◆−前と後ろと安心感(ゼルアメ)−桜月 梓 (2004/4/29 13:00:08) No.29917


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29917前と後ろと安心感(ゼルアメ)桜月 梓 2004/4/29 13:00:08



梓:・・・何かまたゼルアメを書いてしまいました・・・(笑)
  他も書きたいんだけどネタが・・・(汗)
  しかもこれ結構昔のだけど・・・まぁ更新してみよう・・・。
  連載はまだ気力沸かないしね。っていうか昨日の今日だし。


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前と後ろと安心感









 「・・・・さっきから何してるんだ」


 はぁ。

 と 、見る限り普通の人間の肌ではない青年が、さっきから自分の周りを

 うろちょろと行ったり来たりしている黒髪の少女に溜息をつきながら言う。

 そのアメリアと呼ばれた少女は、青年の言葉など聞こえていないのか

 そのまま行ったり来たりを続ける。

 別にただ歩いてるだけなら気にすることはないし、問いに答えなくてもいい。

 しかしだ。

 青年は少女の行動を結局は無視できなかった。

 というか、出来るわけがない。

 何せ、その少女に何分か前からずぅっと前から抱きつかれたり、後ろから

 抱きつかれたりしているからだった。

 少女―――アメリアは難しい顔をしながら、青年―――ゼルガディスの背後へ

 歩いていく。

 そしてぎゅうっと彼の身体にしがみつ・・・・・・・・・・もとい、抱きついた。


 「うーん・・・・・・」


 抱きついたまま唸ると、腕をほどいてゼルガディスの正面へ歩いていき、

 また抱きついた。

 そう。

 この行動をアメリアは続けてきたのだ。

 ゼルガディスはアメリアに、胸に秘める想いをまだ伝えていない。

 ゆえに何故抱きつかれているか分からないし、恥ずかしい。

 照れのせいもあるので、今や彼の顔は少しだけ赤紫色に染まっている。


 「アメリア。一体何してるんだ」


 少し強い口調で行っても、やっぱりアメリアは答えない。

 難しい顔で抱きついてくるだけ。

 (この場にリナがいなくて助かった)

 ゼルガディスは今更ながらにホっとした。

 リナとガウリイは昼を少し過ぎた後に、仕事を探してくると出て行ってしまったのだ。

 自分も図書館に行こうと立ち上がり、部屋を出ようとしたらアメリアがやってきて

 ―――これである。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・もうすぐ夕方になる時刻だ。

 抱き疲れているのは嬉しいが、いい加減調べ物をしにいきたい。

 自分の体を直すための資料を見つけにいきたい。


 「おい!アメリアっ」


 また、正面から背後へ回ろうとするアメリアの腕を引っ張り、今度は彼女の背後を

 自分が抱きしめた。

 ぽすんっ!

 つややかな黒髪がふわりと揺れて、丁度胸のあたりに彼女の頭が納まる。


 「一体何してるんだ」


 「・・・・・・・・・・・・・・・・・あ。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・えへへっ♪」


 「答えになってないぞ、それは」


 もちろん答えにもなっていなければ、会話にもなっていない。

 そして言葉も通じていない。


 ゼルガディスの腕に収まりながら、難しい顔はどこへやら、アメリアはにこにこと笑っている。


 「えっと、実はですね!
  私は前から抱きつくのと、後ろから抱きつくのはどちらが好きかと聞かれまして!」


 「・・・・・・・・・誰にだ?」


 「ゼロスさんです」





 (今度来たら容赦なく攻撃魔法の増加版ふっかけてやる)




 眉間に青筋を立てながら、物騒な事を考えてみる。ゼルガディスはアメリアに問う。


 「で?答えは出たのか?」



 「はい!
  私は抱きつくのも好きですが、ゼルガディスさんに後ろから抱きしめてもらうのが
  1番好きみたいですv」










 その日、ゼルガディスが図書館に行けなかったのは、ご想像通り。










 END



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梓:・・・いいのかなぁ・・・これ。
  まぁ、昔のだからってことで(待)!!