◆−All was Given 〜前書き〜−久賀みのる (2004/4/1 22:29:56) No.29741
 ┗All was Given 〜9〜−久賀みのる (2004/4/1 22:39:52) No.29742
  ┣Re:All was Given 〜9〜−エモーション (2004/4/2 21:12:43) No.29749
  ┃┗主役が食われてます(苦笑)−久賀みのる (2004/4/3 22:53:41) No.29762
  ┗遅ればせながら。−遙 琥珀 (2004/4/4 14:21:24) No.29769
   ┗「遅れる」と書いて「不可抗力」と読む(待て)−久賀みのる (2004/4/5 00:30:01) No.29776


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29741All was Given 〜前書き〜久賀みのる E-mail URL2004/4/1 22:29:56


 サクラ咲く春、サクラ散る春。地域によります開花前線。
 皆様いかがお過ごしでしょうか、今月花見に行けそうにない久賀みのるです。こんばんわ。
 ……いえ……就職活動が佳境に入っておりまして(涙)

 そんなこんなで、いつも以上に修羅場でしたが、何とか締切には間に合ってるはずです!はずですってば!
 (↑前書きを書いてるのが22:07)
 
 まあ、その辺りの裏話はさておき。
 「All was Given」、第九章をお届けに参りました〜。 
 今回は8300文字。まあまあ普通の分量でしょうか。
 ちなみに今回、野宿のシーンのみにほぼ丸々一章を使うという、贅沢かつ退屈なつくりとなっております(爆)
 ……一応、必要なシーンではあるんですが……
 また、普段以上に時間と気力が足りなかった事もあり、
キャラクターたちがいつも以上に暴走している章でもあります。
 ……大目に見てくだされば幸いです(汗)


 また、ここでお知らせしておきます。
 5月6月の連載は、現段階ではどうなるかがわかりません(滝汗)
 前述したように、時間的、精神的にかなりの負担がかかっておりますので、
そんな状況で無理に書いても仕方がないのではないかと思わないでも無いのです。
 何がしか意見のある方は、お知らせくださいね。

 なお、前回と同じく、「宣伝レス」、「対談型レス」、「全文引用レス」はご遠慮願います。
 またあらすじなどは書いていませんので、先月分までの話を読みたい方は、
著者別の「のりぃ」のリストからとんでくださいね。


 いつものごとく長い前書きに付き合って頂いてありがとうございます。
 それでは、本文をどうぞ。
 

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29742All was Given 〜9〜久賀みのる E-mail URL2004/4/1 22:39:52
記事番号29741へのコメント

                            All was Given 
                           〜Green Days〜

 
 「戻ってきました父なる大地っ! 母なる自然と姉なる川よ!」
 「るっせぇ少し黙ってろ」
 「何はさておき揺れない大地! 楽園気分を満喫できます!
 珍しい木々の森へ歩めば、ちょっとドキドキ秘境リゾート!」
 「地獄見せて欲しくなければ少し黙ってろ!」
 「いつも見ている青い空すら今日は晴れ晴れ秋気分!
 小鳥は喜び空飛び回り、デューンは地図見て悩みだす!」
 「喧嘩売ってんのかてめぇはよ!?」
 「何より!!」
 ここでクレイスは、びしっとデューンを ―― いや、デューンの地図を指差して、
 「手持ちの地図にも出ていないこの斬新なロケーション!!
 完璧すぎるにも程があるねっ!!」
 「完璧にドツボすぎるこのシチュエーションをどーにかしやがれ―――!!」
 
 
 マックは思った。
 当たり前じゃねーか。
 お前ら何で港で大陸地図買ってこなかったんだ。
 
 
 デューン、クレイス、それにマック。
 誰もが誰かが大陸地図を買っていると思い込み、実は誰も買っていなかった3人だった。
 
 
 
 
 「……で、野宿か」
 「んだよ。何か文句でも?」
 「いーや。別に〜ぃ?」
 「……ったく。」
 マックにぶつくさ言いながら、葉がついたままの枯れ枝で、薪の周りの落ち葉や小枝を掃き寄せて片付けていくデューン。上陸してから数時間、そろそろ日暮れも間近い時間である。火を焚いていれば大きな獣は寄って来ないだろうとの推測と、小道があるとは言え人の気配が無いので大きな魔物もいないだろうという憶測から、やや道が広くなった所で野営をすることにしたのだが、人気の無い夕方の見知らぬ森の中。不安に思うのも不機嫌になるのも、無理の無い事ではあった。
 「何だよ。なんか言いたそうじゃねーか。地図買わなかったヤツその1。」
 「るっせぇよ地図買わなかったヤツその2」
 絡むような軽口をいなしつつ掃除を終え、枯れ枝を何本かに折って薪に混ぜ、薪の前に座って火種を薪に移す。
 「オレは無くてもそーまで困らねーもんよ。大陸生まれの大陸育ちだし」
 「……お前、この辺の出身なのか?」
 「いんや全然。でもほら、育ったとこの地図なら覚えてるもんだろ? まあうろ覚えだけどな。
 ま、この辺は大陸の北東部だと思うから、南西に向かえばそのうちどっか出るだろ」
 「ンなアバウトなっ!? つーか何にも覚えてねぇしそれ!」
 「だってそれぐらいしか考えよーが無くねー?
 ま、道があるんだしな。どっかに続いちゃあいるんだろーよっ……と」
 組み立て終えた天幕から、入り口の布をばさりと分けてマックが顔を出す。男たちのテントはクレイスがさっさと組み上げていったので、こちらは彼女専用だ。相も変わらずよくわからない金属と布で出来ているので、夜中でも間違えようも無いだろう。
 「……にしてもあれだな」
 「今度は何だよ?」
 薪を囲むように積んだ石に鍋を載せながらデューンが言う。
 「手慣れてんなー。お前ら。
 野宿の経験ぐらいはあって当然かもしれねーけどよ、それにしたって手際がいいしよ。
 クレイスなんかあっという間にテント組み上げて『食べ物探してくる』とか言って森入ってくしよ。……大丈夫かアレ」
 「俺だって薪探して戻ってきただろーが。
 大体、ヤツの方がレンジャー訓練の成績良かったんだぞ」
 水筒から水を鍋に移す。煮沸は既に済んでいるものなので、これは調理用だ。水を入れたときに鍋がやや傾いだが、大丈夫だろう。やっと一息ついたデューンは、マックの微妙な表情に、そこで始めて気がついた。
 「……れんじゃーくんれん?」
 「何だよさっきから変なヤツだな。字面だけ聞いてわかんねーか?
 野外生存術叩っ込みっつーか体で覚えろ式本能研鑚っつーか。
 ガッコじゃあこれに耐え抜いたヤツを『地獄山突貫野郎共』とか呼んでやがったが」
 「……何だそりゃ」
 「あ〜、そーいえばそーゆー言い方もされたよね〜。で、何の話?」
 「唐突に出てきていきなりそれか。お前は」
 がさがさと脇の茂みから出てきつつ、いきなり話に割り込むクレイス。手持ちの布の包みの中身は、きのこと野草が主らしい。
 そのままデューンの横に陣取り、包みをデューンに渡してさっさとくつろぎ始める。デューンは中身をさっと確認し、妙なものが入っていないのを確認してから、くつろいでいるクレイスの顔面に包みをぶつけ、何事も無かったかのように干し肉を切り始めた。
 「って何すんのさデューン! 人が一仕事終えたくつろぎのひとときに!」
 「野宿でのーのーとくつろぐな。せめてメシの支度ぐらい手伝っとけ」
 「僕に回さなくたっていいだろっ!? マックだって横でボーっとしてるし!」
 「こいつに回したら全部遠慮会釈無く削り潰されるだろーがっ!?」
 「了解!!」
 「だからてめーらな!! 人を何だと思ってやがんだっ!?」
 『自信満々で遭難するトラブルメーカー。』
 「うくっ!?」
 ぴったり揃った二人のセリフに、思わず言葉に詰まるマック。
 実際の所、マックは遭難したわけでも迷ったわけでもない。そのほうが有利だと計算した上、そうしただけの話である。だがその事を言うわけにも行かない。下手にここで反発すると、思わぬ所で足をすくわれて話させられる可能性がある。
 結局、何も言わずに黙ってぶーたれるマックだった。珍しい反応だなと思いつつ、きのこと野草と干し肉を刻む二人である。
 見上げれば、木の葉の間から見る空は、赤を通り越して薄紫色に変わりつつあった。徐々に色味を増していくその空に向けて、灰色の煙が一本、すーっと伸びている。徐々に大きくなっていく火が、風に吹かれてかすかに揺れた。
 「で、さ」
 沈黙に耐えられなくなったのか、あるいは他に理由があるのか。二人の様子をうかがうように、マックがさらりと切り出した。
 「ガッコって…………何?」
 がぶっ!?
 思わず仲良く吹きだすデューンとクレイス。
 「おいおいおいマック!? そーゆーボケかますキャラじゃ無かっただろお前!?」
 「そーだよ! せめてそーゆー基本的ボケはこっちに回してもらわないと僕のキャラが薄くなるじゃん!!」
 「いや待て! ひょっとして、実はこれこそが大陸流基本ボケ!?」
 「なるほど!! じゃあデューン! 今こそグラディエルス流ツッコミ術の基本にして奥義を見せる時だよ!!」
 「よーし俺ツッコんじゃうぞーってちょっと待てぃ!!」
 「……そーか。グラディエルスのツッコミの最終奥義はノリツッコミか……」
 「ってマック!! てめぇも妙な納得してんじゃねぇ!!」
 「何言ってんだ。先にボケたのはそっちだろーが」
 『そっちだぁぁぁぁぁぁ!!』
 真顔で言われたそのセリフに、全力で反発する二人。
 「あ〜の〜な〜ぁ。いや、こっちも冗談言ったけどそれはまあ置いといて、だな」
 マックは赤毛をがしがしとかき回しつつ、
 「お前らが育った国とオレが育った国は違うの!
 で、お前らがいる国とお前らが育った国も違うの!
 まして、グラディエルスなんて北の辺境だろ? 大陸から疎外された島国だろ?
 なおかつ300年前から迫害され続けた精霊神信者の末裔にして200年前の大陸戦争の勝者だろ?
 ンな特殊背景つきまくりな地域のローカル情報出された所でわかんねーって。
 この際言っとくけどよ、お前らもーちっと、てめーが異邦人なんだって事認識しとけよ?
 いくら言語が同じ『アルケミア現代口語』だっつーても、『てめーらにとっての当たり前』が『オレにとっての当たり前』といっしょたぁ限らねーんだからな」
 冗談ノリだったのに、いきなりそんな事を言われても困る。言っている事は確かに正論なのだが。
 「……で、その辺の事踏まえて改めて。
 『ガッコ』って何だよ?」
 そう言われても、ますます返答に困るだけである。実際、共有概念として平然と使っているものほど、いざと言う時には説明がし難い。ついでに言うなら、そもそもどの程度まで相手に知識があるのかがわからない。
 「……ひょっとしてこれって……王立学校の成り立ちからそもそも話さなきゃダメ?」
 「よしクレイス任した!」
 「って決断早っ!」
 「だって俺史学とか法律学とか苦手だし」
 「いや、苦手分野だからこそ積極的に関わろうとする姿勢の重大さがねっ!?」
 「ああ! アレのことか!」
 突如マックはポン、と手を打ち、
 「グラディエルス王立学校か! そーいやそんな話も聞いた気がする! 有名だよな!!」
 「だったらさっさと思い出せよ!」
 「わかりづれーんだよスラングとか略語とか言うのはよー!!」
 
 
 
 火にかけた鍋が吹き零れる中、日はとっぷりと暮れていた。
 
 
 
 グラディエルス王立学校。
 学校と言う組織自体が、グラディエルス以外に存在しないため、王立学校という名前のみで呼ばれることも多い。王都にある名目上「義務教育」の場所である。ただし、義務とは言えど無料では無いので、実質中流以上の家庭の子弟しか入れていない。さらに、表立ってこそいないが、設立目的が軍内・国家内のエリート養成にあったりするので、読み書き計算からレンジャー訓練、暗号解読に至るまで、一通りの事はさせられたりする。ちなみに女子禁制。元々の資本金は200年前の大陸戦争で受け取った賠償金だったとか。
 とか何とか言う説明を、慌てて鍋に水を足し、食材を放り込み終えてから、裏話交じりに話し出す。
 まさしく焚き火を囲みながらの友との談笑、と言うシーンだった。揺らめく炎。煮える鍋。苦労話に失敗談。話題はやがて、14歳までいた学校の、思い出話へ移ろっていく――
 そして爆弾発言の主は、やはりマックだった。
 「にしてもアレだなぁ……お前ら、よっぽどいい友人に恵まれてきたんだな」
 「は?」
 「いや、そーまで自分の失敗をオープンに細かく語り倒してくれる相手ってなかなかいないぜ?
 それ以前に中流以上の階級の連中ってのはそれ以下の生活水準の奴らのこと何かそもそも友人にすらしようとしねーしよ。良かったなぁお前ら。うんうん。」
 感じる所でもあったらしく、何やらしみじみと言うマック。どういうことなのか、デューンはしばらく考えた後、やっとのことで気がついた。
 つまりマックは、彼らの話したことを、彼ら自身の体験だと思わず、彼らが又聞きした「彼らの中流階級出身の友人」の体験だと思い込んでいるのである。
 「……って、こら待てぃ!!
 言っとくがな、俺らちゃんとまともに学校卒業して働いてきてんだぞ!?」
 「……デューン?」
 そのツッコミにマックは珍しく、優しい笑みなぞ浮かべつつ、
 「経歴詐称は犯罪だ」
 「信用されてねぇぇぇぇぇっ!?」
 「たりめーだボケ!」
 たまたま持っていた枯れ枝で、びしっ、とデューンを正面から差し、
 「その見た目といい言動といい苦労性といい貧乏性といい!!
 どっからどー見ても、『地味な親父に反発して家を出たけど最近実はちょっぴり親父に感謝してないでもなかったりする一攫千金目当ての元チンピラな街角商店の三男坊』にしか見えねーだろっ!?」
 「何をどっからどー見てやがるんだぁぁぁぁぁっ!?」
 「っつーかめちゃめちゃ限定的な人の見方だね」
 思わず絶叫するデューンと、さらりとツッコミを入れるクレイス。もっとも絶叫にかき消されて全く他人には聞こえなかったが。
 「まあそりゃあさすがに冗談だけどよ。
 大体な、お前らさっき『ガッコ行くには金だって結構かかる』っつーたばっかだろーが。その金一体どっから出てたんだよ?」
 「あ。僕は家が金持ちだったから親父どのが出してくれたけど」
 「……俺は厄介払いみたいにレウスに放り込まれたからなぁ……」
 「……レウス?」
 その単語に覚えでもあるのか、マックはしばし虚空に視線を委ね……
 やおら体のバランスを崩して転びかける。
 「おい、大丈夫か?」
 「何が『大丈夫』だ! っつーかむしろ大丈夫でねーのはてめーのほうだろーがっ!!」
 べしべしべしべしっ!! と木の枝で地面を叩いてから、
 「だってあれだろ!? レウスって あの『メルク・アー・レウス』のことだろ? グラディエルス宮廷魔導師の!!」
 「その『あの』ってゆーアクセントが非常に気になる所なんだけど……」
 「いや、俺は何となくわかった。わかったから何も聞かねぇぞ」
 「何をのんきに構えてやがるんだお前ら!?
 宮廷魔導士ってぇのは国家の要職だろ!?
 その息子だか孫だか知らねーが! そーゆーやつの血縁がほいほいこんなとこ歩いてていいわきゃねーだろ!?
 帰れこの世間知らず!!」
 そう言われても、困るだけの二人である。
 「……いや。息子じゃないし」
 「孫でもないし」
 「血縁でもないし」
 「そもそも傍で見てて家族かどーかすら疑問だよね」
 「…………お前らって…………
 …………まあいいや。
 とりあえずアレだ。自己紹介兼ねて、年齢氏名性別出身から旅に出た理由まで一通り話しとけや。
 なんか聞いとかないと後で痛い目見そうだし。鍋もそろそろだし」
 
 
 
 
 
 
 鍋をつつきながら、かいつまんでいきさつを話すことになった。
 
 
 
 
 
 
 途中、マックが何遍か噴きだし、一度は椀をひっくり返した事を付け加えておく。
 
 
 
 
 
 
 「……と、まあこんな経緯で、今こんな山奥くんだりで迷ってるわけだが」
 「別にそこまで細かく話さなくてもいいと思うけど」
 「……………………い、いや、えーと。え〜〜〜と。」
 焚き火を囲んでデューンとクレイス。ひっくり返った鍋の横には、何やらマックが果てている。
 「………………すまん。
 一度一言でまとめさせてもらってもいいか?」
 「別に構わねぇけど」
 「よーするに。
 『宮廷魔導士の養い子』が、突然『勇者として選ばれ』て、『伝説に導かれ』て、『魔王を倒しに行く』っつー話でいいのか?」
 「……何かそー言われると途端に胡散臭くなりやがるな……
 まあ確かにそーいう事なんだが」
 「正気かぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
 「ってどーいう意味だコラぁぁぁっ!?」
 「そのまんまだ! 一体どこのサーガだよっ!?」
 「ここのサーガ。」
 「さらっと切り返してんじゃねーよクレイス!!」
 「っつーより、何でお前がそこでそこまでエキサイトするんだよ?」
 「なんとも思ってねぇお前らの方が変だろーが!? よく考えて見やがれ!!
 『宮廷魔導士の養い子』って時点で、社会的価値が相当にあるじゃねーか!
 途中で拉致って身代金要求するも良し! 適度に洗脳して送り帰すのもまた良し!
 何にも出来なくても、とりあえず殺しとけばこれ以上なく喧嘩の材料になるし!」
 「……お前一体俺のことなんだと……」
 「そーゆー美味しい素材を何の護衛も防護もなしにぽーんっ、と国外に出すヤツがいるか!? しかも出した理由が『勇者だから』!?
 んでもって、いまだに解読もなってねーような『伝説』を頼りに、居場所どころかそもそもいるかどーかもわかんねー『魔王』を倒して来いと!?」
 「あ。マックマック。それちょっと違う」
 クレイスは手をパタパタと振り、自信たっぷりに言い切った。
 「あの伝説、例え全部解明された所で役に立たないから。」
 「悪化させてどーするぅぅぅぅ!?」
 「あー、じゃあ俺のほうからもついでに言っておくけどな……」
 話しつつ、頭の後ろで腕を組むデューン。
 遠い瞳に映るのは、高い夜空に光る三日月。木々の梢が黒影となり、月光を遮り、また引き立てていた。
 「旅に出るのは王命だったから、俺らに拒否権はなかったし、考えた所でどーせ無駄だったぞ」
 「回避不可かぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
 
 
 半ば現実逃避しながらのデューンの言葉は、ある意味マックに止めを刺してしまったようだった――
 
 
 
 
 一夜明けて。朝である。
 闇に閉ざされている間は不気味だった森も、朝の光の中、小鳥に起こされて見てみれば、むしろすがすがしくすら思える。
 爽やかな木漏れ日が差し込む広場で、簡素な朝食をとり、荷物を畳む。行く手に希望を託しつつ、語り明かした友たちと、未知なる道を行きながら ――
 ――マックは内心おもいっきし困っていた。

 勇者(バインデッド)と呼ばれる存在が現れるだろうとは予期していた。それが持つであろう特殊因果律を利用して、様々な結界(プロテクト)を破れるだろう事も期待していた。一方でそれが無くても何とかなるようにも準備を進め、いざとなったら彼らのことを土壇場で放り出してもいいようにしてあった。
 が。取ったばかりの情報を加えて考えると。
 (この状況で下手にほっぽリ出して野垂れ死にでもされたら国際問題だよな ――)
 彼女の目的は、グラディエルスに喧嘩を売ることでもなければ、国際情勢に波紋を投げかける事でもない。むしろ、それぞれの国が下手に争う方がまずい ――というより、そんなことの方に力を割いて欲しくないと言うのが本音である。
 しかし、実際にデューンやクレイスが大陸内の国家のどこかで野垂れ死んだり、チンピラに刺し殺されたりなどしたら、いくら現在温厚路線をとっているグラディエルスとてさすがに態度を硬くするだろう。仮に王国としての動きが無くても、 あのメルク・アー・レウスが動かないとは到底思えない。騒乱混乱は必至である。
 つまりは、細かい確認をせずに一旦手を出してしまった以上、最後まで面倒を見なければならない状況に陥ってしまったのだ。計算が甘いと言えば甘かったのかもしれないが、そもそも、いくら『勇者として選ばれ』てしまったとは言え、そんな重要人物を平然と外に出してしまうということ自体が考え無しもいい所だ、と彼女は思う。
 とはいえ――
 (――そうだな。結局は――同じ事か)
 いつの間にやら先行していた二人の背中を眺めつつ、さらにマックは考える。
 自分とて、いくつかの情報を知っているに過ぎない。おそらく、現段階では、事態の全貌を知っている人間は誰もいないのだ。
 それぞれの人間が、それぞれに小さな情報を持ち、各人がばらばらに対応を取っている為にそこここで齟齬が起きている、ということなのだろう。
 そのために、グラディエルスは賭けに出た。デクストリアは保身に走った。
 デクストリアの同胞たるシニストラルはいまだ動かず、そもそも事態を知っているかどうかが定かでは無い。
 さらに、そこここで暗躍しているらしき、明らかに事態を加速させている 光追人(ルミナリエル)。
 そして――
 (――今ここにいるオレたち、か)
 勇者は何も知らず。その友もまた何も知らず。
 その横にいる自分もまた、情報の欠片しかいまだ持たず――
 ――だが。動かなければ何も得られない、という状況は、決して嫌いな感触ではなかった。
 影ながら誰かを守る、その感覚と同じように。
 
 
 
 
 「おーい! マック! 何遅れてんだよ!!」
 「村だよー! 村が見えたよー!」
 「お前らな――!! もーちっとペース考えて歩けよー!」
 いつの間にか木々に隠れて姿が見えなくなっていた二人にそう叫び返し、白衣の下の作業着の懐に手を滑らせる。取り出した、デューンに「奇妙なロッド」と言われたそれは、かつて拳銃と呼ばれた古代の武器だった。
 半月型の太陽にぴたりとそれの照準を合わせ、片目をつぶって銃身を跳ね上げる。
 「――Bang♪」
 
 
 
 
 撃つ振りをする時に見えた、やたらとぎらついている光体に向けて、マックは不敵な笑みを見せ、銃を下ろしてまた歩き出した。


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29749Re:All was Given 〜9〜エモーション E-mail 2004/4/2 21:12:43
記事番号29742へのコメント

こんばんは。

就職活動ですか……。これしかいえませんが、がんばってくださいませ。
無事に内定が出ることをお祈りいたします。

さて、今回は「上手く『勇者』とやらを、自分の都合良く利用出来るように
はめたつもりが、実は自分もある意味はまっていたことに気づいたマックさん」の回ですね。
デューンくんの身元を知って、ひたすら慌てるマックさんが面白かったです。
それにしてもレウスさん。かなり有名なのですね。「あの」ですし。
……すみません。一体、何をやらかしたのだろうと思ってしまいました(^_^;)

それにしても見事なボケツッコミ、マシンガントークですね。マックさんが加わって、
さらにパワーアップ。彼らが黙っているのは、眠っているときだけなのではと思いました。

また、「学校」というものが、グラディエルスにしか存在しない、というのは少し意外でした。
私たちの世界の学校のようなものはないだろうし、一般の読み書き計算程度の
知識なら、親から教わるか寺子屋レベルの(そういうのは神殿の仕事になるのかな。
今で言う「図書館」の役割を担っていたのは、確かに神殿でしたが)ものだろうと
思ってましたが、各国の官僚養成用の学校くらいはあるだろうと思ってましたので。

さすがに、利用しようと思ってはいても、一緒に行動しているとそれなりの
情が出てしまうのか。
何にせよ、何かしらの覚悟を決めたらしいマックさん。
つい忘れてしまいますが、彼女の今後の活躍が楽しみです。

それでは、今回も拙い感想で申し訳ありませんが、この辺で失礼いたします。
また、あまり無理をなさらずに。続きは気長にお待ちいたしますので。

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29762主役が食われてます(苦笑)久賀みのる E-mail URL2004/4/3 22:53:41
記事番号29749へのコメント

 いつもに比べてレスが遅れましたが、こんばんは。久賀みのるです。
 なんだか就活がらみで色々な人々に心配かけてしまったようです(汗)
 励ましのお言葉、ありがとうございます♪

>ハマった勇者とドツボなマック
 今回は、二人の素性をマックに知らせるためのシーンになりました。
 いや、知らせておかないと、後々色々と支障が出るもので(苦笑)
 にしてもあのオーバーなリアクション。完全に主役を食ってますね〜。
 まあ、デューンとクレイスは足してやっと一人前、の感もあるのですが(笑)

>のんすとっぷ・とーきんぐ
 作者も書いててビックリです(爆)途中から完全に作者の手を離れていましたからね〜。
 ある意味時間がかからないで助かったと言えなくもないですが(待て)
 
>アルケミア的教育制度
 クレアルト大陸の方では、学校の代わりに教会が主な教育制度となっています。
 聖典を読んだり書いたりという一般的なものですね。
 ただそれ以上となりますと、それ相応の上流階級の人間が、教会から神学者を呼んで家庭教師をさせる、ということになるようです。となると、その神学者養成コースを学校と呼んでもよさそうなものですが、どうにも感覚的に違うもので。
 ……まあ、神学者にも色々といるのですが(苦笑)
 
>彼(女?)
 作者もちょいちょい間違えます(待たない)
 何かの拍子に、「あ〜、あの小説、女がいないから………………………………え゛?」
と、本気で考えました(爆)
 ちなみに、ちゃんと誤字チェックの際に気をつけてこれもチェックしてます(笑)

 それでは。いつもの事ですが、長文レス申し訳ありません。
 感想、ありがとうございました!気長に待っていただけると幸いです(礼)

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29769遅ればせながら。遙 琥珀 2004/4/4 14:21:24
記事番号29742へのコメント


御機嫌麗しゅう御座います、琥珀です。
ちょっと(かなり)出遅れてしまったんですが、それでもめげずにレスさせて頂きます。
迷惑でなかったら受け取ってくださいませ。

> 
> 「戻ってきました父なる大地っ! 母なる自然と姉なる川よ!」

川って姉か?
…と最初に思ってしまった私です(汗)

> 「いつも見ている青い空すら今日は晴れ晴れ秋気分!
> 小鳥は喜び空飛び回り、デューンは地図見て悩みだす!」

このセリフが好きです。
何故好きかというと…
すきっと爽やかなシチュエーションを並べ立てるなかにこっそり(?)違うものが混じっているあたり(苦笑)
デューさん(なにそれ)も大変ですねぇ。今に始まったことじゃないけど。

> デューン、クレイス、それにマック。
> 誰もが誰かが大陸地図を買っていると思い込み、実は誰も買っていなかった3人だった。

結構ありがちな事態ですよね(苦笑)
誰かがそのことを話題に出しさえすれば回避できた事態なんですが(汗)
まぁ、今更言っても仕方無いことなんですけどね。 

> 「オレは無くてもそーまで困らねーもんよ。大陸生まれの大陸育ちだし」
> 「……お前、この辺の出身なのか?」
> 「いんや全然。でもほら、育ったとこの地図なら覚えてるもんだろ? まあうろ覚えだけどな。
> ま、この辺は大陸の北東部だと思うから、南西に向かえばそのうちどっか出るだろ」
> 「ンなアバウトなっ!? つーか何にも覚えてねぇしそれ!」

というか、実際憶えてるのってそれくらいでしょう、地理研究家でもあるまいし。
大陸の形と主要都市の場所くらいでしょう、せいぜい。

> 「だってそれぐらいしか考えよーが無くねー?
> ま、道があるんだしな。どっかに続いちゃあいるんだろーよっ……と」

ポジティヴ…というか楽観的というか。
こんな状況に陥ったときはそれくらいの方が良いのでしょうね…

> 「俺だって薪探して戻ってきただろーが。
> 大体、ヤツの方がレンジャー訓練の成績良かったんだぞ」
> 「……れんじゃーくんれん?」

…れんじゃーくんれん?(おそろい)
…うーむ。厳しそうだけど面白そうです。
一日体験入学してみたかったり(無理だからやめとけ)
…あ、でも女人禁制なのか…ちっ。

> 「何だよさっきから変なヤツだな。字面だけ聞いてわかんねーか?
> 野外生存術叩っ込みっつーか体で覚えろ式本能研鑚っつーか。
> ガッコじゃあこれに耐え抜いたヤツを『地獄山突貫野郎共』とか呼んでやがったが」

なんつぅ呼称だ(汗)
でも学校って、教師の渾名とかもそうだけど、そういう誰が最初に呼びだしたのか解らない呼称が色々ありますよね。

> 「だからてめーらな!! 人を何だと思ってやがんだっ!?」
> 『自信満々で遭難するトラブルメーカー。』
> 「うくっ!?」
> ぴったり揃った二人のセリフに、思わず言葉に詰まるマック。

こうきっぱり言い切られると言葉に詰まりますよね…。
なんとなく解ります。経験ありますから(遠い目で茶を啜る)

> 結局、何も言わずに黙ってぶーたれるマックだった。

ある意味、損な性分かもしれない…。

> 見上げれば、木の葉の間から見る空は、赤を通り越して薄紫色に変わりつつあった。徐々に色味を増していくその空に向けて、灰色の煙が一本、すーっと伸びている。徐々に大きくなっていく火が、風に吹かれてかすかに揺れ
た。

この情景描写、なんだか好きです。
特にこういうところが好き、という訳でもないんですが、なんだか感性的に惹かれます。
色の表現がステキですね。

> 「ガッコって…………何?」

おおっ!マックさんがガウリイ的発言を!?(違)
いや別に忘れてる訳じゃないんだけど。

> 「おいおいおいマック!? そーゆーボケかますキャラじゃ無かっただろお前!?」
> 「そーだよ! せめてそーゆー基本的ボケはこっちに回してもらわないと僕のキャラが薄くなるじゃん!!」
> 「いや待て! ひょっとして、実はこれこそが大陸流基本ボケ!?」
> 「なるほど!! じゃあデューン! 今こそグラディエルス流ツッコミ術の基本にして奥義を見せる時だよ!!」
> 「よーし俺ツッコんじゃうぞーってちょっと待てぃ!!」

爆笑。
デューンが可愛い、と初めて思った…(初めてかい)
いや、やっぱり本命はクレイスくんですけどねvv
ボケキャラって好きなんですよ、かなり…

> 「……で、その辺の事踏まえて改めて。
> 『ガッコ』って何だよ?」
> そう言われても、ますます返答に困るだけである。実際、共有概念として平然と使っているものほど、いざと言う時には説明がし難い。ついでに言うなら、そもそもどの程度まで相手に知識があるのかがわからない。

学校…とかいうことについての知識って、ほぼ『常識』みたいなもんですからね。
いざ知らない他人に説明するとなったら詰まるかと。

>> 「……って、こら待てぃ!!
> 言っとくがな、俺らちゃんとまともに学校卒業して働いてきてんだぞ!?」
> 「……デューン?」
> そのツッコミにマックは珍しく、優しい笑みなぞ浮かべつつ、
> 「経歴詐称は犯罪だ」

(優しげな眼差しで)最近多いですよねv

> 「その見た目といい言動といい苦労性といい貧乏性といい!!
> どっからどー見ても、『地味な親父に反発して家を出たけど最近実はちょっぴり親父に感謝してないでもなかったりする一攫千金目当ての元チンピラな街角商店の三男坊』にしか見えねーだろっ!?」
> 「何をどっからどー見てやがるんだぁぁぁぁぁっ!?」

もっともな突っ込みです(苦笑)
外見でヒトを判断しちゃいけませんよ(微妙にフォローになってない)

> 「だってあれだろ!? レウスって あの『メルク・アー・レウス』のことだろ? グラディエルス宮廷魔導師の!!」
> 「その『あの』ってゆーアクセントが非常に気になる所なんだけど……」
> 「いや、俺は何となくわかった。わかったから何も聞かねぇぞ」

…『あの』レウスさんですからねぇ…(うんうん頷いている)
実はあの方も結構好きです。年齢と性格が一致してなさげに見える様な見えない様な(どっちだ)微妙なキャラが。
> 「そもそも傍で見てて家族かどーかすら疑問だよね」

…家族…
まぁ、一応育ての親?ですからねぇ…家族なんでしょうねぇ…
初めの会話観た時は、てっきり同居してる友人だと思ってました(遠い目)

> 途中、マックが何遍か噴きだし、一度は椀をひっくり返した事を付け加えておく。

…そりゃまぁ…
無理もない…というか…
ご愁傷様というか…(何故)

> 「よーするに。
> 『宮廷魔導士の養い子』が、突然『勇者として選ばれ』て、『伝説に導かれ』て、『魔王を倒しに行く』っつー話でいいのか?」
> 「……何かそー言われると途端に胡散臭くなりやがるな……
> まあ確かにそーいう事なんだが」
> 「正気かぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
> 「ってどーいう意味だコラぁぁぁっ!?」
> 「そのまんまだ! 一体どこのサーガだよっ!?」
> 「ここのサーガ。」

もしかしたら伝承歌より伝承歌っぽいんじゃないかなぁ(笑)
ここまで『オヤクソク』が揃った伝承歌も無いでしょう、最近。
最後にお姫様を救い出せばカンペキ。(何がだ)

> 「なんとも思ってねぇお前らの方が変だろーが!? よく考えて見やがれ!!
> 『宮廷魔導士の養い子』って時点で、社会的価値が相当にあるじゃねーか!
> 途中で拉致って身代金要求するも良し! 適度に洗脳して送り帰すのもまた良し!
> 何にも出来なくても、とりあえず殺しとけばこれ以上なく喧嘩の材料になるし!」

『取り敢えず』って(笑)
まぁ確かにマックの言う通りと言えば言う通りなんだけど、そこまで言うか(笑)

> 「……お前一体俺のことなんだと……」
> 「そーゆー美味しい素材を何の護衛も防護もなしにぽーんっ、と国外に出すヤツがいるか!? しかも出した理由が『勇者だから』!?
> んでもって、いまだに解読もなってねーような『伝説』を頼りに、居場所どころかそもそもいるかどーかもわかんねー『魔王』を倒して来いと!?」

…いい加減というか…なんというか…
こういう風に改めて纏めて言われると、胡散臭さも際立ちますね(笑)

> 遠い瞳に映るのは、高い夜空に光る三日月。木々の梢が黒影となり、月光を遮り、また引き立てていた。
> 「旅に出るのは王命だったから、俺らに拒否権はなかったし、考えた所でどーせ無駄だったぞ」
> 「回避不可かぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

ああ、美しい状況描写に似合わぬ会話と叫び(苦笑)
このギャップがまたなんとも状況の美しさと会話のマヌケっぽさを引き立てて最高。 
>> 爽やかな木漏れ日が差し込む広場で、簡素な朝食をとり、荷物を畳む。行く手に希望を託しつつ、語り明かした友たちと、未知なる道を行きながら ――

…えーと。
微妙なツッコミ所が多すぎて、何処から突っ込んでいいものか(笑)

> 半月型の太陽にぴたりとそれの照準を合わせ、片目をつぶって銃身を跳ね上げる。
> 「――Bang♪」

この情景好きです、なんだかとても。
セリフとかは軽いんですが、なんとなく心に残ります。
…多分一生忘れられません、これは(笑)


なんというか…素晴らしいですっ!
続きがもぉ気になって気になって…。
一気にファンになっちゃったかもです(遅。)
私もこんないい話が書けたらなぁ…頑張ります。
のり姉さんも就職活動とか大変だと思いますけど、無理しない程度に頑張ってくださいね…!
続き、いつまでも待ってますです。

それでは、また何処かでお逢いいたしましょう。

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29776「遅れる」と書いて「不可抗力」と読む(待て)久賀みのる E-mail URL2004/4/5 00:30:01
記事番号29769へのコメント

 ………………すいません。真面目にやります(をい)
 っと、タイトルからボケてみましたのりぃこと久賀みのるでございます。こんばんは。
 チャットではいつもお世話になってます。
 出遅れだなんてとんでもない。頭から数えてもレス順3位ですよ(爆)
 ばっちり受け取らせて頂きました。ありがとうございますv

 え〜、長文ですので迷ったのですが、結局下さったレスを全文引用しました。
 見難いかと思いますが、ご了承願います(礼)
 
>> 「戻ってきました父なる大地っ! 母なる自然と姉なる川よ!」
>
>川って姉か?
>…と最初に思ってしまった私です(汗)

 姉らしいです(笑)
 真面目に答えますと、クレイスの信仰している「雷神」は「水神」の妹なのですね。そこからです。
 神話関連の解説はもーちょっと先にしておきますね。

>> 「いつも見ている青い空すら今日は晴れ晴れ秋気分!
>> 小鳥は喜び空飛び回り、デューンは地図見て悩みだす!」
>
>このセリフが好きです。
>何故好きかというと…
>すきっと爽やかなシチュエーションを並べ立てるなかにこっそり(?)違うものが混じっているあたり(苦笑)
>デューさん(なにそれ)も大変ですねぇ。今に始まったことじゃないけど。

 「デューンはちっずっみってなやみーだすー♪」とぜひ歌って欲しい所です。「雪」のメロディーで(違)
 さらっと「デューさん」と言う呼び方がツボでした(笑)

>> デューン、クレイス、それにマック。
>> 誰もが誰かが大陸地図を買っていると思い込み、実は誰も買っていなかった3人だった。
>
>結構ありがちな事態ですよね(苦笑)
>誰かがそのことを話題に出しさえすれば回避できた事態なんですが(汗)
>まぁ、今更言っても仕方無いことなんですけどね。 

 まあ……誰も考えてなかったんでしょう(をい)
 っつーかマック。南下する考えはあっても、その後を考えてなかったのでしょーか?(訊くな)

>> 「オレは無くてもそーまで困らねーもんよ。大陸生まれの大陸育ちだし」
>> 「……お前、この辺の出身なのか?」
>> 「いんや全然。でもほら、育ったとこの地図なら覚えてるもんだろ? まあうろ覚えだけどな。
>> ま、この辺は大陸の北東部だと思うから、南西に向かえばそのうちどっか出るだろ」
>> 「ンなアバウトなっ!? つーか何にも覚えてねぇしそれ!」
>
>というか、実際憶えてるのってそれくらいでしょう、地理研究家でもあるまいし。
>大陸の形と主要都市の場所くらいでしょう、せいぜい。

 世界地図を書けといわれてさらっと全大陸を正しく書ける人は意外に少ないらしいですしね。

>> 「だってそれぐらいしか考えよーが無くねー?
>> ま、道があるんだしな。どっかに続いちゃあいるんだろーよっ……と」
>
>ポジティヴ…というか楽観的というか。
>こんな状況に陥ったときはそれくらいの方が良いのでしょうね…

 迷った時にうろたえると、余計変な所に出るんですよねー(←経験談)
 うろたえないでずかずか歩くのもどーかと思いますが(←やっぱり経験談)

>> 「俺だって薪探して戻ってきただろーが。
>> 大体、ヤツの方がレンジャー訓練の成績良かったんだぞ」
>> 「……れんじゃーくんれん?」
>
>…れんじゃーくんれん?(おそろい)
>…うーむ。厳しそうだけど面白そうです。
>一日体験入学してみたかったり(無理だからやめとけ)
>…あ、でも女人禁制なのか…ちっ。

 え〜っと、やめておいたほうがいいかと思われます。
 カエル捕まえて食べたりとか、意味もなくトラップが仕掛けてあったりとか、
顔に緑のペイントした学友が突如襲ってきたりとか、
ヤな感じのイベントが目白押しですので(真顔)

>> 「何だよさっきから変なヤツだな。字面だけ聞いてわかんねーか?
>> 野外生存術叩っ込みっつーか体で覚えろ式本能研鑚っつーか。
>> ガッコじゃあこれに耐え抜いたヤツを『地獄山突貫野郎共』とか呼んでやがったが」
>
>なんつぅ呼称だ(汗)
>でも学校って、教師の渾名とかもそうだけど、そういう誰が最初に呼びだしたのか解らない呼称が色々ありますよね。

 女人禁制ですので、ノリが男子校なのですね。
 教師のあだ名も、そのノリでとんでもないのがついてます。多分(をい)

>> 「だからてめーらな!! 人を何だと思ってやがんだっ!?」
>> 『自信満々で遭難するトラブルメーカー。』
>> 「うくっ!?」
>> ぴったり揃った二人のセリフに、思わず言葉に詰まるマック。
>
>こうきっぱり言い切られると言葉に詰まりますよね…。
>なんとなく解ります。経験ありますから(遠い目で茶を啜る)

 (↑何となく茶菓子を出してみながら)
  また、こういうのを言い出すときに限って友人たちの口調が揃うんですよねー(しみじみ)

>> 結局、何も言わずに黙ってぶーたれるマックだった。
>
>ある意味、損な性分かもしれない…。

 性分と言いますか、影でこそこそ動いてる以上そこをつつかれるわけにいかんのですよ。
 ま、悪い事は出来ないねー、ということで(悪い事っ!?)

>> 見上げれば、木の葉の間から見る空は、赤を通り越して薄紫色に変わりつつあった。徐々に色味を増していくその空に向けて、灰色の煙が一本、すーっと伸びている。徐々に大きくなっていく火が、風に吹かれてかすかに揺れた。
>
>この情景描写、なんだか好きです。
>特にこういうところが好き、という訳でもないんですが、なんだか感性的に惹かれます。
>色の表現がステキですね。

 情景描写には結構力を入れてますね。作者自身も好きですし。
 カメラは地面に設置して斜め上を。上空から煙を伝ってだんだん下に向かっていく感覚で(←いやカメラって)

>> 「ガッコって…………何?」
>
>おおっ!マックさんがガウリイ的発言を!?(違)
>いや別に忘れてる訳じゃないんだけど。

 そうか! マックはガウリイ役だったのか!!(大違)
 そーいや子供を守る側だし(待て)身長も190あるし!!(止めれ)

>> 「おいおいおいマック!? そーゆーボケかますキャラじゃ無かっただろお前!?」
>> 「そーだよ! せめてそーゆー基本的ボケはこっちに回してもらわないと僕のキャラが薄くなるじゃん!!」
>> 「いや待て! ひょっとして、実はこれこそが大陸流基本ボケ!?」
>> 「なるほど!! じゃあデューン! 今こそグラディエルス流ツッコミ術の基本にして奥義を見せる時だよ!!」
>> 「よーし俺ツッコんじゃうぞーってちょっと待てぃ!!」
>
>爆笑。
>デューンが可愛い、と初めて思った…(初めてかい)
>いや、やっぱり本命はクレイスくんですけどねvv
>ボケキャラって好きなんですよ、かなり…

 ノリツッコミに挑戦してみた模様です(爆)
 デューンは主人公の割りに可愛げが無いですからね〜。
 クレイス君にファンが一人っと……メモメモ。(をい)

>> 「……で、その辺の事踏まえて改めて。
>> 『ガッコ』って何だよ?」
>> そう言われても、ますます返答に困るだけである。実際、共有概念として平然と使っているものほど、いざと言う時には説明がし難い。ついでに言うなら、そもそもどの程度まで相手に知識があるのかがわからない。
>
>学校…とかいうことについての知識って、ほぼ『常識』みたいなもんですからね。
>いざ知らない他人に説明するとなったら詰まるかと。

 常識ほど説明すると難しいですよね。
 でも、違う文化が交流する以上は避けて通れない問題かと。
 ……いや、大げさですけどね(苦笑)

>>> 「……って、こら待てぃ!!
>> 言っとくがな、俺らちゃんとまともに学校卒業して働いてきてんだぞ!?」
>> 「……デューン?」
>> そのツッコミにマックは珍しく、優しい笑みなぞ浮かべつつ、
>> 「経歴詐称は犯罪だ」
>
>(優しげな眼差しで)最近多いですよねv

 多いですよね〜(遠い目)
 というか、時事問題を取り上げるのはやめてくださいマック。人目が痛い(汗)
 勝手にぱかすか話を進めてくれるので、ある意味困ります。このキャラ(苦笑)

>> 「その見た目といい言動といい苦労性といい貧乏性といい!!
>> どっからどー見ても、『地味な親父に反発して家を出たけど最近実はちょっぴり親父に感謝してないでもなかったりする一攫千金目当ての元チンピラな街角商店の三男坊』にしか見えねーだろっ!?」
>> 「何をどっからどー見てやがるんだぁぁぁぁぁっ!?」
>
>もっともな突っ込みです(苦笑)
>外見でヒトを判断しちゃいけませんよ(微妙にフォローになってない)

 全くです(苦笑)
 ……というか、見た目まんまなキャラクターってこの小説いないし(爆)

>> 「だってあれだろ!? レウスって あの『メルク・アー・レウス』のことだろ? グラディエルス宮廷魔導師の!!」
>> 「その『あの』ってゆーアクセントが非常に気になる所なんだけど……」
>> 「いや、俺は何となくわかった。わかったから何も聞かねぇぞ」
>
>…『あの』レウスさんですからねぇ…(うんうん頷いている)
>実はあの方も結構好きです。年齢と性格が一致してなさげに見える様な見えない様な(どっちだ)微妙なキャラが。

 レウスも、ある意味で大人になりきれていないキャラクターなんですよね。
 その辺りが、周りに迷惑をかけまくり泥沼を作りまくる原因なのですが。

>> 「そもそも傍で見てて家族かどーかすら疑問だよね」
>
>…家族…
>まぁ、一応育ての親?ですからねぇ…家族なんでしょうねぇ…
>初めの会話観た時は、てっきり同居してる友人だと思ってました(遠い目)

 いや、事実そんなもんでは無いでしょーか(爆)
 親でもなければ兄弟にも保護者にもなりきれてませんしね。レウス。

>> 途中、マックが何遍か噴きだし、一度は椀をひっくり返した事を付け加えておく。
>
>…そりゃまぁ…
>無理もない…というか…
>ご愁傷様というか…(何故)

 御愁傷様です。鍋の干し肉ときのこと野草(そっちか)
 食べ物を粗末にすると後から不幸になるのです。よしこいつ不幸にしちゃる(激しく待て)

>> 「よーするに。
>> 『宮廷魔導士の養い子』が、突然『勇者として選ばれ』て、『伝説に導かれ』て、『魔王を倒しに行く』っつー話でいいのか?」
>> 「……何かそー言われると途端に胡散臭くなりやがるな……
>> まあ確かにそーいう事なんだが」
>> 「正気かぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
>> 「ってどーいう意味だコラぁぁぁっ!?」
>> 「そのまんまだ! 一体どこのサーガだよっ!?」
>> 「ここのサーガ。」
>
>もしかしたら伝承歌より伝承歌っぽいんじゃないかなぁ(笑)
>ここまで『オヤクソク』が揃った伝承歌も無いでしょう、最近。
>最後にお姫様を救い出せばカンペキ。(何がだ)

 「おるぎぶ」はお約束重視な小説です!(断言)
 ……って違うか(笑)
 さらっとお姫様も出てきてますしね。出会ってませんけど。

>> 「なんとも思ってねぇお前らの方が変だろーが!? よく考えて見やがれ!!
>> 『宮廷魔導士の養い子』って時点で、社会的価値が相当にあるじゃねーか!
>> 途中で拉致って身代金要求するも良し! 適度に洗脳して送り帰すのもまた良し!
>> 何にも出来なくても、とりあえず殺しとけばこれ以上なく喧嘩の材料になるし!」
>
>『取り敢えず』って(笑)
>まぁ確かにマックの言う通りと言えば言う通りなんだけど、そこまで言うか(笑)

 とりあえず、で殺されてはたまったものではございません(Byリナ=インバース←違)
 ついでに言うなら「喧嘩」の範囲内で収まるわきゃないとも思います。

>> 「……お前一体俺のことなんだと……」
>> 「そーゆー美味しい素材を何の護衛も防護もなしにぽーんっ、と国外に出すヤツがいるか!? しかも出した理由が『勇者だから』!?
>> んでもって、いまだに解読もなってねーような『伝説』を頼りに、居場所どころかそもそもいるかどーかもわかんねー『魔王』を倒して来いと!?」
>
>…いい加減というか…なんというか…
>こういう風に改めて纏めて言われると、胡散臭さも際立ちますね(笑)

 うんうん。
 いやぁ、何て胡散臭い小説なのでしょう。作者もビックリです(待たない)

>> 遠い瞳に映るのは、高い夜空に光る三日月。木々の梢が黒影となり、月光を遮り、また引き立てていた。
>> 「旅に出るのは王命だったから、俺らに拒否権はなかったし、考えた所でどーせ無駄だったぞ」
>> 「回避不可かぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
>
>ああ、美しい状況描写に似合わぬ会話と叫び(苦笑)
>このギャップがまたなんとも状況の美しさと会話のマヌケっぽさを引き立てて最高。 

 こういうノリ、実は大好きです(爆)
 この辺は、神坂さんや秋田さんの影響が大きいかな、と思いますね。

>> 爽やかな木漏れ日が差し込む広場で、簡素な朝食をとり、荷物を畳む。行く手に希望を託しつつ、語り明かした友たちと、未知なる道を行きながら ――
>
>…えーと。
>微妙なツッコミ所が多すぎて、何処から突っ込んでいいものか(笑)

 見渡す限り全部ツッコんでやってください。そりゃあもう、デューンにライバル視されるぐらいに(←嫌)

>> 半月型の太陽にぴたりとそれの照準を合わせ、片目をつぶって銃身を跳ね上げる。
>> 「――Bang♪」
>
>この情景好きです、なんだかとても。
>セリフとかは軽いんですが、なんとなく心に残ります。
>…多分一生忘れられません、これは(笑)

 ほほう。こーゆー情景が好みですか。メモメモ。(待たない)
 本当なら今回、村の入り口までは行くつもりだったのですが……
 マックがこんないい感じの行動に出てくれたので、今回ここで切るか、と(笑)

 ……逆に言うなら、今回話が進まなかったのはこいつのせいです(爆)




 続き、気になりますか?ふっふっふ。頑張って書きますとも(←ニヤリ(邪笑))
 どんどんファンになってやってくださいねvv
 就職活動も大変なんですが、こうやってこつこつと積み上げてきたものがあるというのが、
ある意味で私の自信(とかアピールポイントとか)にも繋がってきています。
 お互い、より良い文章を目指して精進しましょう!!
 
 それでは、またどこか(多分主にチャット←待てぃ)でお会いできれば幸いです。