”イドの怪物”ですか」 ジゴマが呟いた。 「な、なんですか、それ・・・・?」 その言葉を聞きつけたアメリアがジゴマに訊き返した。 「深層意識の思念を具現化した思念体―――――とでも言えばいいでしょうかね。とにもかくにも、普通の物理攻撃はあれには効きませんさね」 「何か手はあるのか、ジゴマ殿?」 「まあ、まず確実なのは思念の素を断つことでございますね」 「思念の素・・・・・・・・それは―――!?」 「お察しの通りで」 ジゴマがニィッと笑うや、櫃からザァッと三つの影が飛び出し、飛鳥の如くゴットフリードに向かっていた。 「戦力不足は否めねえが、それなりの遣い手でございますよ」 三つの影―――カラミティ、ベル=ベージュ、クロックワークが一斉に襲い掛かろうとしたとき、 「ま、契約は行使されてますからね」 その前に、いつの間にかタイタスが立っていた。 ************************************* 続きでした。 いや〜〜〜、やってしまいました。もろに『帝都物語』の影響が出てます。 参った、参った。 さて、タイタスも参戦してきて混戦状態になってきそうですが。 それではまた次回。 |
29806 | 悪人顔(笑)の陰陽師を呼びましょう | エモーション E-mail | 2004/4/10 22:29:56 |
記事番号29799へのコメント 棒太郎様、こんばんは。 今回はゴットフリードさんサイドによる、「契約」の行使ですね。 何だか見事にゴットフリードさんが、取り込まれてしまっているような(汗) またアメリアの事を知ったら、「彼ら」はどう判断するのかなと、ふと思いました。 >そこいらの貴族とは違い、ゴットフリードは肝の据わった男ではあるが、そんな彼にしてもこの奈落の底へ呑みこまれてゆくかのような錯覚を起こしそうな風景に、漠然とした恐怖が浮き出てくるようだった。 >前を歩くタイタスは、そんな気配をまるで感じさせないのが、何かしらの安堵感をもたらしていた。 暗闇などに対して人間が持つ、本能的な恐怖に加えて、本来なら相容れることのない、 得体の知れないものを、感じ取っているのでしょうね。 そして緩衝剤になっているタイタスさん……。タイタスさんにもこの部屋は謎でしょうに、 平然としている辺りは、やはりここの住人の総大将ですね……(^_^;) >「その昔交された、古の契約に基づいてやって来た!この門を守りし者よ、応えよ!」 >声は、大きく辺りに響いた。 >返事はなく、しばらく沈黙が続いたが、やがて――― > >「だ・れ・だ・・・・・・?」 > >静かに声が聞こえた。 >その瞬間、ゴットフリードは辺りの空気が凍りついたように感じた。 この部分はほんとにホラーですね。でもまだまだ序盤……。 >「今は滅びし、ホーエンハルムの末裔(すえ)です」 >「!ホーエンハルム!王家の血に連なる者にして、王を守護し奉ってきたあの守護騎士の一族!」 かなり良いお家柄の末裔だったのですね、ゴットフリードさん。 現王家の先祖ですら、苦々しいけれど下手に一族根絶やし、のような真似をしたら、 どう言いつくろっても反発や非難されるだけで、国を纏められなくなるというくらい、 平民から貴族まで身分に関係なく、高名で影響力があったと言う感じでしょうか。 >「此処には・・・・・・一体何があるのです・・・・・?」 >「此処は王家の者の無念の叫び、想いが眠りし場所。そしてその怨念が今も鎮まることなく蹲っておるところにござる」 >静かに冷風が吹き、どことなく空気がおどろおどろしさを増した。 恨みの念の純度の高いのだけが溜まっているわけですね(滝汗) 中途半端なのは残らないでしょうし。 ……こうなると、「やりすぎ」と思うような状態になっても、個人が対抗して止めるのは、 無理なんですよね……(汗) >「そうお思いになるでしょうが、極めて単純なことです。我らは不意をつかれ、プレートを使う間もなく彼奴らに奪われてしまったのです。しかし、当時の当主殿が契約とは別に個人的に力を貸してくれたのです。ゴーメンガーストの住人を動かすことはできないが、我らを此処に鎮め、我らの大義を継ぎし生き残りの者が必ずや来ると信じ、待つ時と場を与えてくださったのです」 >ラダガストの言葉にタイタスはやれやれと笑った。 >「契約に基づいて力を貸すだけなのに・・・・・・契約外のことをやっちゃうなんて、困ったご先祖様だ」 当時の当主もタイタスさんと同様に、旧王家の誰かを気に入っていたのかもしれませんね。 「契約」に基づいてしか動けないと分かってはいても、みかねて個人的に、 でも「この程度ならお目こぼしできる」という範囲内で動いたのかな、と思いました。 >「幻覚か?」 >そう思ったが、幻覚は催眠術のような類のものではなかった。 >「こいつは・・・・・・”イドの怪物”ですか」 >ジゴマが呟いた。 >「な、なんですか、それ・・・・?」 >その言葉を聞きつけたアメリアがジゴマに訊き返した。 >「深層意識の思念を具現化した思念体―――――とでも言えばいいでしょうかね。とにもかくにも、普通の物理攻撃はあれには効きませんさね」 対魔族戦のような攻撃しか、効かない相手でしょうか。 思念体では、倒されても倒されても、次々と現れるでしょうからきりがなさそうです。 >「まあ、まず確実なのは思念の素を断つことでございますね」 >「思念の素・・・・・・・・それは―――!?」 >「お察しの通りで」 >ジゴマがニィッと笑うや、櫃からザァッと三つの影が飛び出し、飛鳥の如くゴットフリードに向かっていた。 >「戦力不足は否めねえが、それなりの遣い手でございますよ」 >三つの影―――カラミティ、ベル=ベージュ、クロックワークが一斉に襲い掛かろうとしたとき、 >「ま、契約は行使されてますからね」 >その前に、いつの間にかタイタスが立っていた。 思念の素……ゴットフリードさんを倒す、ということですか。 確かにそれが確実ですが、フィルさんやアメリアは分かっていても嫌でしょうね。 そして前に立ちはだかるタイタスさん。 直接こちらに攻撃はしなくても、ゴットフリードさんに向けられた攻撃は 阻止する、ということですね。 カラミティさんたちとタイタスさんの戦い……。ただでさえとんでもない状況なのに、 もの凄いことになりそうですね。 >続きでした。 >いや〜〜〜、やってしまいました。もろに『帝都物語』の影響が出てます。 >参った、参った。 >さて、タイタスも参戦してきて混戦状態になってきそうですが。 >それではまた次回。 ふと、旧王家の者たちの怨念を受け継ぐゴットフリードさんに、「TRY」で 暴走したダークスターと融合するヴァルガーヴと、「陰陽師」の真田浩之が 演じてた役(役名忘れた)を連想しました。 「帝都物語」……読んだことがないのですが、昔、映画になってましたね。 TVで見た覚えはあるのですが、記憶がおぼろ気です。 何にせよ、かなり厄介な状況になりましたね。 さすがにこんな展開は想像していなかった(それは当然でしょう(笑))ゼル。 アメリアとフィルさんを護って、解決することができるのでしょうか。 ……思いっきり大変そうだけれど。 ジゴマさんはひたすら面白がっているのでしょうしね(^_^;) それでは、続きを楽しみにしつつ、この辺で失礼します。 |
29811 | 「よみがえれ、将○ーっ!!」(BY 加藤保憲) | 棒太郎 | 2004/4/11 23:40:36 |
記事番号29806へのコメント >棒太郎様、こんばんは。 > >今回はゴットフリードさんサイドによる、「契約」の行使ですね。 >何だか見事にゴットフリードさんが、取り込まれてしまっているような(汗) >またアメリアの事を知ったら、「彼ら」はどう判断するのかなと、ふと思いました。 こんばんは、エモーションさん。 今回はゴットフリードサイドの話で。 案内された開かずの間になにがあったのか―――ってな感じです。 >>前を歩くタイタスは、そんな気配をまるで感じさせないのが、何かしらの安堵感をもたらしていた。 > >暗闇などに対して人間が持つ、本能的な恐怖に加えて、本来なら相容れることのない、 >得体の知れないものを、感じ取っているのでしょうね。 >そして緩衝剤になっているタイタスさん……。タイタスさんにもこの部屋は謎でしょうに、 >平然としている辺りは、やはりここの住人の総大将ですね……(^_^;) 原初的な恐怖は完全に抑えるのは難しいですからね。 タイタスはもうその通りというしかないですね。奇人変人(笑)の総大将ですから。 >>返事はなく、しばらく沈黙が続いたが、やがて――― >> >>「だ・れ・だ・・・・・・?」 >> >>静かに声が聞こえた。 >>その瞬間、ゴットフリードは辺りの空気が凍りついたように感じた。 > >この部分はほんとにホラーですね。でもまだまだ序盤……。 今回、『帝都物語』の影響が出てますから。ホラー的な場面が結構出てると思います。 >>「今は滅びし、ホーエンハルムの末裔(すえ)です」 >>「!ホーエンハルム!王家の血に連なる者にして、王を守護し奉ってきたあの守護騎士の一族!」 > >かなり良いお家柄の末裔だったのですね、ゴットフリードさん。 >現王家の先祖ですら、苦々しいけれど下手に一族根絶やし、のような真似をしたら、 >どう言いつくろっても反発や非難されるだけで、国を纏められなくなるというくらい、 >平民から貴族まで身分に関係なく、高名で影響力があったと言う感じでしょうか。 セイルーン王国の立役者の一人ですからね。かなり知られた名です。 >>「此処は王家の者の無念の叫び、想いが眠りし場所。そしてその怨念が今も鎮まることなく蹲っておるところにござる」 >>静かに冷風が吹き、どことなく空気がおどろおどろしさを増した。 > >恨みの念の純度の高いのだけが溜まっているわけですね(滝汗) >中途半端なのは残らないでしょうし。 >……こうなると、「やりすぎ」と思うような状態になっても、個人が対抗して止めるのは、 >無理なんですよね……(汗) 積もりに積もって、さらに歳月をかけて熟成されてますから。生半可じゃないです。 >>ラダガストの言葉にタイタスはやれやれと笑った。 >>「契約に基づいて力を貸すだけなのに・・・・・・契約外のことをやっちゃうなんて、困ったご先祖様だ」 > >当時の当主もタイタスさんと同様に、旧王家の誰かを気に入っていたのかもしれませんね。 >「契約」に基づいてしか動けないと分かってはいても、みかねて個人的に、 >でも「この程度ならお目こぼしできる」という範囲内で動いたのかな、と思いました。 これはその通りです。 あまりに不憫なので、「契約」としては動けないけど、これぐらいならOKという範囲で力を貸しました。 >>「な、なんですか、それ・・・・?」 >>その言葉を聞きつけたアメリアがジゴマに訊き返した。 >>「深層意識の思念を具現化した思念体―――――とでも言えばいいでしょうかね。とにもかくにも、普通の物理攻撃はあれには効きませんさね」 > >対魔族戦のような攻撃しか、効かない相手でしょうか。 >思念体では、倒されても倒されても、次々と現れるでしょうからきりがなさそうです。 物理的な攻撃は効かないので、そういった攻撃でしか対応できませんね。 >>ジゴマがニィッと笑うや、櫃からザァッと三つの影が飛び出し、飛鳥の如くゴットフリードに向かっていた。 >>「戦力不足は否めねえが、それなりの遣い手でございますよ」 >>三つの影―――カラミティ、ベル=ベージュ、クロックワークが一斉に襲い掛かろうとしたとき、 >>「ま、契約は行使されてますからね」 >>その前に、いつの間にかタイタスが立っていた。 > >思念の素……ゴットフリードさんを倒す、ということですか。 >確かにそれが確実ですが、フィルさんやアメリアは分かっていても嫌でしょうね。 >そして前に立ちはだかるタイタスさん。 >直接こちらに攻撃はしなくても、ゴットフリードさんに向けられた攻撃は >阻止する、ということですね。 >カラミティさんたちとタイタスさんの戦い……。ただでさえとんでもない状況なのに、 >もの凄いことになりそうですね。 「契約」に基づいてゴットフリードに力を貸すことになってますから。 ゴットフリードに対する攻撃には、タイタスをはじめゴーメンガーストが動きます。 >>続きでした。 >>いや〜〜〜、やってしまいました。もろに『帝都物語』の影響が出てます。 >>参った、参った。 >>さて、タイタスも参戦してきて混戦状態になってきそうですが。 >>それではまた次回。 > >ふと、旧王家の者たちの怨念を受け継ぐゴットフリードさんに、「TRY」で >暴走したダークスターと融合するヴァルガーヴと、「陰陽師」の真田浩之が >演じてた役(役名忘れた)を連想しました。 >「帝都物語」……読んだことがないのですが、昔、映画になってましたね。 >TVで見た覚えはあるのですが、記憶がおぼろ気です。 怨念を受け継ぐという構図は、ほんとに『帝都物語』の影響です。 映画、嶋田久作演じる加藤保憲が物凄いインパクトがありました。 天本英世=死神博士というように、嶋田久作=加藤保憲という方程式が出来てしまってます。 >何にせよ、かなり厄介な状況になりましたね。 >さすがにこんな展開は想像していなかった(それは当然でしょう(笑))ゼル。 >アメリアとフィルさんを護って、解決することができるのでしょうか。 >……思いっきり大変そうだけれど。 >ジゴマさんはひたすら面白がっているのでしょうしね(^_^;) > >それでは、続きを楽しみにしつつ、この辺で失礼します。 めまぐるしく状況が変化していくので、ゼルたちはほんと大変です。 ゴーメンガーストに来ちゃっただけでも厄介なのに。 ジゴマは仰るとおり、愉しんでますでしょうね(笑) それではどうもありがとうございました。 |