◆−ちょっと待て!あぁるぴぃじぃ異世界ゲームっ!?――5−エーナ (2004/3/26 00:02:34) No.29705 ┗ちょっと待て!あぁるぴぃじぃ異世界ゲームっ!?――6−エーナ (2004/4/2 00:07:18) No.29743 ┗すすまない・・・すすまないったらすすまない・・・・・・;−エーナ (2004/4/15 18:09:48) No.29827 ┣The Snowing city 〜雪降る都に〜 第一話−エーナ (2004/4/15 21:06:32) No.29832 ┃┣The Snowing city 〜雪降る都に〜 第二話−エーナ (2004/4/17 22:38:41) No.29841 ┃┗The Snowing city 〜雪降る都に〜 第三話−エーナ (2004/4/18 22:58:55) No.29843 ┗Re:すすまない・・・すすまないったらすすまない・・・・・・;−すぅ (2004/4/19 11:28:56) No.29845
29705 | ちょっと待て!あぁるぴぃじぃ異世界ゲームっ!?――5 | エーナ | 2004/3/26 00:02:34 |
「・・・・・・ナニコレ?」 「いやオレに話を振るな頼むからっ!」 あたしが指差した物体をみて、キッドがぶんぶんと横に首を振る。 その顔が心なしか青ざめているのは気のせいではないだろう。 ちょっと待て!あぁるぴぃじぃ異世界ゲームっ!? ――港町テルミナ、栄光の竜騎士団そのいち あたしたちは今、テルミナに向かっている。 テルミナに向かうには『おぼれ谷』を通らなければならない。 カーシュたちを張り倒す前は調査だかなんだかで通らせてもらえなかったのだが、下層部の調査は一通り終わったとのことで、上層部へは行くな。通り抜けるだけならよい・・・と、ずいぶん高圧的に言われた。 『行くな』といわれれば行きたくなるというものが人情である。あたしはキッドと顔を見合わせ、きらりんと瞳を光らせて野次馬根性で上へと登った。 つか上層部へのはしごの前の兵士おかしいだろ絶対。 自分で言うのもなんだが『霊媒師』とやらがこんなガキなわけがない。 まあ、それはともかく。 「カッカッカ!どうやらお騒がせしちゃったようだね」 いやに陽気に笑った『それ』――ピエロの化粧をしたしゃれこうべはそういった。 「いやお騒がせすぎでしょ、あんた」 「てゆーかなんでそんなの目の前にして平気なんだよお前!」 震える指でしゃれこうべを指差すキッド。その後ろにはポシュルの屍が。(違) 「姉ちゃんにしごかれたから」 「お前の姉ちゃんって・・・一体・・・・・・」 後ろでキッドがぼそりとつぶやくが、今はそういう話ではないので無視。 「実はぼく、ここでずっと君みたいなやつがこないかって待ってたんだ。 わかってるさ!君も僕と同じくホントは死んでんだろ? ぼくも身体をなくしちまってて・・・おまけにこれまでの事何にも覚えてないんだ。 ぼくの気持ちわかるだろう?身体が見つかれば何かがわかるような気がするんだ」 「ヤダ」 のたまうしゃれこうべを、あたしはひとつの単語で一蹴する。 「うっわ言い切ったぜおい」 後ろでキッドがなんかよくわからんが恐れおののいている。 「だってやだもーん。めんどいもーん。これ以上厄介ごとなんて抱え込みたくないし」 いって、あたしは呪文を唱えるべく精神を集中させる。 「こいつこのまま昇天させたほうがいいんじゃない?――ってわけで、魔法行きまーす♪」 「えっ!?ちょっ・・・」 しゃれこうべが抗議の声を上げようとするが、もちろんなもんは無視。 「――永久と無限をたゆたいし、全ての心の源よ。我に従い閃光となり、深遠なる闇を打ち払え」 印を組み、呪文を唱える。そう大した呪文ではない。 「青魔烈弾波《ブラム・ブレイザー》」 青い閃光が衝撃と共にしゃれこうべに向かって駆け抜ける。 ――かぽぉぉぉんっ! 「のひぃぃいっ!!」 なかなか小粋な音と共にしゃれこうべが吹き飛び、叫び声が・・・っておい。 ――がんっ!・・・ぽて。 「ぎゃふっ!」 をう。向こうのでっかい動物の頭蓋骨に当たって落ちた。 「痛そうねーあれは。あはははははv」 「・・・おまえな・・・・・・」 「おっかしいわねー。今ので昇天はいあの世へさようなら。ってはずだったんだけど。 アンデッドやゴーストにちゃんと効くはずなのよね。 効果がないって事は、人間と同列扱い・・・キャラクターってことかしら」 結局、連れて行くことになりました。 まあどうせ荷物扱いだからいいんだけどね。 「・・・・・・うや?」 おぼれ谷下層部、出口付近にてどっかで見た顔を見つけた。 のっぽとちび。どちらもそれなりなそろいの甲冑をつけているから、どこかの兵士だという事がわかる。 「あれって確か・・・・・・ああ、漫才コンビか!」 「あ、そうでしゅる。ポシュルを崖の上から落としたやつでしゅる!」 「漫才コンビ?」 キッドとポシュルの言葉にあたしは首をかしげる。 ・・・・・・・・・・・・。 数秒黙考。 ・・・・・・・・・・・・・・・。 十秒ほど黙考。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 さらに数十秒黙考。 「・・・ああ!カーシュってヤツの部下の」 ぽんと手を打ってあたしはようやく思い出した。 「・・・俺たちどうやら馬鹿にされたようなんだな」 「そのようであります」 あ。怒気が見える。 「今から本気で馬鹿にするから爆裂陣《ディル・ブランド》」 ――づぼぉぉおん! あっさり過ぎるほど早く終わりました。 ――ぴろりんっ♪ 『レベルスターを獲得した!』 目の前にテロップが出てきた。 こ・・・こんなもんでか・・・?ふざけてないかこのゲーム・・・ 気力が萎える・・・・・・別の意味で前途多難だ・・・ あたしはそう思いつつ、テルミナへと向かった。 「・・・・・・で、命令違反のうえカーシュより遅い朝帰りでぼろ負け?」 こめかみをひくひくさせて仮面をつけた女性は言った。 今まで道化師とお茶の時間を楽しんでいたのだが、一気に機嫌は急下降。 『・・・・・・・・・(汗)』 言外に含まれた圧力に押され、でこぼこコンビが縮み上がる。 「・・・・・・あほかぁぁぁぁぁぁあっ!!」 隣にいた道化師は、用意よく耳栓をして紅茶を飲んでいる。 仮面の女性の怒声は、今では日常茶飯事なのだ。 これしきの事でいちいち反応していたら身が持たないことを彼女は知っている。 「あれほど戦闘前の漫才を止めろって言ったでしょうが!」 「い、いえ・・・やる前にその・・・」 「何よ砂糖。漫才やる前に吹っ飛ばされたって?」 「そ・・・その通りであります」 「・・・塩。あんたたち騎士辞めたほうがいいわよ」 頭痛がするのか、頭を抑えて仮面の女性はそう言った。 「で、廊下で立ち聞きしてるやつ、ちょっと来なさい!」 ぎぬろと女性がドアのほうをにらむと、どたがたと騒がしい音がした。 やがて、観念したかのように入ってきたのは――カーシュ。 おでこが赤いのは、きっとどこかにぶつけたせいだろう。 その顔はあきらかにむくれていた。 「この二人あんたたちの部下でしょう?教育はどうなってるのよ」 「教育がどうこうなどと部外者が指図する事ではないだろう」 しれっとカーシュは言い放つ。 「チェスでも将棋でもバックギャモンでもじゃんけんでもあっち向いてほいでも連戦連敗記録更新中のカーシュくん。 あたしが言ってるのはね、言外にあなたを責めてるってことなのよ。わかる? この――無能っ!!」 女性の言葉にカーシュが固まった。 「ど三流!力押し馬鹿!スカタン!単細胞!」 マシンガンのように立て続けにぶつけられる言葉に、カーシュはついにいじけだした。 「ううっ・・・どうせオレなんぞ・・・お嬢様にも嫌われ、あいつの弟にも模擬戦闘で負けて・・・」 「彼女に関してはあんたの事が目に入ってないだけだと思うけど――まあいっか。 慰める義理もないしね。『堕天使』、あたいヤマネコ様に呼ばれてる時間だからそろそろ行くね。 あんたの作ったタルトかなりおいしかったよ。またお茶の時は呼んでね。それじゃ♪」 「またね、ツクヨミ。今度はパイでも作るから」 ふわりと消えた道化師に手を振ると、仮面の女性――『堕天使』はカーシュに視線を戻し、深く嘆息した。 「・・・これ以上なんか言う気も失せたわ。・・・イシトのところにお皿とか持っていかなきゃ・・・」 彼女は見事な金髪をさらりとかき上げ、トレーと一緒にソーサーとティーカップを片付ける。 後にはただ、いまだに硬直している塩&砂糖コンビと、いぢけたカーシュのみが残った。 あとがき エ:・・・申し訳ありません。最近ぜんぜんアップできませんでした。 L:言う事はそれだけ?昇天させる準備ならすでにできてるけど。 エ:あああああっ!それを言うなら風邪に言ってください! 最初喉頭炎と間違えられて薬飲んでも直らなくて声が出なくなってぶっ倒れたんですよ!? いやあのチェーンソーは可憐なあなたの手には似合わな・・・ (自主規制させていただきます) L:・・・ふぅっ!久々に運動したから気持ちいいわねー。 そうそう。風邪にはホットレモネードとかチキンスープが聞くって聞いたことがあるわね。 それじゃあ皆様、風邪にはお気をつけて〜♪ |
29743 | ちょっと待て!あぁるぴぃじぃ異世界ゲームっ!?――6 | エーナ | 2004/4/2 00:07:18 |
記事番号29705へのコメント 港町テルミナ。 このエルニド諸島本島の都市で、もっとも交易が盛んなところ・・・らしい。 まあ、『らしい』といったのはあたしが他の場所を知らないだけであって、このにぎわいようは小さな諸島としてはかなりのものだとは思う。 街の入り口にある花屋。商店街の向こうにある露天。 そして、ゾウイカスミのパスタがおいしいと評判の酒場。 これはぜひ食べねばと店に入ったのはいい。 だがしかし。 「・・・な・・・・・・」 ひくりっ、と、あたしの顔が引きつるのがわかる。 ちょっと待て!あぁるぴぃじぃ異世界ゲームっ!? ――港町テルミナ、栄光の竜騎士団そのに 「あ、お久しぶりですね、リナさん」 能天気にも言い放ちやがったそいつに、あたしは無償に腹がたってきた。 「なんであんたがここにいるのよ―――ゼロスっ!!」 そう。毎度おなじみのニコ目ゴキブリ。 「つーかあんたこんなところでのんきにパスタなんぞ食ってるんじゃないわよ!」 「リ・・・リナさん絞まってます絞まってます・・・っ!」 ぎりぎりと首をねじりながら、あたしは暗く哂う。 「お、おい。これ以上やったらこいつ死んじまうぞ!?」 あたしのオーラにびびりつつも進言するキッド。 「んっんっん。だいじょーぶよ。こいつこれくらいじゃしにゃあしないから。 ――永久と無限をたゆたいし、全ての心の源よ。尽きることなき蒼き炎よ。 我が魂のうちに眠りたるその力・・・・・・」 「あああああっ!問答無用でそれはちょっと・・・」 やだ。やめない。 「蛇骨館の潜入に協力しますから!というか僕そのためにここにいるんです! 崩霊裂《ラ・ティルト》は止めて下さい・・・」 「・・・ちっ。命拾いしたわね」 「・・・僕にその呪文はちょっとしか効かない筈なんですが、リナさんがそんな雰囲気で唱えると本気で滅びそうな気が・・・」 ぜーはーぜーはーと肩で息をしながら(演技だろう。たぶん)ぼそりとつぶやくゼロス。 運のいいやつめ・・・・・・ 「・・・・・・大変だな、お前も」 「しんちゅうおさっしするでしゅる・・・」 「・・・・・・・・・あんたたち、呪文くらいたい?」 「あああのそのだな。そう!呪文といえばお前魔法の属性はなんなんだ?」 あたしのセリフにキッドが無理やり話題を変え・・・・・・って、あり? 「属性?」 「・・・は?お前そんな事も知らないで魔法が使えるのか!?」 あたしが首をかしげると、キッドはきょとんとして言った。 「大昔の人間はかつて皆魔法が使えていたって姉ちゃんから聞いたんだ。 今ではその事実も技も忘れ去られているけどな、みんなその人間たちの血を引いていて、強い心があれば魔法が使えるとか何とか。 ただ、その能力を目覚めさせる事ができる存在自体もういないから、強い心があっても魔法は発動しないって聞いたな。 ほら、先天属性に近い感じだ。オレは赤でリナは黒。先天属性は六種類だが、魔法の属性は四種類なんだとさ。 それらの相互関係がどうなってるかって言うのは魔法を使える人間がいないからわからねえ。 属性は天・水・火・冥の四つ。姉ちゃんは確か火だったな。まあ、俺は使えないんだけどな」 ほうほう。この世界の『魔法』はそんなふうになってるのか。 でも、エレメントと魔法の明確な違いってなんなんだろう。 あたしの世界の魔法がエレメントになっていたりそうじゃなかったりするのは一体どういうことなんだろうか。 「ああ、それなら・・・」 ごそごそと懐からメモを取り出すゼロス。 「リナさんは『冥』属性になっていますね。 冥属性の人は他の属性の魔法も使える事があるそうですから、そこのところの設定が簡単だとか言ってましたよ」 「言ってたって・・・あの子が?」 「ええ。彼女、今は『堕天使』と名乗っているそうですが」 ・・・・・・ルキってばこの二つ名気に入ってるなあ・・・ 「・・・あの子?『堕天使』っていやあ、本名、年齢、出身地・・・ほとんどが謎に包まれてるモンスターハンターだぜ? 大陸じゃあラジカル・ドリーマーズと並んでかなり有名なんだが・・・知り合いなのか?」 「へ?いや・・・まあ」 ・・・どういうことだろう?ルキがこの世界に来たとしてもあたしより後のはずだ・・・ 大陸で有名という事は有名になるだけの時間が存在しているはずである。 もしかしたらそういう役どころがあるのかもしれないが、何かが違う、どこかが違うとあたしの直感が告げている。 そもそも。ルキはあたしを元の世界へ返すために色々とやっているはずである。 何の必要性があって大陸へ行ったのか。・・・・・・これは色々と聞いてみねばなるまい。 あたしは挑戦的な笑みを浮かべた。 「たのもーっ!!」 ばん!と、客室の扉を乱暴に開けたのはカーシュ。 道場破りでもするかのように、背中には無駄な気迫を背負っている。 「で、今度は何?将棋?それともすごろく?」 毎度毎度違った勝負を持ちかけてくる四天王に、あたしは頭が痛くなってきた。 そういえば、この前は大食い対決だったっけ?時間内にどれだけゾウイカスミのパスタをどれだけ食べられるかって。 とうぜんあたしの圧勝だったけど。けっこうおいしかったわよね、あのパスタ。 イカ墨かぁ・・・今度ちょっと作ってみよう。 「カーシュ、毎日客人に勝負を持ちかけるのはどうかと思うぞ。 それからお前は頭脳戦は得意ではないだろう。 チェスでお前は私に勝てないというのに私が一勝もできない『堕天使』に挑んでも勝ち目はあるまい」 ゾアが言いつつポーンを動かす。 筋肉むきむきはあまり好きではないが、頭がいいのは嫌いではない。 こういうゲームをするのによくゾアはあたしの相手になってくれる。 「そーよね」 横で勝負を見ていたマルチェラがゾアに同調する。 「・・・あ、ゾア、チェックメイト」 キングに迫るナイト。ゾアに逃げ道はない。 「むぅっ!?・・・・・・どうやら23戦23敗のようだな。私の負けだ」 「すごいっ!蛇骨様でも勝ち負けが半々なのに!」 「ぅおいこらっ!3人してオレを無視するなっ!!」 「はいはい。で、今日の勝負は何?」 あたしはカーシュの抗議を軽く流してチェスの盤と駒を片付ける。 「模擬戦闘だ!バトルで決着をつけるぞ!」 「・・・大人気ないわねー。あんた勝っても負けても汚名がつくわよ。あたし15よ?そこんとこわかってる?」 ついになりふりかまわずに彼にとってもっとも誇れるもので勝負を仕掛けてきたカーシュ。 「わかっている!さあ、勝負だ!」 ここでひとつ言っておこう。あたしは負けず嫌いだ。 「・・・いいわよ。あっさり叩き潰してやろうじゃない。『堕天使』を甘く見ないでくれる?」 あたしはにやりと笑い、立てかけてあった剣を鞘から抜き、構える。 「・・・では、私はとばっちりを受けないように離れて見させてもらうぞ」 「カーシュ対『堕天使』?面白そうね」 離れた壁にもたれかかるゾアと、勝負が始まらないかと待っているマルチェラ。 「先行どうぞ」 「むががががが・・・馬鹿にしおって!『オーラアクス』!」 いきなり固有エレメントを放つカーシュ。 あたしは後ろへ飛んで衝撃を逃がす。 「げっ・・・ダメージゼロ!?」 カーシュが驚愕に目を見開く。 「レベルが違いすぎるのよ。『堕天使』を甘く見ないでくれる? 目には目を、歯には歯を、固有エレメントには固有エレメントをってね! ――『天より降る青の小夜曲《ブルーセレナーデ》』!」 青い魔方陣がエレメント発動によってフィールド全体に広がり、中心から純白の光と共に衝撃波が敵全体を吹き飛ばす。 グリッドレベル6の固有エレメント。対象は敵全体。タイプは魔法。睡眠のステータス異常のおまけつきである。 「ぐぁっ!?」 光に吹き飛ばされ、あっという間にカーシュの体力が削られる。 「はい、あたしの勝ち。49戦49勝。もっと抗魔の数値を上げてから来なさい。 もっとも、あたしの魔力が高すぎるからちょっとやそっとじゃ即死だけどね」 「むががががががっ!純然たる剣術で勝負だ!」 「・・・まだやる気ぃ?どっちにしろ結果は同じだと思うけど」 カーシュの言葉にあたしは嘆息する。 「――はいはい、そこでストップ。『堕天使』、ヤマネコ様がお呼びだよ」 ふわりと虚空からツクヨミが現れ、あたしとカーシュの間に割って入る。 「・・・ヤマネコが?」 「幽霊のことで話があるってさ」 「・・・・・・・・・ふぅん」 あたしは眉をぴくりと跳ね上げるが、顔の上半分を隠した仮面のおかげでその表情は読み取る事はできない。 そろそろ、である。母さんたちがここに来るのももうすぐ。 面白くなってきそうだ。 あとがき エ:ようやく次は蛇骨館潜入!メンバーは当然のごとくリナ・キッド・ゼロスで。 L:・・・それはいいとして・・・・・・ストーリーかっ飛ばしてない? 花屋とグレンの会話とか。銅像磨いてるじーさんのトコとか。 ゼロスが酒場にいたってことはアルフルートよね? エ:いえまあそうなんですが・・・何しろスレイキャラでやってますからね。色々と差異が出てくるんですよ。 まあ、それは皆さんの目で確かめてください。 あと、ゼロスのプロフィールとステータスを。 ☆プロフィール 職業 :ゴキブリ 年齢 :秘密ですv(最低でも千歳) 性別 :たぶん男 出身地:大陸 身長 :秘密ですv 体重 :秘密ですv 体格 :長身・細身 利き腕:両方 ☆能力値 HP 腕力 正確さ 魔力 耐久力 身軽さ 抗魔 レベル0 49 6 85 8 5 10 12 レベル99 880 87 95 65 75 15 58 スタミナ回復・12 ST異常・10 ☆装備データ 武器 :ロッド 防具 :一般、男性、女性(←!?) 専用装備:なし 初期装備:ボーンロッド、ボーンメイル L:魔族だけあって魔力と抗魔が異常に高いわね。抗魔は初期値はそんなにたいした事はないけど、少しずつあがっていくのか。 ・・・・・・って、防具に『女性』っ!? エ:ほんの遊び心です♪そうそう。リナの能力値も付け加えました。 ☆能力値 レベル0 HP・50 腕力・7 正確さ・90 魔力・10 耐久力・5 身軽さ・15 抗魔・9 レベル99HP・830腕力・79正確さ・95 魔力・62 耐久力・80身軽さ・45 抗魔・48 スタミナ回復・10 ST異常・10 L:・・・・・・まあ、いいけどね。ゼロスのグリッドとエレメントは? エ:グリッドの成長は基本はアルフに従いました。 ですがグリッドが増えにくいとなんかやなのでちょっと追加です。 ☆グリッドの増え方(レベルスター20まで) Lv.1 Lv.2 Lv.3 Lv.4 Lv.5 Lv.6 8 :フリー 0 :フリー 0 :フリー 0 :フリー 5 :フリー 11:フリー 18:フリー 2 :フリー 7 :フリー 3 :A 10:フリー 15:B ・固有エレメント A:紫紺の錐 (敵単体・魔法攻撃) B:漆黒の陣 (敵全体・魔法攻撃) エ:ゼロスの先天属性はもちろん黒。固有エレメントの『紫紺の錐』は原作で出てきたあれです。本体。 Bのほうはエレメントを作成するに当たって自動的にできてしまったものです。 本編には魔法としても出てきませんのであしからず。 リナと同じくレベル21以降のものもいずれ出します。 ・・・あーしんど。 L:12時過ぎてるって言うのに打ち込んでるからよ。自業自得。 それでは皆さん、夜更かしのし過ぎで体調を崩したりしないように気をつけてね〜♪ またお会いしましょう! |
29827 | すすまない・・・すすまないったらすすまない・・・・・・; | エーナ | 2004/4/15 18:09:48 |
記事番号29743へのコメント ・・・・・・・・・・・・・。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 L:・・・・・・で?何よこのタイトルは。 エ:まんまです。クロノクロスのほうも話が詰まりました・・・; L:くぉんの無計画エセ物書きぃぃぃぃいっ!!!! ごりゅっ げしゃ めごっ ぞりゅっ ごぶぉっ どしゅ ぼりんっ・・・・・・ L:・・・あら?なんか見えないところからも攻撃が・・・・・・ あたしの他は・・・母さんとゼロスとキッドと『死神』と・・・その他大勢? あらやだ。あたしにも数え切れないわ。 M:――呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーんっ! L:ミカエル、呼んでないわよ。 M:あれ、そうだっけ。・・・まあいっか。 実はさ、エーナからこれ預かってたんだよね。 『遺書』 L:・・・・・・ほう。さすがに覚悟してたみたいね・・・ 中身は、っと。 『――プロローグ ルキが、19歳の冬。 旅を漫遊していた彼女が、ふと立ち寄った魔導士協会であるメッセージを受け取った。 それは短く、陳腐な、ただ一行の言葉。 [ハハキトク、スグカエレ] 当然、ルキはあわててふるさとへと舞い戻る。 「お願いが、あるの。これは・・・あなたにしか頼めない」 か細い声で、リナは自分の娘に願いを託す。 「・・・どういうこと・・・?なによ、それ!」 母の言葉にルキは叫ぶ。 「あたしにしか、できない」 静かなる決意。 「ごめんな、ルキ。俺は力になってやれない。リナのそばにいなくちゃならないんだ・・・・・・」 ガウリイは疲労のたまった表情で答える。 「黙りなさい!」 怒りは言葉となってあふれ出す。 「痛い?当然ね。わざとやってるんだから」 冷たく、針のように降り注ぐ。 今までになかった難問がルキを襲う! 雪積もるゼフィーリアで、リナの身に何が起こった!? 本編第五部 The Snowing city 〜雪降る都に〜』 L:・・・・・・ほほぉぉぉう・・・? この上別の連載を始めるってか? いい度胸してるじゃないのエセ物書き!! 混沌にあたし自ら沈めてやるぅぅぅっ! M:わ!わ!?落ち着きなよ姉さん! L:落ち着けるかぁぁぁぁぁぁっ!! M:あああああっ!黒子さん、幕!幕! このままじゃめちゃめちゃになっちゃうって! ―(大慌てで)幕― |
29832 | The Snowing city 〜雪降る都に〜 第一話 | エーナ | 2004/4/15 21:06:32 |
記事番号29827へのコメント 第五部 The Snowing city 〜雪降る都に〜 第一話 はく吐息は白く染まり周囲の温度が寒い事を示す。 ちらつく雪の中蜂蜜色に輝く髪は紅い胸甲冑《ブレスト・プレート》にかかり、さらりとゆれた。 白く決め細やかな美しい肌やスタイルは、そこらのちょっとかわいい程度の女性を抜く。 顔立ちは少し幼いが、その毅然とした態度は本来の年齢――この場合肉体の――より大人びて見させる。 彼女の瞳は、母から受け継がれた自慢の炎の色。 顔立ちもどちらかといえば母親の遺伝が色濃い。 背とスタイルはといえば・・・父親の遺伝だろう。 なぜなら母は、『少女のように可愛い』と他人に言わせても、間違っても『大人の美人』とは言われなかった。 とは言うものの、すでに彼女の母は40歳近く、父はその年齢を通り過ぎている。 彼女自身19歳なのだからそれはなんら不思議ではない事なのだけれど。 というより、彼女の両親がいまだ30前後の見た目の年齢を保っている事のほうが不思議である。 彼女自身、その理由は知っている。 人間は老いる。魔導を駆使しなければそれはもう急速に。 彼女の両親の時が通常より緩やかに流れているのは彼女自身の『力』の影響に他ならない。 母親は、彼女が彼女の名をまだ持っていなかった昔、『彼女』をその身を器として受け入れたあの時に。 父親は、彼女自身の『力』にあふれる空間に入り込んだときに。 その『力』の影響を肉体に少なからず受けたのだ。 『存在のオリジナル化』。彼女はこの現象をそう呼んだ。 一部を除く他の存在の影響を受けない、もしくは受けても一瞬のうちに再生させる存在である。 だその影響は肉体にしか及んでいないため、完全ではない。それゆえ緩やかに寿命を延ばすことはあっても不死とは程遠い。 だが、彼女の両親はそれを望んではいないのだ。 長い時を持つ彼女としては少々不本意だが、本人が望むのだから仕方がない。 けれども。 まだだ。 まだ早い。 天寿を全うするのならともかく、病や事故で死なせるなどもってのほか! 「母さん!」 彼女はあわてていた。 あわてる事それ自体は少なくないが、ここまで焦燥感を胸に詰まらせたのはこれが初めてだろう。 鼓動は速く。額には冬だというのに汗が浮かぶ。 ラルティーグの魔導士協会でメッセージを受け取ってからすぐさま飛んできたのだ。 本当に空を飛んだわけでも、普通に旅路を急いだわけでもない。 空間を『飛んだ』のだ。人々の目の前で。 彼女はメッセージを受け取って、初めて『血の気が引く』という感覚を味わった。 ゼフィーリアに着いて、実家の扉を乱暴に開ける。 「ルキ!」 玄関に迎え出たのは自分の父親。 心なしかやつれて見えるのはルキの気のせいだろうか。 「父さん、何があったの!?母さんが危篤って・・・」 ルキはつつ親に詰め寄って、帰還の挨拶すらせずに本題を単刀直入に尋ねる。 「病気、だそうだ。今ルナさんがリナを介抱してる・・・ さっきまでは俺がやってたんだがな、そろそろ休んだほうがいいって言われて・・・けど・・・!」 「・・・そう。ちょっとあたしにも見せてくれる?そこらの医者よりずっと腕がいいわよ」 ガウリイのもどかしさが伝わり、ルキは父親も自分と同じ思いを味わっているのだと悟る。 ガウリイの言葉に少し言葉を落ち着けさせる。病気ならば治す方法を知っているからだ。 「こっちだ」 言って、ガウリイはリナの部屋へルキを連れて行く。 リナの部屋へ、である。 入院しているわけではない。 『危篤』という連絡があったのだから、単なる自宅療養のはずがない。 それは、入信しても無駄ということだろうか? 医者にはもう、手の施しようがないくらい悪いのか? その考えに、ルキは顔をしかめた。 ガウリイがドアの前に立ち止まり、ノックを三回。 「ルナさん、ルキが帰って来ました」 「ルキちゃん?・・・ちょっとこっちに来てちょうだい。ガウリイさんは入っちゃダメよ」 ドアの奥から、ルキのおばの声が聞こえる。 ・・・彼には聞かせられない話でもするのだろうか? 「・・・失礼します」 そっとドアを開け、静かに部屋の中に入った。 「けほっ・・・ルキ」 断続的な咳の合間にベッドの主は横たわったまま娘の名を呼んだ。 「リナ、しゃべっちゃダメよ」 姉の忠告にリナは素直に従い、こくりとうなずいた。 「ルナおばさん、母さんの容態は?」 赤の竜神の騎士《スィーフィード・ナイト》であるルナを『おばさん』――たとえそれを肉親としての人物を指す言葉でも――と呼べるのは、ルキ一人だ。 本来彼女は気の長いほうではない。そう呼ばれただけでも普通は荒れる竜のごとく怒るだろう。(事実リナはそれを目撃した事がある) 「はっきり言って芳《かんば》しくないわ・・・ルキちゃん、お願いがあるんだけど」 「何?」 まじめな表情をして、ルナはルキに向き直る。 「ルキちゃん、あのね」 「・・・姉ちゃん、あたしから言うわ・・・・・・」 「仕方がないわね」 病に伏せる者特有の息をはき、リナが言った。姉であるルナは仕方がないと容認する。 「お願いが、あるの。これは・・・あなたにしか頼めない」 か細い声で、リナは娘に願いを託す。 その唇がつむぐ言葉に、ルキは目を見開いた。 「どういうこと・・・!?なによ、それ!」 信じられないといった面持ちでルキは反問する。 覚悟していた言葉ではなかった。期待していた言葉でもなかった。 言われたのは、そう。全く関係のないと思われるような事柄。 「言ったとおりの意味よ、ルキちゃん」 ルナの言葉に、ルキは目を伏せ嘆息する。 『あなたにしか頼めない』 確かにこんなことを頼めるのはルキ以外にはいないだろう。 「あたしにしか、できない」 ポツリとルキはつぶやく。 「しょーがないわね。やってやろうじゃないの」 がしがしとルキは頭を掻き、投げやりな口調でそういった。 「確かにあたししか頼めないわよね。まさか――」 ルキはそこで言葉を切り、呆れた表情になる。 「・・・風邪ひいたから講師の代理やってくれなんて。 何でまた風邪なんかひいたわけ?」 「いやあ、おとといおいしそうなお酒が特価で売っててさあ。 思わず2ダース衝動買いしてガウリイと飲んだんだけど、それがアルコール度数が40%! 口当たりがいいもんだから気がつかなくて、べろんべろんになるまで酔っ払って雪の降る街の中薄着で歩いちゃったらしくて。 その辺ぜんぜん覚えてないんだけど朝起きたら家の屋根の上! こりゃ風邪ひかないほうがおかしいわよねー。あははははは☆」 言って、リナははたはたと手をふった。 ちなみにガウリイはおんなじような状況だけど風邪ひいてなかったのよ。おかしいわね。 などとリナはのたまい、ルキはひたいに青スヂが浮かぶのをとめることができなかった。 「じゃあ何?あたしがあわてて駆けつけてきたのって全部無駄? 気苦労とかプレッシャーとか覚悟とかも全部?」 「そうみたい」 けろりと言われた言葉に、ルキはさらに青筋を浮かべる。 「反省しろおおおおっ!!」 病人の部屋だという事も忘れ、ルキは叫んだ。 あとがき エ:シリアスを予想されたかたがた、ごめんなさい。 プロローグを見た方、見てない方、どシリアスを予想されたでしょうがエーナの作品ですからそれはありえません。 L:なに!?リナが危篤ってただあたしを呼び出すための方便!? エ:はひ。さうでございます。 L:古典の仮名遣いで言わんでよろしい! エ:はあ。わかりました。それでは本題に入りましょう。 さて、題名の『The Snowing city』ですが、文法間違っている可能性があります。 つーか語呂を良くしたくて適当に打ち込んだんで合っている可能性なんぞ低いですむっちゃ。 頭真っ白です。まっさらな気持ちで打ちました。 最後まで読んでいただいたのならわかるように、サブタイトルは『がんばれ!ルキ先生!』です。 L:毎度毎度思うけど、あんたの書くものってたいがい理由があいまいなのよね。 ちゃんと今度こそあるわよね? エ:うっ・・・一応全部『あいつがこんな行動をしたのはこうだからだ』とか、理由はあるんですが文才がないため表現しきれず・・・ L:ほう?そんな事言うんならちょっとくらいは教えなさいよ。 エ:本当にちょっとだけですよ? では外伝である『Oblivon〜忘却〜』の『悠久の時の彼方に其は何を思い出す?』を参照。 ルキは剣を抜く。ひゅんっ!と、風を切り・・・ ――ぴたり、と、首の薄皮だけを切って剣が止まる。 彼女が意図的に止めたわけではない。 つかまれているのだ。その手首を。 「・・・ルキさんらしくありません。止めてください」 「ゼロス・・・離しなさい」 「お断りします」 ぴくり、と、ルキの眉が跳ね上がる。 「もう一度言います。止めてください」 「・・・・・・・・・。・・・・・・分かったわよ」 ルキはあっさりと剣をひく。ごろつきは泡を吹いて気絶していた。 エ:・・・の、くだりですが。 L:そういえばゼロス、このときあたしの『命令』を拒否したのよね。 エ:そこら辺はあなたがご存知でしょう? L:うーん。まあね。これの答えは単純明快。 ゼロスが『存在のオリジナル化』してるからよ。 その変化は同様の他の存在たちと比べて緩やかなものだから本人は気付いてないわね。 気付いているのはあたしだけ。 エ:(実は言うとルキに恋をしているのもこれのせい。本来なら、はじめは単なる好奇心だけであったはずのものが『存在のオリジナル化』によって変化した。元々この感情になる『種』のようなものはあったんですが、その要素が『存在のオリジナル化』によって爆発したんです) L:エーナ、何か言った? エ:いえ、なにも。 さて、ちょっとばかり秘密を明かしたところであとがきを終わります〜♪ L:アディオス!それではまたお会いしましょう! |
29841 | The Snowing city 〜雪降る都に〜 第二話 | エーナ | 2004/4/17 22:38:41 |
記事番号29832へのコメント あらすじ [ハハキトク、スグカエレ]という陳腐な短いメッセージ。 受け取ったのはいいけれど、急いで帰ってみればただの風邪!? 数日で治りそうじゃない位にひどいのはわかるけど、代わりに講師をやってくれってどういうことよ! ちゃんと説明してくれなきゃ納得しないからね! 第五部 The Snowing city 〜雪降る都に〜 第二話 「けほ・・・げほけふっ・・・」 リナの口から断続的な咳が飛び出す。 かなり苦しいらしく、ベッドの中で横を向いて身体をくの字に曲げている。 「ほら、リナ。あんたは喉を痛めてるんだからこれ以上しゃべっちゃダメよ」 こくんとリナが素直にうなずく。 「ここから先は私が説明するわ。色々あるだろうから先にあなたの質問を聞いておくわね」 顔をリナのほうからルキのほうに向き直し、ルナは言った。 その言葉からするとリナ、もしくは他の誰かから詳しい事を聞いているのだろう。 「ルナおばさん、『講師』をしろってことだったけど、魔導士協会の講師よね?理論学問の。 あたしにしかできないってことはそれなりに理由があるんでしょ?教えてくれるかしら」 先ほどちょっとばかり切れたが、叫んですっきりしたのか今はすっかり落ち着いている。 ここにはいないガウリイだが、彼はかなりの心配性である。 不測の事態――たとえば怪我とか病気など――が起こると、必要以上に騒ぎまわりそわそわする。 現に、ただの風邪(軽い症状ではないが)でこの世の終わりのごとく暗い雰囲気を背負っていた。 それがルキの不安をいっそう煽る事になっていたが、ルキもあわてていて父親のその傾向を忘れていた。 「ええ。これに限ってはリナじゃなきゃならなかったのだけど・・・リナがダメならあなたに頼むしかないわね。 実はね・・・これはゼフィーリア・・・いいえ、結界内全部の国の問題なのよ」 「・・・ってことは・・・大陸から誰かが来て、母さんがが理論学問を教えるはずだった、という事かしら?」 「そうなのよ。来るのは外の世界の学問大国と呼ばれるフォーロシア王国の留学生。 ・・・彼らは総て学問における秀才たち。今までよりも大規模・・・とは言わないけど、派手なな留学なの。 それで結界の外の世界にも超有名どころの魔導士『リナ=インバース』にお鉢が回ってきたってわけ」 「・・・でもこの状況じゃあねえ・・・・・・」 ちらりとルキが母を見やると、彼女はばつが悪そうにそっぽを向く。 しかもリナの視線が泳いでいたりするのでなおさらである。 「有名どころねえ。それで言えばおじさんとおばさんと父さんなんだけど・・・」 はっきり言って、『リナ=インバース』の仲間である『正義の仲良し四人組(ときどき+1)』(アメリア談)は外の世界でもそれなりに有名である。 「ガウリイさんは間違いなく問題外」 クラゲの上に、第一魔法が使えない。 「アメリアおばさんは正義の何たるかについて講釈しそうだし」 二人の脳裏に『正義について』という講釈を延々と説き続けるセイルーンの王妃の姿が浮かぶ。 「ゼルガディスさんは国王で国務が忙しい」 書類に埋もれる某国王の姿が以下略。 『・・・はあ・・・』 二人そろって嘆息した。 「・・・まあいっか。どうにかなるでしょ。それで、『留学生』が来るのはいつ?」 「明日よ」 「はぁっ!?それを早く言ってよ!!急いで教材用意しなきゃなんないじゃないの!」 「テキストならすでに作り終えてるんだけど、そのほかのものは昨日用意するはずだったのよね・・・」 「いいわ。ルナおばさん、あたしいい事思いついちゃったから♪」 「そ・・・そう?な、なら任せるわ・・・・・・」 にんまりと笑うルキの言葉に、ルナの顔が、ひくり、と引きつる。 昔からこの姪の『いい事』は、いい意味でも悪い意味でも周囲のものに衝撃を撒き散らしていたのだ。 「それじゃ♪母さんの看病頼むわ」 ルキは少し楽しげに身を翻し、ドアノブの手をかけようというとき、その動きがふと止まり、顔がルナとリナのほうに向けられた。 「そうそう。便利な助手を連れて行くけど、かまわないわよね?」 「ええ。一人で担当するのは何かと大変でしょうし・・・ゼフィーリアからも許可が出ているわ」 「ありがと。それを確認しておきたかったのよね〜♪」 そう言ってルキは部屋の外へと出て行った。 「リ、リナ・・・・・・もしかしてあたし余計なこと言っちゃったのかしら・・・?」 「・・・・・・かも」 姪に頭が上がらないルナと、娘の性格を熟知しているリナの二人は冷や汗を流した。 「うーん」 後ろ手でドアをパタンと閉めて、あたしはうなった。 「ルキ、リナの様子は?」 ドアの前で待っていた父さんが声をかけてきた。 相変わらず心配そうな表情だが、これは行き過ぎである。 何でこんなんなのかしらねえ、父さんってば・・・・・・ 「一週間もかからず治るって。 それよりも仕事頼まれちゃったのよね・・・」 助手、助手、助手・・・あいつの首根っこ捕まえてつれてこよう。うん。あの人の許可を取るのは難しくないしね。 あいつけっこう便利だし。 「オレはダメだぞ? ごめんな、ルキ。俺は力になってやれない。リナのそばにいなくちゃならないんだ・・・・・・」 このセリフだけを見たら、主人公が一人だけで強敵に立ち向かわなければならないオハナシ、といった感じなのだが・・・・・・ いかんせん協力してくれるやつはいるにはいるし、第一強敵などいない。 「・・・・・・始めからあてにしてないわよ。 父さんがこういうのダメな事ぐらい、あたし、よぉぉぉぉぉぉぉおっく、わかってるから」 わざわざ『よぉぉぉぉぉぉぉおっく』の部分に一番重点をおいてあたしは呆れて言い放つ。 「それじゃ、あたしちょっと行って来るわ」 一歩踏み出し、空間を飛ぶ。 ――翌日。ゼフィーリアの北の港には大勢の『留学生』を出迎えるために来た者たちと、物見遊山の者たちでまるで祭りのような騒ぎだった。 豪奢な装飾が成された巨大帆船からタラップで先に見慣れぬ服装の兵士たちが降り、次に学生然とした制服を着た若者たちが次々に降りる。 訓辞をつらつらと述べる女王と、そしてそれを横一列に並んで聞く四人の学生。 何しろ大きなイベントだ。なかなか華やかなものである。 外の大陸の者たちを好奇心で見に来た者たち。そしてその人だかり目当ての出店。ちゃっかり使用料を取る港の持ち主。 それを見ていると苦笑を禁じえない。 とある異世界では留学生などけっこう探せばいるものなのだが、この世界ではそうはいくまい。 何しろ時は大航海時代。150人いた船員が、国が大量に金をかけた三つの船といっしょに海の底、などというのは珍しくないのだ。 え?だったらなんて彼らが無事なのかって? それは、あたしのおかげである! ・・・いや、えばっているがこれは誇張ではないのだ。 そもそも長い航海で無事に帰還できない理由というのはおおまかに二つあるのだ。 ひとつは嵐に巻き込まれるなりの天災。 そしてもうひとつは病である。 前々から留学という話は持ち上がっていたのだが、これらがあるのでなかなか踏み切れなかったのだ。 ・・・・・・船員による反乱、というのもあるにはあるのだが・・・それは利益をめぐっての事で、今回の件とは関係ないので除外した。 さて、前者のことだが・・・・・・まず、今回の航海は航路を探るものではないのでできるだけ穏やかな海を行けばいい。 それから、できるだけ強い船を作る。その上で安全に航海できるように“護衛”をつければなおよい。 実はその“護衛”・・・・・・深海竜《リヴァイアサン》だったりするのだ。これが。 深海竜《リヴァイアサン》がいれば危険な海洋生物――鮫やクラーケンなど――はよってこないし、もし船にとって危険な海流が先にあるのならそれを察知する事もできる。その上お互いに交流を深める事もできるのならまさに一石二鳥である。 ちなみに、ルナおばさんからアシュ、アシュからフィリア、フィリアから深海竜《リヴァイアサン》へと伝わったのだ。 まさにあたしの人脈のおかげvあ、いやこの場合人脈とは言わないか。まあいいけど。 さて、後者のほうだが、長い船旅でかかる病気といえばたいていあれである。 そう。『壊血病』。 あれは単にビタミンCが足りないから起こる病気であって、仕組みがわかれば怖くはない。 果物などを積めば万事解決だ。 ――ただ、その仕組みがわからなければ『未知の病』であって、恐怖の対象になるのは当然である。 あたしが小さいときにその仕組みを書いたメモがどこかに行ってたけど・・・いつの間にか本になって出版されてたわね。インバース出版って。 別にあたしはそんな事はどうでもいいからいいんだけど。 まあ、とにかくこちらもあたしのおかげである。 「・・・我々が、ファドレーゼ総合学院の留学生を受け入れる事を、非常に喜ばしく思います。 それでは私からの話を終わりましょう。 今回、残念な事にリナ=ガブリエフ講師が病でこちらに来る事ができません。 彼女の代理として、一週間代理で講師をすることになった方を紹介します。 ・・・ルキさん、こちらへ」 「はい」 女王の言葉に、あたしは立ち上がって用意された壇上に上がる。 女王はあたしと入れ替わりに自分の席へと戻った。 「さて、始めまして。あたしがルキ=ファー=ガブリエフよ。 一週間母に代わってあたしが講師をやらせてもらうわ。 ・・・ああ、講師をやるのは初めてだけど、ビシバシしごかせてもらうからそこんとこよろしく♪ さて、何か質問は?」 眼鏡をかけた、大人しそうな茶髪の17歳前後の男の子がおずおずと手を上げる。 「あの・・・少しよろしいですか?」 「はい、そこの眼鏡君。何かしら?」 「ルキ=ファー=ガブリエフさん・・・あの『堕天使』の・・・ですか?」 おずおずといった彼の目には、遠慮はあったがおびえというものはない。まあ、よしとしよう。 「ええ。そうね。まあ、噂なんて尾ひれがつきまくるものだしあんまり気にしなくていいわよ。 ・・・そうそう、母さんにそういうことをいうと怒るかもしれないから言わないほうがいいわ。 さて、ほかには?」 「オレからもいいっすか?」 薄水色の髪の、目つきが悪い男が手を上げた。 ・・・む?この目つきはなんかたくらんでいそうな感じが・・・ 「ちょっと教えて欲しい事があるんだけどな・・・ ――氷の矢《フリーズ・アロー》!」 ぎんっ! いきなり放たれた呪文の矢が、虚空でまるで球体にぶつかったかのようにその形にそって散った。 当然、防いだのはあたしの『力』だ。 「・・・・・・ずいぶんね」 「ヒュ〜。さっすが『堕天使』。呪文丸覚えの魔法とはいえ、不意打ちもあっさり防いでやんの。こりゃすげえ」 口笛を吹いて彼は賞賛するが、やられたほうはたまったものではない。あたしは嘆息して・・・ 「まあ、褒めてくれるのはうれしいけど、そういう手癖の悪い子は・・・」 すっと小さなナイフを取り出し、投げる。 「げっ!?」 攻撃されるとでも思ったのか、彼が驚愕に目を見開く。 他の三人のうち、女の子と眼鏡君が短い叫び声を上げた。 もう一人は驚いた表情を一瞬したが、それだけである。 「――影縛り《シャドウスナップ》。そこで反省してなさい」 たん、と彼の足元にナイフが突き刺さる。 精霊魔法、影縛り《シャドウスナップ》。この呪文は精神世界面《アストラル・サイド》に干渉し、相手の動きを封じる呪文である。 これは元々尋問用に開発されたため、口は動かせるがそのほかの部分を動かすのはまず無理である。 まあ、魔族にはあまり効果はないが。使わなくてもあたしなら別の方法で行動を封じる事もできるし。 「攻撃呪文を相手に叩き込むってことは、相手にも攻撃を許しているようなものよ。 猫はトラを引っかかないことね」 にこりと笑顔で言ってやるが、目は欠片も笑っていない。 うーむ。人間になってから我慢するってことを覚えたよなあ。 「さて、箱入りのお坊ちゃんお嬢ちゃんたち。 あたしが持つルールとあなたたちが持つルールはずいぶんと食い違うようね。 言ったわよね?ビシバシしごいてあげるって。 それじゃああたしの話を終わります」 呆然とするギャラリーをよそに、あたしは壇から降りた。 まったく。どうなっているのかしら、こいつらのしつけ。 魔族や神族だったら即おしおきなんだけどね。 帰ろ帰ろ。こんな式典なんかいやになっちゃったわ。 不機嫌オーラまんまんで、あたしはその場を立ち去った。 あとがき エ:あああああっ!!石投げないでくださいお願いしますから! L:じゃあこれ投げる。 めごすっ!! エ:・・・・・・・・・だからって・・・・・・岩は・・・・・・・・・ぐふっ。 L:ふっ。自分の無計画性を呪う事ね。 それじゃあエセ物書きも沈黙した事だし、ここから先はあたしが進行するわよー♪ さて、今回留学生君たちが来たわけだけど・・・ちょうどエーナのメモもあるし彼らのことをちょこっとだけ紹介しましょうか。 まず、最初に眼鏡君。 眼鏡君の本名はコウ=ファミル=グラディルード。 わりとおとなしめの性格の子ね。性格は悪くはないんだけど、引っ込み思案が玉に傷って所かしら。 歳は17で、ブラウンの髪に眼鏡をかけてるわね。 次にいきなり呪文かましてきた悪ガキの名前はディート=フィロス=グラディルード。 歳は眼鏡君のひとつ下。名前からわかるように眼鏡君の弟よ。 性格はあのシーンからわかるようにいたずら坊主の上にへそ曲がり。 その上好奇心旺盛のやんちゃボウズな民だから眼鏡君も大変よねー。 薄水色の癖っ毛に、目つきが悪いから猫のような印象を受けるわ。 三人目は女の子。名前はサーラ=フィオリス。うん、なかなか可愛い名前ね。 歳は悪ガキといっしょの16歳。性格は・・・元気はつらつとした、いわゆる典型的な明るい子、ってところかしら。 長いつややかな黒髪を持つ子よ。日系の顔立ちね。 さて、最後の男の子・・・えーっと、グロード=ラディミルって言ったかしら。 彼は最年長の18歳で、冷戦沈着な性格。表情が少ない上に口数が少ないから冷たいヒトと見られがちだそうよ。 背はわりと高めで銀髪。 彼らは全員フォーロシアの国立学院に所属するエリート。 まあ、それくらいじゃなきゃこんな派手な式典はやらないわよねえ。 ちなみにグロードだけ奨学金制度で入学しているわ。 ・・・・・・こんなもんかしら。 あたししかしゃべるヒトいないからセリフが長くなっちゃったわね・・・まあいいか。 それじゃあ、あとがきをこれで終わりま〜すv |
29843 | The Snowing city 〜雪降る都に〜 第三話 | エーナ | 2004/4/18 22:58:55 |
記事番号29832へのコメント あらすじ 留学生の講師の代理を引き受けたのはいいけれど、なんか中にとんでもないのが混じってるみたい! まったく、向こうの人選もどうなってるのかしら。 はて、これから一週間どうなる事やら。 まあそれはともかく、一日目の始まりぃ♪ 第五部 The Snowing city 〜雪降る都に〜 第三話 魔導士協会、特別講義室。 いま、あたしはそこで教壇に立っていた。 魔導士協会で教える教義は年々増えていっている。 なぜなら外の世界での情報が流入してきているからだ。 それゆえ生徒が学業に従事する年数も増え、その上、数学、科学、生物、国語、歴史・・・などなどさまざまな強化が登場するため、魔導士を目指さない人たちも学ぶ事が少しずつだが多くなっている。 強制ではないため、子供に仕事をさせなくてすむ、それなりに裕福な家庭の男性がほとんどを占めるが中には女性もちらほらと見える。 ここはエスカレーター式ではないので留年という制度がある。しかも、成人になって余裕ができてから学ぼうとここにいる人もいるので・・・はっきり言ってしまえば、生徒の中にはあたしの倍くらいの歳の人もいる。 ようするに、こんな若い人間、しかも女性が講師――たとえ代理とはいえ――をやるのは異例のこと。 それからつけたし。ここの講師は男性がほとんどで、年齢はたいてい50歳以上。母さんも若い方の部類に入るということだ。 「さて、それじゃあ。一週間あたしが代理であんたたちの世話をするわけだけど・・・あんまりかしこまったりしなくていいわよ。 あんたたちと歳は大して変わんないし。 それからもうひとつ。教室内での攻撃呪文、及びそれに順ずる呪文は禁止!わかった?悪ガキ君」 「けっ!」 あたしが言うと、悪ガキ君が悪態をついた。 四つしかない机の上に足を乗せて、まるきり不機嫌モードの悪ガキ君。 ・・・・・・なんかむかつく。 「・・・・・・かしこまらなくていいとはいったけど、舐めてもらっては困るわね」 絶対零度の微笑みであたしが言うと、一同がびくりと硬直し、悪ガキ君はすぐさま姿勢を正した。 「さて、あたしは基礎である魔導士理論を一週間で叩き込むわけだけど・・・ 始めにあなたたちが魔導をどんなものだと思っているかちょっと聞いてみましょうか。 それじゃあ、あたしから見て一番左にいる女の子。サーラ、答えてくれる?」 「は、はい!」 緊張しているのか、あわあわと立ち上がるサーラ。 がたがたと椅子を鳴らして、彼女は立ち上がる。 「呪文を使って、精霊、神、魔の力を扱う技術だと思います」 サーラの答えはけっこうまともなものだった。でもまあ素人考えで、という意味だが。 「うーん、おしい!けっこういい線いってるけどちょっと違うのよねえ。 確かにそういう面もあるけど、それだけじゃあないのよ。それじゃあ次に眼鏡君・・・コウ、お願いね」 「え?あの・・・はい」 指名されて少しきょとんとしている眼鏡君。さて、どんな答えを聞かせてもらえるのやら。 「その、すいません。サーラと同じことを考えていたもので・・・」 「そう。それじゃあ次よ。ディート、答えなさい」 「ちっ」 むすっとしながら舌打ちをして悪ガキ君が立ち上がる。 「魔法を使ってバカスカ敵を倒すもんだと思うぜ、俺は」 「はぁ!?」 なんぢゃそりゃ。こいつホントにエリートか? 呆れた。それはもう。 「・・・あたしが本当の講師ならとっとと教室から追い出してるわ。 はい、つぎ。最後の君、グロード、答えてちょうだい」 「はい」 あたしは頭を抱えて最年長の生徒に言うと、彼は表情一つ見せずに立ち上がる。 「魔導とは、魔を律し、知識によって力を支配し、力の流れを読み、それを変えて何かをなす技術や学問だと思います」 「完璧!そう、その通りよ。魔導とは学問であり技術。テストなら満点を上げるところだわ。 魔導とは呪文を操るものだけではないわ。 数学のように式を組み立てて紐解き、科学のように道具を使って実験を繰り返し、時には生物を使って試し、歴史における先例に学び、試行錯誤を繰り返す・・・ 魔法は万能ではないわ。科学がそうでないようにね。 法則があり、力の流れが成り立つ。その法則を無視して力の講師をおこなえるのは、法則を超える魔力を持つものだけよ。 それこそ純魔族や神族とかね。 ・・・本当は魔法を扱うために法則が組み立てられたんだけど・・・そういうところは忘れてもらってかまわないわ。 呪文で魔力の公式を組み立て、紐解くと魔法が生まれる。 その間に魔力というエネルギーが必要なわけだけどあまり気にしなくていいわ。 あたしが教えるのは理論だけだし。そういうことは後で母さんに聞いてちょうだい」 グロードの答えを絶賛し、あたしは軽く手を叩く。 うん、こいつのあだ名は『優等生』だ。決定。 「さて、それじゃあ始めに基礎の基礎、『世界』のところから行きましょうか」 「はぁ?そんなもん勉強してどうするんだよ。留学する前に勉強したからな。こっちからも留学生はうちにきてるんだ」 「ちっちっち」 悪ガキ君の言葉にあたしは指を振る。優等生以外の三人は首をかしげた。 「テキストに載っている『世界』の理論はあなたたちも聞いたと思ってるわ。 あたしがこれから教えるのは、特別よ。と・く・べ・つ!だから、この項に関してはテキストを開かなくてもいいわ。 ああ、ノートも開いちゃダメよ。頭の中だけにしまって置いてちょうだい」 にんまりとあたしは猫のように笑い、ひとつの記憶球《メモリー・オーブ》を取り出す。 昨日一昨日と仕込んだものの一つだ。 これは暗いほうが見やすいのであたしは分厚いカーテンを閉め、オーブを作動させる。 ぶわり、と映像が四方八方に広がった。 「うわっ!?」 浮かび上がるのは、この惑星と、その周囲に廻る月の映像。 「きれい・・・」 サーラがぽつりと言った。 うん、それはあたしもそう思う。 生き物がすむことのできる星は美しい。人間がそれを汚さなければいいが・・・それは無理だろう。 そんなところもあたしが作った人間だからこそ、なんだけどね。 「さて、あなたたちが言う『世界』とは、この青いサファイアのような惑星の事よ。 こちらの常識では世界は平面という事になってるけど、あなたたちの世界では航海術も天文学もこちらより進んでいるからそんな事は百も承知でしょうね。この星の地理なんて今さらでしょうからそこは丸々飛ばさせてもらうわ。 この映像を縮小してみましょうか」 しゅん、と青い星が小さくなり、紅く輝く星と、その周囲に廻る惑星たちが映る。 「さて、これがこの惑星が廻る恒星系だけど・・・ 内側からネメシス、バルカン、クラリオン、テラ、フェイトン、ティアマト、アクエリアス、ニビル、ラーメタル、ケツァルコアトル。 この恒星がネメシスだってことくらいわかるわね?ケツァルコアトルが月より小さいって言うのはまあ、余談よ。 サイズはちゃんと調べてこれ作ったんだから。さて、これをもっと縮小しましょうか」 ゆっくりと恒星を中心にして回転する天体たちがさらに小さくなり、今度は小さな光たちがどんどん集まって・・・次第には円盤状の形をとる。 「さあ、これが銀河よ。あたしたちの今いる恒星系は・・・このあたりね」 言って、あたしは銀河の中心からけっこうはなれた部分を指し示す。 「え?真ん中じゃないの!?」 サーラが驚いた声を上げる。まあ、当然だろう。 この世界は今現在、地動説が主流であってもこの恒星系が宇宙の中心である、と考えられているのだ。 天文学がもっと進歩すればそれもいつか変わるだろう。 「そーよ。もし真ん中にあったら夜に夜空が明るすぎると思うけど。それに天の川も存在しなくなるわ」 「嘘つけ!テラは宇宙の中心にあるって聞いたぞ!」 悪ガキがやはりあたしの言葉に噛み付いてきた。眼鏡君はおろおろとしている。 「まったく・・・常識は覆されるものよ。天動説がそうだったように、次第にその説も廃れるわ。 それじゃあ・・・もっともーっと、縮小してみましょうか」 銀河が小さくなり、別の銀河が、星たちの集うさまざまな形の円盤が圧縮され――最後には一つの球体の内部に納まった。 球体――そう。宇宙である。 「これが宇宙の全体予想図よ。 今縮小される映像を見たとおり、この世界・・・すなわちひとつの宇宙はこんな感じで存在しているの。 ・・・・・・ここから先宇宙がどうのこうのって言うと、光の原理だの宇宙が生まれたときがいくつだのって話になるからやめておくわ。 さて、魔導のところへ話をつなげましょうか。 この世界には神・赤の竜神《フレアドラゴン》スィーフィードと、魔王・赤目の魔王《ルビー・アイ》シャブラニグドゥ・・・そしてそれに連なる神族と魔族が存在しているわ」 「あの・・・その二つは、ただの伝説上の存在だって聞いたんですが・・・・・・」 眼鏡君がおずおずと定説を言った。まあ、それは仕方のないことだろう。人は多くが定説を柱として信じているのだから。 「そうね。魔導士協会でもそれが定説だし。 ・・・と、そういうと思ったから、ゲストを連れてきてるわ♪ みんな腰抜かさないでよ。 ってわけで、ゼロス、出てきなさい!」 「え?あの、ゼロスって一体・・・」 「――お呼びですか?」 ぬ、とあたしの隣に黒い人影が出現する。 ・・・・・・どうでもいいが薄暗いから幽霊っぽいぞ。 『ぅわうっ!?』 三人が声をそろえて驚愕する。優等生君も驚いて突如現れたその姿を凝視していた。 「いやあ、いつ呼んでいただけるのか待ってましたよ」 「あ、そ」 にこやかに言ったゼロスの言葉をさらりと流して、あたしオーブの映像を消し、カーテンを開けた。 こぼれる光に、黒いその姿がはっきりと浮かび上がる。 「こいつはあたしの知り合いで高位魔族の中でも一番下のゼロス。 そうそう、普通の人間が攻撃しても返り討ちにあうだけだから痛い死に方したくない人は攻撃は控えるように」 「いやあのそんな事をさらりと言われても困るんですが」 にこりといったあたしの言葉に全員がひいた。 「さて、それじゃあ魔族と神族のことは彼に講釈してもらってちょうだい。 あたしは横で見てるから」 「おや、僕は助手という事で呼ばれたんですが」 ひらひらと手を振ってあたしが壁に瀬を預けると、教壇に一人残されたゼロスが組を傾げて言った。 「なによ。文句ある?『この世界の』魔族のことだったらあたしよりあんたのほうが詳しいと思うけど。 やっぱり現場にいるヒトのほうが詳しいのは当たり前でしょうが」 「いや・・・僕は人間じゃないんですが。そんな人とか言われても・・・」 「・・・あたしの言う『ヒト』は人間とは限らないわよ?もっとも、この講釈程度の事ができなけりゃ別にいいんだけど」 「いえ、そういう言い方をされるとなんかあれなので・・・やらせていただきます」 肩をすくめてゼロスが言うと、あたしはすかさず、 「と、魔族に言う事聞かせたかったらこんな風に挑発すればたいてい相手は乗ってくれるわよ」 「・・・・・・ルキさん、僕を教材扱いしないでください・・・・・・」 床でのの字を書くゼロスから視線をはずし、あたしは四人の生徒を見る。 眼鏡君はなにやら混乱しているようであわあわとし、悪ガキ君は疑いのまなざしでゼロスを見て、サーラは首をかしげ、ディートは眉根を寄せていた。 「ゼロス、授業ぶち壊したら怒るからね」 「う゛っ・・・わかりました・・・まじめにやればいいんでしょう?まじめにやれば」 ゼロスは立ち上がると、魔族とは、とか、亜魔族と純魔族の違い、とか、長々と講釈をし始めた。 うん。これでいい。さて、今日の授業はゼロスに任せてこれで終わり。 今日の授業は、世界について、及びこの世界の魔族、神族について。 明日はどうなる事やら。今回はけっこう楽しそうね♪ あとがき エ:・・・・・・どうしてこうもオリジナル色が濃いと打つのが早いんだろう・・・・・・ L:それはあんたに応用力がないからでしょうが。 完全オリジナルを書こうとすると完璧に指止まるしね。 エ:あうう・・・・・・皆様本当にごめんなさい。 L:それより先に解説解説! エ:あ、はい。作中に出てきた星の名前、あれは全て『存在しない太陽系の惑星』からとっています。 ネメシスは言うまでもなく太陽として置き換えられたもの。 バルカンは水星、クラリオンは金星、フェイトンは火星、ティアマトは木星、アクエリアスは土星、ニビルは天王星、ラーメタルは海王星、ケツァルコアトルは冥王星。 サイズ、位置関係、公転・自転周期は太陽系と同じです。 L:まあ、こんなものね。 エ:それでは、あとがきをこれで終わります。 L:またお会いしましょう! |
29845 | Re:すすまない・・・すすまないったらすすまない・・・・・・; | すぅ | 2004/4/19 11:28:56 |
記事番号29827へのコメント お久しぶりです。皆さん・・ ベコッ! L:なぁにが「お久しぶりです。皆さん」なのよっ! す:うげ・・・久しぶりに来たのにぃ・・・ L:あんた、連載の方ほったらかしてなぁにやってるのかしらぁ? す:・・・また一段と怖く・・・ ズゴッ! L:口は災いの元よっ! す:・・・まあ、こお言うことはおいといて・・・夫婦漫才じゃああるまいし・・・ L:こらっ!話を聞きなさいっ! す:・・・うるさいよ、L様・・・。エーナさん、クロノクロスのほう、行き詰まっちゃったんですね。この後楽しみにしてたんだけどなぁ・・・(笑) L:この後に及んで感想・・・? す:でも、本編のほうも大事ですよね!本編の方いき詰まったら、クロノクロスのほうの続きのお願いします♪ L:・・・(ふるふる)・・・ す:でわ〜 ――――幕――――(が、幕の裏ではなにやら悲鳴が・・・) |